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2017年10月3日火曜日

アレルギー性疾患治療剤 ルパフィン錠(ルパタジンフマル酸塩)




ルパタジンは、1994年にスペインのウリアッシュ社により創製されたN-アルキルピリジン誘導体で、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を有するピペリジニル構造と血小板活性化因子(PAF)の受容体への拮抗作用を有するルチジニル構造を併せ持つ、経口アレルギー性疾患治療薬です。
アレルギー性鼻炎及び蕁麻疹の治療薬として、世界80ヵ国以上で承認されています(2017年6月現在)。

日本では、帝國製薬が2017年9月にルパフィン錠として製造販売承認を取得し、同年12月頃から田辺三菱製薬が販売を行うようです。
田辺三菱としてはタリオン錠の特許切れ対策のような位置づけになっていますね。

ルパフィン錠の作用機序


ルパフィン(RUPAFIN)錠の名前の由来にもなっているように、この薬の特徴は血小板活性化因子(PAF)の受容体への拮抗作用です。


ルパタジンは、ヒスタミンやPAFなどのケミカルメディエーターを抑えることにより、血管拡張や血管透過性の亢進、気管支収縮、知覚神経刺激等の即時型アレルギー症状を抑制するとともに、白血球の遊走活性化も抑えることから、遅延型アレルギー症状の抑制も期待できる薬剤として期待されています。


ルパタジンの活性代謝物にデスロラタジン


ルパタジンは未変化体での排泄はほとんどなく、肝臓においてCYP3A4 により速やかに活性代謝物であるデスロラタジン(商品名:デザレックス)へ代謝されます。活性代謝物のデスロラタジンもルパフィン錠の効果に寄与しているものと考えられています。
ルパタジン自体にも薬効があり、代謝されてもさらに薬効が続くため1日くらい飲み忘れても良さそうな気がしますが、真理は不明です。

活性代謝物が存在するため肝機能によって薬効が左右されそうなのですが、肝機能障害患者を対象とした試験を実施していないそうです。なぜなんでしょう。
有効性の面はさておき、安全性の面では肝機能障害のある人やCYP3A阻害剤との併用には注意が必要です。

さらに、活性代謝物の排泄が腎排泄であることから腎機能低下例に投与する場合も要注意です。


ルパフィン錠の有効性


プラセボと比較した国内臨床試験において、ルパフィン錠10 mgとルパフィン錠20 mg の 1 日 1 回の用法・用量で、アレルギー性鼻炎の鼻症状、眼症状の改善、慢性蕁麻疹及び皮膚疾患に伴うそう痒の各症状の改善が認められています。

既存薬との比較については抗ヒスタミン薬のセチリジンとロラタジンを対照とした海外臨床試験が行われています。
結果は通年性アレルギー性鼻炎患者及び季節性アレルギー性鼻炎患者において、対照群との薬効は非劣性を示しています。


ルパフィン錠の安全性

比較的安全性は高いのですが、

ルパフィン錠は眠気に注意

海外臨床試験の併合解析において、既存の抗ヒスタミン薬と比較して傾眠の発現率が高い傾向が認められています。セチリジンやエバステルと同じくらいのようです。

そのため、ルパフィン服用時の運転や機械操作などは控えるようにしましょう。


若い女性は注意

幼若雌性ラットの動物試験において卵巣重量減少、性周期(発情間期)延長等が認められているそうです。
動物実験の結果であり、人での影響は今のところ確認されていないとは言え、あまり気分のいいものではないですね。
他にもアレルギーの薬はあるので、若い女性にあえて使うことはないと思います。


まとめ


PAF受容体拮抗という興味深い作用はあるものの、臨床での有効性についてロラタジンと非劣性という微妙な薬のルパフィン。さらに、傾眠作用が認められたため添付文書に運転注意の記載がなされ処方しにくい薬になってしまっています。
あえて使い所を考えてみるとすると
PAF拮抗による遅延相反応抑制と眠気を利用した、
鼻詰まりがひどくて眠れない」場合に使用するのがいいかもしれません。


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ルパフィン錠10mg

[効能・効果]
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
[用法・用量]
通常、12 歳以上の小児及び成人にはルパタジンとして 1 回 10mg を 1 日 1 回経口投与する。
なお、症状に応じて、ルパタジンとして 1 回 20mg に増量できる。