2021年度の介護報酬改定について薬局に関係する部分(居宅療養管理指導費)について、告示および通知等を抜粋してみました。
まず、2021年度改定において、居宅療養管理指導について、在宅の利用者であって通院が困難なものに対して行うサービスであることを踏まえ、適切なサービスの提供を進める観点から、診療報酬の例を参考に、少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができるような人への算定はできないことが明確化されました。
また、薬剤師による情報通信機器を用いた服薬指導の評価が新設されました。薬剤師による居宅療養管理指導について、診療報酬では2020年改定において既に算定可能な情報通信機器を用いた服薬指導を新たに介護報酬でも算定できるよう整合性をとったものです。
令和3年度介護報酬改定の主な事項(厚生労働省) |
居宅療養管理指導費については居住場所に応じた評価が見直され、単位数が変更されています。高齢者マンションなど単一建物居住者が10人以上の場合、算定単位が減っている(345単位/回 → 341単位/回)一方で、単一建物居住者1人に対して行う場合は単位数が増えています。
令和3年度介護報酬改定の主な事項(厚生労働省) |
さらに、居宅療養管理指導費の算定要件として『利用者の社会生活面の課題にも目を向け、地域社会における様々な支援へとつながるよう留意し、(中略)提供するよう努めることとする』という文言が加わっています。これは、在宅療養に欠かせない最低限の情報だけでなく、社会的処方の観点から必要だと考えられる情報も併せて医師、ケアマネ等チームに伝達することで、より質の高いサービスの提供、利用者のQOLの向上につなげる狙いがあります。
細かいところでは、用語の呼称が若干変わっています。2020年度までは居宅療養管理指導を行っている保険薬局(在宅基幹薬局)が連携する他の保険薬局を「サポート薬局」と呼んでいましたが、サポート薬局の呼称が『在宅協力薬局』に変更になりました。これは、健康サポート薬局と混同を避けるためと思われます。
[指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準]改正告示(令和3年厚生労働省告示第73号)
5 居宅療養管理指導費
イ 医師が行う場合
(略)
ロ 歯科医師が行う場合
(略)
ハ 薬剤師が行う場合
⑴ 病院又は診療所の薬剤師が行う場合
㈠ 単一建物居住者1人に対して行う場合 565単位
㈡ 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 416単位
㈢ ㈠及び㈡以外の場合 379単位
⑵ 薬局の薬剤師が行う場合
㈠ 単一建物居住者1人に対して行う場合 517単位
㈡ 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 378単位
㈢ ㈠及び㈡以外の場合 341単位
注1 在宅の利用者であって通院が困難なものに対して、指定居宅療養管理指導事業所( 指定居宅サービス基準第85条第1項に規定する指定居宅療養管理指導事業所をいう。以下この注及び注4から注6までにおいて同じ。) の薬剤師が、医師又は歯科医師の指示( 薬局の薬剤師にあっては、医師又は歯科医師の指示に基づき、当該薬剤師が策定した薬学的管理指導計画)に基づき、当該利用者を訪問し、薬学的な管理指導を行い、介護支援専門員に対する居宅サービス計画の策定等に必要な情報提供を行った場合に、単一建物居住者( 当該利用者が居住する建物に居住する者のうち、当該指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が、同一月に 指定居宅療養管理指導を行っているものをいう。)の人数に従い、1月に2回( 薬局の薬剤師にあっては、4回)を限度として、所定単位数を算定する。
ただし、薬局の薬剤師にあっては、別に厚生労働大臣が定める者に対して、当該利用者を訪問し、薬学的な管理指導等を行った場合は、1週に2回、かつ、1月に8回を限度として、所定単位数を算定する。
2 医科診療報酬点数表の区分番号C 002に掲げる在宅時医学総合管理料に規定する訪問診療の実施に伴い、処方箋が交 付された利用者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、情報通信機器を用いた服薬指導( 指定居宅療養管理指導と同日に行う場合を除く。) を行った場合は、注1の規定にかかわらず、1月に1回に限り45単位を算定する。
3 疼痛緩和のために別に厚生労働大臣が定める特別な薬剤の投薬が行われている利用者に対して、当該薬剤の使用に関し必要な薬学的管理指導を行った場合は、1回につき100単位を所定単位数に加算する。ただし、注2を算定している場合は、算定しない。
4 別に厚生労働大臣が定める地域に所在する指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が指定居宅療養管理指導を行った場合は、特別地域居宅療養管理指導として、1回につき所 定単位数の100分の15に相当する単位数を所定単位数に加算する。ただし、注2を算定している場合は、算定しない。
5 別に厚生労働大臣が定める地域に所在し、かつ、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合する指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が指定居宅療養管理指導を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の10に相当する単位数 を所定単位数に加算する。ただし、注2を算定している場合は、算定しない。
6 指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が、別に厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して、通常の 事業の実施地域( 指定居宅サービス基準第90条第5号に規定する通常の事業の実施地域をいう。) を越えて、指定居宅療養管理指導を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の5に相当する単位数を所定単位数に加算する。ただし、注2を算定している場合は、算定しない。
(指定居宅介護支援事業者により指定居宅介護支援を受けている居宅要介護被保険者については居宅サービス計画(以下6において「ケアプラン」という。)を作成している介護支援専門員を、特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護又は看護小規模多機能型居宅介護の利用者にあっては、当該事業所の介護支援専門員をいう。以下6において「ケアマネジャー」という。)
に対するケアプランの作成等に必要な情報提供並びに利用者若しくはその家族等に対する介護サービスを利用する上での留意点、介護方法等についての指導及び助言を行った場合に算定する。