現流通品が自主回収の該当ロットにあたり、2018年11月時点で改良品の流通のめどが立っていないようです。
医薬品回収の概要(クラスⅡ) PMDA(2018年11月20日)
回収理由
ペチジン塩酸塩注射液35mg「タケダ」、弱ペチロルファン注射液及びモルヒネ塩酸塩注射液10mg 「タケダ」について、性状に定められた規格を超えて着色したアンプルがあるとの品質情報を医療機関と卸売販売業者から受けました。原因調査の結果、製造工程に起因するものであると考察しましたので、当該期間に同工 程で製造された全ての製品並びにロットを自主回収することと致しました。
モルヒネ注の代替品
オキシコドンやフェンタニルへ変更可能です。
切替方法や換算表はこちらにまとめました。
ペチジンの代替品
ペチジンの適応には「激しい疼痛時における鎮痛・鎮静・鎮痙、麻酔前投薬、麻酔の補助、無痛分娩」があります。
多くが、麻酔の補助に用いられています。胃カメラなどの消化器系の内視鏡検査時の鎮静での代替について考えてみたいと思います。
ミダゾラム単独で十分
上部内視鏡検査時の鎮静のためにベンゾジアゼピン系鎮静剤のミダゾラムとオピオイドのペチジンが併用されることがありますが、ミダゾラム単独の鎮静では不十分なのでしょうか。
ミダゾラム単独とミダゾラムとペチジン併用を比較したRCTを紹介します。
このRCTでは、患者満足度と呼吸器循環器系抑制に両群で差はありませんでした。
しかし、術者の満足度はミダゾラム、ペチジン併用群で向上しました。
咽頭反射が非常に強い場合や、大口径のスコープによる上部消化管内視鏡検査(拡大内視鏡,超音波内視鏡など)ではより強力な鎮静がひつようなのでペチジンの併用がよいかもしれませんが、通常の上部消化管内視鏡検査では,ミダゾラム単独で十分だと考えられます。
どうしてもオピオイド使いたい
代替オピオイドにはモルヒネ、フェンタニルがあります。どちらも検査の麻酔補助の適応があります。ただしフェンタニルは静注のみの適応で、皮下注はできません。
モルヒネには胆管内圧上昇作用とそれに伴う消化管内圧上昇があるので注意が必要です。
胆管内圧上昇は、
モルヒネ > ペンタゾシン > ブプレノルフィン
の順に小さくなります。
プロポフォールを使用する
内視鏡検査の鎮静にプロポフォール(ディプリバン)を使う施設も増えてきているようです。
上部消化管内視鏡検査においてプロポフォールとミダゾラムを比較した4つの RCTが報告されています。プロポフォールがミダゾラムに比べて患者満足度が高かったという報告と、逆にミダゾラムがプロポフォールに比べて患者満足度が高かったというものでした。
これらのRCTのメタアナリシスでは両群間に患者満足度・
再検査希望率・検査記憶消失率および呼吸器循環器系抑制に有意差はないとされています。
プロポフォールで鎮静を行う場合は、呼吸、循環動態の変動に注意する必要があるため麻酔科専門医のもとで使用するのが好ましいでしょう。持続的にパルスオキシメータで呼吸状態をモニターし、必要に応じて酸素投与を行う体制を整備する必要があります。血圧低下の危険があるので少なくとも5分に1回は血圧測定を行います。