「アレジオンドライシロップ1%は1歳以上から投与できないですよね?」と後輩が添付文書を見せながら聞いてきました。
添付文書の用法・用量に表があり、3歳以上7歳未満の1日用量が記載されています。
これをみて、「3歳以上」からしか投与できないと言うのです。
しかしこれは、間違いです。
後輩は添付文書の読み方を誤解しているのです。
アレジオンドライシロップは1歳以上から投与できます。
小児の適応年齢に関しては、用法・用量と、使用上の注意の「小児等への投与」を確認しましょう。
なぜ、「1歳以上から」だと言えるのか
まずは、添付文書の年齢に関する項目について解説します。
日本での添付文書の年齢区分は、
新生児:生後4週未満と定義され、新生児、乳児、小児に低出生体重児(出生時の体重が2,400g未満)を加え「小児等」と記載されています。
乳児:1歳未満
幼児:6歳未満
小児:15歳未満
高齢者:65歳以上
そして、添付文書上、十分な臨床試験データがない場合には、安全性は確立していないことを添付文書上に記載し、その理由として「使用経験がない」、「使用経験が少ない」などの理由を記載するようになっています。
小児への投与の安全性については使用上の注意の「小児等への投与」に記載されています。
例えば、以下のように記載されています。
低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児に対する安全性は確立していない(国内における使用経験が少ない)。この場合、2歳未満への投与の安全性が確立されていないことがわかります。
逆を言うと、2歳以上への安全性は確立されており投与可能であると解釈できます。
では、『アレジオンドライシロップ』の添付文書を見てみましょう。
用法・用量
1.アレルギー性鼻炎
通常、小児には1日1回0.025~0.05g/kg(エピナスチン塩酸塩として0.25~0.5mg/kg)を用時溶解して経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。ただし、1日投与量はドライシロップとして2g(エピナスチン塩酸塩として20mg)を超えないこと。年齢別の標準投与量は、通常、下記の用量を1日量とし、1日1回用時溶解して経口投与する。
2.蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
通常、小児には1日1回0.05g/kg(エピナスチン塩酸塩として0.5mg/kg)を用時溶解して経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。ただし、1日投与量はドライシロップとして2g(エピナスチン塩酸塩として20mg)を超えないこと。年齢別の標準投与量は、通常、下記の用量を1日量とし、1日1回用時溶解して経口投与する。
使用上の注意:小児等への投与
(1) 低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない。[低出生体重児、新生児には使用経験がない。乳児には使用経験は少ない。「副作用」の項参照]
(2) 小児気管支喘息に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
用法用量には「小児」の記載があり、15歳未満への投与ができることがわかります。
さらに、使用上の注意の「小児等への投与」に低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していないとあり、逆説的に1歳以上の投与は可能ということがわかります。
以上より、『アレジオンドライシロップ』は1歳以上の小児に適応があると解釈できます。
補足ですが、後輩が誤解する元になった、投与量の表ですが添付文書に記載がある通り「年齢別の標準投与量」であり、1日用量が切りの良い数字になる標準体重の年齢が記載されているだけなのです。
小児に投与可能な第二世代抗ヒスタミン薬
アレグラドライシロップが品薄のようです。
アレグラドライシロップと同じように6ヶ月以上から使えるのは、ザジテン、セルテクト、ザイザルがあります。
(2016年11月)
商品名 | 成分 | 適応年齢 |
---|---|---|
ザジテンカプセル1mg | ケトチフェンフマル酸塩 | 特になし |
ザジテンシロップ0.02% | ケトチフェンフマル酸塩 | 特になし |
ザジテンドライシロップ0.1% | ケトチフェンフマル酸塩 | 特になし |
セルテクトドライシロップ2% | オキサトミド | 特になし 2歳以上からが好ましい |
セルテクト錠30 | オキサトミド | 特になし 2歳以上からが好ましい |
アレグラドライシロップ5% | フェキソフェナジン塩酸塩 | 6ヶ月以上 |
ザイザルシロップ0.05% | レボセチリジン塩酸塩 | 6ヶ月以上 |
アレジオンドライシロップ1% | エピナスチン塩酸塩 | 1歳以上 |
ゼスラン小児用シロップ0.03% | メキタジン | 1歳以上 |
ニポラジン小児用シロップ0.03% | メキタジン | 1歳以上 |
ゼスラン小児用細粒0.6% | メキタジン | 1歳以上 |
ニポラジン小児用細粒0.6% | メキタジン | 1歳以上 |
アレロック顆粒0.5% | オロパタジン塩酸塩 | 2歳以上 |
ジルテックドライシロップ1.25% | セチリジン塩酸塩 | 2歳以上 |
ジルテック錠5 ジルテック錠10 | セチリジン塩酸塩 | 2歳以上 |
クラリチンドライシロップ1% | ロラタジン | 3歳以上 |
アゼプチン錠0.5mg アゼプチン錠1mg アゼプチン顆粒0.2% | アゼラスチン塩酸塩 | 6歳以上 |
エバステル錠5mg エバステル錠10mg エバステルOD錠5mg エバステルOD錠10mg | エバスチン | 6歳以上 |
アレロックOD錠2.5 アレロックOD錠5 | オロパタジン塩酸塩 | 6歳以上 |
タリオンOD錠5mg タリオンOD錠10mg タリオン錠5mg タリオン錠10mg | ベポタスチンベシル酸塩 | 6歳以上 |
ザイザル錠5mg | レボセチリジン塩酸塩 | 7歳以上 |
クラリチン錠10mg クラリチンレディタブ錠10mg | ロラタジン | 7歳以上 |
ディレグラ配合錠 | フェキソフェナジン塩酸塩/塩酸プソイドエフェドリン | 12歳以上 |