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2022年2月24日木曜日

2022年度診療報酬改定 外来服薬支援料 調剤料の一包化加算は廃止



2022年度診療報酬改定では「外来服薬支援料」に新たな区分が追加されます。多種類の薬剤が投与されている患者又は自ら被包から取り出して服用することが困難な患者に対して、医師の了解を得た上で、薬剤師が内服薬の一包化及び必要な服薬指導を行い、患者の服薬管理を支援した場合の評価です。

簡単に言うと、『調剤料の一包化加算』が廃止され、「外来服薬支援料2」に移設されました。現行の一包化加算と同じ点数です。

その他の改定点としては、「外来服薬支援料1」の算定要件の『保険医への確認』が『保険医への了解』となった点です。なお、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、「外来服薬支援料1」を算定できませんが、「外来服薬支援料2」については算定可能です。

 
[調剤点数表]
14の2 外来服薬支援料
1外来服薬支援料1  185点
2外来服薬支援料2 
 イ  42日分以下の場合 
   投与日数が7又はその端数を増すごとに34点を加算して得た点数
 ロ  43日分以上の場合 240点

注1 1については、自己による服薬管理が困難な患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、当該患者が服薬中の薬剤について、当該薬剤を処方した保険医に当該薬剤の治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性の了解を得た上で、患者の服薬管理を支援した場合に月1回に限り算定する。ただし、区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、算定しない。

注2 1については、患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、患者又はその家族等が保険薬局に持参した服用薬の整理等の服薬管理を行い、その結果を保険医療機関に情報提供した場合についても、所定点数を算定できる。

注3 2については、多種類の薬剤を投与されている患者又は自ら被包を開いて薬剤を服用することが困難な患者に対して、当該薬剤を処方した保険医に当該薬剤の治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性の了解を得た上で、2剤以上の内服薬又は1剤で3種類以上の内服薬の服用時点ごとの一包化及び必要な服薬指導を行い、かつ、患者の服薬管理を支援した場合に、当該内服薬の投与日数に応じて算定する。


2022年2月23日水曜日

2022年度診療報酬改定 小児特定加算



2022年度診療報酬改定では、医療的ケア児に対する薬学的管理の評価として、「小児特定加算」が新設されました。服薬管理指導料やかかりつけ薬剤師指導料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料および在宅患者緊急時等共同指導料に対する加算です。

薬局で医療的ケア児の患者に対し状態に合わせた必要な薬学的管理と指導をを行い、その内容を手帳に記載した場合に算定できます。服薬管理指導料やかかりつけ薬剤師指導料には350点、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料および在宅患者緊急時等共同指導料では450点の加算です。
なお、乳幼児服薬指導加算の併算定はできません。

算定対象となる患者は、児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である患者です。児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児とは「人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児」、すなわち『医療的ケア児』のことです。
具体的には、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常に必要な児童のことをいいます。

この医療的ケアに係る調剤に際して必要な情報等を直接患者又はその家族等に確認した上で、患者又はその家族等に対し、服薬指導を行い、指導の内容等を手帳に記載した場合に算定できます。

医療的ケア児の調剤を行う上で配慮すべきこととしては、「粉砕や脱カプセルなどの規格単位に満たない薬用量の調節」、「散剤の配合変化等による別包包装」や「ハイリスク薬の粉砕・脱カプセルによる曝露やコンタミへの対策」などがあげられます。暴露やコンタミ対策では、安全キャビネットや専用の分包機が必要となりコストもかかります。このように調剤を行う上での薬学的管理に考慮が必要な事項が多く内容が複雑であることを踏まえた評価となっています。

2021.10.22中医協総会(薬局)「調剤(その2)」


2022年2月22日火曜日

2022年度診療報酬改定 服薬情報提供料 入院前持参薬整理の評価が新設



2022年度診療報酬改定において、医療機関からの求めに応じて、薬局において入院予定の患者の持参薬の整理を行うとともに、当該患者の服用薬に関する情報等を一元的に把握し、医療機関に文書により提供した場合の評価として「服薬情報等提供料3」が新設されます。

「服薬情報等提供料3」は、入院時の残薬整理とともに、患者の服薬状況を医療機関に伝えた場合の評価として3カ月に1回、50点を算定できます。

「服薬情報等提供料3」の算定要件は、患者の同意が必須で、入院前の患者に係る保険医療機関の求めがあった場合に、服用薬の情報等について一元的に把握し、入院医療機関へ文書で情報提供した場合です。また必要に応じて患者の持参薬の整理を行います。さらに、これらの内容等について薬歴へ記録することが求められています。

また、「服薬情報提供料」の要件として、敷地内薬局などの特別調剤基本料を算定する薬局から敷地内の医療機関への情報提供は算定できないことが追加されました。

 
[調剤点数表]
15の5 服薬情報等提供料 

1 服薬情報等提供料1 30点
2 服薬情報等提供料2 20点
3 服薬情報等提供料3 50点

注1 1については、保険医療機関の求めがあった場合において、患者の同意を得上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も当該患者の服用薬の情報等について把握し、保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に月1回に限り算定する。
これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。

注2 2については、患者若しくはその家族等の求めがあった場合又は保険薬剤師がその必要性を認めた場合において、当該患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も患者の服用薬の情報等について把握し、患者、その家族等又は保険医療機関へ必要な情報提供、指導等を行った場合に算定する。
なお、保険医療機関への情報提供については、服薬状況等を示す情報を文書により提供した場合に月1回に限り算定する。
これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。

注3 3については、入院前の患者に係る保険医療機関の求めがあった場合において、当該患者の同意を得た上で、当該患者の服用薬の情報等について一元的に把握し、必要に応じて当該患者が保険薬局に持参した服用薬の整理を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に3月に1回に限り算定する。
これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。

注4 区分番号13の2に掲げるかかりつけ薬剤師指導料、
区分番13の3に掲げるかかりつけ薬剤師包括管理料又は
区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、
算定しない。

注5 区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局において、別に厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は、
算定できない


[施設基準:告示第**号]
十二の二
服薬情報等提供料の注5に規定する厚生労働大臣が定める保険医療機関

当該保険薬局が二の二の(1)に該当する場合に係る保険医療機関であること。


2022年2月21日月曜日

2022年度診療報酬改定 調剤後薬剤管理指導加算【服薬管理指導料】



 2022年度診療報酬改定においてインスリンなどを投与する糖尿病患者を対象にした「調剤後薬剤管理指導加算」は現行30点が60点となりました。

調剤後薬剤管理指導加算は現行では薬剤服用歴管理指導料の加算でしたが、2022年度改定では、服薬管理指導料の加算となりました。算定要件の変更はありません。

調剤後薬剤管理指導加算とは
地域において医療機関と薬局が連携してインスリン等の糖尿病治療薬の適正使用を推進する観点から、医師の求めなどに応じて、地域支援体制加算を届け出ている薬局が調剤後も副作用の有無の確認や服薬指導等を行い、その結果を医師に情報提供した場合の評価とされています。インスリンやSU薬による重症低血糖を防ぐことを目的にしています。


[調剤点数表]
10の3 服薬管理指導料
(調剤後薬剤管理指導加算)
注10 区分番号00に掲げる調剤基本料の注5に規定する施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、糖尿病患者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、当該患者の同意を得て、調剤後も当該薬剤の服用に関し、電話等によりその服用状況、副作用の有無等について当該患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導(当該調剤と同日に行う場合を除く。)を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合には、調剤後薬剤管理指導加算として、月1回に限り30点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号15の5に掲げる服薬情報等提供料は算定できない。


[留意事項 保医発**第*号]
区分 10の3 服薬管理指導料


2022年度診療報酬改定 外来オンライン服薬指導【服薬管理指導料】



2022年度診療報酬改定では、オンライン服薬指導に係る医薬品医療機器等法のルールの見直しを踏まえ、外来患者及び在宅患者に対する情報通信機器を用いた服薬指導等について、要件と評価が見直されました。

外来患者に対するオンライン服薬指導については、服薬管理指導料に位置付けられ算定要件も緩和されました。具体的には、オンライン診療料を算定していない患者でも算定できるようになるほか、対面の10%以下とする1カ月当たりの算定制限も撤廃されます。
これまでの薬剤服用歴管理指導料におけるオンライン服薬指導との変更点を以下にまとめました。


[調剤点数表]
10の3 服薬管理指導料
4 情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合
 イ 原則3月以内に再度処方箋を提出した患者に対して行った場合 45点
 ロ イの患者以外の患者に対して行った場合 59点

注3 4については、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。ただし、4のイの患者であって手帳を提示しないものに対して、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合は、4のロにより算定する。

2022年度診療報酬改定 服薬管理指導料



 2022年度診療報酬改定では、薬剤服用歴管理指導料から服薬指導業務などに係る業務の評価を切り離した「服薬管理指導料」が新設されました。

現行の薬歴管理指導料で定める区分は同じで、点数が2点増されます。対面、オンライン共に3カ月以内の再来局患者に対する実施が45点、それ以外が59点算定できます。また、かかりつけ薬剤師指導料を算定する患者に対し、かかりつけ薬剤師以外の十分な経験等を持つ薬剤師が対応した場合は、特例として59点を算定できるようになります。

服薬管理指導料の算定要件は、これまで薬歴管理指導料で評価していたものと大きな変更はありませんが、薬歴に関する評価は「調剤管理料」へ切り離されたため、要件から『薬歴』に関するものが削除されました。また、服薬指導業務に加え「薬剤師が必要と認める場合に患者の服薬状況を継続的に把握し、必要な指導を実施すること」なども算定要件に盛り込まれました。

さらに、「お薬手帳を持参していないもの」の場合、点数の高い区分2を算定することとされていましたが、『持参』が『提示』に変更され、「お薬手帳を提示しない」も場合が点数が高くなることになります。つまり、「お薬手帳持っていますか?」と聞いて「ハイ」と答えられただけで区分1を算定すること(そんな薬局ありえないと思いますが)ではダメで、患者さんに手帳を提示してもらい中身を確認できてはじめて区分1が算定可能となります。


[調剤点数表]
10の3 服薬管理指導料
1 原則3月以内に再度処方箋を持参した患者に対して行った場合 45点
2 1の患者以外の患者に対して行った場合 59点
3 特別養護老人ホ-ムに入所している患者に訪問して行った場合 45点
4 情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合
 イ 原則3月以内に再度処方箋を提出した患者に対して行った場合 45点
 ロ イの患者以外の患者に対して行った場合 59点

注1 1及び2については、患者に対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。
ただし、1の患者であって手帳を提示しないものに対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合は、2により算定する。
イ  患者ごとに作成された薬剤服用歴に基づき、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書又はこれに準ずるもの(以下この表において「薬剤情報提供文書」という。)により患者に提供し、薬剤の服用に関して基本的な説明を行うこと。
ロ  服薬状況等の情報を踏まえた薬学的知見に基づき、処方された薬剤について、薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。
ハ  手帳を用いる場合は、調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること。
ニ  これまでに投薬された薬剤のうち服薬していないものの有無の確認に基づき、必要な指導を行うこと。
ホ  薬剤情報提供文書により、投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に関する情報(後発医薬品の有無及び価格に関する情報を含む。)を患者に提供すること。
ヘ  処方された薬剤について、保険薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること。
2 3については、保険薬剤師が老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホ-ムを訪問し、服薬状況等を把握した上で、必要に応じて当該施設職員と協力し、次に掲げる指導等の全てを行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。
イ  患者ごとに作成された薬剤服用歴に基づき、薬剤情報提供文書により患者又は現に薬剤を管理している者(以下この区分番号において「患者等」という。)に提供し、薬剤の服用に関して基本的な説明を行うこと。
ロ  服薬状況等の情報を踏まえた薬学的知見に基づき、処方された薬剤について、薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。
ハ  手帳を用いる場合は、調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること。
ニ  これまでに投薬された薬剤のうち服薬していないものの有無の確認に基づき、必要な指導を行うこと。
ホ  必要に応じて薬剤情報提供文書により、投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に関する情報(後発医薬品の有無及び価格に関する情報を含む。)を患者に提供すること。
ヘ  処方された薬剤について、保険薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること。
3 4については、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。ただし、4のイの患者であって手帳を提示しないものに対して、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合は、4のロにより算定する。

4 麻薬を調剤した場合であって、麻薬の服用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときは、22点を所定点数に加算する。

5 特に安全管理が必要な医薬品として別に厚生労働大臣が定めるものを調剤した場合であって、当該医薬品の服用に関し、その服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときには、特定薬剤管理指導加算1として、10点を所定点数に加算する。

6 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、別に厚生労働大臣が定める患者に対して、当該患者の副作用の発現状況、治療計画等を文書により確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った上で、当該患者の同意を得て、悪性腫瘍の治療に係る薬剤の投薬又は注射に関し、電話等により、その服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合には、特定薬剤管理指導加算2として、月1回に限り100点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号15の5に掲げる服薬情報等提供料は算定できない。

7 6歳未満の乳幼児に係る調剤に際して必要な情報等を直接患者又はその家族等に確認した上で、患者又はその家族等に対し、服用に関して必要な指導を行い、かつ、当該指導の内容等を手帳に記載した場合には、乳幼児服薬指導加算として、12点を所定点数に加算する。

8 児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である患者に係る調剤に際して必要な情報等を直接当該患者又はその家族等に確認した上で、当該患者又はその家族等に対し、服用に関して必要な指導を行い、かつ、当該指導の内容等を手帳に記載した場合には、小児特定加算として、350点を所定点数に加算する。この場合において、注7に規定する加算は算定できない。

9 喘ぜん息又は慢性閉塞性肺疾患の患者であって、吸入薬の投薬が行われているものに対して、当該患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、当該患者の同意を得た上で、文書及び練習用吸入器等を用いて、必要な薬学的管理及び指導を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合には、吸入薬指導加算として、3月に1回に限り30点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号15の5に掲げる服薬情報等提供料は算定できない。

10 区分番号00に掲げる調剤基本料の注5に規定する施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、糖尿病患者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、当該患者の同意を得て、調剤後も当該薬剤の服用に関し、電話等によりその服用状況、副作用の有無等について当該患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導(当該調剤と同日に行う場合を除く。)を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合には、調剤後薬剤管理指導加算として、月1回に限り60点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号15の5に掲げる服薬情報等提供料は算定できない。

11 区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合を除き、算定しない。

12 服薬管理指導料の3に係る業務に要した交通費は、患家の負担とする。

13 別に厚生労働大臣が定める保険薬局において、注1、注2又は注3に掲げる指導等の全てを行った場合には、注1、注2及び注3の規定にかかわらず、服薬管理指導料の特例として、処方箋受付1回につき、13点を算定する。この場合において、注4から注10までに規定する加算及び区分番号10の2に掲げる調剤管理料の注3から注5までに規定する加算は算定できない。

14 当該保険薬局における直近の調剤において、区分番号13の2に掲げるかかりつけ薬剤師指導料又は区分番号13の3に掲げるかかりつけ薬剤師包括管理料を算定した患者に対して、やむを得ない事情により、当該患者の同意を得て、当該指導料又は管理料の算定に係る保険薬剤師と、当該保険薬剤師の所属する保険薬局の他の保険薬剤師であって別に厚生労働大臣が定めるものが連携して、注1に掲げる指導等の全てを行った場合には、注1の規定にかかわらず、服薬管理指導料の特例として、処方箋受付1回につき、59点を算定する。

2022年2月20日日曜日

2022年度診療報酬改定 電子的保健医療情報活用加算【調剤管理料】



2022年度の診療報酬改定では、オンライン資格確認システムを活用し、患者の薬剤情報や特定健診情報などを踏まえて調剤することへの評価として「電子的保健医療情報活用加算」(3点、月1回まで)が調剤管理料に新設されます。
オンライン資格確認システムを活用できる体制を有し、そのことを見やすい場所に掲示していることなどを算定要件として求められます。

なお、患者に関する薬剤情報などの取得が困難な場合については、2024年3月31日までは3カ月に1回に限り1点を加算する経過措置が設けられています。

★オンライン資格確認とは、
マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号等により、オンラインで資格情報の確認ができることをいいます。

【参考】
2021年3月スタート予定 薬局等でのマイナンバーカードをつかった保険資格確認


施設基準の「電子資格確認に関する事項についての掲示」は、厚生労働省の「オンライン資格確認に関する周知素材について」を活用すると良いでしょう。



10の2 調剤管理料
注5(新) 電子的保健医療情報活用加算 3点(月1回)

[対象患者]
オンライン資格確認システムを活用する保険薬局において調剤が行われた患者
[算定要件]
別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険薬局において、健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認により、患者に係る薬剤情報等を取得した上で調剤を行った場合は、電子的保健医療情報活用加算として、月1回に限り所定点数に加算する。

(※)健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認により、患者に係る薬剤情報等の取得が困難な場合等にあっては、令和6年3月31日までの間に限り、3月に1回に限り1点を所定点数に加算する。

[施設基準]
(1) 療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和51年厚生省令第36号)第1条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っていること。
(2) 健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認を行う体制を有していること。
(3) 電子資格確認に関する事項について、薬局の見やすい場所に掲示していること。


[健康保険法第3条第13項]
この法律において「電子資格確認」とは、保険医療機関等
(第六十三条第三項各号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局をいう。以下同じ。)から療養を受けようとする者又は第八十八条第一項に規定する指定訪問看護事業者から同項に規定する指定訪問看護を受けようとする者が、保険者に対し、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。)に記録された利用者証明用電子証明書(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第二十二条第一項に規定する利用者証明用電子証明書をいう。)を送信する方法により、被保険者又は被扶養者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、保険者から回答を受けて当該情報を当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に提供し、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者から被保険者又は被扶養者であることの確認を受けることをいう。

[昭和五十一年厚生省令第三十六号]
<療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令>
(療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求)
第一条 保険医療機関若しくは次に掲げる医療に関する給付(以下「公費負担医療」という。)を担当する病院若しくは診療所(以下単に「保険医療機関」という。)又は保険薬局若しくは公費負担医療を担当する薬局(以下単に「保険薬局」という。)は、療養の給付(健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百四十五条に規定する特別療養費、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、家族療養費及び高額療養費の支給を含む。第八号を除き、以下同じ。)又は公費負担医療に関し費用を請求しようとするときは、電子情報処理組織の使用による請求(厚生労働大臣が定める事項を電子情報処理組織(審査支払機関の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と、療養の給付及び公費負担医療に関する費用(以下「療養の給付費等」という。)の請求をしようとする保険医療機関又は保険薬局の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用して、厚生労働大臣の定める方式に従つて電子計算機から入力して審査支払機関の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録して行う療養の給付費等の請求をいう。以下同じ。)又は光ディスク等を用いた請求(厚生労働大臣が定める事項を電子計算機を使用して厚生労働大臣の定める方式に従つて記録した厚生労働大臣の定める規格に適合するフレキシブルディスク又は光ディスク(以下「光ディスク等」という。)を提出することにより行う療養の給付費等の請求をいう。以下同じ。)により行うものとする。

2022年度診療報酬改定 重複投薬・相互作用等防止加算【調剤管理料】



2022年度診療報酬改定において「重複投薬・相互作用等防止加算」の評価の在り方が見直されました。

「重複投薬・相互作用等防止加算」は薬剤服用歴等に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合に調剤管理料の所定点数に加算できます。2020年度改定では薬剤服用歴管理指導料または、かかりつけ薬剤師指導料の加算でしたが、調剤管理料のみの加算に変更されています。算定要件の変更としては、大きなものはありませんが、「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」は算定できなくなりました


10の2 調剤管理料
注3(新) 重複投薬・相互作用等防止加算(調剤管理料)
イ 残薬調整に係るもの以外の場合 40 点
ロ 残薬調整に係るものの場合 30 点

[算定要件]
(1)薬剤服用歴等に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は、重複投薬・相互作用等防止加算として、上記の点数をそれぞれ調剤管理料の所定点数に加算する。ただし、別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、当該加算は算定できない。
(2)区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料、区分番号15の2に掲げる在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料又は区分番号15の3に掲げる在宅患者緊急時等共同指導料を算定している患者については、算定しない。

[施設基準]
別に厚生労働大臣が定める保険薬局は、適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局とする。

【重複投薬・相互作用等防止加算(かかりつけ薬剤師指導料)】
(削除)


2022年2月18日金曜日

2022年度診療報酬改定 調剤管理加算【調剤管理料】



2022年度診療報酬改定において、調剤管理料の加算として「調剤管理加算」が新設されました。
「調剤管理加算」は、複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方されている患者かその家族に対し、服薬状況の情報を一元的に把握した上での必要な薬学的分析の実施を評価したものです。


複数の医療機関の処方や薬剤種類数が多い場合には、ハイリスク薬、過去処方との差異、調整した薬剤の有無、患者禁忌、薬剤の相互作用、服用上の注意点などの処方内容の薬学的分析の内容が複雑になることを評価したものです。

初めて処方箋を持参した場合に3点加算できます。2回目以降で処方内容の変更により薬剤の変更か追加があった場合にも3点加算できます。
施設基準では、重複投薬などの解消に関する取り組みの実績を有している保険薬局であることが求められています。


[算定要件]
別に厚生労働大臣が定める保険薬局において、複数の保険医療機関から6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されている患者又はその家族等に対して、当該患者が服用中の薬剤について、服薬状況等の情報を一元的に把握し、必要な薬学的管理を行った場合は、調剤管理加算として、上記の点数をそれぞれ調剤管理料の所定点数に加算する。

[施設基準]
重複投薬等の解消に係る取組の実績を有している保険薬局であること。

2022年2月16日水曜日

2022年度診療報酬改定 自家製剤加算 【薬剤調製料】



2022年度診療報酬改定で、『錠剤を分割する場合』の自家製剤加算の点数、要件が変更されます。
『錠剤を分割する場合』は、各点数の20%に相当する点数に変更になりました。予製剤による場合の算定方法と同じです。例えば、内服薬を半錠にした場合、現行では1剤あたり20点/7日ですが、これが4点/日になります。

また、算定にかかる要件(留意事項)から『割線のある錠剤』の限定が削除されました。
そして『錠剤を分割する場合』の定義が、"医師の指示に基づき錠剤を分割すること"に明確化されました。
なお、分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できない点、製剤工程を調剤録等に記載することおよび、医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行うことについての条件は変更ありません。


[疑義解釈を待つ必要はありますが...]
現行では割線のない錠剤は、粉砕して散剤としたときのみ(条件を満たしている場合)算定可能ですが、医師の指示があれば割線がない場合でも(含量均一性が担保できるなど条件を満たしていれば)自家製剤加算が算定できると解釈できます。

自家製剤加算については、支払側の解釈の違いで地域差があるようなので、今回の改定で分割の定義が明確化されたことでその差がなくなることを願います。


【薬剤調製料】
[算定要件]
注6 (自家製剤加算)
次の薬剤を自家製剤の上調剤した場合は、自家製剤加算として、1調剤につき(イの(1)に掲げる場合にあっては、投与日数が7又はその端数を増すごとに)、それぞれ次の点数(予製剤による場合又は錠剤を分割する場合はそれぞれ次に掲げる点数の100分の20に相当する点数)を各区分の所定点数に加算する。
ただし、別に厚生労働大臣が定める薬剤については、この限りでない。

イ 内服薬及び屯服薬
(1) 錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はエキス剤の内服薬 20点
(2) 錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はエキス剤の屯服薬 90点
(3) 液剤 45点

ロ (略)

[留意事項]
(11) 自家製剤加算
「錠剤を分割する」とは、医師の指示に基づき錠剤を分割することをいう。
ただし、分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できない。


2022年2月14日月曜日

2022年度診療報酬改定 後発医薬品調剤体制加算【調剤基本料】



後発医薬品の調剤数量割合が高い薬局に重点を置いた評価とするため、後発医薬品の調剤数量割合の基準を引き上げるとともに、評価が見直されました。

下限である加算1の後発医薬品の調剤数量割合を75%以上から80%以上に引き上げ点数も現行の15点から21点に引き上げました。上限である加算3の後発医薬品の調剤数量割合を85%以上から90%以上に引き上げ、点数も現行の28点から30点に引き上げられました。加算2は80%以上、22点から85%以上に見直され点数にメリハリが付きました。
また、特別調剤基本料を算定する薬局に対して当該加算を20%減算とする措置が設けられました。

薬局における後発医薬品調剤体制加算について、2020年9月までに後発医薬品使用割合80%を達成するという政府目標をかかげていましたが、実績78.3%(令和2年9月実績)で目標には届きませんでした。新たな目標として、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上が掲げられ、更なる後発医薬品の使用を促進するため、要件が見直されました。


2021年7月14日中医協

※後発医薬品の数量シェア(置換え率)
=〔後発医薬品の数量〕/(〔後発医薬品のある先発医薬品の数量〕+〔後発医薬品の数量〕
=〔3で分類される品目の数量〕/(〔2で分類される品目の数量〕+〔3で分類される品目の数量〕)


各先発医薬品における後発医薬品の有無及び後発医薬品について、
1:後発医薬品がない先発医薬品(後発医薬品の上市前の先発医薬品等)、

2:後発医薬品がある先発医薬品
(先発医薬品と後発医薬品で剤形や規格が同一でない場合等を含む)

3:後発医薬品
(先発医薬品と同額又は薬価が高いものについては、「★」印を付しています。)
として分類しています。

厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について」
https://www.mhlw.go.jp/topics/2019/08/tp20190819-01.html


「後発医薬品のある先発医薬品」が増えるタイミング
http://www.ygken.com/2014/06/blog-post_17.html

後発医薬品のある先発医薬品とは
http://www.ygken.com/2014/12/blog-post_11.html

後発医薬品調剤体制加算のカットオフ値
http://www.ygken.com/2014/03/blog-post_24.html


[調剤点数表]
調剤基本料
後発医薬品調剤体制加算) 
注7 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)第7条の2に規定する後発医薬品(以下「後発医薬品」という。)の調剤に関して別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤した場合には、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数(注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局において調剤した場合には、それぞれの点数の100分の80に相当する点数)を所定点数に加算する。
イ 後発医薬品調剤体制加算1  21点
ロ 後発医薬品調剤体制加算2  28点
ハ 後発医薬品調剤体制加算3  30点


[留意事項 保医発****第*号]
<通則>


[施設基準:告示第**号]
五 後発医薬品調剤体制加算の施設基準
(1)通則
当該保険薬局において調剤した薬剤の規格単位数量に占める後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量の割合が五割以上であること。
(2)後発医薬品調剤体制加算1の施設基準
当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が八割以上であること。
(3)後発医薬品調剤体制加算2の施設基準
当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が八割五分以上であること。
(4)後発医薬品調剤体制加算3の施設基準
当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が九割以上であること。


[施設基準の留意事項 保医発****第*号]
第 93 後発医薬品調剤体制加算

2022年度診療報酬改定 連携強化加算【調剤基本料】



 地域支援体制加算を算定している薬局が、災害や新興感染症の発生時などに医薬品供給などに対応できる体制を確保した場合、新たに算定可能となる「連携強化加算」が新設されました。


[調剤点数表]
調剤基本料
注6(地域支援体制加算)
 注5(地域支援体制加算)に該当する場合であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤を行った場合は、連携強化加算として、2点を更に所定点数に加算する。


[施設基準]
(1) 他の保険薬局等との連携により非常時における対応につき必要な体制が整備されていること。
(2) (1)の連携に係る体制として、次に掲げる体制が整備されていること。

ア 災害や新興感染症の発生時等に、医薬品の供給や地域の衛生管理に係る対応等を行う体制を確保すること。

イ 都道府県等の行政機関、地域の医療機関若しくは薬局又は関係団体等と適切に連携するため、災害や新興感染症の発生時等における対応に係る地域の協議会又は研修等に積極的に参加するよう努めること。

ウ 災害や新興感染症の発生時等において対応可能な体制を確保していることについて、ホームページ等で広く周知していること。

(3) 災害や新興感染症の発生時等に、都道府県等から医薬品の供給等について協力の要請があった場合には、地域の関係機関と連携し、必要な対応を行うこと。

2022年度診療報酬改定 地域支援体制加算【調剤基本料】



 2022年度診療報酬改定において、調剤基本料の加算である『地域支援体制加算』が調剤基本料の算定、地域医療への貢献に係る体制や実績に応じて類型化した評価体系に見直されました。

今の『地域支援体制加算』は1区分38点ですが、改定後は評価を4つの区分に分けられ、それぞれの点数と施設基準が設定されています。
「加算1」は現行と同様の施設基準(調剤基本料1を算定している場合)の加算に当たります。39点で、1点引き上げられました。基本料1以外を算定する場合の現行加算と同じ「加算4」も39点で、1点引き上げられました。

加算1よりも高いハードルを課した「加算2」は47点。
加算4よりもハードルを下げた「加算3」が17点。
地域医療への貢献に関する体制や、実績に応じた差が設けられた形になりました。

特別調剤基本料を算定する薬局が、『地域支援体制加算』を加算する場合は、該当区分の所定点数の100分の80に相当する点数に減点されます。

実績要件では在宅薬剤管理の実績要件が変更になりました。現行の2倍となる「24回以上」になりました。地域連携薬局の要件の「月平均2回以上」に合わせたものです。
なお、3月31日時点で同加算を算定している薬局のうち、在宅実績を満たしていると届け出ている場合には、1年間は新実績を満たしていると見なされます。

また、実績要件[2の(1)]の9項目については、実績のカウント方法が変わります。現在は「常勤薬剤師1人当たりの年間回数」でカウントしています(⑨多職種と連携する会議に出席した回数(5回以上)を除く)が、「処方箋1万枚当たりの年間回数」に変更されます。

調剤基本料1を算定している薬局で、4月以降に新設される「調剤基本料3-ハ」を算定することになった場合、1年間は基本料1を算定しているものと見なされる経過措置が設定されています。




[調剤点数表]
調剤基本料
(地域支援体制加算) 
注5 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤した場合には、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数
(注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局において調剤した場合には、それぞれの点数の100分の80に相当する点数)を所定点数に加算する。
  • イ 地域支援体制加算1 39点
  • ロ 地域支援体制加算2 47点
  • ハ 地域支援体制加算3 17点
  • ニ 地域支援体制加算4 39点


[留意事項]
区分 00 調剤基本料
3 地域支援体制加算
地域支援体制加算は、かかりつけ薬剤師が機能を発揮し、地域医療に貢献する薬局の体制等を評価するものであり、調剤基本料の区分によらない共通の施設要件(一定の開局時間、在宅体制整備等)及び調剤基本料の区分により一定の差がある実績等を満たした上で必要な届出を行った場合に算定できる。


[施設基準:告示第**号]
四 地域支援体制加算の施設基準
四 地域支援体制加算の施設基準
(1) 地域支援体制加算1の施設基準次のいずれにも該当する保険薬局 であること。
 イ 調剤基本料1を算定している保険薬局であること。
 ロ 地域医療への貢献に係る十分な体制が整備されていること。
 ハ 地域医療への貢献に係る十分な実績を有していること。

(2) 地域支援体制加算2の施設基準次のいずれにも該当する保険薬局であること。
 イ (1)のイ及びロに該当する保険薬局であること。
 ロ 地域医療への貢献に係る相当の実績を有していること。

(3) 地域支援体制加算3の施設基準 次のいずれにも該当する保険薬局であること。
 イ 調剤基本料1以外を算定している保険薬局であること。
 ロ 地域医療への貢献に係る必要な体制が整備されていること。
 ハ (1)のハに該当する保険薬局であること。

(4) 地域支援体制加算4の施設基準
 (2)のロ並びに(3)のイ及びロに該当する保険薬局であること。


[施設基準の留意事項]
第 92 地域支援体制加算
1 地域支援体制加算1に関する施設基準
(1) 調剤基本料1を算定している保険薬局において、以下の①から③までの3つの要件を満たし、かつ、④及び⑤のいずれかの要件を満たすこと。
なお、②、④及び⑤については、保険薬局当たりの直近1年間の実績とする。
 ① (略)
 ② 在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績としては、在宅患者訪問薬剤管理指導料
(在宅患者 オンライン薬剤管理指導料を除く。第92において同じ。)、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在 宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費の算定回数の 合計が保険薬局当たりで24回以上であること。(中略)
 ③ (略)
 ④ 服薬情報等提供料の算定回数が保険薬局当たりで12回以上であること。
なお、当該回数には、服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、相当する業務を行った場合を含めることが できる。
 ⑤ 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議に保険薬局当たりで1回以上出席していること。
 (2) (1)の④の「服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、相当する業務」とは次のものをいう。
・ 服薬管理指導料及びかかりつけ薬剤師指導料の特定薬剤管理指導加算2
・ 服薬管理指導料の調剤後薬剤管理指導加算
(略)
 (3)~(25) (略)

 2 地域支援体制加算2に関する施設基準
 (1) 調剤基本料1を算定している保険薬局において、地域医療への貢献に係る相当の実績として、1の(1)及び(3)から(25)までの基準を満たした上で、以下の①から⑨までの9つの要件のうち3以上を満たすこと。
この場合において、⑨の「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議」への出席は、当該保険薬局当たりの直近1年間の実績とし、それ以外については当該保険薬局における直近1年間の処方箋受付回数1万回当たりの実績とする。
なお、直近1年間の処方箋受付回数が1万回未満の場合は、処方箋受付回数1万回とみなす。
 ① 薬剤調製料の時間外等加算及び夜間・休日等加算の算定回数の合計が400回以上であること。
 ② 薬剤調製料の麻薬を調剤した場合に加算される点数の算定回数が10回以上であること。
 ③ 調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算 定回数の合計が40回以上であること。
 ④ かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数の合計が40回以上であること。
 ⑤ 外来服薬支援料1の算定回数が12回以上であること。
 ⑥ 服用薬剤調整支援料1及び2の算定回数の合計が1回以上であること。
 ⑦ 在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導 料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費について単一建物診療患者が1人の場 合の算定回数の合計が計24回以上であること
(在宅協力薬局として連携した場合(同一グループ薬 局に対して業務を実施した場合を除く。)や同等の業務を行った場合を含む。)。(中略)
 ⑧ 服薬情報等提供料の算定回数が60回以上であること。なお、当該回数には、服薬情報等提供料が 併算定不可となっているもので、相当する業務を行った場合を含む。
 ⑨ 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した保険薬剤師が 地域の多職種と連携する会議に5回以上出席していること。
(2) (1)の⑧の「服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、相当する業務」については、1の(2)に準じて取り扱う。 
(3) かかりつけ薬剤師包括管理料を算定する患者については、(1)の⑧の服薬情報等提供料のほか、(1)の②の薬剤調製料の麻薬を調剤した場合に加算される点数 、(1)の③の重複投薬・相互作用防止等加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料、(1)の⑤の外来服薬支援料1並びに(1)の⑥の服用薬剤調整支援料に相当する業務を実施した場合には、当該業務の実施回数を算定回数に含めることができる。
この場合において、薬剤服用歴の記録に詳細を記載するなどして、当該業務を実施したことが遡及して確認できるものでなければならないこと。
(4) (1)の「当該保険薬局における直近1年間の処方箋受付回数」は、調剤基本料の施設基準に定める処方箋受付回数に準じて取り扱う。(1)の①から⑧までの基準を満たすか否かは、当該保険薬局における直近1年間の実績が、直近1年間の処方箋受付回数を各基準に乗じて1万で除して得た回数以上であるか否かで判定する。 


 3 地域支援体制加算3に関する施設基準
(1) 調剤基本料1以外を算定している保険薬局において、1の(3)から(25)までの基準を満たした上で、地域医療への貢献に係る十分な実績として、2の(1)の①から⑨までの9つの要件のうち、④及び⑦を含む3項目以上を満たすこと。
なお、直近1年間の処方箋受付回数が1万回未満の場合は、処方箋受付回数1万回とみなす。
(2) 麻薬及び向精神薬取締法第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができること。 

 4 地域支援体制加算4に関する施設基準
(1) 調剤基本料1以外を算定している保険薬局において、1の(3)から(25)までの基準を満たした上で、地域医療への貢献に係る相当の実績として、2の(1)の①から⑨までの9つの要件のうち8項目以上を満たすこと。
なお、直近1年間の処方箋受付回数が1万回未満の場合は、処方箋受付回数1万回とみなす。

5 届出に関する事項
 (1) (略)
 (2) 令和4年3月31日時点で地域支援体制加算の施設基準に係る届出を行っている保険薬局については、「在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績」の要件を満たしていると届出を行っている保険薬局については、令和5年3月31日までの間に限り、「在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績」の基準を満たしているものとする。
 (3) 令和4年3月31日時点で現に調剤基本料1を算定している保険薬局であって、同日後に調剤基本料3のハを算定することとなったものについては、令和5年3月31日までの間に限り、調剤基本料1を算定しているものとみなす。



2022年2月13日日曜日

2022年度診療報酬改定 調剤管理料



 これまで調剤料のなかで評価されていた処方内容の薬学的分析、調剤設計等と、これまで薬剤服用歴管理指導料として評価されていた薬歴の管理等に係る業務が独立し、新たな評価として『調剤管理料』が誕生しました。

点数の構成は、現行の調剤料に似ています。しかし、調剤料では5段階とされていた処方日数の階層が調剤管理料では4段階に減っています。さらに算定の要件では、現行の薬剤服用歴管理指導料で評価されている「薬歴の管理」なども含めた評価となります。


新) 調剤管理料

1 内服薬(内服用滴剤、浸煎薬、湯薬及び屯服薬であるものを除く。)を調剤した場合(1剤につき)

イ 7日分以下の場合  4点

ロ 8日分以上 14 日分以下の場合  28 点

ハ 15 日分以上 28 日分以下の場合  50 点

ニ 29 日分以上の場合  60 点

2 1以外の場合 4 点

[算定要件]
(1)処方された薬剤について、患者又はその家族等から服薬状況等の情報を収集し、薬剤服用歴への記録その他の管理を行った場合に、調剤の内容に応じ、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。

(2)1については、服用時点が同一である内服薬は、投与日数にかかわらず、1剤として算定する。
なお、4剤分以上の部分については算定しない。

(3)次に掲げる調剤録又は薬剤服用歴の記録等の全てを行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。

イ  患者の基礎情報、他に服用中の医薬品の有無及びその服薬状況等について、お薬手帳、マイナポータルの薬剤情報等、薬剤服用歴又は患者若しくはその家族等から収集し、調剤録又は薬剤服用歴に記録すること。

ロ  服薬状況等の情報を踏まえ、処方された薬剤について、必要な薬学的分析を行うこと。

ハ  処方内容に疑義があるときは、処方医に対して照会を行うこと。

ニ  調剤録及び薬剤服用歴を作成し、適切に保管すること。


2022年度診療報酬改定 内服薬の調剤料の変遷



2022年度診療報酬改定では、薬局・薬剤師業務の評価体系を抜本的に見直し、これまで「調剤料」などで評価していた業務を「薬剤調製料」と「調剤管理料」に再編しました。
(評価体系の見直しについてはこちらに詳しく書いています)

2022年度調剤報酬


再編により、内服薬の場合、薬剤の調製・取りそろえなどの評価は「薬剤調製料」として24点で一本化し、調剤料で5段階とされていた処方日数の区分が「調剤管理料」では4段階に減るほか、処方日数の分け方も変更されます。さらに「調剤管理料」は現行の薬剤服用歴管理指導料で評価されている「薬歴の管理」などが算定要件に含まれることになりました。

そのため単純比較はできませんが、「薬剤調製料」と「調剤管理料」を合わせた点数は

  • 「7日分以下」28点
  • 「8~14日分」52点
  • 「15~28日分」74点
  • 「29日分以上」84点

となります。

15日~21日分の処方が今の調剤料より10点引き上げとなり29日と30日分の処方が7点引き上げられます。「7日分以下」が28点で据え置き、で、ほかは点数が2~3点下がります。



2022年度診療報酬改定 調剤基本料



2022年度診療報酬改定において、調剤基本料は損益率の状況等を踏まえ、同一グループ全体の処方箋受付回数が多い薬局及び同一グループの店舗数が多い薬局に係る評価が見直されました。
さらに、特別調剤基本料は医薬品の備蓄の効率性等が考慮され、現状の9点から2点引き下げられ7点となりました。

<ポイント>
  • 調剤基本料の施設基準に、同一グループの店舗数が加えられました。
  • 調剤基本料3の区分ハが新設されました。
  • 特別調剤基本料の点数が-2点。
  • 特別調剤基本料を算定する薬局について、調剤基本料における加算の評価と情報提供に係る評価が見直し。



具体的には、調剤基本料3 のロ (同一グル-プの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が月に 40 万回を超える場合) の対象となる薬局に、同一グループの店舗数が300以上であって、 特定の保険医療機関からの処方箋受付割合に係る要件について、85%を超える薬局を対象が追加されました。
さらに、同一グループの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が月に40万回を超える又は同一グループの店舗数が300以上である薬局について、特定の保険医療機関からの処方箋受付割合が85%以下の場合の評価が新設されました。

調剤基本料3 のロ は処方箋受付月40万回超のチェーン薬局が対象でした。今回はこの「ロ」の施設基準に、40万回超か「または同一グループの保険薬局の数が300店舗以上」を追加。さらに新たな基本料区分「ハ」(32点)を設けました。
こちらは店舗の処方箋集中率は低いが一定の処方箋枚数を集めるチェーン、または一定の店舗数があるグループに所属する場合に適用する新たな角度の減額点数となります。
ドラッグストアを狙い撃ちしたと言われてもおかしくない算定基準になっています。 

特別調剤基本料を算定する薬局では、地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算を算定する場合、当該加算は100分の80に減額されます。さらに、服薬情報等提供料については、不動産取引等その他の特別な関係のある医療機関への情報提供を行った場合は、算定できません。特別調剤基本料を算定する薬局の締め付けを強くした格好です。


【00 調剤基本料】
1 (略)
2 (略)
3 調剤基本料3

イ 21点

ロ 16点

ハ 32点

注2 別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、注1本文の規定にかかわらず、特別調剤基本料として、処方箋の受付1回につき7点を算定する。

[施設基準]
(4) 調剤基本料3のロ の施設基準
同一グループの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が一月に40万回を超える又は同一グループの保険薬局の数が300以上のグループに属する保険薬局(二の二の(1)に該当するものを除く。)のうち、次のいずれかに該当する保険薬局であること。

イ 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が八割五分を超えること。

ロ 特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引があること。

(5) 調剤基本料3のハの施設基準
同一グループの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が一月に40万回を超える又は同一グループの保険薬局の数が300以上のグループに属する保険薬局((2)、 (4)のロ又は二の二の(1)に該当するものを除く。)のうち、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が八割五分以下であること。


2022年2月9日水曜日

2022年度診療報酬改定 処方箋様式の見直し(リフィル処方箋)



2022年度診療報酬改定では、症状が安定している患者について、医師の処方により、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できる『リフィル処方箋』の仕組みが導入されます。

『リフィル処方箋』の導入に伴い、処方箋様式が『リフィル処方箋』に対応可能な様式に変更されます。

処方箋に「リフィル可」 のレ点を入れる項目が新たに設けられました。
繰り返し利用できる回数は「3回」までです。
1回あたりの投与期間や総投与期間は「医師が判断」します。
なお、1回の投与期間が29日以内の場合、病院にメリットが有るため29日までの処方が多くなると予想されます。その場合、リフィル処方箋の使用回数は3回が上限であるため、投薬期間は最長で87日となります。
投薬量に制限のある医薬品(新医薬品及び麻薬・覚醒剤原料及び向精神薬等)や「湿布」は対象外です。


[対象患者]

(1)医師の処方により、薬剤師による服薬管理の下、一定期間内に処方箋の反復利用が可能である患者

[留意事項]

(1)保険医療機関の保険医がリフィルによる処方が可能と判断した場合には、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入する。

(2)リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回までとする。
また、1回当たり投薬期間及び総投薬期間については、医師が、患者の病状等を踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間とする。

(3)保険医療機関及び保険医療養担当規則において、投薬量に限度が定められている医薬品及び湿布薬については、リフィル処方箋による投薬を行うことはできない

(4)リフィル処方箋による1回目の調剤を行うことが可能な期間については、通常の処方箋の場合と同様とする。
2回目以降の調剤については、原則として、前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内とする。

(5)保険薬局は、1回目又は2回目(3回可の場合)に調剤を行った場合、リフィル処方箋に調剤日及び次回調剤予定日を記載するとともに、調剤を実施した保険薬局の名称及び保険薬剤師の氏名を余白又は裏面に記載の上、当該リフィル処方箋の写しを保管すること。
また、当該リフィル処方箋の総使用回数の調剤が終わった場合、調剤済処方箋として保管すること。

(6)保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋により調剤するに当たって、患者の服薬状況等の確認を行い、リフィル処方箋により調剤することが不適切と判断した場合には、調剤を行わず、受診勧奨を行うとともに、処方医に速やかに情報提供を行うこと。
また、リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について必要に応じ処方医へ情報提供を行うこと。

(7)保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋の交付を受けた患者に対して、継続的な薬学的管理指導のため、同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明すること。

(8)保険薬局の保険薬剤師は、患者の次回の調剤を受ける予定を確認すること。
予定される時期に患者が来局しない場合は、電話等により調剤の状況を確認すること。
患者が他の保険薬局において調剤を受けることを申し出ている場合は、当該他の保険薬局に調剤の状況とともに必要な情報をあらかじめ提供すること。


リフィル処方への加算など、医療機関への明確な インセンティブは新設されません。
しかし、30日以上の長期処方を行った場合に処方箋料が4割に減算されるルールが、1回当たりの投薬期間が29日以内の『リフィル処方箋』では適応されないというペナルティ回避が用意されました。

【処方箋料】

[算定要件]

注2
区分番号A000に掲げる初診料の注2又は注3、区分番号A002に掲げる外来診療料の注2又は注3を算定する保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める薬剤を除き、1処方につき投与期間が30日以上の投薬を行った場合
(処方箋の複数回(3回までに限る。)の使用を可能とする場合であって、当該処方箋の1回の使用による 投与期間が29日以内の投薬を行った場合を除く。)
には、所定点数の100分の40に相当する点数により算定する。



処方箋料の減算規定は200床以上の大病院が対象なので、『リフィル処方箋』を発行する医療機関は限定的かもしれません。次回改定での拡大を視野にいれているかもしれません。



2022年度診療報酬改定 一度に処方できる湿布薬が63枚に制限



2022年度診療報酬改定で、薬剤給付の適正化の観点から、湿布薬を処方する場合に、処方箋等に理由を記載することなく処方ができる枚数の上限が見直されました。

医師が医学的必要性を認めた場合を除き、外来患者に対して、保険給付の範囲内で処方できる湿布薬の上限枚数を、1 処方につき70枚までから63枚までに変更されました。

この63という数字ですが、まず2016年度改定時に1処方で70枚を超える湿布薬に保険給付の制限をかけたところ、70枚以上の処方が減らせた実績があります。そして、2020年度における1処方箋当たりの処方枚数を見たところ、64~70枚にピークが見られました。64~70枚は2000万件以上もあり99.5%もあります。このピークを減らす目的で「63」という数字が出てきたと考えられます。

中医協では35枚まで減らすとの意見も出ていましたが「湿布薬が必要な患者には急性期の患者と慢性期の患者がいる。急性期患者では1処方35枚上限で良いかもしれないが、慢性期患者でその上限を適用することはできない」との診療側の意見やパブリックコメントの「湿布薬の処方枚数の上限を更に見直す(削減する)ことは、患者の頻回の来院をよりもたらすとともに、患者の身体的・経済的負担も増すこととなり、決して医療費の削減には繋がらないと思う」という意見にも配慮したのかもしれません。



中央社会保険医療協議会 総会(第503回)2021年12月8日



【第5部 投薬】
通則 5
入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき63枚を超えて湿布薬を投薬した場合は、区分番号F000に掲げる調剤料、区分番号F100に掲げる処方料、 区分番号F200に掲げる薬剤 (当該超過分に係る薬剤料に限る。)、区分番号F400に掲げる処方箋料及び区分番号F500に掲げる調剤技術基本料は、算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず63枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。


医師が疾患の特性等により必要性があると判断し処方箋等に理由を記載すれば、1回あたりの上限を超えて処方可能なことには変更ありません。


【参考】
平成28年診療報酬改定 湿布薬、1回70枚までに制限と処方せんの書き方

2022年2月8日火曜日

コロナウイルス抗原定性検査キットが品薄 卸への発注時の留意点



コロナウイルス抗原定性検査キットが品薄で手に入りません。

新型コロナウイルスのオミクロン株感染者の急増等により、コロナウイルス抗原定性検査キットの需要が急激に高まっているところです。

そのため、国は医薬品卸売業者やメーカーに対し、抗原定性検査キットの需給が安定するまでの間、必要なところに確実に供給されるようにするため、優先付けを行いながら供給体制を確保していくよう依頼しています。
「新型コロナウイルス感染症オミクロン株の発生等に伴う抗原定性検査キットの適正な流通に向けた供給の優先付けについて」(令和4年1月27日付け事務連絡)

優先度は高い順に

  1. 有症状者に対する検査(行政検査)
  2. 濃厚接触者で社会機能維持者である方の待機期間解除に係る検査
  3. 無料検査に係る検査

となっています。

『行政検査』に該当するのは
①病院、診療所からの発注
②行政検査を行う地方自治体からの発注
③地方自治体が、住民に対して医療機関の受診前に抗原定性検査キット等で自ら検査することを呼びかけた際に、地方自治体からの委託等を受けて抗原定性検査キット等を配付する薬局等からの発注が該当します。
■「新型コロナウイルス感染症の感染急拡大時の外来診療の対応について」(令和4年1月24日付け事務連絡)


『濃厚接触者で社会機能維持者である方の待機期間解除に係る検査』とは

感染拡大を防止しながら可能な限り社会経済活動を維持する観点から、濃厚接触者で社会機能維持者である方が待機期間を短縮するために実施する検査にかかる発注で、国民が必要最低限の生活を送るために不可欠なサービスを提供する関係事業者・官公庁や企業のなどが該当します。
■「新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について」(令和4年1月5日付け事務連絡)


『無料検査に係る検査』とは

ワクチン検査パッケージ等の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の検査促進枠を活用した無料検査事業の検査に必要な発注が該当します。


卸への発注には、『説明書』の提出が必要


薬局が卸へコロナウイルス抗原定性検査キットを発注するには、事前に「抗原定性検査キット優先供給に係る説明書」という書類を提出する必要があります。

この「説明書」には上記、優先付けされたどの要件の発注であるか、またその発注数はいくらかを明確に説明する書類、いわゆる注文書になっています。

注文書なので、発注の都度提出する必要があります。

薬局が卸へ発注するパターン別に留意事項をまとめました。


【パターン1|行政検査】

  • 『説明書』

『説明書』の「有症状者に対する検査(行政検査)優先Ⅰ」に必要数量と具体的用途(委託元情報など)を記入して、『説明書』を提出します。


【パターン2|濃厚接触者で社会機能維持者である方の待機期間解除に係る検査】

  • 『説明書』
  • 販売する事業者が提出した『説明書』の写し
  • 販売する事業者が提出した『確認書』の写し

国民が必要最低限の生活を送るために不可欠なサービスを提供する関係事業者へ販売するための検査キットを発注する場合は、『説明書』を提出するのとは別に、販売する事業者が提出した『説明書』と『抗原定性検査キットを使用した検査実施体制に関する確認書』の写しを提出する必要があります。

老人ホームなどからの自主的な従業員のための検査キットの依頼が薬局にはあるとおもいますが、注文を受ける際には忘れずに説明書と確認書の提出を求めましょう。


【パターン3|無料検査に係る検査】

  • 『説明書』
    →写しを無料検査の補助等を行う都道府県等に提出する

『説明書』の「無料検査に係る検査 優先Ⅲ」に必要数量と具体的用途を記入して、『説明書』を提出します。さらに抗原定性検査キットを購入した際は、購入時に卸に提出した『説明書』の写しを、無料検査の補助等を行う都道府県等に提出するとともに、実際の購入数を当該都道府県等に報告する必要があります。提出のタイミングなどは自治体により異なりますので検査補助を行う自治体にご相談ください。


【パターン4|一般販売】

  • 『説明書』

『説明書』に必要事項を記入し提出します。一般販売(小売)目的の購入は、現時点で優先度が低いため、納品されないと思います。