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2016年11月25日金曜日

サインバルタなどSNRI3成分添付文書改訂 自動車運転禁止緩和



SNRI3成分の添付文書改訂指示が2016年11月25日発出され

重要な基本的注意の自動車運転に関する項目について一律禁止ではなく患者の状況に応じた柔軟な対応ができるよう添付文書が改訂されました。


対象:
①トレドミンほか
②サインバルタ
③イフェクサーSR

before:
本剤投与中の患者には,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に事させないよう注意すること。

after:
自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させると。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。


経緯:
関係学会などから「ほとんどの精神疾患患者は、症状改善と 再発予防のために向精神薬の服薬継続が不可欠だが、我が国の添付文書によれば、抗うつ薬 3 剤(パロキセチン塩酸塩水和物、塩酸セルトラリン、エスシタロプラムシュウ酸塩)を除いた全ての向精神薬に関して、運転中止を求めざるを得ないこと、恩恵があるはずの治療薬 が患者の生活を奪うことになるばかりか、必要な治療を受けず症状の悪化、再発をしてしま う患者の増加を危惧していることから、添付文書の改訂を要望する」要望書が出されていました。

これについて、国内外のデータを解析、専門家らが協議を行い
SNRIの自動車運転等の機械操作に関する注意喚起を、 SSRIの注意喚起に合わせ、一律禁止ではなく患者の状況に応じた柔軟な対応ができるよう に添付文書を改訂することになりました。

医薬品の服用中であっても
十分に注意して自動車運転等を行うことができる条件がまとめられました。

(平成28年11月25日 薬生安発1125第2、3号)
ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩及びベンラファキシン塩酸塩の「使用上の注意」改訂の周知について
http://www.pmda.go.jp/files/000215085.pdf

医師及び自動車運転等を希望する患者に対する注意事項
 
1. 本剤を処方される患者が自動車運転等を希望する際に医師が注意すべき点 
① 患者のうつ病等の精神疾患の状態が安定しているかよく観察する。
② 用法・用量を遵守する。 
③ 患者に対する本剤の影響には個人差があるので、個々の患者をよく観察する。
④ 本剤の投与により、めまい、眠気に代表される自動車運転等に影響を与える 可能性のある副作用が発生することがあるので、患者の自覚症状の有無を確 認する。 
⑤ 投与初期、他剤からの切り替え時、用量変更時には、患者にとって適切な用 量で精神疾患の状態が安定しているか、特に患者の状態に注意する必要があ る。そのため、自動車運転等の可否を判断する前に一定期間、観察すること も検討する。 
⑥ 多剤併用処方は避け、必要最小限のシンプルな処方計画を心がける。また、 併用薬がある場合は自動車運転等への影響を予測することが困難なため、場 合によっては自動車運転等を避けるよう注意することが適切な場合もある。 

2. 本剤を処方された患者が自動車運転等を行う際に患者が注意すべき点 
① 本剤の投与により、めまい、眠気に代表される自動車運転等に影響を与える 可能性のある副作用が発生することがある。 
② 投与初期、他剤からの切り替え時、用量変更時等は上記副作用が発生しやす いため、可能な限り自動車運転等を控え、めまい、眠気や睡眠不足等の体調 不良を自覚した場合は、自動車運転等を絶対に行わない。

薬の副作用で男性もおっぱいが大きくなる?薬剤一覧表




ある薬剤には、男性の乳房を肥大させるという副作用があります。
これを「女性化乳房」と言います。

症状として、乳房が腫れたり、痛みや張りといったものがあります。ときには乳汁が出ることもあります。

女性化乳房がおきるメカニズムとして考えられているのが、女性ホルモンと乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)に何らかの影響が起こり発生しているというものです。
特に、男性ホルモンであるアンドロゲンと女性ホルモンであるエストロゲンのバランスの乱れが原因となることが多いです。


男性ホルモン(テストステロン)と女性ホルモン(エストロゲン)のバランスの乱れ


前立腺がんなどの治療では、エストロゲン製剤や内因性のエストロゲンを増加させるような薬剤が使われます。

フルタミド(オダイン)やビカルタミド(カソデックス)などを投与すると、アンドロゲンと競合しアンドロゲン受容体に結合できないジヒドロテストステロンが過剰となります。そうなると男性ホルモンの合成が低下します。
一方でジヒドロテストステロンが過剰になり、男性ホルモンが過剰な状態になると、不要な男性ホルモンはアロマターゼという酵素によって女性ホルモンの1つであるエストラジオールに変換されます。そのため血中の男性ホルモン/女性ホルモン比が上昇し、女性化乳房を引き起こしてしまいます。

前立腺肥大症の治療薬や壮年性脱毛症治療薬に使われるデュタステリド(アボルブ・ザガーロ)やフィナステリド(プロペシア)などは、男性ホルモンをジヒドロテストステロンに変換するために必要な5α還元酵素を阻害することで、活性の高いジヒドロテストステロンを低下させ抗アンドロゲン作用を示します。この、抗アンドロゲン作用、すなわち男性ホルモンの低下によって女性化乳房を引き起こすことが知られています。

また、抗真菌薬のケトコナゾールも5α還元酵素を阻害する作用をもっているため、上記と同じ機序で女性化乳房を引き起こす可能性があります。

利尿薬のスピロノラクトン(アルダクトンA)は、アルドステロン受容体に結合し、アルドステロンの結合を阻害することで降圧作用を示します。
しかし、アルドステロンだけではなく、アンドロゲンやプロゲステロンなどの性ホルモン受容体にも作用してしまいます。これによって男性ホルモンの血中濃度が上昇し、フィードバック機構によって男性ホルモンの合成が低下してしまい、女性ホルモンの割合が高くなってしまいます。

H2ブロッカーであるシメチジン(タガメット)やファモチジン(ガスター)にも抗アンドロゲン作用あるため、女性化乳房を来す恐れがあります。

また、ジギタリス製剤にも女性化乳房の副作用があることが知られています。ジゴキシンの構造が女性ホルモンに似ていることや女性ホルモンの合成や放出に影響するためと考えられています。


乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)への影響


プロラクチンは脳下垂体から放出されるホルモンです。ドパミンなどによって調節されています。睡眠不足やストレスによっても分泌が増大することが知られています。
プロラクチンが多くなると男性でも女性のように乳腺の発達が刺激され乳房が肥大しお乳が出てくることがあります。

抗精神病薬のフェノチアジン系やブチロフェノン系薬剤、三環系の抗うつ薬、制吐薬のメトクロプラミド(プリンペラン)、抗ヒスタミン薬のオキサトミド(セルテクト)などの持つドパミン受容体遮断作用によって、プロラクチンの分泌抑制が阻害され、高プロラクチン血症となってしまうため、女性化乳房が起きてしまうことがあります。

他にも、ドパミンの産生を抑制するレセルピンやメチルドパ、ベラパミル(ワソラン)などの降圧薬でも女性化乳房がおきることがあります。

また、モルヒネμ受容体の刺激でプロラクチンが増えることが知られています。モルヒネやフェンタニルでも乳汁分泌の報告がなされています。


カルシウム拮抗薬やイソニアジドのように、女性化乳房の報告はありますが、なぜおきるのかメカニズムが分かっていないものも多くあります。


添付文書に副作用として「女性化乳房」の記載がある内服薬一覧(後発品除く)



商品名

一般名

薬効分類名(標榜薬効)

ザガーロ

デュタステリド

5α還元酵素1型/2型阻害薬男性型脱毛症治療薬

アボルブ

デュタステリド

5α還元酵素阻害薬前立腺肥大症治療薬

ニューロタン

ロサルタンカリウム

A-IIアンタゴニスト

ヘルベッサー

ジルチアゼム塩酸塩

Ca拮抗剤

エパデール

イコサペント酸エチル

EPA製剤

タガメット

シメチジン

H2受容体拮抗剤

プロテカジン

ラフチジン

H2受容体拮抗剤

ガスター

ファモチジン

H2受容体拮抗剤
(ファモチジン口腔内崩壊錠)

アイセントレス

ラルテグラビルカリウム

HIVインテグラーゼ阻害剤

レイアタッツ

アタザナビル硫酸塩

HIVプロテアーゼ阻害剤

リピトール

アトルバスタチンカルシウム

HMG-CoA還元酵素阻害剤

クレストール

ロスバスタチンカルシウム

HMG-CoA還元酵素阻害剤

タケルダ配合錠

アスピリン/ランソプラゾール

アスピリン/ランソプラゾール配合剤

セルテクト

オキサトミド

アレルギー性疾患治療剤

アモキサン

アモキサピンカプセル・アモキサピン

うつ病・うつ状態治療剤

ジゴキシン

ジゴキシン

ジギタリス配糖体製剤

グラマリール

チアプリド

チアプリド製剤

ネキシウム

エソメプラゾールマグネシウム水和物

プロトンポンプ・インヒビター

オメプラゾン

オメプラゾール

プロトンポンプ・インヒビター

オメプラール

オメプラゾール

プロトンポンプ・インヒビター

タケプロン

ランソプラゾール

プロトンポンプインヒビター

パリエット

ラベプラゾールナトリウム

プロトンポンプ阻害剤

ラベキュア

ラベプラゾールナトリウム、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン

ヘリコバクター・ピロリ除菌治療剤

ラベファイン

ラベプラゾールナトリウム、アモキシシリン水和物、メトロニダゾール

ヘリコバクター・ピロリ除菌治療剤

ランサップ

ランソプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシン

ヘリコバクター・ピロリ除菌治療剤

ランピオン

ランソプラゾール、アモキシシリン、メトロニダゾール

ヘリコバクター・ピロリ除菌治療剤

ルプラック

トラセミド

ループ利尿剤

オノン

プランルカスト水和物

ロイコトリエン受容体拮抗剤気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤

ムコスタ

レバミピド

胃炎・胃潰瘍治療剤

ノピコール

ナルフラフィン塩酸塩

経口そう痒症改善剤

レミッチ

ナルフラフィン塩酸塩

経口そう痒症改善剤

セレジスト

タルチレリン

経口脊髄小脳変性症治療剤

イスコチン

イソニアジド

結核化学療法剤

ネオイスコチン

イソニアジドメタンスルホン酸ナトリウム水和物

結核化学療法剤

ヒドラ

イソニアジド

結核化学療法剤

カルデナリン

ドキサゾシンメシル酸塩

血圧降下剤

テグレトール

カルバマゼピン

向精神作用性てんかん治療剤躁状態治療剤

インテレンス

エトラビリン

抗ウイルス化学療法剤

ストックリン

エファビレンツ

抗ウイルス化学療法剤

コンビビル配合錠

ジドブジン・ラミブジン

抗ウイルス化学療法剤

レトロビル

ジドブジン

抗ウイルス化学療法剤

プリジスタ

ダルナビル エタノール付加物

抗ウイルス化学療法剤

マイスタン

クロバザム

抗てんかん剤

リマチル

ブシラミン

抗リウマチ剤

フルツロン

ドキシフルリジン

抗悪性腫瘍剤

グリベック

イマチニブメシル酸塩

抗悪性腫瘍剤(チロシンキナーゼインヒビター)

タシグナ

ニロチニブ塩酸塩水和物

抗悪性腫瘍剤(チロシンキナーゼインヒビター)

ネクサバール

ソラフェニブトシル酸塩

抗悪性腫瘍剤キナーゼ阻害剤

スプリセル

ダサチニブ

抗悪性腫瘍剤チロシンキナーゼインヒビター

アイクルシグ

ポナチニブ塩酸塩

抗悪性腫瘍剤チロシンキナーゼインヒビター

コンプラビン配合錠

クロピドグレル硫酸塩/アスピリン

抗血小板剤

プラビックス

クロピドグレル硫酸塩

抗血小板剤

インヴェガ

パリペリドン

抗精神病剤

ロナセン

ブロナンセリン

抗精神病剤

リスパダール

リスペリドン

抗精神病剤

アダラート

ニフェジピン

高血圧・狭心症治療剤
(Ca拮抗剤)

ミニプレス

プラゾシン塩酸塩

高血圧・排尿障害治療剤

コニール

ベニジピン塩酸塩

高血圧症・狭心症治療剤
(持続性Ca拮抗薬)

アムロジン

アムロジピンベシル酸塩

高血圧症・狭心症治療薬持続性Ca拮抗薬

ノルバスク

アムロジピンベシル酸塩

高血圧症・狭心症治療薬持続性Ca拮抗薬

ザイロリック

アロプリノール

高尿酸血症治療剤

オステン

イプリフラボン

骨粗鬆症治療剤

バイミカード

ニソルジピン

持効性Ca拮抗剤

ヒポカ

バルニジピン塩酸塩

持効性Ca拮抗剤

プレミネント配合錠

ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド

持続性ARB/利尿薬合剤

ザクラス配合錠

アジルサルタン/アムロジピンベシル

持続性AT1レセプターブロッカー/持続性Ca拮抗薬配合剤

カルスロット

マニジピン塩酸塩

持続性Ca拮抗降圧剤

バイロテンシン

ニトレンジピン

持続性Ca拮抗剤

カデュエット配合錠

アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物

持続性Ca拮抗薬HMG-CoA還元酵素阻害剤

ユニシア配合錠

カンデサルタン シレキセチル・アムロジピンベシル酸塩

持続性アンジオテンシンII受容体拮抗薬/持続性Ca拮抗薬配合剤

ロコルナール

トラピジル

循環機能改善剤

ナウゼリン

ドンペリドン

消化管運動改善剤

ガナトン

イトプリド塩酸塩

消化管運動賦活剤

トリラホン

ペルフェナジン

神経安定剤

ドグマチール

スルピリド

精神・情動安定剤

デパス

エチゾラム

精神安定剤

コントミン

クロルプロマジン塩酸塩

精神神経安定剤

インプロメン

ブロムペリドール

精神神経安定剤

ピーゼットシー

ペルフェナジンフェンジゾ酸塩

精神神経安定剤

クレミン

モサプラミン塩酸塩

精神神経安定剤

レボトミン

レボメプロマジンマレイン酸塩

精神神経安定剤

ウインタミン

クロルプロマジンフェノールフタリン酸塩

精神神経用剤

ノバミン

プロクロルペラジンマレイン酸塩

精神神経用剤

ニューレプチル

プロペリシアジン

精神神経用剤

ヒルナミン

レボメプロマジンマレイン酸塩

精神神経用剤

エックスフォージ

バルサルタン/アムロジピンベシル酸塩

選択的AT1受容体ブロッカー/持続性Ca拮抗薬合剤

ユリーフ

シロドシン

選択的α1A遮断薬前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬

ジェイゾロフト

塩酸セルトラリン

選択的セロトニン再取り込み阻害剤

エストラサイト

エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物

前立腺癌治療剤

イクスタンジ

エンザルタミド

前立腺癌治療剤

フリバス

ナフトピジル

前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤

ハルナール

タムスロシン

前立腺肥大症の排尿障害改善剤

ミカトリオ配合錠

テルミサルタン/アムロジピンベシル酸塩/ヒドロクロロチアジド

胆汁排泄型持続性AT1受容体ブロッカー/持続性Ca拮抗薬/利尿薬合剤

ミカムロ配合錠

テルミサルタン/アムロジピンベシル酸塩配合

胆汁排泄型持続性AT1受容体ブロッカー/持続性Ca拮抗薬合剤

アイミクス配合錠

イルベサルタン/アムロジピンベシル酸塩

長時間作用型ARB/持続性Ca拮抗薬配合剤

プラザキサ

ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩

直接トロンビン阻害剤

アンカロン

アミオダロン塩酸塩

不整脈治療剤

サンディミュン

シクロスポリン

免疫抑制剤

ネオーラル

シクロスポリン

免疫抑制剤

リリカ

プレガバリン

疼痛治療剤
(神経障害性疼痛・線維筋痛症)

2016年11月24日木曜日

ムコソルバンLカプセル45mg経過措置2017年3月31日まで




ムコソルバンLカプセル45mgが薬価基準経過措置品目として官報告示されました(2016年11月17日)
http://medical.teijin-pharma.co.jp/notice/fcn28e0000003g90-att/fcn28e0000003g9y.pdf

【経過措置期間】
2016年11月18日より 2017年3月31日
(2017年4月1日以降は薬価削除され、保険請求できなくなります)

ムコソルバンは、アンブロキソールを成分とする去痰剤です。
気管・気管支領域においてサーファクタント(肺表面活性物質)分泌促進作用、気道液分泌促進作用そして線毛運動亢進作用により気道壁を潤滑にして喀痰喀出を促進することが確認されています。
また、副鼻腔領域においては、慢性副鼻腔炎の排膿にも有効であることが確認されています。

1983年5月に1日3回服用の錠剤「ムコソルバン®錠」が承認を得て発売されています。。さらに、服薬コンプライアンスの向上のために1日1回経口投与の徐放性カプセル剤「ムコソルバンLカプセル」が1996年7月に承認されました。
「ムコソルバンLカプセル」は、夕食後1回の投与により夜間から早朝にかけて高い血中濃度が得られることから、慢性呼吸器疾患患者の早朝覚醒時の喀痰喀出困難に対して有用性が確認されています。

2015年2月には、「ムコソルバンLカプセル」の剤形追加医薬品として小型の徐放性錠剤「ムコソルバンL錠45mg」が承認を取得しました。


ムコソルバンLカプセルの代替品


メーカーの推奨する代替品は、「ムコソルバンL錠45mg」です。
「ムコソルバンLカプセル」の剤形が大きく飲みにくさがあったことから「ムコソルバンL錠45mg」が開発された経緯があります。

しかし、「ムコソルバンLカプセル」が販売中止となってもなお処方されています。カプセル剤に根強い人気があるようです。理由は色々考えられますが、脱カプセルしてそのまま飲んだり、経管投与するのに便利だったりするようです。

どうしても、カプセルがいいのであれば、一物二名称の

  • ムコサール-Lカプセル45mg

があります。
後発品も選択肢になります。

  • アンブロキソール塩酸塩徐放カプセル45mg「トーワ」
  • アンブロキソール塩酸塩徐放カプセル45mg「ZE」
  • アンブロキソール塩酸塩徐放カプセル45mg「日医工」
  • アンブロキソール塩酸塩徐放カプセル45mg「TCK」
  • アンブロキソール塩酸塩Lカプセル45mg「サワイ」
  • ムコソレートLカプセル45
  • ポノフェンSRカプセル45



ムコソルバンL錠の特徴


素直にメーカー推奨品に切り替えてみるとして、「ムコソルバンL錠45mg」の特徴を見てみましょう。

去痰剤では初めての小型徐放錠
ムコソルバンL錠の大きさは直径7.5mm、厚さ6mmとクラス最小となっていて、ムコソルバンLカプセルに比べると直径が半分になっています。。去痰剤といえばムコダインですが、小さめの250mg錠でも直径8.6mm、厚さ4.5mmという大きさです。

L錠の特徴は小さくなって飲みやすくなっただけです。

1日1回で寝る前服用することで、翌朝の痰の切れが良くなることや、COPDの吸入薬と同じく1日1回服用にすることで服薬コンプライアンス向上に寄与できるなどメーカー側は強調しますが、Lカプセルでも同じことで、L錠に特筆すべき事ではありません。


しかも、徐放性錠剤には後発品メーカーがOD錠を出しており、小さくしたメリットすら目立たなくなっています。


  • アンブロキソール塩酸塩徐放OD錠45mg「ZE」
  • アンブロキソール塩酸塩徐放OD錠45mg「サワイ」
  • アンブロキソール塩酸塩徐放OD錠45mg「ニプロ」


2016年11月17日木曜日

リクラスト点滴静注液 5 mg(ゾレドロン酸水和物) 1年1回注射するだけの骨粗鬆症治療薬 




ビスホスホネート系薬であるゾレドロン酸水和物の4mg製剤はゾメタ点滴静注として「悪性腫瘍による高カルシウム血症」「多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変」の効能・効果で承認されています。

リクラスト点滴静注液は、そのゾレドロン酸水和物を有効成分とする注射剤です。

ビスホスホネート系薬剤は国内外において骨粗鬆症の治療薬として汎用されていますが経口剤では吸収率の低下や上部消化管の粘膜刺激による消化管障害の副作用回避の観点から、朝食の30分以上前に服用する必要があり、服用後少なくとも 30分は横にならない等の制約があります。

これらの服薬時の制約から患者さん忘れず飲み続けることが困難になっています。
そのため、骨粗鬆症の治療薬開発ではこれまで投与頻度の少ない経口剤や注射剤の開発が行われてきました。

リクラストは既存のビスホスホネート系薬剤の経口剤及び注射剤より投与間隔を長くすることに成功し1年間に1回投与で良いことが特徴です。コンプライアンスの向上が期待されているお薬です。


リクラストは2007年8月にアメリカにおいて閉経後骨粗鬆症の治療の適応症、2007年 10月にヨーロッパで骨折リスクの高い閉経後骨粗鬆症の治療の適応症として承認されています。


日本におけるビスホスホネート系薬剤の注射剤
アレンドロン酸ナトリウム水和物注射液(4週間に1回点滴静脈内投与製剤)
イバンドロン酸ナトリウム水和物注射液(1カ月に1回静脈内投与製剤)

日本におけるビスホスホネート系薬剤の経口剤
アレンドロン酸ナトリウム水和物錠(連日投与製剤及び週1回投与製剤)
リセドロン酸ナトリウム水和物錠(連日投与製剤、週1回投与製剤及び1カ月に1 回投与製剤)
ミノドロン酸水和物錠(連日投与製剤及び4週間に1回投与製剤)
エチドロン酸二ナトリウム水和物錠(連日投与製剤)
イバンドロン酸ナトリウム水和物錠(1カ月に1回投与製剤)


リクラストの作用機序


ビスホスホネート系薬剤は構造的に3つの世代に分けられます。
側鎖に窒素を含まないものが第一世代、
側鎖に窒素を含み環状構造を有さないものが第二世代、
側鎖に窒素を含み環状構造を有するものが第三世代とされています。

リクラストの成分ゾレドロン酸は第三世代に分類されます。


側鎖に窒素を含む第三世代ビスフォスホネートの標的分子は、メバロン酸代謝経路のファルネシルピロリン酸(FPP)合成酵素です。
この酵素の阻害によって、Ras、Rho、Rabなどの低分子量GTP結合タンパク質のプレニル化が阻害されることで破骨細胞の機能を喪失させ骨吸収抑制作用を示すと考えられています。

ヒト組換えファルネシル二リン酸合成酵素(FPPS)に対する IC50値は、
ゾレドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸及びミノドロン酸でそれぞれ、0.003、0.20、0.05、0.02、0.01 及び 0.003 μmol/L であることが報告されています
J Pharmacol ExpTher 2001; 296: 235-42
http://jpet.aspetjournals.org/content/296/2/235.long
PMID:11160603

高カルシウム血症モデルラットにおいて、ゾレドロン酸は、エチドロン酸、クロ
ドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸及びリセドロン酸と比較して強い血中カルシウム濃度上昇抑制作用を示すことがわかっています。

ゾレドロン酸はアレンドロン酸、エチドロン酸、パミドロン酸、イバンドロン酸及びリセドロン酸と同程度の骨親和性を有することが報告されています
Bone 2006; 38: 628-36
http://www.thebonejournal.com/article/S8756-3282(05)00320-0/abstract
PMID:16185944

ゾレドロン酸のラット単回皮下投与時の骨移行性は約55.8%、骨中半減期は 300~500 日でした。
ゾレドロン酸は他のビスホスホネート系薬剤と同様に、高い骨親和性/骨移行性及び長い骨中半減期により、持続的に作用を発現すると考えられています。


リクラスト1回5mgの理由


国内第I相単回投与試験において原発性骨粗鬆症患者を対象にリクラスト4 mg又は5 mgを単回投与した結果、投与 12 カ月後において骨吸収マーカーは低下していましたけれど、用量間でその推移に大きな違いは認められず、安全性についても、4 mgと 5 mg で大きな違いは認められませんでした。

海外では承認用法・用量として、5 mgの年1回投与が選択されています。
その理由には、海外第II相試験で4 mgの年1回投与群で骨密度が増加したけれども骨吸収マーカーは投与1カ月維持されず上昇する傾向が認められたというのがあります。

海外第Ⅲ相骨折抑制試験では、用法・用量として5 mgの年 1 回投与が設定され、主要評価項目である投与36カ月間の新規椎体骨折発生率についてリクラスト群のプラセボ群に対する優越性が認められました。
骨吸収マーカーについてもリクラスト群では投与36カ月後においても抑制されていました。

国内第Ⅲ相骨折抑制試験では、海外の承認用法・用量でもある本剤5mgの年1回投与での有効性及び安全性が検討されました。
その結果、主要評価項目とされた投与24カ月間の新規椎体骨折の累積発生率において本剤 5 mg 群のプラセボ群に対する優越性が示されました。

安全性について、副作用の発現割合はプラセボ群と比較してリクラスト群で高い傾向が認められましたが、有害事象の発現割合に投与群間で大きな違いはなく、副作用と判断された事象のうち重篤な事象を発現した例数は、リクラスト群とプラセボ群で大きな違いは認められませんでした。

以上から、用法・用量は、海外と同じ 5 mg の年 1 回投与となっています。


腎機能低下患者への投与には注意


米国食品医薬品局(FDA)により有害事象報告システム(AERS)に 2007 年 4 月から 2009年 2 月までに報告されたリクラストの投与と関連する腎機能障害又は急性腎不全を発現した24症例の評価がなされ、注意喚起がされました。
しかし、その後も腎不全による透析症例、死亡症例が報告されたことをうけアメリカの添付文書において、CLcrが35mL/min 未満の患者及び急性腎機能障害の
所見を有する患者が禁忌に設定されました。
また、リクラスト投与前の血清クレアチニンが基準値範囲内でも CLcrが35 mL/min 未満に該当する症例が認められたこと等を踏まえ、本剤の各投与前に、血清クレアチニンではなく体重を基にCockcroft-Gault式を用いてCLcrを算出する旨の注意喚起がなされました。
さらに、ベースラインの腎機能障害にかかわらず、体液の減少などを含む急性疾患の患者では腎機能障害のリスクが上昇することから、脱水の既往もしくはその身体的兆候が認められる患者では、細胞外液量が正常に戻るまでリクラストによる治療を延期すべきである旨が注意喚起されました。

http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/DrugSafetyNewsletter/ucm167883.htm

日本でも海外と同様にCLcrが35mL/min未満の重度の腎機能障害患者を禁忌に設定されています。
また投与前に CLcr 等を算出して腎機能の評価を行い、投与の可否を判断する旨を注意喚起しています。
海外において腎不全発現時に脱水症が認められていることを踏まえると、脱水症の進行が腎不全発現の重要な原因と考えられることから、脱水状態にある患者(脱水症状を有する患者や高熱、高度の下痢や嘔吐等
のある患者)を禁忌に設定しています。


高齢者の投与に注意


国内臨床試験においてリクラスト群の75歳超の集団における腎機能障害関連事象の発現割合が他の年齢別の集団と比較して高く、プラセボ群と比較してもその発現割合が高いことが報告されています。高齢者は腎機能も低下していることからも投与に際しては注意すべきであると言えるでしょう。


男性への投与


男性骨粗鬆症患者については、海外において臨床試験が2つ実施されています。
1つめ試験は、原発性骨粗鬆症又は性腺機能低下症に続発する骨粗鬆症を有する
男性患者を対象に、リクラスト5 mg を1年に1回2年間点滴静脈内投与とアレンドロン酸ナトリウム水和物70mgを週1回2年間経口投与が比較された実薬対照無作為化二重盲検並行群間比較試験です。
主要評価項目とされたベースラインから投与24カ月後の腰椎骨密度の変化率は、
アレンドロン酸群6.20±0.39%、
リクラスト群 6.07±0.38%で、
変化率の群間差(リクラスト群-アレンドロン酸群)と
その 95%信頼区間は-0.13[-1.12, 0.85]%でした。
リクラスト群のアレンドロン酸群に対する非劣性が示されました。

2つめの試験は、原発性骨粗鬆症又は性腺機能低下症に続発する骨粗鬆症を有する男性患者を対象に、プラセボ又はリクラスト5 mg を 1 年に 1 回、2 年間点滴静脈内投与されたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験です。

主要評価項目とされた投与24カ月間の新規椎体骨折発生率は
プラセボ群 4.9%(28/574 例)、
リクラスト群 1.6%(9/553 例)で、
相対リスクとその 95%信頼区間は、0.33[0.16, 0.70]でした。
リクラスト群のプラセボ群に対する優越性が示されました。

男性骨粗鬆症患者においても女性骨粗鬆症患者と同程度の有効性が期待できると考えられます。



[効能又は効果]
骨粗鬆症

[用法及び用量]
通常、成人には 1 年に 1 回ゾレドロン酸として 5 mg を 15 分以上かけて点滴静脈内投与する。


2016年11月15日火曜日

子どもの慢性頭痛に呉茱萸湯(ゴシュユトウ)





五苓散が投与されていた13歳の男の子の処方が呉茱萸湯に変わりました。


13歳 男 体重52kg

ツムラ 031 呉茱萸湯エキス 7.5g 分3 14日分




色白で声は小さい感じでした。普段は食欲はあり、お通じも正常。
慢性頭痛がある患者さんで、痛みで吐いてしまうくらいだそうです。


子供の頭痛と漢方薬


漢方医学的視点からみると、頭痛は冷えに由来する場合が多く、生活背景として陰性食品(体を冷やす食品) を摂りすぎている場合が多いので、生活指導が重要です。

漢方薬の有効性を高めるためには腸内細菌の助けが必要であり、食事の影響を受けない空腹時の服用が勧められます。
漢方エキス剤の服用方法は、食前あるいは食間に熱い湯に溶いて服用します。
苦く飲みづらい場合は、オブラートに包んだり、ココア、蜂蜜などに混ぜて飲ませてもよいです。
年長児に服用させる場合、薬について納得のいく説明をし、どうしたらうまく飲めるかについて一緒に検討します。
飲みづらくても薬の効果を納得できると、我慢して飲む子が多いです。

漢方薬は指示どおりにきちんと服用することで、体がなじみよく効くようになるので、2 週間から1カ月を目途に効果判定を行います。

日本小児心身医学会 くり返す子どもの痛みの理解と対応ガイドライン(南江堂)
http://amzn.to/2fPQ9sT


上記ガイドラインでは呉茱萸湯は頭痛、片頭痛に用いるとされています。

呉茱萸湯は片頭痛によく使われる方剤で胃部の振水音があり、嘔気があるなど五苓散と似るが、頭痛が激烈で、顔色不良で冷えがあり、心窩部を指先で軽く叩くと振水音が聞こえる場合に用いる。
との記載があります。

頭痛時によく使われる呉茱萸湯は、漢方薬の中でももっとも苦くて服用しにくい薬です。
これはあらかじめ伝え、初めての服薬で嫌にならないように配慮する必要があります。

ただ、飲めないくらい苦く感じる場合は無理に服用しても効果は望めませんので他の手を考慮する必要があります。


呉茱萸等の頭痛に対する作用機序はよくわかっていませんが、脳内血流量増大作用が関係していると考えられています。


参考:
趣味の漢方 第16証 偏頭痛には呉茱萸湯 | YG研究会 賢く生きる

2016年11月14日月曜日

アーガメイトは食前や食後に服用しないといけないのか





「アーガメイトは食事のカリウムを吸着させないといけないから、食前投与のほうがいいですよね?」
と、勘違している人がいます。


ネットの情報でも空腹時に飲んでも意味がないなどのデタラメな情報も確認できました。注意しましょう。


結論は、アーガメイトは食事に関係なくいつでも服用できます。



アーガメイト(ポリスチレンスルホン酸カルシウム)の作用機序


アーガメイト(ポリスチレンスルホン酸カルシウム)は腎不全に伴う高カリウム血症改善薬です。

アーガメイトの作用機序は、消化・吸収されることなく結腸付近で、ポリスチレンスルホン酸カルシウムのカルシウムイオンと腸管内のカリウムイオンが交換され、ポリスチレンスルホン酸樹脂としては何ら変化をうけることなしにそのまま糞便中に排泄されます。その結果、腸管内のカリウムは体外へ除去され、血清カリウム値が低下します。



アーガメイトが食事に関係なくいつでも服用できる理由


体内のカリウム排泄機構には2つあります。腎臓で尿中に排泄される出口と結腸上皮から糞便中に排泄される機構です。


腎障害の方で、カリウムの腎排泄がうまくいかない人は、大腸から排泄する機構が代償的に発達しています。



大腸でのカリウム排泄は電気化学的勾配に沿った受動輸送です。腸管のカリウムは血中カリウムと常に平衡状態を保っています。
アーガメイトのようなイオン交換樹脂を投与すると、大腸内で陽イオン交換によってカリウムが樹脂に吸着され、樹脂とともに糞便と一緒に体外へ排泄されます。

すると、大腸内のカリウム濃度が低下して、さらなるカリウム排泄が可能となります。
アーガメイトを連日投与することにより、大腸内へのカリウム排泄が連続的に行われ、高カリウム血症が改善します。

このようにアーガメイトは大腸からの排泄を促すものであり、食事中のカリウムを吸着することがメインの作用ではありません。


アーガメイトの服用は食後でもかまいませんし空腹時でもかまいません。


2016年11月9日水曜日

一覧表 小児投与可能な抗アレルギー剤



小児投与可能な抗アレルギー剤

【第一世代抗ヒスタミン薬】


商品名

成分

低出生体重

新生児

生後1ヶ月未満

乳児

1歳未満

幼児

6歳未満

小児

15歳未満

使用上の注意:小児等への投与

用法・用量

ポララミンシロップ0.04%

ポララミンドライシロップ0.2%

ポララミン錠2mg

ポララミン散1%

d-クロルフェニラミンマレイン酸塩








低出生体重児、新生児には投与しないこと。
[中枢神経系興奮等の抗コリン作用に対する感受性が高く、痙攣等の重篤な反応があらわれるおそれがある。] 

成人1回2mgを、1日1~4回。適宜増減。

タベジールシロップ0.01%

クレマスチンフマル酸塩










乳児、幼児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。
〔痙攣、興奮等の中枢神経症状があらわれることがある。〕 

1日20mL(成分として2mg)2回分服。適宜増減。

1歳未満の乳児に使用する場合には、体重、症状などを考慮して適宜投与量を決める。 

タベジール錠1mg

タベジール散0.1%

タベジール散1%

クレマスチンフマル酸塩










乳児、幼児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。
〔痙攣、興奮等の中枢神経症状があらわれることがある。〕 



1日2mg朝晩2回分服。適宜増減。 

錠1mg1日2錠 朝晩2回分服 

散0.1%1日2g 朝晩2回分服 

散1%1日0.2g 朝晩2回分服 

レスタミンコーワ錠10mg

ジフェンヒドラミン塩酸塩









低出生体重児・新生児には中枢神経系の副作用(興奮、痙攣等)が起こる危険性が高いので、投与しないことが望ましい。 

1回3~5錠(成分として30~50mg)1日2~3回。適宜増減。 

ベナ錠10mg

ジフェンヒドラミン塩酸塩









未熟児、新生児には、中枢神経系の副作用(興奮、痙攣等)が起こる危険性が高いので、投与しないことが望ましい。

1回30~50mg(3~5錠)1日2~3回。適宜増減。 

ペリアクチンシロップ0.04%

シプロヘプタジン塩酸塩









(1) 新生児・低出生体重児に対する安全性は確立されていないので投与しないこと。
[新生児へ投与し,無呼吸,チアノーゼ,呼吸困難を起こしたとの報告がある。] 

(2) 乳・幼児において,過量投与により副作用が強くあらわれるおそれがあるので,年齢及び体重を十分考慮し,用量を調節するなど慎重に投与すること。
[抗ヒスタミン剤の過量投与により,特に乳・幼児において,幻覚,中枢神経抑制,痙攣,呼吸停止,心停止を起こし,死に至ることがある。] 

1回4mg(10mL)を1日1~3回り適宜増減。 

ペリアクチン錠4mg

ペリアクチン散1%

シプロヘプタジン塩酸塩









(1) 新生児・低出生体重児に対する安全性は確立されていないので投与しないこと。
[新生児へ投与し,無呼吸,チアノーゼ,呼吸困難を起こしたとの報告がある。] 

(2) 乳・幼児において,過量投与により副作用が強くあらわれるおそれがあるので,年齢及び体重を十分考慮し,用量を調節するなど慎重に投与すること。
[抗ヒスタミン剤の過量投与により,特に乳・幼児において,幻覚,中枢神経抑制,痙攣,呼吸停止,心停止を起こし,死に至ることがある。] 

1回4mg1日1~3回。適宜増減。 

ベネン錠1mg

トリプロリジン塩酸塩











低出生体重児、新生児には、中枢神経系の副作用(興奮、痙攣等)が起こる危険性が高いので投与しないことが望ましい。 

1回2~3mg(本剤2~3錠)を1日3回。適宜増減。

ヒベルナ散10%

ヒベンズ酸プロメタジン




2歳未満



(1) 2歳未満の乳幼児には投与しないこと.
〔外国で,2歳未満の乳幼児への投与により致死的な呼吸抑制が起こったとの報告がある.〕 

(2) 2歳以上の幼児,小児に対しては,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.
〔小児等に対する安全性は確立していない.〕 



1回5~25mg(散として0.05~0.25g)を,1日1~3回.

振せん麻痺,パーキンソニスム

1日25~200mg(散として0.25~2g)適宜分割投与.適宜増減. 

ヒベルナ糖衣錠5mg

ヒベルナ糖衣錠25mg

プロメタジン塩酸塩




2歳未満



(1) 2歳未満の乳幼児には投与しないこと.
〔外国で,2歳未満の乳幼児への投与により致死的な呼吸抑制が起こったとの報告がある.〕 

(2) 2歳以上の幼児,小児に対しては,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.
〔小児等に対する安全性は確立していない.〕 

1回5~25mg,1日1~3回.

振せん麻痺,パーキンソニスム

1日25~200mgを,適宜分割投与.適宜増減. 

ピレチア錠(5mg)

ピレチア錠(25mg)

ピレチア細粒10%

プロメタジン




2歳未満



(1) 2歳未満の乳幼児には、投与しないこと。
[外国で、2歳未満の乳幼児への投与により致死的な呼吸抑制が起こったとの報告がある。] 

(2) 2歳以上の幼児、小児に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(小児等に対する安全性は確立していない。) 



1回5~25mg1日1~3回 

振戦麻痺、パーキンソニスム

1日25~200mg適宜分割投与。 

適宜増減。 


【第二世代抗ヒスタミン薬】



商品名

成分

低出生体重

新生児

生後1ヶ月未

乳児

1歳未満

幼児

6歳未満

小児

15歳未満

使用上の注意:小児等への投与

用法・用量

アゼプチン錠0.5mg

アゼプチン錠1mg

アゼプチン顆粒0.2%

アゼラスチン塩酸塩






低出生体重児、新生児、乳児又は幼児に対する安全性は確立していない
(使用経験が少ない)。 

1.気管支喘息
1回2mgを、朝食後及び就寝前の1日2回。適宜増減。 

2.痒症、痒疹
1回1mgを、朝食後及び就寝前の1日2回。適宜増減。 

エバステル錠5mg

エバステル錠10mg

エバステルOD錠5mg

エバステルOD錠10mg

エバスチン






低出生体重児、新生児、乳児又は幼児に対する安全性は確立していない。
〔使用経験が少ない。〕 

1回5~10mg1日1回。適宜増減。 

アレジオンドライシロップ1%

エピナスチン塩酸塩







(1) 低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない。
[低出生体重児、新生児には使用経験がない。乳児には使用経験は少ない。「副作用」の項参照] 

(2) 小児気管支喘息に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。

1.アレルギー性鼻炎
小児
1日1回0.025~0.05g/kg(成分として0.25~0.5mg/kg)。適宜増減。、1日製剤として2g(成分として20mg)を超えない。1日1回投与。

2.蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
小児
1日1回0.05g/kg(成分として0.5mg/kg)。適宜増減。
1日製剤として2g(エピナスチン塩酸塩として20mg)を超えない。

セルテクトドライシロップ2%

オキサトミド










幼児(特に2歳以下)において錐体外路症状が発現するおそれがあるため、過量投与を避けること。
小児
1回成分として0.5mg/kg(製剤として25mg/kg)、朝及び就寝前の1日2回。適宜増減。
1回最高用量
成分として0.75mg/kg(ドライシロップとして37.5mg/kg)。 

セルテクト錠30

オキサトミド










幼児(特に2歳以下)において錐体外路症状が発現するおそれがあるため、過量投与を避けること。  1回30mg(1錠)朝及び就寝前の1日2回。適宜増減。 

アレロックOD錠2.5

アレロックOD錠5

オロパタジン塩酸塩






低出生体重児、新生児、乳児、幼児に対する安全性は確立していない
(使用経験が少ない)。 

成人
1回5mg 朝及び就寝前の1日2回。適宜増減。 

7歳以上の小児
1回5mg 朝及び就寝前の1日2回。

アレロック顆粒0.5%

オロパタジン塩酸塩




2歳未満


低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児に対する安全性は確立していない
(使用経験が少ない)。 

成人
1回5mg(顆粒剤として1g)朝及び就寝前の1日2回。適宜増減。 

7歳以上の小児
1回5mg(顆粒剤として1g)朝及び就寝前の1日2回。 

2歳以上7歳未満の小児
1回2.5mg(顆粒剤として0.5g)朝及び就寝前の1日2回。 

ザジテンカプセル1mg

ケトチフェンフマル酸塩










乳児、幼児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。
〔痙攣、興奮等の中枢神経症状があらわれることがある。〕 
1回1mg(1カプセル)1日2回、朝食後及び就寝前。適宜増減。 

ザジテンシロップ0.02%

ケトチフェンフマル酸塩










乳児、幼児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。
〔痙攣、興奮等の中枢神経症状があらわれることがある。〕 

小児
1日量0.3mL/kg(成分として0.06mg/kg)2回、朝食後及び就寝前。適宜増減。

1歳未満の乳児に使用する場合には体重、症状などを考慮して適宜投与量を決めること。 

ザジテンドライシロップ0.1%

ケトチフェンフマル酸塩









乳児、幼児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。
〔痙攣、興奮等の中枢神経症状があらわれることがある。〕 



小児
1日量0.06g/kg(成分として0.06mg/kg)2回、朝食後及び就寝前。適宜増減。

1歳未満の乳児に使用する場合には体重、症状などを考慮して適宜投与量を決めること。 

ジルテックドライシロップ1.25%

セチリジン塩酸塩




2歳未満



低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児に対する安全性は確立していない
(国内における使用経験が少ない)。 

〔成人〕
1回0.8g(成分として10mg)1日1回、就寝前。適宜増減。最高投与量は1日1.6g(成分として20mg)。 

〔小児〕
2歳以上7歳未満の小児
1回0.2g(成分として2.5mg)1日2回、朝食後及び就寝前。

7歳以上15歳未満の小児
1回0.4g(成分として5mg)1日2回、朝食後及び就寝前。

ジルテック錠5

ジルテック錠10

セチリジン塩酸塩




2歳未満




低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児に対する安全性は確立していない
(国内における使用経験が少ない)。 

〔成人〕
1回10mg1日1回、就寝前。適宜増減、最高投与量は1日20mg。 

〔小児〕
7歳以上15歳未満の小児
1回5mg1日2回、朝食後及び就寝前。 

ディレグラ配合錠

フェキソフェナジン塩酸塩/塩酸プソイドエフェドリン





12歳未満

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満の小児に対する有効性及び安全性は確立していない。
[使用経験がない。] 


成人及び12歳以上の小児
1回2錠1日2回、朝及び夕の空腹時。 

腎機能障害のある患者では適宜減量。

アレグラドライシロップ5%

フェキソフェナジン塩酸塩



6ヶ月未満





低出生体重児、新生児又は6ヵ月未満の乳児に対する安全性は確立していない。
[使用経験がない。] 


<成人>
1回60mg(製剤として1.2g)1日2回。適宜増減。 

<小児>
12歳以上の小児
1回60mg(製剤として1.2g)、1日2回。適宜増減。 

7歳以上12歳未満の小児
1回30mg(製剤として0.6g)1日2回。適宜増減。 

2歳以上7歳未満の小児
1回30mg(製剤として0.6g)、1日2回。 

6ヵ月以上2歳未満の小児
1回15mg(製剤として0.3g)1日2回。 

タリオンOD錠5mg

タリオンOD錠10mg

タリオン錠5mg

タリオン錠10mg

ベポタスチンベシル酸塩







低出生体重児、新生児、乳児又は幼児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。 
<成人>
1回10mg1日2回。適宜増減。 

<小児>
7歳以上の小児
1回10mgを1日2回。 

ゼスラン小児用シロップ0.03%

メキタジン








低出生体重児、新生児(使用経験がない)及び乳児(使用経験が少ない)に対する安全性は確立していない。 


[気管支喘息の場合]
小児
1回0.12mg/kg1日2回。適宜増減。  

そう痒症の場合]
小児
1回0.06mg/kg1日2回。適宜増減。 

ニポラジン小児用シロップ0.03%

メキタジン







低出生体重児、新生児(使用経験がない)及び乳児(使用経験が少ない)に対する安全性は確立していない。  [気管支喘息の場合]
小児
1回0.12mg/kg1日2回。適宜増減。  

そう痒症の場合]
小児
1回0.06mg/kg1日2回。適宜増減。 

ゼスラン小児用細粒0.6%

メキタジン








低出生体重児、新生児(使用経験がない)及び乳児(使用経験が少ない)に対する安全性は確立していない。 


[気管支喘息の場合]
小児
1回0.12mg/kg1日2回。適宜増減。  

そう痒症の場合]
小児
1回0.06mg/kg1日2回。適宜増減。 

ニポラジン小児用細粒0.6%

メキタジン








低出生体重児、新生児(使用経験がない)及び乳児(使用経験が少ない)に対する安全性は確立していない。 



[気管支喘息の場合]
小児
1回0.12mg/kg1日2回。適宜増減。  

そう痒症の場合]
小児
1回0.06mg/kg1日2回。適宜増減。 

ザイザルシロップ0.05%

レボセチリジン塩酸塩



6ヶ月未満




低出生体重児、新生児又は6ヵ月未満の乳児に対する安全性は確立していない
(国内における使用経験はない)。 
〔成人〕
1回10mL(成分として5mg)1日1回、就寝前。適宜増減、最高投与量は1日20mL(成分として10mg)。 

〔小児〕
6ヵ月以上1歳未満の小児
1回2.5mL(成分として1.25mg)1日1回。 

1歳以上7歳未満の小児
1回2.5mL(成分として1.25mg)1日2回、朝食後及び就寝前。 

7歳以上15歳未満の小児
1回5mL(成分として2.5mg)1日2回、朝食後及び就寝前。 

ザイザル錠5mg

レボセチリジン塩酸塩





7歳未満
低出生体重児、新生児、乳児又は7歳未満の小児に対する安全性は確立していない
(国内における使用経験はない)。 
〔成人〕1回5mg1日1回、就寝前。適宜増減、最高投与量1日10mg。 

〔小児〕
7歳以上15歳未満の小児
1回2.5mg1日2回、朝食後及び就寝前。 

クラリチンドライシロップ1%

ロラタジン




3歳未満


低出生体重児,新生児,乳児又は3歳未満の幼児に対する安全性は確立していない。
[使用経験がない。] 
成人
1回10mg(製剤として1g)1日1回。適宜増減。 

小児
3歳以上7歳未満の小児
1回5mg(製剤として0.5g),

7歳以上の小児
1回10mg(製剤として1g)1日1回。 

クラリチン錠10mg

クラリチンレディタブ錠10mg

ロラタジン




3歳未満


(1) 3歳以上7歳未満の小児に対しては,ロラタジンドライシロップ1%を投与すること。 

(2) 低出生体重児,新生児,乳児又は3歳未満の幼児に対する安全性は確立していない。
[使用経験がない。] 

成人
1回10mg1日1回,食後。適宜増減。 

小児
7歳以上の小児
1回10mg1日1回,食後。 


【ケミカルメディエーター遊離抑制薬】


商品名

成分

低出生体重

新生児

生後1ヶ月未満

乳児

1歳未満

幼児

6歳未満

小児

15歳未満

使用上の注意:小児等への投与

用法・用量

インタール細粒10%

クロモグリク酸ナトリウム



6ヶ月未満





6カ月未満の乳児に対する安全性は確立していない。
[使用経験が少ない。] 
2歳未満の幼児
1回0.5g(成分として50mg)1日3~4回(毎食前ないし毎食前及び就寝前)。

2歳以上の小児
1回1g(成分として100mg)1日3~4回(毎食前ないし毎食前及び就寝前)。適宜増減。1日成分として40mg/kgを超えない範囲とする。 

ペミラストンドライシロップ0.5%

ペミロラスト









低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない
(使用経験が少ない)。 
気管支喘息
小児
1回0.2mg/kgを1日2回、朝食後及び就寝前。適宜増減。

アレルギー性鼻炎
小児
1回0.1mg/kgを1日2回、朝食後及び就寝前。適宜増減。

アレギサール錠5mg

アレギサール錠10mg

アレギサールドライシロップ0.5%

ぺミロラスト








低出生体重児,新生児に対する安全性は確立していない.
(使用経験が少ない.) 
気管支喘息
1回10mg1日2回,朝食後及び夕食後(又は就寝前)

アレルギー性鼻炎
1回5mg1日2回,朝食後及び夕食後(又は就寝前).適宜増減. 

小児
気管支喘息
成分として1回0.2mg/kgを1日2回,朝食後及び就寝前.適宜増減.

アレルギー性鼻炎
成分として1回0.1mg/kgを1日2回,朝食後及び就寝前,適宜増減

ペミラストン錠10mg

ペミラストン錠5mg

ペミロラスト








低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない
(使用経験が少ない)。 


気管支喘息
1回10mg1日2回、朝食後及び夕食後(又は就寝前)。

小児
1日2回、朝食後及び夕食後(又は就寝前)。適宜増減。

5歳以上11歳未満
1回5mg

11歳以上
1回10mg

アレルギー性鼻炎
1回5mg1日2回、朝食後及び夕食後(又は就寝前)。適宜増減。 


【ロイコトリエン受容体拮抗薬】


商品名

成分

低出生体重

新生児

生後1ヶ月未満

乳児

1歳未満

幼児

6歳未満

小児

15歳未満

使用上の注意:小児等への投与

用法・用量

オノンドライシロップ10%

プランルカスト水和物








低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない(低出生体重児、新生児に対しては使用経験がなく、乳児に対しては使用経験が少ない
小児
1日量7mg/kg(製剤として70mg/kg)朝食後および夕食後の2回分服。適宜増減。1日最高用量10mg/kg(製剤として100mg/kg)。ただし、450mg/日(製剤として4.5g/日)を超えない。

シングレアチュアブル錠5mg

キプレスチュアブル錠5mg

モンテルカストナトリウム






(1) 1歳以上6歳未満の小児に対しては、モンテルカスト細粒4mgを1日1回就寝前に投与すること。 

(2) 1歳未満の乳児、新生児、低出生体重児に対するモンテルカスト製剤の安全性は確立していない。
〔国内でのモンテルカスト製剤の使用経験がない。〕 
6歳以上の小児
5mg1日1回就寝前。 

キプレス細粒4mg

シングレア細粒4mg

モンテルカストナトリウム細粒








(1) 6歳以上の小児に対しては、モンテルカストチュアブル錠5mgを1日1回就寝前に投与すること。 

(2) 1歳未満の乳児、新生児、低出生体重児に対するモンテルカスト製剤の安全性は確立していない。
[国内でのモンテルカスト製剤の使用経験がない。] 
1歳以上6歳未満の小児
4mg(本剤1包)1日1回就寝前。 

キプレス錠5mg

キプレス錠10mg

キプレスOD錠10mg

シングレア錠5mg

シングレア錠10mg

シングレアOD錠10mg

モンテルカストナトリウム






<気管支喘息>
[1] 6歳以上の小児に対しては、モンテルカストチュアブル錠5mgを1日1回就寝前に投与すること。 
[2] 1歳以上6歳未満の小児に対しては、モンテルカスト細粒4mgを1日1回就寝前に投与すること。 
[3] 1歳未満の乳児、新生児、低出生体重児に対するモンテルカスト製剤の安全性は確立していない。
[国内でのモンテルカスト製剤の使用経験がない。] 
 
<アレルギー性鼻炎>
小児等に対するモンテルカスト製剤の安全性は確立していない。
[国内でのモンテルカスト製剤の使用経験がない。] 

<気管支喘息>
10mg1日1回就寝前。 

<アレルギー性鼻炎>
5~10mg1日1回就寝前。 


【Th2サイトカイン阻害薬】


商品名

成分

低出生体重

新生児

生後1ヶ月未満

乳児

1歳未満

幼児

6歳未満

小児

15歳未満

使用上の注意:小児等への投与

用法・用量

アイピーディドライシロップ5%

スプラタストトシル酸塩









低出生体重児又は新生児に対する安全性は確立していない。
[低出生体重児、新生児は使用経験がない。] 
小児
1回3mg/kg1日2回朝食後及び夕食後。適宜増減。1日投与量6.0g(成分として300mg)を超えない。


2016年11月8日火曜日

アレジオンドライシロップ1%は1歳以上から投与できるの?




「アレジオンドライシロップ1%は1歳以上から投与できないですよね?」と後輩が添付文書を見せながら聞いてきました。

添付文書の用法・用量に表があり、3歳以上7歳未満の1日用量が記載されています。

これをみて、「3歳以上」からしか投与できないと言うのです。




しかしこれは、間違いです。
後輩は添付文書の読み方を誤解しているのです。
アレジオンドライシロップは1歳以上から投与できます。

小児の適応年齢に関しては、用法・用量と、使用上の注意の「小児等への投与」を確認しましょう。


なぜ、「1歳以上から」だと言えるのか


まずは、添付文書の年齢に関する項目について解説します。
日本での添付文書の年齢区分は、
新生児:生後4週未満
乳児:1歳未満
幼児:6歳未満
小児:15歳未満
高齢者:65歳以上
と定義され、新生児、乳児、小児に低出生体重児(出生時の体重が2,400g未満)を加え「小児等」と記載されています。


そして、添付文書上、十分な臨床試験データがない場合には、安全性は確立していないことを添付文書上に記載し、その理由として「使用経験がない」、「使用経験が少ない」などの理由を記載するようになっています。

小児への投与の安全性については使用上の注意の「小児等への投与」に記載されています。

例えば、以下のように記載されています。
低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児に対する安全性は確立していない(国内における使用経験が少ない)。 
この場合、2歳未満への投与の安全性が確立されていないことがわかります。
逆を言うと、2歳以上への安全性は確立されており投与可能であると解釈できます。


では、『アレジオンドライシロップ』の添付文書を見てみましょう。

用法・用量
1.アレルギー性鼻炎 
通常、小児には1日1回0.025~0.05g/kg(エピナスチン塩酸塩として0.25~0.5mg/kg)を用時溶解して経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。ただし、1日投与量はドライシロップとして2g(エピナスチン塩酸塩として20mg)を超えないこと。年齢別の標準投与量は、通常、下記の用量を1日量とし、1日1回用時溶解して経口投与する。

2.蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒 
通常、小児には1日1回0.05g/kg(エピナスチン塩酸塩として0.5mg/kg)を用時溶解して経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。ただし、1日投与量はドライシロップとして2g(エピナスチン塩酸塩として20mg)を超えないこと。年齢別の標準投与量は、通常、下記の用量を1日量とし、1日1回用時溶解して経口投与する。

使用上の注意:小児等への投与
(1) 低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない。[低出生体重児、新生児には使用経験がない。乳児には使用経験は少ない。「副作用」の項参照] 
(2) 小児気管支喘息に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。

用法用量には「小児」の記載があり、15歳未満への投与ができることがわかります。

さらに、使用上の注意の「小児等への投与」に低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していないとあり、逆説的に1歳以上の投与は可能ということがわかります。

以上より、『アレジオンドライシロップ』は1歳以上の小児に適応があると解釈できます。


補足ですが、後輩が誤解する元になった、投与量の表ですが添付文書に記載がある通り「年齢別の標準投与量」であり、1日用量が切りの良い数字になる標準体重の年齢が記載されているだけなのです。


小児に投与可能な第二世代抗ヒスタミン薬


アレグラドライシロップが品薄のようです。
アレグラドライシロップと同じように6ヶ月以上から使えるのは、ザジテン、セルテクト、ザイザルがあります。
(2016年11月)


商品名 成分 適応年齢
ザジテンカプセル1mg ケトチフェンフマル酸塩 特になし
ザジテンシロップ0.02% ケトチフェンフマル酸塩 特になし
ザジテンドライシロップ0.1% ケトチフェンフマル酸塩 特になし
セルテクトドライシロップ2% オキサトミド 特になし
2歳以上からが好ましい
セルテクト錠30 オキサトミド 特になし
2歳以上からが好ましい
アレグラドライシロップ5% フェキソフェナジン塩酸塩 6ヶ月以上
ザイザルシロップ0.05% レボセチリジン塩酸塩 6ヶ月以上
アレジオンドライシロップ1% エピナスチン塩酸塩 1歳以上
ゼスラン小児用シロップ0.03% メキタジン 1歳以上
ニポラジン小児用シロップ0.03% メキタジン 1歳以上
ゼスラン小児用細粒0.6% メキタジン 1歳以上
ニポラジン小児用細粒0.6% メキタジン 1歳以上
アレロック顆粒0.5% オロパタジン塩酸塩 2歳以上
ジルテックドライシロップ1.25% セチリジン塩酸塩 2歳以上
ジルテック錠5
ジルテック錠10
セチリジン塩酸塩 2歳以上
クラリチンドライシロップ1% ロラタジン 3歳以上
アゼプチン錠0.5mg
アゼプチン錠1mg
アゼプチン顆粒0.2%
アゼラスチン塩酸塩 6歳以上
エバステル錠5mg
エバステル錠10mg
エバステルOD錠5mg
エバステルOD錠10mg
エバスチン 6歳以上
アレロックOD錠2.5
アレロックOD錠5
オロパタジン塩酸塩 6歳以上
タリオンOD錠5mg
タリオンOD錠10mg
タリオン錠5mg
タリオン錠10mg
ベポタスチンベシル酸塩 6歳以上
ザイザル錠5mg レボセチリジン塩酸塩 7歳以上
クラリチン錠10mg
クラリチンレディタブ錠10mg
ロラタジン 7歳以上
ディレグラ配合錠 フェキソフェナジン塩酸塩/塩酸プソイドエフェドリン 12歳以上