タラモナール静注が販売中止となるようです。
https://www.medicallibrary-dsc.info/announce/other/pdf-data/2020/2003stop_tlm.pdf
■販売中止時期:2020年9月末日
■経過措置満了時期(予定):2021年3月末日
タラモナール静注はドロペリドールとフェンタニルとを 50:1 の割合で混合した製剤です。
Neuroleptanalgesia(NLA:ニューロレプト無痛法)という麻酔法に使用します。
NLAはベルギーDe Castro と Mundeleer によって 1959 年に名付けられた麻酔法です。
鎮痛剤、神経遮断剤を組み合わせて、それまでの全身麻酔剤とは様相を異にした新しい麻酔状態を作り出そうとの考えから提唱されました。
mineralization(睡眠状態でもなく覚醒状態でもなく鉱物のように情動表出のなくなった状態)という状態をもたらす麻酔法です。
NLAは当初は神経遮断剤としてハロペリドールを、鎮痛剤としてフェノペリジンを用いこれらによる併用が試みられていました。
その後ハロペリドールと同じ系統で、かつ副作用の少ないドロペリドールが開発され、フェノペリジンよりも一層強力な鎮痛作用を有し、しかも作用の持続性が短く調節性に富んだフェンタニルが開発されました。
そうすると、NLAとしてドロペリドールとフェンタニルとを 50:1 の割合で混合した製剤(タラモナール)が用いられるようになりました。
そのころ、NLAに注目していた三共株式会社(現:第一三共株式会社)が 1965 年より研究開発に着手し、日本でもその基礎的並びに臨床的研究が開始されました。
タラモナールは循環機能に対して安定であると共に調節性に富み、意識の消失なしに鎮静、鎮痛効果が得られるほか、覚醒時の状態も良好であり、他種麻酔剤との併用が容易である等、それまでの麻酔剤とは異なった特異な効果が治験で明らかにされました。
そして1971 年製造販売承認取得に至っています。
タラモナール代替品
タラモナールはドロペリドールとフェンタニルの配合剤ですので、単剤同士を組み合わせて使用することで代替可能です。
・ドロペリドール(ドロレプタン注射液25mg)
・フェンタニル(各社)
補足:
フェンタニルが麻薬なので、使用の繁雑さから、ペンタゾシンとジアゼパムを使用するNLA変法というものも行われています。