「オーラップ錠1mg」「オーラップ錠3mg」「オーラップ細粒1%」が販売中止となるようです。
販売中止のご案内(アステラス製薬)
https://amn.astellas.jp/jp/di/info/news_190717011538568.pdf
経過措置期間:2021年3月31日
オーラップは、ピモジドを成分とする神経遮断剤です。ピモジドはベルギーのヤンセン社で開発されたジフェニルブチルピペラジンを基本骨格とし合成されました。
ピモジドが合成される前、ベルギーのヤンセン研究所では、すでにブチロフェノン系の神経遮断剤としてハロペリドール、トリフルペリドール及び スピロペリドール等の開発に成功していましたが、1960 年頃より化学構造的に新規な ジフェニルブチルピペラジン を基本骨格とした誘導体の広範な合成研究が行われていました。
これらの誘導体の中には中枢神経系に対して神経遮断剤として興味ある作用を示すものがあり、広範な薬理スクリーニングの結果、はじめてのジフェニルブチルピペラジン 誘導体として、ピモジドが選ばれ、神経遮断剤として開発するに至りました。
オーラップは薬理学的にはハロペリドール等既存の神経遮断剤にみられる典型的な作用、すなわちカタレプシー及び眼瞼下垂惹起作用、抗アポモルヒネ作用、抗アンフェタミン作用及び条件回避反応の抑制作用などを示しますが、既存の神経遮断剤より作用の持続が長く、また鎮静作用及び自律神経系に対する作用が比較的弱いという特徴を有しています。これらの作用は、経口投与でも著明であり、同等の量で皮下投与に匹敵する効果を示しました。
オーラップは当時の新しい神経遮断剤としての臨床効果に期待が持たれ、1967 年よりベルギーをはじめとした諸外国において精神分裂病(現 統合失調症)を対象とした臨床試験が開始されました。
日本国内では 1969 年より基礎試験及び臨床試験が開始され、1973 年 8 月に精神分裂病(現 統合失調症)の適応で承認を取得し、1982 年 4 月には小児の行動異常に対して適応を追加して現在に至ります。
最近は定型抗精神病薬よりも安全性の高い非定型抗精神病薬が次々と上市され活躍の場が減りつつある薬でした。
小児適応のある抗精神病薬がオーラップしかなかったため小児の発達障害診療では、ある程度の地位は確立していました。しかし、ピモジドは心毒性や突然死との関連がみられるため、使用前および使用中は心電図モニタリングが必要で、扱いづらさもありました。
近年、アリピプラゾールとリスペリドンの小児適応拡大により、安全性や扱いづらさからオーラップの使用は減ってきていました。
役目を終えたからなのか、2021年販売中止となり約半世紀の歴史に終止符がうたれました。
オーラップの代替品
後発品はありません。
統合失調症と小児の自閉症(発達障害)で分けると、以下のようになります。
統合失調症の場合
→他の抗精神病薬
小児発達障害
→アリピプラゾール or リスペリドン
参考:
1.抗精神病薬(経口製剤)の等価換算−稲垣&稲田(2017)版−