2022年度診療報酬改定では、症状が安定している患者について、医師の処方により、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できる『リフィル処方箋』の仕組みが導入されます。
『リフィル処方箋』の導入に伴い、処方箋様式が『リフィル処方箋』に対応可能な様式に変更されます。
処方箋に「リフィル可」 のレ点を入れる項目が新たに設けられました。
繰り返し利用できる回数は「3回」までです。
1回あたりの投与期間や総投与期間は「医師が判断」します。
なお、1回の投与期間が29日以内の場合、病院にメリットが有るため29日までの処方が多くなると予想されます。その場合、リフィル処方箋の使用回数は3回が上限であるため、投薬期間は最長で87日となります。
投薬量に制限のある医薬品(新医薬品及び麻薬・覚醒剤原料及び向精神薬等)や「湿布」は対象外です。
(1)医師の処方により、薬剤師による服薬管理の下、一定期間内に処方箋の反復利用が可能である患者
[留意事項]
(1)保険医療機関の保険医がリフィルによる処方が可能と判断した場合には、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入する。
(2)リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回までとする。
また、1回当たり投薬期間及び総投薬期間については、医師が、患者の病状等を踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間とする。
(3)保険医療機関及び保険医療養担当規則において、投薬量に限度が定められている医薬品及び湿布薬については、リフィル処方箋による投薬を行うことはできない。
(4)リフィル処方箋による1回目の調剤を行うことが可能な期間については、通常の処方箋の場合と同様とする。
2回目以降の調剤については、原則として、前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内とする。
(5)保険薬局は、1回目又は2回目(3回可の場合)に調剤を行った場合、リフィル処方箋に調剤日及び次回調剤予定日を記載するとともに、調剤を実施した保険薬局の名称及び保険薬剤師の氏名を余白又は裏面に記載の上、当該リフィル処方箋の写しを保管すること。
また、当該リフィル処方箋の総使用回数の調剤が終わった場合、調剤済処方箋として保管すること。
(6)保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋により調剤するに当たって、患者の服薬状況等の確認を行い、リフィル処方箋により調剤することが不適切と判断した場合には、調剤を行わず、受診勧奨を行うとともに、処方医に速やかに情報提供を行うこと。
また、リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について必要に応じ処方医へ情報提供を行うこと。
(7)保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋の交付を受けた患者に対して、継続的な薬学的管理指導のため、同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明すること。
(8)保険薬局の保険薬剤師は、患者の次回の調剤を受ける予定を確認すること。
予定される時期に患者が来局しない場合は、電話等により調剤の状況を確認すること。
患者が他の保険薬局において調剤を受けることを申し出ている場合は、当該他の保険薬局に調剤の状況とともに必要な情報をあらかじめ提供すること。
リフィル処方への加算など、医療機関への明確な インセンティブは新設されません。
しかし、30日以上の長期処方を行った場合に処方箋料が4割に減算されるルールが、1回当たりの投薬期間が29日以内の『リフィル処方箋』では適応されないというペナルティ回避が用意されました。
[算定要件]
注2
区分番号A000に掲げる初診料の注2又は注3、区分番号A002に掲げる外来診療料の注2又は注3を算定する保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める薬剤を除き、1処方につき投与期間が30日以上の投薬を行った場合
(処方箋の複数回(3回までに限る。)の使用を可能とする場合であって、当該処方箋の1回の使用による 投与期間が29日以内の投薬を行った場合を除く。)
には、所定点数の100分の40に相当する点数により算定する。
処方箋料の減算規定は200床以上の大病院が対象なので、『リフィル処方箋』を発行する医療機関は限定的かもしれません。次回改定での拡大を視野にいれているかもしれません。