S・アドクノン錠30が販売中止となるようです。
S・アドクノン®錠30販売中止のご案内(アルフレッサファーマ)
https://www.alfresa-pharma.co.jp/news/get/NEWS_ID/1252/
経過措置期間:2021年3月31日迄
S・アドクノンは アドレノクロムモノアミノグアニジンを有効成分とする止血剤で、紫斑病、網膜出血、鼻出血等各種の出血性素因のある患者さんに使用されていました。
アドレノクロム は、1941年にDerouauxによって発見されたアドレナリンの酸化誘導体です。
アドレノクロムの作用機序は主として血管壁の透過性抑制作用及び血管抵抗力増強作用です。そのため、毛細血管透過性増大による出血に対して止血作用を有します。
しかしながら、アドレノクロムは、非常に不安定な物質であるため臨床的に応用することが困難でした。この点を改良したアドレノクロム誘導体アドレノクロムモノセミカルバゾン(Carbazochrome)が合成され(1943年Braconier)臨床応用への道が開かれました。
その後もアドレノクロムとその誘導体の開発が進められた結果、安定で水溶性の高い化合物としてアドレノクロムモノアミノグアニジンが合成されました。
S・アドクノンは治験で紫斑病、網膜出血、鼻出血等各種の出血性素因の止血において有用性が認められ、1971年11月に承認を取得し、1974年4月に発売されました。
なお、1984年3月19日に1錠50mg規格製剤(S・アドクノン錠50)の発売に伴い、「放射線曝射による白血球減少症」の承認効能が追加されていましたが、50mg規格製剤の販売中止と承認整理に伴い、2001年7月にS・アドクノン錠30の効能・効果、用法・用量から「放射線曝射による白血球減少症」の承認効能を自主的に整理しています。
そして、2019年諸般の事情により S・アドクノン30は販売中止となりました。
S・アドクノン錠30の代替品
経口の止血薬は、血管強化薬、凝固促進薬、抗プラスミン剤などに分類されます。
代替品はこれらの中から、選ぶことになるでしょう。
血管強化剤とは、毛細血管の透過性を抑制し、脆弱性を改善することによって出血を防止する薬で、カルバゾクロムやS・アドクノン(アドレノクロム)などがこれに分類されています。毛細血管の透過性が高まると血液成分が血管外に漏出し出血も多くなるようですが、血管強化薬は血管透過性が高まるのを抑制して止血するもので、凝固系や線溶系とは関係なく止血作用を示すと考えられています。紫斑病や皮膚や粘膜からの出血に対して用いられます。ただし、その効果は強いものではなく、作用機序については不明な点も多く、なんで効いているのかよくわからないし、本当に効いているのかすらよくわからない薬です。エビデンスも殆どありません。
抗プラスミン剤とは、血栓が溶解されるときに働くプラスミンというプロテアーゼを阻害する抗プラスミン薬のことで、血栓の溶解を抑制して止血作用を示すものです。トラネキサム酸が内服薬や注射薬として使われています。線溶反応が亢進することによって起こる異常出血に極めて有効です。トラネキサム酸は止血に関する研究報告がいくつかあります。
トラネキサム酸も古くから信頼性のある止血剤として多くの国々で使用されてきました。そのため、トラネキサム酸とカルバゾクロムを併用することに関してはいくつか有用性が報告されています。