デジレルが販売中止となるようです。
https://www.pfizermedicalinformation.jp/ja-jp/system/files/attachments/dsy27n001b.pdf?pmidf
販売中止時期は2024年10月を予定されています。
デジレルの成分であるトラゾドン塩酸塩は、1971年にイタリアのアンジェリーニ社で開発されたトリアゾロピリジン誘導体の抗うつ薬です。開発当初は慢性疼痛の治療薬として考えられていましたが、抗うつ効果も見出され、抗うつ薬として使われ始めました。
1982年にはアメリカで、ブリストル・マイヤーズスクイブ社の子会社のメッドジョンソン社からDesyrelの名前で発売されました。
日本では1984年に鐘紡株式会社(現:オルガノン)が開発に着手し、1988年から阪急共栄物産株式会社(後の日本アップジョン)が開発に参加し1991年に共同で発売しました。
鐘紡の販売名がレスリン、日本アップジョンはアメリカのメッドジョンソン社の販売名をそのまま使ってデジレルとして販売しました。
デジレル(Desyrel)の名前の由来は「Depressive Symptom Releiver(うつ症候軽減薬)」の略です。
睡眠薬っぽい抗うつ薬トラゾドン
トラゾドンは5HT2a/c受容体に拮抗する作用と、SERTを阻害する作用を兼ね備えている薬です。
不安に関連するセロトニン5HT2a/c受容体の拮抗とセロトニン再取り込み阻害作用によりセロトニンが効率よく働くことで抗うつ作用を示します。
しかし、アドレナリンα1受容体及びヒスタミンH1受容体遮断作用をもつため眠気の副作用があります。
この強い眠気のため、睡眠薬っぽい抗うつ薬として認知され、それどころか睡眠薬として書籍で紹介されていたりします。
適応用量は75mg~200mgですが、酷い眠気とふらつきのためここまで増量されることはほとんど無く、多くは50mg程度を眠前に服用されています。
25~50mgではセロトニン再取り込み阻害作用はほとんど無く、H1受容体遮断とセロトニン5HT2a/c受容体拮抗作用のみ現れます。
睡眠では5HT2c活性の低下は徐波睡眠を増やして深い眠りを与えると考えられています。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の乱用が叫ばれる昨今、価値のある睡眠薬です。
デジレルの代替品
デジレルには併売品のレスリンがあります。
そのほか、デジレル・レスリンには後発品があります。