2016年5月17日火曜日

バクシダール錠やケフラールカプセルから後発医薬品へ変更調剤できなくなった?(平成28年診療報酬改定)

この件について疑義解釈が通知されました。
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=381888&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000136971.pdf


【後発医薬品への変更調剤】 
(問)処方せんにおいて変更不可とされていない処方薬については、後発医薬品への変更調剤は認められているが、基礎的医薬品への変更調剤は行うことができるか。

(答)基礎的医薬品であって、平成28年3月31日まで変更調剤が認められていたもの (「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等)については、従来と同様に変更調剤を行うことができる。 なお、その際にも処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成24年3月5日付け保医発0305第12号)に引き続き留意すること。


【2016/09/16追記】


平成28年度診療報酬改訂において、バクシダール錠やケフラールカプセルから当該後発医薬品へ変更調剤できなくなったのかと、知り合いの薬剤師から問い合わせがありました。

理由を聞いてみると
バクシダール錠やケフラールカプセルの後発医薬品だったものが、この改訂で後発医薬品ではなくなったというのです。


結論からいうと、これは勘違いなのです。


どういうことなのか、考えてみましょう。


厚生労働省のホームページで確認してみましょう。
「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2016/04/tp20160401-01.html


【平成28年3月31日まで】



【平成28年4月以降】



確かに、後発品の文字が平成28年4月からのリストからは消えています。


なぜ、こんなことになったのでしょうか?



その答えは「基礎的医薬品」です。


平成28年度診療報酬改定における「基礎的医薬品」の対象成分については、「各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報」は空欄となっています。


ここで『後発医薬品』の定義を確認しましょう。

先発医薬品の特許が切れた後に、先発医薬品と成分や規格等が同一で、治療学的に同等であるとして承認される医薬品を「後発医薬品」(いわゆるジェネリック医薬品)と呼んでいます。


上記リストをよくみてみましょう。
後発品の見出し欄には『診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品』と記載してあり、『後発医薬品』ではありません。


多くの方が勘違いされていますが
『診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品』と薬機法上の『後発医薬品』は概念がちがいます。


『診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品』≠『後発医薬品』
『診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品』∈『後発医薬品』


もう一点、処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更に関するルールを確認してみましょう。

平成28年診療報酬改訂時点では、「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成24年3月5日保医発0305第12号)のルールが適応されます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/tuuchi1-4.pdf

平成22年度に『診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品』の概念が誕生しましたが、後発医薬品への変更に関するルールにおいて、後発医薬品の特に言及はありませんでした。

このことからも、後発医薬品への変更に関するルールにおいて後発医薬品とは広義の『後発医薬品』であると考えられます。


以上のことから、バクシダール錠やケフラールカプセルの後発医薬品は、
平成28年度から後発医薬品体制加算等の計算式に反映される後発医薬品ではなくなったが、先発品の商品名が処方せんに記載されており、変更調剤不可ではなく、患者さんの同意を得られれば、疑義照会無しに当該後発医薬品を調剤することが可能であると考えられます。


※管轄の厚生局によっては、解釈が異なる場合があります。


参考資料:
「診療報酬において後発医薬品調剤体制加算等の算定対象となる後発医薬品」の考え方について(中医協資料 平成22年2月8日)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/kouhatu-iyaku/dl/28.pdf

第1 基本的な考え方

  1. 後発医薬品については、生物学的同等性試験の結果等から、品質、有効性及び安全性が先発医薬品と同等であることを確認した上で、薬事に基づき承認されるものである。
  2. 後発医薬品は、開発に要する費用が先発医薬品よりも少なくて済み、一般的に、先発医薬品の薬価よりも低い薬価であるため、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するという観点から、診療報酬上の評価(後発医薬品調剤体制加算等)の対象とし、その使用を促進してきた。
  3. また、診療報酬において後発医薬品調剤体制加算等の算定対象となる後発医薬品を公表しており、これまで、薬事法上の後発医薬品をリストに掲載してきたところである。


参考:
基礎的医薬品とは
https://www.ygken.com/2016/09/blog-post_18.html