一般的には注射部位の皮膚消毒としてエタノールが使用できない場合は、クロルヘキシジングルコン酸塩やポビドンヨードなどを使用します。
透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(四訂版)
http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/07_manual/doc/20150512_infection_guideline_ver4.pdf
上記ガイドラインによると
透析開始時、シャント・グラフトの穿刺前の皮膚消毒には、
- 0.5%を超える濃度のクロルヘキシジングルコン酸塩を含有するアルコール、
- 10%ポビドンヨード、
- 消毒用エタノール、
- 70%イソプロパノール
のいずれかを用いる(Level 1 A)とされています。
そうなると、
10%ポビドンヨードくらいしか選択肢がありません。
しかし、ポビドンヨードは、エタノールと同等の殺菌力が望めますが、色が付く、臭いが気になるなど患者さんの評判はあまり良くありません。
さらに
ポビドンヨードの消毒効果は、自然に乾燥する間に起こるヨウ素との化学反応によって得られ、強制的な乾燥により、十分な消毒効果が得られない場合があります。
そのため、強制的に乾燥させるのではなく、化学反応を期待できる2分程度待つ必要があります。
他にはないのでしょうか。
大きな透析施設などでは、
0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩単独でガーゼを浸漬させたものを使っているところもあるようです。
殺菌効果についてはエタノールよりも劣るという欠点がありますが、透明であり、臭いも気になりません。
クロルヘキシジン含浸綿(ガーゼ)を24時間以上にわたって分割使用すると、細菌汚染を受けやすくなります。汚染原因としては、水分を含んだ綿やガーゼからの栄養分が、緑膿菌などにとっての好適な増殖環境となることがあげられます。
したがって、クロルヘキシジン含浸綿(ガーゼ)の作り換えは、乾燥または滅菌済みの容器を用いて24時間ごとに行う必要がありますが、
在宅や小規模な医療機関では、単包装の滅菌済み消毒綿の使用が望ましいと考えられます。
単包装の滅菌済み消毒綿は
10%ポビドンヨードにはありますが
0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩にはありません。
ということで、やはりポビドンヨードを使うしかないようです。
・イオダイン10%綿球(健栄製薬)
・ポビドンヨード10%消毒用綿球20「ハクゾウ」