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2017年4月15日土曜日

ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL経過措置2018年3月31日まで




ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLが半量製剤である『ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL』の発売に伴い販売を中止するようです。
http://medical.eisai.jp/news/products/pdf/KK1339AKI.pdf

【経過措置期間】
2017年3月18日より 2018年3月31日
(2018年4月1日以降は薬価削除され、保険請求できなくなります)


ヒュミラ(アダリムマブ)は、世界で最初のヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体です。
TNFαは炎症反応あるいは免疫反応に関与するサイトカインであり,TNFα濃度の上昇が関節リウマチや乾癬などの炎症性疾患の主な原因の一つとして考えられています。ヒュミラはヒトTNFαに対して高い親和性と選択性をもっています。過剰に発現しているTNFαを中和することでTNFα濃度を低下させ炎症性疾患で悩む人の治療薬として世界中で使用されています。

ヒュミラはお家で患者さん自身が注射を行うことのできる薬剤です。
家で自分のタイミングで注射できるのはいいのですが、皆さん口をそろえておっしゃるのが「痛い」というもの。
かなり痛いそうです。 ゆっくり時間をかけて注入したり、薬液を冷蔵庫から取り出して10~15分置くか、手のひらで1分程度温めてうったり、 注射する前に約1~3分間、保冷剤などで注射する場所を冷やしたり、素早く針を刺すなど様々な工夫をしておられます。

そういった苦労をなんとかしてほしいという声がメーカーに届いたのでしょう。
薬の量はそのままに、注入する量を減らした『ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL』が2017年に発売になりました。
注射容量の少量化による注射時の負担の軽減や注射時の痛みを軽減できることが期待されます。

それにともない、痛い痛いヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLはお役御免となり、販売中止となりました。


代替品


代替品はもちろんヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mLです。

ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLとヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mLのちがい


  • 名称が異なります。
  • 液量、添加物が異なります。(シリンジのサイズは同一です。)
  • 個包装が、縦置きと横置きで、異なります。(サイズ 縦×横×高さは同一です。)
  • ブリスター包装が異なります。
  • シリンジラベルが異なります。


http://medical.eisai.jp/news/products/pdf/KK1314AKI.pdf

パーセリン錠25mg経過措置2018年3月31日まで




2017年3月17日告示・適用 経過措置移行品目にパーセリン錠25mgが掲載されていました。
※2017年3月時点で販売中止のアナウンスはありません

【経過措置期間】
2017年3月18日より 2018年3月31日
(2018年4月1日以降は薬価削除され、保険請求できなくなります)


パーセリン錠は前立腺肥大症の治療薬です。

パーセリン錠の成分であるアリルエストレノールは1961 年に三共株式会社(現第一三共株式会社)によって機能性子宮出血、切迫流早産、習慣性流早産等を適応症としてゲスタノン錠という名前で発売されていました。
そのころ、海外ではメルク(現MSD)がアリルエストレノールの抗アンドロゲン作用に着目した前立腺肥大症に対する研究っており、その有用性を確認していました。日本では同じ抗アンドロゲン作用を持つクロルマジノン酢酸エステル(プロスタール)との二重盲検比較試験がにおいて有効性とより高い安全性が確認され1990 年 6 月に承認されました。アリルエストレノールを日本で先に販売していた第一三共と販売提携というかたちで販売していました。

アリルエストレノールは合成黄体ホルモン薬で,視床下部に対して negative feed-back をかけ,精巣からのテストステロン分泌を
抑制すると同時に,前立腺細胞に対して,テストステロン取り込み阻害作用,DHTとアンドロゲン受容体との結合阻害作用を有しています。これによって、前立腺肥大に伴う諸症状を改善したり、肥大の縮小効果があると考えられていました。

しかし、その有効性を支持する根拠は十分でなく,高頻度で性機能障害を生じるため、ガイドラインでは慎重な症例選択と観察が必要であるという位置づけになっています。

さらに、前立腺肥大症に対しエビデンスのある、α1遮断薬や5α還元酵素阻害薬が登場してきたため、その使用量は減ってきていました。


パーセリンの代替品


同じ成分がいいというなら後発品があります。

  • アリルエストレノール錠25mg「サワイ」

ほか

成分は異なりますが、分類が同じ合成黄体ホルモン薬にクロルマジノン酢酸エステル製剤があります。

  • プロスタール錠
  • プロスタールL錠

プロスタールL錠はプロスタールの持続性製剤なので、1日1回の服用ですむ。

しかし、安全性や有効性を重視するのであれば、α1遮断薬や5α還元酵素阻害薬の使用を考慮するのがいいかもしれません。
<α1遮断薬>

  • ハルナールD
  • フリバス
  • ユリーフ
  • ハイトラシン
  • バソメット
  • エブランチル

<5α還元酵素阻害薬>

  • アボルブ

前立腺肥大症診療ガイドライン 2011年日本泌尿器学会編


アイロミールエアゾール100μg経過措置2018年3月31日まで




アイロミールエアゾール100μgは諸般の事情により在庫終了をもって販売を中止するそうです。
https://ds-pharma.jp/product/kaitei/pdf/hanbaityuusi/2016/airomir_tyushi_201606.pdf

【経過措置期間】
2017年3月18日より 2018年3月31日
(2018年4月1日以降は薬価削除され、保険請求できなくなります)
https://ds-pharma.jp/product/kaitei/pdf/keikasoti/2017/keikasoti_201703.pdf

アイロミールエアゾールはサルブタモール硫酸塩を含有する定量噴霧式エアゾール剤です。
噴射剤としてフロンが当たり前のように使われていた時代に代替フロンである1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA-134a)を採用した国内初の喘息用 MDI(加圧式定量噴霧吸入剤)です。
発売当時はオゾン層の破壊に関する話題も重なり脚光を浴びました。
その当時、同一有効成分のサルタノールがまだフロンを噴射剤として使用していました。

アイロミール発売2年後の1999年サルタノールも代替フロンを使用した製剤を発売したためアイロミールの個性がかすみんでしまいました。
またアイロミールは添加物に無水エタノールをしようしているためアルコール過敏の方には使いにくいという印象や、アルコール臭いのが苦手という人から敬遠されている感じがします。

どちらかとうと、サルタノールのほうが売れているかなぁという印象でした。



代替薬

代替品として、
同一有効成分のサルタノールインヘラー100μg(GSK)があげられます。

同種同効品では、一番売れてるSABAのメプチンエアー10μg吸入100回(大塚製薬)も選択肢になるのではないでしょうか。


フルタイドエアゾール含量変更の謎




フルタイドエアゾールの添付文書を、ふと見ると【組成・性状】のところが改訂されていました。



成分であるフルチカゾンプロピオン酸エステル含量の1缶中の値が改訂されたようです。

含量が改訂? どういうこと?

とりあえずメーカーホームページにお知らせが載っていないか調べました。

使用説明書変更のお知らせ 2016.7
https://www.healthgsk.jp/content/dam/global/hcpportal/ja_JP/documents/revision/2016/P2016NO13.pdf

案内に記載されていたのは以下の文書。
※1缶中のフルチカゾンプロピオン酸エステル含量表示を記載整備により以下の様に変更いたします。
フルタイド50μg エアゾール120吸入用:9.72mg → 8.83mg
フルタイド100μg エアゾール60吸入用:12.25mg → 11.67mg
なお、本変更は表示上のみであり、製品自体に変更はありません。

記載整備?変更は表示のみで製品自体に変更ないってどういうことなのでしょう。
今までの添付文書の記載が誤りだったということなのでしょうか?
ますます分からなくなりました。

そこで、MRに説明してもらいました。
説明によると・・・
以前は実際に充填した有効成分量を記載していた。
改訂して理論充填量の有効成分量を記載することにした。
つまり、
フルタイド50μg エアゾール120吸入用の場合、
9.72mg実際に充填されるが製造中にある程度減ってしまう。
そのため最終残存理論値である8.83mgを記載することにした。
製造工程などを変えたわけではく、1回の噴霧量や1缶あたりの噴霧回数はかわらないから問題ない。

と、いうことらしいです。

ん~、わかったようなわからないような。

2017年4月13日木曜日

スインプロイク錠(ナルデメジン) モルヒネやフェントステープでおきる便秘の治療薬 




オピオイド誘発性便秘症に対する日本初の治療薬としてナルデメジントシル酸塩成分とする『スインプロイク錠0.2mg』が2017年3月に承認されました。

オピオイド鎮痛薬と便秘


がんの痛みや慢性疼痛の治療のためにオピオイド鎮痛薬が使用されることがあります。
オピオイド鎮痛薬とは、神経系の司令塔の部分である脳や脊髄に作用して痛みを抑える薬の総称です。

モルヒネ、オキシコンチン、フェントステープなどの医療用麻薬や慢性疼痛に使用されるトラマドール(トラマール)などがオピオイド鎮痛薬に該当します。

オピオイド鎮痛薬は中枢の μ オピオイド受容体を介して鎮痛作用を発揮する一方、消化管に存在する末梢の μ オピオイド受容体を介して消化管運動及び消化管神経活動を抑制し、オピオイド誘発性便秘症を引き起こします。

Brock C, et al., Opioid-induced bowel dysfunction: pathophysiology and management.Drugs 72: 1847-1865, 2012
PMID: 22950533 

日本において、オピオイド誘発性便秘症をに対する治療としては、浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロース)や大腸刺激性下剤(ラキソベロン、センノシド)などが使用されています。浸透圧性下剤は、習慣性が少ないことや安価なため高齢者を含め第一選択となる傾向があります。しかし、浸透圧性下剤は電解質異常や腹部膨満感等の副作用があり、特に酸化マグネシウム製剤は高齢者において高マグネシウム血症のリスクが報告されています。そして、大腸刺激性下剤は耐性や習慣性があり、痙攣性の便秘や腹痛を伴う場合は使用してはならないとされています。また長期使用による大腸メラノーシス等の副作用の問題があります。
さらに緩下剤では十分な効果が得られない患者さんも半数近くいます。

これら既存治療薬の有する問題を克服する新しい治療薬が求められていました。

そこで登場したのがスインプロイク錠です。

スインプロイク錠の作用機序


モルヒネやオキシコンチン等のオピオイド鎮痛薬は、主に中枢の μ オピオイド受容体を介して鎮痛作用を発揮する一方、消化管に存在する末梢の μ オピオイド受容体にも作用してしまい、便秘等を引き起こしてしまいます。

スインプロイク錠(ナルデメジン)は
消化管の末梢 μ オピオイド受容体にフタをすることで、オピオイド鎮痛薬を末梢で作用させなくします。
そのため、腸の活動が維持できるため、便秘が起こらなくなります。

ナルデメジンの作用機序



有効性


国内第三相臨床試験において、スインプロイク錠投与群とプラセボ投与群についてオピオイド鎮痛薬使用に伴う便秘症状の緩和の効果を比較しました。投与2週目の自発排便反応率は、スインプロイク錠投与群(0.2mg錠1日1回1錠)で、プラセボ群に対し有意に上回りました。

安全性


臨床試験においてスインプロイク錠0.2 mg1日1回投与は,概ね忍容性を示しました。
最も頻度が高かった有害事象は胃腸障害でした。腹痛や下痢が主なものでした。
スインプロイク錠投与によるオピオイド退薬症候や鎮痛効果への影響は認められませんでした。


食事の影響について


スインプロイク錠の薬物動態に及ぼす食事の影響を検討し臨床試験において、食後に投与した場合、Cmaxは空腹時投与と比較して約 35 %減少し、tmaxは空腹時投与の0.75 時間から 2.50 時間に延長しました。このことから、食事摂取による吸収の遅延が示唆されました。しかし、有効性や安全性に特段の問題は認められませんでした。
以上より食事摂取による吸収の遅延は、臨床上大きな影響は及ぼさないと考えられ、食事の摂取の有無にかかわらず投与できると考えられます。

腎機能障害患者に対する投与について


臨床試験において腎機能障害による影響を検討したところ、高度の腎機能障害患者で AUC0-infは腎機能正常者と比較して約 1.38 倍に上昇しました。けれども、腎機能正常者と比較して、腎機能障害患者の有害事象発現割合が上昇するような傾向はみられませんでした。
他の臨床試験において、承認用量の2倍量(0.4mg)を投与し曝露量が約2倍上昇した場合においても、有害事象の発現は 0.2 mg 投与群と比較して大きな差異は認められませんでした。
このことから高度の腎機能障害患者において安全性上のリスクが上昇する可能性は低いと考えられます。

スインプロイク錠と酸化マグネシウムは併用できるのか?


他の緩下剤が併用されていた、がん患者対象国内第 II 相と第 III 相試験において、緩下剤の併用による影響は認められず、有害事象の発現割合も緩下剤を併用することによる臨床上の問題は認められませんでした。
また、非がん性慢性疼痛患者対象長期投与試験においても緩下剤を併用していない患者数が限られてはいるものの、同様に大きな問題は認められませんでした。

併用は可能みたいですが、相加効果は期待できなさそうです。



スインプロイク錠0.2mg

[効能又は効果]
オピオイド誘発性便秘症

[用法及び用量]
通常、成人にはナルデメジンとして 1 回 0.2 mg を 1 日 1 回経口投与する。


2017年4月12日水曜日

アスピリン喘息既往のある人でも使える湿布薬




アスピリン喘息既往のある人でも使える湿布薬はないのでしょうか。

鎮痛薬の湿布は大きく分けて2つに分類できます。
第一世代と第二世代です。

第一世代は、サリチル酸メチルやサリチル酸グリコール を消炎鎮痛成分とするものです。
第二世代の消炎鎮痛貼付剤は鎮痛効果の高い非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs) を含んだ貼付剤です。

アスピリン喘息既往のある人でも使える湿布薬は『サリチル酸メチル』『サリチル酸グリコール』を成分とする貼付剤です。


タイプ 商品名 成分
冷感 MS冷シップ「タイホウ」 サリチル酸メチル
dl-カンフル
l-メントール
MS冷シップ「タカミツ」
GSプラスターC「ユートク」 サリチル酸グリコール
l-メントール 
温感 MS温シップ「タイホウ」 サリチル酸メチル 
dl-カンフル 
トウガラシエキス
MS温シップ「タカミツ」


アスピリン喘息では、原因となるNSAIDs服用から、通常1時間以内に、鼻閉、鼻汁に続き、咳、息苦しさ、時に嘔気や腹痛、下痢などの腹部症状が出現します。

誘発症状が強い例では、頚部から顔面の紅潮、消化器症状を認めやすく、皮疹はあまりでません。
過敏症状は軽症例では、約半日、重症例では24時間以上続きますが、症状のピークは、原因となるNSAIDsの効果発現時間とほぼ同じです。

なぜ、アスピリン喘息になる人とならない人がいるのかはよくわかっていません。

アスピリン喘息は、NSAIDsによるCOX-1阻害で内因性のプロスタグランディンE2が減少し、何らかの機序によってマスト細胞が活性化され、システィニルロイコトリエンの過剰産生が生じ、過敏症状が発現すると考えられています。
つまり、COX-1阻害作用の強いNSAIDほど、過敏症状を誘発しやすく、かつ誘発症状は強度なのです。

ポイントは

  • 解熱鎮痛効果の強い薬剤、すなわちCOX-1阻害作用の強いNSAIDsほど、激烈な副作用を生じやすい。
  • 吸収の早いNSAIDsほど、急激な過敏症状をもたらす。
  • NSAIDのもつCOX-1阻害作用により生じる副作用のため、原因となるNSAIDsの構造式上の共通点はない。

です。

したがって、アスピリン喘息既往のある人にはすべてのNSAIDsで喘息誘発リスクが高いと言えるため、使用は控えるべきでしょう。添付文書にもすべてのNSAIDs貼付剤にはアスピリン喘息禁忌となっています。
一方で、サリチル酸メチルのようなCOX1阻害作用の弱いサリチル酸塩はアスピリン喘息誘発リスクは極めて小さいと考えられます。



参考:
アスピリン喘息患者さんに安全な解熱鎮痛薬は何?
https://yakuza-14.blogspot.jp/2012/04/blog-post.html

大鵬薬品Q&A
http://di.taiho.co.jp/taiho/hp/questionAnswer.do?_questionAnswerId=877

独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター
http://www.hosp.go.jp/~sagami/rinken/crc/nsaids/condition01/medical.html

ベザリップ経過措置2018年3月31日まで




高脂血症治療剤「ベザリップ錠100mg、同200mg 」は諸般の事情により在庫終了をもって販売を中止するそうです。
https://chugai-pharm.jp/hc/ss/pr/drug/news/detail/PDF/1405239687269/20160400_bez_oshirase.pdf

【経過措置期間】
2017年3月18日より 2018年3月31日
(2018年4月1日以降は薬価削除され、保険請求できなくなります)


1978年ベザリップの成分であるベザフィブラートはドイツのベーリンガー・マンハイム社(現 エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社)でフィブラート系の高脂血症治療剤として開発されました。
そして、1983年5月ドイツでベザフィブラートの徐放化製剤が発売されました。

日本でも、1984 年よりキッセイ薬品とベーリンガー・マンハイム・ジャパン株式会社(現 中外製薬)が共同でベザフィブラート200mg 錠徐放化製剤の開発を行い、1991年1月に承認されました。
そのため1成分2名称となっています。

キッセイ薬品「ベザトールSR」
中外製薬「ベザリップ」

その後1995年、用量調節を容易にするため100mg錠徐放錠の販売を開始しました。


中外製薬は消化器領域には力を入れていません。
そのため、25年近く売り続けてきたのが不思議なくらいです。導入元の意地みたいなもので今まで売ってきたのでしょう。しかしあまり力を入れて売ってないのかベザリップの売上はさっぱりです。一方、共同開発したキッセイのベザトールSRはスタチンと肩を並べるくらい多く処方されています(NDBデータ)。

ベザリップの代替品


同一成分のベザトールSRが第一候補です。

または、同じフィブラート系に変えるのもひとつです。
ベザフィブラートよりトリグリセリド低下作用が強いと言われるフェノフィブラート(リピディル・トライコア)があります。
ベザフィブラートが1日2回なのに対し、フェノフィブラートは1日1回なので患者さんのライフスタイルに合わせて選択すると良いでしょう。





2017年4月11日火曜日

ミラドール経過措置2018年3月31日まで




ミラドール(成分:スルピリド)は胃・十二指腸潰瘍,統合失調症,うつ病・うつ状態を効能効果とする薬剤です。

ミラドールは2016年に販売を中止しています。
【経過措置期間】
2017年3月18日より 2018年3月31日
(2018年4月1日以降は薬価削除され、保険請求できなくなります)
http://www.bayer-hv.jp/hv/files/pdf.php/170329_MIR-17-0601_tyuushi2.pdf?id=18a355e222240e8f3b5fad7afd76f9c46

旧藤沢製薬(現ステラス製薬)がスルピリドを海外から導入して「胃十二指腸潰瘍」の適応でドグマチールとして販売していました。1974年、精神科領域への適応拡大を目指しアステラス製薬は旧住友製薬(現大日本住友製薬)および旧三井製薬(現バイエル薬品)と開発契約を締結し,1成分3名称の製品が誕生しました。

アステラス「ドグマチール」
バイエル「ミラドール」
大日本住友「アビリット」

1977 年にミラドールカプセルが承認を取得し、
1979 年 3 月にミラドール錠剤,ミラドール細粒 50%の剤型で統合失調症,うつ病・うつ状態を適応症として承認されました。
剤型の追加としてミラドール細粒10%が開発され 1981 年に承認を取得しました。

そして、2017年、40年の節目に販売終了となりました。


ミラドールの代替品


同一成分の
アステラス「ドグマチール」
大日本住友「アビリット」
です。



中年期以降の物忘れの改善効果のある「オンジ」とは



オンジ製剤は認知症の治療または予防に用いる医薬品ではありません

2017年4月、「中年期以降の物忘れの改善」を効能効果とする一般用医薬品が2品目相次いで発売されます。

クラシエ薬品の『「クラシエ」オンジエキス顆粒』と
ロート製薬の『キオグッド顆粒』です。

【2017年7月追記】
2017年6月には小林製薬から『ワスノン』が発売されました。

いずれも、生薬のオンジ(遠志)から抽出したエキスを乾燥粉末化した単味製剤です。

生薬:オンジ(遠志)とは


ヒメハギ科イトヒメハギ(Polygala tenuifolia)の根又は根皮が基原です。
北アメリカには同属植物の薬草、セネガシロップでおなじみのセネガ (Polygala senega) があり、セネガを中国では美遠志とよんでいます。セネガは鎮咳・去痰薬として利用されています。

オンジの主な成分はトリテルペンサポニンのオンジサポニンA~G、キサントン誘導体、トリメトキシケイヒ酸などです。
主な薬効は鎮静、去痰、抗炎症、強壮薬として、精神安定、神経衰弱、病後の不眠、動悸、気管支炎、気管支喘息です。
漢方薬の構成生薬であり、精神神経用薬、保健強壮薬とみなされる処方に少数例配合されています。
代表漢方処方には、帰脾湯(虚弱体質で血色の悪いものの貧血、不眠症に用いる。)、そして、人参栄養湯(病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血などに用いる。)があります。

オンジは物忘れに効果があるのか


オンジと記憶に関する検討を行った報告があります。
ラットにおいて、スコポラミンおよびストレスで誘発させた記憶喪失をオンジエキスが改善したそうです。
また、健常成人におけるオンジエキスのランダム化二重盲検比較試験において、
健康成人に、
オンジエキスを投与したグループと
プラセボと比べて
口頭記憶と作業記憶が向上するのか評価したところ

オンジエキスを投与された人のほうが投与されなかった人に比べて、記憶を評価するためのテストの成績が良かったという結果が得られたとのことです。
オンジエキスが記憶増強効果を有し、健康な成人において記憶を改善しうるものであることが示唆されています。

Neuroscience Letters, 454(2), 111-114 (2009). 
PMID: 19429065

Neuroscience Letters, 465(2), 157-159 (2009). 
PMID: 19699261


なぜ、今、単味製剤なのか


なぜ、単味の漢方製剤がいきなり出てきたのかというと
単味生薬製剤の製造に関するガイダンス」が2015年12月策定されたためです。

現行の日本薬局方には200品目を超える生薬が収載され、市場に流通しているが、その用途のほとんどが漢方製剤の製造原料であり、単味生薬のエキス製剤としてはほとんど開発が進んでいない状況でした。
そこで国は2010年に厚生労働科学研究班を設置し、研究班において生薬製剤の承認審査基準原案策定のための検討が行われ、医薬品の製造販売業者が、単味生薬のエキス製剤の開発を行うに当たり、標準煎剤と生薬エキスとの同等性を確認するための比較試験方法や一般用エキス製剤の製造販売承認申請において設定すべき生薬エキスの製造方法、規格及び試験方法等に関する事項を示したガイドラインを検討・策定されました。

つまり、単味生薬製剤が開発しやすい土壌が整ってきたということです。
今後も、このような単味生薬製剤がでてくることでしょう。

物忘れと認知症のちがい


2017年4月10日月曜日

オルメテック錠10mg・20mg・40mgの経過措置は2018年3月31日まで




オルメテック錠10mg・20mg・40mgが薬価基準経過措置品目として官報告示されました(2017年3月17日)
https://www.medicallibrary-dsc.info/announce/other/pdf-data/2017/1703stop_olm.pdf

【経過措置期間】
2017年3月18日より 2018年3月31日
(2018年4月1日以降は薬価削除され、保険請求できなくなります)

オルメテック錠には5mgという規格もありますが、こちらは対象外です。
オルメテック錠5mgも販売中止です。(2017年6月)
https://www.medicallibrary-dsc.info/announce/other/pdf-data/2017/1706stop_olm_tab5.pdf

オルメサルタン メドキソミル(オルメテック)は、イミダゾール環カルボキシル基をエステル化したプロドラッグタイプのアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)です。消化管で吸収された後、速やかに脱エステル化を受け、活性体オルメサルタンに変換され薬効を示します。
「高血圧症」を効能・効果として 2004 年 1 月 29 日にオルメテック錠 10mg 及び錠 20mg について承認されました。
オルメテック錠 40mg は 2009 年 10 月 27 日に承認されました。

高血圧症患者の服薬アドヒアランスの向上が期待でき、適切な血圧コントロールに有用な薬剤になると判断し、口腔内崩壊錠の剤形追加を順次申請し、オルメテック OD 錠 10mg、OD 錠 20mg、OD 錠 40mgが 2015 年 8 月に承認されました。

オルメサルタンの製剤特許の保護期間は米国では2016年10月まで、日本及び欧州では2017年2月まででした。

この、保護期間満了に伴う売上減及び後発品対策としてOD錠を発売し、コストを抑えるためブランドラインを整理し、普通錠の販売を中止することになったのです。
オルメテック錠の後発品は2017年6月発売予定。


オルメテック錠の代替品


オルメテックOD錠です。
生物学的同等性試験の結果、オルメテック錠とオルメテックOD錠は生物学的に同等であることが確認されており、有効性、安全性も同等であると考えられます。

味はオレンジ風味の僅かな甘みがあります。
ちょっと粉っぽくて、口の中の水分を持っていかれる感じ。

湿度に注意し30日程度であれば一包化も可能です。


他の代替案としては
オルメテック錠の後発品も考えられます。
オーソライズドジェネリックも発売されるようですし、リーズナブルな後発品も選択肢になるでしょう。


2017年4月3日月曜日

牛乳アレルギーでもビオフェルミンを飲んで大丈夫なの?




「牛乳アレルギーでもビオフェルミンを飲んで大丈夫なのか」よくある問い合わせです。

結論から言うと
牛乳アレルギーの方でもビオフェルミンは服用いただけます。


このような問いが生まれる理由には2つの誤解があると思います。

1つ目の誤解は、「乳」とつくものすべて牛乳アレルギーでは摂取してはいけないという誤解です。
牛乳アレルギーは、牛乳に含まれる『タンパク質』がアレルゲンとなる食物アレルギーです。牛乳由来のタンパク質を含んでいないものであれば、口にしても問題ありません。ビオフェルミンは乳酸菌を成分とする薬剤ですが、乳酸菌には「乳」とありますが牛乳由来のタンパク質は含んでいません。

2つ目は、乳酸菌製剤の中には牛乳アレルギーの人には投与できないものがあり、「すべての乳酸菌製剤」が牛乳アレルギーに投与禁忌であるという誤解です。

以下の4つの乳酸菌製剤は牛乳アレルギーの方には投与できません。
原料である乳酸菌の培養に牛乳タンパクを含む脱脂粉乳が使われているからです。

  • エンテロノン-R 散
  • コレポリーR 散 10%
  • 耐性乳酸菌散 10%「JG」
  • ラックビーR 散


しかし、以下の乳酸菌製剤の菌の培養には脱脂粉乳を使用していません。

  • ビオフェルミン
  • ビオスリー
  • ミヤBM
  • レベニン


これらは、牛乳アレルギー患者さんにも投与可能です。



参考:
牛乳アレルギーの人に投与してはいけない薬、慎重に投与されなければならない薬