デザレックス錠 5 mgの有効成分であるデスロラタジンは、ヒスタミン H1受容体拮抗薬です。
2001年ヨーロッパで発売されてから、世界中で発売使用されている薬です。
海外では一般用医薬品としても販売されています。
日本では、アレルギーの薬といえば「アレグラ」ですが海外では「デスロラタジン」というくらいメジャーな薬剤です。
デザレックス(デスロラタジン)はクラリチン(ロラタジン)の主要活性代謝物です。
ロラタジンのピペリジン基から、エトキシカルボニル基を除いた構造をしています。
デザレックスとクラリチンのちがい
クラリチンとの違いとしては、最高血中濃度到達時間(Tmax)がやや延長し、血中濃度半減期(t1/2)が大幅に長くなっていることです。
また、H1受容体親和性は、非常に高いことで知られるレボセチリジンと同等に高いといわれています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3500039/ |
CYP関与せず効果が安定
クラリチンは、薬物代謝酵素CYPで代謝され、活性代謝物が薬効を示します。
このため、薬物相互作用や肝障害によって、クラリチンの薬効が減弱することがありました。
それがないデザレックスは併用薬が多い患者や高齢者などでは、処方しやすいと考えられます。
表.デザレックスと他の薬剤を併用したときの薬物動態学的相互作用
承認申請資料より |
食事の影響は受けません
その結果は以下の薬物動態パラメータのとおりでした。食事の影響は認められませんでした。
クラリチンは日本の添付文書で食後投与となっています。これが服用する際のネックになることもあります。
特に蕁麻疹などの痒みに使用する場合、痒みが出るタイミングは人それぞれなので、食事摂取に関係なく投与できるデザレックスは使いやすいといえます。
デザレックスの効果
効果については、他の抗ヒスタミン薬と比べて臨床的に大きな差はありません。
例えば、季節性アレルギー性鼻炎患者722人を対象に、フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)と二重盲検法で比較した試験が行われています。
効果は同等だったと報告がされています。
Berger WE,et,al,.Efficacy of desloratadine, 5 mg, compared with fexofenadine, 180 mg, in patients with symptomatic seasonal allergic rhinitis.Allergy Asthma Proc.2006;27:214-23.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16913264
クラリチンでの治療に不満を感じた患者で、デザレックスまたはフェキソフェナジンにスイッチした場合、デザレックスに切り替えた患者の方が夜間覚醒が少なく、重症患者でその傾向が顕著だったとする報告もあります。
Glass DJ, Harper AS.Assessing satisfaction with desloratadine and fexofenadine in allergy patients who report dissatisfaction with loratadine.BMC Fam Pract.2003;4:10.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12917016
デザレックスは脳への移行性が低く、ヒスタミン H1受容体を介した鎮静作用が弱いことが臨床試験で示されています。
さらに外国人健康成人を対象とした路上での自動車運転能力、精神運動機能又は模擬客室与圧下での操縦能力に対する影響を評価した薬力学的試験において、デザレックス5 mg単回投与後に日中の眠気増加やインペアード・パフォーマンスを示唆する結果は認められませんでした。
そのため、クラリチンと同様に添付文書には「自動車運転等の禁止等」の記載がありません。
安全性
デザレックスがQT延長を引き起こしたという報告はありませんが、親化合物であるクラリチンは、アミオダロンとの併用でQT延長やトルサード ド ポアントを引き起こしたことが報告されています。
デザレックスの代謝に関与する酵素はまだ明らかになっておらず、併用薬との相互作用によるQT延長も否定はできません。
デザレックス錠5mg
[効能又は効果]
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
[用法及び用量]
通常、12 歳以上の小児及び成人にはデスロラタジンとして 1 回 5 mg を 1 日 1 回経口投与する。