2022年度診療報酬改定で、薬剤給付の適正化の観点から、湿布薬を処方する場合に、処方箋等に理由を記載することなく処方ができる枚数の上限が見直されました。
医師が医学的必要性を認めた場合を除き、外来患者に対して、保険給付の範囲内で処方できる湿布薬の上限枚数を、1 処方につき70枚までから63枚までに変更されました。
この63という数字ですが、まず2016年度改定時に1処方で70枚を超える湿布薬に保険給付の制限をかけたところ、70枚以上の処方が減らせた実績があります。そして、2020年度における1処方箋当たりの処方枚数を見たところ、64~70枚にピークが見られました。64~70枚は2000万件以上もあり99.5%もあります。このピークを減らす目的で「63」という数字が出てきたと考えられます。
中医協では35枚まで減らすとの意見も出ていましたが「湿布薬が必要な患者には急性期の患者と慢性期の患者がいる。急性期患者では1処方35枚上限で良いかもしれないが、慢性期患者でその上限を適用することはできない」との診療側の意見やパブリックコメントの「湿布薬の処方枚数の上限を更に見直す(削減する)ことは、患者の頻回の来院をよりもたらすとともに、患者の身体的・経済的負担も増すこととなり、決して医療費の削減には繋がらないと思う」という意見にも配慮したのかもしれません。
通則 5
入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき63枚を超えて湿布薬を投薬した場合は、区分番号F000に掲げる調剤料、区分番号F100に掲げる処方料、 区分番号F200に掲げる薬剤 (当該超過分に係る薬剤料に限る。)、区分番号F400に掲げる処方箋料及び区分番号F500に掲げる調剤技術基本料は、算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず63枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。
医師が疾患の特性等により必要性があると判断し処方箋等に理由を記載すれば、1回あたりの上限を超えて処方可能なことには変更ありません。