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2020年6月20日土曜日

アクリノール 販売中止と代替品



(2020年6月更新)
各社、アクリノール製剤を販売中止とするようです。


アクリノール液 0.1%「シオエ」
販売中止:2019年6月(予定)
経過措置:2022年3月31日(予定)

アクリノール消毒液0.1%「タイセイ」[2619700Q1214]
アクリノール消毒液0.2%「タイセイ」[2619700Q2130]
販売中止:未定
経過措置:未定

販売中止:未定(2020年12月頃)
経過措置:2023年3月31日

アクリノール消毒液0.1%「NP」(ニプロ)
販売中止:不明
経過措置:2020年3月31日

アクリノール消毒用液0.1%「マルイシ」
アクリノール水和物原末「マルイシ」
販売中止:2018年11月
経過措置:2020年3月31日

アクリノール「コザカイ・M」
販売中止:2018年12月
経過措置:未定(統一名収載品)

アクリノール「ホエイ」
販売中止:未定
経過措置:2020年3月31日

アクリノール0.5%液「ヨシダ」
アクリノール0.2%液「ヨシダ」
アクリノール0.1%液「ヨシダ」
販売中止:2019年3月(予定)
経過措置:2020年3月31日

0.1%アクリノール液「ヤクハン」
アクリノール液0.2%「ヤクハン」
販売中止:2019年4月(予定)
経過措置:2020年3月31日

アクリノール水和物「ケンエー」
ケンエーアクリノール液 0.1
ケンエーアクリノール液 0.1(滅菌済み)
ケンエーアクリノール液 0.2
販売中止:2018年12月~2019年10月(予定)
経過措置:2020年3月31日

アクリノール水和物原末「ニッコー」
販売中止:未定
経過措置:未定(統一名収載)

アクリノール消毒液0.1%「ニッコー」
販売中止:未定
経過措置:2020年3月31日

東海アクリノール液
アクリノール「東海」 [2619714X1105]
販売中止:未定
経過措置:2020年3月31日

アクリノール(山善)|アクリノール(乳酸エタクリジン)[2619714X1180]
アクリノール外用液0.2%「ヤマゼン」
販売中止:未定
経過措置:2020年3月31日

アクリノール消毒液0.1%「昭和」
販売中止:2018年12月
経過措置:2020年3月31日


販売中止時期がメーカーによって異なります。
販売中止理由は「諸般の事情」ということで詳細は不明です。


アクリジンから分離したアクリフラビンは第一次世界大戦時に局所消毒薬として開発されました。しかし毒性が強く、改良品としてアクリノールが1919年に開発されました。
アクリノールを製品化したのはドイツの製薬メーカーであるバイエル社です。1921年、リバノールの商品名で販売を開始しました。

アクリノールは、黄色の色素で、一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿のう菌)に対する殺菌消毒作用を示すのですが、真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がありません。
比較的刺激性が低いというか単純にしみにくいだけで、細胞障害は起こりえます。衣類等に付着すると黄色く着色し、脱色しにくくなることがあります。

口腔粘膜や耳鼻科領域の粘膜の消毒や化膿局所の消毒に使われていました。


前時代的な消毒薬アクリノール

「傷を消毒しない。傷はきれいな水流で洗浄し、必要であればデブリードマンを行う。」この考え方は、多くの方の市民権を得てきました。
一昔前までは、傷は乾かし消毒しまくるのが当たり前でした。
そんな、一昔前の医療での消毒薬がアクリノールです。
傷に消毒をしてはいけない理由は、感染に対しての防御機能をもつ白血球、マクロファージがアクリノールで障害を受けてしまうから。
また、組織の再生をになう繊維芽細胞、上皮細胞などがアクリノールで障害を受けてしまいまうからです。
さらに、アクリノールを塗っても殺菌作用は一時的なもので、接触性皮膚炎などの副作用によるデメリットのほうが大きいからです。
化膿傷の治療では外用消毒を行うより、抗菌薬を全身投与するほうがよいです。

以前よく見かけたのが、褥瘡周囲皮膚に発赤・落屑、びらん・潰瘍化がみられ拡大しているのにもかかわらずアクリノールを染み込ませたガーゼを詰め込む・湿布を行うという、傷に塩をすり込むようなものでした。アクリノールに感作されたときは、深い潰瘍を形成する場合があります。


アクリノールガーゼの湿布


傷口の消毒以外にも『アクリノールガーゼ(リバノール湿布)』という、謎の治療法があるようです。
点滴薬剤漏出の治療や蜂窩織炎の治療に使われているそうですが、アクリノール液自体に抗炎症作用はなくほとんど意味はありません。しかも、ふくなどにアクリノールがつかないように油紙で覆って使うことが殆どで、覆うことでアクリノールが気化せず気化熱を奪って冷却するという湿布本来の機能がはたらいていません。

薬剤漏出による組織傷害の程度をアクリノール湿布を貼用した群と貼用しない群で比較検討した結果、アクリノール湿布の効果を示す知見は得られなかったとの報告があります。

石田ら、(2004)「薬剤漏出による皮膚組織傷害に対するアクリノール湿布の効果に関する実験的研究」,『日本看護技術学会誌』「3(1)」P58-65

蜂窩織炎へのアクリノールガーゼに関する海外論文を検索しても、該当するもはありませんでした。


アクリノールの代替品


傷や褥瘡には、何か薬、軟膏を塗らなければ いけないと思い込んでいませんか?
何も使わないという発想、湿潤環境を整えれば、 自然治癒するという発想を持ちましょう。

本当に必要なのか見直す良い機会です。

消毒を要する場面には手術、生検、アンギオ前の皮膚、血液培養時、カテ挿入して留置するとき(IVH挿入、心嚢や胸腔ドレナージなど)、関節腔穿刺があります。

場面に応じて、オキシドール、複方ヨード・グリセリン、ポビドンヨード含嗽剤、ベンザルコニウム塩化物液、ヨードチンキ 等から選択します。

口腔粘膜にはポビドンヨードガーグル、咽頭等には複方ヨードグリセリン、他にヨードチンキ、オキシドール液がよいでしょう。
耳鼻科領域の粘膜には1.5~3%のオキシドール液が使用できます。


歯科領域では抜歯後の消毒や歯周ポケットの消毒などにアクリノールを使用する例があるようです。ポビドンヨードや塩化ベンゼトニウム(ネオステリングリーンうがい液)などが代替としてあげられますが、消毒の効果は少なく、さらに生理食塩水で洗浄と効果に差はないとの報告もあるようです。

上でも述べていますが、蜂窩織炎など皮膚が発赤腫脹しているところへアクリノール湿布を行うことは意味がありません。湿布をするとしても水道水で十分です。水道水では心もとないのであれば、冷たく湿らせたモイスキンパッドなどのドレッシング材を使うだけで不快感を軽減できます。


一般用医薬品
医療用医薬品のアクリノールは販売中止となりましたが、一般用医薬品(含む部外品)は販売されています。

化膿性疾患用薬

殺菌消毒薬

「後発医薬品がある先発医薬品」に変わるタイミング 2020年6月収載後発品関連



2020年6月9日に後発品の薬価収載がありました。
各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報が更新され、後発医薬品の数量シェア(置換え率)に影響があります。

「後発医薬品がない先発医薬品」が後発品の登場により「後発医薬品がある先発医薬品」に変わるタイミングは、品目によって違ってきます。
(基本的には発売月の翌月1日から)

切り替わるタイミングに関しては、厚生労働省ホームページの
「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報」
5.その他(各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報)の備考欄に記載されています。
https://www.mhlw.go.jp/topics/2020/04/tp20200401-01.html

2020年7月1日から「後発医薬品がある先発医薬品」に変更

セレコックス錠100mg
セレコックス錠200mg
メマリー錠5mg
メマリー錠10mg
メマリー錠20mg
メマリーOD錠5mg
メマリーOD錠10mg
メマリーOD錠20mg
レミニール錠4mg
レミニール錠8mg
レミニール錠12mg
レミニールOD錠4mg
レミニールOD錠8mg
レミニールOD錠12mg
ベガモックス点眼液0.5%
アマージ錠2.5mg
ゼチーア錠10mg
エリル点滴静注液30mg
アボルブカプセル0.5mg
ウリトス錠0.1mg
ステーブラ錠0.1mg
ウリトスOD錠0.1mg
ステーブラOD錠0.1mg
ザルティア錠2.5mg
ザルティア錠5mg
シュアポスト錠0.25mg
シュアポスト錠0.5mg
ピレスパ錠200mg
ザイザル錠5mg
ザイザルOD錠2.5mg
ザイザルOD錠5mg
ザイザルシロップ0.05%

2020年10月1日から「後発医薬品がある先発医薬品」に変更

メマリードライシロップ2%
エディロールカプセル0.5μg
エディロールカプセル0.75μg
ジャドニュ顆粒分包90mg
ジャドニュ顆粒分包360mg
ビビアント錠20mg
ディレグラ配合錠
ファンガード点滴用25mg
マグネスコープ静注38%シリンジ10mL
マグネスコープ静注38%シリンジ15mL
マグネスコープ静注38%シリンジ20mL
マグネスコープ静注38%シリンジ11mL
マグネスコープ静注38%シリンジ13mL


2020年6月19日金曜日

2021年3月スタート予定 薬局等でのマイナンバーカードをつかった保険資格確認



令和元年5月に「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」が成立したことを受けて、2021年3月からマイナンバーカードまたは被保険者証により、医療機関等の窓口においてオンラインで加入者の資格を確認する仕組み【オンライン資格確認】が導入される予定です。

オンライン資格確認を円滑に導入するため、マイナンバーカードを読み取る機械(顔認証付きカードリーダー)は、なんと医療機関及び薬局に無償提供されます。素晴らしい税金の使い方です。
さらに、カードリーダーだけでは何もできませんから、レセコンの改修などが必要になりますが、初期導入経費(システム改修等)については、医療情報化支援基金による補助金を活用でるみたいです。薬局は32.1万円を上限に補助が受けられるようです。


いつ、カードリーダーが届くのでしょうか。
カードリーダーの無償提供を受けるには申込みが必要です。
支払基金が2020年7月頃に医療機関・薬局向け専用ポータルサイトを開設する予定です。そのポータルサイトで、顔認証付きカードリーダーの申込、オンライン資格確認等システムの利用申請及び医療情報化支援基金の補助申請の受付が行われます。顔認証付きカードリーダーの申込時期や詳細はポータルサイトのアカウント登録をしたメールに届くようなので、まずはポータルサイトのアカウントを作成しましょう。

なお、改修費用の補助金はシステム改修後、オンライン資格確認の導入準備が完了した後に、支払基金に補助申請を行うことになります。つまり事前申請ではなく、精算払いとなり医療機関・薬局における申請は導入作業後の11月以降です。


オンライン資格確認とは



そもそもオンライン資格確認とはどういったものなのでしょうか。
オンライン資格確認は「ICチップ内に格納された利用者証明用電子証明書付きのマイナンバーカード」又は「健康保険証の記号・番号等」で行います。
マイナンバーカードであれば「顔認証または暗証番号による本人確認」、健康保険証であれば「記号・番号等の入力」をすることで、オンライン資格確認等システムで患者の最新の資格情報を確認することが可能になります。



オンライン資格確認を導入することで得られるメリット

①資格情報の登録作業の削減
 患者の最新の資格情報を、医療機関システムへ取り込むことが可能になります。マイナンバーカードでは自動的に取得できますが、健康保険証では最小限の情報の入力が必要です。

<医療機関のメリット>
  1. 患者の資格情報の入力・再診時のチェック作業の軽減
  2. 正確な資格情報の取得(誤入力リスクの軽減) 

<患者のメリット>
  1. 医療機関等における受付時の待ち時間の短縮


②返戻レセプトの減少による事務負担の軽減
 患者の最新の資格情報が医療機関・薬局で確認可能となるため、資格喪失等によるレセプトの返戻が減少し、患者へ資格確認を行う業務が軽減されます。


また、審査支払機関において電子レセプトの資格情報を確認し、レセプトの請求先が変更となる場合は、電子レセプトの算定日情報等に基づき、請求先の振替又は請求先ごとにレセプトを分割して請求します。


<医療機関のメリット>
  1. 受付時に最新の資格情報が確認可能 ∴請求先誤りによる返戻レセプトが減少
  2. 保険者等からの請求先誤りに関する問い合わせが減少
  3. 保険者や患者等に対する資格情報の照会業務が軽減
  4. オンライン資格確認を未実施の医療機関等においても資格喪失等による返戻レセプトが減少


③限度額適用認定証等の連携
 患者から情報閲覧の同意が得られた場合は限度額適用認定証等の情報が取得可能となり、患者から保険者への申請がなくても、患者は限度額以上の医療費を窓口で支払う必要が
なくなります。 
限度額適用認定証および限度額適用・標準負担額減額認定証の情報はマイナンバーカードもしくは健康保険証で、特定疾病療養受療証の情報はマイナンバーカードにより本人確認を行った後、本人が同意した場合に資格情報を閲覧・取得することができます。

<医療機関のメリット>
  1. 加入者(患者)へのサービスの向上

<患者のメリット>
  1. 保険者へ限度額適用認定証等の申請手続きが不要
  2. 医療機関等の窓口に、限度額適用認定証の提示が不要
  3. 医療費が高額となった場合、申請手続きを行わなくても限度額以上の医療費の支払いが不要


④薬剤情報・特定健診情報の閲覧
 医師、歯科医師、薬剤師等の有資格者は、マイナンバーカードで患者の同意を確認した上で、「薬剤情報」や「特定健診情報」を閲覧することができます。ただし、薬剤師は薬剤情報の閲覧に限ります。
※薬剤情報の閲覧は2021年3年10月から開始されます。

<医療機関のメリット>
  1. お薬手帳の提示がなくても、患者の服薬履歴を確認でき、多剤投与や重複投与を防止可能
  2. 服薬履歴や健診結果を活用した診療や服薬指導等の実現

<患者のメリット>
  1. 服薬履歴や特定健診の結果を踏まえた診療を受けることが可能
  2. マイナポータルを活用して、医療機関等が処方した医薬品、特定健診の結果、医療費情報を確認し、自己の健康管理等に活用可能
  3. マイナポータルを通じて、医療費情報を取得し、医療費控除の手続きが可能

⑤災害時における薬剤情報・特定健診情報の閲覧
 災害時は特別措置として、マイナンバーカードによる本人確認ができない場合でも薬剤情報・特定健診情報の閲覧ができるよう、厚生労働省で検討されています。

<医療機関のメリット>
  1. 災害の混乱時であっても、患者の服用薬や健診結果を確認した診療が可能
<患者のメリット>
  1. 主治医以外の医師に、普段服用している医薬品等の処方を受けることが可能


2020年6月11日木曜日

処方箋や調剤録は5年間保存したほうがいい



薬局において、通常、処方箋や調剤録は3年間保存しなければならないと法律に明記されています。しかし、令和2年4月1日以降の処方箋や調剤録は5年間保存しておいたほうがよいかもしれません

保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則 
(処方せん等の保存)
第六条 保険薬局は、患者に対する療養の給付に関する処方せん及び調剤録をその完結の日から三年間保存しなければならない。


薬剤師法
(処方せんの保存)
第二十七条 薬局開設者は、当該薬局で調剤済みとなつた処方せんを、調剤済みとなつた日から三年間、保存しなければならない。

(調剤録)
第二十八条 
第3項 薬局開設者は、第一項の調剤録を、最終の記入の日から三年間、保存しなければならない。

令和2年4月1日より改正民法が施行されました。
それにともない、健康保険法等の調剤報酬請求権の消滅までの期間が3年から5年に延長されました。
また、保険者からの返還請求権等についても同様に3年から5年に延長されました。

参考:民法の一部を改正する法律等の施行について
(令和2年5月8日 保保発0508第1号 保国発0508第1号 保高発0508第1号)
https://www.jshp.or.jp/cont/20/0512-1.pdf

第3 改正民法及び改正健康保険法等の施行に伴う留意点について
1 診療報酬請求権等の時効期間について
第1の1の改正において、「医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権」に係る3年間の短期消滅時効が廃止されたため、保険医療機関等の診療報酬債権等についても、権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間、権利を行使することができる時(客観的起算点)から 10 年間で消滅時効が完成することとなる。

保険医療機関等による診療報酬請求権の消滅時効については、債権者たる保険医療機関等が当該請求権を行使することができることを知っていることが通常であると考えられることから、当該保険医療機関等が診療報酬請求権を行使できることを知らなかった
と考えられる特段の事情がない限り、原則として診療月の翌月1日(国民健康保険の場合は翌々々月の1日)から起算して5年間で消滅時効が完成すると解して差し支えない。

なお、第1の4の経過措置により、上記取扱いは、改正民法の施行日(令和2年4月1日)以降の診療により発生した診療報酬請求権から適用される。

診療報酬の過払いにかかる保険者の不当利得返還請求権の消滅時効については、原則として保険者による診療報酬の支払いが行われた日の翌日から起算して10年間の消滅時効が適用されることとなるが、保険者が当該請求権を行使することができることを知ったと考えられる特段の事情がある場合には、当該事情に照らし、その事情が認められる時(当該請求権を行使することができることを知った時)から5年間で消滅時効が完成することとなる。

詳細については、「保険医療機関等に係る返還金の回収状況の把握について」(平成30年保保発0427第1号・保国発0427第1号・保高発0427第1号)も参照されたい。

保険者の申出による再審査査定により保険医療機関等に対する診療報酬の支払いが請求額よりも減額されて行われた場合における、保険医療機関等が保険者に対して有する診療報酬増額に係る請求権については、原則として当該減額後の診療報酬の支払いが行われた日の翌日から起算して10年間の消滅時効が適用されることとなるが、当該保険医療機関等が当該請求権を行使することができることを知ったと考えられる特段の事情がある場合には、当該事情に照らし、その事情が認められる時(当該請求権を行使することができることを知った時)から5年間で消滅時効が完成することとなる。

このため、請求の根拠となる文書である処方箋や調剤録などについては、薬剤師法等により保管期間が3年間とされてはいますが、請求検討の消滅時効満了までの5年間保管しておくのが良いでしょう。

なお、法律は不遡及原則があるので、この請求権5年に該当するのは令和2年4月1日以降に調剤を実施したものからとなります。




必ず、5年間保管しておかなければならないものもあります。

5年間調剤録を保管しなくてはならない場合とは、
  • 生活保護受給者
  • 障害者
  • 結核患者
  • 指定小児慢性特定疾病
  • 指定難病患者
の処方箋・調剤録です。

根拠は以下のとおり

生活保護法に基づく指定医療機関医療担当規程
第九条 指定医療機関は、診療及び診療報酬の請求に関する帳簿及び書類を完結の日から五年間保存しなければならない。

第十二条 指定医療機関である薬局にあつては、第五条の規定は適用せず、第八条中「診療録」とあるのは「調剤録」と読み替え適用するものとする。

指定自立支援医療機関(精神通院医療)療養担当規程
第六条 指定自立支援医療機関は、診療及び診療報酬の請求に関する帳簿及びその他の物件をその完結の日から五年間保存しなければならない。

第九条 指定自立支援医療機関である薬局にあっては、第五条中「診療録」とあるのは「調剤録」と読み替えて適用する。

指定自立支援医療機関(育成医療・更正医療)療養担当規程
第八条 指定自立支援医療機関は、診療及び診療報酬の請求に関する帳簿及びその他の物件をその完結の日から5年間保存しなければならない。

第十一条 指定自立支援医療機関である薬局にあっては、第三条第2項及び第五条の規定は適用せず、第七条中「診療録」とあるのは「調剤録」と読み替えて適用する。

感染症指定医療機関医療担当規程
第十一条 感染症指定医療機関は、診療及び診療報酬の請求に関する帳簿及び書類をその完結の日から三年間保存しなければならない。ただし、診療録にあっては、その完結の日から五年間とする。

第十三条 結核指定医療機関である薬局にあっては、第二条の三及び第五条の二の規定は適用せず、第十条中「診療録」とあるのは「調剤録」と読み替えて適用するものとする。

指定小児慢性特定疾病医療機関療養担当規程
第八条 指定小児慢性特定疾病医療機関は、診療及び診療報酬の請求に関する帳簿及びその他の物件をその完結の日から5年間保存しなければならない。

第十一条 指定小児慢性特定疾病医療機関である薬局にあっては、第五条の規定は適用せず、第七条中「診療録」とあるのは「調剤録」と読み替えて適用する。

難病の患者に対する医療等に関する法律に基づく指定医療機関療養担当規程
第六条 指定医療機関は、診療及び診療報酬の請求に関する帳簿及びその他の物件をその完結の日から五年間保存しなければならない。

第九条 指定医療機関である薬局にあっては、第五条中「診療録」とあるのは「調剤録」と読み替えて適用する。


なお、病院や診療所などの医療機関の診療録(カルテ)の保存期間は5年間です。

保険医療機関及び保険医療養担当規則
(帳簿等の保存)
第九条 保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から三年間保存しなければならない。ただし、患者の診療録にあつては、その完結の日から五年間とする。


2020年6月2日火曜日

コンサータやビバンセ 卸からの納品には時間がかかる



コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)の流通管理について、「コンサータ錠登録管理システム」において管理されていましたが、2019年12月2日から「ADHD適正流通管理システム」という新しいシステムが稼働し、こちらで管理されることになりました。

これは、2019年9月4日に厚生労働省がコンサータの流通管理を大幅に変更する旨を通知したことによるものです。
患者情報の登録が新たに義務付けられ、また医師の登録要件が厳格化されました。

2020年6月30日までが新システムへの移行期間です。
2020年7月1日以降もコンサータ錠の処方及び調剤を継続するためには、2020年6月30日までにADHD適正流通管理システム(https://www.adhd-vcdcs.jp/)へ新規に登録しなおさくてはなりません。
2020年6月30日までに登録されない場合、2020年7月1日以降は未登録となり、コンサータ錠の卸からの納入及び調剤を継続することができません。

メチルフェニデート塩酸塩製剤(コンサータ錠 18mg、同錠 27mg 及び同錠 36mg)の使用にあたっての留意事項について
(令和元年9月4日付け薬生総発 0904 第1号、薬生薬審発 0904 第3号、薬生安発0904 第1号、薬生監麻発 0904 第1号厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長、医薬品審査管理課長、医薬安全対策課長及び監視指導・麻薬対策課長連名通知)

※今般、新型コロナウイルス感染症の影響により、留意事項通知に規定する医師の登録
の事務手続き等に遅延が生じていることから、承認条件の経過措置期間を延長が9月30日まで延長されています。

新型コロナウイルス感染症の影響に伴うメチルフェニデート塩酸塩製剤(コンサータ錠 18mg、同錠 27mg 及び同錠 36mg)の経過措置期間の延長について
(令和2年5月27日付薬生総発 0527 第1号薬生薬審発 0527 第5号、薬生安発 0527 第1号、薬生監麻発 0527 第1号)



今回の変更されたシステムについては日経DIで詳しくまとめられていますので、そちらをご覧ください。
・日経DI「大きく変わるコンサータの流通管理システム

日経DIでは触れられていなかったところでは、今回のシステム変更によって卸の流通管理についても大きな変更があったとの情報を入手したので、そちらを説明したいと思います。

受注元の施設登録の確認を注文の都度行うようになった


以前までのシステムでは卸は新規にコンサータの注文を受けた施設についてのみ、「コンサータ適正流通委員会」に施設登録の有無の照会を行っていたそうです。
それが、新システムでは新規納品施設、継続納品施設にかかわらず受注の都度、施設登録の有無の照会が必要となったようです。
また、受注日と受注量を都度、施設照会時に報告するようになったそうです。

そのため、継続納品については以前であれば他の薬と同じタイミングで納品されていたのですが、照会の時間分納品が遅れてしまうようです。

以前よりは余裕を持って注文するようにしています。
(卸には17:00までの注文であれば翌日朝には納品してもらうよう確約取りました)


なぜ、厳しい流通管理が行われるか

ADHDでもない患者さんをADHDだと診断し、コンサータを交付して、それを処方した医師に戻させて、医師本人が乱用していたという事例がありました。
この事件を起こした医師の適格性の問題もありますが、患者の登録なく処方できたことも問題視されて厳格なルールのもとで流通が管理されることになりました。
2019年2月21日 厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録