ナイスタチン錠 50 万単位「明治」が販売中止となるようです。
http://www.meiji-seika-pharma.co.jp/medical/news/pdf/nystatin_20170801.pdf
ナイスタチンは1950 年にHazen と Brown により発見、発表されたStreptomyces noursei の培養菌体中に生産されるポリエンマクロライド系抗生物質です。酵母及び糸状菌に対してすぐれた抗菌力を示すのですが、細菌には作用せず、ある種の原虫に対して作用するという特徴的な生物活性を持ちます。さらに消化管吸収をされないことから経口投与での毒性も低い点が注目され開発研究がすすめられました。1970 年 11 月に現在の明治製菓ファルマが製造承認を取得し、1972 年 2 月に「ナイスタチン錠明治」として発売されました。
カンジダに対して強力な発育阻止作用を示すポリエンマクロライド系抗生物質であり、消化管カンジダ症に使用されてきました。
がん化学療法施行中の患者等、真菌感染症リスクの高い患者に対して予防的に用いられることがありましたが、フルコナゾールの方が効果が高いことが示されたため、その使用は減ってきました。
Cochrane Database Syst Rev. 2014 Sep 4;(9):CD002033.
Nystatin prophylaxis and treatment in severely immunodepressed patients.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25188770
さらに、同じポリエンマクロライド系抗生物質であるアムホテリシンBのシロップ剤のほうがよく使用されています。
はっきりとした理由はわかりませんが、使用量が減ってきたことも一つの要因となり販売中止するのかもしれません。
しかし、アムホテリシンBのリポソーム製剤があるように、全身投与可能なナイスタチンのリポソーム製剤となり再び我々の前に登場するかもしれません。
ナイスタチン錠 50 万単位「明治」の代替品
上記にも紹介しましたが免疫抑制患者におけるカンジダ感染の予防または治療においてナイスタチンより優れると報告がるのはフルコナゾール(ジフルカンカプセル)です。
また、吸収されず安全性も高い点ではポリエンマクロライド系抗生物質であるアムホテリシンBも候補となります。
ハリゾン錠 100mg
ハリゾンシロップ、ファンギゾンシロップ
その他、類似する適応があるものとして
アンコチル錠
イトリゾールカプセル
があります。