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2017年7月31日月曜日

ミグレニン 販売中止




ミグレニンを製造販売していた健栄製薬と丸石製薬が当該製品の販売中止のお知らせを出しています。

販売中止のお知らせ(丸石製薬)
http://www.maruishi-pharm.co.jp/med2/product-name__236.html

販売中止のご案内(健栄製薬)
http://www.kenei-pharm.com/cms/wp-content/uploads/2016/11/e37c27989542da79308de6cb11750cc5.pdf

ミグレニンは日本薬局方にも収載されている鎮痛配合剤です。
古くからある薬で、各社が局方品として販売していましたが、近年相次いで販売中止になっています。
2017年7月時点で、販売していたのは以下の通りです。
・ミグレニン「マルイシ」
・ミグレニン「ケンエー」
・ミグレニン「メタル」

ミグレニン「メタル」は流通量が少なく入手できる地域も限られているようですので、今後入手するのは困難になりそうです。


ミグレニンは1893年ドイツのヘキスト社が片頭痛治療薬として発売し、トリプタン系薬剤のイミグランとゾーミッグが登場するまで長く使い続けられていた薬です。
アンチピリン、カフェイン、クエン酸を90:9:1の割合で配合したものです。
現在アンチピリンを使用した薬はミグレニンだけです。

アンチピリン、アミノピリン、スルピリン、イソプロピリアンチピリン等、ピラゾロン骨格を基本骨格とする解熱・鎮痛・抗炎症作用を有する薬剤の総称をピリン系薬剤といいます。
副作用として薬物アレルギーを起こしやすく、皮膚に発疹(ピリン疹)を生じたり、無顆粒球症等を起こすことが知られています。
1965年に、アミノピリン、スルピリンを主成分とする市販のアンプル入りかぜ薬の服用によるショック、死亡事故が日本において多発したことをうけ、アンプル入りかぜ薬の製造中止という措置が取られました。
20世紀半ばまでは強力な解熱・鎮痛作用からピリン系薬剤は頻用されていましたが、このような背景から、近年ピリン系薬剤の使用頻度は減少しています。
現在、代謝過程の違いからアレルギーを生じにくいといわれているイソプロピルアンチピリンが主に用いられていました。

新しい治療薬の登場と、安全性の考慮によりミグレニンが使用される機会はどんどん減ってきたのです。

ちなみに、ミグレニンは小説家の尾崎翠が愛用していたことでも有名です。彼女の作品の世界観はミグレニン乱用による幻覚を表現したものだとも言われています。
また、洋画家の岸田劉生も片頭痛持ちで、よくミグレニンを服用していたそうです。
文化人も愛した歴史ある薬がなくなるのは寂しいものです。


ミグレニンの代替薬


ミグレニンはアンチピリン、カフェイン、クエン酸の配合剤なので、各単剤を組み合わせることができれば良いのですが、アンチピリンの単味製剤は存在しません。

片頭痛治療薬であれば、トリプタン系薬剤が代替候補となります。

また、ピリン系の頭痛薬としては
SG配合顆粒クリアミンが候補となるでしょう。


慢性頭痛の診療ガイドライン
http://www.jhsnet.org/GUIDELINE/gl2013/gl2013_main.pdf
【参考】
スルピリン水和物原末の販売中止と代替品
https://yakuza-14.blogspot.jp/2017/02/blog-post_6.html

2017年7月20日木曜日

ケタスカプセルは涼しいところで保管して、車の中など暑くなる場所へは置かないで




ケタスカプセルは気管支喘息を抑える抗アレルギー薬としての作用と、脳の血流を増加させ脳循環を改善することで脳梗塞後のめまいを改善する2つの作用を持つ薬です。

このケタスカプセルですが、温度に注意が必要な薬です。
ケタスの有効成分であるイブジラストの融点は54~58℃です。
ストーブの前や夏場の車内の中などに放置しておくと溶けてしまいます

さらに、ケタスカプセルは徐放性製剤なのですが、融点まで達しなくても40℃以上では加湿の有無、包装、無包装にかかわらず、その溶出性が担保できなくなります。
つまり、見た目は変化がなくても期待するような薬の効果が得られなくなるのです。

そのため、添付文書上は室温保存(1~30℃)ですがケタスカプセルを保管する際には冷蔵庫など涼しいところで保管するように伝えています。

この前、卸からクール便でケタスが届いたときには、おぉ、分かってるねと感心しました。(某M社)


ほかにも、「なるべく冷所」保存が必要な薬があります。

以下は、添付文書の貯法に「なるべく冷所」の記載があるものです。


  • HMG「TYK」75注用
  • HMG「TYK」100注用
  • HMG「TYK」150注用
  • アセトアミノフェン坐剤小児用50mg「TYK」
  • アセトアミノフェン坐剤小児用100mg「TYK」
  • アセトアミノフェン坐剤小児用200mg「TYK」
  • トリノシン腸溶錠20mg
  • トリノシン腸溶錠60mg
  • ノックビン原末
  • 精製水









セロイク 注射用 40販売中止と代替品




セロイク 注射用 40が販売中止となるようです。
経過措置期間2017 年 11 月~2018 年 3 月(予定)


「セロイク 注射用 40」販売中止について(武田薬品工業)
https://www.takedamed.com/content/medicine/newsdoc/sero170623.pdf

セロイクは血管肉腫に有用性が認められ、1992年3月に承認を得た遺伝子組換え型ヒトインターロイキン− 2(IL-2)製剤です。
IL-2製剤は抗原特異的キラー T細胞、ナチュラルキラー細胞、リンホカイン活性化キラー細胞などの抗原非特異的キラー細胞の活性化や増殖促進等によって抗腫瘍作用を示すと考えられています。

IL-2は 1976年に Morganらによって、フィトヘマグルチニン刺激ヒト末梢血リンパ球培養上清中に存在する因子として発見されました。
武田薬品はヒト白血球を材料に、IL- 2 cDNAのクローニング、大腸菌での発現に成功するとともに、1984年に精製遺伝子組換えインターロイキン− 2(rIL− 2)の量産に成功し、ヒト白血球から精製したIL- 2とrIL-2が同程度の生物学的活性を示すことを確認しました。

日本にはもう1つ遺伝子組換え型IL-2製剤があります。
塩野義製薬のイムネース〔一般名:テセロイキン(遺伝子組換え)〕です。
イムネースはセロイクと同時期に同様に血管肉腫を適応として製造承認を取得したのですが、その後に腎癌の適応を追加し、ネクサバールなどの分子標的薬が現れるまで市場を牽引していました。そのおかげで、IL-2製剤ではセロイクよりイムネースのほうがネームバリューがあります。

そのためなのか、おそらく売上が悪く販売中止となってしまったのでしょう。
海外で認められている悪性黒色腫の適応追加も、分子標的薬の台頭で夢と消えてしまいました。医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議にあげられていたのですがねぇ。


セロイクの代替品


同じIL-2製剤のイムネースが代替品です。
用量が異なるので、切り替えの際は注意が必要です。

また、他の薬剤では
パクリタキセル製剤に『血管肉腫』の適応があります。

ヒアリに刺されたら 合言葉は「ひありおくやみ」




2017年5月に兵庫県尼崎市で日本国内初確認のヒアリが発見されました。
http://www.env.go.jp/press/104185.html

その後、厚生労働省は2017年6月23日付で事務連絡「ヒアリに刺された場合の留意事項について」を発出しています。



ヒアリは、兵庫県で発見されて以来、神奈川県、東京都、茨城県でも確認されており、今後も増える可能性があります。また、愛知県、大阪府でもヒアリやヒアリと似たアカカミアリが確認がされています。

ヒアリは、極めて攻撃性が強く、刺された場合には、アルカロイド毒により、熱感を伴う非常に激しい痛みと、水ぶくれ、その後、膿が出ます。
一方、アカカミアリは、これまでも国内への侵入が確認されていたもので、ヒアリに比して毒性は低いものの、同じくアルカロイド系の毒によって非常に激しい痛みを覚え、水ぶくれができるため、注意が必要です。

http://www.env.go.jp/press/files/jp/106099.pdf
http://www.env.go.jp/press/files/jp/106166.pdf

一部報道では「アメリカでヒアリにより年間100人犠牲になっている」との報道がなされました。これは米国疾病対策センター(CDC)が公表したアナフィラキシーショックで亡くなった人の数の合計を、すべてヒアリによる死亡例として誤って報じたものです。ヒアリだけではなくハチやサソリの被害の数も多く含まれています。
センセーショナルな情報に流されず、正しい情報を見極められる力を身に着けましょう。

https://www.cdc.gov/niosh/topics/insects/default.html

ヒアリに刺されたときの症状


【軽症】刺された部位の痛みやかゆみ
刺された瞬間は熱いと感じるような、激しい痛みが走ります。
やがて、刺された痕が痒くなり、10時間ほど経つと膿が出てきます。

【中等度症】じんましん
刺されて数分から数十分後には刺された部分を中心に腫れが広がり、部分的、または全身にかゆみをともなう発疹(じんましん)が現れることがあります。

【重症】呼吸困難・血圧低下・意識障害
刺されて数分から数十分の間に息苦しさ、声がれ、激しい動悸やめまいなどを起こすことがあります、進行すると意識を失うこともあります。
これらの症状が出た場合には、重度の即時型アレルギー反応「アナフィラキシー」である可能性が高く、処置が遅れると生命の危険も伴います。

ヒアリに刺されたときの対処法


●刺された直後の対処
20~30分程度は安静にし、体調の変化がないか注意します。
現場で可能な処置としては、『ムヒ』などの抗ヒスタミン軟膏またはステロイド軟膏を塗って、冷やします。

軽度の症状のみであり症状が悪化する様子がなければ、ゆっくりと病院を受診しても大丈夫です。

[病院へいくときの確認事項]
1)刺された部位、数
2)刺されてからの時間
3)蕁麻疹、悪心、寒気、動悸、呼吸困難など
4)過去にアリやハチに刺されて具合が悪くなったことがあるか

●容体が急変したとき
症状は急速に進むので、とにかく一番近い病院を受診する。(救急受け入れのある病院であればなお良い。)「アリに刺されたこと」「アナフィラキシーの可能性があること」を伝え、すぐに治療してもらいましょう。

●もしもの場合に備えて
特にアナフィラキシーの危険がある方は、前もって医師に相談し、アレルギー反応を緩和するためにアドレナリン自己注射キット「エピペン」を用意しておくことができます。
重度の症状が出始めた時点で使用すると効果的です。
軽~中度の症状には抗ヒスタミン剤の内服薬を用意しておくこともできます。

エピペンはすべての医者が処方できるわけではありません。
必要な研修を受講し、処方医として登録された医師のみが処方できます。
処方可能診療施設の検索はこちら↓でできます。
http://allergy72.jp/search/

対処の合言葉




参考:
「ストップ・ザ・ヒアリ」 環境省自然環境局 野生生物課外来生物対策室 平成21年作成 
https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_fireant.pdf

フジテレビ「ホウドウキョク」7月11日
https://www.houdoukyoku.jp/posts/14941

2017年7月5日水曜日

アメナリーフ錠(アメナメビル) 抗ヘルペスウイルス薬




2017年7月に新しい作用機序を持つ抗ヘルペスウイルス薬のアメナリーフ錠(成分名:アメナメビル)が承認されました。8月に薬価収載される予定です。

既存の経口抗ヘルペスウイルス薬にはゾビラックス(アシクロビル)、バルトレックス(バラシクロビル)、ファムビル(ファムシクロビル)があります。いずれも核酸類似体として、デオキシグアノシン三リン酸と競合的に拮抗してウイルスDNAの複製を阻害することで抗ウイルス作用を示します。

アメナリーフはヘルペスウイルスDNAの複製に必須の酵素であるヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の活性を阻害することで、二本鎖DNAの開裂及びRNAプライマーの合成を抑制することで抗ウイルス作用を示します。

このようにアメナリーフは既存の経口抗ヘルペスウイルス薬と作用機序が異なるので、交差耐性を示さないと考えられています。

そのため、チミジンキナーゼが欠損しているようなアシクロビル耐性ヘルペスウイルスが発現したHIV陽性患者に対するオプションにもなると期待されています。

Chono, K. et al. ASP2151, a novel helicase-primase inhibitor, possesses antiviral activity against varicella-zoster virus and herpes simplex virus types 1 and 2. J. Antimicrob. Chemother. , 65(8) , 1733 (2010)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20534624


アメナリーフ錠の作用機序


改めて、作用機序を説明します。
ウイルスは自分のちからだけでは増殖することができないので、人間の細胞の増殖力を借りて増えていきます。
ウイルスが増殖するためには、感染した人間の細胞の核にウイルスのDNAをコピーさせる必要があります。
このコピーの段階で邪魔をするのが、薬の作用点です。

DNAは2重らせん構造をしています。
DNAをコピーするためにはまず、この2重らせん構造をほどく必要があります。
この「ほどく」作業を行うのがヘリカーゼ・プライマーゼ複合体という酵素です。
ファスナーのスライダーをイメージするといいでしょう。

アメナリーフ錠はファスナーのスライダーの役目をするヘリカーゼ・プライマーゼ複合体を邪魔することで、ウイルスの増殖を抑制します。

出典:アメナリーフ錠 インタビューフォーム

一方、ゾビラックス、バルトレックス、ファムビルは、1本鎖になったウイルスDNAが、相補的な鎖を作るのを中断させることでコピーを抑制します。

アメナリーフ錠のほうが、ウイルスDNA複製の上流をブロックしているため、より高い効果が期待できます。


アメナリーフの抗ウイルス活性


アメナメビル又はアシクロビルの水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗ウイルス活性を調べた非臨床試験では、アシクロビルとアメナメビルのEC50比が31~76倍を示しました。
アメナメビルが水痘・帯状疱疹ウイルスにたいして高い抗ウイルス活性を持つことがわかります。
さらに、アシクロビル低感受性水痘・帯状疱疹ウイルスに対しても同様に高い抗ウイルス活性を示しました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20534624


アメナリーフの腎機能低下者への投与

出典:アメナリーフ錠 インタビューフォーム
アメナメビルは糞中排泄型の薬物です。投与量に対する尿中排泄率の割合は20%程度です。そのため腎機能による薬物動態への影響は小さいと考えられクレアチニンクリアランスに基づく用量調節は不要となっています。

ちなみに、腎機能障害患者における単回投与試験ではアメナメビルの腎クリアランスの平均は、腎機能障害の重症度が高いほど低下しています。


アメナリーフの肝機能低下者への投与


Child-Pugh分類Bに該当する中等度肝機能障害患者に対して投与した際の薬物動態パラメーターは、肝機能正常者のそれと差はありませんでした。


アメナリーフの食事の影響


食事の影響を受けるので、必ず食後に服用するようにしましょう。

空腹時投与と食後投与と薬物動態パラメーターを比べたとき、tmax の中央値は、空腹時投与が 2 時間、食後投与が 4 時間と食事によって延長していました。さらに、Cmax、およびAUCは空腹時の投与のほうが半分近く低下する傾向が見られました。


アメナリーフの相互作用


リファンピシンを投与中の患者には禁忌です。
アメナメビルはCYP3A及び2B6を誘導するため、リファンピシンの代謝を促進し、血中濃度を低下させるおそれがあります。
さらにリファンピシンもCYP3Aを誘導するためCYP3Aで代謝されるアメナメビルの代謝を促進することが考えられ、両剤の作用が減弱するおそれがあります。

CYP3Aを阻害するグレープフルーツは、アメナメビルの血中濃度を上昇させてしまうかもしれないので注意が必要な食品です。


アメナリーフの安全性


承認時に臨床試験で報告された主な副作用は、β-NアセチルDグルコサミニダーゼ増加、α1ミクログロブリン増加、フィブリン分解産物増加でした。いずれも、臨床検査値異常で、それぞれ、近位尿細管障害の指標、尿細管機能の指標、血小板減少の指標です。


アメナリーフの投与は原則7日間


ウイルスのDNA複製を抑制する薬剤である抗ウイルス剤は、ウイルスが盛んに増殖している早い時期、つまり紅斑期や水疱期の帯状疱疹に使用すべきです。目安として皮疹出現後5日以内に投与を開始しましょう。

投与期間の目安は原則7日間です。症状の改善が見られない、あるいは、症状の悪化が認められた場合には、漫然と長期にわたり投与することは避け、速やかに他の治療法に切り替えましょう。

7日投与の理由は国内第三相試験において、十分な有効性が示されたからです。
その、国内第三相臨床試験では、水疱が完全にかさぶたになるまでに9日間かかっています。さらに完全に治るまで11日かかっています。7日間飲み終わった後、4日程度は様子を見る必要があります。


【2017.09.04追記】

単純疱疹に対する適応


アメナリーフ錠は単純疱疹に対する適応を取得していません(2017年8月時点)。これは、単純疱疹に対する臨床試験を行っていないのかというと、そうではないようです。単純疱疹は、再発型性器ヘルペスを対象とした第II相試験を 米国で実施し、単純疱疹を対象とした第III相試験を国内で実施していたようですが、第III相試験ではプラセボに対する優越性が確認できなかったことから、単純疱疹の開発を一時見合わせ、帯状疱疹の開発のみ進めることとした経緯があります。






アメナリーフ錠200mg

[効能・効果]
帯状疱疹
[用法及び用量]
通常、成人にはアメナメビルとして1回400mgを1日1回食後に経口投与する。

2017年7月4日火曜日

ウイントマイロン販売中止 




ウイントマイロン錠250・500・シロップ 5%が販売中止となるようです。
https://www.medicallibrary-dsc.info/announce/other/pdf-data/2017/1706stop_win1_etc2.pdf

経過措置期間満了は2018年3月末日を予定しているようです。


ウイントマイロンの成分であるナリジクス酸はスターリング・ウインスロップ研究所(現:サノフィ社)で 1948 年に合成され、1962 年にグラム陰性菌に効力を持つ抗菌剤として開発されました。日本で製造承認されたのは1964年で、それから50年余り日本の微生物と戦い続けてきました。

ナリジクス酸はオールドキノロンに分類される抗菌薬です。キノロンの歴史はナリジクス酸から始まったといっても過言ではありません。クラビットなどのニューキノロンはすべてナリジクス酸がベースなっています。

出典:Folia Pharmacol. Jpn.130,287~293(2007)


ナリジクス酸は主として緑膿菌を除く腸内細菌のグラム陰性菌に対して抗菌活性を示します。しかし代謝されやすく、バイオアベイラビリティや組織移行性が低かったことから腸管感染症や尿路感染症治療薬として使用されていました。しかし現在では耐性菌が多くなりすぎてほとんど使われていません。

役目を終えたため販売中止といったところでしょうか。


ウイントマイロンの代替品


代替品は標的菌種にもよりますが
腸管、尿路感染でナリジクス酸を使うということは
プロテウス菌や大腸菌、肺炎桿菌をターゲットとして考えます。

そうすると、経口ではセファクロルが候補となります。
急性単純性膀胱炎の場合ではキノロン系が候補となります。

どうしてもオールドキノロンが良い場合は
ナリジクス酸の7 位にピペラジニル基を導入することによりナリジクス酸の欠点でる代謝安定性や組織移行性を改良し,緑膿菌に対する抗菌活性を高めたピペミド酸があります。


臭いの少ない痛み止めの塗り薬はありますか




変形性関節症や筋膜性腰痛症に非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の塗り薬が痛み止めとして処方されることがあります。

このNSAIDsの塗り薬の多くには、メントール、いわゆるハッカが添加物として配合されているので特異な香りがします。また、清涼感があるため塗り心地を良くする目的としても配合されているようです。

しかし、このメントール臭には好みが分かれるようで、特に女性から臭いの少ないものをよく希望されます。

というわけで、臭いの少ないNSAIDsの塗り薬を調べてみました。

添付文書の「性状」の欄に
においに関する記載がないもの。
添付文書の「添加物」の欄に
添加物に香料の記載がないもの。

以上に該当するものを抽出しました。

結果は5品目が該当しました。

  • インテバン軟膏1%
  • ナパゲルンクリーム3%
  • ナパゲルン軟膏3%
  • バキソ軟膏0.5%
  • ロキソニンゲル1%


いずれも、アルコールに薬を溶かしているため、多少のアルコール臭はしますが、シップのようなハッカの香りは少なめです。


【商品名】(会社名)
一般名
性状
添加物
効能効果

【インテバン軟膏1%】(帝國製薬)
インドメタシン軟膏
黄色ゼリー状の親水性軟膏
マクロゴール400、アジピン酸ジイソプロピル、ベンジルアルコール、クロタミトン、プロピレングリコール、カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、ジイソプロパノールアミン、エデト酸ナトリウム水和物、ピロ亜硫酸ナトリウム、イソプロパノール
下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛

【ナパゲルンクリーム3%】(ファイザー)
フェルビナククリーム
白色のクリーム剤
セタノール、白色ワセリン、ステアリルアルコール、カルボキシビニルポリマー、スクワラン、ステアリン酸ポリオキシル40、モノステアリン酸グリセリン、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、1,3-ブチレングリコール、トリエタノールアミン
下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症 
筋・筋膜性腰痛症 
肩関節周囲炎 
腱・腱鞘炎 
腱周囲炎 
上腕骨上顆炎(テニス肘等) 
筋肉痛 
外傷後の腫脹・疼痛

【ナパゲルン軟膏3%】(ファイザー)
フェルビナク軟膏
無色~帯微黄色澄明のゲル状軟膏剤
カルボキシビニルポリマー、ジイソプロパノールアミン、エタノール
下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症 
筋・筋膜性腰痛症 
肩関節周囲炎 
腱・腱鞘炎 
腱周囲炎 
上腕骨上顆炎(テニス肘等) 
筋肉痛 
外傷後の腫脹・疼痛

【バキソ軟膏0.5%】(大正富山)
ピロキシカム軟膏
淡黄色澄明のゲル状軟膏
カルボキシビニルポリマー、プロピレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ジイソプロパノールアミン
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
変形性関節症 
肩関節周囲炎 
腱・腱鞘炎、腱周囲炎 
上腕骨上顆炎(テニス肘等) 
筋肉痛(筋・筋膜炎等) 
外傷後の腫脹・疼痛

【ロキソニンゲル1%】(第一三共)
ロキソプロフェンナトリウム水和物ゲル
無色~微黄色透明のゼリー状のゲル剤である。
エタノール、1,3-ブチレングリコール、ヒプロメロース、カルボキシビニルポリマー、トリエタノールアミン
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛

2017年7月3日月曜日

パルモディア錠(ペマフィブラート) 新しいタイプのフィブラート系薬剤




脂質異常症のうち、主にトリグリセリド(中性脂肪)が高い場合に使用される薬剤としてフィブラート系の薬剤があります。

2017年7月新たなフィブラート系薬剤としてパルモディア錠 0.1mg(一般名:ペマフィブラート)が承認されました。
薬価収載予定は8月です。
薬価に関して厚労省と折り合いがつかず、8月収載は見送りのようです。
11月収載に間に合うように調整中らしいです。
薬価が厚労省と折り合わず11月収載も見送るそうです。
2018年4月収載を目指しているそうです。


フィブラート系薬剤の作用機序


まず、フィブラート系薬剤の作用機序について解説します。
フィブラート系薬剤は核内受容体のPPARαに結合し脂質代謝に関わる反応を促進します。
例えば、肝臓での脂肪酸のβ酸化を促し、トリグリセリドの合成を抑えたり、リポプロテインリパーゼを活性化させ血中トリグリセリドの分解を促進させたりします。



パルモディア錠はPPARα の標的遺伝子の発現を選択的に調節する


パルモディア錠 は、核内受容体の PPARα に結合後、リガンド特異的な PPARα の立体構造変化をもたらし、主に肝臓の脂質代謝に関わる遺伝子群の発現を選択的に調節することで脂質代謝を改善すると考えられています。

「肝臓の脂質代謝に関わる遺伝子群の発現を選択的に調節する」という点が他のフィブラート系と違うので、他のPPARアゴニストと区別するために選択的 PPARα モジュレーター(Selective Peroxisome Proliferator-activated receptor-α modulator)SPPARMα、スパームアルファと呼ぶそうです。

脂質代謝に関わるところだけ調節するので、他のフィブラートで見られるような肝機能検査値異常(AST,ALT上昇)、腎機能検査値異常(クレアチニン上昇)や血中ホモシステイン増加などの副作用が起こりにくいというのが特徴です。


パルモディアの腎機能低下者への投与


中等度以上の腎機能障害のある患者(目安として血清クレアチニン値が 2.5mg/dL 以上)には横紋筋融解症があらわれることがあるため投与禁忌となっています。これは承認時点で副作用報告はないが、他のフィブラート系薬剤を参考に設定されたそうです。

軽度の腎機能障害のある患者(目安として血清クレアチニン値が 1.5mg/dL 以上2.5mg/dL未満)には慎重投与可能です。


パルモディアの肝機能低下者への投与


重篤な肝障害、Child-Pugh 分類 B 又は C の肝硬変のある患者あるいは胆道閉塞のある患
者には投与禁忌です。臨床試験において肝硬変 Child-Pugh 分類 B の患者に投与した際に血中濃度が著しく上昇し、Cmaxで約 3.9 倍、AUC で約 4.2 倍を示したため、禁忌設定されています。
またパルモディアは胆汁排泄型薬物なので、胆道閉塞のある患者には投与しないよう設定されています。

軽度の肝機能障害のある患者又は肝障害の既往歴のある患者には慎重投与可能です。


パルモディアの食事の影響

健康成人男性に本剤を空腹時及び食後に単回投与したときのペマフィブラートの血漿中濃度推移
出典:インタビューフォーム

食事による影響は軽微です。
を空腹時投与では投与約 1.50 時間後、食後投与では投与 1.75 時間後に最高値に達しました。食事摂取により血漿中濃度の上昇は緩やかとなり最高濃度到達時間の遅延傾向が認められました。


パルモディアの相互作用


パルモディアは、主にCYP2C8、CYP2C9、CYP3A により代謝されます。また、OATP1B1、OATP1B3 の基質となるためこれらの代謝酵素やトランスポーターと関連する薬剤では相互作用に注意が必要です。

海外の臨床試験においてシクロスポリン、リファンピシンをそれぞれ併用した場合パルモディアノ血中濃度が10倍以上、上昇したとの報告があるため併用禁忌となっています。

また、他のフィブラート系薬剤において、腎機能障害を有する患者にスタチンを併用した症例で、横紋筋融解症が報告されていることから、スタチンとの併用は原則禁忌に設定されています。


パルモディア錠は分割可能


パルモディア錠には割線があります。
分割後の製剤は 25℃/83%RH、無包装の保存条件にて 4 ヵ月間安定でした。


ペマフィブラートの構造上の特徴


ペマフィブラートは他のPPARαアゴニストと同様に酸性領域を含んでいます。
一方で、PPARαの活性および選択性を高めるために、独特のベンゾオキサゾールおよびフェノキシアルキル側鎖が付加されているのが特徴です。


ペマフィブラートのPPARサブタイプにおける転写活性の選択性


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パルモディア錠 0.1mg

[効能・効果]
高脂血症(家族性を含む)
[用法及び用量]
通常、成人にはペマフィブラートとして 1 回 0.1mg を 1 日 2 回朝夕に経口投与する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、最大用量は 1 回 0.2mg を 1 日 2 回までとする。