シリンジのカタログを見ていると似たような言葉が並んでいます。
あなたは『ルアーチップ』、『スリップチップ』、『カテーテルチップ』の違いを知っていますか?
まず、言葉の意味を整理しましょう。
『チップ』というのは、カテーテルやチューブ等の端部、又は端部にある部品のことをいいます。
つまり、シリンジの先端のことです。
次に、
『ルアーテーパ』という用語があります。
ルアーテーパはISO 594に規定される形状で緩やかな傾斜を有する接続方法のひとつです。
オスルアー (male luer) と、メスルアー (female luer) の2種類があり、差し込むだけで簡単に気密性のよい接続ができます。
『ルアーチップ』と『スリップチップ』のちがい
実は、同じ意味です。
『ルアーチップ』も『スリップチップ』シリンジの先端形状のことを表しており、一般的な単純はめ込み式のシリンジ先端のことです。
医療機器メーカーによって表現が違うため、ややこしいことになっています。
テルモは『スリップチップ』
ニプロは『ルアーチップ』
です。
※ルアーチップのほうが標準的です。
シリンジの先端、チップには様々な種類があります。
引用:テルモ |
まず、チップの付いている位置です。
中口
シリンジの中央についている、一般的なタイプです。横口
口が中口より外側にずれているタイプです。そのため、採血の際に浅い角度で針を刺すことが可能です。また、シリンジ内の空気抜きをしやすいという利点もあります。次に、チップの形状の違いです。
ノーマルタイプ
テーパ状になった先端で、一般的なチップ形状です。ロックタイプ
ISO 594-2 で規定される固定方法。又は他の方法によって嵌合を補強する方式のことです。中口かつねじ込み式となっており、外れにくい仕様です。そのため 抗がん剤等のライン接続等に汎用されます。カテーテルチップとは
あやい動物病院 |
この“カテーテルチップ”とはカテーテルの先端(チップ)を指すものではありません。
カテーテルの「めす」コネクタ等の、より太い径に合致するように作られた接続部のことです。
一般のシリンジとカテーテルチップ型シリンジのちがいはその先端の太さです。
経腸栄養ラインに投与されるべき薬剤が誤って輸液ラインに投与されることがないように、経腸栄養系の器具と輸液ラインとは物理的に接続が不可能な規格とする基準が定められています。
そのため、注射剤以外の液剤の採取、投与等に使用されるシリンジについて、筒先を注射筒のものより太くし、通常の注射筒が接続できる輸液ラインには物理的に接続できないようになっています。
(上図:上がカテーテルシリンジ、下が普通のシリンジ)
参考:
「医療事故を防止するための医療用具に関する基準の制定等について」(平成12年8月31日医薬発第888号)
https://www.pmda.go.jp/files/000144004.pdf
「MTJAPANにおける規格・基準関連用語のあり方―用語統一のためのガイドライン(第2版)」について
https://www.mtjapan.or.jp/jp/app/info/detail/id/325/