2017年6月6日火曜日

ファルネゾンゲル1.4% 販売中止と代替品


ファルネゾンゲル1.4%が販売中止となるようです。

ファルネゾンゲル1.4%販売中止のご案内(大鵬薬品)
https://www.taiho.co.jp/medical/medical_news/files/pdf/20170402.pdf

中止時期は在庫消尽次第です。
2017年 11月中旬から2018年 2 月初旬を予定しているようです。
販売中止理由は、原薬の調達が難しくなったためだそうです。


ファルネゾンゲルは関節リウマチの局所治療に有効な新しいタイプの経皮吸収型ステロイド剤として日本において初めて開発された薬剤で、1998 年から発売しています。

1990年ごろの関節リウマチに対する治療は、主に非ステロイド性抗炎症剤、金製剤、D-ペニシラミン、免疫調節・抑制剤及び副腎皮質ステロイド剤等によって行われ、全身的にはある程度その症状をコントロールすることが可能であるが、一部の関節にのみ炎症・疼痛が残る場合がありました。このような場合にはステロイドの関節注入療法が施行されていました。
ステロイドの関節注入療法は全身の副作用がおきる可能性があり、また、手指関節等の小関節に注入する場合の手技的なこと等を考慮すると局所療法として塗るするだけの外用剤の登場が期待されていました。

そこで登場したのが、ファルネゾンゲルなのです。
2007年10月販売中止したファルネラートゲルと併売品でした。

このファルネゾンゲルの成分のプレドニゾロンファルネシル酸エステルはとても面白いやつなのです。
プレドニゾロンにファルネシル基がくっつけただけなのですが、ファルネシル基が炎症を起こしているところでプレドニゾロンから離れて効力を示しました。そのため副作用が少ないといわれていました。

ただ、効果のほども今ひとつで、有効性のエビデンスは乏しく日本でしか販売されていないガラパゴスな薬剤です。

また、最近は生物学的製剤の登場でリウマチ治療も格段に進歩してきたこともあり外用剤は殆ど使われなくなっています。それも、販売中止の要因かもしれません。


ファルネゾンゲルの代替品


「関節リウマチによる指、手、肘関節の腫脹・疼痛の緩解」の適応を持つ外用剤には
ゼスタック』があります。
モビラート軟膏で思い出される方もいるのではないでしょうか。
2007年販売終了したモビラート軟膏の後発品です。

塗り薬以外の外用剤では
モーラス』には「関節リウマチにおける関節局所の鎮痛」の適応があります。


関節リウマチに対する外用剤の使用は、局所作用のみで全身作用がほとんどなく、腱・腱鞘炎,粘液包炎など皮下浅部の関節近傍軟部組織における疼痛や炎症に対して有用とされていますが、関節リウマチの関節炎自体に対する有効性のエビデンスは乏しいとされています。

ガイドラインにおいても軟膏剤の利点は「マッサージ効果」であるとされており、マッサージだけなら副作用の懸念のあるステロイドを使用するまでもなくワセリンなどで代替すればいいのです。

関節リウマチ(RA)治療ガイドライン
http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/common_box/publications/pdf/guideline1to4.pdf


Clinical guidelines: New guidelines on nondrug treatment in RA.Nature Reviews Rheumatology 6, 250-251 
https://www.nature.com/nrrheum/journal/v6/n5/full/nrrheum.2010.59.html