テトカイン注用20mg「杏林」 が販売中止となるようです。
経過措置期間は2024年3月31日までです。
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/information/pdf/202402tetocainesoldout.pdf
最初の局所麻酔薬として知られるのは、1860年にドイツのNiemanによって発見され、コカの葉から抽出されたアルカロイドであるコカインです。
コカインはその強力な麻酔効果にもかかわらず、高い毒性と中枢神経系への刺激作用が問題視され、より安全な局所麻酔薬の開発が求められました。
この要望に応えて、1905年にEinhornによって合成されたのがプロカインです。
プロカインは、安息香酸の一部である構造からコカインの局所麻酔作用を継承しつつ、毒性が低減された革新的な薬剤でした。
その後、1928年にEislebによって合成されたのがテトラカインです。
テトラカインは、プロカインのベンゼン核のNH2にアルキル基を導入することで局所麻酔作用を増強させたものです。
現在、使用されている局所麻酔薬は「芳香族残基-中間鎖-アミン」といった形をしています。
中間鎖がエステル結合かアミド結合かにより、エステル型とアミド型に大別されます。
テトラカインは、プロカインと同様にエステル型に分類され、アミド型にはリドカインやビブバカインなどが含まれます。
テトカイン注用20mg「杏林」の代替品
テトカインはプロカイン、リドカインより作用が長く毒性も強いため通常の局所麻酔であればリドカインが使用されます。リドカイン及びアミド型麻酔薬に過敏症を示す場合には、エステル型のプロカインが候補になります。
しかし表面麻酔にはプロカインは使用できないため、リドカインアレルギーの方への表面麻酔で使用可能なものはありません。
脊髄くも膜下麻酔の適応があるのはテトカインとアミド型のマーカイン(ブピバカイン)です。テトカイン販売中止で日本における脊髄くも膜下麻酔の適応薬剤はブピバカイン一択となりました。ブピバカインはアミド型のため、リドカインアレルギーの方に使えるエステル型の脊髄くも膜下麻酔薬はありません。