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2016年8月29日月曜日

抗ヒスタミン薬ベナ錠 販売中止と代替品





第一世代抗ヒスタミン薬のベナ錠(ジフェンヒドラミン塩酸塩)が販売中止となるようです。
経過措置期間満了予定2017年3月31日

「ベナ錠1mg」販売中止のご案内
http://medinfo-sato.com/update/pdf/160829_venen_vena_pappen.pdf


ベナ錠はエタノールアミン系のジフェンヒドラミン塩酸塩水和物を成分とする第一世代抗ヒスタミン薬です。
1950年から販売されている歴史の古い薬です。

興和創薬のレスタミンコーワと同一成分で一物二名称として販売されていました。


第一世代抗ヒスタミン薬は中枢神経抑制作用が強いので、自動車の運転や機械操作に従事する職業の人には使用しません。
アレルギー性鼻炎のくしゃみや、鼻水に対して即効性があり有用性は高いようですが、鼻づまりにはほとんど効果がないとされています。


蕁麻疹診療ガイドラインやアトピー性皮膚炎診療ガイドラインにおいて第二世代抗ヒスタミン薬が推奨されたり、第一世代抗ヒスタミン薬は抗コリン作用があり緑内障や前立腺肥大などの下部尿路閉塞のある患者さんには使いにくかったりするため、次第に処方される機会は減ってきました。

ただし、授乳婦にも比較的安全な薬として妊娠と薬情報センターにも掲載されており、偶に使用されることがありました。


最近では、強力なヒスタミンH1受容体拮抗作用による抗嘔吐作用を利用し、抗癌剤による吐き気の副作用対策として使われるようになっていました。



ベナ錠の代替品


一物二名称のレスタミンコーワが代替品となります。




抗ヒスタミン薬ベネン錠 販売中止と代替品




第一世代抗ヒスタミン薬のベネン錠(トリプロリジン塩酸塩)が販売中止となるようです。
経過措置期間満了予定2017年3月31日

「ベネン錠1mg」販売中止のご案内
http://medinfo-sato.com/update/pdf/160829_venen_vena_pappen.pdf


ベネン錠はプロピルアミン系のトリプロリジン塩酸塩水和物を成分とする第一世代抗ヒスタミン薬です。

1951年イギリスで誕生しイギリス薬局方(1966年)にも収載されている歴史ある薬でした。
「Actidil」の商品名でイギリス、アメリカはじめ各国で販売されています。


中枢神経抑制作用の強い第一世代抗ヒスタミン薬の中で比較的、その抑制が弱く昼間の投与も可能な薬剤です。

第二世代に比べ効果発現が早いとされ、急性型の蕁麻疹などでは使用されることがありました。
また、授乳婦にも比較的安全な薬として妊娠と薬情報センターにも掲載されており、偶に使用されることがありました。


しかし、蕁麻疹診療ガイドラインやアトピー性皮膚炎診療ガイドラインにおいて第二世代抗ヒスタミン薬が推奨されたり、第一世代抗ヒスタミン薬は抗コリン作用があり緑内障や前立腺肥大などの下部尿路閉塞のある患者さんには使いにくかったりするため、次第に処方される機会は減ってきました。


このように処方のトレンドが変わり需要が減ってきたため、販売中止となったものと推測されます。

補足ですが、ベネンには昔シロップ剤がありました。
こちらは2011年に販売中止となっています。
http://medinfo-sato.com/update/pdf/111201.pdf


ベネン錠の代替品


第一世代抗ヒスタミン薬で探すのであれば、おなじプロピルアミン系のクロルフェニラミン(ポララミン・アレルギン)です。

授乳婦に使用していた場合は、クラリチンやアレグラが比較的安全な薬として使用可能と考えられます。

2016年8月27日土曜日

ネオラミン・マルチV注射用 販売中止と代替品





高カロリー輸液用総合ビタミン剤『ネオラミン・マルチV注射用』が販売中止となるようです。
(経過措置期間は2018年3月末予定)

販売中止のお知らせ(科研製薬)
http://www.kaken.co.jp/medical/bluedi/neolaminmultiv_201608.pdf

日本化薬と科研製薬の併売ですが、両社とも販売中止のようです。


経中心静脈高カロリー輸液法(IVH:Intravenous Hyperalimentation)又は完全静脈栄養法(TPN:Total Parenteral Nutrition)といわれる栄養補給は医療の全領域において欠くことのできないものとなっています。

これは、経口栄養摂取が困難な患者の中心静脈にカテーテルを挿入し、高張グルコース、アミノ酸、電解質などを主体とする高カロリー輸液を注入して栄養補給を行う方法です。

IVH による栄養補給は長期に投与されることも多く、上記栄養の他にビタミンや
微量元素の投与が必須とされています。

『ネオラミン・マルチV注射用』の前身であるネオラミン・マルチは、13 種類のビタミンを 3 つのアンプルに分けた組合わせ製剤としていました。

しかしネオラミン・マルチは、臨床の現場から、輸液調剤の作業性の向上及び使用の利便性、異物、細菌の汚染の機会の低減化の観点から、容器の 1 本化の要望がだされるようになりました。

以上のことから、13 種類のビタミンを 1 バイアルに処方する検討を開始し、流通可能な保存条件で一定の品質保証もできる製剤を開発し、ネオラミン・マルチ Vとして1990年発売されたのです。


TPN施行時には乳酸アシドーシスを防ぐため高カロリー輸液用総合ビタミン剤の混合が推奨されています。
しかしながら,高カロリー輸液用総合ビタミン剤は混合すると不安定なため、用時混合せざるを得ませんでした。
このため、高カロリー輸液用総合ビタミン剤未投与による代謝性アシドーシスの発現、アンプルカットや溶解操作に起因する細菌汚染や異物混入の問題が依然として残されており、臨床現場からは高カロリー輸液用総合ビタミン剤を予め配合した、糖・アミノ酸・電解質液の開発が要望されるようになってきました。

そこで登場したのが、TPN基本液にアミノ酸、脂肪、ビタミン、微量元素を配合して製品化したフルカリックやエルネオパ、ネオパレンなどのTPNキット製剤です。

ビタミンを含むTPNキット製剤が使用可能となり、混合調製作業における様々なリスクが軽減され効率化にもつながることから、TPN用ビタミン製剤を使用する機会は減少してきています。

今回の販売中止も需要の減少によるものと考えられます。


ネオラミン・マルチV注射用の代替品


高カロリー輸液用総合ビタミン剤には他にも、マルタミン注射用、オーツカMV、ビタジェクト注キットがあります。

このなかで、ネオラミン・マルチV注射用と組成が近いのは『マルタミン注射用』です。

マルタミンはビタミンAやB群の含量が他の製剤に比べ高くなっているのが特徴です。
マルタミンには可溶化剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を使用しているためアナフィラキシーには注意が必要です。



A D E K B1B2 B6 B12 C ニコチン酸 パントテン酸 葉酸 ビオチン
単位
I.U.
I.U.
mg
mg
mg
mg
mg
μg
mg
mg
mg
μg
μg
ネオラミン・マルチV
注射用
3300
D2 
10μg
15
K1 
2
3
4
4
10
100
40
15
400
100
マルタミン
注射用
4000
D3 
400
15
K2 
2
5
5
5
10
100
40
15
400
100
オーツカMV注
1号






3.9
4.6
4.9
5
100
40
15
400
60
オーツカMV注
2号
3300
D3
200
10
K1 
2


















ビタジェクト注キット
A液
3300
D2 
10μg
15
K1 
2





10
100


15
400
100
ビタジェクト注キット
B液








3
5.08
4




40








参考:
NPO法人PEGドクターズネットワーク
http://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-11.html

2016年8月20日土曜日

デパスとアモバンが向精神薬に指定されるようです(2016年10月14日から)




2016年10月13日デパス(エチゾラム)、アモバン(ゾピクロン)の投与上限について
官報告示ありました。

2016年10月14日から向精神薬となりますが、
2016年10月14日から10月31日までは『投与制限除外』として扱い

2016年11月1日に
投与制限除外』が解除され
30日分』を限度とするようです。

官報告示
http://kanpou.npb.go.jp/20161013/20161013h06877/pdf/20161013h068770003.pdf

詳細を別ページにまとめました↓

関連:
向精神薬の投与期間の上限について

【2016年10月13日追記】


2016年9月28日の中医協総会でエチゾラム(デパス)、ゾピクロン(アモバン)の投与制限について議論され、診療報酬上の投薬期間の上限を30日とすることを決めました。

現場が混乱しないように
エチゾラム及びゾピクロンの投薬期間の実態や関係者からの要望等を踏まえ、 これらの向精神薬に係る診療報酬上の投薬期間の上限については 30 日に決められたようです。 


投与上限に関するお知らせ(田辺三菱)





【2016.9.28追記】


2016年9月14日
エチゾラム(デパス)、ゾピクロン(アモバン)を向精神薬に指定する政令が官報告示され公布されました。

施行日は30日経過後の10月14日から。

施行日からエチゾラム(デパス)、ゾピクロン(アモバン)は向精神薬扱いとなります。
第3種向精神薬。

ゾピクロンの光学異性体エスゾピクロン(ルネスタ)は指定されなかったみたいです。

麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令(官報)

麻薬及び向精神薬取締法施行規則の一部を改正する省令(官報)
https://kanpou.npb.go.jp/20160914/20160914h06859/20160914h068590003f.html


投与上限については、
今後、療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等の改正が通知され、明らかになると思います。
【2016.9.14追記】


2016年9月9日の定例閣議におきまして、「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令」が決定されたようです。

今後は厚生労働大臣および総理大臣が署名を行い、天皇によって公布され、官報に掲載されることで効力を持ちます。
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2016/kakugi-2016090901.html


また、総務省ホームページに政令改正案の事前評価書がアップされていました。
(2016年9月確認)

http://www.mhlw.go.jp/wp/seisaku/ria/28/dl/ria28_07_19_01-1.pdf

【2016.9.12追記】


麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令」(案)及び「麻薬及び向精神薬取締法施行規則の一部を改正する省令」(案)が2016年7月19日に公開されました。
(パブリックコメントが2016年8月18日まで募集されていました)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160131&Mode=0

麻薬及び向精神薬取締法は、麻薬及び向精神薬の輸出、輸入、製造、譲渡等を規制しています。
具体的な規制対象物質については、麻薬及び向精神薬取締法により定められています。


今回の改正案ではデパス(エチゾラム)やアモバン(ゾピクロン)を含む3物質について、向精神薬として指定するため指定政令を改正することになりました。


改正省令は平成28年9月公布され、公布の日から 30 日を経過した日となる平成28年10月ごろ施行予定です。


麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令
(平成二年八月一日政令第二百三十八号)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H02/H02SE238.html


向精神薬の規制を受けていなかったため、デパスは内科や耳鼻科などの向精神薬に詳しくない医師が軽い気持ちで処方しています。規制がないという安心感があるのでしょう。
そのため、日本で圧倒的に売れている抗不安薬になりました。

向精神薬の指定がどのような影響を及ぼすでしょうか。

デパスとアモバンが向精神薬に指定されるとどうなるか?


投与上限が設けられます


向精神薬はその薬剤ごとに1回14日分、30日分又は90日分を限度とする投薬期間の上限が設けられています。
今までデパスやアモバンは1回あたり処方できる数に上限はありませんでしたが、10月から投与期間の上限が設けられることになります。

30日の処方制限となりました。

投与期間の上限に注意したい医薬品 向精神薬(薬局指導管理.com)
https://yakkyokushidoukansa.blogspot.jp/2015/08/touyokikan2704.html


個人輸入ができなくなります


「麻薬及び向精神薬取締法」の規定により、医療用の麻薬又は向精神薬を、医師から処方された本人が携帯して入国する場合を除いて、一般の個人が輸入することは禁止されており、違反した場合には処罰されます。 (本人が携帯せずに、他の人に持ち込んでもらったり、国際郵便等によって海外から取り寄せることはできません。)


医薬品の個人輸入について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/0104/tp0401-1.html


「麻薬及び向精神薬取締法」では成分(化学名)として指定されます。
したがいまして、デパスと同一成分のエチラーム(etilaam-1)、エチゾラ(etizola)、エチゼスト(etizest)なども対象です。
また、アモバンと同一成分のゾピコン(zopicom)なども対象です。

ザナックスxanax(アルプラゾラム)やativan(ロラゼパム)は既に向精神薬の指定を受けており個人輸入はできません。



海外旅行への携帯が制限されます


省令で定められている向精神薬については、本邦から出国又は本邦に入国する際に、省令で定める分量の範囲内で、自己の疾病の治療の目的で携帯して輸出入することができると規定されています。
携帯する剤形や量により手続きが異なります。
今般、新たに向精神薬に指定することに伴って、携帯して輸出入できる数量が決められました。

  • ゾピクロン(アモバン) 300mg
  • エチゾラム(デパス) 90mg


フルニトラゼパム(サイレース)をアメリカに持ち込むと捕まります。(YG研究会)
https://yakuza-14.blogspot.jp/2014/04/blog-post_23.html


医療機関では保管方法が変わります


向精神薬は、次により保管しなければなりません。
① 病院・診療所の施設内に保管すること。
② 保管する場所は、医療従事者が実地に盗難の防止に必要な注意をしている場合以外は、かぎをかけた設備内で行うこと。
〔例〕
a) 調剤室や薬品倉庫に保管する場合で、夜間、休日で保管場所を注意する者がいない場合は、その出入口にかぎをかけること。日中、医療従事者が必要な注意をしている場合以外は、出入口にかぎをかけること。
b) ロッカーや引き出しに入れて保管する場合も、夜間、休日で必要な注意をする者がいない場合には、同様に、ロッカーや引き出しあるいはその部屋の出入口のいずれかにかぎをかけること。
c) 病棟の看護師詰め所に保管する場合で、常時、看護師等が必要な注意をしている場合以外は、向精神薬を保管するロッカーや引き出しに鍵をかけること。


譲受譲渡が制限されます


処方された薬を、他人に受け渡す行為は薦められるものではありませんが、友人が眠れないからと自身のデパスを1錠分けてあげるなどということをやったことがあるかもしれません。

デパスやアモバンを許可無く譲り渡すと法律に違反することとなります。



なぜ、抗不安薬や睡眠薬であるデパスやアモバンがいままで向精神薬の指定を受けていなかったのか


この答えは、向精神薬取締法ができた歴史にあります。


1990年、『麻薬取締法』が『麻薬及び向精神薬取締法』になったとき、向精神薬の定義がなされました。

この定義を作成するために参考にしたのがアメリカFDAが策定した『規制物質法』です。
旧厚生省は参考というか、丸写しただけなので、そのころアメリカで発売されていなかったデパスやアモバンは向精神薬の指定を免れました。

理由はこれだけです。

デパスより弱い活性のリーゼは向精神薬扱いにもかかわらず、デパスが向精神薬の乱用・蔓延を防ぐための法律から除外されていたのは明らかな矛盾だったのです。








2016年8月18日木曜日

アルコール過敏症の透析患者さんに使える消毒薬は?





一般的には注射部位の皮膚消毒としてエタノールが使用できない場合は、クロルヘキシジングルコン酸塩やポビドンヨードなどを使用します。


透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(四訂版)
http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/07_manual/doc/20150512_infection_guideline_ver4.pdf

上記ガイドラインによると

透析開始時、シャント・グラフトの穿刺前の皮膚消毒には、

  • 0.5%を超える濃度のクロルヘキシジングルコン酸塩を含有するアルコール、
  • 10%ポビドンヨード、
  • 消毒用エタノール、
  • 70%イソプロパノール

のいずれかを用いる(Level 1 A)とされています。


そうなると、
10%ポビドンヨードくらいしか選択肢がありません。
しかし、ポビドンヨードは、エタノールと同等の殺菌力が望めますが、色が付く、臭いが気になるなど患者さんの評判はあまり良くありません。

さらに
ポビドンヨードの消毒効果は、自然に乾燥する間に起こるヨウ素との化学反応によって得られ、強制的な乾燥により、十分な消毒効果が得られない場合があります。
そのため、強制的に乾燥させるのではなく、化学反応を期待できる2分程度待つ必要があります。

他にはないのでしょうか。



大きな透析施設などでは、
0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩単独でガーゼを浸漬させたものを使っているところもあるようです。
殺菌効果についてはエタノールよりも劣るという欠点がありますが、透明であり、臭いも気になりません。

クロルヘキシジン含浸綿(ガーゼ)を24時間以上にわたって分割使用すると、細菌汚染を受けやすくなります。汚染原因としては、水分を含んだ綿やガーゼからの栄養分が、緑膿菌などにとっての好適な増殖環境となることがあげられます。

したがって、クロルヘキシジン含浸綿(ガーゼ)の作り換えは、乾燥または滅菌済みの容器を用いて24時間ごとに行う必要がありますが、

在宅や小規模な医療機関では、単包装の滅菌済み消毒綿の使用が望ましいと考えられます。


単包装の滅菌済み消毒綿は
10%ポビドンヨードにはありますが
0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩にはありません。


ということで、やはりポビドンヨードを使うしかないようです。

・イオダイン10%綿球(健栄製薬)
・ポビドンヨード10%消毒用綿球20「ハクゾウ」



2016年8月12日金曜日

ワッサーV配合顆粒 生産中止と代替品





ワッサーV配合顆粒が製造販売元の生産中止に伴い販売中止となるようです。
経過措置期間2017年3月末予定。


水溶性ビタミン複合剤ワッサーV配合顆粒取扱い中止のご案内(サンド)
http://www.sandoz.jp/medical/products/medical_news/pdf/news_wasser_g_v003.pdf

ワッサーV配合顆粒は、ビタミンのうち、水溶性のビタミンB群及びCを独自の製剤
研究により安定化させた配合剤です。


  • チアミン硝化物(ビタミンB1)
  • リボフラビン(ビタミンB2)
  • ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)
  • ニコチン酸アミド(ビタミンB3)
  • パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)
  • アスコルビン酸 (ビタミンC)


湿疹・皮膚炎群及び口唇炎・口角炎・口内炎のうちワッサーV配合顆粒に含まれるビタミン類の欠乏又は代謝障害が関与するものに有効な複合ビタミン顆粒剤です。


ワッサーV配合顆粒の代替品


ワッサーV配合顆粒と同じ配合のビタミン剤は存在しません。

近い、配合はデルパント配合顆粒です。
(ビタミンB1とビタミンC がありません)




B1

B2

B3

B5

B6

B12

C

その他

ワッサーV配合顆粒










ビフロキシン配合錠















ノイロビタン配合錠













ジアイナミックスカプセル














アリチア配合錠














トリドセラン配合錠














ビタノイリンカプセル













ビタメジン配合散














シナール配合















デルパント配合顆粒













調剤用パンビタン末







A
D
E
葉酸



ワッサーV配合顆粒と同じ効能効果を有する配合ビタミン剤は『ビフロキシン』です。


製品名

効能効果

ワッサーV配合顆粒

湿疹・皮膚炎群、口唇炎、口角炎、口内炎

ビフロキシン配合錠

湿疹・皮膚炎群、口唇炎、口角炎、口内炎

ノイロビタン配合錠

神経痛、筋肉痛、関節痛、末梢神経炎、末梢神経麻痺

ジアイナミックスカプセル

神経痛、筋肉痛、関節痛、末梢神経炎、末梢神経麻痺

アリチア配合錠

神経痛、筋肉痛、関節痛、末梢神経炎、末梢神経麻痺

トリドセラン配合錠

神経痛、筋肉痛、関節痛、末梢神経炎、末梢神経麻痺

ビタノイリンカプセル

消耗性疾患、妊産婦、授乳婦等、神経痛、筋肉痛、関節痛、末梢神経炎、末梢神経麻痺

ビタメジン配合散

消耗性疾患、妊産婦、授乳婦等、神経痛、筋肉痛、関節痛、末梢神経炎、末梢神経麻痺

シナール配合

消耗性疾患、妊産婦、授乳婦等、炎症後の色素沈着

デルパント配合顆粒

湿疹・皮膚炎群

調剤用パンビタン末

消耗性疾患、妊産婦、授乳婦等



国は無駄なビタミン剤の使用を制限すべくビタミン剤の保険請求を厳しくしています。

そのため、ビタミン剤の処方が減ってきており、製造側としては売れない儲けの少ない製品に製造ラインを割くより、単価の高い後発品などにシフトする流れになるでしょう。

この飽食の時代に経口ビタミン剤を本当に必要とする人がどれだけいるでしょうか。



平成28年度 診療報酬点数表

F200 薬剤料

5 健康保険法第85条第1項及び高齢者医療確保法第74条第1項に規定する入院時 食事療養費に係る食事療養又は健康保険法第85条の2第1項及び高齢者医療確保 法第75条第1項に規定する入院時生活療養費に係る生活療養の食事の提供たる療養を受けている患者又は入院中の患者以外の患者に対して投与されたビタミン剤 については、当該患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝異常であ ることが明らかであり、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難 である場合その他これに準ずる場合であって、医師が当該ビタミン剤の投与が有効であると判断したときを除き、これを算定しない。




(8) ビタミン剤
ア 「注5」に規定するビタミン剤とは、内服薬及び注射薬をいうものであり、また、ビ タミンを含有する配合剤を含むものである。

イ ビタミン剤に係る薬剤料が算定できるのは、医師が当該ビタミン剤の投与が有効であ ると判断し、適正に投与された場合に限られるものであり、医師が疾患の特性により投 与の必要性を認める場合のほか、具体的には、次のような場合をいう。ただし、薬事承 認の内容に従って投与された場合に限る。

(イ) 患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であることが明らかで あり、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合(例えば、悪性貧血のビタミンB12の欠乏等、診察及び検査の結果から当該疾患又は症状が明 らかな場合)
(ロ) 患者が妊産婦、乳幼児等(手術後の患者及び高カロリー輸液療法実施中の患者を 含む。)であり、診察及び検査の結果から食事からのビタミンの摂取が不十分であ ると診断された場合
(ハ) 患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であると推定され、か つ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合
(ニ) 重湯等の流動食及び軟食のうち、一分がゆ、三分がゆ又は五分がゆを食している 場合
(ホ) 無菌食、フェニールケトン尿症食、楓糖尿症食、ホモシスチン尿症食又はガラク トース血症食を食している場合
ウ ビタミン剤に係る薬剤料を算定する場合には、当該ビタミン剤の投与が必要かつ有効 と判断した趣旨を具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載しなければならない。ただ し、病名によりビタミン剤の投与が必要、かつ、有効と判断できる場合は趣旨を診療報 酬明細書に記載することは要しない。

2016年8月9日火曜日

乳児血管腫治療薬 ヘマンジオルシロップ小児用0.375%





乳児血管腫は出生時もしくは生後間もなく発症する血管内皮の増殖を特徴とする良性の血管性腫瘍です。
一般的に、乳児血管腫は、生後 1~4 週に出現し、1 年以内に急速に大きくなっていきます。
しかし、その後 90 %以上は 5~7 歳までに数年かけて徐々に消えてなくなります。

一方で、病変の大きさや発生部位によっては、うっ血性心不全、気道狭窄、眼瞼眼窩病変による視性刺激遮断弱視、斜視、乱視、耳下腺病変に伴う外耳道閉鎖、出血を伴う潰瘍形成等、重要臓器及び感覚器官に影響を及ぼすことがあります。
このような場合には、速やかな治療が必要とされています。

日本人における 乳児血管腫の発症率は 100人に1人くらいとされています。
また、乳児血管腫のうち、重要臓器及び感覚器官に影響を及ぼすような病変は 1000人に1人程度という報告があります。

「血管腫・血管奇形診療ガイドライン 2013」〈血管腫・血管奇形診療ガイドライン作成委員会 2013 年 3 月 第 1 版〉
http://www.dicomcast.com/va/_userdata/vascular%20anomalies%20practice%20guideline%202013.pdf


乳児血管腫に対する薬物療法としては、副腎皮質ステロイド、インターフェロンα、ビンクリスチン硫酸塩(オンコビン)等が試みられてきましたが、有効性のエビデンスは十分ではなく、副作用や、乳児の発育に対して影響を及ぼす懸念等もあって、日本では乳児血管腫を適応として承認されている医薬品はありませんでした。

Barrio VR, Drolet BA.Treatment of hemangiomas of infancy. Dermatol Ther 18: 151-159, 2005
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15953144

Barlow CF,et al.,Spastic diplegia as a complication of interferon Alfa-2a treatment of hemangiomas of infancy.J Pediatr 132: 527-530, 1998
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9544915

その他の治療方法としては、個々の患者の状況に応じてレーザー治療、凍結療法、手術等が行われていますが、乳児においては全身麻酔が必要となることが多く、治療後に血管腫が残存する場合もあり、課題が残されています。

そこで、ヘマンジオルシロップ小児用が、日本小児血液・がん学会から医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に対して開発要望が提出されました。

ヘマンジオルシロップ小児用は、プロプラノロール塩酸塩を有効成分とするシロップ剤です。
プロプラノロール塩酸塩は、非選択的β-受容体遮断薬であり、日本においては、本態性高血圧等の効能・効果で承認されています(商品名:インデラル)。

プロプラノロール塩酸塩は、血管収縮作用、血管内皮増殖因子(VEGF)や塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)等の発現抑制を介した血管新生抑制作用等により、特に増殖期の 乳児血管腫に対して効果を示すことが期待されています。
国内外の公表文献では、 乳児血管腫に対してプロプラノロール塩酸塩が有効であったとの報告がなされています。
また、ガイドラインではプロプラノロール塩酸塩は治療選択肢の一つとされています。

ヘマンジオルシロップ小児用は、「乳児血管腫」を効能・効果として、2013 年 11 月 15 日付で希少疾病用医薬品に指定(指定番号(25 薬)第 319 号)されています。

希少疾病用医薬品指定品目一覧表
http://www.nibiohn.go.jp/nibio/part/promote/orphan_support/kisyoiyaku-hyo1.html


ヘマンジオルシロップ小児用の作用機序

乳児血管腫は、血管内皮細胞の腫瘍性増殖による良性の血管性腫瘍です。乳児血管腫病変の血管内皮細胞には β1-及び β2-アドレナリン受容体が発現しています。

Stiles J,et al.,Propranolol treatment of infantile hemangioma endothelial cells: A molecular analysis.Exp Ther Med 4: 594-604, 2012
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23170111

増殖期においては血管内皮細胞増殖や血管新生亢進等を介して、組織塊を形成します。

プロプラノロール塩酸塩は β-アドレナリン受容体の活性化を阻害することで、以下の作用により、増殖期の 乳児血管腫病変に対し効果を発揮すると考えられます。

  • 血管収縮作用による 乳児血管腫病変への血流の減少
  • VEGF 及び 低酸素誘導因子HIF-1α の発現を減少させることによる血管内皮細胞増殖及び血管新生亢進の抑制
  • 乳児血管腫病変部の血管内皮細胞に対するアポトーシス誘導作用




必ず食事や哺乳をさせた後、投与しましょう

低血糖を起こすおそれがあるため、空腹時の投与を避け、授乳中・食事中又は直後に投与しましょう。
食事をしていない、又は嘔吐している場合は投与してはいけません。

なお、服用が行えない場合があったとしても、休薬によって 乳児血管腫が急激に増大するリスクはほぼ無いと考えられているので安心してください。



飲み忘れた場合

服用の間隔は必ず9時間以上あけてください。飲み忘れた場合でも、2回分を一度に飲ませず、次の服薬のタイミングから、決められた回数・用量で服用してください。


キャップが開けにくくなっています

お子様には開けにくい安全キャップが採用されています(チャイルドレジスタンス容器)。キャップを下に強く押しながら反時計回りに回して開けます。


飲料と混ぜて飲ませてもいいですか

ヘマンジオルシロップ小児用に各飲料(調製粉乳、牛乳、野菜ジュース、ほうじ茶、イオン飲料)を混合したときのデータがあります。
性状、並びに 40℃/2 時間保存したときの性状及びプロプラノロール含量を測定しました。
それによると、成分量に変化はみられませんでした。

出典:インタビューフォーム


ヘマンジオルシロップ小児用0.375 %
[効能又は効果]
乳児血管腫
[用法及び用量]
通常、プロプラノロールとして 1 日 1 mg/kg~3 mg/kg を 2 回に分け、空腹時を避けて経口投与する。
投与は 1 日 1 mg/kg から開始し、2 日以上の間隔をあけて 1 mg/kg ずつ増量し、1 日 3 mg/kg で維持するが、患者の状態に応じて適宜減量する。

出典:添付文書



2016年8月7日日曜日

なぜ医療用麻薬の個装箱にはバーコードが表示されていないのか




「麻薬製品はメーカー間の相互仕入れが発生していること等、通常の医療用医薬品とは流通経路、管理方法が異なるため販売包装単位及び元梱包装単位には表示を要さない」とされています。

業界標準マニュアル「医療用医薬品新コード表示ガイドライン」(日本製薬工業協会)
http://www.jpma.or.jp/about/basis/guide/pdf/trade_000_3_1.pdf


バーコード(GS1事業者コード・JANコード)には、『販売業者の情報』が含まれています。

通常、医薬品は販売元が明確になっていますが、

医療用麻薬については
麻薬元卸売業者である製薬メーカーが他の麻薬元卸売協会加入メーカーの全商品を扱うことができます。

つまり、1つの製造販売メーカーの商品に、いくつもの販売メーカーが存在することになります。
別の見方をすると、特定の販売メーカーは存在しないということになり、『販売業者の情報』であるバーコードを表示することができません。


しかし、箱に表示ができないため、表示不要になっていますが、GS1事業者コード・JANコードが存在しないわけではありません。

GS1事業者コード・JANコードはある一定のルールに則り作成されるため、必要な情報が分かれば作成することが可能です。

例:オキシコンチン錠10mgPTP100錠


製品名

形態

包装

製造販売

販売会社
JANコード
GS1コード


オキシコンチン錠10mg 

PTP

100錠

塩野義

塩野義

4987087030082

14987087030089

オキシコンチン錠10mg 

PTP

100錠

塩野義

田辺三菱製薬

4987128071715

14987128071712

オキシコンチン錠10mg 

PTP

100錠

塩野義

大日本住友製薬

4987116782111

14987116782118

オキシコンチン錠10mg 

PTP

100錠

塩野義

武田薬品

4987123144698

14987123144695

オキシコンチン錠10mg 

PTP

100錠

塩野義

第一三共

4987081513451

14987081513458


JANコードを作ってみよう


医療用医薬品に関するコードについては日本ジェネリック製薬協会の資料がとてもわかり易くまとまっています。
http://www.jga.gr.jp/pdf/news/N85/JGA-NEWS85-00.pdf







JANコードから「4987」を除いた9桁のコードを『統一商品コード』といいます。
つまり、『統一商品コード』が分かれば、JANコードを作成することができます。

JANコード = 4987 + 統一商品コード

『統一商品コード』は、日本製薬工業協会(製薬協)が作成しています。
医薬品の販売単位ごとに割り当てられた9桁のコードです。
最初の3桁はメーカーコードで、次の5桁がアイテムコード、下1桁はチェックデジットとなります。

例えば、塩野義製薬が販売するオキシコンチン錠10mgPTP100錠の場合
統一商品コードは「087030082」です。
087」は塩野義製薬が販売しているという意味です。
03008」各販売メーカーが設定している商品のコードです。
「2」はチェックデジットです。


『統一商品コード』は医薬品卸や製薬メーカーに聞けば教えてくれます。


参考:
一般財団法人 流通システム開発センター「GS1事業者コード・JANコードとは」
http://www.dsri.jp/jan/about_jan.html

お盆も開いている薬局





『基準調剤加算』を調剤技術料として算定している薬局は、お盆も開いている薬局です(土曜、日曜・祝日を除く)。


『基準調剤加算』とは、

決められた一定種類以上の医薬品の備蓄をはじめ、患者さんごとに作成された薬歴に基づく必要な指導管理、緊急時や時間外における体制整備、必要事項の掲示、従事者の資質向上を図るための研修の実施などの基準を満たした特別な薬局として厚生労働省(地方厚生局)に届出を行った薬局が算定できるものです。

基準調剤加算の算定要件に「当該保険薬局の開局時間は、平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局していること」とあります。

お盆は、法定上の休日には該当しない平日なので、通常通り開局しています。



『基準調剤加算』を算定しているかどうかは、
あなたのかかりつけ薬局でもらっている明細を御覧ください。




また、地方厚生局のホームページでも調べることができます。
届出受理医療機関名簿に掲載されています。
(各厚生局で掲載場所、掲載内容が異なります)



例として東京都の場合を見てみましょう。

関東信越厚生局の該当ページへアクセスします。
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/chousa/kijyun.html

「施設基準の届出状況(全体)(届出受理医療機関名簿)」にある東京都の「薬局」をクリックします。




受理番号に『(調)』の記載がある薬局が『基準調剤加算』を算定している薬局です。





厚生労働省保険局医療課事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その1)」 平成28年3月31日
【基準調剤加算】
(問18)
基準調剤加算の算定要件に「当該保険薬局の開局時間は、平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局していること」とあるが、祝日を含む週(日曜始まり)については、「週45時間以上開局」の規定はどのように取り扱うのか。

(答)
国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日並びに1月2日、3日、12月29日、12月30日及び31日が含まれる週以外の週の開局時間で要件を満たすか否か判断すること。


(問19)
基準調剤加算の算定要件について、「土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局」とあるが、「一定時間以上」は具体的に何時間必要か。

(答)
基準調剤加算の開局時間の要件は、特定の医療機関の診療時間にあわせるのではなく、地域住民のため、必要なときに調剤応需や相談等に応じられる体制を評価するために定めたものである。平日は毎日1日8時間以上の開局が必要であるが、土曜日又は日曜日の開局時間に関しては、具体的な時間数は規定しない。ただし、算
定要件を満たすためだけに開局するのではなく、地域の保険医療機関や患者の需要に対応できる開局時間を確保することが必要である。

2016年8月4日木曜日

痛風は尿酸値が高くて起こるものではありません。





健康診断などで尿酸値が高いと、「お酒は控えめにして尿酸値を下げないと痛風になりますよ」とアドバイスされることがあると思います。

尿酸値が高いと痛風になるというのは誤解です。



痛風発作が起こった時に尿酸値を下げるかどうか

痛風発作が起こった時に尿酸値を下げる薬を開始すると、ほとんどの場合で発作は悪化します。

痛風発作は尿酸値が高くて起こるものではなく、むしろ高い尿酸値が下がった時に起こるのです。


それはどういうことなのでしょう。
尿酸値が急激に下がると、関節など結晶が溜まっている部分の周りから少しずつ溶けていき、結晶がポロッと剥がれていきます。
剥がれ落ちた結晶に炎症を起こす物質が集まってくるため発作が起きます。

出典:鳥居薬品

そのため、痛風発作を起こした時に尿酸値を下げる薬を服用し始めてはいけません。


しかし、このことを勘違いして「発作中は尿酸を下げる薬を止めなさい」と間違ったことを言う人がいます。

発作の前後では尿酸値を変えないことが原則です。

ずっと尿酸を下げる薬を飲んでいて尿酸値が低い時に発作が起こった人は、そのまま服用を続けてください。

きちんと薬を飲んでいる人はそれほど発作は起こりません。薬を飲んだり飲まなかったりして、尿酸値が上下している人で発作は起こりやすいです。


尿酸を下げる薬は飲み始めに注意


健康診断などで高尿酸血症を指摘され、尿酸を下げる薬を服用を始めた時に発作が起こってしまうこともあります。尿酸値を下げ始める時に発作が起こりやすので、一般的に尿酸値を下げる薬は最低用量から始めます。


最近登場した尿酸を下げる薬(フェブリク、トピロリックなど)の添付文書には『徐々に増量する』と記載があります。
ザイロリックやアロプリノールのように40年近く前からある薬の添付文書にはその記載がありませんが、同様の注意が必要です。


痛風発作の対処法


患部は安静にして、熱感があるときは冷やします。これだけで十分です。
また、痛風の回復期で炎症がなく痛みだけ少し残っている場合には、温めたほうが楽になる場合もあります。

痛み止めは医師の処方通りに飲みましょう。
ひどい痛風発作では、痛み止めを比較的短期間に多めに使用するのが原則です。


2016年8月2日火曜日

尿酸値が高い人が気をつけたほうが良いサプリメントや薬




高尿酸血症で注意すべき薬剤


アスピリン(アセチルサリチル酸)


アスピリンは低用量で尿酸値を上げます。
81mgや100mgぐらいのアスピリンは平均0.5mg/dLぐらい尿酸値をあげてしまいます。

一方、高用量だと尿酸値を急激に下げてしまいます。


尿酸値が下がるんだからいいと考えてしまいがちですが、高い尿酸値が急激に下がった時に痛風発作は起こりやすくなるので、注意しましょう。


また、アスピリンと同じサリチル酸系のエテンザミドも同様の理由で注意です。

エテンザミドはPL顆粒などのかぜ薬などにも配合されているので、知らないうちに服用しているかもしれません。

アスピリンを含む一般用医薬品例
バファリン®

エテンザミドを含む一般用医薬品
ナロンエース®


その他の尿酸値を上げる医療用医薬品

抗結核薬 ピラジナミド
免疫抑制薬 シクロスポリン、ミゾリビン



高尿酸血症で注意すべきサプリメント


核酸サプリメント

核酸は、俗に、「老化を防ぐ」「美肌効果がある」と言われていて酵母や鮭の白子を原料にしたサプリメントでも販売されています。
しかし、ヒトでの有効性については信頼できるデータは見当たりません。
サプリメントとして経口摂取した場合の安全性に関する信頼できるデータは十分ではありません。


尿酸の元となるプリン体とは、プリン骨格と呼ばれる共通の構造を有する物質の総称で核酸(DNA,RNA)を構成する成分です。

核酸サプリメントはプリン体そのものを摂っているようなものです。
プリン体制限をされている高尿酸血症の人には不適です。


ナイアシン(ビタミンB3)

ナイアシンはニコチン酸とニコチンアミドの総称で、活性型補酵素 (NAD、NADP) として、生体内でエネルギー産生や、脂質の代謝、アミノ酸代謝などに関与するビタミンです。

尿酸は主に尿として体外に排泄されます。
ニコチン酸も尿として体外に排泄されます。
ニコチン酸が尿に排泄される際、尿酸トランスポーターであるURAT1が尿酸を尿から細胞内へ再吸収する仕組みを利用しています。

つまり、ニコチン酸の排泄が促進されると、尿酸の再吸収が増え、尿酸の排泄が抑制されてしまいます。

https://243sageru.com/toranomaki/care/3_5/index.html