2021年12月にイーケプラの初後発品が薬価収載されました。
イーケプラドライシロップの後発品は9品目が薬価収載されました。(承認時点では「ニプロ」も予定されていましたが、収載見送りとなっています)
レベチラセタムのドライシロップ製剤についてちがいをまとめてみました。
主な違いは以下の3つです。
- 味、風味
- 包装
- 添加物のアスパルテーム含有の有無
味、風味のちがい
どのメーカーの薬も添加物にマンニトールやアスパルテーム、水あめなどの甘味料を使用して甘みを出すようにしています。さらに香料を使って風味付けをおこなっています。先発品のイーケプラでは目立った風味はありませんが、後発品ではオレンジやグレープフルーツ、りんご、いちごヨーグルトのフレーバーが採用されているものもあります。
オレンジフレーバーを多くのメーカーが採用しています。これは原薬がかなり苦いので、苦味にオレンジ風味が相性がいいからでしょうか。
包装の違い
先発品のイーケプラドライシロップにはバラ100gと500gの2種類の包装が設定されています。後発品ではバラ100gの1種類です。唯一、「トーワ」のみが分包品を用意してくれています。「トーワ」は販売チャンネルが共創未来、東和、三和化学の3社ですが、分包品を扱っているのは共創未来と東和薬品だけのようです。イーケプラドライシロップの調剤といえば、分包機への付着問題ですね。原因は粉体の静電気の帯電と考えられています。賦形剤の添加で対策するしかないのですが、分包品の存在は助かりますね。
医療薬学,42(1) 40-47 (2016).
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/42/1/42_40/_pdf
添加物のちがい
イーケプラドライシロップには甘味料として「アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)」が添加されています。添付文書には『アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)を含有するため、フェニルケトン尿症の症状を増悪させるおそれがある。』の記載があり、患者さんからのアナウンスや聞き取りなど注意が必要です。後発品には先発と同じくアスパルテームを添加しているものもあれば、別の甘味料を使いスパルテームを配合していないものもあります(「JG」「YD」「日新」「明治」。アスパルテームを添加していない製剤の添付文書には上記の記載はありません。フェニルケトン尿症の方にはアスパルテームを添加していないものを提案できると安心ですね。
※フェニルケトン尿症とアスパルテーム
フェニルケトン尿症の患者さんはフェニルアラニンをチロシンという別のアミノ酸に変える 酵素 の働きが生まれつき弱く、身体にフェニルアラニンが蓄積してしまいます。フェニルアラニンが蓄積すると精神発達に障害をきたします。
アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンという2種類のアミノ酸が結合してできたL-フェニルアラニン化合物です。甘さは砂糖の約200倍で、さわやかな甘さが特徴です。
フェニルケトン尿症の人はフェニルアラニンを分解できないのでL-フェニルアラニン化合物の摂取量を制限されています。