てんかんは、小児、成人及び高齢者、又は男女を問わず幅広く発症します。
てんかん発作は臨床症状ごとに、全般発作、部分発作(二次性全般化発作に移行することもある)及び分類不能のてんかん発作という 3 つの主要なタイプに分類されます。
このうち部分発作は全症例の約60%を占める最も高頻度に発現する発作で、脳の局所的な障害を伴います。
大部分のてんかん患者は長期的な薬物療法を必要とされます。
現在使用可能な抗てんかん薬によっても30%を超えるてんかん患者で発作コントロールが不十分であることや、重大な副作用が発現することが報告されています。
そこで、新たな治療の選択肢として承認されたのが『ビムパット錠』です。
ビムパット錠の作用機序
新しい作用機序をもつ Na チャネルブロッカーNaチャネルは脳の神経を興奮させるスイッチのようなものだと考えてください。
Naチャネルを不活性化することでそのスイッチをOFFにすることができます。
Naチャネルの不活性化様式には『急速』な不活性化(1/1000 秒単位)と『緩徐』な不活性化(秒~分単位)の 2つの様式が存在します。
急速な不活性化は活動電位の停止及び不応期の調節に関与します。
緩徐な不活性化は活動電位閾値を上昇させます。
カルバマゼピン、ラモトリギン及びフェニトインなどの既存の抗てんかん薬はNaチャネルの急速な不活性化を促進させるのに対し、
ビムパット錠はNaチャネルの緩徐な不活性化を促進させることで抗てんかん作用を示すと考えられています。
ビムパット錠の安全性について
国際共同臨床試験における眼障害関連の有害事象の発現割合は、表のとおりです。
用量依存的に複視及び霧視の発現割合が増加しました。
400 mg/日群の複視 5 例及び霧視 2 例については投与中止に至っています。
また、海外プラセボ対照試験併合成績における眼障害関連の有害事象の発現割合は、プラセボ投与集団で 5.8%、200 mg/日投与集団で 10.7%、400 mg/日投与集団で 20.4%、本剤 600 mg/日投与集団で 33.0%でした。
国際共同臨床試験と同様に複視及び霧視の発現割合がビムパッド投与集団で高くなりました。
以上から、ビムパッド投与による霧視、複視等の眼障害のリスクは否定できないことから、診察時には眼障害について問診を行う旨、異常が認められた場合には適切な処置を行う旨を添付文書において注意喚起されています。
表. 国際共同第Ⅲ相試験及び長期継続投与試験における眼障害関連の有害事象の発現割合
出典:承認申請資料 |
ビムパット錠50mg
ビムパット錠100mg
[効能又は効果]
他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作
(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法
[用法及び用量]
通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100 mg より投与を開始し、その後1 週間以上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200 mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。
なお、症状により 1 日 400 mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100 mg 以下ずつ行うこと。