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2024年2月21日水曜日

テトカイン注用20mg「杏林」  販売中止と代替品



テトカイン注用20mg「杏林」 が販売中止となるようです。

経過措置期間は2024年3月31日までです。
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/information/pdf/202402tetocainesoldout.pdf

最初の局所麻酔薬として知られるのは、1860年にドイツのNiemanによって発見され、コカの葉から抽出されたアルカロイドであるコカインです。
コカインはその強力な麻酔効果にもかかわらず、高い毒性と中枢神経系への刺激作用が問題視され、より安全な局所麻酔薬の開発が求められました。
この要望に応えて、1905年にEinhornによって合成されたのがプロカインです。
プロカインは、安息香酸の一部である構造からコカインの局所麻酔作用を継承しつつ、毒性が低減された革新的な薬剤でした。
その後、1928年にEislebによって合成されたのがテトラカインです。
テトラカインは、プロカインのベンゼン核のNH2にアルキル基を導入することで局所麻酔作用を増強させたものです。
現在、使用されている局所麻酔薬は「芳香族残基-中間鎖-アミン」といった形をしています。
中間鎖がエステル結合かアミド結合かにより、エステル型とアミド型に大別されます。
テトラカインは、プロカインと同様にエステル型に分類され、アミド型にはリドカインやビブバカインなどが含まれます。

テトカイン注用20mg「杏林」の代替品

テトカインはプロカイン、リドカインより作用が長く毒性も強いため通常の局所麻酔であればリドカインが使用されます。
リドカイン及びアミド型麻酔薬に過敏症を示す場合には、エステル型のプロカインが候補になります。

しかし表面麻酔にはプロカインは使用できないため、リドカインアレルギーの方への表面麻酔で使用可能なものはありません。

脊髄くも膜下麻酔の適応があるのはテトカインとアミド型のマーカイン(ブピバカイン)です。テトカイン販売中止で日本における脊髄くも膜下麻酔の適応薬剤はブピバカイン一択となりました。ブピバカインはアミド型のため、リドカインアレルギーの方に使えるエステル型の脊髄くも膜下麻酔薬はありません。


2024年2月20日火曜日

2024年度診療報酬改定 服薬情報等提供料



2024年度診療報酬改定において、服薬情報等提供料の要件が見直されます。
保険薬局と医療及び介護に関わる多職種との連携を推進するため、薬剤師が行う服薬情報等の提供に係る現行の評価体系を改正し、介護支援専門員やリフィル処方箋調剤に伴う医療機関への情報提供が新たに評価されます。

・患者や家族への情報提供では算定できなくなりました。
・ケアマネへの情報提供で算定可能になりました。
・リフィル調剤後の医療機関への情報提供も算定可能になりました。
・要件から「内容等については薬剤服用歴に記録すること。」が削除

 

具体的には「服薬情報等提供料2」の要件が変わります。
これまでは、患者さんや家族から求めがあった場合に、情報提供をしたときにも算定できました。2024年度改定では要件のから「患者若しくはその家族」の文言が削除され、護支援専門員(通称:ケアマネ)が新たな情報提供の対象者に加わりました。

また、トレーシングレポートを使って医師に情報提供を行ったときだけでなく、リフィル処方箋で調剤したあとの情報提供でも算定することが可能になります。

そのほか、要件の「内容等については薬剤服用歴に記録すること。」が削除されており、情報提供に関する内容を薬歴に記載することは求められなくなったようです。

[令和6年厚生労働省告示第57号 調剤点数表]
区分15の5 服薬情報等提供料
1 服薬情報等提供料1 30点
2 服薬情報等提供料2
 イ 保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合 20点
 ロ リフィル処方箋による調剤後、処方医に必要な情報を文書により提供した場合20点
 ハ 介護支援専門員に必要な情報を文書により提供した場合 20点
3 服薬情報等提供料3 50点

注1 1については、保険医療機関の求めがあった場合において、患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も当該患者の服用薬の情報等について把握し、保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に月1回に限り算定する。

2 2については、保険薬剤師がその必要性を認めた場合において、当該患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も患者の服用薬の情報等について把握し、保険医療機関又は介護支援専門員に必要な情報を文書により提供を行った場合に月1回に限り算定する。

3 3については、入院前の患者に係る保険医療機関の求めがあった場合において、当該患者の同意を得た上で、当該患者の服用薬の情報等について一元的に把握し、必要に応じて当該患者が保険薬局に持参した服用薬の整理を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に3月に1回に限り算定する。

4 区分番号13の2に掲げるかかりつけ薬剤師指導料、区分番号13の3に掲げるかかりつけ薬剤師包括管理料又は区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、算定しない。

5 区分番号00に掲げる特別調剤基本料Aを算定する保険薬局において、調剤基本料の注6に規定する厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は、算定できない。

6 区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。





2024年2月19日月曜日

2024年度診療報酬改定 施設連携加算【外来服薬支援料】



2024年度診療報酬改定では「外来服薬支援料」に新たな加算が追加されます。

特別養護老人ホーム等と連携した保険薬局の薬剤師が、患者の入所時等において特に服薬支援が必要と判断し、服用中の薬剤の整理等を実施した場合の評価です。

特別養護老人ホームの入所者の処方に対し一包化などを行い「外来服薬支援料2」を算定する場合に、
施設職員と協働し患者の服薬管理を支援すると算定できる加算です。
施設連携加算は、単に施設の要望に基づき服用薬剤の一包化等の調製を行い、当該施設職員に対して服薬指導や情報共有等を行ったのみの場合は算定できません。


具体的には以下の場合に算定できます。

(1)施設入所時であって、服用薬剤が多い場合
(2)新たな薬剤が処方された若しくは薬剤の用法又は用量が変更となった場合
(3)副作用等の体調の変化における施設職員からの相談に基づく服薬支援が必要な場合

施設における患者の療養生活の状態等を確認した上で当該施設職員と協働して日常の服薬管理が容易になるような支援を実施することが必要です。
さらに、当該保険薬局が調剤した薬剤以外に調剤済みの薬剤も含めて一包化等の調製を実施すること。

 
[調剤点数表]
14の2 外来服薬支援料
1外来服薬支援料1  185点
2外来服薬支援料2 
 イ  42日分以下の場合 
   投与日数が7又はその端数を増すごとに34点を加算して得た点数
 ロ  43日分以上の場合 240点

注1 1については、自己による服薬管理が困難な患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、当該患者が服薬中の薬剤について、当該薬剤を処方した保険医に当該薬剤の治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性の了解を得た上で、患者の服薬管理を支援した場合に月1回に限り算定する。ただし、区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、算定しない。

注2 1については、患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、患者又はその家族等が保険薬局に持参した服用薬の整理等の服薬管理を行い、その結果を保険医療機関に情報提供した場合についても、所定点数を算定できる。

注3 2については、多種類の薬剤を投与されている患者又は自ら被包を開いて薬剤を服用することが困難な患者に対して、当該薬剤を処方した保険医に当該薬剤の治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性の了解を得た上で、2剤以上の内服薬又は1剤で3種類以上の内服薬の服用時点ごとの一包化及び必要な服薬指導を行い、かつ、患者の服薬管理を支援した場合に、当該内服薬の投与日数に応じて算定する。

注4 介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第22項に規定する地域密着型介護老人福祉施設若しくは同条第27項に規定する介護老人福祉施設に入所中の患者を訪問し、注3に係る業務に加えて、当該施設職員と協働し当該患者が服薬中の調剤済みの薬剤を含めた服薬管理を支援した場合に、施設連携加算としてに1回に限り50点を所定点数に加算する。

2024年2月18日日曜日

2024年度診療報酬改定 連携強化加算【調剤基本料】



2024年度診療報酬改定において連携強化加算の点数が2点から5点に引き上げられ、要件が見直されました。

連携強化加算は、災害や新興感染症の発生時等における医薬品供給や衛生管理に係る対応など、地域において必要な役割を果たすことができる体制を確保している薬局を評価するものです。
これまでは、連携強化加算を算定するには地域支援体制加算の要件も見対している必要がありましたが、2024年では、地域支援体制加算の届出は求められません。
しかし、かわりに「改正感染症法の第二種協定指定医療機関の指定」が求められることになりました。

大まかな要件は以下のとおりです。


●新型インフルエンザ等感染症等の発生時において
 自宅療養者等に対する調剤
 オンライン又は訪問による服薬指導
 薬剤等の交付等に対応する体制
●要指導医薬品や一般用医薬品、検査キット(体外診断用医薬品)の販売
●オンライン服薬指導を行うための必要な通信環境、セキュリティ対応等
●以下の研修の実施
 ・第二種協定指定医療機関の締結時に求められる新興感染症等の発生時における自宅・宿泊療養患者への対応に係る研修
 ・災害発生時における対応に係る研修
 ・オンライン服薬指導実施要領に基づく、必要な知識を習得するための研修
●地域の住民が薬局の体制を把握できるよう、災害や新興感染症発生時における対応体制の確保について、行政機関や薬剤師会を通じて公表・周知

2024年2月17日土曜日

2024年度診療報酬改定 服薬管理指導料



 2024年度診療報酬改定において、服薬管理指導料3の要件や評価が見直されます。


これまでは、「特別養護老人ホ-ム」の入所者に限られていましたが、「短期入所生活介護(ショートステイ)等」の利用者、「介護医療院」又は「介護老人保健施設」に入所中の患者に対象が拡がりました。

介護医療院又は介護老人保健施設に入所中の患者に対しては、
当該介護老人保険施設等の医師以外の医師が、専門的な薬学的管理を必要とする薬剤に係る処方箋を発行した場合に、応需した保険薬局の薬剤師が訪問して施設職員と連携しつつ服薬指導等を実施した場合算定できます。
薬の配達だけでは算定できません。

また。月に4回までというの算定回数の上限が設けられます。


[令和6年厚生労働省告示第57号 調剤点数表]
10の3 服薬管理指導料
1 原則3月以内に再度処方箋を持参した患者に対して行った場合 45点
2 1の患者以外の患者に対して行った場合 59点
3 介護老人福祉施設等に入所している患者に訪問して行った場合 45点
4 情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合
 イ 原則3月以内に再度処方箋を提出した患者に対して行った場合 45点
 ロ イの患者以外の患者に対して行った場合 59点

注1 1及び2については、患者に対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。
ただし、1の患者であって手帳を提示しないものに対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合は、2により算定する。
なお、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。
 イ 患者ごとに作成された薬剤服用歴に基づき、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書又はこれに準ずるもの(以下この表において「薬剤情報提供文書」という。)により患者に提供し、薬剤の服用に関して基本的な説明を行うこと。
 ロ 服薬状況等の情報を踏まえた薬学的知見に基づき、処方された薬剤について、薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。
 ハ 手帳を用いる場合は、調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること。
 ニ これまでに投薬された薬剤のうち服薬していないものの有無の確認に基づき、必要な指導を行うこと。
 ホ 薬剤情報提供文書により、投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に関する情報(後発医薬品の有無及び価格に関する情報を含む。)を患者に提供すること。
 ヘ 処方された薬剤について、保険薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること。

注2 3については、保険薬剤師が別に厚生労働大臣が定める患者を訪問し、服薬状況等を把握した上で、必要に応じて当該施設職員と協力し、次に掲げる指導等の全てを行った場合に、月4回に限り、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。
ただし、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。
 イ 患者ごとに作成された薬剤服用歴に基づき、薬剤情報提供文書により患者又は現に薬剤を管理している者(以下この区分番号において「患者等」という。)に提供し、薬剤の服用に関して基本的な説明を行うこと。
 ロ 服薬状況等の情報を踏まえた薬学的知見に基づき、処方された薬剤について、薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。
 ハ 手帳を用いる場合は、調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること。
 ニ これまでに投薬された薬剤のうち服薬していないものの有無の確認に基づき、必要な指導を行うこと。
 ホ 必要に応じて薬剤情報提供文書により、投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に関する情報(後発医薬品の有無及び価格に関する情報を含む。)を患者等に提供すること。
 ヘ 処方された薬剤について、保険薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること。

注3 4については、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。ただし、4のイの患者であって手帳を提示しないものに対して、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合は、4のロにより算定する。なお、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。

注4 麻薬を調剤した場合であって、麻薬の服用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときは、麻薬管理指導加算として、22点を所定点数に加算する。

注5 特に安全管理が必要な医薬品として別に厚生労働大臣が定めるものを調剤した場合であって、当該医薬品の服用に関し、その服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときには、特定薬剤管理指導加算1として、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。
 イ 特に安全管理が必要な医薬品が新たに処方された患者に対して必要な指導を行った場合 10点
 ロ 特に安全管理が必要な医薬品に係る用法又は用量の変更、患者の副作用の発現状況等に基づき薬剤師が必要と認めて指導を行った場合 5点

注6 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、別に厚生労働大臣が定める患者に対して、当該患者の副作用の発現状況、治療計画等を文書により確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った上で、当該患者の同意を得て、悪性腫瘍の治療に係る薬剤の投薬又は注射に関し、電話等により、その服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合には、特定薬剤管理指導加算2として、月1回に限り100点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号15の5に掲げる服薬情報等提供料は算定できない。

注7 調剤を行う医薬品を患者が選択するために必要な説明及び指導を行ったイ又はロに掲げる場合には、特定薬剤管理指導加算3として、患者1人につき当該品目に関して最初に処方された1回に限り、5点を所定点数に加算する。
 イ 特に安全性に関する説明が必要な場合として当該医薬品の医薬品リスク管理計画に基づき製造販売業者が作成した当該医薬品に係る安全管理等に関する資料を当該患者に対して最初に用いた場合
 ロ 調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に説明及び指導を行った場合

注8 6歳未満の乳幼児に係る調剤に際して必要な情報等を直接患者又はその家族等に確認した上で、当該患者又はその家族等に対し、服用に関して必要な指導を行い、かつ、当該指導の内容等を手帳に記載した場合には、乳幼児服薬指導加算として、12点を所定点数に加算する。

注9 児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である患者に係る調剤に際して必要な情報等を直接当該患者又はその家族等に確認した上で、当該患者又はその家族等に対し、服用に関して必要な指導を行い、かつ、当該指導の内容等を手帳に記載した場合には、小児特定加算として、350点を所定点数に加算する。この場合において、注8に規定する加算は算定できない。

注10 喘ぜん息又は慢性閉塞性肺疾患の患者であって、吸入薬の投薬が行われているものに対して、当該患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、当該患者の同意を得た上で、文書及び練習用吸入器等を用いて、必要な薬学的管理及び指導を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合には、吸入薬指導加算として、3月に1回に限り30点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号15の5に掲げる服薬情報等提供料は算定できない。

注11 区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合を除き、算定しない。

注12 服薬管理指導料の3に係る業務に要した交通費は、患家の負担とする。

注13 別に厚生労働大臣が定める保険薬局において、注1、注2又は注3に掲げる指導等の全てを行った場合には、注1から注3までの規定にかかわらず、服薬管理指導料の特例として、処方箋受付1回につき、13点を算定する。この場合において、注4から注10までに規定する加算は算定できない。

注14 当該保険薬局における直近の調剤において、区分番号13の2に掲げるかかりつけ薬剤師指導料又は区分番号13の3に掲げるかかりつけ薬剤師包括管理料を算定した患者に対して、やむを得ない事情により、当該患者の同意を得て、当該指導料又は管理料の算定に係る保険薬剤師と、当該保険薬剤師の所属する保険薬局の他の保険薬剤師であって別に厚生労働大臣が定めるものが連携して、注1に掲げる指導等の全てを行った場合には、注1の規定にかかわらず、服薬管理指導料の特例として、処方箋受付1回につき、59点を算定する。

注15 区分番号00に掲げる特別調剤基本料Aを算定する保険薬局において、区分番号00に掲げる調剤基本料の注6に規定する厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は、注6及び注10に規定する加算は、算定できない。

[留意事項]


[特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件 令和6年厚生労働省告示第59号]

十 服薬管理指導料の注2に規定する厚生労働大臣が定める患者

次のいずれかに該当する患者
(1)
介護保険法第八条第二十二項に規定する地域密着型介護老人福祉施設
若しくは
同条第二十七項に規定する介護老人福祉施設に入所中の患者
又は
同条第九項に規定する短期入所生活介護
若しくは
同法第八条の二第七項に規定する介護予防短期入所生活介護のサービスを受けている患者

(2)
介護保険法第八条第二十八項に規定する介護老人保健施設
又は
介護保険法第八条第二十九項に規定する介護医療院に入所中の患者であって、
医師が高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準(昭和五十八年厚生省告示第十四号)第二十条第四号ハに係る処方箋を交付したもの

十の二 服薬管理指導料の注5及びかかりつけ薬剤師指導料の注3に規定する医薬品
別表第三の三に掲げる医薬品

別表第三の三
薬剤管理指導料の対象患者並びに服薬管理指導料及びかかりつけ薬剤師指導料に規定する医薬品
  • 抗悪性腫瘍剤
  • 免疫抑制剤
  • 不整脈用剤
  • 抗てんかん剤
  • 血液凝固阻止剤(内服薬に限る。)
  • ジギタリス製剤
  • テオフィリン製剤
  • カリウム製剤(注射薬に限る。)
  • 精神神経用剤
  • 糖尿病用剤
  • 膵臓ホルモン剤
  • 抗HIV薬

2024年度診療報酬改定 調剤後薬剤管理指導料



2024年度診療報酬改定において、医療機関と薬局が連携して糖尿病患者、慢性心不全患者の治療薬の適正使用を推進する観点から評価を見直し、服薬管理指導料の注10の調剤後薬剤管理指導加算が廃止され、かわりに調剤後薬剤管理指導料が新設されました。
現行の調剤後薬剤管理指導加算で対象となっていた糖尿病薬の範囲が「インスリン、SU剤」から「糖尿病用剤」に拡大されました。また、対象患者に慢性心不全患者が追加されました。
また、調剤後薬剤管理指導加算では、かかりつけ薬剤師管理指導料の算定患者に対して算定できませんでしたが、調剤後薬剤管理指導料ではかかりつけ薬剤師管理指導料の算定患者に対してフォローアップを実施した場合でも算定ができるようになります。

調剤後薬剤管理指導料を算定できる薬局は、地域支援体制加算を算定できるものとして届出している薬局です。

調剤後薬剤管理指導料には1と2の2種類があります。

1については次のいずれかに該当する糖尿病の患者が対象です。
(1) 新たに糖尿病用剤が処方されたもの
(2) 糖尿病用剤に係る投薬内容の変更が行われたもの

2については心疾患による入院の経験があり、作用機序が異なる循環器官用薬等の複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全の患者です。

薬剤師が必要性を認め、患者の同意を得て、調剤後に次に掲げる業務等の全てを行ったときに、調剤後薬剤管理指導料として、月1回に限り算定できます。

イ 調剤後に当該薬剤の服用に関し、その服用状況、副作用の有無等について当該患者へ電話等により確認すること(当該調剤と同日に行う場合を除く。)
ロ 必要な薬学的管理及び指導を継続して実施すること。
ハ 処方医へ必要な情報を文書により提供すること。

「1」「2」ともに、保険医療機関からの依頼や、患者やその家族等の依頼があることが要件です。


2024年2月15日木曜日

2024年度診療報酬改定 調剤基本料



2024年度診療報酬改定において、地域の医薬品供給拠点としての役割を担い、地域医療に貢献する薬局の整備を進めていくこと、職員の賃上げを実施すること等の観点から調剤基本料の評価が見直され3点増となりました。

<調剤基本料 改定のポイント>

  • 基本料3点増
  • 特別調剤基本料の評価の見直し
  • 地域支援体制加算の要件を強化。7点減。(解説はこちら
  • 連携強化加算の要件評価見直し。3点増。
  • 在宅薬学総合体制加算が新設。
  • 医療DX推進体制整備加算が新設。

調剤基本料の評価の見直し

調剤基本料2の算定対象となる薬局に、1月における処方箋の受付回数が 4,000 回を超え、かつ、処方箋受付回数が多い上位3の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の合計が7割を超える薬局が加わりました。

特別調剤基本料の評価の見直し

いわゆる同一敷地内薬局への対応として、医薬品の備蓄等の効率性、医療経済実態調査に基づく薬局の費用構造や損益率の状況、同一敷地における医療機関との関係性等を踏まえ、特別調剤基本料を算定する薬局の調剤及び当該同一敷地における医療機関の処方について、評価を見直されます。

  1. 特別調剤基本料がAとBの区分が設けられ、評価が見直されます。
  2. いわゆる同一敷地内薬局を対象とする特別調剤基本料Aにおいては、調剤基本料1、2及び3のイ~ハと同様に調剤基本料の施設基準の届出が求められます。
  3. 調剤基本料にかかる施設基準の届出を行っていない保険薬局に対しては特別調剤基本料Bの算定区分が適用され、調剤基本料の諸加算の算定ができなくなります。

2024年2月14日水曜日

2024年度診療報酬改定 麻薬管理指導加算の「緩和ケアに関するガイドライン」とは



服薬管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料の加算である麻薬管理指導加算について、2024年度診療報酬改定において算定要件が大きく2つ追加になりました。

一つが薬剤交付後の フォローアップの方法を明確化です。
電話等による フォローアップについて、電話の他に情報通信機器を用いた方法も含まれることが明確化されました。そして、一律の内容の電子メールを一斉送信することなどの患者等に一方的に情報発信することのみでは継続的服薬指導を実施したことにはならないことが明確化されました。個々の患者の状況等に応じた必要な対応が求められます。

二つ目は、麻薬による鎮痛等の効果や患者の服薬中の体調の変化の有無の確認等にあたっては、緩和ケアに関するガイドラインを参照して実施することとされました。
緩和ケアに関するガイドラインとは、以下を指します。

書籍購入も可能ですが、いずれも学会及び日本医師会のホームページでPDF版が閲覧可能です。

2024年度診療報酬改定 特定薬剤管理指導加算 【服薬管理指導料】【かかりつけ薬剤師指導料】



 2024年度調剤報酬改定において、服薬管理指導料およびかかりつけ薬剤師指導料の「特定薬剤管理指導加算」の見直し・追加が行われます。


特定薬剤管理指導加算1
は算定要件が変更されます。
ハイリスク薬等(特に安全管理が必要な医薬品)の特に重点的な服薬指導が必要な場合における業務実態を踏まえ、算定対象となる時点等を見直し、明確化されました。

「特に安全管理が必要な医薬品が新たに処方された患者に対して必要な指導を行った場合」と「特に安全管理が必要な医薬品に係る用法又は用量の変更、患者の副作用の発現状況の変化等に基づき薬剤師が必要と認めて指導を行った場合」の2つの時点が明確化され、それぞれ評価されることになります。

特定薬剤管理指導加算3が新設されます。
特に丁寧な説明が必要となる場合を評価するものです。
具体的には
「特に安全性に関する情報活用が必要となる、医薬品リスク管理計画に基づく説明資料を活用する場合及び緊急安全性情報等の医薬品の安全性に関する情報を提供する場合」
「長期収載品の保険給付の在り方の見直しとして導入された選定療養の対象となる品目が処方された患者に対する制度の説明が必要な場合」
など患者に対してより丁寧な説明を実施する必要がある場合の評価です。

特定薬剤管理指導加算3について

(診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 令和6年厚生労働省告示第57号 別表第三)
区分10の3 服薬管理指導料
8 特定薬剤管理指導加算3
(1) 服薬管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指導等に加えて、処方された医薬品について、保険薬剤師が患者に重点的な服薬指導が必要と認め、必要な説明及び指導を行ったときに患者1人につき当該医薬品に関して最初に処方された1回に限り算定する。

(2) 「イ」については、「10の2」調剤管理料の1の(1)を踏まえ、
「当該医薬品の医薬品リスク管理計画に基づき製造販売業者が作成した当該医薬品に係る安全管理等に関する資料を当該患者に対して最初に用いた場合」とは、
以下のいずれかの場合をいう。
・RMPの策定が義務づけられている医薬品について、当該医薬品を新たに処方された場合に限り、患者又はその家族等に対し、RMPに基づきRMPに係る情報提供資材を活用し、副作用、併用禁忌等の当該医薬品の特性を踏まえ、適正使用や安全性等に関して十分な指導を行った場合(RMP資材を配布しただけでは算定不可:当研究会見解
・処方された薬剤について緊急安全性情報、安全性速報が新たに発出された場合等に、安全性に係る情報について提供及び十分な指導を行った場合

(3) 「ロ」に示す
「調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に説明及び指導を行った場合」とは、
以下のいずれかの場合をいう。
・後発医薬品が存在する先発医薬品であって、一般名処方又は銘柄名処方された医薬品について、選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者に対して説明を行った場合
・医薬品の供給の状況が安定していないため、調剤時に前回調剤された銘柄の必要な数量が確保できず、前回調剤された銘柄から別の銘柄の医薬品に変更して調剤された薬剤の交付が必要となる患者に対して説明を行った場合

(4) 対象となる医薬品が複数処方されている場合に、処方箋受付1回につきそれぞれ1回に限り算定するものであること。
また、複数の項目に該当する場合であっても、重複して算定することができない。

(5) 特定薬剤管理指導加算3を算定する場合は、それぞれの所定の要件を満たせば特定薬剤管理指導1及び特定薬剤管理指導加算2を算定できる。

(6) 薬剤服用歴等には、対象となる医薬品が分かるように記載すること。
また、医薬品の供給の状況を踏まえ説明を行った場合には、調剤報酬明細書の摘要欄に調剤に必要な数量が確保できなかった薬剤名を記載すること。

疑義解釈資料の送付について(その1) 令和6年3月28日 事務連絡
【特定薬剤管理指導加算3】
問 18
特定薬剤管理指導加算3について、1回の処方で「イ」に該当する医薬品と「ロ」に該当する医薬品が同時に処方されている場合に、「イ」及び「ロ」 をそれぞれ算定可能か。


(答)特定薬剤管理指導料3の「イ」及び「ロ」は算定できる対象が異なることから、必要事項を満たした説明を行うのであれば算定可能。

問 19
特定薬剤管理指導加算3について、1つの医薬品が、「イ」と「ロ」の 両方に該当する場合に、「イ」と「ロ」を重複して算定することが可能か。


(答)当該事例が生じることは想定されないが、それぞれの観点で必要な説明をしているのであれば算定可能。

問 20
特定薬剤管理指導加算3の「イ」について、患者向けの医薬品リスク管理計画(以下、RMPという。)に係る資材を用いて指導を行った場合は、 指導に使用した患者向けRMP資材を薬剤服用歴等に添付もしくは資材の名称等を記載する必要があるのか。


(答)患者向けRMP資材の薬剤服用歴等への添付及び資材の名称等の記載は不要であるが、指導の要点を薬剤服用歴等に記載すること。

問 21
特定薬剤管理指導加算3の「イ」について、RMPに係る患者向け資材がない医薬品については算定できないのか。
また、薬機法の再審査が終了し、 RMPの策定・実施が解除された医薬品については算定の対象外になるのか。


(答)いずれの場合も算定不可。
RMP提出品目及び資材については、医薬品医療機器総合機構のウェブサイトにて最新の情報を確認した上で指導をする こと。
 (https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/itemsinformation/rmp/0001.html)

問 22
特定薬剤管理指導加算3の「ロ」の後発医薬品が存在する先発医薬品であって、一般名処方又は銘柄名処方された医薬品について、選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者に対して説明を行った場合には、患者が先発医薬品を希望しているにもかかわらず、説明の結果、後発医薬品を選択して選定療養とならなかった場合も算定可能か。


 (答)可能である。


疑義解釈資料の送付について(その8) 令和6年6月18日 事務連絡
【特定薬剤管理指導加算】
問1
特定薬剤管理指導加算3の「イ」又は「ロ」について、当該患者が継続して使用している医薬品ではあるが、当該医薬品に関して、保険薬剤師が 重点的な服薬指導が必要と認め、当該加算の算定要件を満たす説明及び指導を行った場合、初回に限り算定できるか。


 (答)算定可能。

問2
長期収載品の処方等又は調剤について選定療養の仕組み(以下「本制度」 という。)が導入される令和6年10月1日より前の時点で、本制度の対象となる医薬品について患者に対して説明を行った場合、特定薬剤管理指導加算3の「ロ」は算定できるか


 (答)本制度に関し、調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に対し、 当該患者が求める情報について必要かつ十分な説明を行えば算定することができる
 なお、本制度に関する運用上の取扱い(患者が支払う額の具体的な計算方法等)については今後更に周知する予定であるので留意されたい。



2024年2月8日木曜日

フストジル注射液50mg 販売中止と代替品



フストジル注射液50mgが販売中止となるようです。
フストジル注射液50mg 販売中止予定のご案内

在庫品の出荷終了をもって販売を中止(在庫消尽予定時期:2025年2月)されます。

経過措置期間は未定です。

販売中止理由は「諸般の事情」だそうです。

フストジル注射液50mgはグアイフェネシンを成分とする鎮咳去痰注射剤です。
グアイフェネシンは1900年代初め、腸内殺菌剤として用いられていたグアヤコールの欠点であるにおい、味及び胃粘膜の刺激を改良するために開発されました。
その後、グアイフェネシンが筋弛緩作用、気道分泌増加作用、抗痙攣作用、鎮咳作用、中枢鎮静作用を有することが明らかにされ、また、毒性が低く、臨床的に使用しやすい薬剤であることが認められ、製品化、1949年3月20日にフストジル注射液として発売されました。
そして、約75年後、販売中止となりました。


フストジル注射液の代替品

鎮咳去痰薬の注射剤は珍しく、グアイフェネシン(フストジル)の他にデキストロメトルファン臭化水素酸塩注射液5mg「日医工」がありますが、こちらも販売中止です。
デキストロメトルファン臭化水素酸塩注射液5mg「日医工」販売中止のご案内

剤形が注射剤の鎮咳薬には、ヱフェドリン「ナガヰ」注射液40mgがあります。エフェドリンは気管支平滑筋を弛緩させ咳を静める作用はありますが、去痰効果は期待できないため喀痰喀出困難には使用できません。





2024年2月7日水曜日

2024年度診療報酬改定 処方料・処方箋料の特定疾患処方管理加算から、糖尿病、 脂質異常症及び高血圧を除外



2024年度診療報酬改定において、生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から、特定疾患療養管理料と特定疾患療養管理加算について対象患者が見直されます。

特定疾患療養管理料の対象疾患、すなわち告示4特掲診療料の施設基準等の別表第1「特定疾患療養管理料並びに処方料並びに処方箋料の特定疾患処方管理加算1及び特定疾患処方管理加算2に規定する疾患生活習慣病」から糖尿病、高血圧が除外され、脂質異常症も家族性脂質異常症などの遺伝性のもの限定されました。

また、対象疾患にアナフィラキシーとギラン・バレー症候群が追加されました。




処方料及び処方箋料の特定疾患処方管理加算についても同様に糖尿病、高血圧が除外され、脂質異常症は遺伝性疾患に限定されます。
また、処方料及び処方箋料の特定疾患処方管理加算について、特定疾患処方管理加算1は廃止されるとともに、特定疾患処方管理加算2の評価が見直されます。特定疾患処方管理加算2は、リフィル処方箋を発行した場合も算定可能となります。