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2016年2月27日土曜日

α1遮断薬とベタニスを併用してもよいのか




前立腺肥大症はもともと尿が出にくくなる排尿障害が主症状としてあるのですが、まれに尿意切迫とか過活動膀胱の症状を合併することがあります。


おしっこに行きたくても、出ない。出ないけど尿意はある。辛いですね。


前立腺肥大に伴う排尿障害にはα1遮断薬のタムスロシンが、過活動膀胱にはベタニス(ミラベグロン)が併用処方されることがあります。


これらの併用はどの程度のエビデンスがあるのでしょうか。


タムスロシンを8週間投与され、過活動膀胱症状が残ってしまった前立腺肥大症の患者に対し、タムスロシン0.2mg単独投与群と、タムスロシン0.2mg+ミラベグロン50mg併用群に分けて比較した小規模RCT試験があります。


併用群は単独群と比較してOABSSの合計スコアおよび尿意切迫感スコア、IPSSの蓄尿スコア、頻尿スコアおよびQOLスコアの有意な改善を認めました。


Ichihara K,et al.A randomized controlled study of the efficacy of tamsulosin monotherapy and its combination with mirabegron for overactive bladder induced by benign prostatic obstruction.J Urol. 2015 Mar;193(3):921-6.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25254938




8週間以上タムスロシンを服用している男性過活動膀胱患者にミラベグロンを追加投与し、尿流動態検査を用いて評価した試験があります。

結果は追加投与により膀胱容量が優位に増加するとともに排尿筋過活動も改善しました。


Wada N,et al. Urodynamic Efficacy and Safety of Mirabegron Add-on Treatment with Tamsulosin for Japanese Male Patients with Overactive Bladder.LUTS 2015,
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/luts.12091/abstract

低温やけどの対処法



低温やけども通常のやけどと同様「熱傷」として対処します。


熱傷部位の広さや深さによって治療の方法が変わってきます。


Ⅱ度熱傷の治療 水ぶくれができる程度

Ⅱ度熱傷に対しては,湿潤環境維持を目的にワセリン軟膏基剤を基本とし,熱傷の広さ,深さの状況により主剤(抗生物質,ステロイドなど)を選択することが推奨されます。

Ⅱ度熱傷創には創傷被覆材を用いてもよいです。


創傷被覆材→
テガダームなどのハイドロコロイド



「熱傷潰瘍」を含む皮膚潰瘍に有用であったという薬剤一覧
・塩化リゾチーム軟膏(リフラップ®軟膏)

・プロスタグランディンE1製剤(プロスタンディン®軟膏)

・ブクラデシンナトリウム含有軟膏(アクトシン®軟膏)

・白糖・ポピドンヨード配合軟膏(ユーパスタコーワ軟膏など)



おもなステロイド外用剤で「熱傷」に適応がある薬剤
ベタメサゾン吉草酸エステル(+抗生物質)(リンデロン®VG軟膏など)

トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト®AG軟膏など)

(酪酸)ヒドロコルチゾン(+抗生物質)(テラ・コートリル®軟膏など)

フルオシノロン,塩酸フラジオマイシン(フルコート®軟膏など)


やけどの消毒

熱傷皮膚面への適用が明記されている消毒薬は、10%ポビドンヨード液のみです。


熱傷の潰瘍面に細菌がいることは考えられますが感染を起こしていない場合には毎日の入浴によってある程度まで細菌数を減らすことで十分です。


局所的に感染しており消毒薬を用いた場合、残った消毒薬によって皮膚再生が遅れることが考えられるので、消毒後に生理食塩水などで洗浄します。



<家庭での対応>
上記は医療機関での対応です。

低温やけどは、皮膚の深部で組織が破壊されている場合があるので、見た目は大したことなくても病院で一度診てもらうことをおすすめします。


応急処置としては

患部を冷やして、キズパワーパッドで傷口を覆うようにしましょう。

軟膏剤の塗布や消毒薬による消毒は不要です。




熱傷診療ガイドライン改訂第 2 版 (一般社団法人 日本熱傷学会)http://jsbi-burn.org/members/guideline/pdf/guideline2.pdf


【平成30年更新】かかりつけ薬剤師指導料 同意書サンプル



平成30年度の診療報酬改定では、かかりつけ薬剤師指導料に係る同意書の様式例が示されています。
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=519677&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196312.pdf




(以下は古い内容です)

平成28年度の診療報酬改定において

「かかりつけ薬剤師指導料」が新設されました。



かかりつけ薬剤師の主な算定要件


  1. 患者の同意の上、かかりつけ薬剤師として服薬指導等の業務を実施した場合に算定

  2. 患者の同意は、当該患者の署名付きの同意書を作成(1患者に対して、1薬剤師のみ)

  3. 患者の同意を得た後の次の来局時以降から算定可

  4. 当該指導料を算定する薬剤師は、事前に以下を満たしているとして事前届出が必要
    ・3年以上の薬局薬剤師経験、その薬局に週32時間以上勤務、その薬局に半年以上在籍
    ・薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定の取得
    ・地域の行政や関係団体等が主催する講演会、研修会等への参加、講演等の実績

  5. 手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称を記載すること

  6. 患者への服薬指導等はかかりつけ薬剤師が行なうことが原則(他薬剤師では算定不可)

  7. かかりつけ薬剤師は、患者に対して、かかりつけ薬剤師として行なう業務を行っていること

  8. 薬歴管理指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料、在宅患者訪問薬剤管理指導料(別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行なわれた場合を除く)と同時に算定不可


算定要件には患者さんに、かかりつけ薬剤師に関する説明を行い同意の上、同意書を作成します。

説明と同意書を1枚にしたものを作ってみました。

参考にしてください。

※これをそのまま使おうとするような意識の低いことはやめましょう。




(使い方)
かかりつけ薬剤師が患者さんに説明を行い、日付と押印をします。
患者さんに同意の署名を頂きます。
コピーをとり、写しを控えとし患者さんに渡します。
原本は薬局で保管します。

(追記)
日本薬剤師会が雛形を用意しています。

かかりつけ薬剤師指導料(かかりつけ薬剤師包括管理料)に関する同意書(様式例①)
http://www.nichiyaku.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/h280314_11.pdf

かかりつけ薬剤師指導料(かかりつけ薬剤師包括管理料)に関する同意書(様式例②)
http://www.nichiyaku.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/h280314_12.pdf

かかりつけ薬剤師勤務表(例)
http://www.nichiyaku.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/h280314_13.pdf



かかりつけ薬剤師の行う業務

  1. 薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施した上で患者の理解に応じた適切な服薬指導等を行なう

  2. 患者が服用中の薬剤等について、患者の意向を確認した上で手帳を用いて当該指導等の内容を記載する

  3. 患者が受診している全ての医療機関を把握し、服用している処方薬や、要指導医薬品等・健康食品等について全て把握するとともに、その内容を薬剤服用歴に記載すること。また、患者が医療機関・他の薬局でかかりつけ薬剤師を有している旨を明示するよう説明すること

  4. 患者から24時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝える、勤務表を作成して患者に渡すこと(やむを得ない場合は別の薬剤師対応可)5.患者が他の薬局で調剤を受けた場合は、その服用薬等の情報を入手し、薬剤服用歴の記録に記載すること

  5. 調剤後も患者の服薬状況の把握、指導等を行ない、その内容を薬剤を処方した保険医にその内容を情報提供し、必要に応じて処方提案すること。服薬状況の把握の方法は、患者の容態や希望に応じて、定期的に連絡できるようにすること(電話による連絡、患家への訪問、患者の来局時など)

  6. 患者に対して、服用中の薬剤等を保険薬局に持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋(いわゆるブラウンバッグ)を必要に応じて配布し、その取組の意義等を説明すること。

  7. 必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を行なうこと

2016年2月15日月曜日

α1遮断薬とザルティアを併用してもよいのか




α1遮断薬(タムスロシン)とPDE5阻害薬(ザルティア)の併用は添付文書上では併用注意とされています。

併用によりこれらの血管拡張作用による降圧作用を増強するおそれがある。


ザルティアが発売されてから、よく見かける処方ですがエビデンスはどうなのでしょうか。


PDE5阻害薬単独療法と比較して少ないですが、PDE5阻害薬とα1遮断薬の併用療法に関してはいくつかのエビデンスがあります。


タダラフィル5mg/日+タムスロシン0.4mg/日併用療法の小規模RCTの結果では、IPSS蓄尿症状スコアが併用療法において有意な改善が認められたと報告されています。

Regadas RP et al.,Urodynamic effects of the combination of tamsulosin and daily tadalafil in men with lower urinary tract symptoms secondary to benign prostatic hyperplasia: a randomized, placebo-controlled clinical trial.Int Urol Nephrol. 2013 Feb;45(1):39-43. doi: 10.1007/s11255-012-0317-7. Epub 2012 Oct 30.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23108604



日本でも、シロドシン+タダラフィル10mg/隔日投与により、IPSS蓄尿症状スコア、OABSSの改善が認められたとの報告があります。

辻村 晃,他,タダラフィルのLUTS への影響,泌尿器外科2011;24:385-390

PDE5阻害薬単独とα1遮断薬との併用の比較に関して、最新のシステマティックレビュー・メタアナリシスが報告されています。7つの論文で合計515例のデータを解析した結果、International Index of Erectile Function(IIEF)、蓄尿症状を含むIPSS、Qmaxのいずれの改善においても併用のほうが良かったとしています。しかし、個々の論文での症例数は多くありません。

Yan H,et al., The efficacy of PDE5 inhibitors alone or in combination with alpha-blockers for the treatment of erectile dysfunction and lower urinary tract symptoms due to benign prostatic hyperplasia: a systematic review and meta-analysis.J Sex Med. 2014 Jun;11(6):1539-45. doi: 10.1111/jsm.12499. Epub 2014 Mar 13.


タダラフィル5mg/日単独の連日投与と比較して、α1遮断薬とPDE5阻害薬の併用療法は大規模RCTがほとんどありません。薬剤の組み合わせも様々です。したがってエビデンスは不足していると言えます。


また、α1遮断薬のサブタイプ選択制により程度は異なると考えられますが、タダラフィルの併用により血圧低下を増強する可能性に留意すべきです。

Kloner RA,et al.,Interaction between the phosphodiesterase 5 inhibitor, tadalafil and 2 alpha-blockers, doxazosin and tamsulosin in healthy normotensive men.J Urol. 2004 Nov;172(5 Pt 1):1935-40.

2016年2月10日水曜日

平成28年診療報酬改定 湿布薬、1回70枚までに制限と処方せんの書き方




1回70枚を超えて湿布薬を処方する場合には、原則として処方せん料、処方料、調剤料、調剤技術基本料及び薬剤料を算定できなくなりました。

※対象は診療報酬点数表第5部 投薬(F000~500)です。調剤点数には関係しません。


政府の規制改革会議などで、患者が必要以上の枚数をもらって使い切れずに残る無駄が問題視されてきたためです。


1回で70枚を超えて処方される患者は月に延べ30万人ほど。国費ベースで年間数十億円の医療費削減につながるとされています。


しかし、遠隔地からの通院や貼付箇所が多いなどの理由で70枚を超えることがあるかもしれません。


そのような場合、医学上の必要性があると医師が判断すれば、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能となります。

・院内処方の場合
診療報酬明細書の「摘要」に理由の記載を行います。

・院外処方の場合
処方せん「備考」欄と診療報酬明細書の「摘要」欄の両方に記載を行います。

70枚を超えて湿布薬を投与した理由例:事故の影響による全身打撲が顕著で1回に数枚を要することから必要と判断した。


薬剤師としては、

70枚を超える湿布薬の処方せんを見たら、「理由」の記載を確認し、記載がなければ疑義照会をしなければならないでしょう。









湿布薬の処方せんやレセプトの書き方が変わります。


湿布薬の処方時は、処方せん及び診療報酬明細書に、投薬全量のほか、一日分の用量又は何日分に相当するかを記載しなければなりません。


記載例:

Rp.1)セルタッチパップ70 56枚

1回2枚  1日2回  14日分 腰部に貼付

投薬全量、一日分の用量又は何日分に相当するかの他に使用時点、使用部位、使用に際しての留意事項など記載がされているのが理想的です。






 処方制限の対象となる湿布薬は、貼付剤のうち、薬効分類上の鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤。
(ただし、もっぱら皮膚疾患に用いるものは除外)
用法が違うものであっても、これらの該当する湿布薬であれば、ひとまとめにして数え、「1処方、70枚まで」の制限対象になります。



【2016.3.31追記:疑義解釈その1より】

(問)湿布薬については、1処方につき70枚の制限となっているが、 「70枚」の判断は、湿布薬の種類ごとに70枚ではなく、処方された湿布薬全体の合計枚数が70枚という理解でよいか。


→そのとおり



※1処方につき70枚の制限であり、1月につき70枚の制限ではありません。


平成28年度版 後発医薬品数量シェア計算方法



2016年2月10日中医協の診療報酬改定の答申で後発医薬品調剤体制加算の施設基準が変更になりました。

当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合がそれぞれ、以下のとおりであること。

【現行】
後発医薬品調剤体制加算1 55%以上
後発医薬品調剤体制加算2 65%以上

【改定】
後発医薬品調剤体制加算1 65%以上
後発医薬品調剤体制加算2 75%以上




一覧表の例



各先発医薬品における後発医薬品の有無及び後発医薬品について、
1:後発医薬品がない先発医薬品(後発医薬品の上市前の先発医薬品等)、

2:後発医薬品がある先発医薬品
(先発医薬品と後発医薬品で剤形や規格が同一でない場合等を含む)

3:後発医薬品(先発医薬品と同額又は薬価が高いものについては、「★」印を付しています。)

として分類しています。

※後発医薬品の数量シェア(置換え率)
=〔後発医薬品の数量〕/(〔後発医薬品のある先発医薬品の数量〕+〔後発医薬品の数量〕
=〔3で分類される品目の数量〕/(〔2で分類される品目の数量〕+〔3で分類される品目の数量〕)





「後発医薬品のある先発医薬品」が増えるタイミング
http://www.ygken.com/2014/06/blog-post_17.html


後発医薬品のある先発医薬品とは
http://www.ygken.com/2014/12/blog-post_11.html


後発医薬品調剤体制加算のカットオフ値
http://www.ygken.com/2014/03/blog-post_24.html


2016年2月9日火曜日

タミフルの予防効果はどのくらい?



タミフルはインフルエンザの予防に用いることができる薬です。


では予防効果あどの程度持続するのでしょうか。


タミフルの添付文書には以下の記載があります。
インフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は、本剤を連続して服用している期間のみ持続する。

このように、タミフルは飲んでいる期間しか予防効果はありません。



では、例えば 

1日間だけ飲んで、その日だけ予防することはできるのでしょうか。



この例はたまに受験生を持つ親から問い合わせを受けます。

答えは、1日1回のみ服用した場合でも、服薬当日のみであれば予防効果は期待できます。


タミフルに最も感受性の低いB型インフルエンザウイルス増殖に対するIC95は30ng/mLです。


タミフル75mg単回投与時の薬物動態パラメーターは次のとおりです。

Cmax 360±85 ng/mL
Tmax 4.1±1.2時間
T1/2 6.4±3.7時間

単回投与時に血中濃度が30ng/mLになるのは、およそ18時間~24時間後と推測されます。


このことから、1日1回のみ服用した場合でも、服薬当日のみであれば予防効果は期待できると考えることができます。



なお、タミフルの承認されている用法用量においては「7~10日間経口投与」とされています。


この設定理由は、家族内予防を想定したものだからです。


すなわち、「7~10日間」とは同居の初発インフルエンザ患者がウイルスを放出している期間として設定されています。



参考:
タミフル予防投与における承認申請資料(中外製薬)
http://www.pmda.go.jp/drugs/2004/P200400015/index.html



【追記】

上の例で示したような使い方で予防的に薬をもらおうとするのはやめましょう。


予防投与はインフル発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記が対象です。

(1)高齢者
(2)慢性呼吸器・心疾患患者
(3)代謝性疾患患者(糖尿病等)
(4)腎機能障害患者


2016年2月8日月曜日

ニコチンパッチを透析患者さんが使っても良いか




維持透析患者さんでは心血管疾患や感染症のリスクが高いことが知られています。


喫煙は心血管疾患や慢性肺疾患,悪性腫瘍などに関連する危険因子です。


そのため、透析患者さんに対する禁煙支援の役割は大きいと言えます。



禁煙を成功させるために禁煙補助薬を使用される場合がありますが、透析患者さんに使用してもよいのでしょうか?


日本における禁煙ガイドラインで推奨される第一選択治療薬にはチャンピックス(バレニクリン)とニコチン代替療法(ニコチンガムとニコチンパッチ)があります。



チャンピックス

チャンピックスは2008年1月に承認された日本初の経口禁煙補助薬です。

チャンピックスはニコチンを含まず、脳内のα4β2ニコチン受容体に結合し、部分作動薬(アゴニスト)として作用することによって、禁煙に伴う離脱症状やタバコへの切望感を軽減します。


禁煙成功率も高く良い薬なのですが、『統合失調症,双極性障害,うつ病等の精神疾患のある患

者,重度の腎機能障害のある患者および血液透析を受けている患者には慎重に投与する』とされています。


透析患者さんの用法用量は0.5mgを1日1回に減量ですが、透析性はないので万が一を考えると透析患者さんには少し使いにくいといえます。



ニコチン代替療法(ニコチンガムとニコチンパッチ)

ニコチンを皮膚や口腔粘膜から持続的に吸収することによってニコチン離脱症状を緩和し、喫煙欲求を抑制します。


ニコチン患者さんの用法用量は健常者と同じです。


ニコチンは肝臓で代謝されます。ニコチンは透析性はありませんが代謝産物は透析で除去されるので透析患者さんでも問題になりません。


頭痛、動悸、不眠、イライラ感、嘔吐、下痢、けいれんなどのニコチン過剰が疑われる症状が出た場合減量するなど考慮が必要です。



http://www.jsn.or.jp/ckd/pdf/CKD03.pdf

http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010murohara.h.pdf
















2016年2月4日木曜日

皮膚欠損用創傷被覆材のQ&A



在宅(往診・訪問診療)で創傷被覆材を使用した場合、保険請求が可能なケース



いずれかの在宅療養指導管理料を算定している場合であって、在宅での療養を行っている通院困難な患者のうち、皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む。)(DESIGN 分類 D3、D4 及びD5)を有する患者の当該褥瘡に対して使用した場合に保険請求が可能です。


保険請求できる期間に制限があります。

基本的には 3週間を限度として、それ以上の期間において算定が必要な場合には、摘要欄に詳細な理由を記載して算定できます。


3週間以上の期間において、摘要欄に詳細な理由を記載して使用する場合の使用枚数

使用枚数の制限は原則としてありませんが、創の状態に適した使用方法(交換頻度)で適正な枚数を使用して下さい。


ヘルパー等が訪問して創傷被覆材を使用した場合、保険請求は可能できません。

そもそも、ヘルパーが創傷被覆材を交換することは診療報酬とは別の規制でできません。

患者さん自身か家族、看護師が実施した場合には保険算定は可能です。

医師が訪問した時だけ保険算定できますが、C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料、C112 在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者に使用した場合には処置料については算定できません。


創傷被覆材の調剤薬局での取り扱いについて

創傷被覆材は処方箋で保険適応可能です

在宅療養指導管理料を算定している在宅での療養を行っている通院困難な患者でかつ、皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む)(DESIGN 分類 D3、D4 及び D5)を有する患者の当該褥瘡に対して処方箋で保険算定できます。


創傷被覆材を販売するためには販売業許可及び届け出が必要です。

高度管理医療機器を販売するなら高度管理医療機器販売業の許可、管理医療機器を販売するなら管理医療機器販売業の届出があれば可能です。

なお薬局開設許可証をもって管理医療機器の届け出とみなされます。

ただし、これらの製品について患者様に宣伝、広告をすることはできません。




薬局が創傷被覆材を医師の処方箋に基づき支給する場合には販売業許可及び届け出は必要ありません。


『特定保険医療材料に該当する高度管理医療機器等』である皮膚欠損用創傷被覆材は、医師の処方箋に基づき、社会保険各法において支給する場合に限り、薬局は、高度管理医療機器等販売業の許可を取得する必要はありません。

ただし、以下の①から③の要件をすべて満たす必要があります。

① 患者に支給する際、薬剤師が患者の当該医療機器の使用状況や使用履歴を確認した上で、当該医療機器の使用方法及び管理方法の指導を添付文書等に基づいて適切に行っていること。併せて、調剤録に必要事項を記載するとともに当該医療機器を支給した時点で、薬剤服用歴に患者の氏名、住所、支給日、処方内容等、使用状況、使用履歴及び指導内容等の必要事項を記載していること。
② 保管や取扱いを添付文書等に基づき適切に行っていること
③ 在宅業務従事者等の資質の向上を図るため、研修実施計画を作成し、当該計画に基づく研修を実施するとともに、定期的に在宅業務等に関する学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む。)を受けさせていること。なお、薬剤師に対して、医療機器に関する講習等への定期的な参加を行わせていることが望ましい。


創傷被覆材の保険算定可能な施設について 

介護施設や有料老人ホーム等で購入、使用した場合に保険算定できません。

介護施設や有料老人ホーム等が施設購入で使用し独自に使用した場合は保険算定出来ません。



下記に施設ごとの保険算定の可否を添付しますが、あくまでも一般的なケースであり、例外もある為、詳細は各都道府県の厚生局にお問い合わせください。



創傷被覆材の保険算定方法について

償還価格は製品毎に全て異なります。

同じ機能区分に属する製品であれば、単位面積(重量)当りの償還価格は同じです。
但し、製品毎に保険算定面積(または保険算定重量)が異なりますので、大きさや重さで償還価格が異なります。


保険算定面積(重量)と見分け方。

単位面積(重量)当りの償還価格ですので製品毎に保険算定用の面積(重量)が設定されています。
皮下組織に至る創傷用・標準型(シート状、ヒモ状、ロープ状)は、固定用の補強部分を除く面積です。

皮下組織に至る創傷用・異形型(顆粒状、ペースト状、ジェル状)は、重量です。

製品によって製品外箱又は添付文書に表示してあります。



標準価格(希望小売価格、定価等)は、償還価格ではありません。

標準価格等は、メーカー等が設定した価格です。

償還価格は製品が属する機能区分と保険算定面積(重量)により設定されています。


製品毎の償還価格はどこに記載されているのか。

製品毎(規格別)の償還価格は、各社が別途案内しています。
各社ホームページを御覧ください。


使用する際に材料の面積(重量)をその都度、計算する必要はありません。

製品によって外箱または添付文書に保険算定面積(重量)が表示されています。
その面積(重量)と各機能区分の償還価格を乗じた価格で保険算定して下さい。

創傷被覆材は使いきりですので、創の大きさに対応するサイズの材料を選択使用し枚数単位で請求して下さい。
再使用はできません。

異形型のゲルタイプの製品は創への充填量に応じてサイズ(重量)を選択し、滅菌製品でもあり、一本単位で使い捨てして下さい。

創傷の深さや製品名をレセプト(診療報酬明細書)に記載する必要があります。

なお、製品名は機能区分(又は略称)と併記しましょう。
保険請求は1枚(本)単位です。


医療機関において処置とは別に交換用として患者に渡した創傷被覆材は保険請求できません。

処置に使用した分以外は算定できません。
ただし、在宅患者の場合は条件によって保険算定できるものもあり運用が異なります。


医療機関で交換用として患者に販売することはできません。

薬局等での購入をお勧めください。また、各県の厚生局にご確認ください。


創傷被覆材の保険適用期間について

医療機関で保険請求できる期間に制限があります。

2週間を標準として、特に必要と認められる場合については3週間を限度として算定できます。


2週間を標準として、特に必要と認められる場合については3週間を限度として算定する場合、使用枚数に制限はありません。

創の状態に適した使用方法(交換頻度)で適正な枚数を使用してしましょう。


保険適用期間の 2 週間もしくは 3 週間とは、1 ヶ月単位の保険適用期間ではありません。

使用開始後2週間もしくは3週間の限度を意味します。月をまたいだ場合も、合計で最長
で3週間までとなります(在宅の患者の場合、条件によって期間延長もできます)。


治療中に他の創傷被覆材に切り替えた場合でも、それぞれ2週間もしくは3週間を限度として保険算定はできません。

製品ごとではなく、使用した創傷被覆材の使用期間の合計が、2週間もしくは3週間であれ
ば算定できます。


薬剤で治療中に、薬剤(軟膏など)から創傷被覆材に変更した場合

薬剤から創傷被覆材に変更した時点から起算して 2 週間もしくは 3 週間を限度として算定します。



参考:
皮膚欠損用創傷被覆材(デュオアクティブ)は院外処方可能か
http://yakuza-14.blogspot.jp/2015/04/blog-post_14.html

創傷被覆材の保険上の適用(保険の対象疾患)について
http://yakkyokushidoukansa.blogspot.com/2016/02/sousyouhihukuzai.html


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