実は、明らかな解答はありません。
しかし、DOSE trialという前向きランダム化試験が、この臨床上の大きな問いに答えていますのでご紹介します。
N Engl J Med. 2011 Mar 3;364(9):797-805. PMID:21366472 |
結果は、急性非代償性心不全患者に対するフロセミドの投与法において、ボーラス投与か持続点滴投与か、高用量か低用量かにかかわらず、患者自身が評価した自覚症状と腎機能の低下に有意な差は認められませんでした。
少なくとも急性非代償性心不全においては、利尿薬のボーラス静注投与は持続点滴投与と差がないことが示されたと言えます。
急性非代償性心不全患者に静注の利尿薬を使用するときには、患者の個別性に配慮し対応することがベターであると考えられます。最初からわざわざ持続静注にすることはないですし、既に点滴のラインがあるのであれば、混注するほうが手間が少ないので持続点滴投与を行えばよいのです。また、ボーラス投与で十分な効果が得られないとき、ちょっと用量を増やすとともに持続点滴にしてみるといった工夫もありでしょう。
DOSE trialは、急性非代償性心不全患者が対象でした。他の疾患ではどうでしょうか。DOSE試験ほどクオリティを持った試験は行われていませんが、慢性腎不全についてボーラス投与とloading doseありの持続点滴投与を比較したものがあります。その試験では、持続点滴投与のほうが尿量が多くなったとの報告がなされています。
Alqahtani F, et al:J Crit Care. 2014;29(1):10-7.(PMID: 23683555)