発売が延期されていたピコプレップですが9月上旬の販売再開を目指しているようです。
処方箋医薬品の件は、メーカーの要望がとおり、厚生労働省が処方箋医薬品として認める通知を出して解決したようです。
【2016.09.02】
ピコプレップ配合内用剤の発売延期
発売日未定
承認時点でメーカーは「処方箋医薬品」の指定を受けるものだと思っていたようですが。
「処方箋医薬品」の指定に必要な成分が含まれていないから指定を受けられなかったことに気がついて販売を延期するようになったようです。
メーカーは、酸化マグネシウムと無水クエン酸を混ぜてできるクエン酸マグネシウムが、処方箋医薬品に相当するとの認識だったようです。
処方箋医薬品として販売したいらしく、新たに指定を受けるために時間がかかるようです。
ピコプレップ配合内用剤は大腸内視鏡検査や大腸手術時の前に腸を空っぽにするための下剤です。
2016年7月に承認された新しい腸管洗浄剤です。
日本では、ニフレックに代表されるナトリウム・カリウム配合内用剤、や塩類下剤であるマグコロール(クエン酸マグネシウム製剤)が幅広く用いられています。
これらの腸管洗浄剤の問題点として、味や服薬量のが多くとても飲みにくいものでした。
上手に飲めず、不十分な腸管洗浄になったり、飲むのが嫌で大腸内視鏡検査を受けたくないという人もいることから、腸管洗浄効果が高く、かつ患者に優しい腸管洗浄剤の開発が望まれていました。
ピコプレップ配合内用剤の作用機序
ピコプレップ配合内用剤は、ピコスルファートナトリウム水和物、酸化マグネシウム及び無水クエン酸で構成されています。
酸化マグネシウム及び無水クエン酸は水に溶かすと、反応してクエン酸マグネシウムとなり薬効を示します。
ピコスルファートナトリウム水和物は、大腸内の細菌より分泌される酵素により分解され、BHPMに代謝されます。
BHPM は腸管運動を活発にし、水分の吸収を阻害することでビチョビチョの下痢便を作り出します。
クエン酸マグネシウムは、腸管内を水浸しにするとともに水分の吸収を抑制して腸内容積を増大させることにより腸管運動を活発にして、下痢を促します。また、コレシストキニンの遊離を刺激し、腸管内を水浸しにするとともに水分の吸収を抑制して腸内容積を増大させることにより腸管運動を活発にして、下痢を促します。
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出典:インタビューフォーム |
Forth W, et al.: Naunyn-Schmiederberg’s Arch Pharmacol. 1972; 274, 46-53
http://link.springer.com/article/10.1007/BF00501005
Hillestad B, et al.: Acta pharmacol. toxicol. 1982; 51, 388-394
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7180502
Jauch R, et al.: Arzneim. Forsch. -Drug Res. 1975; 25, 1796-1800
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1243088
Pankaj J. P. Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics. 11th ed.McGRAW-HILL; Chapter 37; pp992
https://www.amazon.com/Goodman-Gilmans-Pharmacological-Basis-Therapeutics/dp/0071422803/
ブラウン変法が手軽にできるピコプレップ
日本では、ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン)とクエン酸マグネシウム(マグコロール)の単剤はそれぞれ腸管洗浄剤として承認され広く使用されています。
また、ピコスルファートナトリウム水和物等の刺激性下剤とクエン酸マグネシウム等の塩類下剤に低残渣無脂肪食を組み合わせた腸管洗浄法はブラウン変法と呼ばれ、大腸内視鏡検査における前処置として広く実施されています。
ピコプレップ配合内用剤は、ブラウン変法で用いられる複数の成分をひとまとめに配合した製剤なので、医療従事者や患者の利便性向上に一役買うお薬だと思われます。
ニフレックより飲みやすいピコプレップ
ニフレックなどのポリエチレングリコール電解質を有効成分とする腸管洗浄剤では、特有の味のためとても飲みづらいという患者さんが少なくありません。
ピコプレップ配合内用剤は、飲みやすいオレンジ風味にすることで、飲みづらさの改善しています。
実際の臨床試験での患者さんに飲みやすさのアンケートを行っています(「とても良い」から「悪い」の 5 段階評価)。
飲みやすさについて
「とても飲みやすい」又は「飲みやすい」と回答したのは
ピコプレップ分割投与群で 84.5 %(180/213 例)、
ピコプレップ前日投与群 78.7 %(166/211例)、
ニフレック群 23.8 %(49/206 例)。
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https://www.ferring.co.jp/ |
味について、
「とても良い」又は「良い」と回答したのは
ピコプレップ分割投与群で 75.6 %(161/213 例)、
ピコプレップ前日投与群 65.9 %(139/211 例)、
ニフレック群 21.3 %(44/206 例)。
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全般的印象について、
「とても良い」又は「良い」と回答としたのは
ピコプレップ分割投与群で 73.7 %(157/213 例)、
ピコプレップ前日投与群で 71.5 %(151/211 例)、
ニフレック群で 28.2 %(58/206 例)。
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ピコプレップ配合内用剤の用法用量
1 回 1 包を約 150mL の水に溶解し、検査又は手術前に 2 回経口投与します。
1 回目の服用後は、1 回 250mL の透明な飲料を数時間かけて最低 5 回、
2 回目の服用後は 1 回 250mL の透明な飲料を検査又は手術の 2 時間前までに最低 3 回飲用します。
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検査又は手術の前日と当日に分けて 2 回投与する場合(検査が午後にある場合)
検査又は手術の前日は低残渣食、当日は透明な飲料のみとし、検査又は手術前日の夜及び検査又は手術当日の朝(検査又は手術の 4~9 時間前)の 2 回経口投与する。
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検査又は手術の前日に 2 回投与する場合(検査が午前にある場合)
検査又は手術の前日は低残渣食、当日は透明な飲料のみとし、検査又は手術前日の夕及び 1 回目の服用から約 6 時間後の夜の 2 回経口投与する。
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透明な飲み物?
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ニフレックより飲みやすいが、洗浄度は劣る?
腸管がどの程度洗浄されているか、医師が評価したところ、ニフレック群に比べてピコプレップ配合内用剤で有効率が低い傾向が認められました。
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ピコプレップ承認申請資料 |
臨床試験での最終服薬時刻から大腸内視鏡検査実施までの時間は、
ニフレック群の1.82 時間に対し、
ピコプレップ分割投与群は 5.64 時間及び
ピコプレップ前日投与群は 11.60 時間でした。
腸管洗浄剤による前処置から大腸内視鏡検査開始までの時間が長くなったことにより、ニフレック群に比べ、腸管洗浄度が低くなった可能性があるとメーカー側は考えているようです。
検査薬は病院でもらうものです。
手術や検査にかかわる薬剤は、院外処方せんによる供給にはなじみません。
それは、医療機関の請求において、「投薬」ではなく「手術」や「検査」の項目に記載されるものであり、処方料も調剤料も算定することはできないとされているからです。
従って、手術前・検査前の薬のみが記載された院外処方せんを発行した場合、医療機関では処方せん料を算定することはできません。
また、これを受けた薬局は、調剤基本料や薬剤服用歴管理指導料等を算定することは出来ず、薬剤料のみ請求せざるを得ません。