ミケルナ配合点眼液は、緑内障・高眼圧症治療薬のβ遮断薬カルテオロール(ミケランLA)とプロスタグランジン関連薬ラタノプロスト(キサラタン)の配合点眼液です。
緑内障・高眼圧症治療の新配合点眼液
「ミケルナ®配合点眼液」の国内製造販売承認を取得(2016年9月28日)
http://www.otsuka.co.jp/company/release/detail.php?id=3159&date=2016-09-28
複数の有効成分を配合した点眼剤として緑内障・高眼圧治療薬の領域では、ザラカム(チモロール/ラタノプロスト)、タプコム(チモロール/タフルプロスト)、デュオトラバ(チモロール/トラボプロスト)コソプト(チモロール/ドルゾラミド)、アゾルガ(チモロール/ブリンゾラミド)次ぐ6番手。
β遮断薬とプロスタグランジン関連薬の組み合わせでは4番手です。
他の配合剤はβ遮断薬がチモロール(チモプトール)なのに対しミケルナはカルテオロールを配合しているのが特徴です。
緑内障の治療
緑内障は視神経乳頭と視野に特徴的変化を有し、通常眼圧を十分に下降させることにより視神経障害の改善あるいは進行を阻止し得る、眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患と定義されます。
厚生労働省研究班の調査によると、緑内障は日本における失明原因の第1位を占めていて、2000~2002年に行われた日本緑内障学会の疫学調査(多治見スタディ)では、40歳以上の日本人における緑内障有病率は、5.0%でした。
現在、緑内障に対するエビデンスに基づいた唯一確実な治療法は眼圧を下降することです。
健常者においても加齢に伴って視神経の細胞は減少することが知られていますが、緑内障患者では、眼圧を下降させることで細胞の減少を健常者に、より近いレベルに抑えて、視野障害の進行を抑制して生涯にわたって視機能を維持することが治療の目的となります。
眼圧は房水の産生と流失のバランスにより決定されます。房水は毛様体で産生され眼内を循環した後、眼外に排出されます。
房水流出には2つの経路があることが知られています。
1つは主経路(経線維柱帯経路)で線維柱帯からシュレム管、集合管を通って上強膜静脈へ排出される経路です。
もう一方は、副経路(経ぶどう膜強膜経路)と呼ばれ、虹彩根部から毛様体筋・毛様体上腔へと至る経路です。
緑内障治療薬は基本眼圧を低下させる薬剤であり、
主経路からの房水流出を促進
副経路からの房水流出を促進
房水産生を抑制させ、眼圧を下降させます。
1剤だけで長期間眼圧をコントロールすることには限界があり、しばしば2剤が併用されることがあります。
その際、2剤を続けて点眼すると涙嚢から薬液があふれ出してしまうため、点眼間隔を5分間以上空けるように指導するのが一般的です。
けれども、この5分間の待ち時間が原因で2剤目の点眼を忘れてしまい、コンプライアンス低下を招く場合がありました。
ミケルナ配合点眼液の特徴
世界で初めて1日1回製剤同士を配合した点眼液で、1日1回点眼で優れた眼圧下降効果を示します
眼圧下降効果は、ミケランLA点眼液2%単剤及びラタノプロスト点眼液単剤に対する優越性が検証されています。
眼圧下降効果は、ミケランLA点眼液2%及びラタノプロスト点眼液の併用と同程度でした。
房水産生抑制と房水流出促進の2つの作用を有しています。また、眼底血流増加作用も示すのが特徴です
β受容体を遮断することにより、房水の産生が抑制されます。なお、房水の産生は交感神経が活発な日中に増加する傾向があります。また、カルテオロールについては他のβ遮断薬とは異なり薬効に眼底血流増加作用をもっています。
生体内で、房水排出を促進する作用を持つプロスタグランジン(PG)F2と類似する作用を持ち、経ぶどう膜強膜房水流出の増加を促します。1回の点眼で24時間持続する眼圧下降が得られ、強力な眼圧下降点眼薬です。第一選択薬としてよく用いられます。
保存剤のベンザルコニウム塩化物を含まず、室温保存が可能です
防腐剤にはベンザルコニウム塩化物(BAK)ではなくホウ酸を使用しています。
緑内障患者は、眼表面の問題が多いといわれています。その要因の1つに長期にわたる点眼薬に含まれるBAKの影響が考えられています。
長期保存試験において25℃ 40%RH未開封で18ヶ月安定であったというデータがあります。
ちなみに、キサラタンは冷所(2~8℃)保存です。
副作用の概要
重大な副作用として喘息発作、失神、房室ブロック、洞不全症候群、洞停止等の徐脈性不整脈、うっ血性心不全、冠攣縮性狭心症、虹彩色素沈着の報告があります。
第一選択薬ではありません
原則として、単剤での治療を優先すること。
緑内障診療ガイドラインでは、配合点眼液の位置づけ及び意義について、それぞれ「薬物治療は眼圧下降点眼薬の単剤療法から開始し、有効性が確認されない場合には他剤に変更し、有効性が十分でない場合には多剤併用(配合点眼薬を含む)を行う。」及び「原則として配合点眼薬は多剤併用時のアドヒアランス向上が主目的であり、第一選択薬ではない。」と述べています。
1日にたくさん点眼しても効果はあがりません
ラタノプロストの海外の臨床試験において、1日2回点眼した場合、点眼日数の増加に伴って眼圧下降作用の減弱がみられたとの報告があります。
頻回投与により眼圧下降作用が減弱する可能性があるので、1日1回を超えて投与しないこと。
他の点眼剤を併用する場合には、10 分間の間隔をあけてミケルナは最後に点眼
ミケランLAと同じです。
眼表面でのカルテオロール塩酸塩の滞留性向上及び持続性発揮のためアルギン酸が添加されています。そのため、他の点眼剤との併用時には、他の点眼剤の吸収性に、あるいは他剤がミケルナの持続性に影響を及ぼす可能性があります。
ミケルナ配合点眼液
[効能・効果]
緑内障、高眼圧症
[用法・用量]
1 回 1 滴、1 日 1 回点眼する。