2019年9月26日木曜日

リフラップ軟膏、リフラップシートの販売中止と代替品

皮膚潰瘍治療剤の
リフラップ軟膏とリフラップシートが販売中止となるようです。

https://mink.nipponkayaku.co.jp/product/di/ot_file/o173.pdf

販売中止時期は2020年2月~8月を予定。
経過措置期間満了は2021年3月末日を予定。


リフラップの主薬はリゾチームです。
リゾチームは1922 年 Fleming によってはじめて溶菌作用を示す酵素様物質として発見されました。
その後 1937 年に Abraham によって、卵の白身から抽出結晶化されました。

リゾチームは多面的な薬理作用をもち、その結晶性塩化物であるリゾチーム塩酸塩が内服薬(製品名「ノイチーム」、1964 年 12 月)として広く臨床に用いられていました。

リフラップ軟膏はリゾチーム塩酸塩の組織修復作用・瘢痕形成作用等の特徴ある作用に着目し、皮膚潰瘍治療剤として開発された軟膏剤で、1986 年に上市されました。
その後、医師、看護師あるいは患者自身が、簡便かつ清潔にしかも短時間に軟膏を使用できる剤形の要望が多かったことから、予め軟膏を支持体に塗布した製剤であるリフラップシートが開発され、1997 年に上市されています。


上記、リゾチームの内服薬は2016年3月 に開催 された薬事・食品衛生審議会医薬品再評価部会における審議の結果、 「本剤の医療上の有用性は認められない」 との評価をうけ、製薬企業が販売を中止、製品を自主回収しています。
今回のリフラップ販売中止で、リゾチーム製剤は点眼薬のムコゾーム点眼液0.5%(参天)のみとなりました。


リフラップの代替品


リフラップ軟膏
リフラップ軟膏は皮膚潰瘍を効能効果とする薬剤です。褥瘡における処置によく使われます。
褥瘡の治療においては、創の浸出液の量と薬剤の「吸水性」「保湿性」「補水性」をアセスメントしながら外用薬を選択します。
リフラップ軟膏は油中水型(W/O)の乳剤性基剤で「保湿性」に優れており、滲出液が適正な創に用いられます。

リフラップと同様に基剤が油中水型(W/O)の薬剤にはソルコセリル軟膏があります。

基剤の性状は違いますがプロスタンディン軟膏も「保湿」に秀でているのでリフラップに適した滲出液が適正な創に使用できます。

アクトシン軟膏は代替として考えられなくはないですが、基剤が「吸水性」の性質を持っているため滲出液の多い創に適しています。
リフラップでコントロールしていた創の浸出液の量に適さない場合もありえます。患部の状態を見極める必要があります。


リフラップシート
軟膏ではない剤形で、肉芽形成を期待する薬剤という点ではフィブラストスプレーが代替として挙がりそうです。