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2022年1月28日金曜日

2022年度診療報酬改定 「調剤料」と「薬剤服用歴管理指導料」がなくなる。



 2022年診療報酬改定で、調剤報酬から「薬剤料」と「薬剤服用歴管理指導料」がなくなります。

2022年度調剤報酬


調剤報酬では【調剤技術料】【薬学管理料】【薬剤料】【材料費】の4つで構成されています。このうち、【調剤技術料】は「調剤基本料」と「調剤料」に分けられます。【薬学管理料】は「薬剤服用歴管理指導料」と「その他の管理料」に分けることができます(2022年1月時点)


2022年の診療報酬改定では、対物業務及び対人業務を適切に評価する観点から、薬局・薬剤師業務の評価体系について見直しが行われ、これまで「調剤料」として評価されていた薬剤調製や取り揃え監査業務などの対物業務が「調剤料」から『薬剤調製料』として新たに評価されることになりました。

そして、「調剤料」の中で評価されていた、処方内容の薬学的分析、調剤設計等のいわゆる対人業務と、これまで「薬剤服用歴管理指導料」として評価されていた薬歴の管理等に関係する業務が調剤管理料として評価されることになります。


「薬剤服用歴管理指導料」は『服薬管理指導料』に名前を変え、服薬指導に関する業務の評価を行うことになります。


国が掲げる”薬剤調製などの対物中心の業務を適切かつ効率的に実施することを前提に、薬学的管理などの対人中心の業務への転換を推進するための所要の重点化と適正化を行う”という方針のもと、対物業務は【調剤技術料】で評価し大幅に点数が下げられ、対人業務の【薬学管理料】で評価するという明確なものになりました。調剤技術料で下げたことで出てくる財源は、対人業務に割り振られ【薬学管理料】が手厚い内容になっています。




2022年1月27日木曜日

バイナス錠 販売中止と代替品



バイナス錠が販売中止となるようです。

販売中止のお知らせ(バイエル薬品)
https://pharma-navi.bayer.jp/sites/g/files/vrxlpx9646/files/2021-11/BNS_PNS_202111080.pdf

経過措置(予定):2023年3月末
中止理由:需要減少のため

バイナス錠はラマトロバンを成分とするアレルギー性鼻炎の適応をもつ唯一のプロスタグランジンD2(PGD2)・トロンボキサンA2(TXA2) 受容体拮抗剤です。

TXA2は、1969年PiperとVaneによりウサギ大動脈を収縮させる物質として発見されたアラキドン酸代謝産物です。そして1975年 Hambergらにより同定、命名されました。
アラキドン酸の代謝経路については、生体内において肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、血小板などの炎症性細胞が抗原刺激を含む種々の刺激を受けると、細胞膜のリン脂質からホスホリパーゼの作用でアラキドン酸が産生され、さらにアラキドン酸からPG類、ロイコトリエン(LT)類、TX類のような種々の生理活性物質が産生されるといういわゆるアラキドン酸カスケードが知られています。
それらのうちTXA2が血管透過性亢進作用などを示し、アレルギー性鼻炎の病態に関与していることが明らかになりました。

このTXA2を標的に開発された薬剤がバイナス錠です。日本では2000年にバイエル薬品から発売されました。
バイナス錠は鼻閉症状を改善するとして、鼻閉型のアレルギー性鼻炎への使用がガイドラインで推奨されていました。


バイナス錠の代替品

バイナス錠はラマトロバンを成分とするアレルギー性鼻炎の適応をもつ唯一のプロスタグランジンD2(PGD2)・トロンボキサンA2(TXA2) 受容体拮抗剤です。
バイナス錠は鼻アレルギーガイドラインでは鼻閉型のアレルギー性鼻炎への使用が推奨されていました。
同様に、鼻閉型のアレルギー性鼻炎への使用が推奨されているものに第2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤の『ディレグラ配合錠』がありますので、こちらが代替候補となります。



鼻アレルギーと気管支喘息の合併率は高く、喘息患者のPGD2曝露に伴う気道狭窄を抑制する目的でバイナス錠が使用されることがあります。

抗PGD2 ・TXA2 薬は喘息症状改善にある程度有用である考えられており、気管支喘息の治療薬としてTXA2合成酵素薬(オザグレル塩酸塩)やTXA2受容体拮抗薬(セラトロダスト)が適応を取得しています。


2022年1月21日金曜日

レベチラセタム ドライシロップ製剤のちがい



 2021年12月にイーケプラの初後発品が薬価収載されました。


イーケプラドライシロップの後発品は9品目が薬価収載されました。(承認時点では「ニプロ」も予定されていましたが、収載見送りとなっています)
レベチラセタムのドライシロップ製剤についてちがいをまとめてみました。

主な違いは以下の3つです。

  • 味、風味
  • 包装
  • 添加物のアスパルテーム含有の有無


味、風味のちがい

どのメーカーの薬も添加物にマンニトールやアスパルテーム、水あめなどの甘味料を使用して甘みを出すようにしています。さらに香料を使って風味付けをおこなっています。

先発品のイーケプラでは目立った風味はありませんが、後発品ではオレンジやグレープフルーツ、りんご、いちごヨーグルトのフレーバーが採用されているものもあります。
オレンジフレーバーを多くのメーカーが採用しています。これは原薬がかなり苦いので、苦味にオレンジ風味が相性がいいからでしょうか。

包装の違い

先発品のイーケプラドライシロップにはバラ100gと500gの2種類の包装が設定されています。後発品ではバラ100gの1種類です。唯一、「トーワ」のみが分包品を用意してくれています。「トーワ」は販売チャンネルが共創未来、東和、三和化学の3社ですが、分包品を扱っているのは共創未来と東和薬品だけのようです。

イーケプラドライシロップの調剤といえば、分包機への付着問題ですね。原因は粉体の静電気の帯電と考えられています。賦形剤の添加で対策するしかないのですが、分包品の存在は助かりますね。

医療薬学,42(1) 40-47 (2016).
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/42/1/42_40/_pdf


添加物のちがい

イーケプラドライシロップには甘味料として「アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)」が添加されています。添付文書には『アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)を含有するため、フェニルケトン尿症の症状を増悪させるおそれがある。』の記載があり、患者さんからのアナウンスや聞き取りなど注意が必要です。
後発品には先発と同じくアスパルテームを添加しているものもあれば、別の甘味料を使いスパルテームを配合していないものもあります(「JG」「YD」「日新」「明治」。アスパルテームを添加していない製剤の添付文書には上記の記載はありません。フェニルケトン尿症の方にはアスパルテームを添加していないものを提案できると安心ですね。

※フェニルケトン尿症とアスパルテーム
フェニルケトン尿症の患者さんはフェニルアラニンをチロシンという別のアミノ酸に変える 酵素 の働きが生まれつき弱く、身体にフェニルアラニンが蓄積してしまいます。フェニルアラニンが蓄積すると精神発達に障害をきたします。
アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンという2種類のアミノ酸が結合してできたL-フェニルアラニン化合物です。甘さは砂糖の約200倍で、さわやかな甘さが特徴です。
フェニルケトン尿症の人はフェニルアラニンを分解できないのでL-フェニルアラニン化合物の摂取量を制限されています。


2022年1月20日木曜日

インヒベース 販売中止と代替品 (経過措置期間:2021年3月31日)



(2022年1月追記)

インヒベースが販売中止となるようです。

販売中止のご案内(中外製薬)
https://chugai-pharm.jp/content/dam/chugai/product/notice/2018/20180709-1.pdf

経過措置:2021年3月31日迄


インヒベースは、シラザプリル水和物を有効成分とするアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬です。シラザプリルは1982年にイギリスRoche社の Hassall らによって合成されました。ACEに対して極めて親和性が高く、長時間にわたってACE阻害作用を示すため、1日1回の経口投与で血圧の良好なコントロールを可能とした持続性ACE阻害剤として、1985 年より日本において臨床試験が開始されました。その結果、1 日 1 回投与で、高血圧症全般に安定した降圧効果を示し、臨床上高い有用性が認められ、1990 年 9 月に承認され、同年11月に発売されました。1990年11月に日本ロシュ株式会社(現:中外製薬)とエーザイの2社より1ブランド2チャネルでの販売を開始し、1995年1月からは、エーザイが単独販売していましたが、2005年に共同販促は解消され、販売中止となる2021年まで中外製薬が単独で販売していました。

名前の由来は、「ACE阻害」を意味する英語「inhibit of ACE」でinhibaceというとてもわかり易いネーミングです。(当時のロッシュにしては安直ですね)


インヒベースの代替品

後発品があります。

・シラザプリル錠0.25mg/0.5mg/1mg「サワイ」

 シラザプリル錠0.25mg / 0.5mg / 1mg「サワイ」 販売中止のご案内 
https://med.sawai.co.jp/file/pr28_1287_1.pdf

・シラザプリル錠0.25mg/0.5mg/1mg「トーワ」

シラザプリル錠0.25mg / 0.5mg / 1mg「トーワ」 販売中止のご案内 

https://med.towayakuhin.co.jp/medical/product/fileloader.php?id=70850&t=4

後発品もなくなりました。
「サワイ」「トーワ」も2021年に販売中止となりました。


インヒベースは降圧効果のあるACE阻害薬です。2022年1月時点で12種類のACE阻害薬が降圧薬として用いられています。ACE阻害薬は構造上の特徴として、チオールタイプ、カルボン酸タイプ、7員環タイプの3つに分類できます。シラザプリルは7員環タイプです。他の7員環タイプのACE阻害薬にはベセナプリルやテモカプリルがあります。いずれも、シラザプリルと同じく活性化体の半減期が長く、1日1回投与です。排泄経路が胆汁・腎からというのが少し異なるところです。












2022年1月19日水曜日

健胃消化薬(医療用医薬品)ちがい早見表 2022年1月



健胃消化薬の考え方

消化器官のはたらきは、食欲を高め、唾液や胃液等の分泌を促進し、消化をよくし、消化された物質をよく吸収し、不要なものなどを排泄させることです。

すなわち、消化器系異常の治療においては、食欲・分泌能・消化・吸収の全体像の把握が対象となり、一症状の改善に限定せず、消化器系全般の機能異常と考え、これらを正常に回復させることが、より合理的と考えられています。

この考えに従うと、消化器官のはたらきを総合的な改善効果をもたらすためには、消化及び吸収に作用する薬物、運動刺激に作用する薬物、分泌刺激に作用する薬物を同時に投与することが有効と考えられます。
これらの薬物を配合したものが健胃消化薬として広く使用されています。健胃消化薬は、制酸剤、消化酵素剤、健胃剤(生薬)の配合が基本となっています。

配合処方される薬剤については、個々の薬剤に一長一短があり、それぞれの特性を生かす為の 研究が重ねられ、より優れたものとして種々の処方が検討されてきました。

医療用の健胃消化薬はその配合により大まかに8つに分類できます。



  1. カンゾウ末配合剤
  2. ジアスターゼ・生薬配合剤
  3. センブリ・重曹
  4. タカヂアスターゼ・生薬配合剤
  5. ビオヂアスターゼ・生薬配合剤
  6. ロートエキス・ゲンチアナ末配合剤
  7. 炭酸水素ナトリウム・ゲンチアナ末配合剤
  8. 炭酸水素ナトリウム・ニガキ


健胃消化薬のちがい

カンゾウ末配合剤

  • つくしA・M 配合散
  • エヌエス配合散(販売中止:2020年3月経過措置満了)
健胃生薬として芳香性健胃薬(ケイヒ末、ウイキョウ末)、苦味性健胃薬(ニガキ末、オウバク末)、芳香辛味性健胃薬(ショウキョウ末)を配合したものに、鎮痙作用を有するカンゾウ末を加えているのが特徴です。そのほか制酸剤と消化酵素のαアミラーゼが健胃作用を補助する目的で配合されています。
つくしA・M配合散はかつてはる消化酵素にリカーゼ(α-アミラーゼ)を採用していましたが、原薬の入手困難により同じα-アミラーゼのジアスメンに変更した過去があります。

ジアスターゼ・生薬配合剤

消化酵素にジアスターゼを採用し、制酸剤(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム,炭酸水
素ナトリウム,沈降炭酸カルシウム)及び生薬(チョウジ末,ウイキョウ末,ケイヒ末,シ
ョウキョウ末,オウレン末,サンショウ末,カンゾウ末)を加えた配合製剤です。
TM配合散とピーマーゲン配合散では、生薬の配合や消化酵素が追加されているという違いがみられます。

センブリ・重曹

  • センブリ・重曹散 シオエ
  • センブリ・重曹散「ヨシダ」
  • センブリ・重曹散「JG」
  • 日粉センブリ・重曹散N
  • 健胃配合錠「YD」
消化酵素が配合されていないタイプの健胃消化薬です。処方はシンプルで、制酸作用のある炭酸水素ナトリウムと生薬のセンブリを配合したものです。センブリ末は、苦味成分により胃機能を活発にして食欲を増進させる作用があります。
健胃消化薬で唯一の錠剤タイプである健胃配合錠「YD」は昭和42年に承認をうけたベテラン薬剤です。

タカヂアスターゼ・生薬配合剤

  • S・M配合散
S・M 配合散はタカヂアスターゼに制酸剤、健胃剤である生薬を配合したものです。消化酵素剤であるタカヂアスターゼは1889~1891 年頃、高峰譲吉という日本人によって発見・創製されたものです。明治末期に三共商店(現:第一三共株式会社)において生産、発売され製法上の改良を加えながら現在にいたります。タカヂアズターゼの主成分はアミラーゼで、それにプロテアーゼ、セルラーゼ等多くの酵素が含有されているものです。これら諸酵素が消化器管内に取り入れられ、総合して強力な消化力を発揮するものと考えられています。

生薬の配合はジアスターゼ・生薬配合剤と同じで、ジアスターゼ・生薬配合剤の消化酵素を変更した処方と覚えておくとよいでしょう。


ビオヂアスターゼ・生薬配合剤

制酸剤、生薬成分の健胃薬に加え消化酵素剤ビオヂアスターゼを配合した消化器症状改善を目的とした総合胃腸薬です。
YM散は制酸剤4種類に消化酵素剤2種類も配合されていて、サービスランチのような処方です。

ロートエキス・ゲンチアナ末配合剤

  • ベルサン
炭酸水素ナトリウムにロートエキスとゲンチアナ末を配合した製剤。ロートエキスが使われているので緑内障や前立腺肥大のある患者さんは服用できません。

炭酸水素ナトリウム・ゲンチアナ末配合剤

  • ビットサン
  • 重散
  • ビアサン
炭酸水素ナトリウムにゲンチアナ末を配合したものをベースに消化酵素のジアスターゼを配合したものがビットサンや重散。ビアサンは消化酵素ではなく生薬の種類を増やした処方になっています。

炭酸水素ナトリウム・ニガキ

  • 健胃散「スズ」
  • 健栄の健胃散
炭酸水素ナトリウムにニガキ末を配合したシンプルな処方です。ニガキ末は漢方では処方されない家庭薬原料の珍しい生薬です。


2022年1月18日火曜日

アルコールを含まないエアゾール製剤(2022年1月更新)



喘息患者さんで、吸入薬のアルコール臭が気になると訴える患者さんがいらっしゃいます。



エアゾールタイプの吸入薬の多くには、薬剤を溶かす溶媒として無水エタノールが使用されています。


エタノール含有エアゾール製剤は薬剤の肺内到達率が高く、ドライパウダー製剤がうまく吸入できない人でも吸入できますし、吸入補助器が使用できるというメリットが有ります。

しかし、そのメリットも患者さんが吸入してくれなくては発揮されません。


アルコール臭が気になり、吸入時に咳き込むようなことがあれば、薬剤効果が期待できず症状が安定しないようなことも予想されます。

そのような場合には他の製剤に切り替えることも考慮しなくてはなりません。


以下にエタノール含有エアゾール製剤の一覧とエタノールを含まない製剤の一覧を示します。

エタノール含有エアゾール製剤


分類

商品名

添加物
ステロイド オルベスコ50μg
 インヘラー
オルベスコ100μg
 インヘラー
オルベスコ200μg
 インヘラー
無水エタノール
1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA-134a)
ステロイド キュバール50
 エアゾール
キュバール100
 エアゾール
無水エタノール
1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA-134a)
短時間作用型
抗コリン薬
アトロベント
 エロゾル20μg
無水クエン酸
無水エタノール
1,1,1,2-テトラフルオロエタン
短時間作用型
抗コリン薬
テルシガン
 エロゾル
(販売中止)
無水エタノール
無水クエン酸
1,1,1,2-テトラフルオロエタン
短時間作用性
β2刺激薬
アイロミール
(販売中止)
オレイン酸
無水エタノール
1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA-134a)
短時間作用性
β2刺激薬
ベロテック
 エロゾル100
無水エタノール
無水クエン酸
1,1,1,2-テトラフルオロエタン
短時間作用性
β2刺激薬
メプチン
 エアー10μg
無水エタノール
オレイン酸
1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA-227)
短時間作用性
β2刺激薬
メプチンキッド
 エアー5μg
無水エタノール
オレイン酸
1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA-227)
長時間作用性
β2刺激薬

ステロイド
フルティフォーム50
 エアゾール
フルティフォーム125
 エアゾール
クロモグリク酸ナトリウム
無水エタノール
1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン
ニトログリセリン ミオコール
 スプレー0.3mg
エタノール
テトラフルオロエタン
ハッカ油



エタノールを含まないエアゾール製剤

分類 商品名 添加物
ステロイド フルタイド50μg
 エアゾール
フルタイド100μg
 エアゾール
1,1,1,2-テトラフルオロエタン
抗アレルギー剤 インタール
 エアロゾル
ポビドン
マクロゴール
1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA-227)
短時間作用性
β2刺激薬
サルタノール
 インヘラー100μg 
1,1,1,2-テトラフルオロエタン
長時間作用性
β2刺激薬

ステロイド
アドエア50
 エアゾール
アドエア125
 エアゾール
アドエア250
 エアゾール
1,1,1,2-テトラフルオロエタン
長時間作用性
抗コリン薬
+
長時間作用性
β2刺激薬
ビベスピ
 エアロスフィア28吸入
多孔性粒子(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン及び塩化カルシウム水和物から成る)
1,1,1,2-テトラフルオロエタン
長時間作用性
抗コリン薬
+
長時間作用性
β2刺激薬
+
ステロイド
ビレーズトリ
 エアロスフィア56吸入
多孔性粒子(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン及び塩化カルシウム水和物から成る)
1,1,1,2-テトラフルオロエタン
人工唾液 サリベート
 エアゾール
カルメロースナトリウム
D-ソルビトール
安息香酸ナトリウム
ソルビン酸
水酸化ナトリウム
二酸化炭素(噴射剤)


エタノール含有エアゾール製剤で考慮すること


  • アルコールが1滴も飲めない人にはエタノール含有エアゾール製剤は第二選択となります。
  • ジスルフィラム作用をもつ、嫌酒薬やセフェム系抗菌薬使用中のひとにはエタノール含有エアゾール製剤は第二選択となります。
  • 気道過敏性の特に高い喘息患者においてはエタノール吸入による気道刺激での咳嗽や喘息症状の発生に注意します。
  • アルコール臭に敏感な患者さんには第二選択となります。

すべての添加物を把握することは難しいですが、薬剤に含まれる具体的な添加物の成分を患者さんに伝えて、アレルギー歴の有無を確認することは、薬剤アレルギーの発現を回避する上で有効な手段です。

【参考】
公益財団法人 日本医療機能評価機構「薬局ヒヤリハット事例収集・分析事業」2019年No.6
http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2019_06.pdf




コナン錠 販売中止と代替品



 コナン錠が販売中止となるようです。

https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/info/ifn_5376_P20275.pdf


経過措置期間(予定)
2022年3月末


コナン錠は,米国ワーナー・ランバート社(現:ファイザー社)が開発したキナプリル塩酸塩を主成分とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)です。ACE阻害剤のファースト・インクラスであるカプトプリルとは異なりSH基(チオール基)を有していないカルボン酸タイプのACE阻害剤です。コナン錠はプロドラッグという特徴を持っています。

経口投与後速やかに吸収、加水分解され活性代謝物のキナプリラートとなり血管壁などの標的臓器で強力かつ持続的なACE阻害作用を示す。さらに組織移行性を高めるため3-isoquinolyl 基をもっています。臨床的には1日1回投与で24時間にわたり、安定した降圧効果を示し、高血圧に対して高い有用性が確認され、1995年6月に日本で承認を取得し同年9月に販売を開始しました。

販売開始から26年あまりで、販売中止となりました。


コナン錠は某アニメの名探偵と同じ名前なので、名前のインパクトは大きいです。
実際の名称の由来は
CONVERT + ANGIOTENSIN + ANGIO 
のアルファベットの最初の部分をつなぎ合わせた造語です。


コナン錠の代替品


後発品(ジェネリック)はありません。

コナン錠(キナプリル)は降圧効果のあるACE阻害薬です。2022年1月時点で12種類のACE阻害薬が降圧薬として用いられています。ACE阻害薬は構造上の特徴として、チオールタイプ、カルボン酸タイプ、7員環タイプの3つに分類できます。キナプリルはカルボン酸タイプです。類似の構造を持つものは、性質も似てくるので、カルボン酸タイプから替わりを選択するのがよいでしょう。

最近の企業の風潮として長期収載品を減らしていく流れがあります。この観点で考えたとき、適応が1つのものよりは、複数あるもののほうが市場からの撤退が起きにくいと考えられます。
エナラプリル、リシノプリルは高血圧症のほかに慢性心不全の適応をもっています。イミダプリルは糖尿病性腎症の適応をもっています。