潰瘍性大腸炎もクローン病も原因不明の寛解と再燃を繰り返す消化管疾患である炎症性腸疾患です。
両疾患とも厚生労働省の指定難病とされています。近年では、潰瘍性大腸炎16万人、クローン病4万人と増加の一途をたどっています。難病とはいえ稀な病気ではありません。
この潰瘍性大腸炎とクローン病は似たような症状と、治療に使う薬も似ているため違いがよくわからないという声を聞きます。
簡単ですが、潰瘍性大腸炎とクローン病の違いをまとめてみました。
参考:
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班)平成28年度分担研究報告書 別冊
潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 平成28年度改訂版
炎症範囲が違う
潰瘍性大腸炎主に大腸に炎症がおきます。大腸の粘膜に炎症が起きます。
クローン病
口から肛門の全消化管に炎症がおきます。
消化管全層に炎症が起きます。
病態
潰瘍性大腸炎びらんや潰瘍を形成
クローン病
肉芽腫性炎症・縦走潰瘍や敷石像などの特徴的な腸病変
腸管狭窄や瘻孔
好発年齢が違う
潰瘍性大腸炎20代から30代
近年は中高年層にも多発
クローン病
10代から20代
症状がちがう
腹痛や発熱は同じですが潰瘍性大腸炎
ケチャップのような血便
持続性または反復性の粘血便・血性下痢
クローン病
下痢、体重減少
腸閉塞、腸瘻孔(内瘻、外瘻)、腸穿孔。
治療法が少し違う
5-ASA製剤、ステロイド、抗TNF-α抗体、免疫調節薬を病態や重症度に合わせて使い分けて、炎症を抑えた状態を維持する治療法は両疾患とも同じです。クローン病ではエレンタールやツインラインなどを用いた栄養療法を併用することがあります。
クローン病のみ適応を持つ薬剤(2017年10月時点)
- ステラーラ点滴静注130mg
- ステラーラ皮下注45mgシリンジ
- ゼンタコートカプセル3mg