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2017年12月22日金曜日

医療用でも小さい浣腸はありますか?





医療用のディスポーザブルの浣腸といえば
写真のようなものが思い浮かびますよね。




上の写真は小児用の30mLタイプですがノズルが約9cmあります。(全長18cm)
これでも小さい方ですが・・・

患者さんによっては、イチジク浣腸のような小さいタイプのものはないかと希望されることがあります。


ノズルの短いものはないのかというと、実はあります。

それは『ケンエーG浣腸液』のSタイプです。
http://www.kenei-pharm.com/medical/products/2942/


ただ、メリットは小さいというだけで、アコーディオン方式をとっているLタイプに比べると薬液を押し出しにくく、逆流防止機構も備わっていないのでうまく注入するにはテクニックが必要です。



グリセリン浣腸の作用機序


便秘では便の体積が小さいことと、便が硬いことで排便が難しくなっていることが多いと考えられています。
そこで浣腸により液体を注入して直腸内部の体積を強制的に増加させて排出を容易にします。
硬さについては、浣腸液自体は液体なので硬さはなく非常に排出しやすいため浣腸液が一度に大量に排出される際、便も道連れににして一緒に出てくる仕組みです。
また、注入された浣腸液によって、便がふやけ若干膨張して柔らかくなります。グリセリン自体は中性脂肪の構成成分でもあり体内にも存在する物質なので無害です。さらにグリセリンは潤滑剤としても働き、便の滑りを良くするだけでなく直腸を刺激して蠕動運動を誘発します。
このように様々な機序で、坐薬以上に即効性かつ意図したタイミングで排便を催すことが可能です。

グリセリン浣腸を使用するときの注意点


まず、以下のいずれかに該当する場合は使用できません。
腸管内出血、腹腔内炎症のある患者、腸管に穿孔又はそのおそれがある。
全身衰弱の強い。
下部消化管術直後。
吐気、嘔吐又は激しい腹痛等、急性腹症が疑われる場合。

浣腸を使用する際の体勢には注意が必要です。
ゼッタイに立ったままでは浣腸をしてはいけません。
何故かと言うと、立ったままで浣腸のノズルを挿入すると直腸の腸壁を傷つけ炎症を起こしたり、孔が空いたりするからです。さらにそこからグリセリンが吸収されると、溶血や腎不全の恐れがあるため大変危険です。

ノズル挿入時のコツを紹介します。
まず、左を下にして横になります。挿入するときには浣腸の中身を少し出しノズルの先端を濡らしておくとスムースです。
挿入角度は、肛門から続く直腸はお腹側ではなく、頭部・背中側へ向かっているので、挿入も頭部・背中側へ向けるイメージで行います。
引っかかる感じがしてうまく挿入できないときは無理押しせずに少し引き戻し挿入の向きを再調整しましょう。抵抗があるのに無理に押すと、腸壁を傷つける可能性があります。

注入速度の目安は10秒あたり30mL程度のペースです。
注入後は動き回らず、寝転んだままでいましょう。特に注入量が多い場合(30mL 以上)には左を下にするか、うつ伏せが良いでしょう。そうすることで大腸の奥まで薬液が届きやすくなります。

浣腸液の温度にも注意が必要です。
温度が高い(43℃以上)と炎症を起こしてしまいます。つまり、やけどのようなものです。
では、温度が低いのはどうなのでしょうか。排便誘発の観点から考えると冷たいことは必ずしも悪いとはいえません。
冷たい浣腸液を注入すると刺激で腸の強い収縮が誘発され、痛みや気分不快感の原因になります。また浣腸液が十分深部に到達しないうちに便意が我慢できなくなってしまう可能性があります。
このため、浣腸を36~40℃程度にあたためておくと刺激が少なくてすみます。
直腸通過遅延型便秘で、浣腸の反応が悪い場合は温めないほうが反応が良い場合があります。

2017年12月21日木曜日

ホモクロミン錠 販売中止と代替品




ホモクロミンが販売中止となるようです。
(メーカーからの正式な販売中止のお知らせは2018年2月頃)
https://medical.eisai.jp/news/products/pdf/KK1360AKI.pdf

2018年4月販売中止。
経過措置期間満了日は2019年3月31日(予定)


ホモクロミン錠はホモクロルシクリジン塩酸塩を有効成分とする抗ヒスタミン剤として皮膚疾患に伴う瘙痒(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症、薬疹、中毒疹、小児ストロフルス)、じん麻疹、アレルギー性鼻炎に使用されるお薬です。
1965年9月に販売を開始されました。

ホモクロミン錠は、ヒスタミン、セロトニン、アセチルコリンなどの炎症を起こす物質に拮抗するのみでなく、ブラジキニンや遅延反応物質(SRS-A)にも拮抗することが立証され、抗ブラジキニン作用を有する抗ヒスタミン剤として用いられていました。

眠気や喉の渇きなどの副作用が少ないアレグラなどの第二世代抗ヒスタミン薬の登場により、ホモクロミンが活躍する機会は減ってきていました。
しかし、特徴的な抗ブラジキニン作用を利用してダンピング症候群の対症療法薬として、本来の使い方ではないですが細々と使われてきていました。

ダンピング症候群とは胃の手術を受けた人におこる食後の不快な症状をいいます。
食後に不快な症状がおこるのは、切った胃の吻合部から空腸に食物が急速に落ちていく(ダンプする)のが原因と考えられるので、ダンピング症候群と名づけられています。
不快な症状が食後30分以内におこる場合に、早期ダンピング症候群といいます。
全身のだるさ、冷や汗、頻脈、めまいなどの全身症状と、腹痛、腹鳴、下痢、嘔気・嘔吐などの消化器症状がおこります。

急激な腸管の拡張・消化管ホルモン(セロトニン・ブラジキニン・ヒスタミンなど血管作動性物質)の放出・細胞外液から腸管内へ水分が移動することによる循環血漿量の低下が原因とされています。
そのため対症療法的にこれらの血管作動性物質に対し食前に抗ヒスタミン・抗ブラジキニン作用をもつ薬剤などが投与されるというわけです。

ホモクロミンは抗セロトニン、抗ブラジキニン、抗ヒスタミン作用すべて持つパーフェクト薬剤でした。


ホモクロミンの代替品


後発品がいくつかあります。

  • ヒスタリジン錠10mg
  • パルファード錠10mg
  • ホモクロルシクリジン塩酸塩錠10mg「NP」
  • ホモクロルシクリジン塩酸塩錠10mg「ツルハラ」


他の成分で同じ効能を持つ代表薬は以下のとおりです。

  • ポララミン
  • アリメジン
  • アレロック
  • レスタミンコーワ
  • ペリアクチン
  • ヒベルナ
  • ピレチア
  • タリオン
  • ゼスラン
  • ニポラジン
  • ゼスラン
  • ニポラジン


なおペリアクチンは抗ヒスタミン・抗セロトニン作用をもつので
早期ダンピング症候群で使用することがあります。

2017年12月15日金曜日

ライボミンS注射液 販売中止と代替品 





ライボミンS注射液が販売中止となるようです。
http://med.toaeiyo.co.jp/products/information/notice/sale1710.pdf

2018年4月販売中止。
経過措置期間満了日は2019年3月31日(予定)

ライボミンS注射液はフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(FAD)とピリドキサールリン酸エステル水和物を配合した注射剤です。
1966年から販売されていました。

FADはビタミンB2、ピリドキサールリン酸エステル水和物はビタミンB6として知られています。
ビタミンB2とビタミンB6を同時に投与できる薬剤でビタミン B2 及びビタミン B6 の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される湿疹・皮膚炎群、口内炎等に対して使用されていました。


ライボミンS注射液の代替品


ライボミンS注射液と同じようなビタミンB2とビタミンB6を配合した注射剤は存在しなくなりました。

代替品としては
ビタミンB2単剤である
フラビタン注、

または

ビタミンB2およびビタミンB6のほか4種のビタミンを含む
シーパラ注
が考えられます。


強力ビスラーゼ末 販売中止と代替品





強力ビスラーゼ末1%が販売中止となるようです。
http://med.toaeiyo.co.jp/products/information/notice/sale1710.pdf

2018年4月販売中止。
経過措置期間満了日は2019年3月31日(予定)

強力ビスラーゼ末はリボフラビンを有効成分とする内服剤です。
1954年から販売されていました。

リボフラビンはビタミンB2として知られています。
リボフラビンは小腸・肝臓でリン酸化され FMN(Flavin mononucleotide・リン酸リボフラビン)となり、さらに大部分は ATP の作用により FAD(Flavin adenine dinucleotide)まで合成されます。体内ではこのFADの形で存在して栄養素の代謝に関わっています。
成長促進・皮膚や粘膜の保護といった働きもあり、不足すると成長障害・脂漏性皮膚炎・口内炎などを引き起こすことが知られています 。

強力ビスラーゼ末は以下の症状が見られるとき用いられます。
1.ビタミンB2欠乏症の予防及び治療
2.消耗性疾患、妊産婦、授乳婦、激しい肉体労働など、ビタミンB2の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給
3.次の疾患のうち、ビタミンB2の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・口角炎、口唇炎、舌炎 
・肛門周囲及び陰部びらん
・急性、慢性湿疹、脂漏性湿疹
・ペラグラ
・尋常性座瘡
・日光皮膚炎
・結膜炎
・びまん性表皮角膜炎

しかし、飽食の時代、簡単に食物から摂取できるため、必ずこの薬を必要とするケースはまずありません。


強力ビスラーゼ末の代替品


強力ビスラーゼ末と同一成分のリボフラビンを成分とする薬剤は存在しません。

代替品としては
フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(FAD)の飲み薬である
フラビタンなどが考えられます。

リボフラビンは吸収されると、最終的にフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(FAD)となり体内で働くので同じことですね。
さらに、リボフラビンからFADへの生合成過程に障害が起こるとリボフラビンの投与では十分な効果が得られないことがありますが、FAD の投与ではそのような場合にも有用と考えられます。

フラビタンには錠剤以外にも
さわやかな甘味とオレンジの風味のシロップ剤もあります。



2017年12月14日木曜日

ナイクリン 販売中止と代替品





ナイクリン錠50mg/ナイクリン散10%が販売中止となるようです。
http://med.toaeiyo.co.jp/products/information/notice/sale1710.pdf

2018年4月販売中止。
経過措置期間満了日は2019年3月31日(予定)

ナイクリンはニコチン酸を有効成分とする内服剤です。
ニコチン酸は、ほとんどがニコチン酸アミドの形で、広く動植物に分布しています。また、その大部分は、細胞内でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)に変換され、様々な酸化還元酵素の補酵素として機能しています。

ナイクリンはニコチン酸欠乏症の予防及び治療(ペラグラなど)、ニコチン酸の需要が増大し食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時など)や、ニコチン酸の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される口角炎、口内炎、舌炎、接触皮膚炎、急・慢性湿疹、光線過敏性皮膚炎、メニエル症候群、末梢循環障害(レイノー病、四肢冷感、凍瘡、凍傷)、耳鳴、難聴に使用されます。

ニコチン酸はビタミンB3(ナイアシン)の一つです。
ナイアシンは食品からの摂取以外に、生体内で必須アミノ酸のトリプトファンから生合成することができ、この飽食の時代、不足するようなことはまずありません。
魚や肉、きのこ類に多く含まれています。


ナイクリンの代替品


ナイクリンと同一成分のニコチン酸を成分とする薬剤は存在しません。

代替品としては
ニコチン酸アミド散10%「ゾンネ」が
考えられます。

ニコチン酸は肝臓に取り込まれた後、ニコチン酸アミドに変換され、各組織に放出されるのですから、ニコチン酸アミドとして摂っても同じことですね。

卵アレルギーでもインフルエンザワクチンを接種できますか?





日本で接種されるインフルエンザワクチンはニワトリの卵を使って増殖させたインフルエンザウイルスを原材料として製造されています。
したがって、鶏卵アレルギーの人は接種を受ける際には注意が必要です。
近年はワクチンが高度に精製されているので、鶏卵由来成分の残存は極微量です。しかし、これによるアレルギー症状が稀に起こることがあります。

医師はインフルエンザに罹った場合のリスクと鶏卵アレルギーの程度によりワクチン接種に伴う副反応とのバランスを考慮し、接種を判断します。


卵を原料に使っていないインフルエンザワクチンはないのか?


日本で承認・製造されている季節性インフルエンザワクチンは鶏卵による培養で作成したワクチンしかありません。(2017年時点)

海外に目を向けてみると、卵を使わな季節性インフルエンザワクチンが使用されています。
その1例として、アメリカの『FLUCELVAX QUADRIVALENT』を紹介します。


FLUCELVAX QUADRIVALENTとは


FLUCELVAX QUADRIVALENTは鶏卵培養ではなくMDCK細胞(イヌの腎臓尿細管上皮細胞)等を用いた「細胞培養」技術によって作られた4価インフルエンザワクチンです。

もともとFLUCELVAXは製薬メーカーのノバルティスによって、アメリカ食品医薬品局 (FDA) の承認を受け、現在ではCSLベーリング傘下のSeqirusが販売しています。

このワクチンは4歳以上から接種可能です。
4歳から8歳までには1回0.5mLを1~2回投与します。2回投与する場合は1回目から4週間間隔をあけます。
9歳以上には0.5mLを1回投与します。

副作用としては接種部の痛み‐発赤・頭痛・疲労感があるようですが、鶏卵ワクチンと同程度です。

包装は0.5mLのシングルドーズシリンジと5mLのバイアルがあります。

FLUCELVAX QUADRIVALENT添付文書
https://www.fda.gov/downloads/BiologicsBloodVaccines/Vaccines/ApprovedProducts/UCM502899.pdf

FLUCELVAXを日本で接種するためには、個人輸入による方法しかありませんが、、医薬品等の個人輸入については、通常、メリットよりも危険性(リスク)のほうが大きい場合が多いと考えられます。
そうした外国製品によって不利益を被るのは、それを購入・使用するあなた自身や、あなたの家族であることに留意して下さい。

医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html
医師・歯科医師による医薬品等の個人輸入について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/0104/dl/tp0401-1c.pdf

2017年12月8日金曜日

「後発医薬品がある先発医薬品」に変わるタイミング2017年12月




2017年12月8日後発品の薬価収載がありました。

各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報が更新され、後発医薬品の数量シェア(置換え率)に影響があります。

「後発医薬品がない先発医薬品」が後発品の登場により「後発医薬品がある先発医薬品」に変わるタイミングは、商品によって違ってきます。
(基本的には発売月の翌月1日から)

切り替わるタイミングに関しては、厚生労働省の
「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報」5.その他(各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報)の備考欄に記載されています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2016/04/tp20160401-01.html



2018年1月1日から「後発医薬品がある先発医薬品」に変更


ルプラック錠4mg
ルプラック錠8mg
アバプロ錠50mg
イルベタン錠50mg
アバプロ錠100mg
イルベタン錠100mg
アバプロ錠200mg
イルベタン錠200mg
ディフェリンゲル0.1%
テモダールカプセル20mg
テモダールカプセル100mg
シプロキサン注400mg
ファムビル錠250mg


2018年4月1日から「後発医薬品がある先発医薬品」に変更


レキップCR錠2mg
レキップCR錠8mg
タリオン錠5mg
タリオン錠10mg
タリオンOD錠5mg
タリオンOD錠10mg
グレースビット錠50mg


テラジアパスタの販売中止と代替品




テラジアパスタ5%が販売中止となるようです。
https://www.medicallibrary-dsc.info/announce/other/pdf-data/2017/1710stop_thr_oin5.pdf

販売中止時期2018年3月
経過措置期間2019年3月末まで(予定)

テラジアパスタはサルファ剤のスルファジアジン(sulfadiazine)を水溶性軟膏基剤マクロゴールに配合した皮膚疾患用外用剤です。
発売は1953年です。65年の節目に販売中止となります。

テラジアパスタは皮膚の表在性化膿性疾患や褥瘡の感染制御に用いられています。
皮膚表在性化膿性疾患の大部分は黄色ブドウ球菌が原因であるため、これに感受性の強いスルファジアジンを含むテラジアパスタが主流でした。

しかし、耐性菌の出現、過敏症の発現頻度が高いなどの理由で、最近では外用抗菌薬にその座を奪われてしまいました。このような使用頻度の低下が販売中止の理由と考えられます。


テラジアパスタの代替品


褥瘡の感染制御に使用している場合注意が必要です。
同じ感染制御に用いスルファジアジンを含む『ゲーベンクリーム』を選択しがちですが、基剤が異なるため創面の湿潤環境によっては不適切な場合があります。

吸水性基剤であるテラジアパスタは慢性潰瘍の初期で滲出液が多い場合に用いられます。一方、保水性基剤であるゲーベンクリームは水分含有率が高いため乾燥した創に適しています。

テラジアパスタを使用するような褥瘡であれば、吸水性基剤かつ感染制御に優れたものとして『カデックス軟膏』や『ユーパスタコーワ軟膏』が代替候補となります。

褥瘡治療に使う外用剤:目的と基剤
参考:褥瘡治療に使用する外用剤
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/74/2/74_128/_pdf

皮膚の表在性化膿性疾患に使用している場合
外用抗菌薬が代替として考えられます。

テトラサイクリン系

  • アクロマイシン軟膏
  • テラマイシン軟膏


アミノグリコシド系

  • ゲンタシン軟膏
  • バラマイシン軟膏


クロラムフェニコール

  • クロロマイセチン軟膏


フシジン酸ナトリウム

  • フシジンレオ軟膏


ニューキノロン系

  • アクアチム軟膏1%/クリーム1%
  • ゼビアックスローション2%


ただし、上記抗菌薬も耐性菌の出現が問題になっています。
そのため抗菌薬は全身療法にとどめるべきで、外用に対しては否定的な意見もあります。

2017年12月7日木曜日

骨粗鬆症の薬でカルシウムが減るの?




骨粗鬆症の薬の副作用に『低カルシウム血症』があります。
骨を強くする薬なのになんでカルシウムが低くなるのか?と疑問に思われるかもしれません。

骨粗鬆症は骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。

骨は絶えず古い骨から新しい骨に生まれ変わる新陳代謝をして、コツコツ作り変えられています。
新しい骨を作る細胞を骨芽細胞、古い骨を壊す細胞を破骨細胞といいます。
骨芽細胞は食べ物などから吸収されたカルシウムをもとに骨を作ります。
破骨細胞は古い骨を壊してカルシウムを血液中に供給しています。




骨粗鬆症の骨では骨を壊す破骨細胞が、骨を作る骨芽細胞より一生懸命働いてしまっているため、骨が壊されすぎている状態なのです。

骨粗鬆症の治療薬の多くはこの破骨細胞の働き過ぎを抑え、骨が壊されるのを防いでいます。

通常、血液中のカルシウムの量は減れば骨を壊して補っており、常に一定になるようにコントロールされています。
骨粗鬆症の薬を飲んでいると破骨細胞が働きにくい状態なので、骨からカルシウムを補いにくくなっています。
そのため『低カルシウム血症』になってしまう可能性があるのです。


骨粗鬆症の薬を飲む場合、低カルシウム血症を予防するために血液中のカルシウムを増やす働きのあるビタミンDを薬で補ったり、カルシウムの薬(デノタスチュアブル錠)などを処方されたりすることがあります。


低カルシウム血症の症状は以下のとおりです。
骨粗鬆症の薬を飲んでいる方でこれらの症状やいつもと違う症状を感じたときは薬剤師や医師にご相談ください。

  • 手足のふるえ
  • 筋肉の脱力感
  • けいれん
  • しびれ


2017年11月22日水曜日

サーカネッテン配合錠の販売中止と代替品




サーカネッテン配合錠が販売中止となるようです。

サーカネッテン配合錠 販売中止のご案内(日本新薬)
http://www.nippon-shinyaku.co.jp/official/medicine/news/20171120_sales_stop.pdf

経過措置期間2018年3月末日(見込)

サーカネッテン配合錠は飲む痔の薬です。
黒光りした錠剤が特徴的でした。

痔核の症状(出血、疼痛、腫れ、かゆみ)を和らげる成分のパラフレボンに便通をよくするための三種類の下剤(センナ末、イオウ、酒石酸水素カリウム)を少量ずつ配合した薬剤です。

1965年から50年以上日本人のお尻を守ってきました。

基本的に痔疾患の治療は坐剤や軟膏による局所療法であり、薬を減らそうという世の流れの中、内服の痔疾患治療薬は市場が縮小していくと考え販売中止の選択をとったのかもしれません。

NDBオープンデータ(平成27年度)では内服の痔疾用剤では第2位の使用量でした。
年間2千万錠近く処方されていた薬です。影響は小さくなさそうです。
ちなみに1位はヘモナーゼ配合錠でした。


サーカネッテン配合錠の代替品


サーカネッテン配合錠と同一の成分を配合した薬剤はありません。
つまり、サーカネッテンの特徴の、1錠で痔の炎症も抑えかつ便を柔らかくすることを期待できる薬は残念ながらなくなってしまいました。

サーカネッテン配合錠の代わりとなる肛門周囲の血流循環を改善し痔を小さくしたり炎症を抑えたりする飲み薬は以下のとおりです。

ヘモナーゼ配合錠
ブロメライン
トコフェロール酢酸エステル

ワルファリンなどの抗凝固剤の作用を増強することがあるためそれらと併用する際は注意が必要です。

タカベンス錠25mg
メリロートエキス
有効成分メリロートエキスは、マメ科の植物メリロート草の花、葉から抽出したエキスで毛細血管透過性亢進抑制作用、抗炎症作用があります。

ヘモクロンカプセル200mg
トリベノシド
循環障害改善作用、抗浮腫作用がります。
ワルファリン(クマリン系抗凝固剤)の作用を増強することがあるので注意が必要です。

ヘモリンガル舌下錠0.18mg
静脈血管叢エキス
有効成分は雑食動物の静脈叢を加水分解して得た乾燥エキスで、主成分はポリペプチド。
しかも舌下錠です。有効成分は口腔粘膜より吸収され、肝臓で代謝を受けずに直接痔疾患部へ到達するようです。

静脈血管叢エキスを成分とする一般用医薬品には
小林製薬の『ヘモリンド舌下錠』があります。


2017年11月7日火曜日

ケナログ口腔用軟膏 0.1%販売中止と代替品




ケナログ口腔用軟膏 0.1%が販売中止となるようです。

ケナログ口腔用軟膏 0.1% ケナログ A 口腔用軟膏 販売中止のご案内(ブリストル・マイヤーズ)
http://file.bmshealthcare.jp/bmshealthcare/pdf/info/News_KL1710.pdf

販売中止予定時期
2018 年 6 月
経過措置期間満了日(予定)
2019 年 3 月末日



ケナログ口腔用軟膏 0.1%はトリアムシノロンアセトニドを有効成分とする口内炎治療薬です。
トリアムシノロンアセトニドはプレドニゾロンの誘導体の一つで、9α位にフッ素、16α位に水酸基が置換された合成副腎皮質ホルモンです。
ケナログ口腔用軟膏とし1965年に輸入承認を得て翌年から発売開始されました。

ゼラチン、プルラン、カルメロースナトリウム、ゲル化炭化水素(ポリエチレン , 流動パラフィン)を混合した基剤を使用し、歯肉、口腔粘膜など湿潤創傷面を保護し、湿潤した粘膜面への優れた接着性を特徴としています。


2009年には一般用の「ケナログ A 口腔用軟膏」をスイッチOTCとして発売していました。

この度、医療用、一般用共に販売中止となりました。


ケナログ口腔用軟膏の代替品


同一成分では

  • オルテクサー口腔用軟膏0.1%

があります。

ステロイドの口腔用軟膏にはデキサメタゾン軟膏の

  • デキサルチン口腔用軟膏1mg/g
  • アフタゾロン口腔用軟膏0.1%
  • デルゾン口腔用軟膏0.1%

があります。


一般用医薬品で口内炎を効能効果とする
トリアムシノロンアセトニド製剤は以下のとおりです。

  • アフタガード
  • オノフェ口内炎軟膏
  • オルテクサー口腔用軟膏
  • オロファニック口腔用軟膏
  • クリアガード口腔用軟膏  
  • 口内炎軟膏大正クイックケア
  • トラフル軟膏PROクイック
  • ラウマー口内炎軟膏

厚労省「オンジ製剤は認知症の治療または予防に効果なし」





2017年10月31日厚生労働省はオンジ製剤について「認知症の予防や治療に対する効果は認められていない」と通知を出し注意喚起しました。

オンジ製剤には以下のような商品があります。

  • キオグッド(ロート製薬/森下仁丹)
  • 「クラシエ」オンジエキス顆粒(クラシエ)
  • ワスノン(小林製薬)
  • アレデル(クラシエ薬品)
  • キノウケア(日本薬師堂)
  • メモリーケア(大正製薬)


オンジ製剤の不適切広告事例の注意喚起


また、通知の中で、オンジ製剤の不適切広告事例について「厳に慎むこと」と注意喚起しています。

オンジ製剤「中年期以降の物忘れの改善」という効能効果は、これまでOTC漢方薬(イスクラ心脾顆粒、ウチダの帰脾湯)で認めてきた「健忘」と変わるものではなないということが明記されています。


以下の表現は効能・効果の範囲を超えると暗示させるため使用できません。

  • 「脳機能の活性化」
  • 「脳神経細胞の増加や再生」
  • 「脳全体が活性化する」
  • 「すでに忘れてしまった記憶をよみがえらせる」


インターネットや店頭POPなどで、このような表現を使用することは
医薬品医療機器等法第66条に抵触する恐れがありますので注意しましょう。

さらに
認知症の治療または予防に用いる医薬品ではない旨の記載の付記または標榜を必ず行うこと
と通知には明記されています。


【参考】
「一般用医薬品及び指定医薬部外品の広告基準等の見直し」について(平成29年6月22日
厚生労働省)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/iryou/20170622/170622iryou05.pdf


2017年11月2日木曜日

フェナゾックスカプセル 50mg販売中止と代替品




フェナゾックスカプセル 50mgが販売中止となるようです。

フェナゾックスⓇカプセル 50mg製造販売中止のご案内
http://www.meiji-seika-pharma.co.jp/medical/news/pdf/fenazox_20171002.pdf

最終出荷予定は2018 年 8 月頃です。

フェナゾックスカプセルはフェニル酢酸系NSAIDsのアンフェナクナトリウムを成分とする消炎鎮痛剤です。

アンフェナクナトリウムは米国 A.H.Robins 社によって創生されました。
明治製菓株式会社(現 Meiji Seika ファルマ株式会社)が国内における開発権を取得し1985年8月フェナゾックスカプセルとして販売を開始しました。

フェナゾックスカプセルはジクロフェナクナトリウム、インドメタシンに比べ、消化管障害作用は比較的弱いことが売りでした。
また最高血中濃度到達時間は30分でありジクロフェナクナトリウムの120分と比べ吸収が速く連続投与でも蓄積性のないことが特徴でした。

薬理試験ではアンフェナクナトリウムはジクロフェナクナトリウムよりも強い鎮痛効果を有することが認められていましたが、臨床ではジクロフェナクと同程度の効果という実感でした。

薬価もジクロフェナクやインドメタシンより高く、メーカも販売に力入れていないようで、あまり使用されていませんでした。


ちなみに、アンフェナクといえば誘導体のネパフェナクが点眼薬として使用されています。


フェナゾックスカプセルの代替品


同じフェニル酢酸系NSAIDsのジクロフェナク代替となります。

同効薬としてインドメタシン、ロキソプロフェンナトリウムやナプロキセンがあります。

2017年11月1日水曜日

トクレス スパンスルーカプセル販売中止と代替品





トクレス スパンスルーカプセルが販売中止となるようです。

トクレス®スパンスールカプセル30mg  販売中止予定のご案内(大日本住友製薬)
https://ds-pharma.jp/product/kaitei/pdf/hanbaityuusi/2017/toclase_src_tyushi_201711.pdf

2018年2月頃出荷終了予定とされています。
経過措置期間は不明です(2017年11月時点)。


トクレスは咳反射を抑制することで咳を抑える鎮咳薬として使用されていました。
成分であるペントキシベリンクエン酸塩は 1956 年ベルギーUCB 社で開発された鎮咳剤です。
日本では住友製薬(現 大日本住友製薬)が導入し、1963 年に「トクレス散」を発売しましたが、長時間有効性が持続する製剤の開発が望まれ、1967 年に徐放性製剤「トクレススパンスールカプセル」を発売しました。

発売50年の節目に、販売中止となりました。

トクレススパンスールカプセルは
緑のクリアカプセルと中身のツブツブが、ポップでキュートな感じが特徴です。
ツブツブが徐放性の正体なのですが、この徐放システムを『スパンスル』といいます。

スパンスルはコーティング層の厚さを変えて放出時間に差をもたせた顆粒が充填されたカプセル剤のことをいいます。

インテバンSPやヒポカカプセルもスパンスル型です。

特徴のある薬がなくなるのは寂しいですね。


トクレス スパンスルーカプセルの代替品


トクレスと全く同じ効能の鎮咳薬はありませんが、メーカーはアスベリンとメジコンを代替品として案内しています。

ちなみに第二回NDBオープンデータによると日本で一番処方されている鎮咳薬は『メジコン15mg』でした。



カンジダ膣炎の治療に使う膣錠には何があるの?使い方は?



アデスタン膣錠 供給遅延(2018年10月)
https://pharma-navi.bayer.jp/omr/online/notice_info/ADG_PNS_201810020_1538024103.pdf
エンペシド腟錠が一時供給停止となったようです。(2017年11月)
http://pharma-navi.bayer.jp/omr/online/notice_info/EMP100mg_171018_1508466692.pdf


カンジダ腟炎は
カンジダという真菌(カビ)の仲間によっておきる腟炎のことです。
カンジダ自体は消化管や皮膚などにいつもいる菌なので、カンジダがいただけではカンジダ症とは診断できません。症状があってはじめてカンジダ症ということができます。

症状はカッテージチーズのような下り物や酒粕のような下り物がみられ、強いかゆみがあることです。人によっては痛痒いこともあります。


カンジダ膣炎の治療では抗真菌薬の腟錠を使用します。



1日に1錠挿入し6日間続ける腟錠と、
1週間に1錠挿入するタイプがあります。
1週間後効果の確認を行い症状が軽快していない場合にさらに追加できます。

基本的には1日1回タイプを使用しますが、通院困難な場合には週1回投与のものを使います。治療効果は1日1回タイプのほうが優れているとされています。

膣内にうまく挿入できないと途中で落下してしまうケースも有り、週1回投与の場合には十分な効果が発揮できないこともあります。


膣剤の正しい投与の方法


手をきれいに洗い、しゃがんで腟錠を指先で、膣のできるだけ奥の方に挿入します。
陰部も清潔で手もキレイになっている入浴後に投与するのがおすすめです。



挿入が浅いと落ちてきてしまうことがあるので、指の第二関節くらい挿入しましょう。
からだに力が入っていると挿入しづらくなることがあるのでリラックスした状態で行いましょう。



2017年10月31日火曜日

エタンブトール錠の一包化





エサンブトールは高湿度条件では脆くなってしまうので一包化の際には注意が必要です。

イスコチン錠100mg   4錠
リファンピシンカプセル150mg   3カプセル
エサンブトール錠250mg 3錠
1日1回朝食後服用       28日分
(一包化指示)

上記処方は、結核治療でよくみかける組み合わせですね。
結核の治療では上記抗結核薬を通常6ヶ月間飲み続けます。
その間、飲み忘れたりに服薬を中止してしまうと、治らないどころか薬剤耐性菌が生じることがあり治療が困難・もしくは不可能となることがあります。
決められた期間忘れずに飲み続けてもらうための工夫として一包化されることがほとんどです。

いずれの薬剤もバラ包装があるので、一包化してもよさそうなのですが、エサンブトール錠には注意しましょう。


エサンブトール錠は温度25℃、湿度75%の条件において
無包装状態では硬度が低下します

2週間後では約50%
1ヶ月後では約30%

脆くなってしまうため、錠剤が崩れてしまうことがあります。
粉砕時の安定性データでは2週間までなら含量低下問題ないとされていますが、
崩れてしまうと錠剤のフィルムコートが剥がれ苦味が強く出てしまいます。

エサンブトールの一包化の際には、除湿剤の入れたタッパーに保管するなど湿度に注意しましょう。


2017年10月11日水曜日

潰瘍性大腸炎とクローン病の違い




潰瘍性大腸炎もクローン病も原因不明の寛解と再燃を繰り返す消化管疾患である炎症性腸疾患です。
両疾患とも厚生労働省の指定難病とされています。近年では、潰瘍性大腸炎16万人、クローン病4万人と増加の一途をたどっています。難病とはいえ稀な病気ではありません。

この潰瘍性大腸炎とクローン病は似たような症状と、治療に使う薬も似ているため違いがよくわからないという声を聞きます。

簡単ですが、潰瘍性大腸炎とクローン病の違いをまとめてみました。

参考:
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班)平成28年度分担研究報告書 別冊
潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 平成28年度改訂版



炎症範囲が違う

潰瘍性大腸炎
主に大腸に炎症がおきます。大腸の粘膜に炎症が起きます。

クローン病
口から肛門の全消化管に炎症がおきます。
消化管全層に炎症が起きます。


病態

潰瘍性大腸炎
びらんや潰瘍を形成

クローン病
肉芽腫性炎症・縦走潰瘍や敷石像などの特徴的な腸病変
腸管狭窄や瘻孔


好発年齢が違う

潰瘍性大腸炎
20代から30代
近年は中高年層にも多発

クローン病
10代から20代


症状がちがう

腹痛や発熱は同じですが

潰瘍性大腸炎
ケチャップのような血便
持続性または反復性の粘血便・血性下痢

クローン病
下痢、体重減少
腸閉塞、腸瘻孔(内瘻、外瘻)、腸穿孔。


治療法が少し違う

5-ASA製剤、ステロイド、抗TNF-α抗体、免疫調節薬を病態や重症度に合わせて使い分けて、炎症を抑えた状態を維持する治療法は両疾患とも同じです。

クローン病ではエレンタールやツインラインなどを用いた栄養療法を併用することがあります。

クローン病のみ適応を持つ薬剤(2017年10月時点)
  • ステラーラ点滴静注130mg
  • ステラーラ皮下注45mgシリンジ
  • ゼンタコートカプセル3mg


クローン病の診療ガイド
Posted with Amakuri
日本炎症性腸疾患協会
文光堂

2017年10月10日火曜日

ポステリザン軟膏 販売中止と代替品




ポステリザン軟膏が販売中止となるようです。
https://www.maruho.co.jp/medical/pdf/products/posterisan/news/1709posterisan_an.pdf

2017年12月末出荷停止予定。
経過措置期間は2018年3月31日まで(予定)

ポステリザン軟膏は大腸菌死菌浮遊液を有効成分とする痔の薬(塗り薬)です。
大腸菌死菌浮遊液は白血球遊走能を高めることにより局所感染防御作用を示し、また肉芽形成促進作用による創傷治癒促進作用を示すことから、急性・慢性痔疾の治療と予防に有効であることが証明されています。

ドイツのドクトル・カーデ製薬会社が創製し、1922年ポステリザン軟膏及びポステリザン坐薬を発売しました。
日本ではマルホ株式会社が 1953年8月(昭和28年8月)にポステリザン軟膏の販売を開始し、2017年に販売中止となる64年間、日本人のお尻を守ってきました。

ポステリザンには抗炎症作用を持つステロイドであるヒドロコルチゾンを配合した強力ポステリザン(軟膏)とポステリザンF坐薬がありますが、こちらは販売継続するそうです。
強力ポステリザン軟膏は痔疾患用外用剤のなかで日本で一番売れているわけですから当然ですね。

ポステリザンF座薬は2020年販売中止

ポステリザン軟膏の良さは


他の痔疾患用外用剤にはない処方のシンプルさです。
ポステリザン軟膏は大腸菌死菌浮遊液のみを成分としています。
他の痔疾患用外用剤はステロイドや局所麻酔剤のリドカインなど、数種類の成分の配合剤です。
ステロイドやリドカインを使いたくない人で、とりあえずなんか処方しておきたいときなどに重宝していました。
薬価の安さと、毒にも薬にもならない安心さで根強い人気のある薬でした。

基剤の精製ラノリン、白色ワセリンだけでも十分効果ありそうなんですけどね。


ポステリザン軟膏の代替品


大腸菌死菌浮遊液のみを成分とする薬はありません。

大腸菌死菌浮遊液+ステロイド

  • 強力ポステリザン(軟膏)
  • ポステリザンF坐薬


ステロイドは嫌だなぁという方には

  • 白色ワセリン


白色ワセリンには感染防御作用はありませんが肉芽形成促進作用はあります。


ソルファ錠 販売中止と代替品





喘息 ・ アレルギー性鼻炎治療剤のソルファ錠が販売中止となるようです。
https://www.takedamed.com/content/medicine/newsdoc/170925solfa_1.pdf
.
<経過措置期間>
2018 年 3 月~2019 年 3 月(予定)

ソルファ錠の有効成分であるアンレキサノクスは抗アレルギー作用を持つアザキサントン誘導体として、生薬の「黄芩(コガネバナの根)」の一成分であるバイカレインが元になっている化合物です。
生薬の成分がもとになっているリード化合物として薬剤師国家試験でも登場する基本的な薬です。

ソルファ(アンレキサノクス)は ヒスタミン遊離抑制作用及 びロイコトリエン生成抑制作用、 抗ロイコトリエン作用をあわせもち、しかも抗ヒスタミン作用はなく、I型およびⅢ型アレルギー反応を抑制することが認められています。


1987年6月ソルファ50mg錠が喘息治療薬として承認されました。
そして1989年9月アレルギー性鼻炎の効能・効果を追加するとともに、25mg錠も承認されました。

しかし、
喘息治療は経口剤から吸入外用剤へシフトし、アレルギー鼻炎治療は第二世代抗ヒスタミン薬の登場により、その処方数は減少していました。
そして2017年9月販売中止となりました。

ソルファの名前の由来は
英語で solfaとは書き「ドレミファ音階で歌う」という意味で、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の症状が改善され、爽快な気分になり歌も歌いたくなることを願う、
という、今では考えられないとてもオシャレなネーミングでした。


ソルファの代替品


ヒスタミン遊離抑制作用はありませんが
ロイコトリエン拮抗剤が代替品の候補となります。

  • オノン
  • シングレア
  • キプレス




潰瘍性大腸炎治療剤 レクタブル2mg注腸フォーム




レクタブル2mg注腸フォームは泡状にして直腸・S状結腸患部に注入する薬剤です。

「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(第3回)」において、「ブデソニドの早期承認を求めるIBD患者会(全国のIBD患者会27団体)」から早期開発要望が出されていたお薬です。

患者さんからの期待度も高い薬剤がようやく日本でも使えるようになります。
収載予定は2017年11月です。
2017年12月7日発売予定


レクタブル2mg注腸フォームの大きな特徴は3つあります。

①泡状であること
②ブデソニドが有効成分
③かさばらない


①泡状であること

泡が直腸~S状結腸までひろがり、とどまることで、漏れにくく、立ったままで投与できるのがレクタブルのメリットです。
既存のステロイド注腸剤(ステロネマ・プレドネマ)は挿入が甘かったりすると投与後に液漏れてしまい、手が汚れるなど手技が難しいということがありました。
また、投与後に薬液が腸壁へ行き渡るようにするため寝転んでうつ伏せや横向きに体位をかえなければならず、外出先での投与がしづらいものでした。

レクタブルは泡状なので液垂れを起こす心配も少なく、立ったままでも投与できるので外出先でも安心して投与できます。
http://www.kissei.co.jp/


②ブデソニドが有効成分

ブデソニドは他のステロイド剤に比べて高い受容体結合親和性をもちますが、速やかに肝臓で代謝されます。実際、ブデソニドのバイオアベイラビリティは約16%と推察され比較的全身への曝露が少ないステロイドだと言われています。
ステロイドによる全身性副作用のリスクが抑えられると考えられています。
経口ブデソニド(ゼンタコートカプセル)はすでに「軽症から中等症の活動期クローン病」の適応で使用されています。
ちなみにブデソニドは喘息治療剤のシムビコートに使われているステロイドです。


③かさばらない

レクタブルは1本で1週間分です。肛門に挿入するアプリケーターを毎回交換します。

既存薬ですと、1ヶ月分の場合、スーパーのビニール袋いっぱいになるほど持って帰ることになります。レクタブルの場合ですと小さな缶を4本なので、かさがかなり減ります。外出時の持ち運びも便利です
(2018年12月までは一度の処方に2本まで)


その他の注意


●容器の中には14回(7日)分よりたくさんのお薬が入っていますが、14回使用したら、薬液が残っていても新しい容器に交換してください。

●廃棄方法|
廃棄する前にまず、トイレや洗面所などにアルミ製容器に残った薬剤をできる限り出し切ってください。出し切る前にアルミ製容器に穴を開けないでください。
その後、地方自治体により定められたアルミ製容器の廃棄ルールに従って捨ててください。

●アルミ製容器は横にせず、立てた状態で保管してください。

●使用前にアルミ製容器を手で温めてください。
冷えていると、薬液の流動性が悪くお薬が出にくい場合や、ポンプを押しにくい場合があります。アルミ製容器を振って、バシャバシャという音がすることを確認してください。音がしない場合、まだ冷えていますので再度手で温めてください。

●患者に本剤を交付する際には、患者用説明文書<レクタブル2mg注腸フォーム14回を使用される方へ>を渡し、使用方法を指導すること。

レクタブル インタビューフォーム

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レクタブル2mg注腸フォーム
[効能又は効果]
潰瘍性大腸炎(重症を除く)
[用法及び用量]
通常、成人には1回あたり1プッシュ(ブデソニドとして2mg)、1日2回直腸内に噴射する。


2017年10月6日金曜日

脂質異常症治療薬 アトーゼット配合錠LD/HD





アトーゼット配合錠は、エゼチミブとアトルバスタチンを有効成分とする配合剤です。
商品名だと『ゼチーア』と『リピトール』の配合剤と考えると分かりやすいと思います。

アトーゼット配合錠LDは
エゼチミブを10mg、アトルバスタチンを10mgを1錠に配合した薬剤です。

アトーゼット配合錠HD
エゼチミブを10mg、アトルバスタチンを20mgを1錠に配合した薬剤です。


エゼチミブとアトルバスタチンをそれぞれ併用して飲まれている患者さんでは 1 日 1 回 2 又は 3 錠を服用する必要があります。
アトーゼット配合錠は 1 日 1 回 1 錠の服用ですむため簡単であり、患者さんの利便性が向上することでアドヒアランスの向上が期待される薬剤です。


日本における動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、高LDLコレステロール血症に対する薬物治療として、スタチンが第一選択薬とされています。そして、スタチンで効果不十分な場合に、エゼチミブを追加することが推奨されています。

2016 ESC/EAS ガイドライン(Atherosclerosis 2016; 253: 281-344)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27594540

2013 ACC/AHA ガイドライン(J Am Coll Cardiol 2014; 63: 2889-934)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24239923

2016 ACC Expertconsensus decision(J Am Coll Cardiol 2016; 68: 92-125)
http://www.onlinejacc.org/content/68/1/92

アメリカやヨーロッパのガイドラインにおいても、
スタチンの大規模試験によるエビデンスが豊富であることから、動脈硬化性疾患に対する薬物治療としては、日本と同様に最初にスタチンを使用することを考慮し、スタチンで効果不十分な場合にエゼチミブを追加することが推奨されています。

エゼチミブとスタチンの併用は、エゼチミブの作用機序である小腸でのコレステロール取込み抑制とスタチンによる肝臓でのコレステロール合成の抑制の異なる2つの作用によって、血中のLDLコレステロールを減少させます。

スタチン単独投与したときの動脈硬化性疾患予防効果は、数多くの無作為化試験が実施されていて、これらの試験のメタ解析から、スタチン投与により予後が改善されることが示されています。
Lancet 2012; 380:581-90
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22607822

では、エゼチミブとスタチンの併用についてエビデンスはどうでしょうか?

家族性高コレステロール血症患者を対象とした ENHANCE試験ではエゼチミブとシンバスタチンの併用投与群とシンバスタチン単独投与群の内膜中膜肥厚の変化について有意差はみられなかったとの報告があります。
N Engl J Med 2008; 358: 1431-43
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0800742

しかし、急性冠症候群患者を対象とした試験(IMPROVE-IT 試験)においては、エゼチミブとシンバスタチンの配合剤を投与した群がシンバスタチン単剤投与群に比べてイベント発現率を有意に低下することが報告されています。
N Engl J Med 2015;372: 2387-97
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1410489#t=article

経皮的冠動脈インターベンションを施行した冠動脈疾患患者を対象とした試験(PRECISE-IVUS 試験)では、エゼチミブとアトルバスタチンの併用投与はアトルバスタチン単剤投与に比べて LDL-コレステロールを有意に低下させ冠動脈プラークを退縮させることが確認されています。
J Am Coll Cardiol 2015; 66: 495-507
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26227186

またスタチン投与例では、低下したLDL-Cが後に上昇する「エスケープ現象」を示す症例の存在が知られています。
Atherosclerosis. Vol. 224, No. 2, 454-6, October, 2012. 
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22892323

スタチンのエスケープ現象のメカニズムは、明らかになってはいませんがコレステロール合成の抑制に伴い、代償性に小腸からの吸収が亢進することが関与しているのではないかと考えられています。
スタチン効果不十分例では増量するよりエゼチミブと併用するほうが理にかなっているというわけです。


なぜ、この配合用量なのか


日本で使用されているエゼチミブとアトルバスタチン併用用量の組合せの割合は、

高コレステロール血症患者では
10 mg+10 mg が最も高く60.2%、
10 mg+20 mgの組み合わせは18.6%でした。

家族性高コレステロール血症の患者では
10 mg+20 mg の割合が最も高く44.7%、
10 mg+10 mgの組み合わせは25.4%でした。
(メーカー調べ)

アトーゼット配合錠の成分の組み合わせは日本における使用状況を考慮したもののようです。


ゼチーア(エゼチミブ)単剤からの切り替えは原則できません


アトーゼット配合錠は各単剤を併用し、LDLコレステロール値が安定している患者において切替えに用いる薬剤と位置付けられています。
エゼチミブ単独で効果不十分な場合にアトーゼットへの切替えについては慎重に判断する必要があります。
なぜかと言うと、高コレステロール患者に対する薬物療法においては現在、スタチンが第一選択薬として用いられていることから、エゼチミブ単独で投与されている患者は、スタチンの忍容性が低かった、もしくは忍容性が低いような背景を有する患者である可能性が考えられるためです。

エゼチミブ単独投与で効果不十分な場合にアトルバスタチンを追加投与することが適切ではないと考えられるような患者も想定されるため、一概にエゼチミブ単独からの切り替えることは、推奨されないので注意しましょう。



--
アトーゼット配合錠LD/HD
[効能又は効果]
高コレステロール血症、
家族性高コレステロール血症
[用法及び用量]
通常、成人には 1 日 1 回 1 錠(エゼチミブ/アトルバスタチンとして 10 mg/10 mg 又は 10 mg/20 mg)を食後に経口投与する。


偽造医薬品の流通防止のための省令改正(2017年10月5日公布)



平成29年1月に発生したC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品流通事案を受け、偽造医薬品の流通防止のために対応を行うべき事項に関して所要の省令改正が2017年10月5日公布されました。

【省令改正の内容(ポイント)】
(1)  薬局開設者等に課される医薬品の譲受・譲渡時の記録事項として相手方の身元確認の方法、ロット番号、使用期限等を追加する。
(2)  同一の薬局開設者等が開設する複数の薬局間における医薬品の譲受・譲渡に係る取引について、業許可を受けた場所ごとに、取引に係る記録(品名、数量、ロット番号、使用期限等)及びその保存を行うことを明確化する。
(3)  製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)について、開封した者(薬局等)を明確にするため、その名称、住所等の表示を新たに求める。
(4)  薬局、店舗販売業者の店舗、卸売販売業者の営業所の構造設備の基準として、貯蔵設備を設ける区域が他の区域から明確に区別されていることを追加する。
(5)  薬局並びに店舗販売業及び卸売販売業の店舗における医薬品等の販売又は授与を行う体制の基準について、医薬品の貯蔵設備を設ける区域へ立ち入ることができる者を特定することを追加する。

【公布日及び施行日】
公布日:平成29年10月5日
施行日:平成30年1月31日。ただし、(1)及び(2)のうちロット番号及び使用期限に関する部分については、平成30年7月31日。

【参考】
■日本薬剤師会ウェブサイト:
薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドライン【概要版】
薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドライン





(1)  薬局開設者等に課される医薬品の譲受・譲渡時の記録事項として相手方の身元確認の方法、ロット番号、使用期限等を追加する。


医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
(医薬品の購入等に関する記録)
第十四条
薬局開設者は、医薬品を購入し、又は譲り受けたとき及び薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設(獣医療法(平成四年法律第四十六号)第二条第二項に規定する診療施設をいい、往診のみによつて獣医師に飼育動物の診療業務を行わせる者の住所を含む。以下同じ。)の開設者に販売し、又は授与したときは、次に掲げる事項(第二号及び第三号に掲げる事項にあつては、当該医薬品が医療用医薬品として厚生労働大臣が定める医薬品(以下「医療用医薬品」という。)(体外診断用医薬品を除く。)である場合に限る。)を書面に記載しなければならない。
一 品名
二 一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品の一群に付される番号(以下「ロツト番号」という。)(ロツトを構成しない医薬品については製造番号)
三 使用の期限
四 数量
五 購入若しくは譲受け又は販売若しくは授与の年月日
六 購入若しくは譲り受けた者又は販売若しくは授与した者(以下「購入者等」という。)の氏名又は名称、住所又は所在地及び電話番号その他の連絡先(次項ただし書の規定により同項に規定する確認を行わないこととされた場合にあつては、氏名又は名称以外の事項は、その記載を省略することができる。)
 前号に掲げる事項の内容を確認するために提示を受けた資料(次項ただし書の規定により同項に規定する確認を行わないこととされた場合を除く。)
 購入者等が自然人であり、かつ、購入者等以外の者が医薬品の取引の任に当たる場合及び購入者等が法人である場合にあつては、医薬品の取引の任に当たる自然人が、購入者等と雇用関係にあること又は購入者等から医薬品の取引に係る指示を受けたことを示す資料

 薬局開設者は、前項の規定に基づき書面に記載するに際し、購入者等から、薬局開設、医薬品の製造販売業、製造業若しくは販売業又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設の許可に係る許可証の写し(以下単に「許可証の写し」という。)その他の資料の提示を受けることで、購入者等の住所又は所在地、電話番号その他の連絡先を確認しなければならない。ただし、購入者等が当該薬局開設者と常時取引関係にある場合は、この限りではない。

 薬局開設者は、薬局医薬品、要指導医薬品又は第一類医薬品(以下この項において「薬局医薬品等」という。)を販売し、又は授与したとき(薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者に販売し、又は授与したときを除く。第五項及び第六項並びに第百四十六条第三項、第五項及び第六項において同じ。)は、次に掲げる事項を書面に記載しなければならない。
一~五(略)
4~6(略)


(2)  同一の薬局開設者等が開設する複数の薬局間における医薬品の譲受・譲渡に係る取引について、業許可を受けた場所ごとに、取引に係る記録(品名、数量、ロット番号、使用期限等)及びその保存を行うことを明確化する。


医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
第二百八十九条(新設)
法の規定により許可を受けて医薬品を業として販売又は授与する者(以下この条において「許可事業者」という。)が、二以上の許可を受けている場合であつて、当該者の保有する医薬品を当該二以上の許可のうちの一の許可に基づき業務を行う場所から他の許可に基づき業務を行う場所へ移転したときは、当該移転前及び移転後の場所において、それぞれ次に掲げる事項(第二号及び第三号に掲げる事項にあつては、該医薬品が医療用医薬品(体外診断用医薬品を除く。)である場合に限る。)を書面に記載なければならない。
 品名
 ロット番号(ロツトを構成しない医薬品については製造番号)
 使用の期限
 数量
 移転先及び移転元の場所並びに移転の年月日


許可事業者は、前項の書面を、法の規定により許可を受けて業務を行う場所ごとに、記載の日から三年間、保存しなければならない


(3)  製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)について、開封した者(薬局等)を明確にするため、その名称、住所等の表示を新たに求める。


医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
(医薬品の直接の容器等の記載事項)
第二百十条
法第五十条第十五号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一~六 (略)
 分割販売される医薬品にあつては、分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う薬局、店舗又は営業所の名称及び所在地


(4)  薬局、店舗販売業者の店舗、卸売販売業者の営業所の構造設備の基準として、貯蔵設備を設ける区域が他の区域から明確に区別されていることを追加する。


薬局等構造設備規則
第一条
薬局の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一~八(略)
 貯蔵設備を設ける区域が、他の区域から明確に区別されていること。
十~十六(略)


(5)  薬局並びに店舗販売業及び卸売販売業の店舗における医薬品等の販売又は授与を行う体制の基準について、医薬品の貯蔵設備を設ける区域へ立ち入ることができる者を特定することを追加する。

薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令
第一条 
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第五条第二号の規定に基づく厚生労働省令で定める薬局において調剤及び調剤された薬剤又は医薬品の販売又は授与の業務を行う体制の基準は、次に掲げる基準とする。

(略)

前項第十五号から第十七号までに掲げる薬局開設者が講じなければらない措置には、次に掲げる事項を含むものとする。
 医薬品の使用に係る安全な管理(以下「医薬品の安全使用」という。)のための責任者の設置
 従事者から薬局開設者への事故報告の体制の整備
 医薬品の貯蔵設備を設ける区域に立ち入ることができる者の特定
 医薬品の安全使用並びに調剤された薬剤及び医薬品の情報提供のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施
 調剤及び医薬品の販売又は授与の業務に係る適正な管理のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施
 薬剤師不在時間がある薬局にあつては、薬剤師不在時間における薬局の適正な管理のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施
 医薬品の安全使用並びに調剤された薬剤及び医薬品の情報提供及び指導のために必要となる情報の収集その他調剤の業務に係る医療の安全及び適正な管理並びに医薬品の販売又は授与の業務に係る適正な管理の確保を目的とした改善のための方策の実施


2017年10月3日火曜日

アレルギー性疾患治療剤 ルパフィン錠(ルパタジンフマル酸塩)




ルパタジンは、1994年にスペインのウリアッシュ社により創製されたN-アルキルピリジン誘導体で、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を有するピペリジニル構造と血小板活性化因子(PAF)の受容体への拮抗作用を有するルチジニル構造を併せ持つ、経口アレルギー性疾患治療薬です。
アレルギー性鼻炎及び蕁麻疹の治療薬として、世界80ヵ国以上で承認されています(2017年6月現在)。

日本では、帝國製薬が2017年9月にルパフィン錠として製造販売承認を取得し、同年12月頃から田辺三菱製薬が販売を行うようです。
田辺三菱としてはタリオン錠の特許切れ対策のような位置づけになっていますね。

ルパフィン錠の作用機序


ルパフィン(RUPAFIN)錠の名前の由来にもなっているように、この薬の特徴は血小板活性化因子(PAF)の受容体への拮抗作用です。


ルパタジンは、ヒスタミンやPAFなどのケミカルメディエーターを抑えることにより、血管拡張や血管透過性の亢進、気管支収縮、知覚神経刺激等の即時型アレルギー症状を抑制するとともに、白血球の遊走活性化も抑えることから、遅延型アレルギー症状の抑制も期待できる薬剤として期待されています。


ルパタジンの活性代謝物にデスロラタジン


ルパタジンは未変化体での排泄はほとんどなく、肝臓においてCYP3A4 により速やかに活性代謝物であるデスロラタジン(商品名:デザレックス)へ代謝されます。活性代謝物のデスロラタジンもルパフィン錠の効果に寄与しているものと考えられています。
ルパタジン自体にも薬効があり、代謝されてもさらに薬効が続くため1日くらい飲み忘れても良さそうな気がしますが、真理は不明です。

活性代謝物が存在するため肝機能によって薬効が左右されそうなのですが、肝機能障害患者を対象とした試験を実施していないそうです。なぜなんでしょう。
有効性の面はさておき、安全性の面では肝機能障害のある人やCYP3A阻害剤との併用には注意が必要です。

さらに、活性代謝物の排泄が腎排泄であることから腎機能低下例に投与する場合も要注意です。


ルパフィン錠の有効性


プラセボと比較した国内臨床試験において、ルパフィン錠10 mgとルパフィン錠20 mg の 1 日 1 回の用法・用量で、アレルギー性鼻炎の鼻症状、眼症状の改善、慢性蕁麻疹及び皮膚疾患に伴うそう痒の各症状の改善が認められています。

既存薬との比較については抗ヒスタミン薬のセチリジンとロラタジンを対照とした海外臨床試験が行われています。
結果は通年性アレルギー性鼻炎患者及び季節性アレルギー性鼻炎患者において、対照群との薬効は非劣性を示しています。


ルパフィン錠の安全性

比較的安全性は高いのですが、

ルパフィン錠は眠気に注意

海外臨床試験の併合解析において、既存の抗ヒスタミン薬と比較して傾眠の発現率が高い傾向が認められています。セチリジンやエバステルと同じくらいのようです。

そのため、ルパフィン服用時の運転や機械操作などは控えるようにしましょう。


若い女性は注意

幼若雌性ラットの動物試験において卵巣重量減少、性周期(発情間期)延長等が認められているそうです。
動物実験の結果であり、人での影響は今のところ確認されていないとは言え、あまり気分のいいものではないですね。
他にもアレルギーの薬はあるので、若い女性にあえて使うことはないと思います。


まとめ


PAF受容体拮抗という興味深い作用はあるものの、臨床での有効性についてロラタジンと非劣性という微妙な薬のルパフィン。さらに、傾眠作用が認められたため添付文書に運転注意の記載がなされ処方しにくい薬になってしまっています。
あえて使い所を考えてみるとすると
PAF拮抗による遅延相反応抑制と眠気を利用した、
鼻詰まりがひどくて眠れない」場合に使用するのがいいかもしれません。


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ルパフィン錠10mg

[効能・効果]
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
[用法・用量]
通常、12 歳以上の小児及び成人にはルパタジンとして 1 回 10mg を 1 日 1 回経口投与する。
なお、症状に応じて、ルパタジンとして 1 回 20mg に増量できる。

2017年9月27日水曜日

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の離脱方法




ベンゾジアゼピン系睡眠薬の離脱の方法には

①漸減法
②隔日法
③両者の組わせ

の3つがあります。



①漸減法
超短時間作用型や短時間作用型と言った作用時間の短い睡眠薬の場合に用いる方法です。用量を2~4週おきに3/4、1/2、1/4と減量し、減量によって再び不眠が現れたら、その前の用量に戻します。どうしても睡眠薬がやめられない場合は、必要最小量の服薬を続けます。



②隔日法
作用時間の長い睡眠薬の場合に用いる方法です。一定量まで減量できたら睡眠薬を服用しない日を設け、だんだんとその日数を増やして中止に持って行きます。どうしても睡眠薬がやめられない場合には必要最小日数の服用を続けます。



③漸減法と隔日法の組み合わせ
作用時間の長短にかかわらず、用いることが可能な方法です。まずは漸減法で容量を減らしておき、隔日法により中止に持って行きます。


ベンゾジアゼピン系睡眠薬の特徴

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は常用量で精神依存、身体依存を引き起こす可能性があります。

通常、ベンゾジアゼピン系薬剤を中等量で短期間(1~2週間)使用する場合、耐性、依存、離脱は出現しないといわれていますが、作用時間の短いベンゾジアゼピン系薬剤では、服用した翌日に抗不安効果に対する耐性が生じた例もあり、慎重な投与が必要です。

また、離脱症状には不安、恐怖感、不眠、めまい、頭痛などがあり、短時間作用型では断薬後2~3日、長時間作用型で7日以内に出現します。短時間型では徐々に減量(3~4日ごとに1日量を30~50%)し、場合によっては、いったん作用時間の長い薬剤に置き換えてから減量することもあります。

また長時間型では、1日おきの服用とし、服用間隔を徐々に拡げて中止します。


睡眠薬の服用で大切なこと


睡眠薬の服用で大切なことは、長時間にわたり漫然と服薬しないことです。
睡眠がとれるようになったら、減量を試みることが重要です。
主治医とよく相談し、自分勝手な中断や乱用をしないことが大切です。

2017年9月26日火曜日

ロヒプノール販売中止と代替品




ロヒプノールが販売中止となるようです。
メーカーサイトにはまだ情報はあがっていないようです。

【製造販売中止のご案内】「ロヒプノール錠1、錠2、静注2mg」(エーザイ)
https://medical.eisai.jp/news/products/pdf/KK1361AKI.pdf

販売中止時期は2018年8月を予定。
経過措置期限2019年3月末日を予定しているそうです。

ロッシュの睡眠薬(hypnotics)だからロヒプノール


『ロヒプノール』の成分であるフルニトラゼパムは、ホフマン・ラ・ロッシュ 社で開発された一連のベンゾジアゼピン系化合物のひとつで、ニトラゼパムを1-メチル化し、5位ベンゼン環のオルト位にフッ素基をつけたものです。
ニトラゼパムとフルラゼパムの両方の作用を備え筋弛緩作用と睡眠活性が強力になっています。

日本では 1983 年に承認され、1984 年に発売に至っています。
そのとき、日本国内での開発を日本ロッシュとエーザイが行っていたことから、ロッシュ販売品を『ロヒプノール』、エーザイ販売品を『サイレース』として、同一成分なのに販売メーカーで名称が異なる、現場泣かせのお薬が誕生しました。

ちなにみ
それぞれの薬の名前の由来ですが

  • ロッシュの睡眠薬(hypnotics)でロヒプノール
  • 鎮静(silent)のエース(ace)でサイレース

だそうです。

その後
ロヒプノールを販売していた日本ロッシュは中外製薬と合併し、日本国内では中外製薬が2002年から製造販売を行っていました。

そして
2017年4月中外製薬は、ロヒプノールの製造販売承認をエーザイに承継し販売移管を行いました。
http://medical.eisai.jp/news/products/pdf/KK1328AKI.pdf

これにより、エーザイ1社でロヒプノールとサイレースという名称の異なる同じ成分の薬を販売するという効率の悪い状態になってしまいました。

この非効率を改善するため、サイレースを残しロヒプノールを販売中止にするという措置に至ったのだと考えられます。


ロヒプノールは年間1億錠以上も使用されていた


フルニトラゼパムはベンゾジアゼピン系の中では強力な睡眠薬であり、ベゲタミンよりも人気がありました。マイスリーと肩を並べるほどです。

ロヒプノールとサイレースではどちらが売れているのでしょうか。平成27年度のNDBオープンデータによると、ロヒプノールがよく使用されているようです。(概算:1億1千万錠/年)

これだけ処方されている薬の販売中止となると、様々な影響が予想されるため早めの連絡となったのだと推察されます。

ただ、よく売れているロヒプノールブランドの方を残してほしかった・・・。

ロヒプノールの代替品


ロヒプノールの代替品はサイレース。
成分も添加物も同じです。違うのは包装と刻印だけ。

安心して使用できます。

繰り返しますが、
ロヒプノールサイレースは全く同じものです。




2017年9月12日火曜日

プラルエントを打ち忘れたら




脂質異常症治療薬のプラルエント皮下注ペンが2017年9月から在宅自己注射可能になりました。

プラルエントに関する説明は以前のエントリーから↓
https://yakuza-14.blogspot.jp/2016/07/blog-post_14.html


そこで、プラルエント皮下注ペンを使う患者さん向けに
使い方や想定される疑問点についてまとめてみたいと思います。


プラルエント皮下注ペンを打ち忘れた場合


打ち忘れに気がついたら、すぐに注射をしてください。次の予定日の前日まで投与は可能です。その次の注射からは、当初のスケジュール通りに行ってください。


ペンに気泡がはいっている場合


ペンの中に気泡が入っていることがありますが、プラルントは皮下に注射するため、身体や投与量に影響はありません。


冷蔵庫から取り出して30分以上待つのが面倒


薬液が冷たいと刺激となって痛みを感じたり、注入時間が長くかかる場合があります。冷蔵庫から出して室温に戻す時間である30分というのはあくまで目安です。季節や室温の状況によって時間を調整しても構いません。痛みを我慢できるのであれば待つ必要もありません。


注射が途中で止まったり、ペンを皮膚から離してしまった場合


確認窓が完全に黄色に変わっていれば注入完了しているので問題ありません。黄色に変わっていない場合は注入が完了していない場合があります。再注射はせずに、主治医に相談しましょう。


プラルエント皮下注ペンの注射の方法



①青色のキャップを引き抜きます


②確認窓が見えるようにしてペンをしっかりと握ります


③ペンを皮膚に強く押し当てます


④注入ボタンを親指で押します(注入には5~15秒かかります)
注入ボタンが押せない場合
黄色の安全カバーが押し込めていない可能性があります。黄色の安全カバーがペンの中に入っていくまで、きちんと押し込んでください。 


黄色の安全カバーが押し込めない場合
腹部に注射する場合、皮膚が柔らかすぎて黄色の安全カバーを押し込めない場合などがありますので、皮膚をつまんだり、抑えるなどして注射部位を固定してください。

どうしてもうまく注入ボタンが押せない場合
注射サポートツールが用意してあります。処方元の医療機関に相談すると良いでしょう。


⑤皮膚からペンを離します

皮膚からペンを離す前に、親指を注入ボタンから離しても構いません


2017年9月6日水曜日

アボコート軟膏 販売中止




アボコート軟膏0.1%が販売中止となるようです。

「アボコート®軟膏0.1%」販売中止のご案内(佐藤製薬)
http://medinfo-sato.com/update/pdf/170823_abocoat.pdf
経過措置期間満了日は 2018 年 3 月 31 日を予定


アボコート軟膏0.1%はロコイド軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル軟膏)の後発品です。2014年にアボコートクリームが販売を中止しており、3年越しに軟膏も販売中止となりました。

ロコイド軟膏の後発品はアボコートのみで、この販売中止によりロコイドの後発品は存在しなくなります。
※ロコイドが「後発品のない先発品」となるかどうかは現時点では不明です。2018年4月1日になり厚生労働省が公表するまで誰にも分かりません。

アボコートには根強いファンも多く残念です。


アボコートとロコイドのちがい


アボコートはロコイドの後発品なので成分は同じですが、一つ明確に違うものがあります。ファンを引きつけているのもこのちがいがあるからです。

そのちがいとは、基剤です。

外用剤は肌に直接塗る薬です。同じ軟膏でも基剤のちがいによって使用感は異なります。患者さんごとに好まれる使用感があるのです。

アボコートの基剤ゲル化炭化水素(プラスチベース) 
ロコイドの基剤白色ワセリン(サンホワイト)

プラスチベースは、日常生活での温度変化では、「硬さ」がほとんど変化しません。のびがよく、肌に密着する硬さ年中一定に保つことができます。またワセリンよりも洗い流しやすいのも特徴です。


アボコートの代替品


同一成分の薬としてロコイドが候補となります。

ロコイドの基剤の白色ワセリンは『サンホワイト』という高い安全性並びに品質安定性を有する高度精製ワセリンを使用しています。通常のワセリンと比べて夾雑物が少なく高度に精製されているため紫外線を吸収する物質をほとんど含んでいません。刺激が少ないのが特徴です。

ヒドロコルチゾン酪酸エステルはステロイドのランクではマイルドに分類されるため。同一ランクの外用薬も選択肢となります。

2017年9月5日火曜日

オキシコンチンTR錠 粉砕・溶解できないオキシコンチン



乱用防止を目的としたオキシコドン塩酸塩水和物徐放錠「オキシコンチンTR錠」が2017年8月に承認されました。2017年12月発売。
http://www.shionogi.co.jp/company/news/2016/qdv9fu0000012heq-att/161130.pdf

米国ではオピオイド鎮痛薬による誤用・乱用が増加し社会問題となっています。

従来のオキシコンチン錠は徐放性製剤であり、通常服用する場合、成分がゆっくり溶けだし鎮痛効果を半日程度持続させます。

しかし、錠剤をつぶしたり噛んだりすれば、徐々に鎮痛効果を発揮するはずの機能は消え、代わりに陶酔感や多幸感を生み出します。これら精神作用を目的とするオキシコドン中毒者が問題となっています。

破砕などがしづらい製剤工夫がなされ、乱用防止のために改良されたオキシコドン塩酸塩徐放錠がアメリカで2010年8月に発売されました。
日本でも厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に取り上げられ、塩野義製薬が開発を行っており2017年承認されました。


オキシコンチンTR錠の特徴


叩いても、粉砕できない。
錠剤の強度を高くすることで粉末まで砕くことが困難な硬い製剤に設計されています。金属製のハンマーで叩いても、変形はしても砕けません。

水に溶かそうとしても、ゲル化するのみ!
添加物であるポリエチレンオキシドは酸化エチレンの非イオン性ホモポリマーで、溶解するとゲル状になる特徴を有しています。
簡易懸濁はもちろんできません。



ゴーストタブレットが出てこない
従来のオキシコンチン錠では、有効成分放出後の殻錠、いわゆるゴーストタブレットが糞中に排泄されることがありました。オキシコンチンTR錠ではそのゴーストタブレットは出てこないようです。


オキシコンチンTR錠の『TR』の意味


TR=Time Release
という意味だそうです(MR談)

「徐放」ということなのだろうけど、従来のオキシコンチンも徐放錠だったのですが、なぜそんな名前にしたのでしょうか。

オキシコンチンTR錠の一般名処方


【般】オキシコドン徐放錠○mg
です。

【般】オキシコドン徐放カプセル○mg
と、記載されている処方ではオキシコンチンTR錠は調剤できません。
疑義照会により処方変更してもらう必要があります。

いままでのオキシコンチン錠はいつまで流通するの?


オキシコンチン錠は2018年8月で製造を中止するそうです。
卸の在庫状況等に影響されるためいつまで流通されるかは不明。
在庫限りの流通となるため、順次オキシコンチンTR錠への切り替えをすすめています。

オキシコンチン錠からTR錠へ切り替える際の注意点

オキシコンチン錠とTR錠では空腹時における生物学的同等性が確認されています。しかしTR錠は高脂肪食を摂取した後の投与ではオキシコドンの血中濃度上昇が認められているため、オキシコンチン錠からTR錠へ切り替えにおいて、食後投与時には副作用の発現に十分な注意が必要です。

また、オキシコンチン錠の処方箋をTR錠へ疑義照会なしに変更することはできませんので注意しましょう。
薬剤師法第二十三条の2

ペンタジン販売中止と代替品



ペンタジン錠25、ペンタジン注射液15・注射液30が販売中止となるようです。
https://www.medicallibrary-dsc.info/announce/other/pdf-data/2017/1706stop_pent_etc2.pdf

ペンタジンはペンタゾシンを成分とする非麻薬性の中枢性鎮痛剤です。

ペンタゾシンは米国スターリングウインスロップ社(現:SANOFI)で開発されたアゴニスト・アンタゴニスト作用を有するベンゾモルファン系の非麻薬性鎮痛薬です。モルヒネほどの鎮痛作用はありませんが、多幸感などの精神作用も少なく、大量投与で不快感を引き起こすため1966年WHOはこの薬物を麻薬規制外としました。

そのため1967年にペンタゾシンの注射剤は癌性疼痛の鎮痛及び麻酔前投薬、術中の麻酔補助として、米国において発売され、日本では 1970 年に発売され、広く臨床で使用されていくこととなります。

米国スターリングウインスロップ社は塩酸ペンタゾシンを主剤とする経口用製剤ペンタゾシン錠を、1969 年にTalwin錠として発売しました。しかし、この錠剤を水に溶解し、抽出された塩酸ペンタゾシンを注射する形の乱用が問題となりました。その後、米国スターリングウインスロップ社は 1983 年にモルヒネ急性中毒に用いられる麻薬拮抗薬であるナロキソン塩酸塩を添加した錠剤(Talwin Nx)を発売しました。ナロキソン塩酸塩は非経口投与できわめて強いオピオイド拮抗作用を示しますが、経口投与では肝臓で速やかに分解されるため拮抗作用を示しません。つまり、ジャンキー対策がとられた薬剤だといえます。

癌性疼痛の治療には、鎮痛薬を一定の順序で選択していく WHO 方式癌疼痛治療法(三段階式鎮痛薬選択順序)が一般的に推奨されています。
  • 第一段階には非オピオイド鎮痛薬
  • 第二段階には弱オピオイド鎮痛薬
  • 第三段階には強オピオイド鎮痛薬
非オピオイド鎮痛薬としては消炎鎮痛薬などが、強オピオイド鎮痛薬としてはモルヒネが一般的に用いられます。第二段階の弱オピオイド鎮痛薬としては麻薬指定医薬品であるコデインが用いられることが多く、外国ではその代替し得る経口鎮痛薬としてデキストロプロポキシフェンが用いられていました。しかし、日本においては当時(1983年)、適当な経口剤がなく、管理の容易な非麻薬指定のペンタゾシンの錠剤の開発が望まれていました。

そこで日本においてもナロキソン塩酸塩添加塩酸ペンタゾシン錠の開発が企画されるところとなりました。グレラン製薬(現:あすか製薬)、三共(現:第一三共株式会社)、山之内製薬(現:アステラス製薬)及びスターリングウインスロップ社(現:SANOFI)の 4 社による共同開発を実施し、1997年 7 月に製造販売承認を取得しました。
  • ペルタゾン錠(あすか製薬=日本化薬)
  • ペンタゾシン錠(第一三共)
  • ソセゴン錠(丸石:アステラスから販売移管)

1物3名称という珍しい薬剤です。

承認から20年経った今、ペンタゾシンは疼痛治療に対してあまり使われていません。それは、効果があまりにも短すぎるためです。がんの持続痛に対し1日に何度も投与することになり、結果として副作用のリスクが増大します。また肝心の鎮痛作用も弱く過量投与のリスクもはらんでいます。

そういう理由で使用量が減ってきています。

ペンタゾシン錠の代替品


同じ成分である
  • ペルタゾン錠(あすか製薬=日本化薬)
  • ソセゴン錠(丸石:アステラスから販売移管)
が候補となります。

しかし、これら2剤もいつまで供給されるか分かりません。

売上から見ると、ソセゴンのほうがメジャーなので、最後まで残りそうですね。

2017年8月23日水曜日

ナイスタチン錠 50 万単位「明治」販売中止と代替品





ナイスタチン錠 50 万単位「明治」が販売中止となるようです。
http://www.meiji-seika-pharma.co.jp/medical/news/pdf/nystatin_20170801.pdf

ナイスタチンは1950 年にHazen と Brown により発見、発表されたStreptomyces noursei の培養菌体中に生産されるポリエンマクロライド系抗生物質です。酵母及び糸状菌に対してすぐれた抗菌力を示すのですが、細菌には作用せず、ある種の原虫に対して作用するという特徴的な生物活性を持ちます。さらに消化管吸収をされないことから経口投与での毒性も低い点が注目され開発研究がすすめられました。1970 年 11 月に現在の明治製菓ファルマが製造承認を取得し、1972 年 2 月に「ナイスタチン錠明治」として発売されました。

カンジダに対して強力な発育阻止作用を示すポリエンマクロライド系抗生物質であり、消化管カンジダ症に使用されてきました。

がん化学療法施行中の患者等、真菌感染症リスクの高い患者に対して予防的に用いられることがありましたが、フルコナゾールの方が効果が高いことが示されたため、その使用は減ってきました。
Cochrane Database Syst Rev. 2014 Sep 4;(9):CD002033.
Nystatin prophylaxis and treatment in severely immunodepressed patients.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25188770

さらに、同じポリエンマクロライド系抗生物質であるアムホテリシンBのシロップ剤のほうがよく使用されています。

はっきりとした理由はわかりませんが、使用量が減ってきたことも一つの要因となり販売中止するのかもしれません。

しかし、アムホテリシンBのリポソーム製剤があるように、全身投与可能なナイスタチンのリポソーム製剤となり再び我々の前に登場するかもしれません。

ナイスタチン錠 50 万単位「明治」の代替品


上記にも紹介しましたが免疫抑制患者におけるカンジダ感染の予防または治療においてナイスタチンより優れると報告がるのはフルコナゾール(ジフルカンカプセル)です。

また、吸収されず安全性も高い点ではポリエンマクロライド系抗生物質であるアムホテリシンBも候補となります。
ハリゾン錠 100mg
ハリゾンシロップ、ファンギゾンシロップ

その他、類似する適応があるものとして
アンコチル錠
イトリゾールカプセル
があります。



ハルナールとアボルブを併用してもいいですか?




前立腺肥大症治療薬のα1遮断薬と5α還元酵素阻害薬の併用には根拠があるのでしょうか。

代表的な研究としてCombAT Studyがあります。

前立腺肥大症の患者さん(IPSS12点以上、前立腺体積30mL以上1.5≦PSA≦10ng/mL、最大尿流量5~15mL /秒)4844例を対象に
アボルブ(デュタステリド)とハルナール(タムスロシン)の併用療法と
デュタステリド0.5mg単独投与群、タムスロシン0.4mg単独投与群と比較して
4年後のIPSSスコアが改善するかどうか検討した研究です。

投与4年目のIPSS減少の平均値はタムスロシン=3.8点、デュタステリド=5.3点、併用群=6.3点で、単独投与群に比べ併用群で有意に大きくなる結果になりました。
最大尿流量の増大はタムスロシン=0.7mL/秒、デュタステリド=2.0mL/秒、併用群=2.4mL/秒で、単独投与群に比べ併用群で有意に大きくなる結果になりました。
臨床的進行の累積発生率は、タムスロシン21.5%、デュタステリド17.8%、併用群12.6%でした。
急性尿閉または前立腺肥大症に関連した外科治療の累積発生率は、タムスロシン11.9%、デュタステリド5.2%、併用群4.2%でした。発生までの期間は、併用群とタムスロシン群には有意差があり、併用群とデュタステリド群には有意差はありませんでした。

Roehrborn CG,et al., Eur Urol. 2010 Jan;57(1):123-31.[PMID: 19825505]
http://www.europeanurology.com/article/S0302-2838(09)00970-1/fulltext

CombAT StudyのPost hoc解析で背景因子別に長期効果を評価したところ、併用療法はタムスロシン単独に比べて背景因子によらず優れていました。デュタステリド単独との比較では前立腺体積が60mL未満の症例のみで優れていました。

Roehrborn CG,et al.,BJU Int. 2014 Apr;113(4):623-35.[PMID: 24127818]
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bju.12500/epdf

日本人を含むアジア人を対象としたCombAT Studyのサブ解析においても全体の症例と同様の結果がみられています。

Chung BH,et al.,Int J Urol. 2012 Nov;19(11):1031-5. [PMID: 22774774] 
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1442-2042.2012.03091.x/epdf

また、日本におけるアボルブの第Ⅲ相臨床試験のサブ解析でタムスロシンの前投与の有無によらず上乗せ効果が同等であったことから相加効果があることが考えられます。

Tsukamoto T, Endo Y, Narita M.Int J Urol. 2009 Sep;16(9):745-50.[PMID: 19674165]
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1442-2042.2009.02357.x/epdf

以上より
前立腺肥大症治療薬のα1遮断薬と5α還元酵素阻害薬の併用は単独療法より有効であるとする根拠が十分あると考えられます。


2017年8月21日月曜日

エピシル口腔用液 がん治療に伴う口内炎の痛みを和らげるスプレー



がん治療におけるがん化学療法および放射線治療法では副作用である『口内炎』が患者さんを悩ませています。

口内炎は非常に強い痛みを伴い、食べたり飲んだり話したりすることが困難になり、患者さんの生活の質を落としてしまいます。

そんな口内炎の痛みが、スプレーするだけで和らげられることができればどんなに幸せなことでしょうか。

実はがん治療に伴う口内炎の痛みを和らげるスプレーはアメリカやヨーロッパなどではよく知られており、多くの患者さんが使用しています。

そのスプレーの名前はepisil®(エピシル)といいます。

2017年7月に日本でもようやく承認され、2017年12月に発売予定2018年4月以降発売予定となっています。
http://www.meiji-seika-pharma.co.jp/info/2017/detail/pdf/170707.pdf

【2018年5月9日追記】
5月中旬発売予定のようです。
https://www.meiji-seika-pharma.co.jp/medical/product/episil/index.html

なお、エピシルは歯科における『周術期等専門的口腔衛生処置2』を実施する際の材料としてのみ保険算定可能です。医科及び調剤では保険算定できません。


なので、実際に使用される施設はがん診療連携登録歯科医のいる施設に限られると考えられます。
メーカーも発売当初は口腔外科のあるがん拠点病院に販路を限定し、PRしていくようなことを言っていました。

【2018年2月1日追記】
2018年4月から保険適応となります。
https://solasia.co.jp/images/Kw2ehVisVJIvCx.pdf

保険償還価は752円/mL(2018年度)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000192797.pdf

留意事項
・がん等に係る放射線治療又は化学療法を実施している患者であって、周術期口腔機能管理計画に基づき、口腔機能の管理を行っている患者について、放射線治療又は化学療法に伴う口内炎に対して使用した場合に原則10 mLを限度として算定する。

2018年2月時点ではエピシルは特定保険医療材料ではありませんので、薬局での処方箋による交付はできません。
薬局においては実費による購入が可能です。

2017年8月9日水曜日

エクセラーゼ配合錠の粉砕可否




エクセラーゼ配合カプセルおよびエクセラーゼ配合顆粒は販売中止となるようです。
http://www.meiji-seika-pharma.co.jp/medical/news/pdf/170801_01.pdf

エクセラーゼ配合錠は継続して販売するそうです。


エクセラーゼ配合錠は腸溶性コーティングを施している製剤を包んでいる製剤です。
粉砕してしまうと腸で溶けずいで溶けてしまい期待された効果を発揮できない恐れがあるため、粉砕してはいけません。

エクセラーゼ配合錠は耐酸性アミラーゼである「サナクターゼ」、セルラーゼである「メイセラーゼ」、タンパク分解酵素である「プロクターゼ」、脂質分解酵素の「オリパーゼ2S」、「膵臓性消化酵素TA」の各酵素を配合した消化酵素製剤です。

膵臓性消化酵素TAは、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチターゼ、リボヌクレアーゼなどの多くの酵素を含有したもので、腸において、たん白質、炭水化物及び脂肪の消化を行います。しかしトリプシン、アミラーゼ、リパーゼなどは胃液によって活性を失うため腸溶性のコーティングを施しています。


胃で効いてほしい酵素と腸で効いてほしい酵素を配合しているため以下のような溶け方の違う外層と内核の2層構造の錠剤になっています。

サナクターゼM 50mg(外層)
メイセラーゼ 50mg(外層)
プロクターゼ 100mg(外層
オリパーゼ2S 20mg(外層)
膵臓性消化酵素TA 100mg(腸溶性内核錠)

イメージです


粉砕してしまうと膵臓性消化酵素TAが胃液にさらされてしまい、消化されてしまいます。
こうなると期待した効果が得られなくなってしまうので粉砕はできません。


エクセラーゼ配合顆粒の代わりに錠剤を粉砕して使用することはやめましょう。

PSゾロン点眼液0.11%「日点」 販売中止と代替品



PSゾロン点眼液0.11%「日点」が販売中止となるようです。

https://www.nitten-eye.co.jp/upload/4db0c74577f3696f6b2baa66d85df27e/nn17-05_hcsolonepssolonehannbaichushi_201708.pdf

経過措置期間満了日は2019年3月末日の予定。


PSゾロン点眼液は1966年3月に承認されたプレドニゾロン酢酸エステルを成分とするステロイド点眼液です。
結膜炎などの外眼部および前眼部の炎症性疾患の対症療法に使用される薬剤です。


PSゾロン点眼液0.11%「日点」の代替品


同一成分の点眼剤はありませんが、眼軟膏があります。

  • プレドニン眼軟膏
  • 酢酸プレドニゾロン0.25%眼軟膏T


PSゾロン点眼液と同程度の強さのステロイドはありません。
代わりの点眼液としては、炎症の程度にもよりますが
軽度であればフルオロメトロン
中等度から重度であればデキサメタゾンかベタメタゾンを選びます。


ステロイド点眼剤一覧


デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム
DMゾロン点眼液0.02%「日点」
サンテゾーン点眼液(0.02%)
D・E・X0.02%点眼液T
ビジュアリン点眼液0.02%
DMゾロン0.05%点眼液
D・E・X0.05%点眼液T
ビジュアリン点眼液0.05%
DMゾロン点眼液0.1%「日点」
サンテゾーン点眼液(0.1%)
D・E・X0.1%点眼液T
ビジュアリン眼科耳鼻科用液0.1%

デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム
オルガドロン点眼・点耳・点鼻液0.1%
テイカゾン点眼・点耳・点鼻液0.1%

フラジオマイシン硫酸塩・ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム
眼・耳科用リンデロンA軟膏
点眼・点鼻用リンデロンA液
ベルベゾロンF点眼・点鼻液

フルオロメトロン
フルメトロン点眼液0.02%
オドメール点眼液0.02%
ピトス点眼液0.02%
フルオメソロン0.02%点眼液
フルオロメトロン0.02%点眼液T
オドメール点眼液0.05%
フルオメソロン0.05%点眼液
フルメトロン点眼液0.1%
オドメール点眼液0.1%
ピトス点眼液0.1%
フルオメソロン0.1%点眼液
フルオロメトロン0.1%点眼液T

ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム
リンデロン点眼液0.01%
リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%
サンベタゾン眼耳鼻科用液0.1%
リノロサール眼科耳鼻科用液0.1%
ベルベゾロン眼耳鼻科用液0.1%
リンベタPF眼耳鼻科用液0.1%

HCゾロン点眼液0.5%「日点」 販売中止と代替品



HCゾロン点眼液0.5%「日点」が販売中止となるようです。

https://www.nitten-eye.co.jp/upload/4db0c74577f3696f6b2baa66d85df27e/nn17-05_hcsolonepssolonehannbaichushi_201708.pdf

経過措置期間満了日は2019年3月末日の予定。

HCゾロン点眼液は1966年3月14日に承認されたヒドロコルチゾン酢酸エステルを成分とするステロイド点眼液です。
結膜炎などの外眼部および前眼部の炎症性疾患の対症療法に使用される薬剤です。


HCゾロン点眼液の販売中止によりヒドロコルチゾン酢酸エステルの眼科用剤は日本からなくなってしまいました。


HCゾロン点眼液0.5%「日点」の代替品


同等の強さを持つステロイド点眼剤にフルオロメトロン点眼液(製品名:フルメトロン)があります。
0.1%フルオロメトロン点眼液はHCゾロン点眼液と遜色のない消炎効果をもち、しかも眼圧上昇が少ないことが知られています。



2017年8月3日木曜日

ヒューマペンサビオとヒューマペンラグジュラのちがい




2017年秋
日本イーライリリーのインスリンペン型注入器『ヒューマペン』に新たなラインナップが登場します。

その名も、『ヒューマペンサビオ(SAVVIO)』

ヒューマペンサビオは現行器である『ヒューマペンラグジュア』の改良版としての位置づけです。

ちなみに「サビオ」という名称は、一部地域で絆創膏の代名詞として有名ですよね。
2002年まで「サビオ」という名称の絆創膏がライオン株式会社から製造販売されており、「サビオ」の商標もライオンが取得していました。
この度、ヒューマペンサビオの開発にあたり、「サビオ」を2006年に共同で商標出願しています。


ヒューマペンサビオとヒューマペンラグジュラのちがい


ヒューマペンサビオは弊社のカートリッジ交換型インスリンペン型注入器であるヒューマペンラグジュラをベースに開発した、新しいカートリッジ交換型インスリンペン型注入器です。
どこにちがいがあるのでしょうか。

短く軽くなりました

ヒューマペンラグジュラと比較して、サビオは注入器本体のサイズが短く、重量がより軽くなりました。
ヒューマペン®サビオ®

選べる色の数がふえました

本体の色が4色あります。
サビオは
あずき色、うぐいす色、水色、銀色。


ラグジュアは
レッド又はゴールド。


ラグジュアの色は高級感があってよさそうですが、落ち着きすぎて可愛さにかけていました。
若い人でもオシャレに持ち運べるように明るめの色が採用されています。


単位設定ダイアルが改良されました

サビオでは
インスリンカートリッジの残量を超えて単位設定できないようにデザインされています。
例えば、指示された量が30単位で、残量が10単位しかない場合は、10単位を超える単位が設定できないように第あるが回らなくなります。

ラグジュアでは
残量を超えても単位設定可能で、残量が設定単位より少ない場合は投与後ダイアルが「0」に戻らず不足分のインスリン量を示していました。


使用期限が設定されました

耐用年数3年間(使用を始めてから3年間)は同じです。

しかし、サビオには
いつまで注入器が使用できるかを正確に把握して頂くため、使用期限が設定されています。
つまり製造後の使用期限が設定されたのです。
耐用年数3年を待たずに、個装箱に表示された使用期限に達した場合には、その日が使用終了日となります。


操作方法は同じ

基本的な操作方法は同じです。


使用できるインスリンは同じ

サビオとラグジュアで使用できるインスリンは同じものです。ヒューマログ、ヒューマリン、インスリングラルギンBS注カート「リリー」が使用できます。

糖尿病患者がインスリンを自己注射する際、カートリッジ製剤とペン型注入器を、誤って他社製品と組み合わせて使用し、低血糖や高血糖などの副作用が生じた事例が多数報告されています。

装着時及び投与前に、必ずカートリッジ製剤の薬剤名を確認してください。