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2024年9月25日水曜日

バファリン配合錠A81 販売中止と代替品



バファリン配合錠A81が販売中止となるようです。

製品販売中止の事前のご案内(エーザイ)

販売中止時期は2025年4月です。

経過措置期間は2026年3月末日を予定されています。

販売中止理由は諸般の事情です。

「半分がやさしさ」で知られるバファリンの成分であるアスピリンは、ドイツのバイエル社によって開発され、解熱・鎮痛・消炎剤として100年以上にわたり世界中で使用されてきました。日本では、ライオン株式会社が米国ブリストル・マイヤーズ社(現在のブリストル・マイヤーズ・スクイブ社)から制酸剤ダイアルミネートを配合したアスピリン配合剤「バファリン」を輸入し、1963年から販売を開始しました。

この制酸剤ダイアルミネートが「やさしさ」の部分で、半分も含まれていないのですがそれは別の話です。

1967年、Weissらによってアスピリンの抗血小板作用が発見され、1971年には英国のVaneらがアスピリンがアラキドン酸カスケードにおけるプロスタグランジンの生合成酵素であるシクロオキシゲナーゼを不可逆的に阻害することを明らかにしました。これにより、アスピリンは抗血小板薬としても使用されるようになりました。


日本でも、アスピリンの低用量療法が臨床応用され、「小児用バファリン」が適応外使用されてきました。しかし、適応外使用の改善を求める声が高まり、1999年にライオン株式会社は厚生省に申請資料を提出し、承認を取得しました。その後、2000年には「小児用バファリン」は「バファリン 81mg錠」として販売されるようになりました。


川崎病は、1967年に川崎富作博士によって初めて報告された疾患で、アスピリンはその治療において重要な役割を果たしてきました。ライオン株式会社は、2005年に川崎病の効能追加の承認を取得し、アスピリンが川崎病治療の基本的な薬物の一つとして使用されるようになりました。


2003年には、ライオン株式会社からブリストル・マイヤーズ株式会社へ販売が委託され、その後2008年にはエーザイ株式会社へと引き継がれました。2009年には医療事故防止対策として「バファリン配合錠A81」として製造販売承認を受け、現在に至っています。


バファリン配合錠A81は、その長い歴史の中で多くの変遷を経てきましたが、2025年に販売が中止されます。


バファリン配合錠A81の代替品

バファリン配合錠は後発医薬品です。
他の後発医薬品が代替品の候補となります。

  • ニトギス配合錠A81
  • バッサミン配合錠A81
  • ファモター配合錠A81

また、バファリンと同じ、低用量アスピリン製剤のバイアスピリン100mgが代替候補としてメーカーは案内しています。



ちなみに、「低用量」について、どれくらいの範囲をさすものなのか、統一した見解はえられていないのが現状です。
抗血小板薬としての至適用量は明確なものはありません。抗血小板療法のランダム化比較試験のメタ解析の結果では、アスピリンの高用量群(500~1,500mg)、中等量群(160~325mg)、低用量群(75~150mg)の間で、脳卒中や心筋梗塞、血管死などの心血管イベントの低減効果に有意差はなかったという報告もあります。
抗血小板作用は 60mg~150mg くらいが最大となり、150mg 以上だと脳梗塞の再発リスクが上昇した、という報告もあります。


なぜ、バファリンは81mgなのか?

余談ですが、バイアスピリンは100mgですが、バファリンは81mgですが、なぜなのでしょうか。これは、バファリン配合錠 81mg が「小児用バファリン」として開発された歴史に起因します。
アメリカFDAでは解熱鎮痛に使うアスピリンは325mgです。
解熱鎮痛において、当時のアメリカでは7歳くらいの子供には大人の1/4の量を投与していました。325mgの1/4で81mgとしたのです。
「小児用バファリン」は、その後、抗血小板薬としての適応を取得して「バファリン 81mg錠」として販売されました。



2024年9月15日日曜日

2024年度診療報酬改定 ⻑期収載品の選定療養(差額お薬代)



※2024年9月更新
2024年度診療報酬改定において、長期収載品について、保険給付の在り方の見直しを行うこととなり、選定療養の仕組みが導入されます。

【よくあるご質問】
Q.長期収載品の選定療養(差額お薬代)は、どの法律によるものですか?

A.健康保険法や療担当規則および薬担規則です。
 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則
 (患者負担金の受領)

第四条

2 保険薬局は、法第六十三条第二項第三号に規定する評価療養(以下「評価療養」という。)、同項第四号に規定する患者申出療養(以下「患者申出療養」という。)又は同項第五号に規定する選定療養(以下「選定療養」という。)に関し、当該療養に要する費用の範囲内において、法第八十六条第二項又は第百十条第三項の規定により算定した費用の額を超える金額の支払を受けることができる。

 (保険外併用療養費に係る療養の基準等)

第四条の三

保険薬局は、評価療養、患者申出療養又は選定療養に関して第四条第二項の規定による支払を受けようとする場合において、当該療養を行うに当たり、その種類及び内容に応じて厚生労働大臣の定める基準に従わなければならないほか、あらかじめ、患者に対しその内容及び費用に関して説明を行い、その同意を得なければならない。

2 保険薬局は、その薬局内の見やすい場所に、前項の療養の内容及び費用に関する事項を掲示しなければならない。

3 保険薬局は、原則として、前項の療養の内容及び費用に関する事項をウェブサイトに掲載しなければならない。

Q.院内で使用するの注射薬なども対象ですか?

A.診療報酬上の「C在宅医療」「F投薬」「G注射」の薬剤料として算定する場合には選定療養の対象となります。「処置」や「手術」等で使用される薬剤は対象外です。

「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について(保発0327第10号 令和6年3月27日)

30 長期収載品の処方等又は調剤に関する事項

(4) 保険外併用療養費の支給額は、所定点数から次に掲げる点数を控除した点数に、当該療養に係る医薬品の薬価から、先発医薬品の薬価から当該先発医薬品の後発医薬品のうち最も薬価が高いものの薬価を控除して得た価格に四分の一を乗じて得た価格を控除して得た価格を用いて次の各区分の例により算定した点数を加えた点数をもとに計算されるものである。

① 別表第一区分番号C200に掲げる薬剤 

② 別表第一区分番号F200に掲げる薬剤

③ 別表第一区分番号G100に掲げる薬剤

④ 別表第二区分番号F200に掲げる薬剤

⑤ 別表第二区分番号G100に掲げる薬剤

⑥ 別表第三区分番号20に掲げる使用薬剤料

 

厚生労働省ホームページに「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養に関するページが掲載されています。関係通知や対象医薬品リスト等、必要な情報はこちらで確認しください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html


長期収載品の保険給付の在り方の見直しとして、選定療養の仕組みが導入されます。
対象となる長期収載品は、後発医薬品の上市後5年以上経過した長期収載品又は後発医薬品の置換率が50%以上となった長期収載品です。
長期収載品は、準先発品を含みます。
保険給付の対象は、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の3までです(後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の1は患者自己負担)。




患者負担額計算式
例)3割負担の場合
患者負担額=(長期収載品薬価-後発品最高価格)×1/4×消費税+{後発品最高価格+(長期収載品薬価-後発品最高価格× 3/4}×0.3

対象医薬品の考え方について

長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養において、対象とする医薬品については、
次の(1)から(3)までを全て満たすものとする。
(1) 後発医薬品のある先発医薬品(いわゆる「準先発品」を含む。)であること(バイオ医薬品を除く)
(2) 後発医薬品が収載された年数及び後発品置換え率の観点から、組成及び剤形区分が同一であって、次のいずれかに該当する品目であること。
① 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過した品目(後発品置換え率が1%未満のものは除く。)
② 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過しない品目のうち、後発品置換え率が 50%以上のもの
(3) 長期収載品の薬価が、後発医薬品のうち最も薬価が高いものの薬価を超えていること。この薬価の比較にあたっては、組成、規格及び剤形ごとに判断するものであること。


選定療養とはならない場合

医療上の必要性があると認められる場合(例:医療上の必要性により医師が銘柄名処方(後発品への変更不可)をした場合)や、後発医薬品を提供することが困難な場合(例:薬局に後発医薬品の在庫が無い場合)については、選定療養とはならず、保険給付の対象となります。
バイオ医薬品は対象外です。
また、後発医薬品への置換率が極めて低い場合(置換率が1%未満)である長期収載品は、上市後5年以上経過したものであっても、後発医薬品を提供することが困難な場合に該当することから、対象外となります。

適応は2024年10月1日

2024年10月1日までに、長期収載品の投与に係る特別の料金その他必要な事項を当該保険医療機関及び当該保険薬局内の見やすい場所に掲示しなければいけません。(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則 第四条の三

処方箋様式の改正

医療上の必要性があると認められる場合や患者希望で先発品を処方する場合について、処方等の段階で明確になるように様式が改正されます。
変更不可欄に「医療上必要」の文言が追記され、「患者希望欄」が追加されました。

薬担規則の改正

選定療養の取り組みが始まるにあたり、薬担規則が改正されます。
薬担規則はすべての保険薬局が従わなければならないルールです。
長期収載品の選定療養について、患者さんに周知し、実際にかかる費用について説明するために薬局内への掲示やウェブサイトへの掲載が求められています。




長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈(その1)より改変


【医療上の必要性について】

問1:医療上の必要があると認められるのは、どのような場合が想定されるのか。

: 保険医療機関の医師又は歯科医師(以下、医師等)が次のように判断する場合が想定されます。

  1. 効能・効果の差異:

    • 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合。
    • 例: PMDAの添付文書検索サイトや日本ジェネリック製薬協会のリストで確認できます。
  2. 副作用や相互作用:

    • 後発医薬品を使用した際に、副作用や他の医薬品との相互作用があった場合。
    • 安全性の観点から長期収載品を処方する必要があると医師が判断する場合。
  3. ガイドラインの推奨:

    • 学会が作成しているガイドラインで、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されている場合。
    • 例: てんかん診療ガイドラインでは、発作が抑制されている患者に対して後発医薬品への切り替えを推奨しないとされています。
  4. 剤形の違い:

    • 後発医薬品の剤形が飲みにくい、吸湿性により一包化ができないなどの場合。
    • ただし、単に剤形の好みによって長期収載品を選択することは含まれません。

また、保険薬局の薬剤師においては、

  • ①、②及び③に関して、医療上の必要性について懸念することがあれば、医師等に疑義照会することが考えられます。
  • ④に関しては、医師等への疑義照会は要さず、薬剤師が判断することも考えられます。この場合でも、調剤した薬剤の銘柄等について、当該調剤に係る処方箋を発行した保険医療機関に情報提供することが求められます。

問2:治療ガイドライン上で後発医薬品に切り替えないことが推奨されている場合については、長期収載品を使うことについて、医療上の必要性が認められるということでよいか。

例えば、てんかん診療ガイドライン2018(一般社団法人日本神経学会)では、「後発医薬品への切り替えに関して、発作が抑制されている患者では、服用中の薬剤を切り替えないことを推奨する。」、「先発医薬品と後発医薬品の治療的同等性を検証した質の高いエビデンスはない。しかし、一部の患者で、先発医薬品と後発医薬品の切り替えに際し、発作再発、発作の悪化、副作用の出現が報告されている」とされています。この場合に医療上の必要性は認められるか。

: 医師等が問1の③に該当すると判断し、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合であれば、保険給付となります。

問3:使用感など、有効成分等と直接関係のない理由で、長期収載品の医療上の必要性を認めることは可能か。

: 基本的には使用感などについては医療上の必要性としては想定していません。ただし、医師等が問1の①~④に該当すると判断し、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合であれば、保険給付となります。


【薬局における医療上の必要性の判断について】

問4:「長期収載品の処方等又は調剤について」(令和6年3月27日保医発0327第11号)の「第1 処方箋様式に関する事項」の「3 長期収載品を銘柄名処方する場合における取扱について」の(4)において、「処方の段階では後発医薬品も使用可能としていたが、保険薬局の薬剤師において、患者が服用しにくい剤形である、長期収載品と後発医薬品で効能・効果の差異がある等、後発医薬品では適切な服用等が困難であり、長期収載品を服用すべきと判断した場合には、医療上必要がある場合に該当し、保険給付とすることも想定されること。」とあるが、このような場合には処方医へ疑義照会することなく、薬剤師の上記判断に基づいて、従来通りの保険給付が可能という理解でよいか。
また、医師等が後発医薬品を銘柄名処方した場合であって、「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」が記載されていない場合に、長期収載品を調剤する医療上の必要があると考えられる場合は、処方医へ疑義照会することなく、薬剤師の判断で従来通りの保険給付は可能か。

: それぞれの場合について、考え方は次のとおりです。

  • 医師等が長期収載品を銘柄名処方し、「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」が記載されていない場合:

    • 薬剤師として長期収載品を調剤する医療上の必要があると考える場合、医療上の必要性の判断の観点から、問1において保険薬局の薬剤師について記載するとおりの取扱いとなります。
  • 医師等が後発医薬品を銘柄名処方し、「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」が記載されていない場合:

    • 薬剤師として長期収載品を調剤する医療上の必要があると考える場合、変更調剤に該当するところ、「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」(令和6年3月15日厚生労働省保険局医療課事務連絡)において、当面の間、疑義照会なく、変更調剤できることとしています。
    • その上で、医療上の必要性の判断の観点から、問1において保険薬局の薬剤師について記載するとおりの取扱いとなります。


【一般名処方について】

問5:「長期収載品の処方等又は調剤について」の「第1 処方箋様式に関する事項」の「4 一般名処方する場合における取扱について」の(2)において「一般名処方の処方箋を保険薬局に持参した患者が長期収載品を希望した場合には、選定療養の対象となること。」とあるが、一般名処方された患者が薬局で長期収載品を希望し、薬剤師がその理由を聴取した際に、患者希望ではあるものの、患者の疾病に関し、長期収載品と後発医薬品における効能・効果等の違いがある等の医療上の理由と考えられる場合には、保険薬局の判断で従来通りの保険給付とすることは可能か。

: 問1の後段に記載する通りです。



【院内処方その他の処方について】

問6:院内処方用の処方箋がない医療機関において「医療上の必要性」により長期収載品を院内処方して保険給付する場合、単に医師等がその旨の判断をすれば足りるのか。あるいは「医療上の必要性」について、何らかの記録の作成・保存が必要なのか。

: 診療報酬を請求する際に、「診療報酬請求書等の記載要領等について」の一部改正について(令和6年7月12日保医発0712第1号)の別表Ⅰを踏まえ、診療報酬請求書等の「摘要」欄に理由を選択して記載することが必要です。

問7:院内採用品に後発医薬品がない場合は、「後発医薬品を提供することが困難な場合」に該当すると考えて保険給付してよいか。

: 患者が後発医薬品を選択することができないため、従来通りの保険給付として差し支えありません。なお、後発医薬品の使用促進は重要であり、外来後発医薬品使用体制加算等を設けているため、後発医薬品も院内処方できるようにすることが望ましいです。

問8:長期収載品の選定療養について、入院は対象外とされているが、入院期間中であって、退院間際に処方するいわゆる「退院時処方」については、選定療養の対象となるのか。

: 留意事項通知において「退院時の投薬については、服用の日の如何にかかわらず入院患者に対する投薬として扱う」とされているため、入院と同様に取り扱います。

問9:在宅医療において、在宅自己注射を処方した場合も対象となるか。

: そのとおりです。


【後発医薬品を提供することが困難な場合について】

問10:「当該保険医療機関又は保険薬局において、後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難な場合」について、出荷停止、出荷調整等の安定供給に支障が生じている品目かどうかで判断するのではなく、あくまで、現に、当該保険医療機関又は保険薬局において、後発医薬品を提供することが困難かどうかで判断するということでよいか。

: そのとおりです。


【公費負担医療について】

問11:医療保険に加入している患者であって、かつ、国の公費負担医療制度により一部負担金が助成等されている患者が長期収載品を希望した場合について、長期収載品の選定療養の対象としているか。

: 長期収載品の選定療養の制度趣旨は、医療上必要があると認められる場合等は従来通りの保険給付とし、それ以外の場合に患者が長期収載品を希望する場合は選定療養の対象とすることです。したがって、国の公費負担医療制度の対象となっている患者が長期収載品を希望した場合も、他の患者と同様に長期収載品の選定療養の対象となります。なお、医療上必要があると認められる場合は、従来通りの保険給付として差し支えありません。

長期収載品の選定療養における肝炎治療特別促進事業の助成対象について

(前略)患者が長期収載品を希望する場合は、選定療養の対象とすることとされているところ、肝炎治療特別促進事業の対象医療であるB型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤の「バラクルード錠0.5mg(成分名:エンテカビル水和物)」もその対象医薬品とされています。


問12:医療保険に加入している患者であって、かつ、こども医療費助成等のいわゆる地方単独の公費負担医療の対象となっている患者が長期収載品を希望した場合について、長期収載品の選定療養の対象としているか。

: 長期収載品の選定療養の制度趣旨は、医療上必要があると認められる場合等は従来通りの保険給付とし、それ以外の場合に患者が長期収載品を希望する場合は選定療養の対象とすることです。したがって、こども医療費助成等の地方単独の公費負担医療が対象となっている患者が長期収載品を希望した場合も、他の患者と同様に長期収載品の選定療養の対象となります。なお、医療上必要があると認められる場合は、従来通りの保険給付として差し支えありません。

 

長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈(その2)より改変


【処方箋の記載について】

問1: 「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄の双方に「✓」又は「×」がついた場合、保険薬局においてはどのような取扱いになるか。

: 「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄の双方に「✓」又は「×」がつくことは、通常は想定されず、医療機関のシステムにおいても双方に「✓」又は「×」を入力することはできないと考えられますが、仮にそのような場合があれば、保険薬局から処方医師に対して疑義照会を行う等の対応を行います。なお、医療機関では、「長期収載品の処方等又は調剤について」(令和6年3月27日保医発0327第11号)において、「「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」を記載した場合においては、「患者希望」欄には「✓」又は「×」は記載しないこと。」としており、医療上の必要性がある場合は、「変更不可(医療上必要)」欄にのみ「✓」又は「×」を記載します。

問2: 令和6年10月1日前に処方された長期収載品であって、保険薬局に10月1日以降に処方箋が持ち込まれた場合は制度施行前の取扱いとなるのか。

: そのとおりです。

問3: 令和6年10月1日前に処方された長期収載品であって、保険薬局に10月1日以降に2回目以降の調剤のためにリフィル処方箋や分割指示のある処方箋が持ち込まれた場合は制度施行前の取扱いとなるのか。

: そのとおりです。

問4: 令和6年10月1日以降に旧様式の処方箋で処方された長期収載品であって、後発品変更不可にチェックがあるものの、理由について記載がされていないものについてどう扱えばよいか。

: 保険薬局から処方医師に対して疑義照会を行う等の対応を行います。

問5: 「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」(平成18年厚生労働省告示第107号)第三の十四(三)において、「後発医薬品のある先発医薬品の処方等又は調剤に係る費用徴収その他必要な事項を当該保険医療機関及び当該保険薬局内の見やすい場所に掲示しなければならないものとする。」とされていますが、掲示内容について参考にするものはありますか。

: 院内及びウェブサイトに掲示する内容については、以下のURLに示すポスターを参考にしてください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html


【公費負担医療について】

問6: 長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象にならない場合

: 「生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬」(昭和34年厚生省告示第125号)第2に基づき、生活保護受給者については、長期入院選定療養以外の選定療養は医療扶助の支給対象とはなりません。このため、生活保護受給者である患者が、医療上必要があると認められないにもかかわらず、単にその嗜好から長期収載品の処方等又は調剤を希望する場合は、当該長期収載品は医療扶助の支給対象とはならないため、生活保護法(昭和25年法律第144号)第34条第3項に基づき、後発医薬品処方等又は調剤を行います。

問7: 長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象になる場合

: 長期収載品の処方等を行うことに医療上必要があると認められる場合は、当該長期収載品は医療扶助の支給対象となります。

問8: 生活保護受給者である患者が、単にその嗜好から長期収載品を選択した場合、「特別の料金」を徴収するのか。

: 生活保護受給者である患者について、医療上の必要性があると認められず、かつ、保険医療機関又は保険薬局において後発医薬品を提供することが可能である場合は、長期収載品を医療扶助又は保険給付の支給対象として処方等又は調剤することはできないため、当該患者が単にその嗜好から長期収載品を希望した場合であっても、後発医薬品を処方等又は調剤します(生活保護法第34条第3項)。そのため、「特別の料金」を徴収するケースは生じません。

(参考)

後発医薬品の使用原則化に係るQ&A(東京都)

 今回の改正に関して、指定医療機関・指定薬局の皆様から寄せられたよくある質問について整理しましたので、上記厚生労働省通知やリーフレットと併せて御参照ください。

長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈(その3)より改変

【入院中の患者以外の患者に対する注射について】

問1: 「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項についての一部改正において、「別表第一区分番号C200(医科:在宅)に掲げる薬剤」、「別表第一区分番号G100(医科:注射)に掲げる薬剤」及び「別表第二区分番号G100(歯科:注射)に掲げる薬剤」が選定療養の対象となるとされていますが、入院中の患者以外の患者(往診又は訪問診療を行った患者も含む)に対して医療機関が注射を行った場合も、長期収載品の選定療養の対象となるのか。

: 長期収載品の選定療養の対象とはなりません
ただし、在宅自己注射を処方した場合については、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)」問9に記載されている通り、長期収載品の選定療養の対象となります。

【医療上の必要性について】

問2: 疑義解釈その1問1の②において、「当該患者が後発医薬品を使用した際に」とありますが、後発医薬品の添付文書において、当該患者への投与が禁忌とされている場合も、実際に当該患者に使用したうえで判断する必要があるのか。

: 後発医薬品の添付文書において禁忌とされている患者に対しては、当該後発医薬品を使用したうえで判断する必要はありません。この場合は疑義解釈その1問1の②に該当するとみなして差し支えありません。

問3: 複数の医薬品を混合する際、後発医薬品を用いると配合変化により薬剤が分離する場合であって、長期収載品を用いることにより配合変化が回避できるときは、医療上の必要性があると認められるか。

: 疑義解釈その1問1の④に該当するため、医療上の必要性があると認められます。