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2016年7月31日日曜日

第 3 章 平成28年在宅療養指導管理料別レセプト算定例 11. 在宅肺高血圧症患者指導管理




C111 在宅肺高血圧症患者指導管理料

在宅肺高血圧症患者指導管理料(月 1 回) 1,500 点

C168 携帯型精密輸液ポンプ加算

携帯型精密輸液ポンプ加算(月 1 回) 10,000 点

C168-2 携帯型精密ネブライザー加算

携帯型精密ネブライザー加算 3,200点

【 ( 14) 在宅にて算定】 - 月 2 回訪問した場合

①在宅患者訪問診療料

833点×2回

②在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所)

4600 点×1 回

③在宅療養指導管理料

在宅肺高血圧症患者指導管理料

1,500 点×1 回

④在宅療養指導管理材料加算、薬剤料

在宅療養指導管理材料加算

携帯型精密輸液ポンプ加算

10,000 点×1 回

薬剤料

(投与速度:10ng/kg/分)

フローラン ( 1.5mg〔静注用〕×15 瓶)
⇒30日分


●「携帯型精密輸液ポンプ加算」には、カセット、延長チューブ、その他携帯型精密輸液ポンプに必要なすべての費用が含まれる。

●「携帯型精密ネブライザー加算」には、携帯型精密ネブライザーを使用するに当たって必要な全ての費用が含まれる。

● 対象薬剤は、プロスタグランジンI2製剤(フローラン、トレプロスト、ベンテイビス)。


携帯型精密輸液ポンプ
http://www.smiths-medical.com/jp/products/05/05-15.html

出典:smiths-medical

参考:

ベンテイビス吸入液 10 μg(イロプロスト) 肺動脈性肺高血圧症治療薬


第 3 章 平成28年在宅療養指導管理料別レセプト算定例 10-2. 在宅血液透析指導管理



C102-2 在宅血液透析指導管理料


在宅血液透析指導管理料(月 1 回) 8,000 点
頻回指導管理(月 2 回) 2,000 点

C156 透析液供給装置加算

透析液供給装置加算(月 1 回) 10,000 点


特定保険医療材料

在宅血液透析用特定保険医療材料(回路を含む。)

(1)ダイアライザー
①Ia型(膜面積1.5m2未満)1,590円
②Ia型(膜面積1.5m2以上)1,530円
③Ib型(膜面積1.5m2未満)1,610円
④Ib型(膜面積1.5m2以上)1,650円
⑤IIa型(膜面積1.5m2未満)1,600円
⑥IIa型(膜面積1.5m2以上)1,670円
⑦IIb型(膜面積1.5m2未満)1,600円
⑧IIb型(膜面積1.5m2以上)1,740円
⑨S型(膜面積1.5m2未満)1,660円
⑩S型(膜面積1.5m2以上)1,660円
⑪特定積層型5,780円

(2)吸着型血液浄化器(β2-ミクログロブリン除去用)22,600円




【 ( 14) 在宅にて算定】 - 月 2 回訪問し、隔日で血液透析した場合

①在宅患者訪問診療料

833点×2回

②在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所)

4600 点×1 回

③在宅療養指導管理料

在宅血液透析指導管理料

8,000 点×1 回

④在宅療養指導管理材料加算、薬剤料

在宅療養指導管理材料加算

透析液供給装置加算

10,000 点×1 回

特定保険医療材料

(1)ダイアライザー
Ⅰb型(膜面積1.5㎡未満)@1,610 円
160 点×15 回

薬剤料

キンダリー透析剤AF2号 (6L 15 瓶)

デリバデクスヘパリンロック用
(10 単位/mLシリンジ 5mL 15 筒)

生理食塩液(1L 15 瓶)

生理食塩液(500mL 15 瓶)


●逆浸透を用いた水処理処置・前処理のためのフィルター費用は「透析液供給装置加算」に含まれる。

●ダイアライザー及び吸着型血液浄化器の材料価格には、回路の材料価格が含まれる。

●ダイアライザーの種類は、β2-MG の除去率や膜面積などの大きさにより異なり材料価格も異なる。

●注射器、穿刺針、 透析セット(ガーゼ・消毒用の綿棒など) の費用は、「在宅血液透析指導管理料」に含まれる。

平成28年ダイアライザーの機能区分が変更されました。
http://www.jamdi.org/insurance-topics/data/20160202-info-5-1.pdf


ダイアライザー
https://www.nipro.co.jp/public/technology/

出典:ニプロ

透析セット
出典:日昌医療機

第 3 章 平成28年在宅療養指導管理料別レセプト算定例 10. 在宅自己腹膜灌流指導管理



C102 在宅自己腹膜灌流指導管理料

在宅腹膜灌流指導管理料(月 1 回) 4,000 点
頻回指導管理(月 2 回) 2,000 点

C154紫外線殺菌器加算

紫外線殺菌器加算(月 1 回) 360 点

C155自動腹膜灌流装置加算

自動腹膜灌流装置加算(月 1 回) 2,500 点


特定保険医療材料 

腹膜透析液交換セット
(1)交換キット 544円
(2)回路
①Yセット 873円
②APDセット 5,370円
③IPDセット 1,020円


【 ( 14) 在宅にて算定 】 - 月 2 回訪問し、 CAPD(連続携行式腹膜透析・4 回交換/日)療法患者で排液用バック付き透析液を使用した場合(一般用)7 個使用した場合

①在宅患者訪問診療料

833点×2回

②在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所)

4600 点×1 回

③在宅療養指導管理料

在宅自己腹膜灌流指導管理料

4,000 点×1 回

④在宅療養指導管理材料加算、薬剤料

在宅療養指導管理材料加算

紫外線殺菌器加算

360 点×1 回

特定保険医療材料

腹膜透析液交換セット
(1)交換キット@544 円 120 個 54 点×120 回

薬剤料

ダイアニールーN PD-4 1.5 1.5L 120 袋
(排液用バック付) 1 日 4 回 30 日分


●「交換キット」とは、接続チューブや透析液容器若しくは回路を接続又は切り離しすることを目的に使用するキット(キャップ、ウエハー等を含む)を指す。

●キャップ又はクラムシェルの場合は1個を、ウエハーの場合は2枚を1キットとし、1交換当たり1キットを限度として算定する。

●APD セットを使用する場合は、 APD1 セット当たり 4 キットを限度として算定可。

●排液バック付き腹膜透析液又は回路を使用しない場合、 1 交換当り 2 キットを限度に算定可。

●薬剤を院外処方した場合に限り、腹膜透析液交換セットも院外処方可。

特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について(通知) 平成28年3月4日
保医発0304第7号



キャップ

出典:terumo


ウエハー<刃>
出典:terumo

排液用バック付透析液
出典:terumo


回路の種類

Y セット
CAPD(連続携行式腹膜透析)療法の際に用いるチューブセット

APD セット
APD(自動腹膜透析)療法の際に用いるチューブセット

出典:terumo
IPD セット
緊急時に手動にて腹膜透析を行う際に用いるチューブセット


紫外線殺菌器

使用した場合に、加算として 「紫外線殺菌器加算」を算定できる。


自動腹膜灌流装置<サイクラー>

APD(自動腹膜透析)療法患者に使用した場合、加算として「自動腹膜灌流装置加算」を算定できる。
出典:JMS


2016年7月29日金曜日

ディフェリンとベピオが一つになった塗り薬 エピデュオゲル




ニキビは、思春期以降に皮疹が顔や背中にできる慢性炎症性皮膚疾患です。
皮脂腺などの代謝異常、毛穴の角化異常そしてアクネ菌等の増殖が複雑に関与するとされています。
尋常性座瘡治療ガイドライン、日皮会誌 118: 1893-1923, 2008
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1372913643_1.pdf

ニキビの治療薬としては、アダパレン外用剤(ディフェリンゲル)、過酸化ベンゾイル外用剤(ベピオゲル)、経口又は外用の抗菌剤等が用いられています。
重症度や皮疹の種類に基づき単独又は併用療法が選択されます。

エピデュオゲルは、レチノイド様活性及び抗炎症作用を有するディフェリンゲルと抗菌活性を有するベピオゲルを有効成分とする配合剤です。
患者利便性の向上や塗りやすさ等を期待して開発されました。


エピデュオゲルの添加物

エピデュオゲルは 1 g 中にアダパレンを 1 mg、過酸化ベンゾイルを 25 mg 含有する水性ゲル剤です。
製剤には、
アクリルアミド・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート 80、
ジオクチルソジウムスルホサクシネート、
エデト酸ナトリウム水和物、
グリセリン、
ポリオキシエチレン(20)
ポリオキシプロピレン(20)
グリコール、
プロピレングリコール、
精製水が添加剤として含まれます。


エピデュオゲルは光に注意

光安定性試験の結果、エピデュオゲルは光に不安定でした。
製品である高密度ポリエチレンチューブ包装品は光に安定でした。
したがいまして、チューブから出したらすぐに使うようにして、別の容器などへの小分けはしないようにしましょう。


3ヶ月程度使い続けないと効果は実感できない

長期投与時の有効性について国内長期投与試験における総皮疹数の減少率の推移を調査したデータが有ります。
総皮疹数の減少率は 3 カ月程度までは比較的減少傾向が大きく、以降は最終評価時まで大きく変動することなく推移しました。





50%くらいニキビが減らないと見た目の効果は実感できません。
つまり塗り始め1,2週間で効果を判定するのは時期尚早で、3ヶ月程度は使ってみないと効果は分からないでしょう。

逆に、治療開始 3 カ月以内に症状の改善が認められない場合にはそれ以上塗り続けても意味ないので使用を中止しましょう。

エピデュオゲルはこういう時に使う

日本、アメリカそしてヨーロッパの尋常性ざ瘡治療ガイドラインでは、ニキビの治療は重症度と皮疹の種類(炎症性皮疹、非炎症性皮疹又は両方)に基づき選択するとされています。

非炎症性皮疹(面皰)のみの軽度のニキビの場合、ディフェリンゲルのような局所レチノイドの単剤による治療が推奨されます。
炎症性皮疹を伴う軽度から中等度のニキビでは、ディフェリンゲルをベースとし、炎症性皮疹の重症度等に応じて、抗菌薬(外用又は経口)が追加されます。
また、ヨーロッパのガイドラインでは殺菌作用を有し耐性菌発生の懸念がないベピオゲルを、ディフェリンゲルや抗菌薬と併用することが推奨されています。

日本ではベピオゲルは 2014年12月に承認されたことから2008年公表の日本皮膚科学会の尋常性治療ガイドラインに記載はありませんが、ベピオゲルとエピデュオゲルの臨床的位置付けは、アメリカやヨーロッパと同様と考えられます。

日皮会誌 118: 1893-1923, 2008
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1372913643_1.pdf
Management of acne: a report from a Global Alliance to Improve Outcomes in Acne.J Am Acad Dermatol 49: S1-37, 2003
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12833004
European evidence-based (S3) guidelines for the treatment of acne.J Eur Acad Dermatol Venereol 26: 1-29, 2012
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22356611


ベピオゲル単剤では効果がイマイチだったひとにオススメ

海外治験の併合データにおける、ベースラインの炎症性皮疹数による重症度別の「投与開始 12 週目の総皮疹数のベースラインからの減少率」は表 のとおりです。

承認申請資料より

エピデュオゲルは各単剤と比較して重症のニキビにおいてより有用であると考えられています。
さらに、ドイツで実施された中等度から重度のニキビ患者 5,131 例を対象とした観察研究結果があります。
それは、ベピオゲルでは十分に改善されなかった患者においてエピデュオゲルにより改善する傾向が示されたという報告でした。
Safety and efficacy of adapalene 0.1% / benzoyl peroxide 2.5% in the long-term treatment of predominantly moderate acne with or without concomitant medication - results from the non-interventional cohort study ELANG.J Eur Acad Dermatol Venereol S4: 15-22, 2015
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26059730

以上からベピオゲル単剤では効果がイマイチだったひとにオススメできる製剤です。


また、ニキビ治療において複数の外用剤を別々に塗布するよりも配合剤にすることでアドヒアランスが高まり治療効果も高くなるという報告があります。
Simplifying regimens promotes greater adherence and outcomes with topical acne medications: a randomized controlled trial.Cutis 86: 103-108,2010
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20919606

エピデュオゲルは、異なる薬理作用を有するディフェリンゲルとベピオゲルを組み合わせることで有効性を高めるだけでなく、配合剤にすることでコンプライアンスやアドヒアランスが改善し、効果が高くなる可能性が考えられます。


副作用について

国内の治験では、エピデュオゲルを使うと単剤と比較して「皮膚刺激」の発現割合が高い傾向が認められました。
しかし、そのほとんどが軽度又は中等度で、薬を中止するなどの適切な対応をとることで回復します。



エピデュオゲル
[効能又は効果]
尋常性ざ瘡

[用法及び用量]
1 日 1 回、洗顔後、患部に適量を塗布する


2016年7月28日木曜日

低用量ピル オーソM/オーソ777 販売中止と代替品




経口避妊剤『オーソ777-21錠/オーソM-21錠』が販売中止となるようです。
(販売中止時期2017年1月予定)

製造・販売中止のご案内(持田製薬)
http://www.mochida.co.jp/dis/etc/img/ort2807.pdf


経口避妊薬(低用量ピル)は女性ホルモンを含有する薬剤です。
通常、黄体ホルモン(プロゲステロン)と呼ばれる成分と卵胞ホルモン(エストロゲン)
と呼ばれる成分の配合剤です。

一般的には生理周期に合わせて毎日1錠ずつ服用すると配合されている2種類の女性ホルモンの作用により排卵を抑制し、避妊の効果が得られます。


低用量ピルは1つの周期の間に投与する黄体ホルモンの量を変化させるかさせないかで、2つの系統にわけられます。

黄体ホルモンを変化させないものを『1相性』といい、。
黄体ホルモンの量を3段階に変化させたものを『3相性』といいます。

オーソM-21錠は『1相性』です。
オーソ777-21錠は『3相性』で、7日ずつ増量する漸増型の薬剤です。


オーソM-21錠/オーソ777-21錠の代替品


日本ではオーソの他にマーベロン、ファボワール、アンジュ、トリキュラー、ラベルフィーユ、シンフェーズといった低用量ピルがあります。

オーソ777は「漸増型」ですが、シンフェーズTは「中間増量型」です。
ホルモンの変化のさせ方が異なりますので注意が必要です。

■1相性


製品名 メーカー 成 分
オーソM21錠 持田製薬 ノルエチステロン・
エチニルエストラジオール
マーベロン 21/マーベロン 28 MSD デソゲストレル・
エチニルエストラジオール
ファボワール錠 21/ファボワール錠 28 富士製薬工業 デソゲストレル・
エチニルエストラジオール


■3相性

製品名 メーカー 成 分
オーソ777 持田製薬 ノルエチステロン・
エチニルエストラジオール
シンフェーズT28 錠 科研製薬 ノルエチステロン
エチニルエストラジオール
トリキュラー錠 21/トリキュラー錠 28 バイエル薬品 レボノルゲストレル・
エチニルエストラジオール
ラベルフィーユ 21 錠/ラベルフィーユ 28 錠 富士製薬工業 レボノルゲストレル・
エチニルエストラジオール
アンジュ 21 錠/アンジュ 28 錠 あすか製薬 レボノルゲストレル・
エチニルエストラジオール


参考:
低用量ピルの製剤一覧(日産婦誌61巻10号)

※ノリニール、トライディオールは販売終了

2016年7月26日火曜日

抗てんかん薬ラコサミド(ビムパット錠)は眼障害に注意




てんかんは、小児、成人及び高齢者、又は男女を問わず幅広く発症します。
てんかん発作は臨床症状ごとに、全般発作、部分発作(二次性全般化発作に移行することもある)及び分類不能のてんかん発作という 3 つの主要なタイプに分類されます。
このうち部分発作は全症例の約60%を占める最も高頻度に発現する発作で、脳の局所的な障害を伴います。
大部分のてんかん患者は長期的な薬物療法を必要とされます。
現在使用可能な抗てんかん薬によっても30%を超えるてんかん患者で発作コントロールが不十分であることや、重大な副作用が発現することが報告されています。

そこで、新たな治療の選択肢として承認されたのが『ビムパット錠』です。


ビムパット錠の作用機序

新しい作用機序をもつ Na チャネルブロッカー

Naチャネルは脳の神経を興奮させるスイッチのようなものだと考えてください。
Naチャネルを不活性化することでそのスイッチをOFFにすることができます。

Naチャネルの不活性化様式には『急速』な不活性化(1/1000 秒単位)と『緩徐』な不活性化(秒~分単位)の 2つの様式が存在します。

急速な不活性化は活動電位の停止及び不応期の調節に関与します。
緩徐な不活性化は活動電位閾値を上昇させます。

カルバマゼピン、ラモトリギン及びフェニトインなどの既存の抗てんかん薬はNaチャネルの急速な不活性化を促進させるのに対し、
ビムパット錠はNaチャネルの緩徐な不活性化を促進させることで抗てんかん作用を示すと考えられています。




ビムパット錠の安全性について


国際共同臨床試験における眼障害関連の有害事象の発現割合は、表のとおりです。
用量依存的に複視及び霧視の発現割合が増加しました。
400 mg/日群の複視 5 例及び霧視 2 例については投与中止に至っています。

また、海外プラセボ対照試験併合成績における眼障害関連の有害事象の発現割合は、プラセボ投与集団で 5.8%、200 mg/日投与集団で 10.7%、400 mg/日投与集団で 20.4%、本剤 600 mg/日投与集団で 33.0%でした。
国際共同臨床試験と同様に複視及び霧視の発現割合がビムパッド投与集団で高くなりました。

以上から、ビムパッド投与による霧視、複視等の眼障害のリスクは否定できないことから、診察時には眼障害について問診を行う旨、異常が認められた場合には適切な処置を行う旨を添付文書において注意喚起されています。


表. 国際共同第Ⅲ相試験及び長期継続投与試験における眼障害関連の有害事象の発現割合

出典:承認申請資料



ビムパット錠50mg
ビムパット錠100mg

[効能又は効果]
他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作
(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法

[用法及び用量]
通常、成人にはラコサミドとして 1 日 100 mg より投与を開始し、その後1 週間以上の間隔をあけて増量し、維持用量を 1 日 200 mg とするが、いずれも 1 日 2 回に分けて経口投与する。
なお、症状により 1 日 400 mg を超えない範囲で適宜増減するが、増量は 1 週間以上の間隔をあけて 1 日用量として 100 mg 以下ずつ行うこと。



2016年7月24日日曜日

健康サポート薬局に求められる業務や制度について



【2016.8.6追記】
日薬 健康サポート薬局でQ&A、調剤報酬「無関係」(RISFAX)
http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=51475

日本薬剤師会は4日、健康サポート薬局について改めて「基準の再周知」と「適正な運用」を各都道府県薬に通達した。寺山善彦専務理事は、会員からの問い合わせのなかで「制度の主旨をキッチリ理解しているかどうか......


健康サポート薬局 Q&A(制度関連) (埼玉県薬剤師会)
http://www.saiyaku.or.jp/common/q&a160804.pdf




2016年7月21日木曜日

腸管洗浄剤 ピコプレップ配合内用剤



発売が延期されていたピコプレップですが9月上旬の販売再開を目指しているようです。

処方箋医薬品の件は、メーカーの要望がとおり、厚生労働省が処方箋医薬品として認める通知を出して解決したようです。

【2016.09.02】

ピコプレップ配合内用剤の発売延期
発売日未定

承認時点でメーカーは「処方箋医薬品」の指定を受けるものだと思っていたようですが。
「処方箋医薬品」の指定に必要な成分が含まれていないから指定を受けられなかったことに気がついて販売を延期するようになったようです。
メーカーは、酸化マグネシウムと無水クエン酸を混ぜてできるクエン酸マグネシウムが、処方箋医薬品に相当するとの認識だったようです。

処方箋医薬品として販売したいらしく、新たに指定を受けるために時間がかかるようです。


ピコプレップ配合内用剤は大腸内視鏡検査や大腸手術時の前に腸を空っぽにするための下剤です。
2016年7月に承認された新しい腸管洗浄剤です。


日本では、ニフレックに代表されるナトリウム・カリウム配合内用剤、や塩類下剤であるマグコロール(クエン酸マグネシウム製剤)が幅広く用いられています。

これらの腸管洗浄剤の問題点として、味や服薬量のが多くとても飲みにくいものでした。
上手に飲めず、不十分な腸管洗浄になったり、飲むのが嫌で大腸内視鏡検査を受けたくないという人もいることから、腸管洗浄効果が高く、かつ患者に優しい腸管洗浄剤の開発が望まれていました。



ピコプレップ配合内用剤の作用機序

ピコプレップ配合内用剤は、ピコスルファートナトリウム水和物、酸化マグネシウム及び無水クエン酸で構成されています。
酸化マグネシウム及び無水クエン酸は水に溶かすと、反応してクエン酸マグネシウムとなり薬効を示します。

ピコスルファートナトリウム水和物は、大腸内の細菌より分泌される酵素により分解され、BHPMに代謝されます。
BHPM は腸管運動を活発にし、水分の吸収を阻害することでビチョビチョの下痢便を作り出します。

クエン酸マグネシウムは、腸管内を水浸しにするとともに水分の吸収を抑制して腸内容積を増大させることにより腸管運動を活発にして、下痢を促します。また、コレシストキニンの遊離を刺激し、腸管内を水浸しにするとともに水分の吸収を抑制して腸内容積を増大させることにより腸管運動を活発にして、下痢を促します。

出典:インタビューフォーム
Forth W, et al.: Naunyn-Schmiederberg’s Arch Pharmacol. 1972; 274, 46-53
http://link.springer.com/article/10.1007/BF00501005
Hillestad B, et al.: Acta pharmacol. toxicol. 1982; 51, 388-394
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7180502
Jauch R, et al.: Arzneim. Forsch. -Drug Res. 1975; 25, 1796-1800
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1243088
Pankaj J. P. Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics. 11th ed.McGRAW-HILL; Chapter 37; pp992
https://www.amazon.com/Goodman-Gilmans-Pharmacological-Basis-Therapeutics/dp/0071422803/


ブラウン変法が手軽にできるピコプレップ

日本では、ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン)とクエン酸マグネシウム(マグコロール)の単剤はそれぞれ腸管洗浄剤として承認され広く使用されています。
また、ピコスルファートナトリウム水和物等の刺激性下剤とクエン酸マグネシウム等の塩類下剤に低残渣無脂肪食を組み合わせた腸管洗浄法はブラウン変法と呼ばれ、大腸内視鏡検査における前処置として広く実施されています。

ピコプレップ配合内用剤は、ブラウン変法で用いられる複数の成分をひとまとめに配合した製剤なので、医療従事者や患者の利便性向上に一役買うお薬だと思われます。


ニフレックより飲みやすいピコプレップ

ニフレックなどのポリエチレングリコール電解質を有効成分とする腸管洗浄剤では、特有の味のためとても飲みづらいという患者さんが少なくありません。
ピコプレップ配合内用剤は、飲みやすいオレンジ風味にすることで、飲みづらさの改善しています。

実際の臨床試験での患者さんに飲みやすさのアンケートを行っています(「とても良い」から「悪い」の 5 段階評価)。

飲みやすさについて
「とても飲みやすい」又は「飲みやすい」と回答したのは
ピコプレップ分割投与群で 84.5 %(180/213 例)、
ピコプレップ前日投与群 78.7 %(166/211例)、
ニフレック群 23.8 %(49/206 例)。

https://www.ferring.co.jp/



味について、
「とても良い」又は「良い」と回答したのは
ピコプレップ分割投与群で 75.6 %(161/213 例)、
ピコプレップ前日投与群 65.9 %(139/211 例)、
ニフレック群 21.3 %(44/206 例)。

https://www.ferring.co.jp/


全般的印象について、
「とても良い」又は「良い」と回答としたのは
ピコプレップ分割投与群で 73.7 %(157/213 例)、
ピコプレップ前日投与群で 71.5 %(151/211 例)、
ニフレック群で 28.2 %(58/206 例)。

https://www.ferring.co.jp/



ピコプレップ配合内用剤の用法用量

1 回 1 包を約 150mL の水に溶解し、検査又は手術前に 2 回経口投与します。

1 回目の服用後は、1 回 250mL の透明な飲料を数時間かけて最低 5 回、
2 回目の服用後は 1 回 250mL の透明な飲料を検査又は手術の 2 時間前までに最低 3 回飲用します。

https://www.ferring.co.jp/


検査又は手術の前日と当日に分けて 2 回投与する場合(検査が午後にある場合)
検査又は手術の前日は低残渣食、当日は透明な飲料のみとし、検査又は手術前日の夜及び検査又は手術当日の朝(検査又は手術の 4~9 時間前)の 2 回経口投与する。

https://www.ferring.co.jp/




検査又は手術の前日に 2 回投与する場合(検査が午前にある場合)
検査又は手術の前日は低残渣食、当日は透明な飲料のみとし、検査又は手術前日の夕及び 1 回目の服用から約 6 時間後の夜の 2 回経口投与する。

https://www.ferring.co.jp/


透明な飲み物?

https://www.ferring.co.jp/

ニフレックより飲みやすいが、洗浄度は劣る?

腸管がどの程度洗浄されているか、医師が評価したところ、ニフレック群に比べてピコプレップ配合内用剤で有効率が低い傾向が認められました。

ピコプレップ承認申請資料

臨床試験での最終服薬時刻から大腸内視鏡検査実施までの時間は、
ニフレック群の1.82 時間に対し、
ピコプレップ分割投与群は 5.64 時間及び
ピコプレップ前日投与群は 11.60 時間でした。

腸管洗浄剤による前処置から大腸内視鏡検査開始までの時間が長くなったことにより、ニフレック群に比べ、腸管洗浄度が低くなった可能性があるとメーカー側は考えているようです。



検査薬は病院でもらうものです。

手術や検査にかかわる薬剤は、院外処方せんによる供給にはなじみません。
それは、医療機関の請求において、「投薬」ではなく「手術」や「検査」の項目に記載されるものであり、処方料も調剤料も算定することはできないとされているからです。
従って、手術前・検査前の薬のみが記載された院外処方せんを発行した場合、医療機関では処方せん料を算定することはできません。
また、これを受けた薬局は、調剤基本料や薬剤服用歴管理指導料等を算定することは出来ず、薬剤料のみ請求せざるを得ません。


2016年7月19日火曜日

エアゾリン D1 販売中止と代替品




エアゾリン D1が販売中止となるようです。
(2017年1月ごろ在庫消尽予定)

「エアゾリン D1」販売中止について (武田薬品工業)
https://www.takedamed.com/content/medicine/newsdoc/aersolin.pdf


『エアゾリン D1』はステロイドであるプレドニゾロンと抗生物質のフラジオマイシン硫酸塩を配合したエアゾール剤です。

抗生物質及び副腎皮質ホルモン混合製剤では唯一のスプレータイプの製剤でした。


スプレーの使いやすさから、選択されることもありました。


エアゾリン D1
<適応菌種>
フラジオマイシン感性菌
<適応症>
・深在性皮膚感染症、慢性膿皮症
・湿潤、びらん、結痂を伴うか、又は二次感染を併発している次の疾患:
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、
皮膚瘙痒症(陰部・肛門部)、薬疹・中毒疹、虫さされ、紅斑症(滲出性紅斑)

エアゾリン D1の代替品


①抗生物質及び副腎皮質ホルモン混合製剤

スプレータイプではありませんが
抗生物質及び副腎皮質ホルモン混合製剤には以下があります。


商品名
(会社名)
成分・含量
効能又は効果


テラ・コートリル軟膏

(陽進堂)

1g 中
オキシテトラサイクリン塩酸塩 30 ㎎(力価)
ヒドロコルチゾン 10 ㎎
<適応菌種>
オキシテトラサイクリン感性菌

<適応症>
・深在性皮膚感染症、慢性膿皮症
・湿潤、びらん、結痂を伴うか、又は二次感染を併発している次の疾患:
 湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)
・外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
・歯周組織炎、感染性口内炎、舌炎

フルコート F 軟膏

(田辺三菱)



1g 中
フルオシノロンアセトニド 0.25 ㎎
フラジオマイシン硫酸塩 3.5 ㎎(力価)
<適応菌種>
フラジオマイシン感性菌

<適応症>
・深在性皮膚感染症、慢性膿皮症
・湿潤、びらん、結痂を伴うか、又は二次感染を併発している次の疾患:
 湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、
 乾癬、
 皮膚そう痒症(陰部・肛門部)、
 掌蹠膿疱症
・外傷・熱傷及び手術創等の二次感染

ベトネベート N 軟膏、

ベトネベート N クリーム

(第一三共)

1g 中
ベタメタゾン吉草酸エステル 1.2 ㎎
フラジオマイシン硫酸塩 3.5 ㎎(力価)


<適応菌種>
フラジオマイシン感性菌

<適応症>
・深在性皮膚感染症、慢性膿皮症
・湿潤、びらん、結痂を伴うか、又は二次感染を併発している次の疾患:
 湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、
 乾癬、
 虫さされ、
 痒疹群(固定蕁麻疹を含む)
・外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
・耳鼻咽喉科領域における術後処置




②スプレータイプのステロイド


商品名
(会社名)
成分・含量
効能又は効果


トプシム
スプレー0.0143%

(田辺三菱)

1g 中
フルオシノニド 0.143 ㎎

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、
痒疹群(じん麻疹様苔癬、ストロフルス、固定じん麻疹を含む)、
乾癬、
掌蹠膿疱症、
円形脱毛症(悪性を含む)、
尋常性白斑

フルコート
スプレー0.007%

(田辺三菱)

1g 中
フルオシノロンアセトニド
0.07 ㎎

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、
皮膚瘙痒症、
痒疹群(じん麻疹様苔癬、ストロフルス、固定じん麻疹を含む)、
虫さされ、
乾癬、
掌蹠膿疱症、
薬疹・中毒疹

パンスポリンT錠 販売中止と代替品




パンスポリン T錠100・200が販売中止となるようです。
(2017年3月ごろ在庫消尽予定)

パンスポリン注射からの切り替えに便利だったのですが、困りました。


「パンスポリン T錠100・200」販売中止について(武田薬品工業)
https://www.takedamed.com/content/medicine/newsdoc/160719pan.pdf

経過措置は2018年3月31日まで。


注射用セフォチアム塩酸塩製剤「パンスポリン」の経口投与を可能にするため、プロドラッグ化したものがパンスポリンT錠(セフォチアム ヘキセチル塩酸塩)です。

パンスポリンT錠は経口投与された後、腸管壁エステラーゼにより脱エステル化され、セフォチアムとして吸収され、抗菌作用を発揮します。

セフォチアムは第二世代セフェム系に分類されます。

第一世代セフェムであるセファゾリンのスペクトラムに加えて、インフルエンザ菌などのグラム陰性菌にスペクトラムを拡げたことが特徴です。

パンスポリンT錠は日本で開発され、武田薬品の販売力の元、日本で多く使われている経口第二世代セフェムです。しかし、世界的にはアメリカをはじめ販売されていない国が多く、セフロキシム アキセチルのほうがメジャーです。


パンスポリンTの代替品


同じ経口第二世代セフェムのオラセフ錠250mg(セフロキシム アキセチル)が該当します。

オラセフ錠はパンスポリンT錠と同様にプロドラッグであり、エステル化により経口吸収性を高めている薬剤です。


パンスポリンTにはあるが、オラセフにはない適応症

  • 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
  • 肺炎
  • 腎盂腎炎
  • 涙嚢炎
  • 角膜炎(角膜潰瘍を含む)



経口抗菌薬を見直す良いきっかけかもしれない


代替品として、同じ世代のセフェムであるオラセフを選択するのは悪くはありません。
しかし、本当に経口第二世代セフェムが必要なのでしょうか。

抗菌薬適正使用を見直す良い機会です。
少し考えてみましょう。


第二世代セフェムの使いドコロは「第一世代セフェムでは不安、でも第三世代セフェムを使うにはスペクトラムが広くてもったいない」という場面しかありません。

MRSAを除く黄色ブドウ球菌や連鎖球菌に対する抗菌力は第一世代セフェムのほうが優れています。

これらの菌を狙って第二世代セフェムを使うべきではありません。


また、経口抗菌薬選択時にはバイオアベイラビリティ(生物学的利用率)の考え方が重要です。

第二世代セフェムや、『だいたいウンコになる薬』で有名な第三世代セフェムはバイオアベイラビリティが低く(50%以下)、臨床試験において経口第一世代セフェムと同程度の効果しかありません。

これらを考慮すると経口第一世代セフェムも代替品候補となります。


経口第一世代セフェム

  • ケフラール(セファクロル)
  • ケフレックス(セファレキシン)
  • センセファリン(セファレキシン)



未来の子どもたちのためにも、経口第三世代セフェムやそれ以上に広域な経口抗菌薬の安易な処方は控えましょう


表. 外来感染症とオススメ経口抗菌薬


感染症

第1選択薬

第2選択

中耳炎

アモキシシリン

アモキシシリン・クランブラン酸、ST合剤、第二・第三世代セフェム、アジスロマイシン、クラリスロマイシン

連鎖球菌性咽頭炎

アモキシシリン

マクロライド、第一世代セフェム、クリンダマイシン

副鼻腔炎

アモキシシリン

第二世代セフェム、ドキシサイクリン

動物咬傷・ヒト咬傷

アモキシシリン・クランブラン酸

第二世代セフェム、ドキシサイクリン

歯肉炎

アモキシシリン

クリンダマイシン、セファレキシン、アジスロマイシン

市中肺炎

マクロライド

(アモキシシリン or 第二、第三世代セフェム or ニューキノロン)

アモキシシリン・クランブラン酸、第二・第三世代セフェム、ドキシサイクリン

皮膚・軟部組織感染症

第一世代セフェム

アジスロマイシン、クラリスロマイシン、セフポドキシム、セフジニル、アモキシシリン・クランブラン酸

尿路感染症

ニューキノロン

アモキシシリン、ST合剤、第一・第二世代セフェム


参考:

抗菌薬適正使用マニュアル(京都私立病院協会 感染症対策委員会編 2016年3月版)
http://khosp.or.jp/files/pdf/document/koukinyaku-manual.pdf


2016年7月14日木曜日

脂質異常症治療薬 プラルエント皮下注(アリロクマブ)




【2017年4月追記】
2017年3月31日、プラルエントの最適使用推進ガイドラインが策定され、保険適用上の留意事項通知が発出されました。

(保医発0830第1号平成28年8月30日)
薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
プラルエント皮下注75mgシリンジ、同150mgシリンジ、同75mgペン及び同150mgペン
① 本製剤の効能・効果は「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る」であることから、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤の最大耐用量を服用しているが、十分な治療効果が得られていない患者に限り使用すること。

また、本製剤の使用上の注意において、「本剤投与にあたっては、あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法、禁煙、他の虚血性心疾患のリスクファクター(糖尿病、高血圧症等)の軽減等も十分考慮すること」とされているので、患者に対して必要な治療及び指導を十分に行った上で、本製剤の使用を考慮すること。

② 本製剤の使用に当たっては、次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。
ア 本製剤の使用が必要と判断するに当たって参照したLDL-コレステロールの検査値及び当該検査の実施年月日 
イ 食事療法を行っている旨、及び患者の状況に応じて、運動、喫煙等に関する指導又は糖尿病、高血圧症等の虚血性心疾患の危険因子に対する治療若しくは指導を行っている旨 
ウ 投与中のHMG-CoA還元酵素阻害剤の成分名及び1日投与量。なお、1日投与量が最大用量でない場合は、最大耐用量である旨もあわせて記載すること。 
エ 家族性高コレステロール血症以外の患者では、心血管イベントの発現リスクが高いと判断した理由(冠動脈疾患、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患、糖尿病若しくは慢性腎臓病に罹患していること若しくはそのいずれかの既往歴を有すること、又は複数の危険因子が認められること)。


平成 29 年3月 31 日 抗 PCSK9 抗体製剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項の 一部改正について(保医発 0331 第9号)
(1)本製剤については、最適使用推進ガイドラインに従い、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用するよう十分留意すること。
(2)本製剤の効能・効果は「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る」であることから、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤の最大耐用量を服用しているが、十分な治療効果が得られていない患者に限り使用すること。また、本製剤の使用上の注意において、「本剤投与にあたっては、あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法、禁煙、他の虚血性心疾患のリスクファクター(糖尿病、高血圧症等)の軽減等も十分考慮すること」とされているので、患者に対して必要な治療及び指導を十分に行った上で、本製剤の使用を考慮すること。

(3)本製剤の投与開始に当たっては、次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。本製剤の継続投与に当たっては、投与開始時の情報を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
① 次に掲げる施設のうち、該当するもの(「施設要件ア」又は「施設要件イ」と記載)
ア 医師免許取得後、満6年以上の臨床研修歴を有し、このうち3年以上は循環器診療に関する臨床研修歴を有する医師が所属する施設
イ 医師免許取得後、満6年以上の臨床研修歴を有し、このうち3年以上は動脈硬化学に関する臨床研修歴を有する医師が所属する施設
② 本製剤の使用が必要と判断するに当たって参照したLDL-コレステロールの検査値及び当該検査の実施年月日
③ 食事療法を行っている旨、及び患者の状況に応じて、運動、喫煙等に関する指導又は糖尿病、高血圧症等の虚血性心疾患の危険因子に対する治療若しくは指導を行っている旨
④ 投与中のHMG-CoA還元酵素阻害剤の成分名及び1日投与量。なお、1日投与量が最大用量でない場合は、最大耐用量である旨もあわせて記載すること。
⑤ 家族性高コレステロール血症以外の患者では、以下の心血管イベントのリスク因子のいずれに該当するか(「リスク因子ア」から「リスク因子オ」までのうち該当するものを記載)。
ア 冠動脈疾患(安定狭心症に対する冠動脈形成術を含む)の既往歴
イ 非心原性脳梗塞の既往歴
ウ 糖尿病
エ 慢性腎臓病
オ 末梢動脈疾患
⑥ 家族性高コレステロール血症以外の患者で、⑤の「リスク因子ウ」から「リスク因子オ」までのいずれかに該当する場合、投与中のHMG-CoA還元酵素阻害剤の投与期間

(4)(1)にかかわらず、次の場合においては投与が認められるものとする。
① 平成29年3月31日以前に既に本製剤の投与を受けている患者については、医学薬学的に本製剤の投与が不要となるまでの間は投与が認められるものとする。その際、(3)を記載できない場合は、従前のとおり次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に
記載するともに、投与中である旨(「投与中患者」と記載)及び当該患者に初めて本製剤を投与した年月を記載すること。
ア 本製剤の使用が必要と判断するに当たって参照したLDL-コレステロールの検査値及び当該検査の実施年月日
イ 食事療法を行っている旨、及び患者の状況に応じて、運動、喫煙等に関する指導又は糖尿病、高血圧症等の虚血性心疾患の危険因子に対する治療若しくは指導を行っている旨
ウ 投与中のHMG-CoA還元酵素阻害剤の成分名及び1日投与量。なお、1日投与量が最大用量でない場合は、最大耐用量である旨もあわせて記載すること。
エ 家族性高コレステロール血症以外の患者では、心血管イベントの発現リスクが高いと判断した理由(冠動脈疾患、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患、糖尿病若しくは慢性腎臓病に罹患していること若しくはそのいずれかの既往歴を有すること、又は複数の危険因子が認められること)。
② 平成 29 年3月 31 日以前に本製剤の使用実績がある保険医療機関において、本製剤を初めて投与する必要が生じた患者に対しては、平成 29 年4月 30 日までの間は投与開始が認められ、また、医学薬学的に本製剤の投与が不要となるまでの間は投与が認められるものとする。その際、(3)を記載できない場合は、従前のとおり(4)①に掲げる事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載するとともに、当該保険医療機関での使用実績がある旨(「使用実績有」と記載)及び当該患者に初めて本製剤を投与した年月を記載すること。


プラルエント皮下注の作用機序

プラルエント皮下注はアリロクマブを成分とするヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型(PCSK9)に対する遺伝子組換えヒト IgG1 モノクローナル抗体です。

PCSK9というタンパク質は、このLDL受容体とくっつき、LDL受容体を分解してしまいます。

肝臓のLDLコレステロールを取り込む機能が低下してしまい血中コレステロールが上昇してしまいます。

プラルエント皮下注はPSCK9にとくっつくことで、PCSK9がLDL受容体を分解するのを阻害します。

肝臓のLDL受容体数が増え、より多くの血中LDLコレステロールを肝臓が取り込める状態にします。

このようにして、血中LDLコレステロールを下げます。

PCSK9の阻害については別ページで解説していますのでそちらをご覧ください。

抗PCSK9抗体の作用機序(YG研究会)
http://yakuza-14.blogspot.jp/2015/12/pcsk9.html


プラルエント皮下注


高コレステロール血症は、アテローム性動脈硬化症や冠動脈疾患の主な危険因子です。
高コレレステロールを含む脂質異常症の管理として、日本動脈硬化学会(JAS)ガイドラインでは、患者のリスクに応じて治療法及び LDLコレステロールの管理目標値が決められています。

しかし、スタチンを使用しても、ガイドラインで設定されている LDLコレステロールの管理目標値に達していない患者が存在するとの報告があります。

日本臨床 2008; 66: 606-610
http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902234915848772

東京都医師会雑誌 2009; 62: 421-430


そのため、より確実に LDLコレステロール値を低下させる必要のある患者(ホモ型家族性高コレステロール血症等)では、更なる脂質低下療法の追加が必要とされています。

プラルエント皮下注の国内臨床試験においては、JAS ガイドラインの定義と一致するヘテロ型家族性好コレステロール血症患者、冠動脈疾患の既往を有する高コレステロール血症患者やカテゴリーⅢの患者で、既存の標準的薬物治療を受けているにもかかわらず LDLコレステロール値が管理目標値に到達しない高コレステロール血症患者を対象として、有効性が示されています。

国内外の第Ⅲ相試験で重症ヘテロ型家族性高コレステロール血症患者が含まれ、海外臨床試験ではホモ型家族性高コレステロール血症患者や複合ヘテロ接合体及びダブルヘテロ接合体患者も含まれており、これらの患者層でも強力な LDLコレステロール低下効果を示したことから、プラルエント皮下注ではホモ型家族性高コレステロール血症患者を対象とした臨床試験は実施していません。


プラルエント皮下注はスタチンと併用して使用します


スタチンはPCSK9の産生を促してプラルエント皮下注の標的分子であるPCSK9を介するクリアランスに部分的に関与します。
スタチンの用量による LDLコレステロール変化率への影響を評価した国内第Ⅲ相試験があります。
安定した用量のスタチンを 4 週間以上投与されても LDLコレステロールが管理目標値に到達しない患者を対象にしたものです。

この試験での併用されたスタチンは 6 種類です。
プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンです。
スタチンの用量は定義されておらず、本試験に組み入れられた患者で実際に併用されたスタチンの用量は、最低規格用量からスタチン強化療法の該当用量まで幅広く設定されました。

結果は下の表のとおりです。

24 週時点におけるスタチンの種類毎のベースラインからの LDLコレステロール変化率(ITT)
出典:プラルエント承認申請資料


24 週時点における LDLコレステロールのベースラインからの変化率について、各カテゴリーの症例数が少ないために結論的な考察は難しいですが、特定のスタチン及び用量が本剤の有効性に影響を及ぼす傾向はないと考えられます。


【2017年9月追記】
2017年9月1日アリロクマブ製剤が在宅で保険医が投与可能な薬剤として定められました。
これによりプラルエントも在宅での処方が可能となりました。

療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等の一部改正等について(保医発0831第1号 平成29年8月31日)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170901S0010.pdf

ただし、プラルエント皮下注の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合、「在宅自己注射指導管理料」を算定できるのは『プラルエント皮下注150mgペン』又は『プラルエント皮下注75mgペン』です。
プラルエント添付文書の使用上の注意において、「自己投与にはプラルエント皮下注75mgペン又はプラルエント皮下注150mgペンを用いること。」とされているため、『プラルエント皮下注150mgシリンジ』又は『プラルエント皮下注75mgシリンジ』については「在宅自己注射指導管理料」は算定できません。

なお、『プラルエント皮下注150mgペン』および『プラルエント皮下注75mgペン』は針付注入器一体型のキットなので、在宅自己注射指導管理料を算定する場合において「注入器加算」や「注入器用注射針加算」は算定できません。

プラルエント皮下注75 mgシリンジ
プラルエント皮下注150 mgシリンジ
プラルエント皮下注75 mgペン
プラルエント皮下注150 mgペン

[効能又は効果]
家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症
ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA 還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る。

[用法及び用量]
通常、成人にはアリロクマブ(遺伝子組換え)として 75 mg を 2 週に 1 回皮下投与する。効果不十分な場合には 1 回 150 mg に増量できる。


2016年7月4日月曜日

ペントイル錠 販売中止と代替品




ペントイル錠が販売中止となるようです。
http://www.sandoz.jp/medical/products/medical_news/pdf/news_pentoil_200t004.pdf

経過措置期間(予定)は2017年3月末までです。


メブロンに続き塩基性NSAIDsがまた日本からなくなってしまいました。


ペントイル錠(エモルファゾン)


ペントイル錠は日本の森下製薬研究所が開発した塩基性NSAIDsです。

一般の酸性消炎鎮痛剤と異なり、プロスタグランジンの生合成阻害ではなく炎症時において痛みの元になる物質であるブラジキニンの遊離を抑制することで鎮痛効果を示します。


そのため、他のNSAIDsでみられる消化管出血や喘息発作の誘発などのプロスタグランジン生合成由来の副作用が認められないという利点があります。


上記の理由によりペントイル錠はアスピリン喘息に禁忌ではない唯一のNSAIDsでした。
一定の需要はあるはずなのですが、販売中止となってしまい残念です。


ほとんどのNSAIDsはアスピリン喘息に禁忌


COXを阻害しない塩基性NSAIDsであるソランタール(チアラミド)も、添付文書に「アスピリン喘息に禁忌」と記載されています。
しかし、塩基性のペントイル錠(エモルファゾン)の添付文書には記載されていませんでした。

この理由は、1994年にソランタールが再評価の対象であったのに対し、ペントイルは対象ではなかったため発売当時の添付文書内容が現在も使われていたのです。


アスピリン喘息患者における解熱鎮痛剤の使用


アスピリン喘息は、プロスタグランジン合成酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用、特にCOX-1阻害作用をもつNSAIDsによって鼻閉、鼻汁、喘息発作などの強い呼吸器症状が現れる、非アレルギー性の過敏症です。

アスピリンに対するアレルギーではありません。

過敏反応の機序は、COX阻害により、プロスタグランジンE2(PGE2)が減少することで、補完的にロイコトリエンが過剰産生され過敏症状が発現すると考えられています。
しかし関与する細胞やメディエーターなど詳しい機序に関しては不明です。

アスピリン喘息患者の喘息発作を誘発する物質の代表的なものはNSAIDsです。
COX-1阻害作用の強いNSAIDsほど過敏症状を呈しやすいとされています。
そのため、COX-2の選択的阻害薬では、誘発されにくいとされています(添付文書では禁忌)。

アスピリン喘息のNSAIDs誘発閾値は、常用量の 1/5~1/10 程度であるため、少量でも十分な注意を要するといわれています。
過敏症状は、注射薬、坐薬>内服薬>貼付薬、塗布薬の順で出現が早く重篤であり、また点眼薬も原因となりうるといわれています。


化学構造による NSAIDs の分類

酸性NSAIDs
【サリチル酸系】
アスピリン、サリチル酸
【アントラニル酸系】
メフェナム酸、フルフェナム酸
【アリール酢酸系】
フェニル酢酸系:ジクロフェナク、アンフェナク
インドール酢酸系:インドメタシン、スリンダクなど
イソキサゾール酢酸系:モフェゾラク
ピラノ酢酸系:エトドラク
ナフタレン系:ナブトメン
【プロピオン酸系】
イブプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセンなど
【オキシカム系】
アンピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカムなど

中性NSAIDs
【コキシブ系】
セレコキシブ

塩基性NSAIDs
チアラミド、エピリゾール、エモルファゾン

アスピリン喘息に対する使用可能な薬剤


喘息予防・管理ガイドライン 2015

1.多くのaspirin-exacerbated respiratory disease(AERD)で投与可能
ただし喘息症状が不安定なケースで発作が生じることがある(わずかな COX-1 阻害)
特に④~⑥は安全性が高い
①PL 顆粒*(アセトアミノフェン*などを含有)
②アセトアミノフェン*1 回 300mg 以下
③NSAIDs を含まずサリチル酸を主成分とした湿布(MS冷シップ)
④選択性の高い COX-2 阻害薬 エトドラク、メロキシカム(高用量で COX-1 阻害あり)
⑤選択的 COX-2 阻害薬(セレコキシブ、ただし重症不安定例で悪化の報告あり)
⑥塩基性消炎薬(チアラミド塩酸塩など、ただし重症不安定例で悪化の報告あり)

2.安全
喘息の悪化は認めない(COX-1 阻害作用なし)
①モルフィン、ペンタゾシン
②非エステル型ステロイド薬(内服ステロイド薬)
③漢方薬(地竜、葛根湯など)
④その他、鎮痙薬、抗菌薬、局所麻酔薬など、添加物のない一般薬はすべて使用可能

重篤副作用疾患別対応マニュアル「非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作」(平成18年11月)
http://www.pmda.go.jp/files/000143599.pdf

疼痛時は、塩基性鎮痛薬(例えば、ソランタール、ペントイル)やペンタゾシンは比較的安全に使用できます。発熱時は氷冷以外に安全な方法はありません。

2016年7月3日日曜日

第 3 章 平成28年在宅療養指導管理料別レセプト算定例 9-2. 在宅悪性腫瘍患者共同指導管理



C108-2 在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料

在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料(月1回)1,500 点


別に算定できる特定保険医療材料はありません



●在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料は、【C108 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料】を算定する指導管理を受けている患者に対し、当該保険医療機関の保険医と、【C108 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料】を算定する保険医療機関の保険医とが連携して、同一日に当該患者に対する悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法に関する指導管理を行った場合に算定する。

●在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定する医師は、以下のいずれかの緩和ケアに関する研修を修了している者であること。

ア がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針(平成20年4月1日付け健発第0401016号厚生労働省健康局長通知)に準拠した緩和ケア研修会
イ 緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会(国立がん研究センター主催)等

●その他の算定条件や対象薬剤は、 【在宅悪性腫瘍患者指導管理料】 と同じ

第 3 章 平成28年在宅療養指導管理料別レセプト算定例 9. 在宅悪性腫瘍患者指導管理



C108 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料

在宅悪性腫瘍等患者指導管理料(月1回) 1,500 点

注入ポンプ加算(月1回) 1,250 点
携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算(月1回) 2,500 点


特定保険医療材料

携帯型ディスポーザブル注入ポンプ
(1)一般用 3,500 円
(2)化学療法用 3,420 円
(3)PCA型 4,450円


【 ( 14) 在宅にて算定】 - 月 2 回訪問、ひと月に携帯型ディスポーザブル注入器(一般用)7 個使用した場合
①在宅患者訪問診療料
833点×2回
②在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所)
4600 点×1 回
③在宅療養指導管理料 在宅悪性腫瘍患者指導管理料
1,500 点×1 回
④在宅療養指導管理材料加算、薬剤料
在宅療養指導管理材料加算
携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算
【 6個目まで】 
2,500 点×1 回

特定保険医療材料料

※携帯型ディスポーザブル注入ポンプは、
7 個目以降は加算に含まれず、
特定保険医療材料で算定

携帯型ディスポーザブル注ポンプ 一般用

【 7 個目以降】
@3,500円 350点×1回
薬剤
レペタン注 0.3mg(30 日分)
⇒30 日分まとめて


対象薬剤


療法

対象薬剤

投与日数限度

注入条件

鎮痛療法用

①ブプレノルフィン製剤

30 日分

なし

②モルヒネ塩酸塩製剤

30 日分

※あり

③フェンタニルクエン酸塩製剤

30 日分

※あり

④複方オキシコドン製剤

14 日分

※あり

⑤オキシコドン塩酸塩製剤

30 日分

※あり

⑤フルルビプロフェンアキセチル製剤

なし

なし

化学療法用

①抗悪性腫瘍剤

なし

なし

②インターフェロン-α製剤

なし

なし

注入条件

上記表の「注入条件※あり」については、以下の条件を満たすバルーン式携帯型ディスポーザブルタイプの連続注入器に必要に応じて生理食塩水等で希釈のうえ充填して交付した場合に限る。
ア 薬液が取り出せない構造
イ 患者等が注入速度を変えることができないもの

注入ポンプ

出典:テルモ

携帯型ディスポーザブル注入ポンプ

出典:大研医機



●携帯型ディスポーザブル注入ポンプは、疼痛管理又は化学療法を目的として使用した場合に限り算定できます。

●外来で抗悪性腫瘍剤の注射を行い、携帯型ディスポーザブル注入ポンプなどを用いてその後も連続して自宅で抗悪性腫瘍剤の注入を行う場合においては、「携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算」を算定できません。

●院内から支給した場合、ひと月につき 6個目までは「携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算」で算定し、 7 個以上使用した場合、 7 個目以降は特定保険医療材料の「携帯型ディスポーザブル注入ポンプ」で算定します。

●院内で「携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算」を算定した後、 7 組目以降について、特定保険医療材料として院外処方箋で携帯型ディスポーザブル注入ポンプや薬剤を処方することは可能です。

●薬剤を院外処方した場合に限り、携帯型ディスポーザブル注入ポンプセットも院外処方可。

●院外処方箋で 1 組目から携帯型ディスポーザブル注入ポンプを処方した場合は、「携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算」や薬剤料は算定不可。

携帯型ディスポーザブル注入ポンプ・PCA型

携帯型ディスポーザブル注入ポンプ・PCA型は、注射又は硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入若しくは硬膜外ブロックにおける麻酔剤の持続的注入の際に 、PCA( P atient C ontrolled A nalgesia) のために用いた場合に算定できる。
なお、本材料を算定する場合には、第6部注射の通則第4号に規定する精密持続点滴注射加算又は硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入における精密持続注入加算若しくは硬膜外ブロックにおける麻酔剤の持続的注入における精密持続注入加算は算定できない。

特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について(通知) 平成28年3月4日
保医発0304第7号



2016年7月1日金曜日

お口うるおう ポリグルタミン酸についてまとめ



口が乾く、つばが出にくいなどのドライマウス(口腔乾燥)で悩んでおられる高齢者はたくさんいらっしゃいます。

この前、患者さんから「ポリグルタミン酸がつばを出す」というのを新聞でみたらしく「ポリグルタミン酸とはなにか」と問い合わせがありました。


  • ポリグルタミン酸は納豆の糸引き物質の主成分
  • 従来、石鹸や化粧水、エアコン用塗料、ビニールハウス、水質改良材などに利用されてきた。
  • ライオン㈱と明治が、ポリグルタミン酸に唾液分泌促進作用を見出し、平成22年に特許登録を受けた。
  • ポリグルタミン酸は食品添加物。
  • キャンデー、スポーツ飲料、洗口液、濡れティッシュなどへの利用が広がっている。
  • ポリグルタミン酸は保湿作用に加えて持続的な唾液分泌作用を有することが示唆されている。


γ-PGA(ポリグルタミン酸)は、納豆のネバネバ部分から抽出されたアミノ酸の一種で、食品添加物としてパンやケーキ、麺類などさまざまな用途に使用されています。
保水機能に優れ、天然の保湿因子を増加させるといわれています。
また、カルシウムの吸収促進や唾液の分泌促進にも効果があると言われています。

カルシウムの吸収促進作用については味の素が発見し『カルバイタル』という特定保健用食品を売り出しています。

ポリグルタミン酸配合カルシウムサプリメントのヒトカルシウム吸収促進効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/77/5/77_5_504/_pdf


唾液の分泌促進についてはライオンと(株)明治が共同で特許を取得しています。


ポリグルタミン酸の唾液分泌促進効果について、健常人およびドライマウス患者を対象に試験を実施したところ、いずれのテストでも唾液の分泌量が増加することが示唆されました。

しかし、サンプル数が少ないため口腔乾燥に対し有効かどうかは不明ですが、唾液分泌を促す傾向はあるようです。



口腔乾燥症(ドライマウス)とは、

唾液分泌の減少などによる口腔乾燥状態を表す症状名です。

症状は、口の乾き、唾液がネバネバする、舌・口唇の痛み、舌のひび割れ、口の中が熱い、味覚異常などが認められます。

また、唾液分泌が減ることでむし歯や歯周病、口腔カンジダ症のリスクが高まります。それだけではなく感染症、誤嚥性肺炎、胃腸障害、摂食・嚥下機能の低下など、QOLを低下させるといわれています。

斎藤一郎.日本医事新報.(4596),2012,81-86.
http://www.jmedj.co.jp/article/detail.php?article_id=14564

中川洋一.日本医事新報.(4626),2012,58-59.
http://www.jmedj.co.jp/article/detail.php?article_id=15644


ドライマウスを生じる原因はいろいろあります。

唾液腺自体の機能障害によるもの

  • シェーグレン症候群
  • 放射線治療による障害
  • 加齢等


薬が原因によるもの

  • 抗コリン薬
  • 抗不安薬
  • 抗うつ薬
  • 抗ヒスタミン薬
  • 降圧薬
  • 利尿薬等


全身性疾患や代謝性のもの

  • 脱水
  • 下痢
  • 糖尿病
  • 甲状腺機能亢進症
  • 貧血


神経性のもの

  • ストレス



ポリグルタミン酸を含む口腔保湿用製品

タイプ 商品名 会社名 主な配合成分
ジェルタイプ オーラルファインマウスジェル 中薬
[湿潤剤]水、マルチトール、ソルビトール、グリセリン、PG、BG、グリコシルトレハロース、加水分解水添デンプン、加水分解コンキオリン
[保湿剤]ポリグルタミン酸(γ-PGA)
[甘味剤]キシリトール、ステビアエキス
[矯味剤]グリチルリチン酸アンモニウム、塩化 Mg、硫酸 Mg、塩化 Na、塩化 K
[粘度調整剤]キサンタンガム、セルロースガム
[粘結剤]結晶セルロース
[pH 調整剤]ピロリン酸Na、クエン酸
[可溶化剤]PEG-80水添ヒマシ油
[着香剤]香料
[保存剤]シメン-5-オール(IPMP)、エチルパラベン


かすかな
梅の味
ウェットティッシュタイプ テルモ
クリーンティッシュ
テルモ



[溶剤]水、エタノール
[湿潤剤]PG、ポリグルタミン酸、チャ乾留液、エチルヘキシルグリセリン
[甘味剤]キシリトール
[保存料]フェノキシエタノール、安息香酸 Na、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、セチルピリジニウムクロリド、
[可溶化剤]PPG-8 セテス-20
[香味剤]香料
[pH 調整剤]クエン酸、クエン酸 Na
[安定剤]EDTA-2Na


ミントの
香り
歯磨き剤タイプ オーラルモイストジェル 中薬
[湿潤剤]ソルビット液、PG、PEG-8、γ-グルタミン酸ポリペプチド(γ-PGA)、加水分解コンキオリン液
[甘味剤]キシリトール、ステビアエキス
[粘度調整剤]CMC・Na、キサンタンガム
[pH 調整剤]ピロリン酸Na、クエン酸
[可溶化剤]POE 水添ヒマシ油
[粘結剤]結晶セルロース、PVP
[薬用成分]モノフルオロリン酸ナトリウム(フッ素)、グリチルリチン酸モノアンモニウム(甘草抽出物)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
[着香剤]香料(シトラスミントタイプ)
[分散剤]ショ糖脂肪酸エステル
[清涼剤]L-メントール
[保存剤]パラベン
[矯味剤]塩化Mg、硫酸Mg、塩化Na、塩化K


かすかな
シトラス
ミントの
味と香り



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