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2018年7月24日火曜日

湿度の高い夏の時期に注意して保管したい錠剤 糖衣錠



気温や湿度の高い夏の時期に注意して保管したい薬剤があります。
それは『糖衣錠』です。

暑さや、湿度が影響し錠剤がベタベタしてきたり色や形が変わることがあるのです。

先日、患者さん宅へ訪問した際に、赤く変色したメチコバールを発見しました。


なぜ、糖衣錠は温度や湿度に注意しなくてはならないのか?


糖衣錠とは薬の表面を甘い糖分の膜でおおったものです。多くの糖衣錠で膜に「白糖」を配合しています。
苦味のある薬を自然な甘みの白糖で覆い飲みやすくしているのですが、吸湿性が高いという欠点があります。
白糖は湿度 85%以上で急激に吸湿(重量増加)することが知られています。

台所の砂糖が固まるのを経験されたことがあるかと思いますが、あれは、砂糖が湿気を吸いやすいからなのです。湿気を吸うと表面が溶けます。それが乾燥すると固まってしまいます。

気温が高いと空気中に水蒸気として保てる水の絶対量が多くなるため、気温の高い夏場は特に注意が必要となります。


夏場の一包化は要注意


分包紙に使うグラシン紙やポリセロファンでは防湿は完璧ではありませんので、夏場に糖衣錠を一包化はする際には、患者さんに薬の保管管理ついて丁寧な説明が必要となります。
密封容器や缶など、密閉できる容器に乾燥剤(シリカゲルなど)を入れ、しっかりふたをして、光の当たらない涼しい場所に保管しましょう。

薬は車内に放置しないようにしましょう。夏場の車内は高温になります。

可能であれば一包化は避けてPTPで渡せるのがよいのです。

また、自動分包機ケース内に糖衣錠が保管されている時は、夜間の調剤室の温度や湿度にも注意しましょう。夏場はエアコンを付けて帰るなどの対応が必要でしょう。


白糖を含む糖衣錠にはどんなものがありますか?


アリナミンのように商品名に「糖衣錠」とついていればわかりやすいのですが、それだけではありません。
以下に、添付文書の添加物の項に「白糖」の記載がある錠剤をリストアップしました(50音順)。

英数字
25mgアリナミンF糖衣錠
50mgアリナミンF糖衣錠
5mgアリナミンF糖衣錠
5mgコントール錠
10mgコントール錠
ATP腸溶錠20mg「NP」
C-チステン錠250mg
C-チステン錠500mg
アジャストAコーワ錠40mg
アストフィリン配合錠
アストマリ錠15mg
アストミン錠10mg
アスパラ配合錠
アゼプチン錠0.5mg
アゼプチン錠1mg
アゼラスチン塩酸塩錠0.5mg「TCK」
アゼラスチン塩酸塩錠1mg「TCK」
アゼラスチン塩酸塩錠0.5mg「タイヨー」
アゼラスチン塩酸塩錠1mg「タイヨー」
アゼラスチン塩酸塩錠0.5mg「トーワ」
アゼラスチン塩酸塩錠1mg「トーワ」
アタラックス錠10mg
アタラックス錠25mg
アダプチノール錠5mg
アップノン錠40mg
アドビオール錠5mg
アナフラニール錠10mg
アナフラニール錠25mg
アフロクアロン錠20mg「サワイ」
アフロクアロン錠20mg「トーワ」
アプレゾリン錠10mg
アプレゾリン錠25mg
アプレゾリン錠50mg
アリチア配合錠
アレギサール錠5mg
アレギサール錠10mg
アロストーワ錠20mg
アロチノロール塩酸塩錠5mg「DSP」
アロチノロール塩酸塩錠10mg「DSP」
アロチノロール塩酸塩錠5mg「JG」
アロチノロール塩酸塩錠5mg「サワイ」
アロチノロール塩酸塩錠10mg「サワイ」
アロチノロール塩酸塩錠5mg「テバ」
アロチノロール塩酸塩錠10mg「テバ」
アロチノロール塩酸塩錠5mg「トーワ」
アロチノロール塩酸塩錠10mg「トーワ」
アロチノロール塩酸塩錠5mg「日医工」
アロチノロール塩酸塩錠10mg「日医工」
アロフト錠20mg
アロマシン錠25mg
アンジュ21錠
アンジュ28錠
アンプリット錠10mg
アンプリット錠25mg
イブプロフェン錠100mg「タイヨー」
イブプロフェン錠200mg「タイヨー」
イブプロフェン錠100mg「タツミ」
イブプロフェン錠200mg「タツミ」
イミドール糖衣錠(10)
イミドール糖衣錠(25)
ウロカルン錠225mg
エキセメスタン錠25mg「NK」
エキセメスタン錠25mg「マイラン」
エチゾラム錠0.25mg「JG」
エチゾラム錠0.5mg「JG」
エチゾラム錠1mg「JG」
エチゾラム錠0.25mg「NP」
エチゾラム錠0.5mg「NP」
エチゾラム錠1mg「NP」
エペリゾン塩酸塩錠50mg「KN」
エペリゾン塩酸塩錠50mg「TCK」
エペリゾン塩酸塩錠50mg「トーワ」
エペリゾン塩酸塩錠50mg「日医工」
エペリゾン塩酸塩錠50mg「日新」
エミレース錠3mg
エミレース錠10mg
エンドキサン錠50mg
オクソラレン錠10mg
オフタルムK配合錠
オルル錠50
カチーフN錠5mg
カチーフN錠10mg
カプトプリル錠12.5mg「日医工」
カプトプリル錠25mg「日医工」
カプトリル錠12.5mg
カプトリル錠25mg
カムシア配合錠LD「武田テバ」
カムシア配合錠HD「武田テバ」
カリクレイン錠10単位
カリジノゲナーゼ錠25単位「NP」
カリジノゲナーゼ錠50単位「NP」
カリジノゲナーゼ錠25単位「日医工」
カリジノゲナーゼ錠50単位「日医工」
カルデミン錠0.25μg
ガイレス錠10mg
ガスコン錠40mg
ガスコン錠80mg
ガスター錠10mg
ガスター錠20mg
ガンマオリザノール錠50mg「ツルハラ」
ガンマオリザノール錠50mg「トーワ」
キャベジンUコーワ錠25mg
クラシエ八味地黄丸料エキス錠
クラリスロマイシン錠50mg小児用「マイラン」
クラロイシン錠50小児用
クレマスチン錠1mg「日医工」
クロチアゼパム錠5mg「トーワ」
クロチアゼパム錠10mg「トーワ」
クロフェクトン錠10mg
クロフェクトン錠25mg
クロフェクトン錠50mg
クロルジアゼポキシド錠5mg「ツルハラ」
クロルジアゼポキシド錠10mg「ツルハラ」
クロルプロマジン塩酸塩錠25mg「ツルハラ」
クロロマイセチン錠50
クロロマイセチン錠250
グリチロン配合錠
コスパノン錠40mg
コスパノン錠80mg
コムタン錠100mg
コントミン糖衣錠12.5mg
コントミン糖衣錠25mg
コントミン糖衣錠50mg
コントミン糖衣錠100mg
コンドロイチンZ錠
コートリル錠10mg

サアミオン錠5mg
シナール配合錠
シュランダー錠25mg
シンラック錠2.5
シンラック錠7.5
ジアノイナミン錠10mg
ジセタミン錠25
ジピリダモール錠12.5mg「JG」
ジピリダモール錠12.5mg「ツルハラ」
ジピリダモール錠25mg「JG」
ジピリダモール錠25mg「ツルハラ」
ジピリダモール錠25mg「トーワ」
ジピリダモール錠25mg「日医工」
ジピリダモール錠25mg「日新」
ジフェニドール塩酸塩錠25mg「CH」
ジフェニドール塩酸塩錠25mg「JG」
ジフェニドール塩酸塩錠25mg「TCK」
ジフェニドール塩酸塩錠25mg「TYK」
ジフェニドール塩酸塩錠25mg「トーワ」
ジフェニドール塩酸塩錠25mg「日医工」
ジメモルファンリン酸塩錠10mg「TCK」
ジョサマイシン錠50mg
ジョサマイシン錠200mg
スタレボ配合錠L50
スタレボ配合錠L100
スピロピタン錠0.25mg
スピロピタン錠1mg
スローケー錠600mg
セフカペンピボキシル塩酸塩錠75mg「CH」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg「CH」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠75mg「TCK」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg「TCK」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠75mg「YD」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg「YD」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠75mg「トーワ」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg「トーワ」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠75mg「ファイザー」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg「ファイザー」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠75mg「日医工」
セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg「日医工」
セレスタミン配合錠
センナリド錠12mg
センノサイド錠12mg
センノシド錠12mg「JD」
センノシド錠12mg「TCK」
センノシド錠12mg「YD」
センノシド錠12mg「クニヒロ」
センノシド錠12mg「サワイ」
センノシド錠12mg「セイコー」
センノシド錠12mg「ツルハラ」
センノシド錠12mg「トーワ」
センノシド錠12mg「ファイザー」
センノシド錠12mg「ホリイ」
ゼオチン錠100mg
ソルダナ錠12mg
ゾテピン錠25mg「アメル」
ゾテピン錠50mg「アメル」
ゾテピン錠100mg「アメル」
ゾテピン錠25mg「ヨシトミ」
ゾテピン錠50mg「ヨシトミ」
ゾテピン錠100mg「ヨシトミ」

タカベンス錠25mg
タチオン錠50mg
タチオン錠100mg
ダイピン錠1mg
ダイフェン配合錠
チオラ錠100
チスタニン糖衣錠100mg
チスタメット錠200mg
チスタメット錠400mg
チャルドール錠2.5mg
チョコラA錠1万単位
ツロブテロール塩酸塩錠1mg「オーハラ」
テオドール錠100mg
テオドール錠200mg
テナキシル錠1mg
テナキシル錠2mg
テルブタリン硫酸塩錠2mg「TCK」
デタントール錠0.5mg
デタントール錠1mg
デノタスチュアブル配合錠
デパケンR錠100mg
デパケンR錠200mg
デパス錠0.25mg
デパス錠0.5mg
デパス錠1mg
トコフェロール酢酸エステル錠50mg「トーワ」
トコフェロール酢酸エステル錠50mg「ファイザー」
トフラニール錠10mg
トフラニール錠25mg
トリキュラー錠21
トリキュラー錠28
トリラホン錠2mg
トリラホン錠4mg
トリラホン錠8mg
ナトリックス錠1
ナトリックス錠2
ニカルジピン塩酸塩錠10mg「TCK」
ニカルジピン塩酸塩錠20mg「TCK」
ニカルジピン塩酸塩錠10mg「サワイ」
ニカルジピン塩酸塩錠20mg「サワイ」
ニカルジピン塩酸塩錠10mg「トーワ」
ニカルジピン塩酸塩錠20mg「トーワ」
ニカルジピン塩酸塩錠10mg「日医工」
ニカルジピン塩酸塩錠20mg「日医工」
ニカルジピン塩酸塩錠10mg「日新」
ニカルジピン塩酸塩錠20mg「日新」
ニカルジピン塩酸塩錠20mg「TCK」
ニスタジール錠10
ニスタジール錠20
ニチファーゲン配合錠
ニューレプチル錠5mg
ニューレプチル錠10mg
ニューレプチル錠25mg
ネオマレルミンTR錠6mg
ノイキノン錠5mg
ノイキノン錠10mg
ノイキノン糖衣錠10mg
ノイビタ錠「25」
ノイメチコール錠500μg
ノリトレン錠10mg
ノリトレン錠25mg
ハイゼット錠25mg
ハイゼット錠50mg
ハロステン錠1mg
ハロステン錠2mg
ハロペリドール錠0.75mg「JG」
ハロペリドール錠1.5mg「JG」
ハロペリドール錠1mg「JG」
ハロペリドール錠3mg「JG」
バクタ配合錠
バクトラミン配合錠
バップフォー錠10
バップフォー錠20
バランス錠5mg
バランス錠10mg
バルネチール錠50
バルネチール錠100
バルネチール錠200
バルネチール錠50
バルネチール錠100
バルネチール錠200
バルプロ酸Na徐放B錠100mg「トーワ」
バルプロ酸Na徐放B錠200mg「トーワ」
バルプロ酸Na錠100mg「フジナガ」
バルプロ酸Na錠200mg「フジナガ」
バルプロ酸ナトリウムSR錠100mg「アメル」
バルプロ酸ナトリウムSR錠200mg「アメル」
バレリン錠100mg
バレリン錠200mg
パルタンM錠0.125mg
パーキン糖衣錠(10)
パーキン糖衣錠(50)
ヒドロキシジンパモ酸塩錠25mg「日新」
ヒベルナ糖衣錠5mg
ヒベルナ糖衣錠25mg
ヒルナミン錠(5mg)
ヒルナミン錠(25mg)
ヒルナミン錠(50mg)
ビオフェルミン錠剤
ビタファントF錠25
ビタミンK1錠5
ビタミンK1錠5mg「ツルハラ」
ビーマス配合錠
ピドキサール錠10mg
ピドキサール錠20mg
ピドキサール錠30mg
ピリドキサール錠10mg「イセイ」
ピリドキサール錠30mg「イセイ」
ピレチア錠(5mg)
ピレチア錠(25mg)
ピーゼットシー糖衣錠2mg
ピーゼットシー糖衣錠4mg
ピーゼットシー糖衣錠8mg
ファモチジン錠10mg「JG」
ファモチジン錠20mg「JG」
ファモチジン錠10mg「TCK」
ファモチジン錠20mg「TCK」
ファモチジン錠10mg「アメル」
ファモチジン錠20mg「アメル」
ファモチジン錠10mg「トーワ」
ファモチジン錠20mg「トーワ」
ファモチジン錠10mg「日新」
ファモチジン錠20mg「日新」
ファモチジン錠10mg「杏林」
ファモチジン錠20mg「杏林」
ファモチジン錠10「サワイ」
ファモチジン錠20「サワイ」
ファースルー錠2.5mg
フスコデ配合錠
フスタゾール糖衣錠10mg
フスタゾール錠小児用2.5mg
フラジール内服錠250mg
フルスルチアミン錠25mg「トーワ」
フルメジン糖衣錠(0.25)
フルメジン糖衣錠(0.5)
フルメジン糖衣錠(1)
フロベン錠40
フロモックス錠75mg
フロモックス錠100mg
ブシラミン錠100mg「トーワ」
ブシラミン錠50mg「トーワ」
ブシラミン錠50mg「日医工」
ブシラミン錠100mg「日医工」
ブスコパン錠10mg
ブチルスコポラミン臭化物錠10mg「YD」
ブチルスコポラミン臭化物錠10mg「ツルハラ」
ブチルスコポラミン臭化物錠10mg「日新」
ブルフェン錠100
ブルフェン錠200
プラノバール配合錠
プルゼニド錠12mg
プレマリン錠0.625mg
プロチアデン錠25
プロトポルト錠20mg
プロベラ錠2.5mg
プロ・バンサイン錠15mg
ヘモナーゼ配合錠
ベストン糖衣錠(25mg)
ベラチン錠1mg
ベラパミル塩酸塩錠40mg「JG」
ベラパミル塩酸塩錠40mg「タイヨー」
ベラパミル塩酸塩錠40mg「ツルハラ」
ベンコール配合錠
ベンザリン錠2
ベンザリン錠5
ベンザリン錠10
ベンフォチアミン錠25mg「トーワ」
ペミロラストK錠5mg「TCK」
ペミロラストK錠10mg「TCK」
ペミロラストK錠5mg「マイラン」
ペミロラストK錠10mg「マイラン」
ペルサンチン錠100mg
ペルサンチン錠12.5mg
ペルサンチン錠25mg
ペントキシベリンクエン酸塩錠15mg「ツルハラ」
ホクナリン錠1mg
ホモクロルシクリジン塩酸塩錠10mg「ツルハラ」
ホルミトール錠40mg
ホーリット錠20mg
ホーリット錠40mg
ボノピオンパック
マイテラーゼ錠10mg
ミオリラーク錠50mg
ミグリステン錠20
ミルマグ錠350mg
メコバラミン錠500μg「NP」
メコバラミン錠500μg「SW」
メコバラミン錠500「トーワ」
メコバラミン錠500(ツルハラ)
メスチノン錠60mg
メダゼパム錠2(ツルハラ)
メダゼパム錠5(ツルハラ)
メチコバイド錠500μg
メチコバール錠250μg
メチコバール錠500μg
メドロール錠2mg
メドロール錠4mg
メペンゾラート臭化物錠7.5mg「ツルハラ」
メルカゾール錠5mg
ユベ-E錠100mg
ユベラ錠50mg
ヨウリダモール錠25
ヨウレチン錠「50」
ヨウレチン錠「100」
ヨーデルS糖衣錠-80
ラスプジン錠0.5mg
ラスプジン錠1mg
ラパリムス錠1mg
ラベキュアパック400
ラベキュアパック800
ラベファインパック
ラベルフィーユ21錠
ラベルフィーユ28錠
ランサップ400
ランサップ800
ランデールチオン錠100mg
ランピオンパック
リスモダンR錠150mg
リボビックス錠10mg
リボビックス錠20mg
リボビックス錠30mg
リマチル錠50mg
リマチル錠100mg
リラダン錠10mg
リンデロン錠0.5mg
リン酸ピリドキサール錠30
レスタミンコーワ錠10mg
レスミット錠2
レスミット錠5
レチコラン錠250μg
レチコラン錠500μg
レナデックス錠4mg
レナルチン腸溶錠100mg
レマルク錠100
レマルク錠50
ロコルナール錠50mg
ロコルナール錠100mg
ロシゾピロン錠25mg
ロシゾピロン錠50mg
ロシゾピロン錠100mg
ワソラン錠40mg
ワソラン錠40mg





2018年7月19日木曜日

セロトニン5HT3受容体拮抗薬が相次いで販売中止




抗がん剤による嘔吐中枢への刺激を阻害し、悪心(吐き気)・嘔吐を抑える薬である以下のセロトニン5HT3受容体拮抗薬が販売中止となるようです。

・ゾフラン注/錠/ザイディス/小児用シロップ(経過措置2019年3月末)
https://drs-net.novartis.co.jp/siteassets/common/pdf/discontinued_list/an_zfr.pdf

・セロトーン錠10mg/静注液10mg(経過措置2019年3月末)
https://www.torii.co.jp/iyakuDB/data/notice/sr1704.pdf

・シンセロン錠 8mg(経過措置2020年3月末予定)
http://www.yakult.co.jp/ph/news/files/?type=news&id=149196894459.pdf

いずれも、諸般の事情とのことです。新しい世代の制吐薬が登場してきたことによる需要減によるところが大きいと推察されます。

それでは
販売中止となる薬剤の特徴と歴史を振り返ってみましょう。

ゾフラン

ゾフランの成分名はオンダンセトロン。グラクソ・スミスクライン社によって開発されました。
時は1970 年代、固形癌に対し極めて有効な抗癌剤シスプラチンが導入され始めた頃、シスプラチンによる強い催吐作用が副作用として問題視されていました。シスプラチンなどのプラチナ系抗がん剤投与後に生ずる悪心・嘔吐には、抗がん剤により惹起されたセロトニンが一因となり、5-HT3 受容体が関与していることが明らかとなっていました。そこで製薬メーカー各社がセロトニンの基本骨格であるインドール基を有する化合物を中心に、5-HT3 受容体に対し拮抗作用を有する化合物の合成・探索を行いました。その結果、グラクソ・スミスクライン社においてはオンダンセトロンの制吐効果確認につながりました。
日本では1994年に注射と錠剤が承認され、 小児領域における剤形選択の幅を広げるために、シロップ剤が開発され、1999 年 6 月に承認を取得。 さらに、高齢患者や嚥下障害を有する癌患者にも服用が容易になるように、舌の上で瞬時に溶解し、水なしでも服用できる口腔内速溶錠(ザイディス)が1999 年 12 月に登場しました。
水も飲むのも辛いくらい吐き気がつよく、すぐ服用できるザイディス錠はそこそこ重宝されていました。
また、小児適応を持つできる5HT3受容体拮抗薬の経口剤がゾフラン小児用シロップ剤のみであったことからグラニセトロン注射薬に小児適応が追加されるまでは活躍していたと記憶してます。

セロトーン

セロトーン錠は成分名すアザセトロン塩酸塩です。三菱ウェルファーマ株式会社(現 田辺三菱製薬株式会社)が開発した国産の5-HT3 受容体拮抗薬です。三菱はメトクロプラミドが弱いながらも 5-HT3 受容体拮抗作用を有していることに着目し、その活性の増強を目的として、metoclopramide のようなベンズアミド誘導体に比べてより安定な活性コンフォメーションをとると考えられる 2,3-dihydro- benzoxazine-8- carboxamide を基本骨格に、アミノエチル側鎖を組み入れた環状アミンを有する構造をデザインしました。そしてこの基本骨格に、環状アミンとして 1-azabicyclo[2.2.2]oct-3-yl 基を導入することにより、抗ドパミン作用を有することなく、強い 5-HT3受容体拮抗作用を示すことを見出し、アザセトロン塩酸塩が 1987 年に創製されました。
セロトニンのインドール基ではなく、メトクロプラミドのベンズアミドに着目する発想が素敵ですね。この頃の国内の製薬メーカーはとてもユニークな創薬をしていました。
その後開発が進み、1994 年 1 月にセロトーン注の、1999 年 6 月にセロトーン錠 10mg の製造承認を取得しています。
ベンズアミド系の水溶性 5-HT3受容体拮抗薬というユニークな薬なのですが、他に目立った特徴もなく、メトクロプラミドでいいんじゃね?というような感じです。

シンセロン

シンセロン錠は成分名インジセトロン塩酸塩です。1993 年より開発が開始され、2004 年 1 月に臨床試験において有用性が認められ、に日清キョーリン製薬(株)(現:杏林製薬(株))が「シンセロン®錠 8mg」として製造販売承認を取得し、同年 9 月に(株)ヤクルト本社より販売を開始しました。ヤクルトはプラチナ系抗がん剤を扱っている手前、自分のところの薬の副作用は自分でなんとかしたいという思いがあったとかなかったとか。ただ、出てくるのが遅すぎた感は否めませんでした。


抗がん薬による悪心・嘔吐に使用する5-HT3受容体拮抗薬

第1世代

  • グラニセトロン(カイトリル)
  • ラモセトロン(ナゼア)


第2世代

  • パロノセトロン(アロキシ)


有効性の面では第2世代のパロノセトロンが目立ちます。
パロノセトロンとデキサメタゾンの併用群とグラニセトロンとデキサメタゾンの併用群の制吐効果を検討した第Ⅲ相ランダム化比較試験において,パロノセトロンとデキサメタゾンの併用群が有意に急性嘔吐の予防だけでなく遅発性嘔吐の予防にも有効であることが報告されています(遅発期嘔吐完全制御割合:グラニセトロン群44.5% vs. パロノセトロン群56.8%)
PMID:19135415

しかし、パロノセトロンは注射しかなく経口剤のあるグラニセトロンやラモセトロンはそれなりに使用されています。
グラニセトロンには後発品ですがゼリー剤もあり剤形のバリエーションが広いです。また、グラニセトロンには他の5-HT3受容体拮抗薬にはない放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐) の適応があり、化学放射線療法実施時には考慮したい薬剤です。また、小児がん治療における悪心・嘔吐には使用経験の豊富なグラニセトロン注射薬が頻用されています。
ラモセトロンはOD錠があるのがいいですね。

【補足】
NCCN ガイドラインではシスプラチンとAC 療法を含む高度リスク抗がん薬投与に際し、抗精神病薬のオランザピンが、パロノセトロンとデキサメタゾン併用下においてアプレピタントと同等であることが示された第Ⅲ相ランダム化比較試験の結果を受けて、オランザピン(10 mg 経口投与,1~4 日目)をパロノセトロンとデキサメタゾンとの3 剤併用で用いるオプションが示されています。
PMID:22024310

2018年7月11日水曜日

災害でレセコンが破損した場合の診療報酬請求はどうするの?



この度の平成30年7月豪雨災害のような大災害にあってしまい、レセコンが破損した場合、診療報酬請求はどうするのでしょうか。

災害救助法が適用されるような大きな災害の場合、早い段階で厚生労働省から災害時の診療報酬請求についての対応について通知が出されます。まずは、それを待ちましょう。

今回も被災3日後には厚労省から都道府県へ発報されています。そして県から三師会および保険者へ指示が降りていました。

平成30年7月豪雨被災に伴う保険診療関係等及び診療報酬の取扱いについて、薬局に関連する内容をまとめました。


レセコン破損の場合の概算請求

→平成 30 年6月診療等分については概算による請求を行うことができる

災害救助法適用地域におけるレセプト提出期限は7月14日

→事前に支払基金、国保に届け出

薬局が浸水し仮設建物で調剤を行う場合

→仮設建物は被災店舗との場所的近接性が求められる

保険情報記載なしの処方箋の取り扱い

→ 保険薬局において加入の保険及び(社保)事業所名、(国保)住所を確認するとともに、調剤録に記載。

医療機関記載なしの処方箋の取り扱い

→処方せんの交付を受けた場所を患者に確認。
避難所などで発行されたものは保険調剤として取り扱えない。

処方箋なしの調剤の求めがあった場合

→ 事後的に処方せんが発行されることが大前提。さらに客観的に診療が無理であることと主治医意と連絡が取れていることが条件

避難所・救護所で発行された処方箋による調剤

→ 当該調剤に係る報酬は救護所の設置主体である県市町に請求すること。

避難所への訪問薬剤管理指導

→ 医師の指示に基づき実施した場合は算定できる。ただし、疾病、傷病から通院による療養が可能と判断される患者に対しては算定できない。

在庫逼迫による分割調剤について

→ 処方医へ迅速に疑義照会を行うことが難しい場合には、 保険薬局の判断で分割調剤を行い、事後に報告することは差し支えない。


以下、通知文全文です。
平成30年台風7号及び前線等に伴う大雨による被災に伴う保険診療関係等及び 診療報酬の取扱いについて(平成30年7月9日厚生労働省保険局医療課事務連絡)


1.診療報酬の請求等の取扱いについて

(1)平成 30 年6月診療分に係る診療報酬等の請求について
平成 30 年6月診療分に係る診療報酬等の請求については、今回の平成 30年台風7号等大雨による被災により診療録等を滅失若しくは棄損等した場合の対応として、下記①又は②の場合において下記により概算請求を行うことができるものとすること。
① 診療録等の滅失等の場合の概算による請求
今回の大雨により診療録及びレセプトコンピュータ等を滅失、浸水、汚損又は棄損した保険医療機関、保険薬局又は訪問看護ステーション(以下「保険医療機関等」という。)については、平成 30 年6月診療等分については概算による請求を行うことができるものであること。なお、この場合にあって、同年7月診療等以降分の請求方法については追って連絡する予定であること。
② 通常の手続による請求を行う方法

上記①よる場合以外については、下記(2)により、診療報酬等の請求を行うものとすること。

(2) 概算請求を行う場合の取扱いについて
① 概算による請求を選択する保険医療機関等については、やむを得ない事情がある場合を除き、平成 30 年7月 14 日までに概算による請求を選択する旨、各審査支払機関(国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)及び社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)に届け出ること。
② 診療報酬等の算出方法
原則として平成 30 年4月診療等分から平成 30 年5月診療等分までの診療報酬等支払実績により(当該保険医療機関等について特別な事情がある場合には、別途保険医療機関等と調整をする。)、下記アからイにより算出し、それを合計して支払を行うこととなるため、各保険医療機関等においては、別紙の様式により、当該保険医療機関等の平成 30 年6月の入院、外来別の診療実日数(※1)を合わせて届け出るものとすること。なお、保険薬局及び訪問看護ステーションについては、外来分として取り扱うものとする。



③ 上記(1)①に該当する保険医療機関等であって、上記(1)②に規定する地域以外の区域に所在するものについては、罹災証明書又は罹災届出証明書を併せて各審査支払機関に提出すること。
④ この方法の対象となる請求の範囲については、公費負担医療に係るものについても含まれること。
⑤ この方法による請求を選択した保険医療機関等については、この方法による概算額をもって平成 30 年6月診療分の診療報酬等支払額を確定するものであること。

(3) 通常の方法による請求を行う場合の取扱いについて
請求書の提出期限について
平成 30 年6月診療分(7月提出分)に係る診療報酬請求書等の提出期限については、災害救助法の適用地域に所在する保険医療機関等に限り、平成 30 年7月 14 日とすること。
また、提出期限に遅れたものについては、翌月以降に提出するものとすること。

(参考)一部負担金等とは、一部負担金、訪問看護療養費に係る自己負担額などをいう。

2.保険医療機関等の建物が浸水等した場合の取扱い

保険医療機関である医療機関又は保険薬局である薬局の建物が浸水等し、これに代替する仮設の建物等(以下「仮設医療機関等」という。)において診療又は調剤等を行う場合、当該仮設医療機関等と浸水等した保険医療機関等との間に、場所的近接性及び診療体制等から保険医療機関等としての継続性が認められる場合については、当該診療等を保険診療又は保険調剤として取り扱って差し支えないこと。

3.保険調剤の取扱い

(1)被災地の保険薬局において、次に掲げる処方せん(通常の処方せん様式によらない、医師の指示を記した文書等を含む)を受け付けた場合においては、それぞれに掲げる事項を確認した上で、保険調剤として取り扱って差し支えないこと。
① 保険者番号、被保険者証・被保険者手帳の記号・番号の記載がない場合
被災により、被保険者証、健康手帳等を保険医療機関に提示できなかった場合であること。この場合、保険薬局において、加入の保険及び被用者保険の被保険者等にあっては事業所名、国民健康保険の被保険者及び後期高齢者医療制度の被保険者にあっては住所を確認するとともに、調剤録に記載しておくこと。
② 保険医療機関の記載がない場合
処方せんの交付を受けた場所を患者に確認すること。なお、処方せんの交付を受けた場所が、救護所、避難所救護センターその他保険医療機関以外の場所であることが明らかな場合は、保険調剤として取り扱えないものであること。((3)参照)

(2)患者が処方せんを持参せずに調剤を求めてきた場合については、事後的に処方せんが発行されることを条件として、以下の要件のいずれにも該当す
る場合には、保険調剤として取り扱って差し支えない。
ア 交通の遮断、近隣の医療機関の診療状況等客観的にやむをえない理由により、医師の診療を受けることができないものと認められること。
イ 主治医(主治医と連絡が取れない場合には他の医師)との電話やメモ等により医師からの処方内容が確認できること。また、医療機関との連絡が取れないときには、服薬中の薬剤を滅失等した被災者であって、処方内容が安定した慢性疾患に係るものであることが、薬歴、お薬手帳、包装等により明らかな場合には、認めることとするが、事後的に医師に処方内容を確認するものとすること。

(3)災害救助法に基づく医療の一環として、救護所、避難所救護センター等で処方せんの交付を受けたと認められる場合には、当該調剤に係る報酬は救護所の設置主体である県市町に請求するものであること。ただし、災害救助法が適用されている期間内において処方せんが交付され、調剤されたものであること。

4.定数超過入院について

(1)「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法について」(平成 18 年3月 23 日保医発第 0323003号)の第1の3において、保険医療機関が、医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合の取扱いに係り、「災害等やむを得ない事情」の場合は、当該入院した月に限り減額の対象としないとされているところである。
今般、被災地における保険医療機関の状況等を踏まえ、平成 30 年台風第 7号等大雨による被災者を受け入れたことにより超過入院となった保険医療機関にあっては、この規定にかかわらず、当面の間、同通知第1の2の減額措置は適用しないものとすること。

(2)(1)の場合においては、「厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法」(平成 30 年厚生労働省告示第 68 号)の第4項第一号に掲げる DPC 対象の保険医療機関が医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合の取扱いによらず、当面の間、従前の通り診断群分類点数表に基づく算定を行うものとすること。

5.施設基準の取扱いについて

(1)今般の平成 30 年台風第 7 号等大雨に伴い、被災者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等し入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる保険医療機関及び被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足し入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる保険医療機関については、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成 30 年3月5日保医発 0305 第2号。以下「基本診療料の施設基準等通知」という。)の第3の1(1)の規定にかかわらず、当面、月平均夜勤時間数については、1割以上の一時的な変動があった場合においても、変更の届出を行わなくてもよいものとすること。

(2)また、平成 30 年台風第 7 号等大雨に伴い、被災者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等した保険医療機関及び被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足した保険医療機関については、基本診療料の施設基準等通知の第3の1(3)及び(4)の規定にかかわらず、1日当たり勤務する看護師及び准看護師又は看護補助者(以下「看護要員」という。)の数、看護要員の数と入院患者の比率並びに看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率については、当面、1割以上の一時的な変動があった場合においても、変更の届出を行わなくてもよいものとすること。

(3)上記と同様の場合、DPC対象病院について、「DPC制度への参加等の手続きについて」(平成 30 年3月 26 日保医発 0326 第7号)の第1の4(2)②に規定する「DPC対象病院への参加基準を満たさなくなった場合」としての届出を行わなくてもよいものとすること。

(4) (1)から(3)の届出を行わなくてもよいこととされた保険医療機関においては、被災者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等し
たこと又は被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足したことを記録し、保管しておくこと。

(5) 被災地域以外の保険医療機関についても、(1)から(4)までを適用するものとすること。

6.訪問看護の取扱いについて

(1)訪問看護基本療養費(以下「基本療養費」という。)については、「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成 30 年3月5日保発 0305 第3号。以下「訪問看護療養費の算定方法の留意事項通知」という。)において、訪問看護指示書(以下「指示書」という。)に記載された有効期間内(6 か月を限度とする。)に行った指定訪問看護(以下「訪問看護」という。)について算定する取扱いとされているところであるが、次の①から③のいずれにも該当する場合には、当該有効期間を超えた場合であっても基本療養費を算定できるものとする。
① 平成 30 年7月5日以前に主治医の指示書の交付を受けている利用者であること。
② 医療機関等が平成 30 年台風7号等大雨に係る災害救助法の適用市町村に所在する場合であって、被災のため主治医と連絡がとれず、平成 30年7月6日以降指示書の交付を受けることが困難なこと。
③ 訪問看護ステーションの看護師等が利用者の状態からみて訪問看護が必要と判断し訪問看護を実施したこと。なお、患者が主治医と連絡が取れる目途がない場合には、速やかに新たな主治医のもとで適切な治療を続けられるような環境整備を行うよう配慮すること。

(2)訪問看護管理療養費(以下「管理療養費」という。)については、訪問看護療養費の算定方法の留意事項通知において利用者に係る訪問看護計画書及び訪問看護報告書(以下「計画書等」という。)を主治医に提出するなど計画的な管理を継続して行った場合に算定する取扱いとされているところであるが、保険医療機関等が平成 30 年台風 7 号等大雨に係る災害救助法の適用市町村に所在する場合であって、被災のため主治医と連絡がとれず、やむを得ず計画書等を主治医に提出することができない場合であっても、管理療養費の算定ができるものとすること。

(3)健康保険法上、居宅において訪問看護を行った場合に、訪問看護療養費を算定する取扱いとされているところ。被保険者が平成 30 年台風 7 号等大雨に係る災害救助法の適用市町村に所在していた場合であって、被災のため避難所や避難先の家庭等で生活している場合においても、訪問看護を行った場合にはこれを算定出来るものとすること。

(4)訪問看護ステーションは、前記(1)から(3)により訪問看護を実施した場合は、その旨を訪問看護記録書に記録しておくこと。

(5)なお、介護保険法に基づく訪問看護についても、上記と同等の取扱いとすること。

7.診療報酬の取扱いについて

Ⅰ.被災地(災害救助法の適用対象市町村をいう。以下同じ。)
問1 
日本赤十字社の救護班、DMAT(災害派遣医療チーム)やJMAT(日本医師会による災害医療チーム)などボランティアにより避難所や救護所等で行われている診療について、保険診療として取り扱うことは可能か。また、それら診療について一部負担金を患者から徴取することは可能か。

(答)
 都道府県知事の要請に基づき、日本赤十字社の救護班やDMAT、JMATなど、ボランティアが避難所等で行った医療に係る経費については、
① 薬剤、治療材料等の実費
② 救助のための輸送費や日当・旅費等の実費
などを災害救助法の補助対象としており、これを保険診療として取り扱うことはできない。したがって保険診療としての一部負担金を患者に求めることはできない。

問2 
被災地の保険医療機関の医師等が、各避難所等を自発的に巡回し、診療を行った場合、保険診療として取り扱うのか。
(答)
 保険診療として取り扱うことはできない。
(災害救助法の適用となる医療については、県市町村に費用を請求する。なお、当該費用の請求方法については、県市町村に確認されたい。)

問3 
被災地の保険医療機関の医師等が各避難所等を自発的に巡回し診療を行っている際に、訪れた避難所等において偶然、普段外来にて診療している患者の診察、処方等を行った場合は、保険診療として取り扱うのか。
(答)
 保険診療として取り扱うことはできない。
(災害救助法の適用となる医療については、県市町に費用を請求する。なお、当該費用の請求方法については、県市町村に確認されたい。)

問4 
避難所や救護所等において診察を受けて発行された処方せんによる調剤は、どのような取扱いになるか。
(答)
保険調剤として取り扱うことはできない。
(災害救助法の適用となる医療については、県市町村に費用を請求する。なお、当該費用の請求方法については、県市町村に確認されたい。)

問5 保険診療による処方せんとはどのように区別したらよいか。
(答)
災害により避難所や救護所等において発行された処方せんについては、当該処方せんに「 災 」と記されている場合もあるが、災害救助法の適用が明らかな場合は保険診療としては取り扱われないので、処方せんの交付を受けた場所を患者に確認するなど留意されたい。

問6 被災地の保険医療機関の医師等が、避難所に居住する疾病、傷病のために通院による療養が困難な患者に対して、当該患者が避難所にある程度継続して居住している場合に、定期的な診療が必要と判断され、患者の同意を得て継続的に避難所を訪問して診察を行った場合に、訪問診療料(歯科診療にあっては、歯科訪問診療料)は算定できるか。
(答)
算定できる。
なお、疾病、傷病から通院による療養が可能と判断される患者に対して訪問診療料(歯科訪問診療料)は算定できない。

問7 
問6において、同じ避難所等に居住する複数人に同一日に訪問診療を行う場合、「同一建物居住者」の取扱いとするか、「同一建物居住者以外」の取扱いとするか。同様に同じ避難所等に居住する複数人に同一日に同じ訪問看護ステーションから訪問看護を行う場合はどうか。
(答)
いずれも、同一建物居住者の取扱いとする。
なお、医科の場合にあっては、避難所等において、同一世帯の複数の患者に診察をした場合は、「同一建物居住者」の取扱いではなく、1人目は「同一建物居住者以外の場合」を算定し、2人目以降の患者については、初診料又は再診料若しくは外来診療料及び特掲診療料のみを算定すること。また、歯科の場合にあっては、同一日に診療を行う人数により、歯科訪問診療1(1 人のみの場合)、歯科訪問診療2(2 人以上 9 人以下の場合)又は歯科訪問診療3(10 人以上の場合)のいずれかにより算定する。

問8 
在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料は「単一建物居住患者の人数」により区分がなされているが、被災前から、当該管理料(平成28 年3月以前の特定施設入居時等医学総合管理料を含む)の対象となる医学管理を行っている患者が避難所に避難し、当該患者に当該医学管理を継続して行う場合、当該管理料をどのように算定することができるか。
(答)
当面、避難所においても、被災前の居住場所に応じた区分に従って、当該管理料を算定することができる。但し、避難場所が分散し、被災前の居住場所と比べ、「単一建物居住患者の人数」が減少した場合には、減少後の人数に基づいて算定できる。

問9 
避難所等に居住する患者であって、定期的に外来における診療を受けている者からの求めに応じて、当該外来による診療を行っている被災地の保険医療機関の医師等が避難所等に往診を行った場合、往診料は算定できるか。
(答)
患者が避難所等にある程度継続して居住している場合には、避難所に居住している患者であって、定期的に外来による診療を受けている者からの求めがあり、当該外来による診療を行っている被災地の保険医療機関の医師等が避難所等に赴き診療を行った場合には、往診料を算定できる。ただし、2人目以降については、往診料は算定できず、再診料の算定となる。(通常の往診料と同じ取扱い)

問10 
被災地の保険医療機関が、災害等やむを得ない事情により、医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合などは、どの入院基本料、特定入院料を算定するのか。
(答)
 当面の間、以下の取扱いとする。
<原則>
実際に入院した病棟(病室)の入院基本料・特定入院料を算定する。
<会議室等病棟以外に入院の場合>
速やかに入院すべき病棟へ入院させることを原則とするが、必要とされる診療が行われている場合に限り、当該医療機関が届出を行っている入院基本料のうち、当該患者が入院すべき病棟の入院基本料を算定する。この場合、当該患者の状態に応じてどのような診療や看護が行われているか確認できるよう、具体的に診療録、看護記録等に記録する。なお、単なる避難所としての利用の場合は算定できない(災害救助法の適用となる医療については、県市町に費用を請求する。なお、当該費用の請求方法については、県市町村に確認されたい。)

<医療法上、本来入院できない病棟に入院(精神病棟に精神疾患ではない患者が入院した場合など)又は診療報酬上の施設基準の要件を満たさない患者が入院(回復期リハビリテーション病棟に施設基準の要件を満たさない患者が入院した場合など)した場合>
入院基本料を算定する病棟の場合
入院した病棟の入院基本料を算定する(精神病棟に入院の場合は精神病棟入院基本料を算定。)
ただし、結核病棟については、結核病棟入院基本料の注3の規定に係らず、入院基本料を算定する。
特定入院料を算定する病棟の場合
医療法上の病床種別と当該特定入院料が施設基準上求めている看護配置により、算定する入院基本料を判断すること(一般病床の回復期リハビリテーション病棟に入院の場合は 13 対1又は 15 対1の看護配置を求めていることから、地域一般入院基本料を算定。)

問11 
被災地の保険医療機関において、被災地の他の保険医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり、当該他の保険医療機関から転院の受け入れを行った場合に、平均在院日数はどのように算定するのか。また、平均在院日数が入院基本料等の施設基準を超えた場合、特別入院基本料を算定するのか。
(答)
医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合を含め、当該他の医療機関から転院させた患者を含めて平均在院日数を算定する。ただし、平均在院日数が入院基本料等の施設基準を超えた場合であっても、当面の間、従前の入院基本料を算定できるものとし、特別入院基本料の算定は行わないものとする。

問12 
被災地の保険医療機関において災害等やむを得ない事情により、特定入院料の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院(例えば回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した場合など)した場合に、特定入院料等に規定する施設基準の要件についてどのように考えればよいか。
(答)
 被災地の保険医療機関において、災害等やむを得ない事情により、特定入院料の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院(例えば回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した場合など)した場合には、当面の間、当該患者を除いて施設基準の要件を満たすか否か判断する。

問13 
被災地の保険医療機関において、被災地の他の保険医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり、当該他の保険医療機関から転院の受け入れを行った場合に入院の日はどのように取り扱うのか。
(答)
当面の間、他の保険医療機関が当該保険医療機関と特別の関係にあるか否かにかかわらず、当該保険医療機関に入院した日を入院の日とする。

問14 
被災地の保険医療機関において、通常外来診察を行っている患者に訪問診療を行った場合に、訪問診療料(歯科診療にあっては、歯科訪問診療料)は算定できるか。
(答)
居宅で療養を行っており、疾病、傷病のために通院による療養が困難なものに対しては訪問診療料(歯科訪問診療料)を算定できるが、疾病、傷病から通院による療養が可能と判断されるものに対しては、訪問診療料(歯科訪問診療料)の算定はできない。(通常の訪問診療料等の規定のとおり)

問15 
問6、7及び14に関し、保険薬剤師が避難所又は居宅を訪問し、薬学的管理及び指導を行った場合、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できるか。
(答)
医師の指示に基づき実施した場合は算定できる。ただし、疾病、傷病から通院による療養が可能と判断される患者に対しては算定できない。
なお、同じ避難所等に居住する複数人に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う場合は、「単一建物診療患者」の人数に応じた在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するが、同一世帯の複数の患者が避難所等に同居している場合には、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。

問16 
被災地以外の都道府県で登録した保険医が、被災地の保険医療機関で診療を行った場合、保険請求可能か。
(答)
被災地以外の都道府県で登録した保険医が被災地の保険医療機関で行った場合には、被災地において、当該保険医が保険診療に従事する被災地の保険医療機関から診療報酬の請求が行われることになる。

問17 
被災地の保険薬局において、現地での医薬品の供給不足により、調剤に必要な医薬品の在庫が逼迫している場合等やむを得ない場合には、分割調剤により対応することは可能か。この場合、保険薬局の判断で分割調剤を行うことは可能か。
(答)
被災地での医薬品の流通状況等に応じて、分割指示のない処方せんであっても、処方医へ迅速に疑義照会を行うことが難しい場合には、保険薬局の判断で分割調剤を行い、事後に報告することは差し支えない。

問18 
被災地の保険医療機関において透析設備が、今般の大雨により使用不可能となっている場合に、大雨以前から当該保険医療機関に入院し当該保険医療機関において透析を行っている患者が、真にやむを得ない事情により、透析を目的として他医療機関を受診した場合に、入院基本料、特定入院料はどのように取り扱うのか。
(答)
当面の間、被災地の保険医療機関に大雨前から継続して入院している慢性透析患者の転院を受け入れた場合であって、真にやむを得ない事情があった場合に限り、透析を目的として他医療機関受診を行った日については、入院基本料及び特定入院料の控除は行わないこととする。

問19
新たに有床義歯を製作する場合について、区分番号 M018 に掲げる有床義歯の留意事項通知(13)の「ニ その他特別な場合」に、今般の平成 30年台風7号等大雨による被災に伴い有床義歯を滅失又は破損した場合も該当するのか。
(答)
該当する。なお、この場合において、有床義歯を再製作するに当たっては、診療録及び診療報酬明細書「摘要」欄に平成30年台風7号等大雨による被災に伴う6カ月未満の有床義歯の再製作である旨を記載すること。

問20 
平成 30 年台風7号等大雨に伴い、被災地の保険医療機関において、「DPC導入の影響評価に係る調査」への適切な参加及び「データ提出加算」に係るデータ提出が困難な場合には、どのように対応すればよいか。
(答)
4~6月診療分のDPC事務局へのデータの提出期限は 7 月22日であるが、被災地の保険医療機関等において当該期限までにデータの提出が困難な場合は、7月20日までにDPC調査事務局まで連絡されたい。

問21 
被災地の保険医療機関が、災害等やむを得ない事情により患者を入院させたことにより、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率、医療区分2・3の患者割合を満たさなくなった場合について、入院料に規定する施設基準の規定についてどのように考えればよいか。
(答)
被災前にこれらの施設基準を満たしていた保険医療機関において、災害等やむを得ない事情により患者を入院させたことにより、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度(特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料を除く)、在宅復帰率、医療区分2又は3の患者割合を満たさなくなった場合については、当面の間、直ちに施設基準の変更の届出を行う必要はない。なお、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料の治療室に、やむを得ず本来当該治療室への入院を要さない患者を入院させた場合については、当該保険医療機関の入院基本料を算定した上で、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の算出から除外する。

問22 
入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の届出を行っている被災地の保険医療機関において、災害等やむを得ない事情により、入院時食事療養又は入院時生活療養の食事の療養たる提供を適時に、かつ適温で行うことが困難となった場合に、入院時食事療養費等はどのように取り扱うのか。
(答)
当面の間、従前の入院時食事療養費又は入院時生活療養費を算定できるものとする。ただし、適時かつ適温による食事の提供が困難な場合であっても、できる限り適時かつ適温による食事の提供に努めること。

Ⅱ.被災地以外
問23 
被災地以外の保険医療機関において、被災地の保険医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり、当該被災地の保険医療機関から、医療法上の許可病床数を超過して転院の受け入れを行った場合などに、どの入院基本料、特定入院料を算定するのか。
(答)
 当面の間、以下の取扱いとする。
<原則>
実際に入院した病棟(病室)の入院基本料・特定入院料を算定する。
<医療法上、本来入院できない病棟に入院(精神病棟に精神疾患ではない患者が入院した場合など)又は診療報酬上の施設基準の要件を満たさない患者が入院(回復期リハビリテーション病棟に施設基準の要件を満たさない患者が入院した場合など)した場合>
入院基本料を算定する病棟の場合
入院した病棟の入院基本料を算定する(精神病棟に入院の場合は精神病棟入院基本料を算定。)。
ただし、結核病棟については、結核病棟入院基本料の注3の規定に係らず、入院基本料を算定する。
特定入院料を算定する病棟の場合
医療法上の病床種別と当該特定入院料が施設基準上求めている看護配置により、算定する入院基本料を判断すること(一般病床の回復期リハビリテーション病棟に入院の場合は 13 対1又は 15 対1の看護配置を求めていることから、地域一般入院基本料を算定。)

問24 
被災地以外の保険医療機関において、被災地の保険医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり、当該被災地の保険医療機関から医療法上の許可病床数を超過して転院の受け入れを行った場合に、平均在院日数はどのように算定するのか。
(答)
被災地以外の保険医療機関において、被災地の保険医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり、当該被災地の保険医療機関から被災の日以降に医療法上の許可病床数を超過するなどして転院の受け入れを行った場合、当面の間、当該患者を除いて平均在院日数を算定する。

問25 
被災地以外の保険医療機関において、災害等やむを得ない事情により、特定入院料の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院(例えば回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した場合など)した場合に、特定入院料等に規定する施設基準の要件についてどのように考えればよいか。
(答)
被災地以外の保険医療機関において、災害等やむを得ない事情により、特定入院料の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が
入院(例えば回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した場合など)した場合には、当面の間、当該患者を除いて施設基準の要件を満たすか否か判断する。

問26 被災地以外の保険医療機関において、被災地の保険医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり、当該被災地の保険医療機関から転院の受け入れを行った場合に入院の日はどのように取り扱うのか。
(答)
当面の間、被災地の保険医療機関が当該被災地以外の保険医療機関と特別の関係にあるか否かにかかわらず、当該被災地以外の保険医療機関に入院した日を入院の日とする。

問27 
被災地以外の保険医療機関において、被災地の介護施設、避難所等から入所者等の受入を行った場合、入院基本料、特定入院料等は算定できるか。
(答)
医学的判断に基づき入院が必要と判断された場合には算定できる。なお、単なる避難所としての利用の場合は算定できない(災害救助法の適用となる医療については、県市町村に費用を請求する。なお、当該費用の請求方法については、県市町村に確認されたい。)

問28 
被災地以外の保険医療機関において、被災地の保険医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり、当該被災地の保険医療機関に大雨前から継続して入院している慢性透析患者の転院の受け入れを行った場合に、当該受け入れを行った被災地以外の保険医療機関の透析設備の不足等真にやむを得ない事情により、当該患者が透析を目的として他医療機関を受診した場合に、入院基本料、特定入院料はどのように取り扱うのか。
(答)
患者に必要な医療を提供可能な保険医療機関に転院することを原則とする。ただし、被災地の保険医療機関に大雨前から継続して入院している慢性透析患者の転院を受け入れた場合であって、真にやむを得ない事情があった場合に限り、当面の間、透析を目的として他医療機関受診を行った日については、入院基本料及び特定入院料の控除は行わないこととする。

問29 被災地以外の保険医療機関において、被災地の保険医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり、当該被災地の保険医療機関から転院の受け入れを行ったことにより、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率、医療区分2・3の患者割合を満たさなくなった場合について、どう考えればよいか。
(答)
被災地以外の保険医療機関において、被災地の保険医療機関から転院の受け入れを行った場合にあっては、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率、医療区分2又は3の患者割合について、当面の間、被災地から受け入れた転院患者を除いて算出することができる。ただし、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料の治療室に、被災地の保険医療機関から転院の受け入れにより、やむを得ず当該治療室への入院を要さない患者を入院させた場合については、当該保険医療機関の入院基本料を算定した上で、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の算出から除外する。


2018年7月9日月曜日

災害時に医療関係者がチェックしたい分野別災害対応マニュアルをまとめてみました



関係各所より作成・発信されている災害マニュアル等、大切な事項が掲載された資料を紹介します。医療関係者、一般の方々問わず多くの方にこれらのことを知っていただき,ご支援いただくようお願いします。

平成30年台風第7号及び前線等による被害状況等及び対応について(厚生労働省)

「平成30年台風第7号及び前線等による被害状況等及び対応」に関する情報を掲載しています。

「水害にあったときに」~浸水被害からの生活再建の手引き~(震災がつなぐ全国ネットワーク )



【公衆衛生】

「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」について(厚生労働省)

近隣の施設が避難所になっている薬剤師や担当校が避難所になっている学校薬剤師は必読。

感染症(インフルエンザ、ノロウイルス)の予防について(厚生労働省)


熱中症予防のために(厚生労働省)


災害時のお口(くち)のお手入れについて(厚生労働省)


エコノミークラス症候群の予防のために(厚生労働省)


食中毒予防のために(厚生労働省)


災害時の健康・栄養について(国立健康・栄養研究所)

被災者がご自身の健康を守るためのポイントをまとめたリーフレットがあります

災害時の口腔ケア(日本口腔ケア学会)


大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き(日本環境感染学会)


避難所向けの感染予防のための8ヶ条(東北感染症危機管理ネットワーク)

避難所における風邪やインフルエンザ、嘔吐下痢症などの感染症の予防のためのポイントをまとめました

がれき撤去における感染予防のポイント, -傷の化膿や破傷風について-(東北感染症危機管理ネットワーク)

被災地域で壊された建物を撤去したり,下水などがあふれていた場所で, 汚泥の撤去作業を行う場合は、丈夫な手袋、長靴、安全靴などを身につけて素肌を露出しない服装(長袖、長ズボン)で行いましょう。

避難所におけるトイレ清掃のポイント(東北感染症危機管理ネットワーク)

避難所の衛生管理において重要なトイレ清掃のポイントを作成しました。

【アレルギー】

災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット&ポスター(日本小児アレルギー学会)

災害時には避難所などで手元において、このパンフレットをご活用いただければ幸いです。

【がん】

がん患者さんのための災害に関する情報 > 大規模災害に対する備え(がん情報サービス)

がん治療・在宅医療・緩和ケアを受けている患者さんとご家族へ-普段からできることと災害時の対応-

【糖尿病】

災害時ハンドブック―災害を無事に乗り切るために―(日本糖尿病協会)

糖尿病患者さんが被災したときに役立つ情報や知識をまとめました。

インスリンが必要な糖尿病患者さんのための災害時サポートマニュアル(日本糖尿病協会)

インスリンが必要な糖尿病患者さんが、災害からの2週間程度を乗り越えるための必要最低限のポイントをまとめたものです。

糖尿病予防及び管理のための栄養と運動(日本糖尿病協会)

簡便な栄養管理と運動管理を利用し、限られた状況下での糖尿病予防および管理に努めましょう。

避難生活Q&A(日本糖尿病協会)

被災地における糖尿病治療薬について気をつけることなど

被災地での栄養管理(日本糖尿病協会)

災害避難中および避難解除後の栄養管理について紹介

被災地での運動(日本糖尿病協会)

血糖コントロールを保つためには、少しでも運動をすることがとても大切

インスリン製剤一覧(日本糖尿病協会)

インスリン製剤を写真付で紹介した一覧表です。ご自分が使用している製剤の名前がわからない時などに役立ちます。

災害時の糖尿病看護マニュアル(日本糖尿病教育・看護学会)

糖尿病患者への災害時支援のポイントや糖尿病治療薬の指導等を紹介

【循環器】

被災地の高血圧患者さん向けQ&Aについて(日本高血圧学会)

被災地の高血圧患者さんからの多いご質問にお答えします。

災害時循環器疾患の予防・管理に関するガイドライン(日本高血圧学会)


「被災者に対する心臓病予防啓発ポスター」(日本心臓病学会、日本循環器学会)

「被災地の皆さま」「エコノミークラス症候群に注意してください」「ストレスによるたこつぼ心筋症に注意してください」


【眼科】

避難所での緑内障の患者様へ(日本眼科学会)


医療用点眼剤写真一覧(2018年度改訂版)

この点眼剤写真一覧は、東日本大震災の被災地診療に役立てられた、日本緑内障学会作成の『あなたの目薬はこの中にありますか?』を参考に作成されたものです。一般的に患者さんご自身が使用する点眼剤が掲載されています。

視覚障害をお持ちの方に関する災害対策情報(日本ロービジョン学会)

3種類のリーフレットをダウンロードできます。「災害が起きたときのこと、考えていますか?」「被災してしまったら」「避難所内の見えない・見えにくい人 ご支援ください」


【高齢者】

一般救護者用 災害時高齢者医療マニュアル(日本老年医学会)


高齢者災害時医療ガイドライン」第2版(日本老年医学会)


被災した認知症の人と家族の支援マニュアル<介護用>(日本認知症学会)


被災した認知症の人と家族の支援マニュアル<医療用>(日本認知症学会)


【妊婦・授乳婦】

妊産婦を守る情報共有マニュアル@避難所(一般・避難所運営者向け)(厚生労働省)


災害時妊産婦情報共有マニュアル(保健/医療関係者向け)(厚生労働省)


災害時に赤ちゃんを育てているお母さんに届けたい情報(日本ラクテーション・コンサルタント協会)


災害時の母乳育児相談-よく聞かれる質問(日本ラクテーション・コンサルタント協会) 


地震や水害にあった母乳育児中のお母さんへ(日本ラクテーション・コンサルタント協会) 



【小児】

乳幼児の事故防止と災害対策(東京都福祉保健局)


災害時の乳幼児栄養に関する指針(日本周産期・新生児医学会)


災害時の乳児栄養 特に粉ミルク配布時の注意点について(日本周産期・新生児医学会)


被災地の避難所で生活をする赤ちゃんのためのQ&A医療スタッフ向け


被災地の避難所で生活をする赤ちゃんのためのQ&A


こどもの救急(日本小児科学会)

夜間や休日などの診療時間外に病院を受診するかどうか、判断の目安を提供しています。

子どもの心の対応マニュアル(日本小児科学会、日本小児精神医学研究会、日本小児心身医学会)


被災した子どもさんの保護者の方へ、赤ちゃんがいらっしゃる方・赤ちゃんを預かる保育士の方へ、学校の先生へ、被災した子どもさんのご近所の方へ(日本小児精神医学研究会)


乳幼児をもつ家族をささえるために(神戸大学)


【ストーマ装着者】

ストーマ装具の無償提供について(ストーマ用品セーフティーネット連絡会)

被災されたストーマ保有者には「緊急時のストーマ用品供給」として災害発生から約1か月間においてストーマ装具が無料提供されます。

災害対策リーフレット


2018年7月3日火曜日

ポリトーゼカプセル・顆粒 販売中止と代替品





消化酵素製剤のポリトーゼカプセルとポリトーゼ顆粒が販売中止となるようです。

https://www.takedamed.com/content/medicine/newsdoc/180702politose.pdf

販売中止理由は「諸般の事情」のようです。

<経過措置期間>
2018 年 11 月~2019 年 3 月(予定)


ポリトーゼは武田薬品が独自に開発した耐酸性蛋白分解酵素ヒロダーゼを含む、でんぷん・脂肪・蛋白質の各種消化酵素を配合した総合消化酵素剤です。1967年に発売し、改良を重ね現配合処方製剤が誕生したのは1974年のことです。
暴飲暴食をしたり、にんにく、唐辛子など刺激の強い食品や脂肪の多い食品の食べすぎ、適量を超えたアルコールや炭酸飲料などによって、胃酸の分泌が乱れ、消化酵素を分泌するすい臓の働きも低下し、消化不良が起きたときなどに処方され、45年近く日本人の胃を守ってくれていました。

ポリトーゼは耐酸性消化酵素を配合した胃溶性顆粒と、膵臓消化酵素である濃厚パンクレアチンを腸溶性皮膜でコーティングした腸溶性顆粒に分けられています。胃溶性顆粒は胃内で作用し、腸溶性顆粒は胃内で分解されることなく腸内で作用するので、胃から腸までの消化管の広い領域で消化作用をあらわします。


ポリトーゼの代替品


消化酵素製剤の一覧表


ポリトーゼと同一成分の配合剤はありません。
消化酵素製剤であればどれを変わりに選んだとしても大差はないように考えられます。
あえて違いをいうなれば、繊維素を分解する酵素をポリトーゼは20mgと比較的多く配合しているので、その点に着目してみましょう。
そうすると、繊維素分解酵素を多く含む「フェンラーゼ」「ベリチーム」「タフマック」が代替候補に挙げられます。

ちなみに
第2回NDBオープンデータ(平成27年4月~平成28年3月診療分)によると、外来でよく処方されている健胃消化剤のトップ20は以下のとおりです。
生薬配合剤も含まれていますが「ベリチーム」がよく使われているようです。

ベリチーム配合顆粒
エクセラーゼ配合カプセル
タフマックE配合カプセル
リパクレオンカプセル150mg
エクセラーゼ配合錠
S・M配合散
つくしA・M配合散
リパクレオン顆粒300mg分包
マックターゼ配合錠
ピーマーゲン配合散
アリーゼS配合錠
エクセラーゼ配合顆粒
FK配合散
タフマックE配合顆粒
フェンラーゼ配合カプセル
KM散
M・M配合散
オーネスSP配合カプセル
ポリトーゼカプセル
オーネスST配合錠




ランサップ 400・800、ランピオンパック販売中止と代替品




ヘリコバクター・ピロリ除菌薬の
「ランサップ 400・800」「ランピオンパック」が販売中止となるようです。

https://www.takedamed.com/content/medicine/newsdoc/180702LANLPN.pdf

<経過措置期間>
2018 年 11 月~2019 年 3 月(予定)

販売中止理由は「諸般の事情」とされています。


ヘリコバクター・ピロリ除菌治療には、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの2つの抗菌薬と胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプインヒビター(PPI)の3つの薬剤が用いられます。また、一次除菌療法による除菌治療が不成功の場合には二次除菌療法として、PPIとアモキシシリン水和物及びメトロニダゾールという組み合わせの3剤併用療法が行われます。

3種類の薬剤を併用するにあたりどうしても飲み忘れや、服薬が面倒になったりしてきます。それでは、除菌がうまくいかず、そればかりか耐性菌の出現等の問題につながるおそれがあります。そこで服薬利便性の向上を目指し、ヘリコバクター・ピロリ感染症に対する除菌療法がより正確に実施されるよう、1 日服用分の薬剤を 1 シートにまとめた組み合わせ製剤であるランサップやランピオンが登場しました。ランサップが2002年、ランピオンが2010年のことです。

ランサップの形状
ランサップはタケプロンカプセル 30 の 1 カプセル、アモリンカプセル 250 の 3 カプセル及びクラリス錠 200 の 1 錠又は 2 錠を組み合わせたものを 1 組とし、1 日服用分(1 日 2 回、朝、夕服用)の薬剤を 1 シートにまとめています。

ランピオンパックの形状
ランピオンパックはタケプロンカプセル 30の 1カプセル、アモリンカプセル 250の 3カプセル及びフラジール内服錠250mgの1錠を組み合わせたものを1組とし、1日服用分(1日2回、朝、夕服用)の薬剤を1シートにまとめています。



ランサップ、ランピオンの代替品


それぞれ、ボノサップとボノピオンが代替品として勧められます。
ランサップやランピオンにまとめられている胃酸の分泌を抑える薬剤であるタケプロンがタケキャブになったものがボノサップとボノピオンです。
タケキャブの酸分泌抑制効果はタケプロンより強力で、除菌効果も大きく凌駕する結果が出ています。

また、
タケプロンがパリエット(ラベプラゾールナトリウム錠)になったラベキュアやラベファインも代替候補です。
第2回NDBオープンデータ(平成27年4月~平成28年3月診療分)によると、ラベキュア400が外来院外処方で一番処方されているピロリ菌パック製剤です。

関連:
ボノサップパック400と800のちがいとランサップ
http://www.ygken.com/2016/06/400800.html


ピロリ菌やばい
Posted with Amakuri at 2018.7.3
堀江貴文
ゴマブックス株式会社