ドクターから、「新しい爪白癬治療薬のネイリンカプセルを透析患者に使ってみたいのだが」と相談がありました。
メーカーに聞いてみたところ
ネイリンカプセルは透析患者さんに対しては使用経験がありません。
透析患者への使用はお控え願います。
(佐藤製薬コールセンター)
との回答がありました。これではなんとも言えないので。成分の透析性と蛋白結合率をインタビュフォームで調べてみました。
ネイリンの透析膜の透過を検討したデータはなく不明ですが、
血漿タンパク結合率は98.5~99.0%と高いため、透析では除去できないと考えられます。
参考:ネイリンNavi
また、ネイリンを投与したとき、ホスラブコナゾールは尿中に検出されず、活性本体のラブコナゾールも尿中累積排泄率が0.1%未満でした。
ホスラブコナゾールは肝臓で代謝されることがわかります。
①透析で除去できない
②蛋白結合率が非常に高い
③肝代謝
ホスラブコナゾールはイトラコナゾールに似ています。
イトラコナゾールは透析患者でも健常者と同じ用量で投与されます。
したがって
肝機能が正常であれば健常者と同様に服用できると考えられます。
しかし、
安全性に関するデータ不足は否めません。
外用剤が使用できる場合は、そちらを提案し、外用剤が適応とはならない難治性爪白癬では未知の部分の多いネイリンを使うよりは、ある程度使用実績のあるイトリゾールを提案するのが良いでしょう。
ネイリンカプセルの透析患者に対する特定使用成績調査の結果が待たれます。