肝臓では血液を固める素となる物質である血液凝固第Ⅱ因子というタンパク質を作り出しています。
血液凝固第Ⅱ因子の生成にはビタミンKが大きく関与しています。
PIVKA-Ⅱは、血液凝固第Ⅱ因子(プロトロンビン)の肝における生合成不全に由来する異常蛋白です。
ビタミンK不足やビタミンK機能不全によって創りだされる「できそこない凝固第二因子」といえます。
肝臓がんや肝機能障害ではうまく凝固第二因子を作り出せず、PIVKA-Ⅱがたくさん作られます。
ワーファリンはPIVKA-Ⅱを上昇させる
PIVKA-Ⅱに影響を及ぼす薬剤としてワーファリンが知られています。
ワーファリンはプロトロンビンの生成に必要なビタミンKの働きを阻害することによって抗凝血作用を現します。
この、ビタミンKの働きが阻害されることで、PIVKA-Ⅱが増加してしまいます。もちろんこれは肝がんの存在を意味する訳ではありません。
ワーファリンを服用している方は、検査前に服用している旨を伝えるようにしましょう。
NOACとPIVKA-Ⅱの影響
では、ワーファリンと同様に血液抗凝固薬として知られるNOACはPIVKA-Ⅱに影響を及ぼすのでしょうか。
こたえは、NOACの影響は報告されていません。
これはビタミンKの産生・代謝に影響を及ぼさないので、当然といえば当然です。
PIVKA-Ⅱに影響を及ぼす薬剤
では、他にPIVKA-Ⅱに影響を及ぼす薬剤はあるのでしょうか。
プロトロンビンの合成に必要なビタミンKの低下を引き起こす薬剤がPIVKA-Ⅱの値を増やす可能性があります。
ビタミンK低下を起こす可能性のある代表例は以下のとおりです。
セフェム系抗菌薬
ある種の腸内細菌は小腸内でビタミンKを産生しています。その産生されたビタミンKをヒトは利用しています。
しかし、抗菌薬を投与すると腸内細菌が減少してしまいビタミンKが低下してしまいます。
イソニアジド
イソニアジドは、ビタミンKエポキシド還元酵素を阻害することでビタミンKの再利用が障害されビタミンKが低下すると考えられています。
その他薬剤として添付文書の副作用欄にPIVKA-Ⅱ上昇の記載があるものは以下のとおりです。
- リバビリン
- ペグイントロン皮下注