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2023年12月7日木曜日

「後発医薬品がある先発医薬品」に変わるタイミング  2023年12月収載後発品関連



  2023年12月8日に後発品の薬価収載がありました。


各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報が更新され、後発医薬品の数量シェア(置換え率)に影響があります。


「後発医薬品がない先発医薬品」が後発品の登場により「後発医薬品がある先発医薬品」に変わるタイミングは、品目によって違ってきます。

(基本的には発売月の翌月1日から)

切り替わるタイミングに関しては、厚生労働省ホームページの「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報」5.その他(各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報)の備考欄に記載されています。

https://www.mhlw.go.jp/topics/2023/04/tp20230401-01.html


2024年1月1日から「後発医薬品がある先発医薬品」に変更

・レブラミドカプセル2.5mg
・レブラミドカプセル5mg


2024年4月1日から「後発医薬品がある先発医薬品」に変更

・トレリーフOD錠25mg
・トレリーフOD錠50mg

・ベプリコール錠50mg
・ベプリコール錠100mg

・オノアクト点滴静注用50mg
・オノアクト点滴静注用150mg

・ジクアス点眼液3%
・ジクアスLX点眼液3%


2023年11月10日金曜日

乳糖水和物の形状と特徴 粉末と結晶のちがい



 散剤を調製するとき、1包あたりの量が少ない場合には、調剤しやすくするためや服用しやすくするために、それ自身薬理作用をもたない散剤(賦形剤)が加えられます。

調剤に使用される賦形剤は通常、乳糖(乳糖水和物)またはデンプン、あるいは乳糖とデンプンの混合物です。

乳糖は使用頻度の高い賦形剤です。

その性状は日本薬局方で「本品は白色の結晶、粉末又は造粒した粉末である。」と定められています。

散剤の形状には粉末、微細粒(VFG:Very Fine Granule)、細粒(FG:Fine Granule)、顆粒(G:Granule)、微結晶(EFC:Extra Fine Crystal)、結晶(CF:Crystal Form)など 粒子径の大きさ(粒度分布)が様々であるため散剤の粒度分布にできるだけ類似した乳糖を1種類または組み合わせて使用します。


乳糖水和物の粉末と結晶のちがい

乳糖では、粒子が粗いほど流動性をもたらし、粒子が細かくなると混和した主薬の分離防止効果をもたらします。
乳糖は各社、異なる形状のものを販売しています。「粉末」「末」「粒状」「結晶」「倍散用結晶」「細粒」様々あります。
大きな違いは、粒度分布です。粉末は小さい粒子が多く、粒状や結晶、細粒は大きい粒子が多くなります。
注意が必要なのは、「粉末」や「結晶」には明確な粒度分布の定義がありません。メーカーごとに「粉末」や「結晶」の粒度分布が異なります。

一般的な形状の特徴

  • 粉末
    ・・・ 飛び散りやすい。粒子が細かく取り扱いが少し大変(付着しやすい、ダマになる)。ロートエキス散のように飛散性と滑沢性のある散剤には適しています。
  • 結晶(大きめ)
    ・・・ 流動性が高い。器具などに付着しない、分包機の清掃用に適しています。
  • 結晶(小さめ)
    ・・・ 調剤しやすい。「結晶」と謳われている乳糖の殆どがコレ。
  • 倍散用結晶
    ・・・中心粒子径150~250μmと75μm以下のダブルピークの粒度分布をもっています。大小の粒子の両方の性質をもっているので、調剤の際に多くの主剤となじみやすく混ざりやすいです。

※日医工の乳糖水和物は2023年12月販売中止予定


2023年11月9日木曜日

タミフルドライシロップ3%が入手困難な場合の 脱力プセル対応について



タミフルドライシロップ3%が入手困難な場合

  • 5歳以上のインフルエンザ患者においては吸入できる吸入薬で対応します。
  • タミフルカプセル75を脱カプセルし、賦形剤を加えるなどの調剤上の工夫をおこなった上でタミフルドライシロップの用法用量したがって投与します。

タミフルカプセルを脱カプセルした場合、オセルタミビルはとても苦いので小さな子供に飲ませるには一工夫必要です。
乳糖や砂糖を加える、あるいはジュースにとかして飲ませるなどの説明を充分に保護者などにする必要があります。
ジュースなどへ用事懸濁させて飲ませることに関しては、オセルタミビルは、薬物の代謝酵素であるチトクロームP450(CYP)で代謝されず、またCYPの活性にも影響を与えないので可能です。
個人的には「おくすり飲めたね」のチョコレート味と混ぜるのが飲みやすかったです。

脱カプセル調整例

タミフルドライシロップ3%は1g中にオセルタミビルとして30mg含有する散剤です。

30mg/gの散剤10gを予製する場合(15kgの幼児[3~4歳]の5日分に相当)
タミフルカプセル75、4カプセルを脱カプセルします。
カプセル中身に全量が10gとなるよう乳糖で賦形します。
この散剤を1gづつ分包します。

インフルエンザ治療における用法用量
オセルタミビルとして以下の1回用量を1日2回、5日間、用時懸濁して経口投与する。
ただし、1回最高用量はオセルタミビルとして75mgとする。

幼小児の場合:2mg/kg
新生児、乳児の場合:3mg/kg



脱カプセルの保険算定について


2009年の新型インフルエンザ流行時にタミフルドライシロップが入手困難だったときには、厚生労働省がタミフルカプセルを脱カプセルしタミフルドライシロップの用法用量に従って投与した場合に限り薬剤料も算定可能という事務連絡を出していました。

また、タミフルカプセル75mgを脱カプセルし、賦形剤を加えて調剤した上で交付した場合、タミフルドライシロップ3%が入手困難な場合であれば、保険薬局は自家製剤加算を算定できるという事務連絡も出されていました。

2023年においてもインフルエンザが流行している状況下で、オセルタミビルリン酸塩の
ドライシロップ製剤の供給が限定されているため、やむを得ず脱カプセルを行い賦形剤を加えるなどの対応をした場合自家製剤加算を算定できる旨の疑義解釈が示されました。このような場合には、レセプトの摘要欄に「オセルタミビルリン酸塩ドライシロップ製剤の不足のため」等のやむを得ない事情を記載することが必要です。




・「疑義解釈資料の送付について(その 60)」厚生労働省保険局医療課事務連絡(2023年11月8日)
https://ajhc.or.jp/siryo/20231108-60.pdf

・「新型インフルエンザに関連する診療報酬の取扱いについて」厚生労働省保険局医療課 事務連絡(2009年5月26日)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/dl/info0527-01.pdf

・「新型インフルエンザに係るタミフル等に関するQ&Aについて」厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部(2009年11月6日)
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/11/dl/info1106-02.pdf

・「限定出荷に関するご案内 タミフルドライシロップ3%」中外製薬(2023年11月8日)
https://chugai-pharm.jp/content/dam/chugai/product/notice/2023/20231108_01.pdf


・「オセルタミビルリン酸塩ドライシロップの在庫逼迫に伴う協力依頼」厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課 (2023年11月8日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001165070.pdf

2023年11月6日月曜日

メンタックス外⽤液1% メンタックススプレー1% 販売中止と代替品



メンタックス外⽤液1%とスプレー1%が販売中止となるようです。

https://www.kaken.co.jp/wp/wp-content/uploads/medical_products3/2022/09/mentax_202310.pdf

抗⽩癬菌剤 ⽇本薬局⽅ ブテナフィン塩酸塩液 メンタックス外⽤液1%につきましては1992 年発売、抗⽩癬菌剤 ⽇本薬局⽅ ブテナフィン塩酸塩スプレー メンタックススプレー1%につきましては、2004 年発売以来皆様のご愛顧をいただいてまいりましたが、この度諸般の事情により在庫終了をもちまして販売を中⽌することにいたしました。

2025年3⽉末薬価基準削除(予定)です。


メンタックスは科研製薬において合成されたベンジルアミン誘導体、ブテナフィン塩酸塩を有効成分とする外用抗真菌剤です。

1990年代、表在性皮膚真菌症の治療薬はビホナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール等のイミダゾール系抗真菌剤が主流でした。この当時、国内外で強い抗菌活性を有するアリルアミン系化合物(テルビナフィン、ナフチフィン)が発売・開発され注目されていました。

ブテナフィン塩酸塩は骨格的にはアリルアミン系に類似した新しい骨格のベンジルアミン系化合物で、強い抗真菌活性を有し、イミダゾール系に代わるものとして開発され、1994年に承認されました。科研製薬からは「メンタックス」、久光製薬からは「ボレー」というブランド名で発売されました。

また、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、液剤よりも簡単に塗ることができて、手を汚すことがないため使用感がよく、容器を患部に直接付けることがなく衛生的に投与できると考えられるスプレー剤が2008年2月に承認され発売されていました。


メンタックス外⽤液1%の代替品

併売品のボレー外用液が代替品となります。
最小発育阻止濃度の観点で白癬に効果が高いと考えられているのはルリコナゾール、ラノコナゾール、アモロルフィン、テルビナフィン、リラナフタートがあります。
このなかで、液剤が販売されているのは以下のとおりです。

<ルリコナゾール>
・ルリコン液

<ラノコナゾール>
・アスタット液

<テルビナフィン>
・ラミシール液 ほか後発品

<リラナフタート>
・ゼフナート液


メンタックススプレー1%の代替品

スプレー剤は比較的広範囲な部位に対してクリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、液剤よりも簡単に塗ることができ、手を汚すことがないため使用感がよく、容器を患部に直接付けることがなく衛生的に投与できると考えられます。治療上のコンプライアンスの向上が期待できる製剤として選択されます。
ただ、スプレー剤(噴霧剤)が設定されている抗真菌薬はケトコナゾール、ブテナフィン塩酸塩の2つしかありません。
※テルビナフィン(ラミシール)のスプレーが存在していましたが2022年に販売中止となっています。

まず代替は併売品のボレースプレー(ブテナフィン塩酸塩)が挙げられます。
ほかは、以下のとおりです。
<ケトコナゾール>
・ケトコナゾール外用ポンプスプレー2%「日本臓器」
・ケトコナゾール外用ポンプスプレー2%「NR」




2023年10月27日金曜日

フェルビナクパップ70mg「タイホウ」 販売中止と代替品



フェルビナクパップ70mg「タイホウ」が販売中止となるようです。

フェルビナクパップ70mg「タイホウ」販売中止のご案内

経過措置期間は未定です。


フェルビナクパップ 70mg「タイホウ」は他のフェルビナク貼付剤の膏体をさらに少なくし貼付時の使用感に優れた薄型タイプのパップ剤として知られていました。フェルビナク貼付剤の中で唯一の温感タイプです。
フェルビナクパップ 70mg「タイホウ」は有効成分であるフェルビナクの放出性、持続的吸収性等に優れた経皮吸収型鎮痛消炎剤として開発され、2005年1月26 日に『フェルナビオン』として承認されました。また、2019年6月17日にフェルビナクパップ70mg「タイホウ」に販売名変更されました。



フェルビナクパップ 70mg「タイホウ」の代替品

フェルビナクパップ 70mg「タイホウ」は香料に、トウガラシエキスを添加剤として採用しています。トウガラシエキスは人によっては温かく感じる場合があり、フェルビナクパップ 70mg「タイホウ」は温感タイプのパップ剤として知られています。(ただ、カイロのように温度が上がるわけではなく、あくまでも温かく感じる気がするだけです)
温感成分としてトウガラシエキスの他にノニル酸ワニリルアミドが添加されている製剤も存在します。

代替品として、他の温感タイプの消炎鎮痛貼付剤をまとめてみました。

【パップ】
インドメタシン
・ラクティオンパップ

サリチル酸メチル/dl-カンフル/トウガラシエキス
・MS温シップ「タイホウ」
・MS温シップ「タカミツ」
・ラクール温シップ

【テープ】
ケトプロフェン
・ケトプロフェン「ラクール」

ロキソプロフェン
・ロキソプロフェンナトリウム「タイホウ」
・ロキソプロフェンNa「三友」

フルルビプロフェン
・フルルバンパップ(販売中止:2023年)



フルルバンパップ 40mg 販売中止と代替品



フルルバンパップ40mgが販売中止となるようです。

販売中止のお知らせ(科研製薬)
https://www.kaken.co.jp/wp/wp-content/uploads/medical_products3/2022/03/fulruban_202310.pdf

経過措置期間は2025年3月末満了(予定)です。

販売中止の理由は諸般の事情です。


フルルバンパップの有効成分フルルビプロフェンは、強力なプロスタグランジン生合成阻害作用を有する非ステロイド性鎮痛・消炎剤です。経口剤として各種炎症性疼痛疾患に幅広く使用されています。その有効性および安全性は高く評価されています。
貼付剤については、炎症局所への直接効果、非ステロイド性鎮痛・消炎剤特有の副作用の軽減化、さらに投薬管理の簡便化が検討され、臨床的にも有用性の高いことが認められています。

フルルビプロフェン 40mg 含有パップ剤アドフィードパップが1988年に承認・発売されました。フルルバンパップはその後、アドフィードパップと同様にフルルビプロフェン40mgを含有し、同一の効能効果を有するパップ剤として1992年に大協薬品工業が製造承認を取得し発売しました。
その後、途中から基材にノニル酸ワリニルアミドというカプサイシンに近いものを添加してフルルビプロフェンのパップ剤を売る三笠製薬、科研製薬、大正製薬の三社から再度発売されました。そして、大正製薬は2018年に三笠製薬は2019年に販売中止しました。


フルルバンパップ 40mgの代替品

フルルバンパップは安定性の向上を目的として、ノニル酸ワニリルアミドを添加剤として採用しています。ノニル酸ワニリルアミドは人によっては温かく感じる場合があり、フルルバンパップは温感タイプのパップ剤として知られています。(ただ、カイロのように温度が上がるわけではなく、あくまでも温かく感じる気がするだけです)
温感成分としてノニル酸ワニリルアミドの他にトウガラシエキスが添加されている製剤も存在します。

代替品として、他の温感タイプの消炎鎮痛貼付剤をまとめてみました。

【パップ】
インドメタシン
・ラクティオンパップ

サリチル酸メチル/dl-カンフル/トウガラシエキス
・MS温シップ「タイホウ」
・MS温シップ「タカミツ」
・ラクール温シップ

【テープ】
ケトプロフェン
・ケトプロフェン「ラクール」

ロキソプロフェン
・ロキソプロフェンナトリウム「タイホウ」
・ロキソプロフェンNa「三友」

フェルビナク
・フェルビナク「タイホウ」 (販売中止:2023年)



2023年10月26日木曜日

2024年3月末経過措置(予定) 消化酵素配合剤



消化酵素配合剤の多くが販売中止となり、2024年3月末に経過措置(予定)満了を迎えます。

少し、整理してみました。

販売中止の発表がなされ2024年3月末に経過措置期間満了となる消化酵素配合剤は以下のとおりです。

新薬の登場による消化器疾患の薬物治療の進展に伴い、消化酵素製剤としての本製品の臨床上の位置付けが変化し、販売数量は近年減少の一途を辿っております。また度重なる薬価改定により日本薬局方収載品の最低薬価(10.10円)をも下回る薬価(5.70円)まで下落し僅少な売上規模となっております。このような状況下では、品質確保のための老朽化した施設への設備投資、或いは新たな原薬+調達先・製造委託先の探索といった安定供給に向けた取り組みを行うことが非常に難しくなっております。今般あらゆる改善策を模索した結果、販売継続が困難と判断し、厚生労働省や関係学+術団体にご相談の上、本製品の販売を中止させていただくことになりました。

 

総合消化酵素製剤 ボルトミー配合錠につきまして、2021年12月に一時出荷停止の案内をさせていただいておりましたが、諸般の事情により販売を中止させて頂くことになりました。

 

諸般の事情により、甚だ勝手ではございますが、販売中止させて頂くことになりました。

成分の1つである医療用セルロシンA.P.の製造販売の終了に伴い、製造販売の継続が困難となって参りました。既に販売終了予定のご案内を実施いたしましたが、諸々の手続きが完了いたしましたので、在庫が無くなり次第販売を終了いたします。

残された消化酵素配合剤

販売を継続している消化酵素配合剤は4種類です。
  • ケイラーゼSA配合顆粒 
  • フェンラーゼ配合カプセル 
  • ベリチーム配合顆粒 
  • マックターゼ配合錠 


医療用消化酵素製剤の特徴やそれに応じた使い分けについてはこちらのレヴューがよくまとまっています。

2023年10月25日水曜日

ジフルカン静注液 販売中止と代替品



 

ジフルカン静注液が販売中止となるようです。

https://www.pfizermedicalinformation.jp/ja-jp/system/files/attachments/dsy27n001b.pdf?pmidf

販売中止時期は2024年7月を予定されています。


ジフルカンの成分であるフルコナゾールは、1978年にファイザー社(英国、サンドイッチ研究所)で開発されたトリアゾール系の抗真菌剤です。日本では、1989年3月カプセル剤と注射剤が承認されています。 

ジフルカンは、カンジダ属及びクリプトコッカス属に抗真菌活性を示し、これらによる真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症及び真菌髄膜炎に対し使用されます。また、2010年12月に日本小児血液学会・日本小児がん学会から開発要請がなされ、2011年11月には「造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防」の適応拡大され使用されています。


ジフルカンの代替品

ジフルカン静注液のプロドラッグであるプロジフ(ホスフルコナゾール)が候補となります。プロジフは生体内で速やかにフルコナゾールに加水分解されます。フルコナゾールと比べ溶解性が高まったことにより、液量負担が軽減されています。また、負荷投与法を採用することによって、血中フルコナゾール濃度を投与3日目より定常状態として維持することが可能となっています。
しかし、「小児用法・用量」および「造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防」の適応はありません。

小児適応をもつ抗真菌薬はミカファンギン、リポソーマルアムホテリシン B(L-AMB)、フルコナゾール、ボリコナゾール、カスポファンギンがあり、感受性や忍容性を考慮し選択されます。

造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防適応をもつ薬剤にはボリコナゾール、ポサコナゾールとキャンディン系のミカファンギンがあります。こちらも患者ごとの真菌症リスクと抗真菌薬スペクトラムと忍容性を考慮して選択されます。



デジレル 販売中止と代替品




デジレルが販売中止となるようです。

https://www.pfizermedicalinformation.jp/ja-jp/system/files/attachments/dsy27n001b.pdf?pmidf

販売中止時期は2024年10月を予定されています。



デジレルの成分であるトラゾドン塩酸塩は、1971年にイタリアのアンジェリーニ社で開発されたトリアゾロピリジン誘導体の抗うつ薬です。開発当初は慢性疼痛の治療薬として考えられていましたが、抗うつ効果も見出され、抗うつ薬として使われ始めました。

1982年にはアメリカで、ブリストル・マイヤーズスクイブ社の子会社のメッドジョンソン社からDesyrelの名前で発売されました。

日本では1984年に鐘紡株式会社(現:オルガノン)が開発に着手し、1988年から阪急共栄物産株式会社(後の日本アップジョン)が開発に参加し1991年に共同で発売しました。

鐘紡の販売名がレスリン、日本アップジョンはアメリカのメッドジョンソン社の販売名をそのまま使ってデジレルとして販売しました。

デジレル(Desyrel)の名前の由来は「Depressive Symptom Releiver(うつ症候軽減薬)」の略です。



睡眠薬っぽい抗うつ薬トラゾドン

トラゾドンは5HT2a/c受容体に拮抗する作用と、SERTを阻害する作用を兼ね備えている薬です。

不安に関連するセロトニン5HT2a/c受容体の拮抗とセロトニン再取り込み阻害作用によりセロトニンが効率よく働くことで抗うつ作用を示します。

しかし、アドレナリンα1受容体及びヒスタミンH1受容体遮断作用をもつため眠気の副作用があります。

この強い眠気のため、睡眠薬っぽい抗うつ薬として認知され、それどころか睡眠薬として書籍で紹介されていたりします。

適応用量は75mg~200mgですが、酷い眠気とふらつきのためここまで増量されることはほとんど無く、多くは50mg程度を眠前に服用されています。

25~50mgではセロトニン再取り込み阻害作用はほとんど無く、H1受容体遮断とセロトニン5HT2a/c受容体拮抗作用のみ現れます。

睡眠では5HT2c活性の低下は徐波睡眠を増やして深い眠りを与えると考えられています。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の乱用が叫ばれる昨今、価値のある睡眠薬です。


デジレルの代替品

デジレルには併売品のレスリンがあります。

そのほか、デジレル・レスリンには後発品があります。

2023年8月28日月曜日

アクトヒブ 薬価収載2023.08.30



乾燥ヘモフィルスb型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)「アクトヒブ」(以下、アクトヒブ)が、2023年8月30日付で薬価基準に収載されることが、2023年8月23日中医協総会にて了承されました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00202.html


なぜ、アクトヒブが薬価収載されたのでしょうか?

通常、予防に使うワクチンは保険適応にならず薬価基準には収載されません。アクトヒブも2008年12月に発売されたときには薬価収載されていませんでした。

今回、アクトヒブが薬価基準収載されることとなった背景は2023年3月にインフルエンザ菌b型に対するワクチン接種が事前に必要な薬剤である「エムパベリ皮下注1080mg」が製造販売承認を取得したことにより、混合診療による保険給付の制限を回避するためです。

なおアクトヒブは、成人(造血幹細胞移植後や免疫を低下させる薬剤が投与された患者等)への接種ができるように、2023年6月1日に添付文書の改訂が行われ、5歳未満の年齢制限がなくなり、すべての年齢において接種が可能になっています。


アクトヒブの薬価(2023年8月時点)

10㎍1瓶(溶解液付) 4,941円


算定方式は類似薬効比較方式(I)で比較薬は肺炎球菌ワクチンのニューモバックスです。また、アクトヒブが標準的に予防接種法における定期接種のワクチンとして位置付けられていることから、有用性加算、新薬創出・適応外薬解消等促進加算が適応されました。


アクトヒブはどんな人が保険適応されますか?

添付文書の「25.保険給付上の注意」に記載があります。

アクトヒブはペグセタコプラン「エムパベリ皮下注1080mg」投与患者に保険給付が限定されます。

エムパベリRMP資料より


2023年3月21日火曜日

ビデュリオン皮下注用2mgペン 販売中止と代替品(経過措置2023年3月31日迄)



ビデュリオン皮下注用2mgペンが販売中止となるようです。2022年5月販売中止。


経過措置期間は2023年3月31日です。
2023年4月からは保険請求はできません。


販売中止の理由は、明確にはされていませんが「競合が多く、市場が厳しい」ことが理由だとも言われています。


ビデュリオン皮下注用2mgペンの有効成分であるエキセナチドはGLP-1の主成分であるGLP-1(7-36)amideの対応部分のアミノ酸配列において53%の相同性を示し、化学合成により製造されています。ビデュリオンはGLP-1受容体作動薬に分類される2型糖尿病治療薬です。薬理作用については、膵β細胞からのグルコース依存性のインスリン分泌促進作用、高血糖時における過度のグルカゴン分泌抑制作用などが考えられています。これにより2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善します。

エキセナチドは、2005年4月に1日2回投与製剤のバイエッタ皮下注として米国において世界で初めて承認を取得しています。日本においては2010年10月に承認されています。
ビデュリオンは、エキセナチド(バイエッタ皮下注)の週1回投与製剤として開発されました。エキセナチドを生分解性のポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)のマイクロスフェア内に包埋することにより、週1回皮下投与の徐放性製剤として、エキセナチドを1日2回皮下投与するバイエッタ皮下注と同様な効果を示すように設計されています。

ビデュリオンは皮下投与するとPLGAが徐々に分解され、長時間にわたり循環血中にエキセナチドを放出するため、有効成分であるエキセナチドによる効果が持続し、週1回投与で2型糖尿病患者の血糖コントロール改善を可能としています。
もともとビデュリオンのシリンジ製剤をイーライリリー社とアミリン社で共同開発していました、2001年頃の話です。日本においては2012年に日本イーライリリー株式会社が製造販売承認を取得しその後、2012年11月にアストラゼネカ株式会社に承継されています。(当初からリリーはビデュリオンに見切りをつけてトルリシティに軸を移していたのでしょうか)

シリンジ製剤はバイアルに入ったエキセナチドマイクロスフェア、シリンジに充塡された懸濁用液、バイアルコネクター及び専用注射針を組み合わせ、単回投与用のキット製剤として提供されていましたが、調製及び操作手順が煩雑で使えたものではありませんでした。。

そのため患者がより簡便に自己注射できる製剤を検討し、エキセナチドマイクロスフェア及び懸濁用液がカートリッジ内に予め組み込まれた単回使用ペン型注入器が開発され2015年に承認されました。ペン型製剤の登場によりシリンジ製剤は販売を中止し2018年3月に薬価基準から削除されました。ペン型製剤を市場に投入しましたが、既にペン型製剤でシェアを獲っていたトルリシティの後塵を拝し2022年ビデュリオンは販売を中止しました。


ビデュリオンの代替品

エキセナチド1日2回投与製剤のバイエッタ皮下注が候補になります。

ただ、ビデュリオンからバイエッタ皮下注に切り替える際には、ビデュリオンとバイエッタ皮下注では併用可能な薬剤が異なるので注意が必要です。

ビデュリオンは、以下の場合に適用可能です。
食事療法・運動療法に加えて
スルホニルウレア剤、
ビグアナイド系薬剤及び
チアゾリジン系薬剤
(各薬剤単独療法又は併用療法を含む)
による治療で十分な効果が得られない場合

一方、バイエッタ皮下注は、
食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤単剤療法、
あるいは
スルホニルウレア剤を含むビグアナイド系薬剤又はチアゾリジン系薬剤
との併用療法で効果不十分な場合
に適用可能です。

ビデュリオンは、
スルホニルウレア剤を使用していない場合であっても、
ビグアナイド系薬剤及びチアゾリジン系薬剤の単独療法あるいは併用療法で効果が不十分な場合であれば適用が可能ですが
バイエッタ皮下注はスルホニルウレア剤の使用していることがマストとなっています。

以上のようにビデュリオンとバイエッタ皮下注では併用可能な薬剤が異なるため、ビデュリオンからバイエッタ皮下注に切り替える際には注意が必要です。

GLP-1受容体作動薬(注射)除く配合剤

ビデュリオンと同様に注射回数が減らせる長時間作用型が良い場合は、それぞれ特徴をもつデュラグルチド(トルリシティ)、セマグルチド(オゼンピック)、チルゼバチド(マンジャロ)が候補になります。

デュラグルチドは日本での承認用量ではありませんが心血管イベント抑制の有効性が実証されています。[PMID: 31189511]

セマグルチドは体重抑制・体重低下に関する報告が多く、日本でも「やせ薬」として『ウゴービ皮下注』として承認される見込みです。

チルゼパチドはGLP-1の他にGIP受容体にも作用し、日本人において顕著なHbA1c低下と体重減少をもたらすことが報告されています。[PMID: 35914543]


ゼストリル 販売中止と代替品(経過措置2023年3月31日迄)



ACE阻害薬のゼストリルが販売中止となるようです。2022年5月販売中止。

経過措置期間は2023年3月31日までです。
2023年4月からは保険請求できません。


ゼストリルの有効成分であるリシノプリルは,米国メルク・シャープ・アンド・ドーム社の研究所において 1970 年代の後半に200 種以上の N-カルボキシメチル置換ジペプチド誘導体の中から、SH 基を有さず、強力なアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性を有する化合物として合成されました。その後、米国メルク社と英国インペリアル・ケミカル・インダストリー PLC 社〔英国 ICI 社(現英国アストラゼネカ社)〕と降圧薬として共同開発されました。日本では1985 年より臨床試験を開始し、1991年6月に高血圧症の治療薬として承認を得ました。アストラゼネカと塩野義製薬によるプロモーションが開始されアストラゼネカはゼストリル、塩野義製薬はロンゲスの一物二名称で販売されました。

後に、慢性心不全についても、開発が行われ、ジギタリス製剤、利尿剤等の基礎治療剤を投与しても十分な効果が認められない軽症から中等症の慢性心不全に対する治療薬として、1995年6月に承認を得ています。

2022年に販売中止が決定されました。


ゼストリルの代替品

同一成分のロンゲスがあります。発売開始当初は塩野義製薬が販売していましたが、2016年に共和薬品工業株式会社に販売移管されています。

また、ゼストリルやロンゲスには後発品があります。

ACE阻害薬一覧(2023年3月時点)


2023年3月17日金曜日

ソロン錠・カプセル・細粒 販売中止と代替品(経過措置:2023年3月31日迄)



ソロン錠50、ソロンカプセル100、ソロン細粒20%が販売中止となるようです。
https://medical.taisho.co.jp/di/oshirase/others/202110sl.pdf

経過措置は2023年3月31日までです。(2023年4月1日以降は保険請求ができません)
https://medical.taisho.co.jp/di/oshirase/others/202301sl.pdf


ソロンはソファルコンを有効成分とする胃炎・胃潰瘍治療剤です。内因性プロスタグランジン増加作用、血流増加作用、粘液増加作用等、多面的な防御因子増強作用により、粘膜保護・組織修復を促進する作用があります。
ソファルコンの起源はは、古来より中国において主として消化器疾患の治療剤に用いられてきた漢薬広豆根(Sophora subprostrataの根)です。大正製薬株式会社がこの成分のスクリーニングを行い、その成分の一つであるソフォラジンに抗潰瘍作用のあることを見出しました。しかし、ソフォラジンは抽出あるいは合成収率が僅少であり、また化学的にも安定性を欠くため、ソフォラジンの類縁のイソプレニルカルコン誘導体を多数合成し、スクリーニングを行いました。その結果、ソファルコンが有効性、安全性並びに化学的安定性の面から、最も適切な消化性潰瘍治療剤になり得ると判断され、医薬品としての開発が始まりました。そして、ソロンカプセル及びソロン細粒が1984年に発売されました。
コンプライアンスの向上をはかることを目的に、患者個人の条件に合った最適な治療を可能にするため、これまでのカプセル剤、細粒剤に加え、新たにソロン錠が1994年発売されました。ソロン細粒はコンプライアンスの向上を目的に、1回に服用する製剤量を半量にし、清涼感のある風味(スペアミント)をつけた粒剤20%として2004年にマイナーチェンジされました。
2021年に販売中止が案内され、40年近い歴史に幕を閉じました。

 

胃潰瘍治療のソファルコンの位置づけ

胃潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)において、防御因子増強薬は酸分泌抑制薬と併用されることがあります。しかしPPIを使用する場合、PPIと防御因子増強薬の併用によっても潰瘍治癒の上乗せ効果は得られないため、PPIの単独投与が推奨されます。H2ブロッカーとテプレノンとの併用では潰瘍治癒の上乗せ効果がありますが、ソファルコンの併用には上乗せ効果はありません。
また、ソファルコンは胃潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)では、プラセボとの比較について胃潰瘍治癒効果に関するエビデンスに乏しいとされています。酸分泌抑制薬と同等の胃潰瘍治癒効果を期待できないので、単剤では第一選択薬として勧められず、PPI、ボノプラザン、H2ブロッカー、スクラルファート、ミソプロストールのいずれの薬剤も投与できない場合に使用されるにとどまっています。


ソロンの代替品

ソロンには後発品が存在します。

ソファルコン細粒20%「YD」
ソファルコン細粒20%「サワイ」
ソファルコン細粒20%「TYK」
ソファルコン細粒10%「YD」
ソファルコン細粒10%「サワイ」
ソファルコン錠50mg「TCK」
ソファルコンカプセル100mg「TCK」


胃潰瘍治療においてソロンを選択する場合は、PPI、ボノプラザン、H2ブロッカー、スクラルファート、ミソプロストールのいずれの薬剤も投与できない状況が想定されます。ソロン以外の防御因子増強薬(スクラルファート、ミソプロストールを除く)には以下があります。

  • テプレノン(セルベックス)
  • レバミピド(ムコスタ)
  • イルソグラジンマレイン酸塩(ガスロンN)
  • スルピリド(ドグマチール)
  • セトラキサート塩酸塩(ノイエル)
  • トロキシピド(アプレース)
  • ベネキサート塩酸塩ベータデクス(ウルグート)
  • アズレンスルホン酸ナトリウム水和物(マーズレン)
  • アルギン酸ナトリウム(アルロイドG)
  • アルジオキサ
  • エカベトナトリウム水和物(ガストローム)
  • エグアレンナトリウム水和物(アズロキサ)
  • スクラルファート水和物(アルサルミン)
  • ポラプレジンク(プロマック)
  • メチルメチオニンスルホニウムクロリド(キャベジンU)

2023年3月15日水曜日

ニフラン錠75mg 販売中止と代替品(経過措置:2023年3月31日)



ニフラン錠75mgが販売中止となるようです。
https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/info/ifn_5389_P20288.pdf

経過措置期間:2023年3月31日迄
2023年 4月 1日以降の投薬分につきましては、保険請求ができなくなります。

ニフラン錠はプラノプロフェンを有効成分とする。日本初のプロピオン酸系の酸性非ステロイド性鎮痛・抗炎症・解熱剤です。
プラノプロフェンはサリチル酸系とプロピオン酸系薬剤の薬理作用を併せもつ三環構造を基本骨格とする化合物として創製されました
1981年6月4日プラノプロフェン製剤(ニフランカプセル)の承認を取得し、1981年12月にニフランカプセルの販売が開始されました。ニフランカプセルの販売開始後、高齢者や嚥下困難な患者での服用の容易化を目的に1988年9月よりニフラン錠の販売を開始されました。これに伴いニフランカプセルは販売を中止しています。
誕生から35年、二フラン錠剤はその役目を終え販売中止となりました。


ニフラン錠の代替品

ニフラン錠には後発品があります。
ただ、後発品には錠剤はなくすべてカプセル剤です。

  • プラノプロフェンカプセル75mg「日医工」


「痛風発作」の適応を持つNSAIDs
ニフラン錠は、「痛風発作」の適応を持っているのが特徴です。
ニフランと同じプロピオン酸系のNSAIDsには痛風発作の適応をもつものがいくつかあります。

  • アルボ(オキサプロジン)
  • ナイキサン(ナプロキセン)



2023年3月14日火曜日

サプレスタ-ベック 販売中止と代替品(経過措置:2023年3月31日迄)



 降圧薬のサプレスタ・ベック顆粒、カプセルが販売中止となるようです。
サプレスタ:
「サプレスタ」経過措置期間満了のお知らせ(PDF形式:170KB) 
ベック:
https://www.nichiiko.co.jp/medicine/file/47530/information/o-DG1222-02.pdf

経過措置は2023年3月31日まで


「サプレスタカプセル5mg」、「サプレスタカプセル10mg」及び「サプレスタ顆粒2%」そして「ベックカプセル5mg」、「ベックカプセル10mg」及び「ベック顆粒2%」は大鵬薬品工業株式会社及びマルコ製薬株式会社において共同開発されたアラニジピンを有効成分とする持続性Ca拮抗薬です。
降圧作用がよく知られているジヒドロピリジン系化合物を基本としてより優れた医薬品創製の目的で研究に着手し、1981 年にニフェジピンのエステル残基中にカルボニル基を導入したアラニジピンが合成されました。1987年から臨床試験が開始され、1日1回経口投与で安定した降圧効果を示すことが認められました。
大鵬薬品工業株式会社とマルコ製薬株式会社は、1996年1月31日に「サプレスタ顆粒」と「ベック顆粒」の製造承認を取得しました。その後、2003年3月14日にカプセル剤の製造承認を取得しました。2004年12月1日より「ベック」は日医工株式会社が販売を開始しました。

サプレスタ・ベック(アラニジピン)はジヒドロピリジン系第二世代のカルシウム拮抗薬です。血管平滑筋細胞におけるカルシウムチャネルに作用して、細胞外より細胞内へのカルシウムイオンの流入を抑制することにより、血管平滑筋を弛緩し、降圧効果を発揮します。腸溶性基剤を用いた固体分散体を顆粒とすることで、急激な血中濃度の上昇を抑え、吸収パターンの個体差を少なくさせた持続技術が特徴です。


サプレスタ・ベックの代替品

1日1回タイプのカルシウム拮抗薬であればどれも代替になりえます。
よく使用されているのはニフェジピン徐放製剤アムロジピンです。


カルシウム拮抗薬の分類の一つに、作用するカルシウムチャネルのサブタイプで分類されます。このサブタイプにはL型、N型、T型などが存在します。どのチャネルを阻害するかにより副次的な作用が期待される場合もあります。アラニジピンはL型チャネルに拮抗するタイプです。

L型チャネルのほかN型やT型に作用するカルシウム拮抗薬がありますが、臨床的な差異についてエビデンスは少なくわからないことが多いです。そのため切り替え時には、適応症、肝・腎機能、既往歴、アレルギーを確認し、個人により反応性は異なるので切り替え後には血圧をモニターする必要があります。

2023年3月12日日曜日

ペントナ散1% ・錠4mg 販売中止と代替品(経過措置:2023年3月31日迄)



 薬剤性パーキンソン症候群治療剤のペントナが販売中止となるようです。
https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/info/ifn_5390_P20289.pdf

経過措置は2023年3月31日までです。
https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/info/ifn_5457_P20356.pdf


ペントナの有効成分であるマザチコール塩酸塩水和物は、田辺製薬株式会社(現 田辺三菱製薬株式会社)がグラナタン誘導体群の化学構造と生物活性を系統的に検討したことにより見出され他化合物です。マザチコール塩酸塩水和物は、より選択的に中枢性抗コリン作用を有するを特性を持っています。

この特性を利用し 薬剤性パーキンソン症候群治療剤として1976年4月にペントナ錠剤、散剤の承認を取得し、1978年5月に販売を開始されました。

ペントナの名前の由来は「構造式に 5 員環(penta)をもった薬剤性パーキンソン症候群治療剤」ということらしいです。昔の薬は構造式に名前の由来を持つものが多い気がします。


「向精神薬投与によるパーキンソン症候群」という珍しい適応を持つ薬でしたが、誕生から45年で販売中止となってしましました。


薬剤性パーキンソニズム

ペントナの適応の薬剤性パーキンソニズムは、医薬品の副作用として引き起こされるパーキンソン病類似の症状のことです。薬剤性パーキンソニズムを起こしやすいものとして,一部の抗精神病薬,胃腸薬があります。ドパミン受容体をブロックし,線条体におけるドパミンの作用を減弱することに起因します。原因となる医薬品を継続して内服することによりリスクは高まります。



薬剤性パーキンソニズムの基本的な対応法は、原因として疑われる医薬品の中止です。投与中止、減量、代替の医薬品への変更により症状が改善たという報告は多いです。中止から稀に半年くらいかかることもありますが、ほとんどが2、3 ヵ月で症状が消失します。
ただ、重度の精神疾患が背景にあり、どうしても薬剤性パーキンソニズムの誘因となっている抗精神病薬を中止や減量ができない場合問題となりやすいです。そういう場合は薬剤性パーキンソニズムをより起こしにくい医薬品である非定型抗精神病薬のクエチアピンやクロザピンへの変更を検討します。精神症状が強く中止も変更も困難な場合に抗コリン薬が併用されます。
また、生活上、トラブルになるような運動症状を合併する例についてペントナ(マザチコール)などの抗コリン薬やレボドパ、アマンタジンで加療されます。
いずれの医薬品も、精神症状を悪化させるリスクもあるため、慎重に経過を見ながら投薬の継続、中止を判断します。

薬剤性パーキンソニズムを疑った場合の対応方法

ペントナの代替品

・抗コリン薬

日本でよく使用されている抗コリン薬にアーテン(トリヘキシフェニジル)があります。
ただし、抗コリン薬は薬剤性パーキンソニズムによる運動症状により生活上トラブルになるような場合に使用されていますが、一方で認知機能障害、せん妄、幻覚、便秘、排尿障害、口渇などを生じることがあり高齢患者や認知機能が低下している患者には注意が必要です。


参考:重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1c45.pdf



2023年3月10日金曜日

レスタス 販売中止と代替品(経過措置:2023年3月31日迄)



 レスタス錠2mgが販売中止となるようです。
https://medical.nihon-generic.co.jp/a.php?id=785

『レスタス錠2mg』は、原薬製造先が行政処分を受け、原薬調達が不可能となり限定出荷となっていました。新たな原薬製造先を確保することができず販売を中止となりました。

経過措置期間は2023年3月31日までです。


レスタス錠の有効成分フルトプラゼパムは鐘紡株式会社(現 クラシエ製薬株式会社)により開発された持続性心身安定剤です。オルガノン(現MSD)が1986年4月に承認を取得しました。2016年10月にMSDから製造販売承認を日本ジェネリックへ移管しました。従来のベンゾジアゼピン系化合物の中でも強い抗不安作用と作用持続性を有しており、神経症、心身症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害等に対して改善効果を示すと言われていました。
ただ、ベンゾジアゼピン系の中でも存在感は薄い薬です

レスタスの代替品

レスタスはデスアルキルフルラゼパム系ベンゾジアゼピン誘導体という構造上の分類に属します。先行して販売されていたセダプラン[※2012年販売中止](プラゼパム)とダルメート(フルラゼパム)を合わせて2で割ったような構造をしています。フルラゼパムをベースにプラゼパムのプロドラッグ技術のシクロプロパンをくっつけた構造です。

同じくフルラゼパムをプロドラッグ化した薬があります。メイラックス(ロフラゼプ酸)です。ロフラゼプ酸はフルラゼパムをベースにジゼアゼピン環の3位にカルボキシル基がくっついた構造をしています。体内に吸収時に加水分解されることで効果を発揮するプロドラッグ化が施されています。

メイラックスもレスタス同様に24時間を超える半減期をもち、プロドラッグであり副作用も軽減されています。

メイラックスを代替にしても良いのですが、

現在、不安の処方のメインは依存の出ないSSRIです。依存リスクのあるのベンゾジアゼピン系は補助的にしか使われなくなっています。

治療のスタンスによって、代替になる薬は変わってくると思います。


2023年3月7日火曜日

イソミタール原末 販売中止と代替品



イソミタール原末が販売中止となるようです。
2022年10月供給停止、在庫なくなり次第販売中止。

https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/info/20221003.pdf


経過措置期間満了日(予定)

2024 年 3 月 31 日


イソミタール原末の成分であるアモバルビタールは、1923年Shonleらによって合成され、アメリカのLilly社よりAmytal として発売されました。日本では1950 年2月より発売されていました。2023年供給を停止し販売中止となりました。

アモバルビタールはバルビツール酸誘導体のひとつです。服用後約30 分で入眠し、4~6 時間熟眠が得られ、中間型バルビツールに分類されます。短時間型のペントバルビタール(ラボナ)との構造的な違いはメチル基の位置のみです。臨床力価にはほぼ差がないと考えられています。中間型なので短時間型のペントバルビタールよりは耐性はつきにくいと思われますが、常用するとすぐに増量しなければならなるため、頓服的で用いられるのはペントバルビタールと同様です。
アモバルビタールといえば、東大病院が考案したブロモバレリル尿素との混合処方、通称「イソブロ」が有名です。1950年代くらいはよく効くとして全国的に見られた処方のようですが、日中の眠気や依存性の問題が指摘されていました。より安全な薬が登場した昨今では、「イソブロ」処方もバルビツールが大好きな高齢の医者の切り札的処方か、これじゃないと暴れてどうしようもない患者がいるとか、独特な理由の限られたケースでしか拝むことはなくなりました。
(ブロバリンは2023年販売を中止しています|ブロバリン原末 販売中止と代替品


アモバルビタールといえば、カフェインを混合した静注が自白剤として使われていました。自白剤なんて小説の中の話みたいですが、脳全体の機能を抑制して相手の話に何も疑いを感じなくなってしまうそうです。これは海外だけの話ではなく、日本においても「イソミタール・インタビュー」として精神鑑定に使用されていた過去があります。(海外ではamytal interviewといわれる )


 イソミタール原末の代替薬

バルビツール系薬剤を積極的に使用することは考えにくいので、ガイドラインのアルゴリズムに則って個々の患者さんに適した薬剤を考える必要があります。


・不眠症治療薬:
スボレキサント(ベルソムラ錠:MSD㈱)

・催眠鎮静剤:
ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー錠:アステラス製薬㈱)
ブロチゾラム(レンドルミン錠:日本ベーリンガーインゲルハイム㈱)

・抗不安剤:
ロラゼパム(ロラゼパム錠「サワイ」:沢井製薬㈱)

2023年3月5日日曜日

2023年4月から新たに診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品



2023年度の薬価改定で、

後発医薬品の数量シェア(置換え率)の計算に関係する分類が前年度から変更となった品目についてまとめてみました。

後発医薬品の数量シェア(置換え率)
〔後発医薬品の数量〕/(〔後発医薬品のある先発医薬品の数量〕〔後発医薬品の数量〕
=〔3で分類される品目の数量(★を除く)〕/(〔2で分類される品目の数量(☆を除く)〕+〔3で分類される品目の数量(★を除く)〕)

2023年4月から新たに加算等の算定対象となる後発品に該当するもの(分類3)

メキシレチン塩酸塩錠100mg「KCC」
濃グリセリン・果糖200mL注射液(バッグ)
濃グリセリン・果糖200mL注射液(ボトル)
テルフィス点滴静注
アセトキープ3G注(200mL)
アセトキープ3G注(500mL:ボトル)
アセトキープ3G注(500mL:バッグ)
ステイセーフバランス 1/2.5腹膜透析液
イオヘキソール300注シリンジ80mL「FF」
統一名収載:アセトアミノフェン50mg坐剤
統一名収載:アセトアミノフェン100mg坐剤

2023年4月から新たに後発医薬品のある先発医薬品に新たに該当するもの(分類2)

レクサプロ錠10mg
レクサプロ錠20mg
サムスカOD錠15mg
ネキシウムカプセル10mg
ネキシウムカプセル20mg
グリセオール注
アミノレバン点滴静注
ヴィーン3G輸液
ダイアニール-N PD-4 2.5腹膜透析液
ボンビバ静注1mgシリンジ
キュビシン静注用350mg
オムニパーク240注シリンジ100mL
オムニパーク300注シリンジ50mL
オムニパーク300注シリンジ100mL
オムニパーク300注シリンジ80mL
オムニパーク300注シリンジ150mL
オムニパーク300注シリンジ125mL
オムニパーク350注シリンジ70mL
オムニパーク300注シリンジ110mL
カロナール坐剤小児用50
カロナール坐剤100
ルリコン軟膏1%
ルリコンクリーム1%
ルリコン液1%

2023年4月から新たに後発医薬品と同額又は薬価が低い先発品に該当するもの(☆)

これらは、数量シェアの計算式から除かれます。
レキソタン細粒1%
デパケン細粒20%
デパケン細粒40%
トロペロン錠0.5mg
リスパダールOD錠0.5mg
コロネル細粒83.3%
ポリフル細粒83.3%
1%ディプリバン注
セルシン注射液5mg
ホリゾン注射液10mg
セルシン注射液10mg
ダイアニール-N PD-2 2.5腹膜透析液
エクストラニール腹膜透析液
5-FU注250mg
パンスポリン静注用1gバッグS
セファメジンα注射用2g
セフメタゾン静注用1g
イオパミロン注150
イオパミロン注300シリンジ
オムニパーク300注100mL
プロスコープ300注シリンジ100mL
アルピニー坐剤200
ヒーロン眼粘弾剤1%シリンジ0.4mL
ダイアコート軟膏0.05%
ダイアコートクリーム0.05%
アンテベート軟膏0.05%
アンテベートクリーム0.05%
アンテベートローション0.05%
カトレップパップ70mg
カトレップテープ70mg
ジルダザック軟膏3%

2023年4月から新たに先発医薬品と同額又は薬価が高い後発品に該当するもの(★)

これらは、数量シェアの計算式から除かれます。
ブロマゼパム細粒1%「サンド」
ブロマゼパム1mg錠
メダゼパム錠2(ツルハラ)
メダゼパム錠5(ツルハラ)
バルプロ酸ナトリウム20%細粒
バルプロ酸ナトリウム40%細粒
バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」
バルプロ酸Na錠100mg「フジナガ」
バルプロ酸ナトリウム200mg錠
バルプロ酸Na錠200mg「フジナガ」
バルプロ酸ナトリウムSR錠100mg「アメル」
チミペロン0.5mg錠
リスペリドン0.5mg錠
リスペリドン0.5mg口腔内崩壊錠
メチルジゴキシン0.05mg錠
イソソルビド70%20gゼリー
イソソルビド70%30gゼリー
イソソルビド内用液70%分包30mL「CEO」
カルベジロール1.25mg錠
沈降炭酸カルシウム錠250mg「武田テバ」
沈降炭酸カルシウム錠250mg「NIG」
ジメモルファンリン酸塩錠10mg「TCK」
テオフィリン50mg徐放錠
テオロング錠100mg
テオロング錠200mg
テオフィリン徐放カプセル100mg「サンド」
テオフィリン徐放カプセル200mg「サンド」
テオフィリン50mg徐放カプセル
レバミピド100mg錠
レバミピド100mg口腔内崩壊錠
ポリカルボフィルCa細粒83.3%「日医工」
クロルマジノン酢酸エステル錠25mg「日新」
リトドリン塩酸塩錠5mg「あすか」
球形吸着炭細粒分包2g「日医工」
アロプリノール錠50mg「アメル」
アロプリノール錠50mg「杏林」
アロプリノール錠50mg「ケミファ」
アロプリノール錠50mg「タカタ」
アロプリノール錠50mg「テバ」
アロプリノール錠50mg「日新」
アロプリノール錠50mg「あゆみ」
アロプリノール錠50mg「タナベ」
アロプリノール錠50mg「ファイザー」
アロプリノール錠50mg「DSP」
アロプリノール錠50mg「VTRS」
メトホルミン塩酸塩250mgMT錠
クレマスチン錠1mg「タカタ」
ケトチフェンシロップ0.02%「日医工」
セフィキシム細粒小児用5%「武田テバ」
クラリスロマイシンDS小児用10%「タカタ」
クラリスロマイシンドライシロップ10%小児用「タイヨー」
クラリスロマイシンドライシロップ10%小児用「大正」
トリアムシノロンアセトニド口腔用貼付剤25μg「大正」
メサラジン注腸1g「ケンエー」
グリジール軟膏0.05%
クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏0.05%「ラクール」
グリジールクリーム0.05%
クロベタゾールプロピオン酸エステルクリーム0.05%「ラクール」
グリジールスカルプローション0.05%
クロベタゾールプロピオン酸エステルローション0.05%「イワキ」
クロベタゾールプロピオン酸エステルローション0.05%「ラクール」
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏0.3%「YD」
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルクリーム0.3%「YD」
クロベタゾン酪酸エステル軟膏0.05%「イワキ」
クロベタゾン酪酸エステル軟膏0.05%「ラクール」
クロベタゾン酪酸エステル0.05%クリーム
クロベタゾン酪酸エステル0.05%ローション
ジフロラゾン酢酸エステル0.05%軟膏
ジフロラゾン酢酸エステル0.05%クリーム
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル0.05%軟膏
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル0.05%クリーム
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル0.05%ローション
インドメタシンパップ70mg「日医工」
インドメタシンパップ70mg「YD」
インドメタシンパップ70mg「三友」
インドメタシンパップ70mg「BMD」
インドメタシンパップ70mg「ハラサワ」
ベンダザック3%軟膏
プロポフォール1%静注100mL「日医工」
プロポフォール静注1%100mL「FK」
プロポフォール静注1%100mL「マルイシ」
プロポフォール1%静注100mL「VTRS」
ミダゾラム注射液10mg「テバ」
ミダゾラム注射液10mg「NIG」
ジアゼパム5mg注射液
ジアゼパム10mg注射液
ニトログリセリン点滴静注25mg/50mL「TE」
グリセリン・果糖配合点滴静注「HK」
ヒシセオール配合点滴静注
ヒカリレバン注
テルフィス点滴静注
グルアセト35注
アセテート維持液3G「HK」
パルナパリンNa透析用500単位/mLバイアル10mL「ILS」
パルナパリンNa透析用100単位/mLシリンジ20mL「フソー」
パルナパリンNa透析用150単位/mLシリンジ20mL「フソー」
パルナパリンNa透析用200単位/mLシリンジ20mL「フソー」
ステイセーフバランス 2/1.5 腹膜透析液
ステイセーフバランス 2/2.5 腹膜透析液
ステイセーフバランス 1/1.5 腹膜透析液
ステイセーフバランス 1/2.5 腹膜透析液
ニコペリック腹膜透析液
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg「武田テバ」
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg「AY」
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg「NIG」
ナファモスタットメシル酸塩注射用50mg「武田テバ」
ナファモスタットメシル酸塩注射用50mg「AY」
ナファモスタットメシル酸塩注射用50mg「NIG」
エポエチンアルファBS注750「JCR」
フルオロウラシル注250mg「トーワ」
ゲムシタビン点滴静注用200mg「SUN」
ゲムシタビン点滴静注用200mg「NIG」
ゲムシタビン点滴静注用1g「NIG」
イリノテカン塩酸塩点滴静注液40mg「NP」
イリノテカン塩酸塩点滴静注液100mg「NP」
メジテック
ピペラシリンNa注射用2g「サワイ」
ピペラシリンNa注射用2g「テバ」
ピペラシリンNa注射用2g「NIG」
セフォチアム塩酸塩静注用0.25g「NP」
セフォチアム塩酸塩静注用0.5g「NP」
セフォチアム塩酸塩静注用1g「NP」
セフォチアム塩酸塩1gキット
セファゾリンナトリウム250mg注射用
セファゾリンナトリウム500mg注射用
セファゾリンナトリウム1g注射用
セファゾリンナトリウム注射用1g「日医工」
セファゾリンNa注射用1g「NP」
セファゾリンナトリウム2g注射用
セフメタゾールナトリウム500mg静注用
セフメタゾールナトリウム1g静注用
セフトリアキソンナトリウム静注用0.5g「NP」
セフトリアキソンナトリウム静注用0.5g「日医工」
セフトリアキソンNa静注用0.5g「CHM」
セフトリアキソンナトリウム静注用1g「NP」
セフトリアキソンナトリウム静注用1g「日医工」
セフトリアキソンナトリウム点滴用1gバッグ「NP」
ピシリバクタ静注用1.5g
スルバシリン静注用1.5g
スルバシリン静注用3g
ピシリバクタ静注用3g
イオパミドール300注50mL「F」
イオパミドール300注100mL「F」
イオパミドール370注50mL「F」
イオパミドール370注100mL「F」
イオパミドール(150)50mL注射液
イオパミドール150注200mL「F」
イオパミドール300注20mL「F」
イオパミドール300注シリンジ100mL「HK」
イオパミドール300注シリンジ100mL「F」
イオパミドール300注シリンジ50mL「HK」
イオパミドール300注シリンジ50mL「FF」
イオパミドール300注シリンジ50mL「F」
イオパミドール300注シリンジ80mL「HK」
イオパミドール300注シリンジ80mL「F」
イオパミドール370注シリンジ100mL「HK」
イオパミドール370注シリンジ100mL「F」
イオパミドール370注シリンジ80mL「HK」
イオパミドール370注シリンジ80mL「F」
イオパミドール370注20mL「F」
イオパミドール370注シリンジ50mL「F」
イオパミドール(300)150mLキット
イオパミドール370注シリンジ65mL「HK」
イオパミドール370注シリンジ65mL「F」
イオヘキソール300注10mL「HK」
イオヘキソール300注10mL「FF」
イオヘキソール300注20mL「HK」
イオヘキソール300注20mL「F」
イオヘキソール300注20mL「FF」
イオヘキソール300注シリンジ50mL「HK」
イオヘキソール300注シリンジ50mL「F」
イオヘキソール300注シリンジ100mL「HK」
イオヘキソール300注シリンジ100mL「F」
イオヘキソール300注シリンジ80mL「HK」
イオヘキソール350注シリンジ100mL「HK」
イオヘキソール350注シリンジ100mL「F」
イオヘキソール300注シリンジ150mL「HK」
イオヘキソール300注シリンジ150mL「F」
イオヘキソール300注シリンジ125mL「HK」
イオヘキソール300注シリンジ125mL「F」
イオヘキソール350注シリンジ70mL「HK」
イオヘキソール350注シリンジ70mL「F」
イオヘキソール300注シリンジ110mL「HK」
イオヘキソール300注シリンジ110mL「F」
イオヘキソール300注50mL「HK」
イオヘキソール300注50mL「F」
イオヘキソール300注50mL「FF」
イオヘキソール300注100mL「HK」
イオヘキソール300注100mL「F」
イオヘキソール300注100mL「FF」
イオヘキソール350注20mL「F」
イオヘキソール350注20mL「FF」
イオヘキソール350注50mL「F」
イオヘキソール350注50mL「FF」
イオヘキソール350注100mL「F」
イオヘキソール350注100mL「FF」
イオプロミド300注シリンジ100mL「BYL」
イオプロミド300注シリンジ50mL「BYL」
イオプロミド370注シリンジ50mL「BYL」
イオプロミド370注シリンジ80mL「BYL」
イオプロミド370注シリンジ100mL「BYL」
イオプロミド370注100mL「BYL」
ヒアルロン酸Na0.4眼粘弾剤1%「コーワ」
ヒアルロン酸Na0.4眼粘弾剤1%HV「センジュ」
ヒアルロン酸Na0.4眼粘弾剤1%「アルコン」
ヒアルロン酸Na眼粘弾剤1%シリンジ0.4mL「日点」
ヒアルロン酸Na0.4眼粘弾剤1%「生化学」
ヒアルロン酸Na0.4眼粘弾剤1%「NIG」
ヒアルロン酸Na0.85眼粘弾剤1%HV「センジュ」
ヒアルロン酸Na0.85眼粘弾剤1%「生化学」

2023年4月から新たに後発医薬品のない先発医薬品となるもの(分類1)

これらは、数量シェアの計算式から除かれます。
セレニカR顆粒40%
バキソカプセル10
バキソカプセル20
テルネリン顆粒0.2%
リスモダンカプセル50mg
リスモダンカプセル100mg
カプトリル細粒5%
ペルジピンLAカプセル20mg
ペルジピンLAカプセル40mg
ガランターゼ散50%
パナルジン細粒10%
ペミラストンドライシロップ0.5%
アレギサールドライシロップ0.5%
ソセゴン注射液15mg
セファメジンα筋注用0.25g
セファメジンα筋注用0.5g
スミフェロン注DS300万IU
スミフェロン注DS600万IU
カトレップテープ35mg





2023年3月2日木曜日

ブロバリン原末 販売中止と代替品



ブロバリン原末が販売中止となるようです。
https://med.nippon-shinyaku.co.jp/file/download.php?file_id=4845

経過措置期間満了日
2023年3月31日
(ブロモバレリル尿素が統一名収載のため2023年4月以降は統一名[1121001X1018]で請求可能です)

ブロバリン原末の成分であるブロモバレリル尿素は1907年Soam により創製され、翌年、Knoll 社(ドイツ)からBromual の商品名で発売されました。日本ではBromual をドイツから輸入していましたが、第一次世界大戦でドイツと敵国の関係になると輸入が途絶えました。そのため吉草酸をもとにブロムバレリル尿素を作る手法を日本新薬が考案したことで国産化に成功しました。1915年9月から販売されて2023年の販売中止まで約100年、日本人の眠りを支えてきました。

ブロモバレリル尿素は日本の文豪たちに愛されてきました。太宰治が自殺に使用した薬として有名ですが、これは同成分のカルモチン(武田製作所:現 武田薬品)で、ブロバリンではありません。

ブロモバレリル尿素は導眠効果が弱く服毒自殺には不向きな薬です。太宰が何度も自殺に失敗しています。さらには一般薬の成分として使われているくらい安全性は高いものです。勘違いしないでいただきたいのですが、「安全」というのは、死ねないという意味の安全であり依存性の危険性や過量服薬しても死ねずに中途半端に後遺症だけ残るリスクは十分にあります。


薬の『味の素』ブロバリン

ブロモバレリル尿素を解熱剤や咳止めと併用すると効果が増強することが見出されたので、日本新薬は「薬の『味の素』」を宣伝文句にブロバリンを売り込みました。

現在、ブロモバレリル尿素が解熱剤や咳止め薬の成分として多くの一般用医薬品にも配合されているのは昭和時代の名残です。

睡眠薬としては令和の時代にブロバリンをすすんで使うことはなくなりました。より安全でより有効な薬が多く開発されているからです。世界を見ると先進国でブロモバレリル尿素を医薬品として認可し続けているのは先進国でも日本くらいです。


ブロバリンの代替品

代替品は、残念ながら存在しません。それは、より安全でより有効な薬があるにも関わらず敢えてブロバリンを使用されている場合の代わりはない、ということです。

ブロバリンはイソミタール(アモバルビタール)との混合処方(通称:イソブロ)が有名です。

なぜこの処方がされるのでしょうか。古いドクターのこだわりや、昔からのファンだからなど色々理由があるとは思います。

不眠症治療薬
スボレキサント

催眠鎮静剤
ゾルピデム

抗不安薬
ロラゼパム


ブロバリン以外のブロモバレリル尿素製剤も相次いで販売中止です。

・ブロムワレリル尿素「JG」(日本ジェネリック
・ブロモバレリル尿素原末「マルイシ」(丸石製薬

2023年時点では、ブロムワレリル尿素「ホエイ」(製造販売元:マイランEPD合同会社)を残すのみです。


2023年2月28日火曜日

プラセンタを含む製剤一覧 メルスモン ラエンネック



メルスモン注射剤 出荷停止に関するお詫び (メルスモン製薬:2023.02)
https://melsmon.co.jp/content/img/top/20220215_bunsyo1.pdf

「ラエンネック」限定出荷に関するご連絡(日本生物製剤:2023.02)
http://jbp.placenta.co.jp/files/2017/09/20230216.pdf

2023年プラセンタ製剤の供給が滞っています。



プラセンタ(placenta)は、哺乳類の胎盤のことです。

胎盤は母体の子宮内腔に形成され、母体と胎児の臍帯を連絡する器官です。
胎児への酸素や生育に必要な栄養素を供給する等の機能のほかに、造血、タンパク質合成、ホルモン分泌なども行うとされます。プラセンタは、中国では16世紀に「紫河車(シカシャ)」の名で「本草綱目」に記録されるなど、生薬として古くから知られています。日本では、1956年に医療用医薬品として更年期障害等の適応で注射剤が承認されています。現在は、医薬品のほか、化粧品、健康食品等の多くの製品が販売されています。

プラセンタの原材料については、ヒト由来の胎盤とウシ、ヒツジ、ブタ由来の胎盤の使用が認められています。ヒト由来の胎盤「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」に区分されています。ウシ、ヒツジ、ブタ由来の胎盤は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」に区分されています。つまり、ヒト由来のプラセンタは「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」であるため食品には使えません。健康食品の素材としては、ブタ、ヒツジ、ウマのプラセンタから成分を抽出したエキスおよびそれを凍結粉末化したエキス純末が使用されています。


プラセンタの健康効果が質の高い研究で示された事は皆無

プラセンタの成分としては、各種アミノ酸、ペプタイド、ミネラル、ビタミン、酵素類、糖類などから成る生理活性物質が分析され、さらに未知の成分も含まれるといわれています。
また、標榜されている効用は多岐にわたり、末梢血行促進作用、細胞賦活作用、活性酸素除去作用、抗炎症作用、抗疲労効果、発育促進、造血機能の活性化などが使用されています。しかし、これら効用に関する情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらずその効果は期待し難いものです。
最近では、美容目的でプラセンタを点滴したり塗ったりする方がいます。しかし、プラセンタの健康効果が質の高い研究で示された事は皆無で、効果は期待し難いです。プラセンタの美容効果は示されていないどころか、「プラセンタの成分がメラニン(シミのもと)を増やす」との可能性が報告されています。「高いお金を出したのに逆効果でシミを促進」という結果になりかねません。
副作用として感染症やアレルギーなどのリスクもあります。斑状強皮症や薬剤性好酸球性肺炎、自己免疫性肺胞蛋白症という病気を発症した方もいます。

「がんに効く」と未承認サプリを販売した容疑で逮捕された医師が「プラセンタで美肌」というエセ医学を日本で広めた過去があります。

嘘でお金儲けをする医師も多いので、宣伝文句を鵜呑みにせずに「本当に適切な科学的根拠はあるのか?」を確認する習慣をつけましょう。


プラセンタ製剤の注射薬を使用したことがある方の献血について

2006 年 10 月から、過去にプラセンタの注射薬を使用したことがある方からの献血はできません。プラセンタを一度でも打った方は、献血ができなくなります。感染症のリスクがある方の血液は輸血に使えないからです

ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用者の献血制限について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/08/h0824-3.html

Q. プラセンタ製剤を注射した人が献血できないのはなぜですか?

A.これまでヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射薬の使用により、vCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)の感染事例は報告されていません。しかし、ヒト由来の臓器から製造されており、念のための措置として献血をご遠慮いただいています。
また、現段階での対象は注射薬のみとなり、健康食品(サプリメント・ドリンク剤)、化粧品、内服薬等は含みません。

日本赤十字社大阪府赤十字血液センター ホームページより一部抜粋
https://www.bs.jrc.or.jp/kk/osaka/donation/m2_01_02_placenta.html


プラセンタを含む製剤一覧

●医療用医薬品

ヒト胎盤由来製剤であり、医療用医薬品として承認を受けている注射薬は以下の 2 製品のみです(2023年時点)

メルスモン(メルスモン製薬)
[成分・含量]
2mL 中:胎盤絨毛分解物の水溶性物質 100mg
[効能効果]
更年期障害、乳汁分泌不全

ラエンネック(日本生物製剤)
[成分・含量]
2mL 中:胎盤酵素分解物の水溶性物質 112mg
[効能効果]
慢性肝疾患における肝機能の改善

●一般用医薬品[第 2 類医薬品]

ビタエックス 30内服液(大木製薬、森田薬品工業)
[成分・含量]
1 瓶(30mL)中:プラセンタエキス(E)10,000mg、イカリソウ流エキス0.6mL(原生薬として 600mg)、ニンジン流エキス 0.6mL(原生薬として 600mg)、ピリドキシン塩酸塩 15mg
[効能効果]
滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病中病後・胃腸障害・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給

プラセントップ液(スノーデン)
[成分・含量]
瓶(30mL)中:絨毛組織加水分解物 600.0mg(プラセンタエキスとして2,000mg)、チアミン硝化物 5.0mg、ピリドキシン塩酸塩5.0mg、ニコチン酸アミド 20.0mg、無水カフェイン 50.0mg
[効能効果]
滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病後の体力低下・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給

新ゴールドビタX錠(森田薬品工業)
[成分・含量]
6 錠中:胎盤加水分解物(G)400mg、胎盤乾燥微粉末100mg、チアミンジスルフィド 10mg、リボフラビン 6mg、ピリドキシン塩酸塩6mg、ビタミンE 散60mg(トコフェロール酢酸エステルとして30mg)、反鼻末 50mg、胆汁末50mg、ロクジョウ末15mg、地黄軟エキス 100mg(原生薬として 200mg)、トウキエキスS100mg(原生薬として 400mg)、オウギエキス 100mg(原生薬として2,000mg)
[効能効果]
滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病後の体力低下・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給

新ビタエックス錠剤(森田薬品工業)
新ビタエックス糖衣錠(森田薬品工業)

[成分・含量]
12 錠中(糖衣錠は9 錠中):胎盤加水分解物0.54mL、胎盤乾燥微粉末750mg、チアミンジスルフィド18mg
[効能効果]
滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病中病後・胃腸障害・栄養障害・発熱性消耗性疾患・産前産後などの場合の栄養補給、偏食児・幼小児の発育期などの栄養補給

プラセントップ錠(スノーデン)
[成分・含量]
6 錠中:絨毛組織加水分解物600.0mg(プラセンタエキスとして2,000mg)、チアミン硝化物 6.0mg、ピリドキシン塩酸塩6.0mg、シアノコバラミン60μg
[効能効果]
滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病後の体力低下・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給

ビタエックス顆粒(森田薬品工業)
[成分・含量]
4.5g 中:胎盤加水分解物 0.70mL、胎盤乾燥微粉末 1,000mg、チアミン硝化物 15mg
[効能効果]
滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病中病後・胃腸障害・栄養障害・発熱性消耗性疾患・産前産後などの場合の栄養補給

パルモアー(三宝製薬)
[成分・含量]
100g 中:プラセンターリキッド 5g、ジパルミチン酸ピリドキシン 1g
[効能効果]
進行性指掌角皮症、脂漏性皮膚炎、湿疹、粃糠疹、日光皮膚炎、口唇炎、にきび、酒さ、皮膚の栄養及び保護、肌あれ、ひび、あかぎれ、口唇乾燥症、口唇き裂、その他皮膚乾燥及び角化症

●プラセンタ含有健康補助食品

JBP プラセンタゼリーピュア(日本生物製剤)
1 包(15g)中:プラセンタエキス純末 1,000mg ゼリー 15g×20 包/箱

JBP ポーサイン 100(日本生物製剤)
1 カプセル中:プラセンタエキス 350mg カプセル 100 カプセル

プラセンタボンリッチ(クラシエ薬品)
10mL 中:プラセンタエキス純末 400mg 液 10mL×30 本

プラセン人参(クラシエ薬品)
10mL 中:プラセンタエキス純末 300mg 液 10mL×30 本


2023年2月21日火曜日

アモキサン自主回収 出荷停止 2023年2月




アモキサンカプセル、アモキサン細粒からニトロソアミン化合物が検出されたことを踏まえ、 2023 年 2 月下旬から自主回収(クラスII)されることになりました。また、回収と合わせ、アモキサンカプセル、アモキサン細粒の出荷が停止されることになるようです。

ニトロソアミン類は、ヒトが長期間にわたって許容範囲を超えて摂取した場合、発がん性のリスクを高める可能性があるといわれています。


U.S Food & Drugs Association Information about Nitrosamine Impurities in Medications
https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/information-about-nitrosamine-impurities-medications


このことから、医薬品におけるニトロソアミンの混入について、海外では製薬会社に対してリスク評価が求められています。日本においても、2021 年 10 月付で厚生労働省より「医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスクに関する自主点検について」が発出されています。

アモキサンの有効成分であるアモキサピンに由来するニトロソアミン(N-ニトロソアモキサピン)が、メーカーの設定した基準を超えて検出されたため自主回収されることになりました。


今回の自主回収は既に2022年8月に予告されていました。アモキサンの急激な投与中止による「離脱症状」が発生する恐れがあることから「離脱症状」のリスクをできうる限り減らすため、自主回収の着手まで猶予を持たせていました。


N-ニトロアモキサピンの安全性

N-ニトロアモキサピンは、ニトロソアミン類に分類される化合物です。

ニトロソアミン類は水、肉や乳製品や野菜を焼き加工した食品などにも含まれています。日常生活においてもある程度のニトロソアミン類を摂取しています。ニトロソアミン類は、人々が長期間にわたって許容範囲を超えて摂取した場合、発がん性のリスクを高める可能性があるとされています。日本およびアメリカ、ヨーロッパの規制当局が示しているガイドライン(ICH-M7(R1))では、医薬品等に含まれるニトロソアミン類などの量は、発がん性リスクを許容できる(10 万分の 1 以下) 摂取量を超えないことが推奨されています。

N-ニトロソアモキサピンの動物における発がん性の有無は不明です。

N-ニトロソアモキサピンが発がん性を有すると仮定した場合の発がんリスクの程度について、アモキサン 75mgまたは 300mgを一生涯 70 年間毎日服用したときの理論上の発がんリスクは、75mg 投与ではおよそ 20 万人に 1 人が生涯(70 年間)でその曝露により過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。300mg 投与ではおよそ 5 万人に 1 人が生涯(70 年間)でその曝露により過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。


アモキサンは1981年に国内における販売を開始しました。約 40 年が最長の投与期間であり、これまでに得られている安全性情報も鑑みると、現時点において重篤な健康被害のおそれはないと考えられます。


令和 4 年度 第 17 回薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28762.html

令和 4 年度 第 17 回薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)議事録
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29807.html

令和 4 年 11 月 9 日付 N-ニトロソアモキサピンが検出されたアモキサピン製剤の使用による健康影響評価の結果等について 事務連絡
https://www.pmda.go.jp/files/000248844.pdf


アモキサンのプロファイル

アモキサンの有効成分アモキサピンは、ジベンズオキサゼピン誘導体の 1 つであって、側鎖にピペラジニル基をもつ三環系抗うつ薬に分類されます。ジベンゾキサゼピンクラスに属する第1世代抗精神病薬のロキサピンの活性代謝物として発見されました。ロキサピンもアモキサピンもセロトニン・ドパミンアンタゴニスト作用が強く、抗精神病薬と抗うつ薬の性格を合わせもちます。構造をよくみると非定型抗精神病薬のクロザピンに酷似しています。


アモキサンは、1963 年、スイスの J. Schmutz により合成され、アメリカン・サイアナミッド社のレダリー研究所において開発された抗コリン作用の少ない強力な抗うつ剤といわれています。日本においては、米国レダリー研究所の実験データをもとに、1970 年より前臨床試験が開始されました。1981年アモキサンの名前で販売が開始されます。その後、ワイス、ファイザーと製造販売メーカーは変わりますが、カプセルに刻印された「LL」のマークが「Lederle Labo.(レダリー研究所)の面影を残しています。


海外ではアモキサピンの評価はそれほど高くはありません。これはアモキサピンがD2阻害作用をもっており、海外での常用量(200mg~600mg)では錐体外路症状が発現しやすくなるためです。日本における古典的抗精神病薬としての位置づけでしかありません。

一方、日本では低用量使用が主体のためD2阻害作用よりも5-HT2A阻害作用が強く現れ、SNRIとしてのトランスポーター阻害作用との相乗効果で強力な賦活作用を発揮します。


アモキサンの代わりにどうするか

アモキサン(アモキサピン)の薬理的作用は
ノルアドレナリン、セロトニンの取り込みを阻害する作用、
そしてドーパミンD2受容体阻害作用と5-HT2A遮断作用を持ちます。

⇒メインのノルアドレナリン、セロトニンの取り込みを阻害する作用を
SNRIに担わせて
ドパミン遮断作用を少量の抗精神病薬で調整するという考えが
理論的には成り立ちます。


SNRI=デュロキセチンに、
以下のいずれかを加える。

・エビリファイ

・オランザピン

・ラツーダ


症状により患者個別に違うと思うので手探りでいくしかないと思います。


2023年2月1日水曜日

ノベルジン顆粒5%のあれこれ(味、経管投与、安定性)



ノベルジンは酢酸亜鉛を成分とするウィルソン病および低亜鉛血症の治療剤です。
もともと、錠剤が発売されていましたが、錠剤は低年齢の小児で服用が困難であること、また投与量の細やかな調整が不可能という問題が存在していました。これらの医療ニーズを鑑み、顆粒剤が開発されました。


ノベルジン顆粒5%の発売日

ノベルジン顆粒5%の発売日は2023年2月1日です。


ノベルジン顆粒5%の味と臭い

甘味料としてスクラロースが添加されているので甘みを感じられます。
また、バナナフレーバーの香料が原薬の酢酸臭をマスクしています。


ノベルジン顆粒5%はフィルムコーティングされている

ノベルジン顆粒5%の有効成分である酢酸亜鉛は、その物性として収れん性を有しています。
服薬時の収れん性を軽減する目的でコーティング顆粒とされています。
そのため、水に溶かしたり、顆粒を潰して粉末にすると渋みを感じることがあります。
小児に処方されることが多い薬ですので、他の粉薬やドライシロップ製剤とは別包にするほうが良いでしょう。



ノベルジン顆粒の粒径

直径約0.5mmの球状顆粒です。


ノベルジン顆粒の経管投与

顆粒のままでは懸濁状態はあまり良くはないようですが、5Fr、6Frまでのチューブであれば通過が可能であったとのデータがあります。3Fr、4Frのチューブでは目詰まりを起こすので注意が必要です。顆粒を乳鉢で潰して粉末化すれば3Frでも問題無く通過したとの報告もあるようです。なお、チューブへの薬剤吸着性はなかったそうです。

<ノベルジン顆粒の経管投与における通過性試験及び吸着性試験>

  • 1.6gのノベルジン顆粒5%を注入器に入れ、55℃の温湯を20mL吸い取る。
  • 5分静置後、注入器を手で15往復横転して懸濁の状況を観察。
  • 懸濁不良の場合には再度5分静置後、同様に15往復横転する。
  • この時点でも懸濁しない場合は、
  • 薬剤を乳鉢で粉砕して粉末化したものを注入器に入れ、上記の作業を初めから行う。
  • 注入器をチューブに取り付け、流速約2~3mL/秒で懸濁液を全て押し込む。
  • 適量の水(約20mL)を注入器で注入し、薬剤が残存していなければ通過と判定。
  • 薬剤が接触するチューブ表面積の大きい経鼻胃管6Fr及び胃瘻管14Fr、シャフト長4.5cmについては、チューブ通過前後の薬液濃度を薬剤の定量法(UV法)に準じて測定する。


ノベルジン顆粒の分包後の安定性

ノベルジン顆粒をセロファン+ポリエチレンで分包した場合の安定性試験の結果をご紹介します。

結果は以下のとおりです。
温度25℃、湿度60%RHで3ヵ月保存。結果は規格内。
温度30℃、湿度75%RHで3ヵ月保存。結果は規格内。

なお、添付文書の【取扱い上の注意】の項に、「ボトル包装品を分包した場合は、高温多湿を避けて保存すること」と記載があります。