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2016年4月21日木曜日

避難所で過ごす、食物アレルギーのこどもたちのために




食物アレルギーの子どもを世話する方が知っておきたいこと

食物アレルギー症状を起こさせないこと、症状が現れた時、どうするかを日頃考えておくことが大事です。 お世話する方々がこどもを誤食 (誤って原因食物を食べてしまうこと)から守ってあげましょう。 周囲の方々に理解を求めることも大切です。避難所の管理者、あるいは行政の方に相談してみましょう。


原因となる食物を誤って食べない/食べさせない

支援食はアレルギー表示を確認しましょう 支援食などの包装にある食品表示をよくみて、原因食物が入っていないか確認しましよう。 “鶏卵、乳、小麦、ピーナツ、ソバ、エビ、カニ" の7品目は必ず記載されます。 これ以外の食物は少量では記載されないことがあり、注意が必要です。


炊き出しでの注意と個別の調理

炊き出しでは、原因食物が使われていないか調理にあたっている人に確認しましょう。 自分で調理できる状況にあれば、食材だけ分けてもらう方法もあります。管理者や調理担当者に相談してみましよう。


アレルギー支援が受けられるように相談しておきましょう

“アレルギー対応食やミルク”の支援がある場合、優先して利用できるよう、避難所の管理者や行政の方々に早めに相談しておきましょう。


こどもが周囲の人から食べ物をもらうことがあるので、注意しましょう

食物アレルギーサインプレートなどを利用して、周囲の人に食物アレルギーがあることを分かりやすく伝える工夫も有効です。


症状が現れた時どうするかを、日頃から考えておくことが大事です

症状の強さに併せて適切で迅速な対応をしましょう。

軽い症状
 (ロや目の周りなどのじんましん、かゆみ、ロやのどの違和感、ロ唇やまぶたの腫れ、吐き気、軽い腹痛、鼻水、軽い咳など)
対応:慌てる必要はありませんが、大人が必ずそばにいて、しばらく様子を観察して症状の進行に注意してください。抗ヒスタミン薬があれば飲ませて下さい。

やや強い症状
(全身のじんましん、強いかゆみ、強い顔のむくみ、複数回の嘔吐、強い咳など)
対応:様子を見ず、医療機関へ向かってください。

強い症状
 (のどや胸がつかえる、声がかすれる、強い腹痛、なんども吐く、ゼーゼー、ヒューヒュー、苦しさ、顔色が悪くなる、ぐったり、意識消失など)
対応:ショックやショックに近い状態です。 
至急、医療機関を受診してください(可能なら救急車で)。 " 本人用エピペンがあれば速やかに注射してください。

※誤食事故は予測できません。避難所生活は普段よりも危険が多いので、万が一の時はどういう行動をとれば良いのかあらかじめ考えておきましょう。


こんな時はすぐ病院へ!

症状が全身、症状が強い、苦しそう、ぐったり




周囲の方は、食物アレルギーのこどもだちへの配慮と協力をお願いします。

食物アレルギーはアレルギーの病気のひとつで、原因となる食物を食べると様々な症状 (じんましんやかゆみ、咳、ゼーゼー、息苦しさ、嘔吐など)をおこします。このため、貴重な支援食であっても、食べられないどころか、“食べてはいけないもの”となり、家族の方々は食事のたびに大変気を使っています。ー緒に過ごされている皆様には、食物アレルギーについて以下のことをご理解のうえ、ご配慮ご協力ください。


支援食・炊き出しで食べられるものと食べられないものがあります

配給や炊き出しの時は「食物アレルギーの人はいませんか?」と一声かけてください。

「食物アレルギーの人はいませんか?食べられるもの教えてください」

食物アレルギーの原因はそれぞれのこどもによって異なります。

それら原因食物を毎日の食事から除く必要があり、支援食、炊き出しなどで配慮が必要です。家族や患者さんはこの非常時に食物アレルギーがあることを言い出しにくいこともあるので、周りの方々は是非声をかけていただき、食材の問い合わせには、確認して正確にお答え下さい。


炊き出しでは、個別の調理を認めてあげてください

大量調理の炊き出しでは食物アレルギーの人に個別対応は困難です。できれば患者分の食材を分けて、家族がセルフ調理することを認めてあげてください。また鶏卵・牛乳・小麦アレルギーがいる場合、炊き出しにこれらの食物を利用しない工夫を考えてみて下さい。


“アレルギー対応食”や“アレルギー用ミルク”の支援がある場合には、優先して利用できるように配慮してください


お菓子をあげる時にも注意してください

食物アレルギーのこどもの中には、自分が“食べられないもの”を理解していないこともあるので、こどもたちへ菓子などをあげる場合には、食物アレルギーの確認が必要です。


原因食物を食べると、様々なアレルギー症状がでてきます

以下のような症状がでた時はすぐに受診を! 強いアレルギー症状 (ひどいじんましんや強いかゆみ、声がかすれる、止まらない咳、 ゼーゼー・ヒューヒュー、強い腹痛、なんども吐く、顔色が悪くぐったり、意識低下・消失など) の場合には、直ちに医療機関を受診 (可能なら救急車で) できるように配慮して下さい。


2016年4月20日水曜日

避難所で過ごす、アトピー性皮膚炎のこどもたちのために



アトピー性皮膚炎の子どもを世話する方が知っておきたいこと

今までとは違う生活環境で、アトピー性皮膚炎をよい状態に保つことは、とても難しいことだと思います。これまでと同じようにシャワーや入浴がなかなかできない状況で、肌の状態を少しでも悪くしないために、以下のような方法が考えられます。


  • シャワーや入浴ができない時は、熱すぎない程度のお湯でぬらしたタオルで全身の汗やほこりをやさしくぬぐったり、押しふきしてあげてください。全身をふいた後は肌はどんどん乾燥しますので、早めにぬり薬(ステロイド入りや保湿用)をつけましょう。
※市販のウェットティッシュやおしりふきを使うと、香料やアルコールなどの成分でかえって肌があれることがありますので、まず肌の一部で試してみてからお使いください。

  • シャワーや入浴ができない状態が続くと、一般的には肌の調子がわるくなります。そのため、普段からステロイド入りのぬり薬を使っている人は、いつもより強めのステロイドを使うことをお勧めします。普段は保湿用のぬり薬だけで十分な方も、早めにステロイド入りのぬり薬を使うことをおすすめします。ー時的にステロイド入りのぬり薬を強くしたり始めたりしても、適切なスキンケアや治療ができていれば、元の薬に戻したりステロイドを中止することは可能です。

  • 今まで使用していたステロイド入りのぬり薬が手元にない時は、同じくらいの強さや効果をもつ薬で代用しても大丈夫です。保湿用のぬり薬を市販のもので代用することも問題ありませんが、人によっては一部の製品が肌に合わないこともあります。初めて使う時には、 肌のー部で試してみてからお使いください。

  • 肌のお手入れが十分できないうえに様々なストレスや体調不良が加わって、かゆみが強くなることがあります。かゆがる部分を冷たいタオルなどで冷やすと、一時的に楽になることがあります(ただし、ぬれたタオルを長い時間直接肌に当てないように、また小さいお子さんでは体が冷えないように注意してください)。皮膚炎がひどい場合には、ステロイド入りのぬり薬をしっかり使いましょう。また、遊びなどに集中させて気をそらしてあげることも、効果があります。

  • シャワーや入浴ができる機会があれば、病状を説明して優先して利用できるか係りの方に尋ねてみましょう。できれば毎日、石けんを使って体を洗い、よく流すとよいでしょう。しかし、石けんを使わないシャワー浴だけでも効果はあります。特に、汗をかいたら早めに洗い流すとより効果的です。

  • 以上の対策をしても悪化して眠れないような状態が続く時には入院治療をおすすめします。


周囲の方は、アトピー性皮膚炎のこどもだちへの配慮と協力をお願いします。

アトピー性皮膚炎はこどもに多いアレルギーの病気のひとつで、さまざまな原因によってかゆみを伴った湿疹が皮膚にできます。避難所など今までと違う環境で生活していると皮膚の状態が悪化してかゆみが強くなり、そのために、周りの人たちに迷惑をかけているのではないかと家族の方は大変気を遣っていると思います。一緒に過ごされている皆様には、アトピー性皮膚炎について以下のことをご理解のうえ、ご配慮いただけますようお願い致します。

毎日のシャワーや入浴も治療の一部です

高血圧の方が毎日薬を飲んだり、脚の不自由な方がリハビリを続けたりするのと同じように、アトピー性皮膚炎のこどもにとってシャワーや入浴で皮ふを清潔に保つことは治療の上でとても大切なことです。これは決して贅沢で行っているわけではないということをご理解ください。

アトピー性皮膚炎は感染症ではありません

重症のアトピー性皮ふ炎であっても、決して他の人にうつることはありません。抱っこしたり遊んだり、一緒にお風呂に入ったりしても、お互いの心が通うことはあってもアトピー性皮膚炎やアレルギー体質がうつることは全くありません。


悪化するとたいへんかゆくなります

シャワーや入浴ができなかったり、十分に薬が塗れなかったりすると、湿疹が悪くなり昼夜を問わずかゆみがひどくなり、ずっと体をかいていたり、夜泣きがひどくなることがあります。 周りで生活されている方々にはご迷惑かもしれませんが、アトピー性皮膚炎という病気によるものですので、ご理解のほどお願い致します。

避難所で過ごすぜんそくのこどもたちのために



ぜんそくの子どもを世話する方が知っておきたいこと

今までとは違う環境で生活していると、せきが出やすくなったり、ぜんそく発作が起こりやすくなることがあると思います。

このような悪化を防ぐために、以下のような方法が考えられます。

発作の引き金になるものを避ける

  • 寝具 (毛布や布団など) にはぜんそくの原因となるチリダニがいることが多いので、寝具を拡げたりたたんだりする時には、できるだけホコリを吸い込まないように気をつけましょう。また、顔があたるところにきれいなタオルをあてておけば、寝具からのホコリを吸い込むことを少し防げるかもしれません。できれば、天気の良い日に太陽にあてて干すと、寝具のなかのダニを少なくすることができます。
  • たばこ、たき火、牧取り線香などの煙を、なるべく吸い込まないようにしてください。 がれきからは、いろいろな有害な粒子が飛んできて発作をおこすことがありますから、近くに行く時は必ずマスクをつけましょう。
  • 動物に対してもアレルギーのこどもがいますので、動物に近づくと痒くなったり、鼻水が出やすくなるようなら、ずっと一緒にいることは避けましよう。

発作の予防薬を毎日続ける
(以下のような場合には、医師、薬剤師にご相談下さい)

  • 普段から発作の予防薬を使っている人は、しっかり毎日続けてください。それでも、夜中に何度もせき込んだり、発作をくり返すようになったら、薬の量を増やしたり、変更したりする必要があるかもしれません。 電源が近くにないなどの理由から電動のネブライザーが使えない人には、電源不要のエアロゾールタイプの吸入薬に変更することが可能です。吸入薬を吸いにくいという人はスペーサーという補助具を使うことで吸入しやすくなります。また、スペーサーが手に入らない時には、紙コップの底に穴を開けるとスペーサーの替わりになります。
  • 普段は毎日薬を使うほどでもなかった方でも、夜中に何度もせき込んだり、発作が出るようになったら、発作の予防薬を毎日続ける方がよいと思われます。

発作が起きた時の注意

  • 発作が起きたら、まず水分を飲ませ、息をゆっくり深くするように声をかけてください。発作時の薬を使い、もたれかかる姿勢で休ませてください。それでも、苦しくて何度も目を覚ます、座り込んで苦しそうにしている、などの症状がある時は救急の受診が必要です。

周囲の方は、ぜんぞくのこどもだちへの配慮と協力をお願いします。

せんそく (気管支ぜん息) は、アレルギーの病気のひとつで、さまざまな原因によってせきが出やすくなったり、ぜんそく発作 (胸からゼーゼー、ヒューヒューと音がする、息が苦しくなるなど) を起こしたりします。

避難所など今までと違う環境で生活していると、ぜんそくの状態が悪化しやすくなりますが、気をつけていれば毎日元気に生活できますので、一緒に過ごされている皆様には、ぜんそくについて以下のことをご理解のうえ、ご配慮ください。

ほこり、煙、強いにおいなどが発作の引き金

寝具を拡げたりたたんだりする時のホコリや、たばこ、たき火、蚊取り線香などから出る煙を吸い込むと発作になることがありますので、ぜんそくのこどもたちの近くでは気をつけてあげてください。また、がれきからはいろいろな有害な粒子が飛んできて発作を起こすことがありますので、ぜんそくのこどもが近くにいる場合にはマスクをつけさせてください。

動物に対してもアレルギーのこどもがいますので、その場合はご配慮ください。

発作の予防薬をきちんと使うことが大切です

高血圧や糖尿病の人たちと同じように、元気に生活するためには発作がなくても予防薬 を毎日使うことが大切です。ぜんそくでよく使われる吸入薬のなかにはネブライザーとい う電動の器械を使って吸入するものがあります。このような場合には、電源を優先的に使えるようにご配慮下さい。なお、1回の吸入には10ー15分ほどかかります。

息が苦しそうな時は早めに受診

強い発作が起こると、呼吸がしづらくなります。苦しくて何度も目を覚ます、座り込んで 苦しそうにしている、などの症状がある時は救急の受診が必要ですので、夜間であっても早めに医療機関を受診できるようにご配慮下さい。

ぜんそくでは、発作までにはならなくても夜に咳込んで急に泣き出したりすることが時々ありますが、これはぜんそくという病気のためですので、ご理解のほどお願い申し上げます。



熊本地震まとめ 災害医療対策等 各医療関係学会のお知らせ



日本薬剤師会


薬剤師のための災害対策マニュアル(平成24年3月).
医療に従事する薬剤師及び薬剤師会が災害時に行うべき活動と、平時の準備・防災対策をまとめたもの。備えるべき防災用品等リスト、災害時携行用医薬品リスト(亜急性期)、 災害時携行用薬剤関連資材リストの資料があります。

日本医薬品卸勤務薬剤師会

災害時備蓄医薬品等関連資料(.xls)
都道府県別に災害時備蓄医薬品に関連する情報をまとめた資料

日本医師会

平成28年熊本地震に関する情報
この度の大地震に際し、被災状況について対策本部宛にさまざまいただいている情報をお知らせしています。
災害医療対策について.

JMAT携行医薬品リスト:
A(成人基本セット)B(精神科セット)D(小児科セット)JMAT携行医薬品リストVer.1.0 コンセプト※リストC,E,F,G,Hを含む
各学会災害時ガイドライン抜粋2013.7.11


日本透析医学会

【緊急】熊本地震にあたっての日本透析医学会からのお知らせ.pdf
最新の被災地の透析施設の情報につきましては、日本透析医会災害情報ネットワークのHP( https://www.saigai-touseki.net/ )および熊本県の情報については、熊本県透析施設協議会ホームページ( https://www.saigai-touseki.net/?bid=100 )をご参照ください。


日本心臓病学会

熊本地震に関連した情報 | 一般のみなさま
被災生活によって生じる二次的健康被害を予防すべく情報を発信します。
また、被災者の方から循環器疾患についてのご質問を受け付け、医師がお答えします。 

「循環器系学会からの被災地の皆様への注意とお知らせ」
~避難所生活の方と車中で避難をされておられる方へ~いわゆるエコノミークラス症候群の予防について 
「災害発生時の栄養管理」
1.災害発生時の栄養管理のポイント/2.家庭で可能な減塩災害食/3.災害時の家庭における調理法

(循環器学会・心臓病学会・高血圧学会 共同声明)
[一般の皆様へ] 平成28年熊本地震避難所における循環器疾患の予防のために注意すべきこと

「被災者に対する心臓病予防啓発ポスター」(日本心臓病学会、日本循環器学会)
※避難所での配布・掲示をお願い致します
  1. 被災地の皆さま
  2. エコノミークラス症候群に注意してください
  3. ストレスによるたこつぼ心筋症に注意してください


日本感染症学会

災害と感染症対策
日本感染症学会では今後予想される各種感染症の発症を考えて、被災地域の感染症対策を積極的に支援する体制を作っていくことになりました。今後は日本感染症学会、日本環境感染学会、日本化学療法学会、日本臨床微生物学会で連携協力して支援を行っていくことになりました。
日本感染症学会ホームページ
東日本大震災―地震・津波後に問題となる感染症―Version 2

[日本環境感染学会ホームページ]
大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き


日本小児アレルギー学会

熊本県熊本地方に発生した地震による被災者の皆様へのお見舞いとご案内
当学会では被災時の小児のアレルギー性疾患全般(ぜん息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎食物アレルギーなど)についてご相談に応じております。


日本老年医学会

高齢者災害医療支援
日本老年医学会では、災害時の高齢者の方における体調や持病の管理における注意点などをホームページにて提示いたします。ぜひ、ご本人や救護にあたられる方々の参考にして頂けましたらと存じます。
日本老年医学会 一般救護者用 災害時高齢者医療マニュアル【PDF 902KB】

日本老年医学会 高齢者災害時医療ガイドライン」第2版


日本内科学会

【緊急】「平成28年熊本地震」について
日本内科学会では、災害医療に関する資材や情報について、平成22年以来学会誌を通して提供しておりましたが、関連すると考えられる資料につき、ホームページにて提示することにいたしました。
災害時の循環器疾患:内科診療の留意点(苅尾七臣)

災害時循環器リスクスコア(AFHCHDC7)

災害時循環器予防スコア(SEDWITMP8)

災害時の圧挫症候群と環境性体温異常(阿南英明)

肺血栓塞栓症:「防ぎ得た死」を防止するための深部静脈血栓症対策(田中純太)

サバイバルカード -災害時に自分と家族,地域,被災者を守るために-(奥村徹)

サバイバルカード


日本循環器学会

「避難所における循環器疾患の予防」に関する3学会共同声明
日本循環器学会・日本心臓病学会・日本高血圧学会の3学会は、これまでの大震災を通して得られた循環器疾患に関する多くのエビデンスをまとめて、平成27年3月に「災害時循環器疾患の管理・予防に関するガイドライン」として発刊しています。 
「災害時循環器疾患の管理・予防に関するガイドライン」
オリジナル版
ダイジェスト版


日本糖尿病協会

災害時に糖尿病患者さんに気をつけていただきたいことをまとめました。
糖尿病患者さんが被災したときに役立つ情報や知識をまとめた『災害時ハンドブック』やインスリンが必要な糖尿病患者さんが、災害からの2週間程度を乗り越えるための必要最低限のポイントをまとめた『災害時サポートマニュアル』、被災地での運動方法や栄養管理をまとめた資料が掲載されています。





2016年4月19日火曜日

カタリン点眼用とカタリンK点眼用のちがい




カタリンK点眼用0.005%はカタリン点眼用0.005%を改良した製剤です。


カタリン点眼用0.005%は錠剤を用時溶解する製剤です。


カタリンK点眼用0.005%は顆粒を用時溶解する製剤です。



錠剤を顆粒にすることにより溶かすことを容易にしました。

カタリンKの『K』は顆粒(Karyu)のKです。


成分は同じ

ピレノキシン


効能効果は同じ

初期老人性白内障


用法・用量は同じ


薬剤を溶解し、1回1~2滴、1日3~5回点眼する。



カタリン(カタリンK)の一般名処方


平成28年4月より、ピレノキシンも一般名処方マスタに掲載されました。


【般】ピレノキシン点眼用0.005%

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shohosen_160401.html


この場合、カタリンもカタリンKもどちらでも調剤できます。
(両薬剤とも後発品ではないので、調剤した場合はレセプト摘要欄に理由記載が必要です)





カタリン(カタリンK)はドラッグストアで購入できるのか


薬剤師のいる薬局でのみ購入できます。

薬局内に陳列されていませんので(陳列販売は違法)、薬剤師に直接ご相談ください。


カタリン(カタリンK)は薬局医薬品に該当します。
さらに、薬局医薬品のなかでも「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」に該当します。


これは、処方箋に基づく薬剤の交付が原則とされています。


まずは、眼科受診を勧められますが、例外としてやむを得ず購入する場合は、

品名、数量、販売の日時、連絡先等を

書面によって提出することが必要となります。



薬局医薬品の取扱いについて(薬食発 0318 第4号 平成 26 年3月 18 日)



2016年4月18日月曜日

平成28年度診療報酬改定 後発品変更不可理由記載は必須なのか




今年度から処方せんの『変更不可』欄にチェック入れたらすべて理由記載しないといけなくなった。


このように、勘違いをされているかたがいらっしゃるようです。


正しくは、「後発医薬品を銘柄指定し、変更不可の場合には、その理由を処方せんに記載」です。


例えば、オーソライズドジェネリックを処方し、それを変更不可とする場合などです。


考えられる理由としては・・・
  • 患者希望のため
  • 添加物を先発品と同じにしたいため
  • 他の後発品を処方したところ発疹を認めたため

などでしょうか。


理由を記載する場所ですが、通知では『備考』欄となっています。

しかし、レセコンソフトによっては、処方欄の当該医薬品傍に記載される場合もあるようです。


なお、先発品を処方して、それを後発品へ変更することを不可とする場合には、従前どおり理由記載は不要です。



「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について( 平成28年3月25日保医発0325第6号)

診療録等の記載上の注意事項

第5 処方せんの記載上の注意事項

8 「備考」欄について
(5) 処方医が、処方せんに記載した医薬品について後発医薬品に変更することに差し支えがあると判断した場合は、差し支えがあると判断した医薬品ごとに、「処方」欄中の「変更不可」欄に「✓」又は「×」を記載するとともに、「保険医署名」欄に署名又は記名・押印すること。 
なお 、後発医薬品を処方する際に、「変更不可」欄に「✓」又は「×」を記載する場合においては、その理由を記載すること。


2016年4月16日土曜日

添付文書に併用禁忌の記載がある点眼薬(後発品を除く)




点眼薬は局所に作用する薬剤なので、併用禁忌となる薬剤はないと考えがちですが、一部の薬剤では併用禁忌となっているものがあります。


特にパーキンソン病の患者さんへの投薬時には十分注意をしましょう。



アイオピジンUD点眼液1% (アプラクロニジン塩酸塩点眼液)
ナシビン点鼻・点眼液0.05%(オキシメタゾリン塩酸塩液)
プリビナ点眼液0.5mg/mL(ナファゾリン硝酸塩点眼液)


【併用禁忌】

MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩:エフピーOD錠)

急激な血圧上昇が起こるおそれがあります。
直接的な血管収縮作用を有するため、ノルアドレナリンの代謝を抑制するMAO阻害剤との併用により、過度の血管収縮を起こすことが考えられます。 



ウブレチド点眼液0.5%・1%(ジスチグミン臭化物製剤)


【併用禁忌】

脱分極性筋弛緩剤
(スキサメトニウム塩化物水和物:スキサメトニウム注「AS」・レラキシン注)

脱分極性筋弛緩剤の作用を増強するおそれがあります。
脱分極性筋弛緩剤はコリンエステラーゼにより代謝されるため、代謝が阻害されることが考えられます。またジスチグミンの直接ニコチン様作用には脱分極性筋弛緩作用があります。 


2016年4月15日金曜日

ルコナック爪外溶液 1本は何日分?




2016年4月25日、日本で2番目の塗るタイプの爪水虫治療薬『ルコナック爪外用液5%』が発売となります。


用法・用量


1日1回患部の爪全体に塗布します。


塗布する時間については決まりはありません。
塗り忘れがないように毎日同じ時間帯(たとえば入浴後)に塗ることをオススメします。
入浴後に塗布する場合は、爪の水気をふき取ってから塗るようにしましょう。


万が一塗り忘れたときは、 気が付いたときに塗布してください。
塗り忘れたからといって1日2回以上塗ってはいけません。


出典:http://luconac.com/

他の抗真菌剤との併用


クレナフィンと併用(同時に塗布)することはできません。
また、ルコナックの適応症は爪白癬のみです。
爪白癬以外に使用する他の外用抗真菌剤と一緒に処方される可能性はあります。

経口抗真菌薬は投与経路が異なるので、併用される可能性はあります。



治療期間の目安


綺麗な爪に生え変わるまでが治療期間です。

新しい爪に生え変わるまでは、年齢、爪白癬の重症度、どの爪が感染したかなどによって個人差がありますが、手の爪の場合で半年~1年、足の爪で1年~1.5 年かかります。



妊婦、授乳婦への投与


妊婦または妊娠の可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみに投与されます。

授乳婦については、ラットを使った動物実験で乳汁中へ移行することが報告されています。



小児への投与


臨床治験では 20 歳~80 歳の爪白癬患者を対象とされました。したがって、小児に対する安全性および、有効性のデータがありません。



透析患者への投与


透析患者へ投与した場合の影響はほとんどありません。

1 日 1 回 48 週投与した場合の血漿中薬剤濃度は 0.1~0.17ng/mLであることから血中への移行性はわずかと考えられます。

また、成分のルリコナゾールはアルブミンへのタンパク結合率が 99.8% であることから透析ではほとんど除去されないと考えられます。



誤飲した場合の対処法


誤飲を発覚した場合はすぐに口腔内の洗浄やうがいをしてください。
異常を感じる場合は医師の診察を受けてください。



誤って点眼してしまった場合


すぐに水またはぬるま湯で洗い流してください。
異常を感じる場合は眼科医の診察を受けてください。



爪以外の皮膚に塗布した場合


成分のルリコナゾールには通常の水虫の治療に使われる軟膏やクリームの成分としても認可されています。
爪以外についたとしても、問題になるようなことはないと考えられます。

しかし、アルコールなどの有機溶媒が添加物として使用されているため皮膚刺激感や皮膚炎を起こす可能性はあります。



使用期限


未開封の場合、製造後 3 年です。
開封後の安定試験は実施されていません。できるだけ早く使いきりましょう。
長くとも使用期限内での使用に留めましょう。



ルコナック爪外溶液 1本は何日分


1日1回10枚の爪に塗布する場合、1本で約 2 週間分です。
爪の数や爪の大きさで1回の使用量が違ってきますので、あくまでも目安です。

2016年4月14日木曜日

第 2 章 医療材料・衛生材料等 3. 院外処方箋で出すことのできる特定保険医療材料



3. 院外処方箋で出すことのできる特定保険医療材料

在宅医療に用いる特定保険医療材料は、院外処方箋で出すことも可能です。

ただし、薬剤を処方箋により出さず、注射器、注射針のみまたはその両者のみを処方箋で出すことはできません。


薬局が高度管理医療機器または特定保守管理医療機器に該当する医療材料を供給する場合には『高度管理医療機器等販売業許可』が必要です。(インスリン自己注射用ディスポーザブル注射器・注射針または一体型インスリン注入器や腹膜透析液交換セットは除く)




特定保険医療材料


価格


1

インスリン製剤等注射用ディスポーザブル注射器

17円

2

ヒト成長ホルモン剤注射用ディスポーザブル注射器

10円

3

ホルモン製剤等注射用ディスポーザブル注射器

11円

4

腹膜透析液交換セット

(1)

交換キット

544円

(2)

回路


Yセット

873円


APDセット

5,370円


IPDセット

1,020円

5

在宅中心静脈栄養用輸液セット

(1)

本体

1,490円

(2)

付属品


フーバー針

411円


輸液バッグ

406円

6

在宅寝たきり患者処置用栄養用ディスポーザブルカテーテル

(1)

経鼻用


一般用

180円


乳幼児用


一般型

92円


非DEHP型

144円


経腸栄養用

1,600円


特殊型

2,070円

(2)

腸瘻用

4,470円

7

万年筆型注入器用注射針

(1)

標準型

15円

(2)

針折れ防止型

17円

(3)

超微細型

18円

8

携帯型ディスポーザブル注入ポンプ

(1)

化学療法用

3,500円

(2)

標準型

3,420円

(3)

PCA型

4,450円

9

在宅寝たきり患者処置用気管切開後留置用チューブ

(1)

一般型


カフ付き気管切開チューブ


カフ上部吸引機能あり

i

一重管

4,350円

ii

二重管

5,870円


カフ上部吸引機能なし

i

一重管

3,730円

ii

二重管

6,030円


カフなし気管切開チューブ

4,120円

(2)

輪状甲状膜切開チューブ

3,750円

(3)

保持用気管切開チューブ

6,100円

10

在宅寝たきり患者処置用膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル

(1)

2管一般(I)

229円

(2)

2管一般(II)


標準型

594円


閉鎖式導尿システム

633円

(3)

2管一般(III)


標準型

1,620円


閉鎖式導尿システム

1,690円

(4)

特定(I)

772円

(5)

特定(II)

2,090円

11

在宅血液透析用特定保険医療材料(回路を含む。)

(1)

ダイアライザー


Ia型(膜面積1.5m2未満)

1,590円


Ia型(膜面積1.5m2以上)

1,530円


Ib型(膜面積1.5m2未満)

1,610円


Ib型(膜面積1.5m2以上)

1,650円


IIa型(膜面積1.5m2未満)

1,600円


IIa型(膜面積1.5m2以上)

1,670円


IIb型(膜面積1.5m2未満)

1,600円


IIb型(膜面積1.5m2以上)

1,740円


S型(膜面積1.5m2未満)

1,660円


S型(膜面積1.5m2以上)

1,660円


特定積層型

5,780円

(2)

吸着型血液浄化器(β2-ミクログロブリン除去用)

22,600円

12

皮膚欠損用創傷被覆材

(1)

真皮に至る創傷用

1cm2当たり6円

(2)

皮下組織に至る創傷用


標準型

1cm2当たり10円


異形型

1g当たり37円

(3)

筋・骨に至る創傷用

1cm2当たり25円

13

非固着性シリコンガーゼ

(1)

広範囲熱傷用

1,060円

(2)

平坦部位用

139円

(3)

凹凸部位用

326円

14

水循環回路セット

1,080,000円

2016年4月12日火曜日

平成28年度診療報酬改定 かかりつけ薬剤師機能






患者本位の医薬分業の実現に向け、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握して業務を実施するかかりつけ薬剤師を評価するものとして、「かかりつけ薬剤師指導料」および「かかりつけ薬剤師包括管理料」が新設されました。


「かかりつけ薬剤師指導料」および「かかりつけ薬剤師包括管理料」は、患者が選択した保険薬剤師(かかりつけ薬剤師)が、保険医と連携して患者の服薬状況を一元的かつ継続的に把握したうえで、患者に対して服薬指導などを実施した場合に算定できます。


これら点数は、施設基準として位置付けられています。


算定にあたっては、あらかじめ地方厚生(支)局長宛に届出を行っておくことが必要です。


かかりつけ薬剤師の人的要件としては、
保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、
当該薬局に週32時間以上勤務・1年以上在籍(勤務)しているほか、
薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること
などが条件とされています。


また、かかりつけ薬剤師包括管理料」は、医科点数における地域包括診療料もしくは地域包括診療加算の算定患者を対象としています。


そして、これらの点数は調剤基本料や調剤料などを包括した制度設計となってます。


つまり、薬剤料、特定保険医療材料、時間外加算など以外の点数については併算定することはできません。








(問)薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料のいずれを算定するかは、薬局側が選択できるという理解でよいか。

(答)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料については、患者の同意を得た薬剤師が算定できるものであり、算定要件を満たす場合は患者の同意の下調剤でいずれかの点数を算定する。それ以外の場合は、算定要件を満たせば薬剤服用歴管理指導料を算定することになる。


(問)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の同意取得のために患者へ説明する際に、かかりつけ薬剤師を変更する際の対応についても説明が必要か。

(答)貴見のとおり。
なお、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料は、患者が薬剤師を選択するものであり、患者の意向によって変更することも可能であることから、患者が本制度の取扱いを理解できるよう、同意取得時にはその旨を併せて 説明すること。

平成28年度診療報酬改定 乳幼児服薬指導加算




対人業務に関する業務の評価を充実するため、乳幼児服薬指導加算の所定点数の引き上げが行われました。(月10点)。

算定要件については、変更ありません。



平成28年厚生労働省告示第52号 調剤点数表



10 薬剤服用歴管理指導料
(略)

注6 6歳未満の乳幼児に係る調剤に際して必要な情報等を直接患者又はその家族等に確認した上で、患者又はその家族等に対し、服用に関して必要な指導を行い、かつ、当該指導の内容等を手帳に記載した場合には、10点を所定点数に加算する。


平成28年3月4日保医発0304第3号


(29) 乳幼児服薬指導加算

ア 乳幼児服薬指導加算は、乳幼児に係る処方せんの受付の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。

イ 乳幼児服薬指導加算を算定した処方せん中の薬剤の服用期間中に、患者の家族等から電話等により当該処方薬剤に係る問い合わせがあった場合には、適切な対応及び指導等を行うこと。

ウ アにおける確認内容及び指導の要点について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載する。





(問)乳幼児服薬指導加算について、「指導の内容等について、手帳に記載すること」とされているが、手帳を持参していない患者に対して、手帳を交付又は手帳に貼付するシール等を交付した場合であっても、当該加算を算定できると理解してよいか。

→乳幼児服薬指導加算については、手帳を利用しているが手帳を持参し忘れた患者にはシール等を交付することでよいが、手帳を利用していない患者に対しては手帳を交付した場合に算定できるものであること。
なお、シール等を交付した患者が次回以降に手帳を持参した場合は、当該シール 等が貼付されていることを確認すること。

平成28年度診療報酬改定 特定薬剤管理指導加算




対人業務に関する業務の評価を充実するため、特定薬剤管理指導加算の所定点数の引き上げが行われました。(月10点)。

算定要件については、変更ありません。



平成28年厚生労働省告示第52号 調剤点数表



10 薬剤服用歴管理指導料
(略)

注5 特に安全管理が必要な医薬品として別に厚生労働大臣が定めるものを調剤した場合であって、当該医薬品の服用に関し、その服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときには、10点を所定点数に加算する。



平成28年3月4日保医発0304第3号


(28) 特定薬剤管理指導加算

ア 特定薬剤管理指導加算は、薬剤服用歴管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指導等に加えて、患者又はその家族等に当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬品である旨を伝え、当該薬剤についてこれまでの指導内容等も踏まえ適切な指導を行った場合に算定する。なお、「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日本薬剤師会)等を参照し、特に安全管理が必要な医薬品に関して薬学的管理及び指導等を行う上で必要な情報については事前に情報を収集することが望ましいが、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集については必ずしも必要とはしない。


イ 特に安全管理が必要な医薬品とは、抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤、血液凝固阻止剤、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、カリウム製剤(注射薬に限る。)、精神神経用剤、糖尿病用剤、膵臓ホルモン剤及び抗HIV薬をいう。なお、具体的な対象薬剤については、その一覧を厚生労働省のホームページに掲載している

ウ 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合には、その全てについて必要な薬学的管理及び指導を行うこと。ただし、処方せんの受付1回につき1回に限り算定するものであること。

エ 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載すること。なお、従来と同一の処方内容にもかかわらず当該加算を継続して算定する場合には、特に指導が必要な内容を重点的に行い、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。




(問)薬効分類上の「腫瘍用薬」、「不整脈用剤」、「抗てんかん剤」に該当するが他の効能も有する薬剤については、それぞれ、「悪性腫瘍」、「不整脈」、「てんかん」の目的で処方され、必要な指導等を実施した場合に限り算定可能と理解してよいか。

→貴見のとおり。 
なお、対象薬剤の一覧については、厚生労働省のホームページに掲載している。

平成28年診療報酬改定 重複投薬・相互作用等防止加算




重複投薬・相互作用防止加算については、患者の薬剤服用歴に基づいて、重複投薬や相互作用の防止のために処方せんの内容について変更が行われた場合には20点、変更が行われなかった場合には10点を算定することとされていました。


平成28年4月からは、対人業務の評価の充実という観点から、重複投薬や相互作用の防止だけでなく、過去の副作用やアレルギー歴を有することから処方医へ疑義照会を行い、処方変更が生じた場合についても算定対象となります。


これに伴い、名称についても「重複投薬・相互作用  防止加算」に変更されました。


また、これまでは、異なる保険医療機関または診療科で 交付された複数の処方せんによることなど一定の制限がありましたが、2016年4月からは当該要件は設けないことになりました。


ただし、所定点数は、処方変更が行われた場合に限り30点を算定できるものとして見直され、処方変更が行われなかった場合については廃止されました。




平成28年厚生労働省告示第52号 調剤点数表


10 薬剤服用歴管理指導料
(略)

注4 薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は、30点を所定点数に加算する。


平成28年3月4日保医発0304第3号


(27) 重複投薬・相互作用等防止加算

ア 重複投薬・相互作用等防止加算は、薬剤服用歴の記録又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、次の内容について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。 ただし、複数の項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。なお、薬剤服用歴管理指導料を算定していない場合は、当該加算は算定できない。

(イ) 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
(ロ) 併用薬、飲食物等との相互作用
(ハ) 残薬
(ニ) そのほか薬学的観点から必要と認める事項

イ 重複投薬・相互作用等防止加算の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載する。

ウ 同時に複数の処方せんを受け付け、複数の処方せんについて薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する。




(問)重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定対象の範囲について、「そのほか薬学的観点から必要と認める事項」 とあるが、具体的にはどのような内容が含まれるのか。

→薬剤師が薬学的観点から必要と認め、処方医に疑義照会した上で処方が変更された場合は算定可能である。
 具体的には、アレルギー歴や副作用歴などの情報に基づき処方変更となった場合薬学的観点から薬剤の追加や投与期間の延長が行われた場合は対象となるが、保険薬局に備蓄がないため処方医に疑義照会して他の医薬品に変更した場合などは当てはまらない。


(問)これまでの「重複投薬・相互作用防止加算」では、同一医療機関の同一診療科の処方せんについて処方変更があったとしても算定できないとされていたが、平成28年度診療報酬改定で見直した「重複投薬・相互作用等防止加算」及び「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」については、同一医療機関の同一診療科から発行された処方せんであっても、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は算定可能と理解してよいか。

→「重複投薬・相互作用等防止加算」及び「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」は、薬学的観点から必要と認められる事項により処方が変更された場合には算定可能としているので、上記の内容も含め、これまで算定できないとされていた「薬剤の追加、投与期間の延長」等であっても、要件に該当するものについては算定可能である。


帯状疱疹予防ワクチンは5割しか効かない?




2016年3月、『乾燥弱毒生水痘ワクチン』に「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」の効能・効果が追加承認されました。

http://www.biken.or.jp/WP/wp-content/uploads/info_3_fa-v_tk_20160318.pdf


日本で承認されている帯状疱疹ワクチンは、「岡株」という種類のワクチンです。

岡株は、水痘及び帯状疱疹の原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の弱毒株です。

また、岡株はWHOによって、水痘及び帯状疱疹に対するワクチン製造株とされているワールドスタンダードな株です。

Varicella and herpes zoster vaccines: WHO position paper, June 2014.WHO Weekly Epidemiol Rec. 2014; 89:265-288.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24983077



VZVは、感染すると水ぼうそう(水痘)を発症します。水痘が治癒した後もウイルスは神経節に潜伏しています。

そして何年か後、加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、免疫抑制剤の使用などの免疫機能の低下によって、ウイルスが再活性化します。

神経節に潜んでいたウイルスは、神経近くの皮膚に帯状疱疹を発症させます。


Oxman MN,Zoster vaccine: current status and future prospects.Clin Infect Dis. 2010 Jul 15;51(2):197-213. 
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20550454


Levin MJ,et al.,Varicella-zoster virus-specific immune responses in elderly recipients of a herpes zoster vaccine.J Infect Dis. 2008 Mar 15;197(6):825-35.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18419349




帯状疱疹の初期症状は、片側の神経分布領域に知覚異常や疼痛、痒みが現れます。

症状は数日から1週間続きます。

その後、紅い斑点が現れ、その上に多数の水ぶくれが帯状に出現します。

水ぶくれは2〜3日で膿疱や血疱となり、4〜5日で破れて、びらんとなり、次第にかさぶたとなります。

約3週間でかさぶたが剥がれて、帯状疱疹は治っていきます。


高齢者では、帯状疱疹が治った後の2割程度において、帯状疱疹後神経痛が見られることが報告されています。


帯状疱疹後神経痛はとても痛い、管理が難しいことから患者の負担が大きなものとなっています。


Takao Y, Miyazaki Y, Okeda M, et al. Incidences of herpes zoster and postherpetic neuralgia in japanese adults aged 50 years and older from a community-based prospective cohort study: The SHEZ study. J Epidemiol 2015;25:617-625.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4626391/



日本における帯状疱疹発症率は、1997年から宮崎県で実施された大規模疫学研究において、50歳未満は2.06〜2.85/1000人年、50歳以上では5.30〜8.25/1,000人年と報告されています。

毎年約60万人が帯状疱疹を発症し、80歳までに3人に1人が帯状疱疹を発症すると推定されています。



IASR Vol. 34 p. 298-300: 2013年10月号
http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2256-related-articles/related-articles-404/4014-dj4048.html



海外では、岡株ワクチン『ZOSTAVAX』が帯状疱疹の予防を効能・効果として、米国、欧州を含む60以上の国又は地域で承認されていました。


しかし、日本では2004年に水痘ワクチンの添付文書が改訂され、水痘予防の一環として、VZVに対する免疫能が低下した高齢者に本剤を接種することが可能とされてはいましたが「帯状疱疹の予防」は、効能・効果に明記されていませんでした。


そのような状況を踏まえ、2009年11月に日本皮膚科学会、2010年4月に日本ペインクリニック学会、2012年2月に日本感染症学会から、日本においても水痘ワクチンに帯状疱疹の予防適応の追加を求める要望書が厚生労働省に提出されました。



水痘ワクチンが帯状疱疹予防となる根拠


水痘が流行すると帯状疱疹が減少することが経験的に知られています。

また、小児や水痘患者との頻繁な接触が成人の帯状疱疹の発症を抑制することが報告されています。

これらから、VZVに対する免疫が帯状疱疹の発症に関わっていると考えられています。


その他には、岡株ワクチンを接種された免疫の低下した白血病の患児で、ワクチンの追加接種または水痘への暴露で帯状疱疹の発症が抑制されたという報告があります。


高齢者において、岡株ワクチンの接種が抗VZV抗体価、及びVZV特異的細胞免疫を増強させ、VZVに対する免疫強化が期待され、帯状疱疹の発症予防に繋がると考えられています。



発症予防効果があるのは50%?


ワクチンにによって、帯状疱疹の頻度を約半分にすることができます。

また、帯状疱疹後神経痛を約3分の1に有意に減少させることがわかっています。

しかし、見かたを変えるとワクチン接種にもかかわらず半数は発症を予防できていないことになります。


これをどう理解するか。


帯状疱疹治療薬のアシクロビルは無治療に比べ、ウイルス排泄を約1日、治癒を約1.5日短縮させます。

このような帯状疱疹治療標準治療法である抗ウイルス薬でも、治療期間を1~2日短縮する程度の効果なのです。

それに比べれば、たとえワクチン接種者の半数であっても帯状疱疹が発症しないということは非常に大きな効果であると考えられます。さらに、非常につらい帯状疱疹後神経痛を減らせることは臨床的に大きなことです。



参考:
感染症学雑誌 第84巻 第 6 号. 帯状疱疹とその予防に関する考察.


2016年4月5日火曜日

平成28年度診療報酬改定 30日を超えて薬をもらえなくなったのか





患者さんが、「この4月から30日以上処方できなくなった」と病院で言われたとおっしゃっていました。


「30日以上処方できなくなった」のではなく「30日以上処方するためには条件ができた」というのが正確です。



平成28年の診療報酬改定において、予見することができる必要期間に従った投薬量が適切に処方されるよう、取扱いの明確化を図るため、30日を超える長期の投薬については、条件が設定されました。


医者が30日以上処方するためには、以下が確認されなければなりません。
  • 病状が安定しているか。
  • 患者が飲み忘れなく、薬の服薬管理ができるか。
  • 病状が悪化した際の、連絡先を教えているか。


医療機関側は、30日以上投薬する場合は、上記確認事項を確認した旨をレセプトのコメント欄及び処方せん備考欄に記載しておく方が、保険診療上よいと思われます。




F100 処方料
医師が処方する投薬量については、予見することができる必要期間に従ったものでなければならず、30日を超える長期の投薬を行うに当たっては、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認するとともに、病状が変化した際の対応方法及び当該保険医療機関の連絡先を患者に周知する。
なお、上記の要件を満たさない場合は、原則として次に掲げるいずれかの対応を行うこと。

ア 30日以内に再診を行う。 
イ 200床以上の保険医療機関にあっては、患者に対して他の保険医療機関(200床未満の病院又は診療所に限る。)に文書による紹介を行う旨の申出を行う。 
ウ 患者の病状は安定しているものの服薬管理が難しい場合には、分割指示に係る処方せんを交付する。



平成28年診療報酬改定 向精神薬多剤投与




2014年の診療報酬改定において、導入された『向精神薬多剤投与制限』。


向精神薬をたくさん処方すると、病院の「儲けが減る」仕組みです。
(患者さんにしてみれば、安くなるのですけどね)


もちろん病院は儲けが減るのを嫌がるので、薬の処方を減らします。


精神科でもらえる薬が減らされるのか
http://yakuza-14.blogspot.jp/2014/07/blog-post_29.html


平成28年度の診療改定では、少し要件が変更されています。

抗うつ薬や抗精神病薬は3種類まででしたが、平成28年度からは2種類までとなります。

また、対象となる向精神薬に『ベルソムラ』と『エフィクサーSR』が新たに追加されました。


処方料、薬剤料、処方せん料
3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬の投薬(以下①から④を除く)を行った場合。

① 他院で多剤投与を受けていた患者を引き継いだ場合
② 薬剤を切り替える場合
③ 臨時に投薬する場合
④ 精神科の診療に係る経験を十分に有する医師が患者の病状等によりやむを得ず投与を行う必要があると認めた場合(3種類の抗うつ薬又は3種類の抗精神病薬を投与する場合に限る。)

処方料 20点

薬剤料 所定点数の100分の80(※)
※抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬又は抗精神病薬に限る

処方せん料 30点





通院・在宅精神療法、精神科継続外来支援・指導料
1回の処方において、抗精神病薬又は抗うつ薬が3種類以上処方されている場合は、以下の①から③の全てを満たす場合を除き、所定点数の100分の50に相当する点数により算定。

① 当該保険医療機関において、3種類以上の抗うつ薬の投与を受けている患者及び3種類以上の抗精神病薬を受けている患者が、抗うつ薬又は抗精神病薬の投与を受けている患者の1割未満(※1)である。

② 当該患者に対して、適切な説明、残薬の確認、副作用の評価、減薬の可能性の検討が行われている。

③ 当該処方が臨時の投薬等のもの、又は患者の病状等によりやむを得ず投与するもの(※2)である。

※1 平成28年7月以降、毎年度4月、7月、10月、1月に過去3月の実績を報告。ただし、平成28年7月は改定前の方法、様式による報告でも可とし、平成28年9月までは全ての保険医療機関が①を満たすものとして扱う。

※2 処方料等における「精神科の診療に係る経験を十分に有する医師が患者の病状等によりやむを得ず投与を行う必要があると認めた場合」に限る。ただし、平成28年9月までは精神科を担当する臨床経験5年以上の医師の判断でも可。



診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)
(平成28年3月4日保医発0304第3号 別添1)
向精神薬多剤投与を行った保険医療機関は、平成28年7月以降、毎年度4月、7月、10月、1月に、前月までの3か月間の向精神薬多剤投与の状況を別紙様式40を用いて地方厚生(支)局長に報告すること。なお、平成28年7月の報告については、平成28年6月の向精神薬多剤投与の状況を平成28年度診療報酬改定前の別紙様式40を用いて報告することで代替しても差し支えない。

様式40






「疑義解釈資料の送付について(その10)」(平成26年10月10日事務連絡)において、「1回の処方において、3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬の投薬を行った場合、同一処方したその他の薬剤を含む全ての内服・頓服・外用に係る薬剤料を所定点数の100分の80に相当する点数で算定することになるのか。」との問に「そのとおり。」と答えているが、平成28年度診療報酬改定により、100分の80に相当する点数で算定することになる薬剤料の範囲は抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬に限定されるのか。

→そのとおり。


例えば、抗不安薬3種類、抗精神病薬1種類、睡眠薬1種類を1回に処方されていた場合、抗不安薬だけでなく、抗精神病薬、睡眠薬についても、薬剤料が所定点数の100分の80に相当する点数で算定するのか。

→そのとおり。


処方料等について、「精神科の診療に係る経験を十分に有する医師」を別紙様式39を用いて地方厚生(支)局長に届け出ることになっているが、届け出た医師が退職した場合、要件を満たさなくなった場合等は、その都度、改めて届け出ることが必要か。

→そのとおり。



区分番号「F200」薬剤料の注2(向精神薬多剤投与の場合の100分の80減算)について、1剤(服用時点、服用回数が同じもの)に向精神薬とそれ以外が混在する場合、どのように計算するか。



対象薬剤一覧

抗不安薬

オキサゾラム
クロキサゾラム
クロラゼプ酸二カリウム
ジアゼパム
フルジアゼパム
ブロマゼパム
メダゼパム
ロラゼパム
アルプラゾラム
フルタゾラム
メキサゾラム
トフィソパム
フルトプラゼパム
クロルジアゼポキシド
ロフラゼプ酸エチル
タンドスピロンクエン酸塩
ヒドロキシジン塩酸塩
クロチアゼパム
ヒドロキシジンパモ酸塩
エチゾラム
ガンマオリザノール


睡眠薬

ブロモバレリル尿素
抱水クロラール
エスタゾラム
フルラゼパム塩酸塩
ニトラゼパム
ニメタゼパム
ハロキサゾラム
トリアゾラム
フルニトラゼパム
ブロチゾラム
ロルメタゼパム
クアゼパム
アモバルビタール
バルビタール
フェノバルビタール
フェノバルビタールナトリウム
ペントバルビタールカルシウム
トリクロホスナトリウム
クロルプロマジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、フェノバルビタール合剤
リルマザホン塩酸塩水和物
ゾピクロン
ゾルピデム酒石酸塩
エスゾピクロン
ラメルテオン
スボレキサント


抗うつ薬

クロミプラミン塩酸塩
ロフェプラミン塩酸塩
トリミプラミンマレイン酸塩
イミプラミン塩酸塩
アモキサピン
アミトリプチリン塩酸塩
ノルトリプチリン塩酸塩
マプロチリン塩酸塩
ペモリン
ドスレピン塩酸塩
ミアンセリン塩酸塩
セチプチリンマレイン酸塩
トラゾドン塩酸塩
フルボキサミンマレイン酸塩
ミルナシプラン塩酸塩
パロキセチン塩酸塩水和物
塩酸セルトラリン
ミルタザピン
デュロキセチン塩酸塩
エスシタロプラムシュウ酸塩
ベンラファキシン塩酸塩


抗精神病薬(〇印は非定型抗精神病薬、△は持続性抗精神病注射薬剤)

<定型薬>

クロルプロマジン塩酸塩
クロルプロマジンフェノールフタリン酸塩
ペルフェナジンフェンジゾ酸塩
ペルフェナジン
ペルフェナジンマレイン酸塩
プロペリシアジン
フルフェナジンマレイン酸塩
プロクロルペラジンマレイン酸塩
レボメプロマジンマレイン酸塩
ピパンペロン塩酸塩
オキシペルチン
スピペロン
スルピリド
ハロペリドール
ピモジド
ゾテピン
チミペロン
ブロムペリドール
クロカプラミン塩酸塩水和物
スルトプリド塩酸塩
モサプラミン塩酸塩
ネモナプリド
レセルピン
△ ハロペリドールデカン酸エステル
△ フルフェナジンデカン酸エステル

<非定型薬>

〇△リスペリドン
〇 クエチアピンフマル酸塩
〇 ペロスピロン塩酸塩水和物(ペロスピロン塩酸塩)
〇 オランザピン
〇△アリピプラゾール(アリピプラゾール水和物)
〇 ブロナンセリン
〇 クロザピン
〇 パリペリドン
〇△パリペリドンパルミチン酸エステル

2016年4月1日金曜日

ハイリスク薬一覧表




特定薬剤管理指導加算の算定対象となる薬剤(ハイリスク薬)の具体的な対象薬剤についての一覧、「特定薬剤管理指導加算等の算定対象となる薬剤一覧」が診療報酬情報提供サービスに掲載されました。(2016年3月)


以下のサイトにアクセスした、下方に「特定薬剤管理指導加算等の算定対象となる薬剤一覧」というリンクが有ります。


診療報酬情報提供サービス
http://www.iryohoken.go.jp/shinryohoshu/



ハイリスク薬とは


特に安全管理が必要な医薬品のことです。

2010年度調剤報酬改定において、薬局における患者に対する薬学的管理及び指導を充実させるため、ハイリスク薬が処方された患者に対して、調剤時に副作用の有無等を確認するとともに、服用に際しての注意事項等について指導を行った場合の評価として、特定薬剤管理指導加算が新設されました。


【特定薬剤管理指導加算】(平成28年度診療報酬改定)

特に安全管理が必要な医薬品として別に厚生労働大臣が定めるものを調剤した場合であって、当該医薬品の服用に関し、その服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときには、10点を所定点数に加算する。

ア 特定薬剤管理指導加算(「注5」に規定する加算をいう。以下同じ。)は、薬剤服用歴管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指導等に加えて、患者又はその家族等に当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬品である旨を伝え、当該薬剤についてこれまでの指導内容等も踏まえ適切な指導を行った場合に算定する。
なお、「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日本薬剤師会)等を参照し、特に安全管理が必要な医薬品に関して薬学的管理及び指導等を行う上で必要な情報については事前に情報を収集することが望ましいが、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集については必ずしも必要とはしない。 
イ 特に安全管理が必要な医薬品とは、抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤、血液凝固阻止剤、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、カリウム製剤(注射薬に限る。)、精神神経用剤、糖尿病用剤、膵臓ホルモン剤及び抗HIV薬をいう。
なお、具体的な対象薬剤については、その一覧を厚生労働省のホームページに掲載している。 
ウ 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合には、その全てについて必要な薬学的管理及び指導を行うこと。ただし、処方せんの受付1回につき1回に限り算定するものであること。 
エ 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載すること。なお、従来と同一の処方内容にもかかわらず当該加算を継続して算定する場合には、特に指導が必要な内容を重点的に行い、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。


「疑義解釈資料の送付について(その1)(事務連絡、2016年3月31日)より一部抜粋
【特定薬剤管理指導加算】

(問)薬効分類上の「腫瘍用薬」、「不整脈用剤」、「抗てんかん剤」に該当するが 他の効能も有する薬剤については、それぞれ、「悪性腫瘍」、「不整脈」、「てんかん」の目的で処方され、必要な指導等を実施した場合に限り算定可能と理解してよいか。

(答) 貴見のとおり。

なお、対象薬剤の一覧については、厚生労働省のホームページに掲載している。
http://www.iryohoken.go.jp/shinryohoshu/


スルピリド50mgやスルピリド細粒は対象薬剤から除外されています。

※スルピリド50mgやスルピリド細粒は2016年6月28日更新のリストから「算定対象となる薬剤」とされています。更新履歴ぐらい明記してほしい。(2016年8月追記)

アーチストに関しても対象薬剤から除外されています。

どうやら、単純に薬効分類でのみ判断しているようです。
※アーチストはいつの間にか対象になっていました。
 更新履歴ぐらい明記してほしい。(2016年6月追記)

基本的に「特に安全管理が必要な医薬品」の範囲は薬効分類ではなく、実際に使用した目的の効能で処方されたかどうかで決まるはずです。


このあたり、明確にしてほしいですね。


※4月1日公表時点

アーチスト10mgが対象となる薬剤となっていない。


※2016年6月時点

いつのまにか更新されていた。



「疑義解釈資料の送付について(その3)」(事務連絡、2010年4月30日)より一部抜粋

(問5)「特に安全管理が必要な医薬品」の範囲については、以下の考え方でよいか。
①「抗悪性腫瘍剤」には、薬効分類上の「腫瘍用薬」が該当するほか、それ以外の薬効分類に属する医薬品であって悪性腫瘍に対する効能を有するものについて、当該目的で処方された場合が含まれる。
②「不整脈用剤」には、薬効分類上の「不整脈用剤」が該当するほか、それ以外の薬効分類に属する医薬品であって不整脈に対する効能を有するものについて、当該目的で処方された場合が含まれる。
③「抗てんかん剤」には、薬効分類上の「抗てんかん剤」が該当するほか、それ以外の薬効分類に属する医薬品であっててんかんに対する効能を有するものについて、当該目的で処方された場合が含まれる。
(答) いずれもそのとおり


(問6)特定薬剤管理指導加算の対象となる「免疫抑制剤」の範囲については、以下の考え方でよいか。
①薬効分類245「副腎ホルモン剤」に属する副腎皮質ステロイドの内服薬、注射薬及び外用薬は含まれるが、副腎皮質ステロイドの外用薬のうち、その他の薬効分類(131「眼科用剤」、132「耳鼻科用剤」、225「気管支拡張剤」、264「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」等」に属するものについては含まれない。
②関節リウマチの治療に用いられる薬剤のうち、メトトレキサート、ミゾリビン、レフルノミド、インフリキシマブ(遺伝子組換え)、エタネルセプト(遺伝子組換え)、アダリムマブ(遺伝子組換え)及びトシリズマブ(遺伝子組換え)は含まれるが、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、D-ペニシラミン、サラゾスルファピリジン、ブシラミン、ロベンザリット二ナトリウム及びアクタリットは含まれない。
③移植における拒絶反応の抑制等に用いられるバシリキシマブ(遺伝子組換え)、ムロモナブ-CD3、アザチオプリン、エベロリムス、塩酸グスペリムス、タクロリムス水和物、シクロスポリン及びミコフェノール酸モフェチルは含まれる。
(答) いずれもそのとおり


(問7)特定薬剤管理指導加算の対象となる「血液凝固阻止剤」には、血液凝固阻止目的で長期間服用するアスピリンは含まれるが、イコサペント酸エチル、塩酸サルポグレラート、ベラプロストナトリウム、リマプロストアルファデクス及び解熱・鎮痛を目的として投与されるアスピリンは含まれないと考えてよいか。

(答) そのとおり。


(問8)特定薬剤管理指導加算の対象となる「精神神経用剤」には、薬効分類112「催眠鎮静剤、抗不安剤」に属する医薬品及び薬効分類116「抗パーキンソン剤」に属する医薬品は含まれないと考えてよいか。

(答) そのとおり。薬効分類117「精神神経用剤」に属する医薬品のみが対象となる。


(問9)特定薬剤管理指導加算の対象となる「抗HIV薬」には、薬効分類625「抗ウイルス剤」に属する医薬品のうち、HIV感染症、HIV-1感染症、後天性免疫不全症候群(エイズ)等の効能・効果を有するものが該当すると考えてよいか。

(答) そのとおり。



【2016.8.9追記】
またもや、こっそりと更新されていたようです。

新たに算定対象となったもの

アスピリン
アトロピン注
アビリット錠50mg
アプニション静注15mg 3mL
アミノフィリン静注
アミノフィリン水和物
アミノフィリン注
アンギナール錠100mg
カルベジロール20mg錠
キョーフィリン静注250mg
ジピリダモール100mg錠
ジピリダモール錠25mg
スルピリド10%細粒
スルピリド50%細粒
スルピリドカプセル50mg
スルピリド錠50mg
ゾメタ点滴静注4mg
ゾレドロン酸点滴静注4mg
テオカルヂン静注250mg
ドグマチールカプセル50mg
ドグマチール筋注50mg
ドグマチール細粒10%
ドグマチール細粒50%
ドグマチール錠50mg
ニチフィリン注250mg
ネオフィリン原末
ネオフィリン錠100mg
ネオフィリン注
ピリカップル筋注50mg
プロタノールL注
プロタノールS錠15mg
ペルサンチン-Lカプセル150mg
ペルサンチン錠100mg
ペルサンチン錠25mg
ペルミルチン錠25
ミラドールカプセル50mg
ミラドール細粒10%
ミラドール細粒50%
ミラドール錠50
ヨウリダモール錠25
ランマーク皮下注120mg
硫酸アトロピン「ホエイ」