あなたはお屠蘇(おとそ)をご存知ですか?
お正月に飲むアレです。
お酒のことではありませんよ。
お屠蘇とは、約10種類くらいの生薬を配合した屠蘇散をお酒に浸して飲む、日本古来からあるハーブ酒です。
1年の邪気を払い、齢を延ばすという縁起物として親しまれています。
屠蘇散は屠蘇延命散ともいいます。
お屠蘇の歴史
中国三国時代、魏の名医である華佗(かだ)の処方だと伝えられています。山椒、防風、白朮、桔梗、陳皮、肉桂、大黄、烏頭、山帰来などを調合し、酒に浸して飲んだのが始まりと言われています。
日本では、平安時代から宮中で飲まれるようになり、その後一般庶民の間にも広まったといわれています。
屠蘇を長い柄のついた銚子、または丸い柄のひさげの中の酒に浸して年少者から飲み回し、新しい年を祝ったとされています。
お屠蘇の語源
「屠蘇」の語源は、邪気(病のもと)を屠って(除いて)、魂を蘇生させるという意味に由来しているといわれてます。また屠蘇庵という草庵の名前が由来するともいわれ、諸説あり、はっきりとした由来は分かっていません。
お屠蘇は薬局で買うことができます
現在では、山椒、防風、白朮、桔梗、肉桂などを配合した屠蘇散がティーバッグ状になって販売されています。スパーマーケットやコンビニなどでも売っているところはありますが、本来は薬酒の材料ですので薬の専門家である薬剤師のいる薬局でお買い求めください。屠蘇散の成分の解説
※現代の屠蘇散の構成生薬には決まったものはありません。以下は一例です。【山椒】
原植物名:サンショウ Zanthoxylum piperitum De Candoll
部位:成熟した果実で、果皮から分離した種子をできるだけ除いたもの
薬能:腹の中の冷えや痛み、間歇熱を治す。回虫を殺し、脾胃を温めて寒を散ずる。
性味:辛、大熱
【防風】
原植物名:ボウフウ
部位:根
薬能:発汗、去痰、鎮痛
性味:苦甘、温
【白朮】
原植物名:オケラ
部位:根茎
薬能:補脾益気・燥湿利水
性味:甘微苦、温
【桔梗】
原植物名:キキョウ
部位:根
薬能:清肺堤気・去痰排膿
性味:苦辛、平
【陳皮】
原植物名:ウンシュウミカン
部位:果皮。外果皮を秋~冬に採取して、日干しにする(陳皮、青皮)。
薬能:理気健脾・燥湿化痰。主として水分代謝異常を治す。
性味:辛苦、温
【肉桂(桂皮)】
原植物名:クスノキ科ケイ Cinnamomum cassia Blume
部位:樹皮
薬能:体の下から上の方へ突き上げてくるような症状を治す。また、その突き上げの激しい一種の心悸亢進発作、頭痛、発熱、軽度の悪寒、汗が出て体痛のあるものを治す。
性味:辛苦、温
【大黄】
原植物名:タデ科ダイオウ属Rheum officinale Baillon、Rheum palmatum Linné
部位:根茎
薬能:主として停滞している病毒を下す。したがって胸腹部の膨満、腹痛、便秘、小便の出が悪いものを治す。また、黄疸、血液の停滞による症状、できものを治す。
性味:辛甘、温
【烏頭(附子)】
原植物名:ハナトリカブト
部位:塊根(主根を烏頭という)
薬能:主として水分の代謝を盛んにし、水分の偏在を除く。したがって悪寒、身体および四肢の関節痛、重だるいもの、知覚麻痺、手足の冷えなどを治す。また腹痛、遺精や夢精、下痢をも治す。
性味:大辛、大熱
【山帰来(菝葜)】
原植物名:サルトリイバラ Smilax china
部位:根茎
薬能:解毒。胃腸炎、消化不良など。
性味:甘、酸,平