2017年7月31日月曜日

ミグレニン 販売中止


ミグレニンを製造販売していた健栄製薬と丸石製薬が当該製品の販売中止のお知らせを出しています。

販売中止のお知らせ(丸石製薬)
http://www.maruishi-pharm.co.jp/med2/product-name__236.html

販売中止のご案内(健栄製薬)
http://www.kenei-pharm.com/cms/wp-content/uploads/2016/11/e37c27989542da79308de6cb11750cc5.pdf

ミグレニンは日本薬局方にも収載されている鎮痛配合剤です。
古くからある薬で、各社が局方品として販売していましたが、近年相次いで販売中止になっています。
2017年7月時点で、販売していたのは以下の通りです。
・ミグレニン「マルイシ」
・ミグレニン「ケンエー」
・ミグレニン「メタル」

ミグレニン「メタル」は流通量が少なく入手できる地域も限られているようですので、今後入手するのは困難になりそうです。


ミグレニンは1893年ドイツのヘキスト社が片頭痛治療薬として発売し、トリプタン系薬剤のイミグランとゾーミッグが登場するまで長く使い続けられていた薬です。
アンチピリン、カフェイン、クエン酸を90:9:1の割合で配合したものです。
現在アンチピリンを使用した薬はミグレニンだけです。

アンチピリン、アミノピリン、スルピリン、イソプロピリアンチピリン等、ピラゾロン骨格を基本骨格とする解熱・鎮痛・抗炎症作用を有する薬剤の総称をピリン系薬剤といいます。
副作用として薬物アレルギーを起こしやすく、皮膚に発疹(ピリン疹)を生じたり、無顆粒球症等を起こすことが知られています。
1965年に、アミノピリン、スルピリンを主成分とする市販のアンプル入りかぜ薬の服用によるショック、死亡事故が日本において多発したことをうけ、アンプル入りかぜ薬の製造中止という措置が取られました。
20世紀半ばまでは強力な解熱・鎮痛作用からピリン系薬剤は頻用されていましたが、このような背景から、近年ピリン系薬剤の使用頻度は減少しています。
現在、代謝過程の違いからアレルギーを生じにくいといわれているイソプロピルアンチピリンが主に用いられていました。

新しい治療薬の登場と、安全性の考慮によりミグレニンが使用される機会はどんどん減ってきたのです。

ちなみに、ミグレニンは小説家の尾崎翠が愛用していたことでも有名です。彼女の作品の世界観はミグレニン乱用による幻覚を表現したものだとも言われています。
また、洋画家の岸田劉生も片頭痛持ちで、よくミグレニンを服用していたそうです。
文化人も愛した歴史ある薬がなくなるのは寂しいものです。


ミグレニンの代替薬


ミグレニンはアンチピリン、カフェイン、クエン酸の配合剤なので、各単剤を組み合わせることができれば良いのですが、アンチピリンの単味製剤は存在しません。

片頭痛治療薬であれば、トリプタン系薬剤が代替候補となります。

また、ピリン系の頭痛薬としては
SG配合顆粒クリアミンが候補となるでしょう。


慢性頭痛の診療ガイドライン
http://www.jhsnet.org/GUIDELINE/gl2013/gl2013_main.pdf
【参考】
スルピリン水和物原末の販売中止と代替品
https://yakuza-14.blogspot.jp/2017/02/blog-post_6.html