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2018年2月2日金曜日

レキサルティとエビリファイの受容体結合親和性のちがい




新しい統合失調症治療薬である
2018年1月ブレクスピプラゾール(レキサルティ)が承認されました。
https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/20180119_1_1.pdf

2018年4月頃薬価収載される予定です。

レキサルティはアリピプラゾール(エビリファイ)と同じくドパミンD2受容体に対し部分作動薬としてはたらきます。

部分作動薬(パーシャルアゴニスト)とは、受容体に対しフタをして遮断するけども少しだけ刺激もする、とてもユニークな作用です。

エビリファイ インタビューフォーム

ドパミンD2受容体に対しては同様の作用を示すこの2つの薬の違いを見ていきたいと思います。


レキサルティは5-HT1A 受容体の部分作動薬としてはたらく


ドパミンD2受容体以外への受容体プロファイルが異なります。




エビリファイはD2受容体の部分作動薬であり、5-HT2/5-HT1A受容体のアンタゴニストです。

レキサルティは、D2受容体および5-HT1A 受容体の部分作動薬であり、5-HT2A 受容体に対しアンタゴニストとして作用します。

5-HT1A受容体への刺激作用は統合失調症における陰性症状・認知機能を改善 うつ・不安症状の改善に期待ができます。さらにD2受容体遮断による錐体外路症状の副作用発現の軽減も期待できます。

さらにレキサルティは5-HT2A 受容体に対し高い親和性を持つため、陰性症状や睡眠の質の改善が期待でき、D2受容体遮断による錐体外路症状やプロラクチン上昇の副作用軽減も図れます。

また、α1受容体やH1受容体に対しても親和性が高いのが特徴です。鎮静効果が期待できます(過度の鎮静には注意が必要です)。


レキサルティはエビリファイより不眠が起きにくい


添付文書に記載されている副作用発現率の「不眠」をみてみると、エビリファイは27.1%、レキサルティは5.7%でした。

この違いは、上記の受容体プロファイルで推測ができます。エビリファイにはα受容体やH1受容体に対する親和性が高くなく鎮静作用が弱いのですが、レキサルティではα受容体やH1受容体への親和性が高いことが影響しているのかもしれません。
さらに、レキサルティは睡眠に関連する5-HT2A 受容体に対して親和性が高いことに加え、体内時計(サーカディアンリズム)に影響を及ぼし睡眠に関連すると考えられている5-HT7受容体にも親和性が高いのも関係があるのかもしれません。


まとめ
・受容体プロファイルや親和性が異なる
・5-HT1A 受容体に対しレキサルティは部分作動薬、エビリファイはアンタゴニスト
・レキサルティは5-HT2A 受容体に対する親和性が高め
・レキサルティはα受容体に対する親和性が高め
・レキサルティはエビリファイに比べ不眠や神経過敏が少ない