散剤を調製するとき、1包あたりの量が少ない場合には、調剤しやすくするためや服用しやすくするために、それ自身薬理作用をもたない散剤(賦形剤)が加えられます。
調剤に使用される賦形剤は通常、乳糖(乳糖水和物)またはデンプン、あるいは乳糖とデンプンの混合物です。
乳糖は使用頻度の高い賦形剤です。
その性状は日本薬局方で「本品は白色の結晶、粉末又は造粒した粉末である。」と定められています。
散剤の形状には粉末、微細粒(VFG:Very Fine Granule)、細粒(FG:Fine Granule)、顆粒(G:Granule)、微結晶(EFC:Extra Fine Crystal)、結晶(CF:Crystal Form)など 粒子径の大きさ(粒度分布)が様々であるため散剤の粒度分布にできるだけ類似した乳糖を1種類または組み合わせて使用します。
乳糖水和物の粉末と結晶のちがい
乳糖では、粒子が粗いほど流動性をもたらし、粒子が細かくなると混和した主薬の分離防止効果をもたらします。
乳糖は各社、異なる形状のものを販売しています。「粉末」「末」「粒状」「結晶」「倍散用結晶」「細粒」様々あります。
大きな違いは、粒度分布です。粉末は小さい粒子が多く、粒状や結晶、細粒は大きい粒子が多くなります。
注意が必要なのは、「粉末」や「結晶」には明確な粒度分布の定義がありません。メーカーごとに「粉末」や「結晶」の粒度分布が異なります。
一般的な形状の特徴
- 粉末
・・・ 飛び散りやすい。粒子が細かく取り扱いが少し大変(付着しやすい、ダマになる)。ロートエキス散のように飛散性と滑沢性のある散剤には適しています。
- 結晶(大きめ)
・・・ 流動性が高い。器具などに付着しない、分包機の清掃用に適しています。
- 結晶(小さめ)
・・・ 調剤しやすい。「結晶」と謳われている乳糖の殆どがコレ。
- 倍散用結晶
・・・中心粒子径150~250μmと75μm以下のダブルピークの粒度分布をもっています。大小の粒子の両方の性質をもっているので、調剤の際に多くの主剤となじみやすく混ざりやすいです。
※日医工の乳糖水和物は2023年12月販売中止予定 |