ソロン錠50、ソロンカプセル100、ソロン細粒20%が販売中止となるようです。
https://medical.taisho.co.jp/di/oshirase/others/202110sl.pdf
経過措置は2023年3月31日までです。(2023年4月1日以降は保険請求ができません)
https://medical.taisho.co.jp/di/oshirase/others/202301sl.pdf
ソロンはソファルコンを有効成分とする胃炎・胃潰瘍治療剤です。内因性プロスタグランジン増加作用、血流増加作用、粘液増加作用等、多面的な防御因子増強作用により、粘膜保護・組織修復を促進する作用があります。
ソファルコンの起源はは、古来より中国において主として消化器疾患の治療剤に用いられてきた漢薬広豆根(Sophora subprostrataの根)です。大正製薬株式会社がこの成分のスクリーニングを行い、その成分の一つであるソフォラジンに抗潰瘍作用のあることを見出しました。しかし、ソフォラジンは抽出あるいは合成収率が僅少であり、また化学的にも安定性を欠くため、ソフォラジンの類縁のイソプレニルカルコン誘導体を多数合成し、スクリーニングを行いました。その結果、ソファルコンが有効性、安全性並びに化学的安定性の面から、最も適切な消化性潰瘍治療剤になり得ると判断され、医薬品としての開発が始まりました。そして、ソロンカプセル及びソロン細粒が1984年に発売されました。
コンプライアンスの向上をはかることを目的に、患者個人の条件に合った最適な治療を可能にするため、これまでのカプセル剤、細粒剤に加え、新たにソロン錠が1994年発売されました。ソロン細粒はコンプライアンスの向上を目的に、1回に服用する製剤量を半量にし、清涼感のある風味(スペアミント)をつけた粒剤20%として2004年にマイナーチェンジされました。
2021年に販売中止が案内され、40年近い歴史に幕を閉じました。
胃潰瘍治療のソファルコンの位置づけ
胃潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)において、防御因子増強薬は酸分泌抑制薬と併用されることがあります。しかしPPIを使用する場合、PPIと防御因子増強薬の併用によっても潰瘍治癒の上乗せ効果は得られないため、PPIの単独投与が推奨されます。H2ブロッカーとテプレノンとの併用では潰瘍治癒の上乗せ効果がありますが、ソファルコンの併用には上乗せ効果はありません。
また、ソファルコンは胃潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)では、プラセボとの比較について胃潰瘍治癒効果に関するエビデンスに乏しいとされています。酸分泌抑制薬と同等の胃潰瘍治癒効果を期待できないので、単剤では第一選択薬として勧められず、PPI、ボノプラザン、H2ブロッカー、スクラルファート、ミソプロストールのいずれの薬剤も投与できない場合に使用されるにとどまっています。
ソロンの代替品
ソロンには後発品が存在します。
ソファルコン細粒20%「YD」
ソファルコン細粒20%「サワイ」
ソファルコン細粒20%「TYK」
ソファルコン細粒10%「YD」
ソファルコン細粒10%「サワイ」
ソファルコン錠50mg「TCK」
ソファルコンカプセル100mg「TCK」
胃潰瘍治療においてソロンを選択する場合は、PPI、ボノプラザン、H2ブロッカー、スクラルファート、ミソプロストールのいずれの薬剤も投与できない状況が想定されます。ソロン以外の防御因子増強薬(スクラルファート、ミソプロストールを除く)には以下があります。
- テプレノン(セルベックス)
- レバミピド(ムコスタ)
- イルソグラジンマレイン酸塩(ガスロンN)
- スルピリド(ドグマチール)
- セトラキサート塩酸塩(ノイエル)
- トロキシピド(アプレース)
- ベネキサート塩酸塩ベータデクス(ウルグート)
- アズレンスルホン酸ナトリウム水和物(マーズレン)
- アルギン酸ナトリウム(アルロイドG)
- アルジオキサ
- エカベトナトリウム水和物(ガストローム)
- エグアレンナトリウム水和物(アズロキサ)
- スクラルファート水和物(アルサルミン)
- ポラプレジンク(プロマック)
- メチルメチオニンスルホニウムクロリド(キャベジンU)