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2023年3月21日火曜日

ビデュリオン皮下注用2mgペン 販売中止と代替品(経過措置2023年3月31日迄)



ビデュリオン皮下注用2mgペンが販売中止となるようです。2022年5月販売中止。


経過措置期間は2023年3月31日です。
2023年4月からは保険請求はできません。


販売中止の理由は、明確にはされていませんが「競合が多く、市場が厳しい」ことが理由だとも言われています。


ビデュリオン皮下注用2mgペンの有効成分であるエキセナチドはGLP-1の主成分であるGLP-1(7-36)amideの対応部分のアミノ酸配列において53%の相同性を示し、化学合成により製造されています。ビデュリオンはGLP-1受容体作動薬に分類される2型糖尿病治療薬です。薬理作用については、膵β細胞からのグルコース依存性のインスリン分泌促進作用、高血糖時における過度のグルカゴン分泌抑制作用などが考えられています。これにより2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善します。

エキセナチドは、2005年4月に1日2回投与製剤のバイエッタ皮下注として米国において世界で初めて承認を取得しています。日本においては2010年10月に承認されています。
ビデュリオンは、エキセナチド(バイエッタ皮下注)の週1回投与製剤として開発されました。エキセナチドを生分解性のポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)のマイクロスフェア内に包埋することにより、週1回皮下投与の徐放性製剤として、エキセナチドを1日2回皮下投与するバイエッタ皮下注と同様な効果を示すように設計されています。

ビデュリオンは皮下投与するとPLGAが徐々に分解され、長時間にわたり循環血中にエキセナチドを放出するため、有効成分であるエキセナチドによる効果が持続し、週1回投与で2型糖尿病患者の血糖コントロール改善を可能としています。
もともとビデュリオンのシリンジ製剤をイーライリリー社とアミリン社で共同開発していました、2001年頃の話です。日本においては2012年に日本イーライリリー株式会社が製造販売承認を取得しその後、2012年11月にアストラゼネカ株式会社に承継されています。(当初からリリーはビデュリオンに見切りをつけてトルリシティに軸を移していたのでしょうか)

シリンジ製剤はバイアルに入ったエキセナチドマイクロスフェア、シリンジに充塡された懸濁用液、バイアルコネクター及び専用注射針を組み合わせ、単回投与用のキット製剤として提供されていましたが、調製及び操作手順が煩雑で使えたものではありませんでした。。

そのため患者がより簡便に自己注射できる製剤を検討し、エキセナチドマイクロスフェア及び懸濁用液がカートリッジ内に予め組み込まれた単回使用ペン型注入器が開発され2015年に承認されました。ペン型製剤の登場によりシリンジ製剤は販売を中止し2018年3月に薬価基準から削除されました。ペン型製剤を市場に投入しましたが、既にペン型製剤でシェアを獲っていたトルリシティの後塵を拝し2022年ビデュリオンは販売を中止しました。


ビデュリオンの代替品

エキセナチド1日2回投与製剤のバイエッタ皮下注が候補になります。

ただ、ビデュリオンからバイエッタ皮下注に切り替える際には、ビデュリオンとバイエッタ皮下注では併用可能な薬剤が異なるので注意が必要です。

ビデュリオンは、以下の場合に適用可能です。
食事療法・運動療法に加えて
スルホニルウレア剤、
ビグアナイド系薬剤及び
チアゾリジン系薬剤
(各薬剤単独療法又は併用療法を含む)
による治療で十分な効果が得られない場合

一方、バイエッタ皮下注は、
食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤単剤療法、
あるいは
スルホニルウレア剤を含むビグアナイド系薬剤又はチアゾリジン系薬剤
との併用療法で効果不十分な場合
に適用可能です。

ビデュリオンは、
スルホニルウレア剤を使用していない場合であっても、
ビグアナイド系薬剤及びチアゾリジン系薬剤の単独療法あるいは併用療法で効果が不十分な場合であれば適用が可能ですが
バイエッタ皮下注はスルホニルウレア剤の使用していることがマストとなっています。

以上のようにビデュリオンとバイエッタ皮下注では併用可能な薬剤が異なるため、ビデュリオンからバイエッタ皮下注に切り替える際には注意が必要です。

GLP-1受容体作動薬(注射)除く配合剤

ビデュリオンと同様に注射回数が減らせる長時間作用型が良い場合は、それぞれ特徴をもつデュラグルチド(トルリシティ)、セマグルチド(オゼンピック)、チルゼバチド(マンジャロ)が候補になります。

デュラグルチドは日本での承認用量ではありませんが心血管イベント抑制の有効性が実証されています。[PMID: 31189511]

セマグルチドは体重抑制・体重低下に関する報告が多く、日本でも「やせ薬」として『ウゴービ皮下注』として承認される見込みです。

チルゼパチドはGLP-1の他にGIP受容体にも作用し、日本人において顕著なHbA1c低下と体重減少をもたらすことが報告されています。[PMID: 35914543]


ゼストリル 販売中止と代替品(経過措置2023年3月31日迄)



ACE阻害薬のゼストリルが販売中止となるようです。2022年5月販売中止。

経過措置期間は2023年3月31日までです。
2023年4月からは保険請求できません。


ゼストリルの有効成分であるリシノプリルは,米国メルク・シャープ・アンド・ドーム社の研究所において 1970 年代の後半に200 種以上の N-カルボキシメチル置換ジペプチド誘導体の中から、SH 基を有さず、強力なアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性を有する化合物として合成されました。その後、米国メルク社と英国インペリアル・ケミカル・インダストリー PLC 社〔英国 ICI 社(現英国アストラゼネカ社)〕と降圧薬として共同開発されました。日本では1985 年より臨床試験を開始し、1991年6月に高血圧症の治療薬として承認を得ました。アストラゼネカと塩野義製薬によるプロモーションが開始されアストラゼネカはゼストリル、塩野義製薬はロンゲスの一物二名称で販売されました。

後に、慢性心不全についても、開発が行われ、ジギタリス製剤、利尿剤等の基礎治療剤を投与しても十分な効果が認められない軽症から中等症の慢性心不全に対する治療薬として、1995年6月に承認を得ています。

2022年に販売中止が決定されました。


ゼストリルの代替品

同一成分のロンゲスがあります。発売開始当初は塩野義製薬が販売していましたが、2016年に共和薬品工業株式会社に販売移管されています。

また、ゼストリルやロンゲスには後発品があります。

ACE阻害薬一覧(2023年3月時点)


2023年3月17日金曜日

ソロン錠・カプセル・細粒 販売中止と代替品(経過措置:2023年3月31日迄)



ソロン錠50、ソロンカプセル100、ソロン細粒20%が販売中止となるようです。
https://medical.taisho.co.jp/di/oshirase/others/202110sl.pdf

経過措置は2023年3月31日までです。(2023年4月1日以降は保険請求ができません)
https://medical.taisho.co.jp/di/oshirase/others/202301sl.pdf


ソロンはソファルコンを有効成分とする胃炎・胃潰瘍治療剤です。内因性プロスタグランジン増加作用、血流増加作用、粘液増加作用等、多面的な防御因子増強作用により、粘膜保護・組織修復を促進する作用があります。
ソファルコンの起源はは、古来より中国において主として消化器疾患の治療剤に用いられてきた漢薬広豆根(Sophora subprostrataの根)です。大正製薬株式会社がこの成分のスクリーニングを行い、その成分の一つであるソフォラジンに抗潰瘍作用のあることを見出しました。しかし、ソフォラジンは抽出あるいは合成収率が僅少であり、また化学的にも安定性を欠くため、ソフォラジンの類縁のイソプレニルカルコン誘導体を多数合成し、スクリーニングを行いました。その結果、ソファルコンが有効性、安全性並びに化学的安定性の面から、最も適切な消化性潰瘍治療剤になり得ると判断され、医薬品としての開発が始まりました。そして、ソロンカプセル及びソロン細粒が1984年に発売されました。
コンプライアンスの向上をはかることを目的に、患者個人の条件に合った最適な治療を可能にするため、これまでのカプセル剤、細粒剤に加え、新たにソロン錠が1994年発売されました。ソロン細粒はコンプライアンスの向上を目的に、1回に服用する製剤量を半量にし、清涼感のある風味(スペアミント)をつけた粒剤20%として2004年にマイナーチェンジされました。
2021年に販売中止が案内され、40年近い歴史に幕を閉じました。

 

胃潰瘍治療のソファルコンの位置づけ

胃潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)において、防御因子増強薬は酸分泌抑制薬と併用されることがあります。しかしPPIを使用する場合、PPIと防御因子増強薬の併用によっても潰瘍治癒の上乗せ効果は得られないため、PPIの単独投与が推奨されます。H2ブロッカーとテプレノンとの併用では潰瘍治癒の上乗せ効果がありますが、ソファルコンの併用には上乗せ効果はありません。
また、ソファルコンは胃潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)では、プラセボとの比較について胃潰瘍治癒効果に関するエビデンスに乏しいとされています。酸分泌抑制薬と同等の胃潰瘍治癒効果を期待できないので、単剤では第一選択薬として勧められず、PPI、ボノプラザン、H2ブロッカー、スクラルファート、ミソプロストールのいずれの薬剤も投与できない場合に使用されるにとどまっています。


ソロンの代替品

ソロンには後発品が存在します。

ソファルコン細粒20%「YD」
ソファルコン細粒20%「サワイ」
ソファルコン細粒20%「TYK」
ソファルコン細粒10%「YD」
ソファルコン細粒10%「サワイ」
ソファルコン錠50mg「TCK」
ソファルコンカプセル100mg「TCK」


胃潰瘍治療においてソロンを選択する場合は、PPI、ボノプラザン、H2ブロッカー、スクラルファート、ミソプロストールのいずれの薬剤も投与できない状況が想定されます。ソロン以外の防御因子増強薬(スクラルファート、ミソプロストールを除く)には以下があります。

  • テプレノン(セルベックス)
  • レバミピド(ムコスタ)
  • イルソグラジンマレイン酸塩(ガスロンN)
  • スルピリド(ドグマチール)
  • セトラキサート塩酸塩(ノイエル)
  • トロキシピド(アプレース)
  • ベネキサート塩酸塩ベータデクス(ウルグート)
  • アズレンスルホン酸ナトリウム水和物(マーズレン)
  • アルギン酸ナトリウム(アルロイドG)
  • アルジオキサ
  • エカベトナトリウム水和物(ガストローム)
  • エグアレンナトリウム水和物(アズロキサ)
  • スクラルファート水和物(アルサルミン)
  • ポラプレジンク(プロマック)
  • メチルメチオニンスルホニウムクロリド(キャベジンU)

2023年3月15日水曜日

ニフラン錠75mg 販売中止と代替品(経過措置:2023年3月31日)



ニフラン錠75mgが販売中止となるようです。
https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/info/ifn_5389_P20288.pdf

経過措置期間:2023年3月31日迄
2023年 4月 1日以降の投薬分につきましては、保険請求ができなくなります。

ニフラン錠はプラノプロフェンを有効成分とする。日本初のプロピオン酸系の酸性非ステロイド性鎮痛・抗炎症・解熱剤です。
プラノプロフェンはサリチル酸系とプロピオン酸系薬剤の薬理作用を併せもつ三環構造を基本骨格とする化合物として創製されました
1981年6月4日プラノプロフェン製剤(ニフランカプセル)の承認を取得し、1981年12月にニフランカプセルの販売が開始されました。ニフランカプセルの販売開始後、高齢者や嚥下困難な患者での服用の容易化を目的に1988年9月よりニフラン錠の販売を開始されました。これに伴いニフランカプセルは販売を中止しています。
誕生から35年、二フラン錠剤はその役目を終え販売中止となりました。


ニフラン錠の代替品

ニフラン錠には後発品があります。
ただ、後発品には錠剤はなくすべてカプセル剤です。

  • プラノプロフェンカプセル75mg「日医工」


「痛風発作」の適応を持つNSAIDs
ニフラン錠は、「痛風発作」の適応を持っているのが特徴です。
ニフランと同じプロピオン酸系のNSAIDsには痛風発作の適応をもつものがいくつかあります。

  • アルボ(オキサプロジン)
  • ナイキサン(ナプロキセン)



2023年3月14日火曜日

サプレスタ-ベック 販売中止と代替品(経過措置:2023年3月31日迄)



 降圧薬のサプレスタ・ベック顆粒、カプセルが販売中止となるようです。
サプレスタ:
「サプレスタ」経過措置期間満了のお知らせ(PDF形式:170KB) 
ベック:
https://www.nichiiko.co.jp/medicine/file/47530/information/o-DG1222-02.pdf

経過措置は2023年3月31日まで


「サプレスタカプセル5mg」、「サプレスタカプセル10mg」及び「サプレスタ顆粒2%」そして「ベックカプセル5mg」、「ベックカプセル10mg」及び「ベック顆粒2%」は大鵬薬品工業株式会社及びマルコ製薬株式会社において共同開発されたアラニジピンを有効成分とする持続性Ca拮抗薬です。
降圧作用がよく知られているジヒドロピリジン系化合物を基本としてより優れた医薬品創製の目的で研究に着手し、1981 年にニフェジピンのエステル残基中にカルボニル基を導入したアラニジピンが合成されました。1987年から臨床試験が開始され、1日1回経口投与で安定した降圧効果を示すことが認められました。
大鵬薬品工業株式会社とマルコ製薬株式会社は、1996年1月31日に「サプレスタ顆粒」と「ベック顆粒」の製造承認を取得しました。その後、2003年3月14日にカプセル剤の製造承認を取得しました。2004年12月1日より「ベック」は日医工株式会社が販売を開始しました。

サプレスタ・ベック(アラニジピン)はジヒドロピリジン系第二世代のカルシウム拮抗薬です。血管平滑筋細胞におけるカルシウムチャネルに作用して、細胞外より細胞内へのカルシウムイオンの流入を抑制することにより、血管平滑筋を弛緩し、降圧効果を発揮します。腸溶性基剤を用いた固体分散体を顆粒とすることで、急激な血中濃度の上昇を抑え、吸収パターンの個体差を少なくさせた持続技術が特徴です。


サプレスタ・ベックの代替品

1日1回タイプのカルシウム拮抗薬であればどれも代替になりえます。
よく使用されているのはニフェジピン徐放製剤アムロジピンです。


カルシウム拮抗薬の分類の一つに、作用するカルシウムチャネルのサブタイプで分類されます。このサブタイプにはL型、N型、T型などが存在します。どのチャネルを阻害するかにより副次的な作用が期待される場合もあります。アラニジピンはL型チャネルに拮抗するタイプです。

L型チャネルのほかN型やT型に作用するカルシウム拮抗薬がありますが、臨床的な差異についてエビデンスは少なくわからないことが多いです。そのため切り替え時には、適応症、肝・腎機能、既往歴、アレルギーを確認し、個人により反応性は異なるので切り替え後には血圧をモニターする必要があります。

2023年3月12日日曜日

ペントナ散1% ・錠4mg 販売中止と代替品(経過措置:2023年3月31日迄)



 薬剤性パーキンソン症候群治療剤のペントナが販売中止となるようです。
https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/info/ifn_5390_P20289.pdf

経過措置は2023年3月31日までです。
https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/info/ifn_5457_P20356.pdf


ペントナの有効成分であるマザチコール塩酸塩水和物は、田辺製薬株式会社(現 田辺三菱製薬株式会社)がグラナタン誘導体群の化学構造と生物活性を系統的に検討したことにより見出され他化合物です。マザチコール塩酸塩水和物は、より選択的に中枢性抗コリン作用を有するを特性を持っています。

この特性を利用し 薬剤性パーキンソン症候群治療剤として1976年4月にペントナ錠剤、散剤の承認を取得し、1978年5月に販売を開始されました。

ペントナの名前の由来は「構造式に 5 員環(penta)をもった薬剤性パーキンソン症候群治療剤」ということらしいです。昔の薬は構造式に名前の由来を持つものが多い気がします。


「向精神薬投与によるパーキンソン症候群」という珍しい適応を持つ薬でしたが、誕生から45年で販売中止となってしましました。


薬剤性パーキンソニズム

ペントナの適応の薬剤性パーキンソニズムは、医薬品の副作用として引き起こされるパーキンソン病類似の症状のことです。薬剤性パーキンソニズムを起こしやすいものとして,一部の抗精神病薬,胃腸薬があります。ドパミン受容体をブロックし,線条体におけるドパミンの作用を減弱することに起因します。原因となる医薬品を継続して内服することによりリスクは高まります。



薬剤性パーキンソニズムの基本的な対応法は、原因として疑われる医薬品の中止です。投与中止、減量、代替の医薬品への変更により症状が改善たという報告は多いです。中止から稀に半年くらいかかることもありますが、ほとんどが2、3 ヵ月で症状が消失します。
ただ、重度の精神疾患が背景にあり、どうしても薬剤性パーキンソニズムの誘因となっている抗精神病薬を中止や減量ができない場合問題となりやすいです。そういう場合は薬剤性パーキンソニズムをより起こしにくい医薬品である非定型抗精神病薬のクエチアピンやクロザピンへの変更を検討します。精神症状が強く中止も変更も困難な場合に抗コリン薬が併用されます。
また、生活上、トラブルになるような運動症状を合併する例についてペントナ(マザチコール)などの抗コリン薬やレボドパ、アマンタジンで加療されます。
いずれの医薬品も、精神症状を悪化させるリスクもあるため、慎重に経過を見ながら投薬の継続、中止を判断します。

薬剤性パーキンソニズムを疑った場合の対応方法

ペントナの代替品

・抗コリン薬

日本でよく使用されている抗コリン薬にアーテン(トリヘキシフェニジル)があります。
ただし、抗コリン薬は薬剤性パーキンソニズムによる運動症状により生活上トラブルになるような場合に使用されていますが、一方で認知機能障害、せん妄、幻覚、便秘、排尿障害、口渇などを生じることがあり高齢患者や認知機能が低下している患者には注意が必要です。


参考:重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1c45.pdf



2023年3月10日金曜日

レスタス 販売中止と代替品(経過措置:2023年3月31日迄)



 レスタス錠2mgが販売中止となるようです。
https://medical.nihon-generic.co.jp/a.php?id=785

『レスタス錠2mg』は、原薬製造先が行政処分を受け、原薬調達が不可能となり限定出荷となっていました。新たな原薬製造先を確保することができず販売を中止となりました。

経過措置期間は2023年3月31日までです。


レスタス錠の有効成分フルトプラゼパムは鐘紡株式会社(現 クラシエ製薬株式会社)により開発された持続性心身安定剤です。オルガノン(現MSD)が1986年4月に承認を取得しました。2016年10月にMSDから製造販売承認を日本ジェネリックへ移管しました。従来のベンゾジアゼピン系化合物の中でも強い抗不安作用と作用持続性を有しており、神経症、心身症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害等に対して改善効果を示すと言われていました。
ただ、ベンゾジアゼピン系の中でも存在感は薄い薬です

レスタスの代替品

レスタスはデスアルキルフルラゼパム系ベンゾジアゼピン誘導体という構造上の分類に属します。先行して販売されていたセダプラン[※2012年販売中止](プラゼパム)とダルメート(フルラゼパム)を合わせて2で割ったような構造をしています。フルラゼパムをベースにプラゼパムのプロドラッグ技術のシクロプロパンをくっつけた構造です。

同じくフルラゼパムをプロドラッグ化した薬があります。メイラックス(ロフラゼプ酸)です。ロフラゼプ酸はフルラゼパムをベースにジゼアゼピン環の3位にカルボキシル基がくっついた構造をしています。体内に吸収時に加水分解されることで効果を発揮するプロドラッグ化が施されています。

メイラックスもレスタス同様に24時間を超える半減期をもち、プロドラッグであり副作用も軽減されています。

メイラックスを代替にしても良いのですが、

現在、不安の処方のメインは依存の出ないSSRIです。依存リスクのあるのベンゾジアゼピン系は補助的にしか使われなくなっています。

治療のスタンスによって、代替になる薬は変わってくると思います。


2023年3月7日火曜日

イソミタール原末 販売中止と代替品



イソミタール原末が販売中止となるようです。
2022年10月供給停止、在庫なくなり次第販売中止。

https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/info/20221003.pdf


経過措置期間満了日(予定)

2024 年 3 月 31 日


イソミタール原末の成分であるアモバルビタールは、1923年Shonleらによって合成され、アメリカのLilly社よりAmytal として発売されました。日本では1950 年2月より発売されていました。2023年供給を停止し販売中止となりました。

アモバルビタールはバルビツール酸誘導体のひとつです。服用後約30 分で入眠し、4~6 時間熟眠が得られ、中間型バルビツールに分類されます。短時間型のペントバルビタール(ラボナ)との構造的な違いはメチル基の位置のみです。臨床力価にはほぼ差がないと考えられています。中間型なので短時間型のペントバルビタールよりは耐性はつきにくいと思われますが、常用するとすぐに増量しなければならなるため、頓服的で用いられるのはペントバルビタールと同様です。
アモバルビタールといえば、東大病院が考案したブロモバレリル尿素との混合処方、通称「イソブロ」が有名です。1950年代くらいはよく効くとして全国的に見られた処方のようですが、日中の眠気や依存性の問題が指摘されていました。より安全な薬が登場した昨今では、「イソブロ」処方もバルビツールが大好きな高齢の医者の切り札的処方か、これじゃないと暴れてどうしようもない患者がいるとか、独特な理由の限られたケースでしか拝むことはなくなりました。
(ブロバリンは2023年販売を中止しています|ブロバリン原末 販売中止と代替品


アモバルビタールといえば、カフェインを混合した静注が自白剤として使われていました。自白剤なんて小説の中の話みたいですが、脳全体の機能を抑制して相手の話に何も疑いを感じなくなってしまうそうです。これは海外だけの話ではなく、日本においても「イソミタール・インタビュー」として精神鑑定に使用されていた過去があります。(海外ではamytal interviewといわれる )


 イソミタール原末の代替薬

バルビツール系薬剤を積極的に使用することは考えにくいので、ガイドラインのアルゴリズムに則って個々の患者さんに適した薬剤を考える必要があります。


・不眠症治療薬:
スボレキサント(ベルソムラ錠:MSD㈱)

・催眠鎮静剤:
ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー錠:アステラス製薬㈱)
ブロチゾラム(レンドルミン錠:日本ベーリンガーインゲルハイム㈱)

・抗不安剤:
ロラゼパム(ロラゼパム錠「サワイ」:沢井製薬㈱)

2023年3月5日日曜日

2023年4月から新たに診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品



2023年度の薬価改定で、

後発医薬品の数量シェア(置換え率)の計算に関係する分類が前年度から変更となった品目についてまとめてみました。

後発医薬品の数量シェア(置換え率)
〔後発医薬品の数量〕/(〔後発医薬品のある先発医薬品の数量〕〔後発医薬品の数量〕
=〔3で分類される品目の数量(★を除く)〕/(〔2で分類される品目の数量(☆を除く)〕+〔3で分類される品目の数量(★を除く)〕)

2023年4月から新たに加算等の算定対象となる後発品に該当するもの(分類3)

メキシレチン塩酸塩錠100mg「KCC」
濃グリセリン・果糖200mL注射液(バッグ)
濃グリセリン・果糖200mL注射液(ボトル)
テルフィス点滴静注
アセトキープ3G注(200mL)
アセトキープ3G注(500mL:ボトル)
アセトキープ3G注(500mL:バッグ)
ステイセーフバランス 1/2.5腹膜透析液
イオヘキソール300注シリンジ80mL「FF」
統一名収載:アセトアミノフェン50mg坐剤
統一名収載:アセトアミノフェン100mg坐剤

2023年4月から新たに後発医薬品のある先発医薬品に新たに該当するもの(分類2)

レクサプロ錠10mg
レクサプロ錠20mg
サムスカOD錠15mg
ネキシウムカプセル10mg
ネキシウムカプセル20mg
グリセオール注
アミノレバン点滴静注
ヴィーン3G輸液
ダイアニール-N PD-4 2.5腹膜透析液
ボンビバ静注1mgシリンジ
キュビシン静注用350mg
オムニパーク240注シリンジ100mL
オムニパーク300注シリンジ50mL
オムニパーク300注シリンジ100mL
オムニパーク300注シリンジ80mL
オムニパーク300注シリンジ150mL
オムニパーク300注シリンジ125mL
オムニパーク350注シリンジ70mL
オムニパーク300注シリンジ110mL
カロナール坐剤小児用50
カロナール坐剤100
ルリコン軟膏1%
ルリコンクリーム1%
ルリコン液1%

2023年4月から新たに後発医薬品と同額又は薬価が低い先発品に該当するもの(☆)

これらは、数量シェアの計算式から除かれます。
レキソタン細粒1%
デパケン細粒20%
デパケン細粒40%
トロペロン錠0.5mg
リスパダールOD錠0.5mg
コロネル細粒83.3%
ポリフル細粒83.3%
1%ディプリバン注
セルシン注射液5mg
ホリゾン注射液10mg
セルシン注射液10mg
ダイアニール-N PD-2 2.5腹膜透析液
エクストラニール腹膜透析液
5-FU注250mg
パンスポリン静注用1gバッグS
セファメジンα注射用2g
セフメタゾン静注用1g
イオパミロン注150
イオパミロン注300シリンジ
オムニパーク300注100mL
プロスコープ300注シリンジ100mL
アルピニー坐剤200
ヒーロン眼粘弾剤1%シリンジ0.4mL
ダイアコート軟膏0.05%
ダイアコートクリーム0.05%
アンテベート軟膏0.05%
アンテベートクリーム0.05%
アンテベートローション0.05%
カトレップパップ70mg
カトレップテープ70mg
ジルダザック軟膏3%

2023年4月から新たに先発医薬品と同額又は薬価が高い後発品に該当するもの(★)

これらは、数量シェアの計算式から除かれます。
ブロマゼパム細粒1%「サンド」
ブロマゼパム1mg錠
メダゼパム錠2(ツルハラ)
メダゼパム錠5(ツルハラ)
バルプロ酸ナトリウム20%細粒
バルプロ酸ナトリウム40%細粒
バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」
バルプロ酸Na錠100mg「フジナガ」
バルプロ酸ナトリウム200mg錠
バルプロ酸Na錠200mg「フジナガ」
バルプロ酸ナトリウムSR錠100mg「アメル」
チミペロン0.5mg錠
リスペリドン0.5mg錠
リスペリドン0.5mg口腔内崩壊錠
メチルジゴキシン0.05mg錠
イソソルビド70%20gゼリー
イソソルビド70%30gゼリー
イソソルビド内用液70%分包30mL「CEO」
カルベジロール1.25mg錠
沈降炭酸カルシウム錠250mg「武田テバ」
沈降炭酸カルシウム錠250mg「NIG」
ジメモルファンリン酸塩錠10mg「TCK」
テオフィリン50mg徐放錠
テオロング錠100mg
テオロング錠200mg
テオフィリン徐放カプセル100mg「サンド」
テオフィリン徐放カプセル200mg「サンド」
テオフィリン50mg徐放カプセル
レバミピド100mg錠
レバミピド100mg口腔内崩壊錠
ポリカルボフィルCa細粒83.3%「日医工」
クロルマジノン酢酸エステル錠25mg「日新」
リトドリン塩酸塩錠5mg「あすか」
球形吸着炭細粒分包2g「日医工」
アロプリノール錠50mg「アメル」
アロプリノール錠50mg「杏林」
アロプリノール錠50mg「ケミファ」
アロプリノール錠50mg「タカタ」
アロプリノール錠50mg「テバ」
アロプリノール錠50mg「日新」
アロプリノール錠50mg「あゆみ」
アロプリノール錠50mg「タナベ」
アロプリノール錠50mg「ファイザー」
アロプリノール錠50mg「DSP」
アロプリノール錠50mg「VTRS」
メトホルミン塩酸塩250mgMT錠
クレマスチン錠1mg「タカタ」
ケトチフェンシロップ0.02%「日医工」
セフィキシム細粒小児用5%「武田テバ」
クラリスロマイシンDS小児用10%「タカタ」
クラリスロマイシンドライシロップ10%小児用「タイヨー」
クラリスロマイシンドライシロップ10%小児用「大正」
トリアムシノロンアセトニド口腔用貼付剤25μg「大正」
メサラジン注腸1g「ケンエー」
グリジール軟膏0.05%
クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏0.05%「ラクール」
グリジールクリーム0.05%
クロベタゾールプロピオン酸エステルクリーム0.05%「ラクール」
グリジールスカルプローション0.05%
クロベタゾールプロピオン酸エステルローション0.05%「イワキ」
クロベタゾールプロピオン酸エステルローション0.05%「ラクール」
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏0.3%「YD」
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルクリーム0.3%「YD」
クロベタゾン酪酸エステル軟膏0.05%「イワキ」
クロベタゾン酪酸エステル軟膏0.05%「ラクール」
クロベタゾン酪酸エステル0.05%クリーム
クロベタゾン酪酸エステル0.05%ローション
ジフロラゾン酢酸エステル0.05%軟膏
ジフロラゾン酢酸エステル0.05%クリーム
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル0.05%軟膏
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル0.05%クリーム
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル0.05%ローション
インドメタシンパップ70mg「日医工」
インドメタシンパップ70mg「YD」
インドメタシンパップ70mg「三友」
インドメタシンパップ70mg「BMD」
インドメタシンパップ70mg「ハラサワ」
ベンダザック3%軟膏
プロポフォール1%静注100mL「日医工」
プロポフォール静注1%100mL「FK」
プロポフォール静注1%100mL「マルイシ」
プロポフォール1%静注100mL「VTRS」
ミダゾラム注射液10mg「テバ」
ミダゾラム注射液10mg「NIG」
ジアゼパム5mg注射液
ジアゼパム10mg注射液
ニトログリセリン点滴静注25mg/50mL「TE」
グリセリン・果糖配合点滴静注「HK」
ヒシセオール配合点滴静注
ヒカリレバン注
テルフィス点滴静注
グルアセト35注
アセテート維持液3G「HK」
パルナパリンNa透析用500単位/mLバイアル10mL「ILS」
パルナパリンNa透析用100単位/mLシリンジ20mL「フソー」
パルナパリンNa透析用150単位/mLシリンジ20mL「フソー」
パルナパリンNa透析用200単位/mLシリンジ20mL「フソー」
ステイセーフバランス 2/1.5 腹膜透析液
ステイセーフバランス 2/2.5 腹膜透析液
ステイセーフバランス 1/1.5 腹膜透析液
ステイセーフバランス 1/2.5 腹膜透析液
ニコペリック腹膜透析液
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg「武田テバ」
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg「AY」
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg「NIG」
ナファモスタットメシル酸塩注射用50mg「武田テバ」
ナファモスタットメシル酸塩注射用50mg「AY」
ナファモスタットメシル酸塩注射用50mg「NIG」
エポエチンアルファBS注750「JCR」
フルオロウラシル注250mg「トーワ」
ゲムシタビン点滴静注用200mg「SUN」
ゲムシタビン点滴静注用200mg「NIG」
ゲムシタビン点滴静注用1g「NIG」
イリノテカン塩酸塩点滴静注液40mg「NP」
イリノテカン塩酸塩点滴静注液100mg「NP」
メジテック
ピペラシリンNa注射用2g「サワイ」
ピペラシリンNa注射用2g「テバ」
ピペラシリンNa注射用2g「NIG」
セフォチアム塩酸塩静注用0.25g「NP」
セフォチアム塩酸塩静注用0.5g「NP」
セフォチアム塩酸塩静注用1g「NP」
セフォチアム塩酸塩1gキット
セファゾリンナトリウム250mg注射用
セファゾリンナトリウム500mg注射用
セファゾリンナトリウム1g注射用
セファゾリンナトリウム注射用1g「日医工」
セファゾリンNa注射用1g「NP」
セファゾリンナトリウム2g注射用
セフメタゾールナトリウム500mg静注用
セフメタゾールナトリウム1g静注用
セフトリアキソンナトリウム静注用0.5g「NP」
セフトリアキソンナトリウム静注用0.5g「日医工」
セフトリアキソンNa静注用0.5g「CHM」
セフトリアキソンナトリウム静注用1g「NP」
セフトリアキソンナトリウム静注用1g「日医工」
セフトリアキソンナトリウム点滴用1gバッグ「NP」
ピシリバクタ静注用1.5g
スルバシリン静注用1.5g
スルバシリン静注用3g
ピシリバクタ静注用3g
イオパミドール300注50mL「F」
イオパミドール300注100mL「F」
イオパミドール370注50mL「F」
イオパミドール370注100mL「F」
イオパミドール(150)50mL注射液
イオパミドール150注200mL「F」
イオパミドール300注20mL「F」
イオパミドール300注シリンジ100mL「HK」
イオパミドール300注シリンジ100mL「F」
イオパミドール300注シリンジ50mL「HK」
イオパミドール300注シリンジ50mL「FF」
イオパミドール300注シリンジ50mL「F」
イオパミドール300注シリンジ80mL「HK」
イオパミドール300注シリンジ80mL「F」
イオパミドール370注シリンジ100mL「HK」
イオパミドール370注シリンジ100mL「F」
イオパミドール370注シリンジ80mL「HK」
イオパミドール370注シリンジ80mL「F」
イオパミドール370注20mL「F」
イオパミドール370注シリンジ50mL「F」
イオパミドール(300)150mLキット
イオパミドール370注シリンジ65mL「HK」
イオパミドール370注シリンジ65mL「F」
イオヘキソール300注10mL「HK」
イオヘキソール300注10mL「FF」
イオヘキソール300注20mL「HK」
イオヘキソール300注20mL「F」
イオヘキソール300注20mL「FF」
イオヘキソール300注シリンジ50mL「HK」
イオヘキソール300注シリンジ50mL「F」
イオヘキソール300注シリンジ100mL「HK」
イオヘキソール300注シリンジ100mL「F」
イオヘキソール300注シリンジ80mL「HK」
イオヘキソール350注シリンジ100mL「HK」
イオヘキソール350注シリンジ100mL「F」
イオヘキソール300注シリンジ150mL「HK」
イオヘキソール300注シリンジ150mL「F」
イオヘキソール300注シリンジ125mL「HK」
イオヘキソール300注シリンジ125mL「F」
イオヘキソール350注シリンジ70mL「HK」
イオヘキソール350注シリンジ70mL「F」
イオヘキソール300注シリンジ110mL「HK」
イオヘキソール300注シリンジ110mL「F」
イオヘキソール300注50mL「HK」
イオヘキソール300注50mL「F」
イオヘキソール300注50mL「FF」
イオヘキソール300注100mL「HK」
イオヘキソール300注100mL「F」
イオヘキソール300注100mL「FF」
イオヘキソール350注20mL「F」
イオヘキソール350注20mL「FF」
イオヘキソール350注50mL「F」
イオヘキソール350注50mL「FF」
イオヘキソール350注100mL「F」
イオヘキソール350注100mL「FF」
イオプロミド300注シリンジ100mL「BYL」
イオプロミド300注シリンジ50mL「BYL」
イオプロミド370注シリンジ50mL「BYL」
イオプロミド370注シリンジ80mL「BYL」
イオプロミド370注シリンジ100mL「BYL」
イオプロミド370注100mL「BYL」
ヒアルロン酸Na0.4眼粘弾剤1%「コーワ」
ヒアルロン酸Na0.4眼粘弾剤1%HV「センジュ」
ヒアルロン酸Na0.4眼粘弾剤1%「アルコン」
ヒアルロン酸Na眼粘弾剤1%シリンジ0.4mL「日点」
ヒアルロン酸Na0.4眼粘弾剤1%「生化学」
ヒアルロン酸Na0.4眼粘弾剤1%「NIG」
ヒアルロン酸Na0.85眼粘弾剤1%HV「センジュ」
ヒアルロン酸Na0.85眼粘弾剤1%「生化学」

2023年4月から新たに後発医薬品のない先発医薬品となるもの(分類1)

これらは、数量シェアの計算式から除かれます。
セレニカR顆粒40%
バキソカプセル10
バキソカプセル20
テルネリン顆粒0.2%
リスモダンカプセル50mg
リスモダンカプセル100mg
カプトリル細粒5%
ペルジピンLAカプセル20mg
ペルジピンLAカプセル40mg
ガランターゼ散50%
パナルジン細粒10%
ペミラストンドライシロップ0.5%
アレギサールドライシロップ0.5%
ソセゴン注射液15mg
セファメジンα筋注用0.25g
セファメジンα筋注用0.5g
スミフェロン注DS300万IU
スミフェロン注DS600万IU
カトレップテープ35mg





2023年3月2日木曜日

ブロバリン原末 販売中止と代替品



ブロバリン原末が販売中止となるようです。
https://med.nippon-shinyaku.co.jp/file/download.php?file_id=4845

経過措置期間満了日
2023年3月31日
(ブロモバレリル尿素が統一名収載のため2023年4月以降は統一名[1121001X1018]で請求可能です)

ブロバリン原末の成分であるブロモバレリル尿素は1907年Soam により創製され、翌年、Knoll 社(ドイツ)からBromual の商品名で発売されました。日本ではBromual をドイツから輸入していましたが、第一次世界大戦でドイツと敵国の関係になると輸入が途絶えました。そのため吉草酸をもとにブロムバレリル尿素を作る手法を日本新薬が考案したことで国産化に成功しました。1915年9月から販売されて2023年の販売中止まで約100年、日本人の眠りを支えてきました。

ブロモバレリル尿素は日本の文豪たちに愛されてきました。太宰治が自殺に使用した薬として有名ですが、これは同成分のカルモチン(武田製作所:現 武田薬品)で、ブロバリンではありません。

ブロモバレリル尿素は導眠効果が弱く服毒自殺には不向きな薬です。太宰が何度も自殺に失敗しています。さらには一般薬の成分として使われているくらい安全性は高いものです。勘違いしないでいただきたいのですが、「安全」というのは、死ねないという意味の安全であり依存性の危険性や過量服薬しても死ねずに中途半端に後遺症だけ残るリスクは十分にあります。


薬の『味の素』ブロバリン

ブロモバレリル尿素を解熱剤や咳止めと併用すると効果が増強することが見出されたので、日本新薬は「薬の『味の素』」を宣伝文句にブロバリンを売り込みました。

現在、ブロモバレリル尿素が解熱剤や咳止め薬の成分として多くの一般用医薬品にも配合されているのは昭和時代の名残です。

睡眠薬としては令和の時代にブロバリンをすすんで使うことはなくなりました。より安全でより有効な薬が多く開発されているからです。世界を見ると先進国でブロモバレリル尿素を医薬品として認可し続けているのは先進国でも日本くらいです。


ブロバリンの代替品

代替品は、残念ながら存在しません。それは、より安全でより有効な薬があるにも関わらず敢えてブロバリンを使用されている場合の代わりはない、ということです。

ブロバリンはイソミタール(アモバルビタール)との混合処方(通称:イソブロ)が有名です。

なぜこの処方がされるのでしょうか。古いドクターのこだわりや、昔からのファンだからなど色々理由があるとは思います。

不眠症治療薬
スボレキサント

催眠鎮静剤
ゾルピデム

抗不安薬
ロラゼパム


ブロバリン以外のブロモバレリル尿素製剤も相次いで販売中止です。

・ブロムワレリル尿素「JG」(日本ジェネリック
・ブロモバレリル尿素原末「マルイシ」(丸石製薬

2023年時点では、ブロムワレリル尿素「ホエイ」(製造販売元:マイランEPD合同会社)を残すのみです。