ビデュリオン皮下注用2mgペンが販売中止となるようです。2022年5月販売中止。
経過措置期間は2023年3月31日です。
2023年4月からは保険請求はできません。
販売中止の理由は、明確にはされていませんが「競合が多く、市場が厳しい」ことが理由だとも言われています。
ビデュリオン皮下注用2mgペンの有効成分であるエキセナチドはGLP-1の主成分であるGLP-1(7-36)amideの対応部分のアミノ酸配列において53%の相同性を示し、化学合成により製造されています。ビデュリオンはGLP-1受容体作動薬に分類される2型糖尿病治療薬です。薬理作用については、膵β細胞からのグルコース依存性のインスリン分泌促進作用、高血糖時における過度のグルカゴン分泌抑制作用などが考えられています。これにより2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善します。
エキセナチドは、2005年4月に1日2回投与製剤のバイエッタ皮下注として米国において世界で初めて承認を取得しています。日本においては2010年10月に承認されています。
ビデュリオンは、エキセナチド(バイエッタ皮下注)の週1回投与製剤として開発されました。エキセナチドを生分解性のポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)のマイクロスフェア内に包埋することにより、週1回皮下投与の徐放性製剤として、エキセナチドを1日2回皮下投与するバイエッタ皮下注と同様な効果を示すように設計されています。
ビデュリオンは皮下投与するとPLGAが徐々に分解され、長時間にわたり循環血中にエキセナチドを放出するため、有効成分であるエキセナチドによる効果が持続し、週1回投与で2型糖尿病患者の血糖コントロール改善を可能としています。
もともとビデュリオンのシリンジ製剤をイーライリリー社とアミリン社で共同開発していました、2001年頃の話です。日本においては2012年に日本イーライリリー株式会社が製造販売承認を取得しその後、2012年11月にアストラゼネカ株式会社に承継されています。(当初からリリーはビデュリオンに見切りをつけてトルリシティに軸を移していたのでしょうか)
シリンジ製剤はバイアルに入ったエキセナチドマイクロスフェア、シリンジに充塡された懸濁用液、バイアルコネクター及び専用注射針を組み合わせ、単回投与用のキット製剤として提供されていましたが、調製及び操作手順が煩雑で使えたものではありませんでした。。
そのため患者がより簡便に自己注射できる製剤を検討し、エキセナチドマイクロスフェア及び懸濁用液がカートリッジ内に予め組み込まれた単回使用ペン型注入器が開発され2015年に承認されました。ペン型製剤の登場によりシリンジ製剤は販売を中止し2018年3月に薬価基準から削除されました。ペン型製剤を市場に投入しましたが、既にペン型製剤でシェアを獲っていたトルリシティの後塵を拝し2022年ビデュリオンは販売を中止しました。
ビデュリオンの代替品
エキセナチド1日2回投与製剤のバイエッタ皮下注が候補になります。
ただ、ビデュリオンからバイエッタ皮下注に切り替える際には、ビデュリオンとバイエッタ皮下注では併用可能な薬剤が異なるので注意が必要です。
ビデュリオンは、以下の場合に適用可能です。
食事療法・運動療法に加えて
スルホニルウレア剤、
ビグアナイド系薬剤及び
チアゾリジン系薬剤
(各薬剤単独療法又は併用療法を含む)
による治療で十分な効果が得られない場合
一方、バイエッタ皮下注は、
食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤単剤療法、
あるいは
スルホニルウレア剤を含むビグアナイド系薬剤又はチアゾリジン系薬剤
との併用療法で効果不十分な場合に適用可能です。
ビデュリオンは、
スルホニルウレア剤を使用していない場合であっても、
ビグアナイド系薬剤及びチアゾリジン系薬剤の単独療法あるいは併用療法で効果が不十分な場合であれば適用が可能ですが
バイエッタ皮下注はスルホニルウレア剤の使用していることがマストとなっています。
以上のようにビデュリオンとバイエッタ皮下注では併用可能な薬剤が異なるため、ビデュリオンからバイエッタ皮下注に切り替える際には注意が必要です。
GLP-1受容体作動薬(注射)除く配合剤 |