各社、アクリノール製剤を販売中止とするようです。
アクリノール液 0.1%「シオエ」
販売中止:2019年6月(予定)
経過措置:2022年3月31日(予定)
アクリノール消毒液0.1%「タイセイ」[2619700Q1214]
アクリノール消毒液0.2%「タイセイ」[2619700Q2130]
アクリノール消毒液0.1%「NP」(ニプロ)
販売中止:不明
経過措置:2020年3月31日
アクリノール消毒用液0.1%「マルイシ」
アクリノール水和物原末「マルイシ」
販売中止:2018年11月
経過措置:2020年3月31日
アクリノール「コザカイ・M」
販売中止:2018年12月
経過措置:未定(統一名収載品)
アクリノール「ホエイ」
販売中止:未定
経過措置:2020年3月31日
アクリノール0.5%液「ヨシダ」
アクリノール0.2%液「ヨシダ」
アクリノール0.1%液「ヨシダ」
販売中止:2019年3月(予定)
経過措置:2020年3月31日
0.1%アクリノール液「ヤクハン」
アクリノール液0.2%「ヤクハン」
販売中止:2019年4月(予定)
経過措置:2020年3月31日
アクリノール水和物「ケンエー」
ケンエーアクリノール液 0.1
ケンエーアクリノール液 0.1(滅菌済み)
ケンエーアクリノール液 0.2
販売中止:2018年12月~2019年10月(予定)
経過措置:2020年3月31日
アクリノール水和物原末「ニッコー」
販売中止:未定
経過措置:未定(統一名収載)
アクリノール消毒液0.1%「ニッコー」
販売中止:未定
経過措置:2020年3月31日
東海アクリノール液
アクリノール「東海」 [2619714X1105]
販売中止:未定
経過措置:2020年3月31日
アクリノール(山善)|アクリノール(乳酸エタクリジン)[2619714X1180]
アクリノール外用液0.2%「ヤマゼン」
販売中止:未定
経過措置:2020年3月31日
販売中止時期がメーカーによって異なります。
販売中止理由は「諸般の事情」ということで詳細は不明です。
アクリジンから分離したアクリフラビンは第一次世界大戦時に局所消毒薬として開発されました。しかし毒性が強く、改良品としてアクリノールが1919年に開発されました。
アクリノールを製品化したのはドイツの製薬メーカーであるバイエル社です。1921年、リバノールの商品名で販売を開始しました。
アクリノールは、黄色の色素で、一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿のう菌)に対する殺菌消毒作用を示すのですが、真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がありません。
比較的刺激性が低いというか単純にしみにくいだけで、細胞障害は起こりえます。衣類等に付着すると黄色く着色し、脱色しにくくなることがあります。
口腔粘膜や耳鼻科領域の粘膜の消毒や化膿局所の消毒に使われていました。
前時代的な消毒薬アクリノール
「傷を消毒しない。傷はきれいな水流で洗浄し、必要であればデブリードマンを行う。」この考え方は、多くの方の市民権を得てきました。
一昔前までは、傷は乾かし消毒しまくるのが当たり前でした。
そんな、一昔前の医療での消毒薬がアクリノールです。
一昔前までは、傷は乾かし消毒しまくるのが当たり前でした。
そんな、一昔前の医療での消毒薬がアクリノールです。
傷に消毒をしてはいけない理由は、感染に対しての防御機能をもつ白血球、マクロファージがアクリノールで障害を受けてしまうから。
また、組織の再生をになう繊維芽細胞、上皮細胞などがアクリノールで障害を受けてしまいまうからです。
さらに、アクリノールを塗っても殺菌作用は一時的なもので、接触性皮膚炎などの副作用によるデメリットのほうが大きいからです。
また、組織の再生をになう繊維芽細胞、上皮細胞などがアクリノールで障害を受けてしまいまうからです。
さらに、アクリノールを塗っても殺菌作用は一時的なもので、接触性皮膚炎などの副作用によるデメリットのほうが大きいからです。
化膿傷の治療では外用消毒を行うより、抗菌薬を全身投与するほうがよいです。
以前よく見かけたのが、褥瘡周囲皮膚に発赤・落屑、びらん・潰瘍化がみられ拡大しているのにもかかわらずアクリノールを染み込ませたガーゼを詰め込む・湿布を行うという、傷に塩をすり込むようなものでした。アクリノールに感作されたときは、深い潰瘍を形成する場合があります。
アクリノールガーゼの湿布
傷口の消毒以外にも『アクリノールガーゼ(リバノール湿布)』という、謎の治療法があるようです。
点滴薬剤漏出の治療や蜂窩織炎の治療に使われているそうですが、アクリノール液自体に抗炎症作用はなくほとんど意味はありません。しかも、ふくなどにアクリノールがつかないように油紙で覆って使うことが殆どで、覆うことでアクリノールが気化せず気化熱を奪って冷却するという湿布本来の機能がはたらいていません。
薬剤漏出による組織傷害の程度をアクリノール湿布を貼用した群と貼用しない群で比較検討した結果、アクリノール湿布の効果を示す知見は得られなかったとの報告があります。
石田ら、(2004)「薬剤漏出による皮膚組織傷害に対するアクリノール湿布の効果に関する実験的研究」,『日本看護技術学会誌』「3(1)」P58-65
蜂窩織炎へのアクリノールガーゼに関する海外論文を検索しても、該当するもはありませんでした。
傷や褥瘡には、何か薬、軟膏を塗らなければ いけないと思い込んでいませんか?
何も使わないという発想、湿潤環境を整えれば、 自然治癒するという発想を持ちましょう。
本当に必要なのか見直す良い機会です。
消毒を要する場面には手術、生検、アンギオ前の皮膚、血液培養時、カテ挿入して留置するとき(IVH挿入、心嚢や胸腔ドレナージなど)、関節腔穿刺があります。
場面に応じて、オキシドール、複方ヨード・グリセリン、ポビドンヨード含嗽剤、ベンザルコニウム塩化物液、ヨードチンキ 等から選択します。
口腔粘膜にはポビドンヨードガーグル、咽頭等には複方ヨードグリセリン、他にヨードチンキ、オキシドール液がよいでしょう。
耳鼻科領域の粘膜には1.5~3%のオキシドール液が使用できます。
点滴薬剤漏出の治療や蜂窩織炎の治療に使われているそうですが、アクリノール液自体に抗炎症作用はなくほとんど意味はありません。しかも、ふくなどにアクリノールがつかないように油紙で覆って使うことが殆どで、覆うことでアクリノールが気化せず気化熱を奪って冷却するという湿布本来の機能がはたらいていません。
薬剤漏出による組織傷害の程度をアクリノール湿布を貼用した群と貼用しない群で比較検討した結果、アクリノール湿布の効果を示す知見は得られなかったとの報告があります。
石田ら、(2004)「薬剤漏出による皮膚組織傷害に対するアクリノール湿布の効果に関する実験的研究」,『日本看護技術学会誌』「3(1)」P58-65
蜂窩織炎へのアクリノールガーゼに関する海外論文を検索しても、該当するもはありませんでした。
アクリノールの代替品
傷や褥瘡には、何か薬、軟膏を塗らなければ いけないと思い込んでいませんか?
何も使わないという発想、湿潤環境を整えれば、 自然治癒するという発想を持ちましょう。
本当に必要なのか見直す良い機会です。
消毒を要する場面には手術、生検、アンギオ前の皮膚、血液培養時、カテ挿入して留置するとき(IVH挿入、心嚢や胸腔ドレナージなど)、関節腔穿刺があります。
場面に応じて、オキシドール、複方ヨード・グリセリン、ポビドンヨード含嗽剤、ベンザルコニウム塩化物液、ヨードチンキ 等から選択します。
口腔粘膜にはポビドンヨードガーグル、咽頭等には複方ヨードグリセリン、他にヨードチンキ、オキシドール液がよいでしょう。
耳鼻科領域の粘膜には1.5~3%のオキシドール液が使用できます。
歯科領域では抜歯後の消毒や歯周ポケットの消毒などにアクリノールを使用する例があるようです。ポビドンヨードや塩化ベンゼトニウム(ネオステリングリーンうがい液)などが代替としてあげられますが、消毒の効果は少なく、さらに生理食塩水で洗浄と効果に差はないとの報告もあるようです。
上でも述べていますが、蜂窩織炎など皮膚が発赤腫脹しているところへアクリノール湿布を行うことは意味がありません。湿布をするとしても水道水で十分です。水道水では心もとないのであれば、冷たく湿らせたモイスキンパッドなどのドレッシング材を使うだけで不快感を軽減できます。
一般用医薬品
医療用医薬品のアクリノールは販売中止となりましたが、一般用医薬品(含む部外品)は販売されています。
化膿性疾患用薬
殺菌消毒薬
アクリノール液「タイセイ」P(2021年7月販売中止)- ケンエーアクリノール液P
- タマガワ新リバガーゼA
- リバガーゼF
- ケンエー・アクリガーゼ