ページ

2016年9月30日金曜日

肝細胞がんマーカー  PIVKA-Ⅱに影響を及ぼす薬剤



PIVKA-Ⅱは肝臓がんの腫瘍マーカとして知られています。

肝臓では血液を固める素となる物質である血液凝固第Ⅱ因子というタンパク質を作り出しています。
血液凝固第Ⅱ因子の生成にはビタミンKが大きく関与しています。

PIVKA-Ⅱは、血液凝固第Ⅱ因子(プロトロンビン)の肝における生合成不全に由来する異常蛋白です。
ビタミンK不足やビタミンK機能不全によって創りだされる「できそこない凝固第二因子」といえます。

肝臓がんや肝機能障害ではうまく凝固第二因子を作り出せず、PIVKA-Ⅱがたくさん作られます。


ワーファリンはPIVKA-Ⅱを上昇させる


PIVKA-Ⅱに影響を及ぼす薬剤としてワーファリンが知られています。
ワーファリンはプロトロンビンの生成に必要なビタミンKの働きを阻害することによって抗凝血作用を現します。

この、ビタミンKの働きが阻害されることで、PIVKA-Ⅱが増加してしまいます。もちろんこれは肝がんの存在を意味する訳ではありません。


ワーファリンを服用している方は、検査前に服用している旨を伝えるようにしましょう。


NOACとPIVKA-Ⅱの影響


では、ワーファリンと同様に血液抗凝固薬として知られるNOACはPIVKA-Ⅱに影響を及ぼすのでしょうか。

こたえは、NOACの影響は報告されていません。

これはビタミンKの産生・代謝に影響を及ぼさないので、当然といえば当然です。


PIVKA-Ⅱに影響を及ぼす薬剤


では、他にPIVKA-Ⅱに影響を及ぼす薬剤はあるのでしょうか。

プロトロンビンの合成に必要なビタミンKの低下を引き起こす薬剤がPIVKA-Ⅱの値を増やす可能性があります。

ビタミンK低下を起こす可能性のある代表例は以下のとおりです。

セフェム系抗菌薬
ある種の腸内細菌は小腸内でビタミンKを産生しています。その産生されたビタミンKをヒトは利用しています。
しかし、抗菌薬を投与すると腸内細菌が減少してしまいビタミンKが低下してしまいます。

イソニアジド
イソニアジドは、ビタミンKエポキシド還元酵素を阻害することでビタミンKの再利用が障害されビタミンKが低下すると考えられています。


その他薬剤として添付文書の副作用欄にPIVKA-Ⅱ上昇の記載があるものは以下のとおりです。

  • リバビリン
  • ペグイントロン皮下注