2024年1月23日火曜日

2024年度介護報酬改定 居宅療養管理指導費(薬局関連)


令和6年1月22日厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会において令和6年度の介護報酬改定案が示されました。

薬局に関係する部分(居宅療養管理指導費)について、抜粋してみました。

今回の改定ポイントは3つです。

  1. 基本報酬+1単位増
  2. 薬剤師による情報通信機器を用いた服薬指導の評価の見直し
  3. 麻薬、中心静脈栄養関連の加算が新設

 まず、2024年度改定の施行時期については、診療報酬改定が2024年6月1日施行とされたこと等を踏まえ、「居宅療養管理指導費」も2024年6月1日となります。

1.居宅療養管理指導費 基本報酬

介護報酬の改定率は、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行いつつ、サービス毎の経営状況の違いも踏まえたメリハリのある対応を行うことで、全体で+1.59%を確保されました。そのうち、介護職員の処遇改善分+0.98%、介護職員以外の賃上げが可能となるよう、各サービスの経営状況にも配慮しつつ+0.61%の改定財源について、基本報酬に配分されています。
 居宅療養管理指導費については各居住場所において1単位ずつ増えています。


2.薬剤師による情報通信機器を用いた服薬指導の評価の見直し

オンライン服薬指導に係る医薬品医療機器等法のルールの見直しを踏まえ、薬剤師による情報通信機器を用いた 居宅療養管理指導について見直しが行われています。
 月1回まで(45点)だったものが、居宅療養管理指導の上限である月4回まで(46点)算定可能になります
 算定要件から「診療報酬における在宅時医学総合管理料に規定する訪問診療の実施に伴い、処方箋が交付された利用者であること。」および「指定居宅サービス介護給付費単位数表の居宅療養管理指導費のハ(2)を月に1回算定していること。」が削除され、初回から情報通信機器を用いた居宅療養管理指導の算定が可能になります。また訪問診療において交付された処方箋以外の処方箋に係る情報通信機器を用いた居宅療養管理指導についても算定可能です。


3.麻薬、中心静脈栄養関連の加算が新設

薬剤師が行う居宅療養管理指導について、在宅患者に対して適切な薬物療法を提供する観点から、在宅薬学管理に関する評価の見直しが行われ麻薬、中心静脈栄養関連の加算が新設されました。
医療用麻薬持続注射療法加算 250単位/回> 新設
在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている利用者に対して、その投与及び保管の状況、副作用の有無等について当該利用者又はその家族等に確認し、必要な薬学的管理指導を行った場合に、1回につき250単位を所定単位数に加算。
 算定要件として『麻薬小売業者の免許』を受けていること、および『高度管理医療機器の販売業の許可』を受けていることを満たす必要があります。

※注3に規定される、「疼痛緩和のために厚生労働大臣が定める特別な薬剤の投薬が行われている利用者に対して、必要な薬学的管理指導を行っている場合に算定する加算(100単位)」との併算定は不可。

在宅中心静脈栄養法加算 150単位/回新設
在宅中心静脈栄養法が行われている患者に対して、輸液セットを用いた中心静脈栄養法用輸液等の薬剤の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行うことを評価する新たな加算が設けられました。
在宅中心静脈栄養法を行っている利用者に対して、その投与及び保管の状況、配合変化の有無について確認し、必要な薬学的管理指導を行った場合に、1回につき150単位を所定単位数に加算できます。
 その他、算定要件として『高度管理医療機器の販売業の許可』を受けていること又は『管理医療機器の販売業の届出』を行っていることを満たす必要があります。
(薬局は開設許可をもって管理医療機器販売業の届出を行っているものと特例としてみなされている医薬品医療機器等法施行令第49条第1項が、別途届け出が必要かどうか不明。疑義解釈待ちです。2024年1月22日時点)

終末期におけるがん以外の在宅患者への薬学管理変更
心不全や呼吸不全で麻薬注射剤を使用する患者は頻回な訪問が必要となることから、指定居宅サービス介護給付費単位数表の居宅療養管理指導費のハの注1及び注2の「厚生労働大臣が定める者」に「ロ 注射による麻薬の投与を受けている者」が追記されました。
末期の悪性腫瘍の者及び中心静脈栄養を受けている者と同様に、心不全や呼吸不全で麻薬注射剤を使用する患者も週に2回かつ1月に8回を限度として居宅療養管理指導費を算定することが可能となります。


[指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準]改正告示(令和6年厚生労働省告示第73号)※2024年1月にて公開された案を元に作成しています。告示時変更される可能性があります。

5 居宅療養管理指導費
イ 医師が行う場合
 (略)

ロ 歯科医師が行う場合
 (略)

ハ 薬剤師が行う場合
⑴ 病院又は診療所の薬剤師が行う場合
㈠ 単一建物居住者1人に対して行う場合         566単位
㈡ 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 417単位
㈢ ㈠及び㈡以外の場合 380単位


⑵ 薬局の薬剤師が行う場合
㈠ 単一建物居住者1人に対して行う場合  518単位
㈡ 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 379単位
㈢ ㈠及び㈡以外の場合 342単位


注1 在宅の利用者であって通院が困難なものに対して、指定居宅療養管理指導事業所( 指定居宅サービス基準第85条第1項に規定する指定居宅療養管理指導事業所をいう。以下この注及び注4から注8までにおいて同じ。) の薬剤師が、医師又は歯科医師の指示( 薬局の薬剤師にあっては、医師又は歯科医師の指示に基づき、当該薬剤師が策定した薬学的管理指導計画)に基づき、当該利用者を訪問し、薬学的な管理指導を行い、介護支援専門員に対する居宅サービス計画の策定等に必要な情報提供を行った場合に、単一建物居住者( 当該利用者が居住する建物に居住する者のうち、当該指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が、同一月に 指定居宅療養管理指導を行っているものをいう。)の人数に従い、1月に2回( 薬局の薬剤師にあっては、4回)を限度として、所定単位数を算定する。
 ただし、薬局の薬剤師にあっては、別に厚生労働大臣が定める者に対して、当該利用者を訪問し、薬学的な管理指導等を行った場合は、1週に2回、かつ、1月に8回を限度として、所定単位数を算定する。

 在宅の利用者であって通院が困難なものに対して、薬局の薬剤師が情報通信機器を用いた服薬指導(指定介護予防居宅療養管理指導と同日に行う場合を除く。)を行った場合は、注1の規定にかかわらず、⑵㈠から㈢までと合わせて1月に4回に限り、46単位を算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める者に対して、薬局の薬剤師が情報通信機器を用いた服薬指導(指定居宅療養管理指導と同日に行う場合を除く。)を行った場合は、注1の規定にかかわらず、⑵㈠から㈢までと合わせて、1週に2回、かつ、1月に8回を限度として、46単位を算定する。

疼痛緩和のために別に厚生労働大臣が定める特別な薬剤の投薬が行われている利用者に対して、当該薬剤の使用に関し必要な薬学的管理指導を行った場合は、1回につき100単位を所定単位数に加算する。ただし、注2を算定している場合は、算定しない。

別に厚生労働大臣が定める地域に所在する指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が指定居宅療養管理指導を行った場合は、特別地域居宅療養管理指導として、1回につき所 定単位数の100分の15に相当する単位数を所定単位数に加算する。ただし、注2を算定している場合は、算定しない。

別に厚生労働大臣が定める地域に所在し、かつ、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合する指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が指定居宅療養管理指導を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の10に相当する単位数 を所定単位数に加算する。ただし、注2を算定している場合は、算定しない。

指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が、別に厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して、通常の 事業の実施地域( 指定居宅サービス基準第90条第5号に規定する通常の事業の実施地域をいう。) を越えて、指定居宅療養管理指導を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の5に相当する単位数を所定単位数に加算する。ただし、注2を算定している場合は、算定しない。

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定居宅療養管理指導事業所において、在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている利用者に対して、その投与及び保管の状況、副作用の有無等について当該利用者又はその家族等に確認し、必要な薬学的管理指導を行った場合は、医療用麻薬持続注射療法加算として、1回につき250単位を所定単位数に加算する。
 ただし、注2又は注3を算定している場合は、算定しない。

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定居宅療養管理指導事業所において、在宅中心静脈栄養法を行っている利用者に対して、その投与及び保管の状況、配合変化の有無について確認し、必要な薬学的管理指導を行った場合は、在宅中心静脈栄養法加算として、1回につき150単位を所定単位数に加算する。
 ただし、注2を算定している場合は、算定しない。




[指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について]

6 居宅療養管理指導費
※告示後更新予定