https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/information/pdf/201910behydRAsoldout.pdf
経過措置は2021年3月31日までです。
ベハイドRA配合錠は降圧作用を有するベンチルヒドロクロロチアジドとレセルピンにカルバゾクロムを配合した血圧降下剤です。
ベンチルヒドロクロロチアジドの降圧作用の基本は、腎尿細管における Na+再吸収の抑制です。また、レセルピンの降圧作用は交感神経節後線維などにおけるノルエピネフリンの枯渇によるといわれています。レセルピンとベンチルヒドロクロロチアジドを併用することにより、相乗的な薬理作用の増強を期待しています。さらにレセルピンに起因する胃潰瘍の発生を軽減する目的でカルバゾクロムを併用しています。
1961年6月30日に日本で承認されました。海外ではベンチルヒドロクロロチアジドの単味剤はありますが、レセルピンとカルバゾクロムを配合したものは海外では承認されていません。良いものを合わせ一つにする日本らしい薬剤なのですが、ガラパゴス化してしまい有用なエビデンスもなくよくわからない薬という位置づけです。
今回、配合原薬の調達が困難となったため製造販売を中止することになりました。
ベハイドRA配合錠の代替品
べハイドRAと同じように利尿薬にレセルピンを配合した薬剤は存在しません。高血圧治療において利尿薬は心不全や尿蛋白陰性のCKD、慢性期の脳血管障害や骨粗鬆症を併存している場合に推奨されます。しかし、レセルピンの降圧効果や安全性については不明なところも多く、積極的な使用は推奨されません。
代替品とあげるとすれば、利尿薬を使った降圧配合薬としてARBとの合剤があります。
あとは、利尿剤だけで様子を見るという方法も考えられます。サイアザイド系利尿薬が選択肢として上がってきます。サイアザイド系利尿薬にはフルイトランやヒドロクロロチアジドがあります。サイアザイド骨格はもたないもののサイアザイド系薬剤と同じく尿細管の遠位部NaCl-共輸送(NCC)を阻害して利尿効果を発する非サイアザイド系薬(サイアザイド類似薬)があります。非サイアザイド系薬剤としてはインダパミド、トリパミド、メフルシド、などが日本では使用されています。
高血圧治療に対する臨床効果に関してはどのサイアザイド系薬剤でも有効性が認められているわけではありません。降圧作用が最も認められているのは日本ではすでに発売が中止されているクロルタリドンです。日本で使用できるサイアザイド系薬剤のエビデンスはよく分かっていません。インダパミド2.5mg/日は脳卒中を合併している高血圧に有用性が示されているくらいです。
また、英国のNICEガイドラインでも降圧利尿薬を使用する場合には、サイアザイド系よりも非サイアザイド系降圧剤を用いることを推奨する声明を発表している点からも、強いて選択するならばインダパミドが代替の候補となるでしょうか。